雨に濡れたコートの乾かし方|素材と濡れた範囲で、掛ける場所を決める

**いま玄関にある濡れたコートを、手のひらで1か所だけ押してみてください。**指先がしっとりするなら裏地まで染みています。冷たいだけなら、濡れているのは表地だけです。
雨に濡れたコートの乾かし方は、次の3つで決まります。
- 表地がウールか、綿か、化繊・ダウンか
- 濡れた範囲が手のひら2枚分までか、それより広いか
- 裏地まで染みたか、表地で止まっているか
ウールで広く濡れて裏地まで染みているなら、肩の厚いハンガーに掛けて、壁から10cm離し、熱ではなく風で一晩乾かします。綿で肩だけ濡れたなら、タオルで押して水を取ってから、部分的に風を当てれば数時間で足ります。化繊なら、タオルで押して吊るしておけば、翌朝にはほぼ乾いています。
この記事では、この3つの見分け方と、どちらとも取れるときの決め方を順に書いていきます。
結論:あなたのコートは、この順番で決める
先に3つの答えを出してから、乾かし方を選びます。順番は、素材、範囲、染み込みです。
1つ目の素材は、首の後ろか脇の縫い目についている洗濯表示のタグで確かめます。タグに「毛」と書いてあれば、割合が半分を超えている限りウールの扱いです。「綿」が多ければ綿、「ポリエステル」「ナイロン」が多ければ化繊として扱います。中に羽毛が入っているなら、表地が何であってもダウンとして考えてください。
2つ目の範囲は、濡れた部分の広さを手のひらで測ります。肩の上だけ、背中の上だけといった具合に、手のひら2枚分で覆えるなら部分的に濡れた状態です。それを超えて、前身頃も袖も色が変わっているなら、全体が濡れた状態として扱います。
3つ目の染み込みは、裏地を手のひらで押して10秒数えます。手を離したときに、手のひらがしっとりしていれば裏地まで染みています。冷たいだけで乾いているなら、表地で止まっています。
この3つが出たら、あとは組み合わせで決まります。迷ったときは、乾きにくい側に寄せて扱うのが基本です。ウールか綿か迷えばウール、部分か全体か迷えば全体、染みたか迷えば染みた側です。乾きにくい側で扱って困ることはほとんどありませんが、逆に扱うと、乾いたつもりで匂いや跡が残ることがあります。
先に測る3つ|素材・範囲・染み込み
3つの測り方を、もう少し細かく書いておきます。帰ってきてすぐ、コートを脱いだ直後にやるのがいちばん正確です。
素材はタグの一番上の行を見る
洗濯表示のタグには、表地と裏地が分けて書かれています。見るのは表地の行だけです。複数の素材が並んでいるときは、割合の大きいほうで決めてください。ウールが60%でポリエステルが40%ならウールの扱いです。ウールが30%しか入っていなくても、表面がふっくら起毛しているなら、ウールに近い扱いにしておくと安全です。表面の毛羽が濡れて寝ると、乾いたあとに跡が残りやすいからです。
タグが切ってあって分からない場合は、表地を指でつまんで、こすり合わせてみてください。きゅっと鳴るような手ざわりで、表面がつるりとしているなら化繊、ざらっとして乾いた紙のような手ざわりなら綿、柔らかくて指に毛羽が当たるならウールに近いと考えます。
範囲は手のひらで覆ってみる
濡れた部分は、乾いた部分より色が一段濃く見えます。明るい場所でコートをハンガーに掛け、手のひらを濡れた部分に重ねてみてください。2枚で覆いきれるなら部分、3枚以上要るなら全体です。
雨の日の濡れ方には、よくある型があります。傘をさしていた日は、肩の片側と、背中の下のほう、それに裾の後ろが濡れます。傘を持たずに少し走った日は、両肩と胸、それに袖の上側が濡れます。自転車に乗った日は、前身頃と太ももに当たる裾の前側が濡れます。自分がどの型だったかを思い出すと、見落としている場所が分かります。
染み込みは裏地を10秒押す
いちばん大事なのがこれです。表地の色が変わっていても、裏地まで届いていなければ、乾く時間は半分以下で済みます。逆に、表地が少し湿っている程度に見えても、裏地まで届いていると、一晩置いても中に水分が残ります。
押すのは、濡れた範囲のまん中です。手のひら全体で、少し体重をかけるくらいの強さで10秒押します。手を離して、手のひらを頬に当てると、湿り気があるかがはっきり分かります。
帰ってすぐの5分でやること
素材が何であっても、帰ってすぐにやることは同じです。この5分で、乾く時間が大きく変わります。
まず、ポケットの中身を全部出してください。ハンカチや紙、鍵などが入ったままだと、その部分だけ乾かず、形も崩れます。次に、ボタンを全部外し、ベルトがあれば抜いておきます。ベルトを通したまま乾かすと、ベルトの下だけ湿ったまま残ります。
それから、乾いたタオルを2枚用意します。1枚を濡れた部分の裏側に当て、もう1枚を表側から重ねて、手のひらで押して水を吸い取ります。こすらずに、押して離すをくり返してください。こすると、ウールなら毛羽が絡み、綿なら色が落ちて白っぽい筋になることがあります。
タオルで押す回数の目安は、タオルにほとんど水が移らなくなるまでです。部分的に濡れた程度なら1か所につき3〜4回、全体が濡れているなら、タオルを替えながら全体を一巡します。
最後に、コートを一度軽く振ってから、ハンガーに掛けます。振るのは、表面に残った水滴と、寝てしまった毛羽を起こすためです。強く振る必要はありません。肩を持って2〜3回揺らすくらいで十分です。
ウールのコートの乾かし方
ウールは、水を吸っても、表面では水をはじいているように見えることがあります。ところが、中の繊維はゆっくり水を抱え込んでいて、乾くのにも時間がかかります。そのかわり、多少の湿り気なら匂いを出しにくい素材でもあります。
ウールで大事なのは、熱を当てないことです。暖房の吹き出し口の前、ストーブの近く、浴室乾燥の高温などは避けてください。濡れたウールに熱が加わると、繊維が縮んで、袖や着丈が短くなったり、表面が硬くなったりします。
かわりに使うのは風です。部屋の空気が動いている場所、たとえば窓を少し開けた部屋や、扇風機やサーキュレーターの風が弱く届く場所に掛けます。風は直接強く当てる必要はありません。コートの周りの空気が入れ替わっていれば十分です。
部分的に濡れただけなら、半日ほどで乾きます。全体が濡れて裏地まで染みている場合は、一晩から丸1日を見てください。表地を触って乾いたと感じても、脇の下と、襟の裏、ポケットの袋布は乾きにくい場所です。この3か所を指で押して、湿り気が残っていないかを確かめてから、クローゼットに戻します。
乾いたあとは、洋服ブラシで上から下へ軽くブラッシングしておくと、雨で寝た毛羽が起きて、見た目が元に戻ります。ブラシがなければ、乾いたタオルで表面をなでるだけでも違います。
綿のコートの乾かし方
トレンチコートやステンカラーコートなど、綿の表地のコートは、ウールよりも早く水を吸い、乾くのも早い素材です。ただし、濡れた部分と乾いた部分の境目に、輪じみが出やすい性質があります。
綿で部分的に濡れたときは、濡れた範囲だけを乾かすより、その周りを少し広めに湿らせてから乾かすほうが、跡が残りにくくなります。霧吹きがあれば、濡れた範囲の外側に向かって、ふんわりと水をかけてください。境目がぼやけてから乾かすと、輪の線が出にくくなります。
綿は、ウールよりは熱に強い素材です。ドライヤーを使うなら、30cmほど離して温風を当て、同じ場所に留めずに動かし続けてください。ただ、撥水加工がしてある場合は、強い熱を長く当てると加工が弱ることもあるので、洗濯表示でアイロンの温度を確かめておくと安心です。
裏地まで染みた綿のコートは、ウールほど時間はかかりませんが、それでも数時間から半日は見ておきます。襟を立てて、前を開けた状態で掛けると、中にも空気が通って早く乾きます。
化繊・撥水のコートとダウン
ポリエステルやナイロンの表地は、水をほとんど吸いません。表面の水滴をタオルで押して取り、ハンガーに掛けておけば、多くの場合は数時間で乾きます。
気をつけたいのは、表地が乾いていても、縫い目や裾の折り返しの中に水が残っていることです。とくに袖口と裾は、生地が二重、三重に重なっているので、そこだけ乾きにくくなります。袖口を指でつまんで、湿っていないかを確かめてください。
撥水のコートは、雨に何度も当たるうちに、水をはじく力が弱くなっていきます。乾かしたあとに、表面に水を一滴落としてみて、玉になって転がれば撥水は残っています。じわっと広がって染み込むなら、撥水が弱っている合図です。洗濯表示で低温のアイロンや乾燥機が使えるものなら、乾いたあとに軽く熱を加えると、はじく力が戻る場合があります。
ダウンコートは、表地が化繊でも、中の羽毛が水を吸うと、乾くまでに長い時間がかかります。表面が乾いていても、中の羽毛が固まったままのことが多いので、乾かしている途中で何度か、手のひらでぽんぽんとたたいてください。固まりがあれば指でほぐします。こうすると、羽毛の間に空気が入って、乾きも早くなり、ふくらみも戻ります。
素材ごとの違いを並べると
| 素材 | 熱 | 風 | 乾く目安(全体・裏地まで) |
|---|---|---|---|
| ウール | 当てない | 弱く長く | 一晩〜丸1日 |
| 綿 | 離して短く | 普通 | 数時間〜半日 |
| 化繊 | 表示しだい | 普通 | 数時間 |
| ダウン | 当てない | 全体に | 丸1日以上 |
表は、どの素材で何に気をつけるかを比べるためのものです。実際の時間は、部屋の湿り気や気温で大きく変わります。
掛ける場所|壁から10cm、床から20cm
乾かし方の中で、いちばん差が出るのが掛ける場所です。同じコートでも、掛ける場所で乾く時間が倍以上変わります。
目安は3つです。壁から10cm以上離すこと。裾が床から20cm以上浮いていること。隣の服との間が、こぶし1つ分以上空いていること。
壁にぴったり付けて掛けると、背中側に空気が通らず、背中だけがいつまでも乾きません。玄関のフックに掛ける場合は、フックとコートの間に、もう1本ハンガーをはさむか、扉の上部に掛けるタイプのフックを使って、壁から離してください。
裾が床に近いと、床からの冷えで裾だけ乾きが遅くなります。ロングコートの場合は、ドア枠の上や、突っ張り棒の高い位置に掛けると、床から離せます。
クローゼットの中に戻すのは、完全に乾いてからにします。湿ったコートをほかの服と並べると、隣の服にまで湿気が移り、クローゼット全体の匂いの原因になります。
部屋の選び方も考えておくと便利です。浴室は換気扇を回していても湿度が高いので、ウールのコートを乾かす場所には向きません。洗濯物を干している部屋も同じです。人がいて空気が動いている居間の、窓に近い場所がいちばん乾きやすい場所になります。
置ける場所が玄関しかないとき
ワンルームや、居間に濡れたものを持ち込みたくない家では、玄関で乾かすしかないこともあります。玄関は外の冷気が入りやすく、窓もないことが多いので、居間に比べて乾くのに時間がかかります。
その場合は、扉の上部に掛けるフックを使って、コートをできるだけ高い位置に吊るしてください。玄関の床は冷えやすく、下のほうの空気は動きにくいので、高い位置のほうが乾きます。靴箱の扉を少し開けておくと、空気の通り道が1本増えます。
玄関に小さな扇風機やサーキュレーターを置けるなら、床から斜め上に向けて弱い風を送ると、コートの周りの空気が入れ替わります。真正面からコートに当てる必要はありません。壁に当たって跳ね返った風が、コートの裏側にまで回り込むくらいがちょうどよい強さです。
部屋干しの洗濯物と同じ部屋になるとき
雨の日は、洗濯物も部屋の中に干していることが多いはずです。同じ部屋で濡れたコートを乾かすと、部屋の湿り気が上がって、どちらも乾きにくくなります。
できるなら、コートと洗濯物は別の部屋に分けてください。分けられないときは、コートを窓に近い側、洗濯物を部屋の奥に置き、窓を5cmほど開けておきます。除湿機があれば、コートの近くより、部屋のまん中に置くほうが部屋全体の湿り気が下がります。
洗濯物の量が多い日は、コートの乾燥を後回しにして、タオルで水を取るところまでで止め、翌日の昼に窓際へ移すという順番でも構いません。湿ったまま重ねず、ハンガーに掛けてさえいれば、半日ずらしても仕上がりは大きく変わりません。
ハンガーの肩の厚み|3cm以上を選ぶ
濡れたコートは、乾いているときより重くなります。重くなったコートを細い針金のハンガーに掛けると、肩の先に重さが集まって、乾いたあとに肩の形が尖ったように残ります。
ハンガーは、肩の部分の厚みが3cm以上あるものを選んでください。指でハンガーの肩先をつまんで、親指と人差し指の間が3cm以上開くなら大丈夫です。厚みのあるハンガーがない場合は、細いハンガーの肩にタオルを巻いて、厚みを足すだけでも違います。
ハンガーの幅も見ておきます。ハンガーの端がコートの肩の縫い目より外に出ていると、袖の付け根に飛び出した跡が残ります。逆に内側に入りすぎていると、肩が落ちたまま乾きます。肩の縫い目から1〜2cm内側に、ハンガーの端が来るのがちょうどよい幅です。
フードや大きな襟があるコート
フード付きのコートや、襟が大きく折り返るコートは、その部分の生地が何枚も重なっているので、本体より乾くのが遅れます。フードは、ハンガーに掛けたときに背中に垂れ下がった状態だと、背中の生地と重なって、両方とも乾きません。
フードは、ハンガーのフックに引っかけるようにして、上に立たせて乾かしてください。取り外せるフードなら、外して別に乾かすのがいちばん確実です。大きな折り襟は、立てた状態で掛けると、襟の裏側にも空気が通ります。
ファーの付いた襟やフードは、濡れたまま放っておくと毛が束になって固まります。タオルで押して水を取ったあと、指先で毛の流れに沿って軽くほぐしてから乾かしてください。乾ききったあとに、目の粗いブラシで毛先を整えると、ふんわりとした形に戻ります。
袖の中まで濡れているとき
傘をさしていても、手首から先は濡れやすい場所です。袖口から水が入り込んで、袖の裏地が肘のあたりまで湿っていることがあります。袖は筒の形なので、ハンガーに掛けただけでは中の空気が入れ替わりません。
袖の中まで濡れているときは、丸めたタオルを袖口から肘のあたりまで差し込んで、10分ほど置いてください。タオルが中の水を吸い取ったら、タオルを抜いて、袖口を少し広げた状態で乾かします。ラップの芯や、厚紙を丸めた筒を袖に入れておくと、中に空気の通り道ができて、乾くのが早くなります。
どちらとも取れるとき① 混紡で素材が分からない
ウールとポリエステルが半分ずつ、あるいはウールにナイロンやカシミヤが少しずつ混ざっているなど、どの素材として扱えばいいか分からないコートは多いものです。
そういうときは、ウールの扱いに寄せてください。熱を当てず、風で乾かし、時間をかけます。ウールの扱いで化繊が傷むことはありませんが、化繊の扱いでウールが混ざったコートに熱を当てると、縮んだり表面が硬くなったりすることがあるからです。
表面の手ざわりでも判断できます。指で表面をなでたときに、毛羽が指先に当たるなら、割合にかかわらずウールの扱いにしておくと安全です。つるっとしていて毛羽がないなら、化繊の扱いでも大きな問題は起きにくいでしょう。
それでも迷うときは、目立たない内側の縫い代あたりで、ドライヤーの温風を30cm離して5秒だけ当ててみてください。触って表面の感触が変わったり、熱で毛羽が寝たりするようなら、そのコートは熱に弱い側です。
裏地の素材でも乾き方が変わる
表地の素材だけでなく、裏地の素材も乾く時間を左右します。タグの裏地の行を見て、キュプラやレーヨンと書いてあれば、水を吸いやすく乾きにくい裏地です。ポリエステルなら、水をあまり吸わず、比較的早く乾きます。
キュプラやレーヨンの裏地は、濡れたまま強くこすると、表面にしわや白っぽい筋が残ることがあります。裏地まで染みているときは、表地と同じように、タオルで押して水を取るだけにとどめてください。乾いたあとにしわが残ったら、洗濯表示を見て、低めの温度で当て布をしてアイロンをかけると伸びます。
裏地のないコート、いわゆる一枚仕立てのコートは、表地の裏側が直接空気に触れるので、裏地のあるコートより早く乾きます。そのかわり、内側に着ていた服の色が移っていないかを、乾いたあとに確かめておくと安心です。
どちらとも取れるとき② 翌朝までに乾くか分からない
夜遅くに帰ってきて、翌朝もそのコートを着たいという日があります。乾くかどうか分からないときは、寝る前に一度、乾き具合を確かめる時間をとってください。
目安は、寝る前の時点で裏地を押して、手のひらがしっとりしないかどうかです。しっとりしないなら、表地の冷たさが残っていても、翌朝にはおおむね乾いています。しっとりするなら、翌朝までに乾ききらない可能性が高いので、別の上着を準備しておきます。
別の上着がない場合は、寝る前に向きを変えておくと乾きが早くなります。乾かしているあいだ、外側を向いていた面と、内側を向いていた面を入れ替えるのです。コートを裏返して掛けるか、ハンガーごと180度回して、壁側だった背中を部屋側に向けます。
朝になっても湿り気が残っていたら、着る前に冷風を5分ほど、裏地側から当ててください。そのうえで、出先に着いたら脱いで掛けておける場所があるかを考えておきます。職場にロッカーやハンガーラックがあるなら、着いてすぐにそこに掛けておけば、帰るころには乾いています。
どちらとも取れるとき③ 乾いたのに匂いや跡が残った
乾いたはずなのに、着たときに少し湿った匂いがする、濡れた部分に輪のような跡が残っている、ということがあります。この2つは、原因がちがいます。
匂いが残るのは、乾ききる前にクローゼットに戻したか、湿ったまま一度着てしまったことが多い原因です。脇の下や襟の裏など、体温の当たる場所から匂いが出やすくなります。この場合は、もう一度ハンガーに掛けて、風通しのよい場所に丸1日置いてください。それでも消えないなら、洗濯表示を見て、家で洗えるか、クリーニングに出すかを決めます。
跡が残るのは、濡れた範囲だけが先に乾いて、境目に汚れや仕上げ剤が寄ったためです。跡の周りを一回り大きく湿らせて、境目をぼかしてから、もう一度乾かします。ウールの場合は、湿らせたあとにタオルで押して水を取り、風で乾かすところまで同じ手順をくり返してください。
どちらの場合も、2回やって変わらないなら、自分で続けるより、クリーニングの店に相談したほうが早く確実です。とくに光沢のある生地や、色の濃い生地は、くり返すうちに跡が広がることがあります。
乾ききったかを確かめる3か所
翌朝でも、数日後でも、クローゼットに戻す前に確かめる場所は同じです。脇の下、襟の裏、ポケットの袋布の3か所を、それぞれ手のひらで5秒ずつ押してください。
この3か所は、生地が重なっていたり、体に近い側にあったりして、表から見ても乾き具合が分かりません。3か所とも、押したあとの手のひらがさらっとしていれば、乾ききっています。1か所でも冷たさや湿り気が残っていたら、その日はクローゼットに戻さず、もう半日掛けておいてください。
ポケットの袋布は、ポケットに手を入れて、内側の生地を指でつまむと確かめやすくなります。袋布は薄い生地でできていることが多いので、湿っていると指先にはっきり分かります。
避けたい乾かし方
急いでいるときほど、やってしまいがちな乾かし方があります。どれも、乾くのは早くなっても、仕上がりが崩れる原因になります。
暖房の吹き出し口の真正面に掛けるのは避けてください。とくにウールとダウンは、熱で縮んだり、羽毛の油分が抜けてふくらまなくなったりします。暖房の部屋で乾かすなら、吹き出し口から1m以上離れた場所に掛けます。
椅子の背もたれに掛けたまま一晩置くのも、よくある失敗です。背もたれの角に肩が当たって、乾いたあとに尖った跡が残ります。椅子の背と体が触れていた部分は空気が通らないので、そこだけ乾きません。
床に広げて乾かすのも、ニットの扱いとしては正しい場合がありますが、コートには向きません。裏地と表地の間に空気が通らず、裏側がいつまでも湿ったままになります。
濡れたまま袋に入れて持ち歩くのも、短い時間なら仕方ありませんが、帰ってすぐに取り出してください。袋の中で数時間置くと、匂いの原因になります。
出先で濡れたときの、帰るまでのつなぎ方
職場や出先で濡れたまま数時間過ごす日もあります。帰宅するまでのあいだにできることも、乾き方を左右します。
着いたらまず脱いで、ハンガーに掛けられる場所を探してください。ハンガーがない場合は、椅子の背に掛けるより、肩を持って畳まずに、ロッカーの中に吊るすほうが形が保てます。
ハンカチやティッシュで、肩の上と袖の上側の水滴だけでも押して取っておくと、帰るころには乾きが進んでいます。ここでもこすらずに押すだけにしてください。
帰り道にまた雨が降っているなら、乾いてきたコートを再び濡らさないように、傘の差し方を工夫します。肩が濡れやすい人は、傘を少し後ろに傾けると、背中の上と肩が守られます。
電車やバスの中で乾きかけたとき
通勤の帰りに電車やバスに乗っていると、車内の暖房で、濡れたコートが少しずつ乾いていきます。このとき、表地の一部だけが先に乾いて、ほかの部分は湿ったままという、まだらな状態になりやすくなります。
まだらに乾いたコートは、帰宅後にそのまま掛けておくと、境目に輪じみが出ることがあります。帰ったら、乾きかけた部分も含めて、濡れていた範囲全体を手のひらで押し、湿り気の差を確かめてください。差が大きいようなら、乾いた部分の縁に霧吹きで軽く水をかけて、湿り具合をそろえてから乾かすと、跡が残りにくくなります。
年代や暮らし方での調整
乾かし方そのものは誰でも同じですが、どのくらい手間をかけるかは、持っているコートの数と暮らし方で変わります。
コートを1着で回している人は、乾かす時間を確保することが何より大事です。雨の日の翌日も同じコートを着ることになるので、帰ってすぐの5分を省かないでください。乾ききらない日のために、薄手のダウンや撥水のブルゾンなど、雨の日の予備になる上着を1枚持っておくと安心です。
2着以上を回している人は、雨の日に着たコートを翌日は休ませて、丸1日かけて乾かすことができます。ウールのコートを長く着たいなら、これがいちばん確実な方法です。
小さな子どもがいて、帰宅後の5分が取れない日もあるでしょう。そういう日は、ポケットの中身を出してハンガーに掛けるところまでを先にやり、タオルで押すのは寝る前に回しても構いません。掛けておくだけでも、椅子の背に置いておくよりずっと乾きます。
次の雨の日のためにできること
乾かしたあと、次の雨の日に向けてできることもあります。
撥水が弱っていると感じたら、撥水スプレーを使う方法があります。使う前に、目立たない場所で色が変わらないかを確かめてください。スプレーは屋外か換気のよい場所で、30cmほど離して、全体にうっすらとかけます。
雨の日に着る回数が多いコートは、乾かしたあとに、雨の多い季節の前と後で一度ずつ、クリーニングに出しておくと、匂いや跡の原因になる汚れが残りにくくなります。
雨の日に着るコートを決めておくのも1つの方法です。ウールの上質なコートは晴れの日用にして、雨の予報がある日は化繊や撥水のコートを着る。こう分けておくと、帰ってからの手間も減ります。どんなコートが雨の日に向いているかは、撥水加工コートの選び方で、表地ごとの違いとして詳しく書いています。
関連記事
よくある問い
- Q. 濡れたウールのコートにドライヤーを当ててもいいですか
- 温風を近くから当てるのは避けてください。ウールは濡れた状態で熱が加わると、繊維が縮んだり表面の毛羽が寝たまま固まったりしやすくなります。使うなら冷風か弱い温風で、生地から30cm以上離し、同じ場所に10秒以上当て続けないことです。それより先に、乾いたタオルで上から押して水を吸い取り、肩の厚いハンガーに掛けて風の通る場所に置くほうが、仕上がりが安定します。急ぎの日でも、ドライヤーは最後の仕上げに数分だけ、と考えておくと失敗しにくくなります。
- Q. 翌朝までに乾かなかったら、湿ったまま着ていいですか
- 裏地を手のひらで押して、冷たさが残るだけなら着て出ても大きな問題になりにくいです。押したときに指先がしっとり湿るなら、その日は別の上着にしてください。湿ったまま着ると、体温で温まった水分が逃げ場を失い、脇や背中の内側に匂いが残りやすくなります。どうしてもそのコートしかない日は、着る前に裏返して5分だけ冷風を当て、出先で一度脱いで掛けておける場所があるかを先に考えておくと安心です。
- Q. 乾いたあとに水の輪のような跡が残りました。戻せますか
- 輪じみは、濡れた部分と乾いた部分の境目に、生地の中の汚れや仕上げ剤が寄って残ったものです。濡れた範囲だけが乾いたときに出やすいので、跡の周りを一回り大きく霧吹きで湿らせ、境目をぼかしてからもう一度乾かすと薄くなることがあります。ウールや光沢のある生地で、それでも残る場合や、洗濯表示で水洗いができない場合は、無理に自分で繰り返さず、クリーニングの店に相談してください。
- Q. ダウンコートが雨で濡れて、ぺたんこになりました
- 中の羽毛が水を吸って固まっている状態です。乾かす途中で何度か、手のひらで軽くたたいたり、羽毛の固まりを指でほぐしたりすると、ふくらみが戻りやすくなります。平らに置くより、厚みのあるハンガーに掛けて全体に風を当ててください。表面が乾いても中はまだ湿っていることが多いので、表地に触れて乾いたと感じてから、さらに半日ほど置くつもりでいると、匂いが残りにくくなります。
— メグラシ編集部





