衣替えで出した服がにおう|しまった場所と素材で洗うか干すか決める

**衣替えで出した服を、1枚ずつ顔に近づけてかいでみてください。**つんとした薬のようなにおいなら、干せば抜けます。こもった押入れのようなにおいも、たいてい干せば抜けます。洗う必要があるのは、酸っぱいにおいと、湿った土のようなにおいがする服だけです。
衣替えの日に出した服がにおうと、つい全部を洗濯機に入れたくなります。けれど、秋冬の服には家で洗えないニットやコートが多く、洗えば縮んだり、形が崩れたりします。逆に、干せば抜けるにおいに洗濯の手間をかけるのも、時間がもったいないことです。
この記事では、においの種類をかぎ分けて、しまっていた場所と素材から、干すか洗うか預けるかを決める順番で考えます。衣替えの全体の手順は秋の衣替えの手順に、出す枚数の決め方は衣替えで出す秋冬服は何枚?にまとめてあります。ここでは、出した服がにおったときにどうするかだけを扱います。
結論:においは4種類。干して抜けるのは2つだけ
衣替えで出した服のにおいは、だいたい次の4つに分かれます。
| においの種類 | かいだときの感じ | どうするか |
|---|---|---|
| 防虫剤のにおい | つんとした薬のようなにおい | 風の通る日陰で干す |
| こもったにおい | 押入れや段ボールのようなにおい | 湿気の少ない日に吊るす |
| 汗や皮脂のにおい | 酸っぱい・脂っぽいにおい | 洗う。洗えない素材は預ける |
| 湿気のにおい | 湿った土や古い紙のようなにおい | ほかと分けて洗う。点があれば預ける |
干して抜けるのは、上の2つだけです。下の2つは、においのもとが服の繊維に残っているので、干しても、着て体温が上がるとまた出てきます。
1枚の服から2種類のにおいがすることもあります。その場合は、下の段の対処を優先してください。防虫剤と汗の両方のにおいがする服は、洗えばどちらも落ちます。干すだけでは汗のにおいが残ります。
まず鼻で分ける|かぐ場所は襟、脇、袖口の3か所
においをかぎ分けるときは、服の全体をかぐのではなく、襟、脇、袖口の3か所を順にかいでください。においの種類によって、強く出る場所が違うからです。
防虫剤とこもったにおいは、服の全体に同じくらいの強さで出ます。たたんで重ねていた服なら、外側に出ていた面のほうが少し強く出ることもあります。
汗や皮脂のにおいは、脇と襟に集中します。袖口にも出ることがあります。全体からはあまりにおわないのに、脇に鼻を近づけると酸っぱい、という服は、汗や皮脂のにおいです。
湿気のにおいは、服のたたんだ折り目や、ケースの底に当たっていた面に強く出ます。全体からうっすらにおう服でも、折り目を広げて鼻を近づけると、そこだけ強いことがあります。
かぐときは、外の空気を一度吸って鼻をリセットしてから、1枚ずつ確かめてください。何枚も続けてかぐと、鼻がにおいに慣れて、弱いにおいがわからなくなります。5枚ほどかいだら、一度窓を開けて深呼吸をすると、次の5枚もかぎ分けられます。
自分の鼻に自信がないときは、家族や同居している人にかいでもらうのも1つの方法です。毎日着ている本人より、ほかの人のほうが汗のにおいには気づきやすいことがあります。
かぎ分けた結果は、服を床に並べるときの置き場所で分けておくと、あとの作業が早くなります。においのしない服は右、干す服は左、洗う服は手前、預ける服は奥、というように、部屋の四方に置き場所を決めてください。1枚かぐたびに置き場所に移していけば、全部かぎ終わったときには、もう作業ごとに分かれています。かぎながら頭で覚えておこうとすると、10枚を超えたあたりでどれがどのにおいだったかわからなくなります。
かぎ分けに迷う服は、いったん「保留」の山を作ってそこに置いてください。全部をかぎ終わってから、鼻を休めた状態でもう一度かぐと、最初は迷った服も種類がはっきりすることが多いです。
しまっていた場所で、においの強さが変わる
同じ服でも、しまっていた場所によって、においの出方が大きく変わります。衣替えで出した服を、しまっていた場所ごとに分けておくと、どこから手を付ければいいかが見えてきます。
| しまっていた場所 | 出やすいにおい | 理由 |
|---|---|---|
| ふたの閉まる衣装ケース | 防虫剤・こもり | 空気が入れ替わらず、においがたまる |
| 押入れの下段・床に近い場所 | 湿気 | 冷えた空気と湿気が下にたまる |
| 圧縮袋 | こもり・しわ | 空気を抜いた袋の中でにおいが繊維に移る |
| 吊るしたクローゼット | こもり(弱め) | 空気は動くが、扉を閉めた期間が長いとこもる |
床に近く、ふたの閉まる場所ほど、においは強く出ます。押入れの下段に置いた衣装ケースから出した服は、まず湿気のにおいを疑ってください。
逆に、吊るしてしまっていた服は、においが弱いことが多いです。吊るしていた服で強いにおいがする場合は、しまう前に洗いきれていなかった汗や皮脂のにおいである可能性が高くなります。
しまっていた場所が分かれていない人は、においが出た服をまとめて置いた場所を思い出してください。たいてい、同じケースや同じ段から出した服がそろってにおいます。そのケースや段は、来年のしまい方を変える場所でもあります。
防虫剤のにおいは、風の当たる日陰で半日干す
防虫剤のにおいは、服の表面と、繊維のすき間に入りこんだ空気に残っています。だから、風を当てて空気を入れ替えれば抜けます。洗う必要はありません。
干す場所は、風の通る日陰です。直射日光に当てると、ウールや色の濃い服は色があせることがあります。ベランダの日陰か、窓を開けた部屋で、ハンガーに掛けて半日から1日置いてください。
室内で干す場合は、窓を2か所開けて風の通り道を作るか、扇風機の弱い風を当ててください。窓際に吊るすだけでは、服の表面の空気が入れ替わらず、においはなかなか抜けません。
半日干しても残る場合は、服を裏返して同じ時間干してください。防虫剤のにおいは、縫い代や袖の内側、ポケットの中など、空気が動きにくい場所に残りやすいからです。
厚手のコートやダウンは、においが抜けるまでに時間がかかります。1日では足りないこともあるので、2日続けて干すつもりでいてください。夜は部屋の中に取り込み、翌日また外に出すと、夜露で湿らせずに済みます。
干す時間帯は、午前10時ごろから午後3時ごろまでが目安です。朝早い時間は空気に湿り気が残り、夕方になると気温が下がって湿気が戻ってきます。秋は日が短くなるので、午後3時を過ぎたら取り込むつもりでいてください。取り込んだ服はすぐにクローゼットにしまわず、部屋の中で1時間ほど吊るしておくと、服に残った外の冷たい空気が抜けて、しまったあとの湿気を防げます。
ハンガーにも気を配ってください。細い針金のハンガーに厚いコートを掛けると、肩の形が崩れ、そこに湿気がこもります。肩幅に合った厚みのあるハンガーに掛けると、服の内側にも風が通りやすくなり、においも早く抜けます。
こもったにおいは、晴れが2日続いた日に吊るす
こもったにおいは、しまっていた場所の空気が服に移ったものです。押入れや段ボールのにおい、と言うとわかりやすいかもしれません。これも、空気を入れ替えれば抜けます。
ただし、防虫剤のにおいと違うのは、湿気と一緒にこもっていることが多い点です。雨の日や湿った日に吊るしても、湿気が抜けず、においが残ります。晴れが2日以上続いて、空気が乾いた日を選んでください。
干し方は、防虫剤のにおいと同じです。風の通る日陰に、ハンガーで半日から1日。厚い服は2日。裏返して干すと、さらに早く抜けます。
こもったにおいが強い服は、干したあと、着る前にもう一度かいでください。干している間は気にならなくても、たたんでしばらく置くと、またうっすら戻ってくることがあります。戻ってきた場合は、湿気のにおいが混ざっている可能性があるので、次の段の対処に進みます。
晴れが続かない時期に衣替えをする場合は、室内で除湿をしながら吊るす方法もあります。部屋を閉めきり、除湿の機能のある機械を動かして、服と服のあいだにこぶし1つぶんの間をあけて吊るします。風を当てられるなら、扇風機を首振りにして服の列に向けてください。外に干すより時間はかかりますが、雨の日が続く週でも作業を止めずに済みます。
室内で干すときに避けたいのは、浴室や洗面所など、もともと湿気の多い場所に吊るすことです。換気扇を回していても、壁や床に残った湿気が服に移り、こもったにおいがかえって強くなることがあります。
汗や皮脂のにおいは、洗わないと抜けない
汗や皮脂のにおいは、しまう前に落としきれなかった汚れが、半年のあいだに変化したものです。服の繊維の中に汚れが残っているので、干しても抜けません。洗って、汚れそのものを落とす必要があります。
「しまう前に洗ったはずなのに」と感じる人も多いと思います。けれど、汗や皮脂は、1回の洗濯では落ちきらないことがあります。特に、脇や襟は汚れが重なりやすく、洗濯機の水流だけでは届きにくい場所です。また、一度だけ着た服を「汚れていないから」とそのまましまうと、目に見えない汗が残ります。
洗える服なら、においのする脇や襟に、洗濯用の洗剤を直接なじませてから、いつもどおりに洗ってください。なじませたあと、10分ほど置いてから洗うと、汚れがゆるんで落ちやすくなります。
ぬるめのお湯を使える服なら、水より汚れは落ちやすくなります。ただし、温度の上限は洗濯表示に書いてあるので、必ず確かめてから使ってください。表示より高い温度で洗うと、縮みや色落ちの原因になります。
洗ったあとは、もう一度かいでください。においが残っていたら、同じ手順をもう一度繰り返します。2回洗っても残る場合は、家で落とせる範囲を超えているので、クリーニング店に相談するほうが確かです。
洗ったあとの干し方も、においが戻るかどうかに関わります。洗い終わったらすぐに洗濯機から出し、しわを伸ばして干してください。洗濯機の中に濡れたまま置いておくと、その間に新しいにおいが出ることがあります。干すときは、服と服のあいだをあけ、厚い服ほど外側に吊るすと、風が通って早く乾きます。乾くまでの時間が長いほど、においは戻りやすくなるので、厚手の服を洗うなら、晴れて風のある日を選んでください。
脇や襟に汗じみの黄ばみが見える服は、においと同じ汚れが色になって出ている状態です。においだけを落としても、黄ばみが残っていれば、着ているうちにまたにおいが戻ることがあります。黄ばみがある服は、洗う前にクリーニング店で相談するか、家で洗うなら黄ばみの部分に洗剤を長めになじませてから洗ってください。
湿気のにおいは、点が見えるかどうかで分ける
湿った土や古い紙のようなにおいは、しまっていた場所の湿気が原因です。このにおいがする服は、まず明るい場所で、表と裏の両方をよく見てください。
白い点、黒い点、緑がかった点が見えなければ、湿気がこもっただけの段階です。ほかの服とは分けて洗い、風の通る場所でしっかり乾かしてください。洗えない素材なら、風の通る日陰で2日以上干し、それでも残るならクリーニング店に預けます。
点が見える場合は、家で洗う前にクリーニング店に相談してください。家で洗うと、点が広がったり、ほかの服に移ったりすることがあります。点のある服は、ほかの服と一緒の袋やケースに入れず、ひとまず別の袋に分けておきます。
湿気のにおいがする服が1枚でも出たら、同じケースや同じ段から出したほかの服も、念のため確かめてください。湿気は場所ごとにたまるので、1枚だけということは少ないからです。
服を確かめたら、しまっていたケースや段そのものも見てください。ケースの底や角に水滴の跡がないか、押入れの壁や床板が湿っていないか。服だけを処理しても、しまう場所の湿気が残っていれば、次にしまった服で同じことが起きます。ケースは中を空にして、晴れた日に外で乾かしてから、乾いた布で拭いてください。押入れは、ふすまを開けたまま半日ほど空気を通すだけでも、湿気はずいぶん抜けます。
湿気のにおいが毎年出る場所は、そもそも服をしまうのに向いていない場所かもしれません。押入れの下段は、布団や季節の家電など、においが移っても困りにくい物を置く場所にして、服は上段や吊るす場所に移すと、来年からは同じ悩みが出にくくなります。
素材で、洗えるかどうかが決まる
においの種類で「洗う」と決まっても、すべての服を家で洗えるわけではありません。洗えるかどうかを決めるのは、においの種類ではなく、洗濯表示です。
洗濯表示は、服の内側の脇の縫い目や、首の後ろについている小さなタグにあります。たらいの形の記号に手が描かれていれば手洗い、数字が書かれていれば洗濯機で洗える上限の温度、たらいにばつ印がついていれば家で水洗いはできません。
| 素材 | 家で洗えることが多いか | 気をつけること |
|---|---|---|
| 綿・ポリエステル | 洗えることが多い | 表示の温度を守る |
| ウールのニット | 手洗い表示なら洗える | 押し洗いのみ。こすらない・もまない |
| ウールのコート | 洗えないことが多い | 表示を見て、ばつ印なら預ける |
| ダウン | 表示による | 洗えても乾かしきるのに時間がかかる |
| 起毛した革・革 | 家では洗えない | 預ける |
表は目安です。同じウールでも、洗える加工がされているものもあれば、そうでないものもあります。最後は、その服のタグを見て決めてください。
ウールのニットを家で洗う場合は、ぬるま湯に中性の洗剤を溶かし、たたんだまま押して離すだけの洗い方にしてください。こすったり、もんだりすると、繊維がからみ合って縮みます。脱水は短く、干すときは平らに広げて、ハンガーには掛けません。
洗濯表示のタグが切り取られていたり、文字がかすれて読めなかったりする服もあります。その場合は、素材の表示を探してください。素材だけでもわかれば、表の目安を使えます。素材もわからない場合は、家で洗わずにクリーニング店に預けるのがいちばん安全です。家で洗って縮んでしまうと、元に戻すことはほぼできません。
家で洗えるかどうかで迷ったら、目立たない場所で試すのも1つの方法です。裾の裏側など、見えにくいところに、水を含ませた白い布を軽く当ててください。布に色が移るなら、その服は水で色が出る素材です。家で洗うのはやめて、預けてください。
どちらとも取れる場合1|弱いにおいで、着れば気にならない気もする
かいでみて、においはするけれど弱い。着てしまえば自分では気にならない気もする。こういう服をどうするかが、いちばん迷うところです。
判定には、袋の中で10分置く方法が使えます。服を1枚、ふたのできる袋に入れて口を閉じ、10分ほど置いてから、袋を少し開けて中の空気をかいでください。においが閉じこめられて強くなるので、弱いにおいの種類がはっきりします。
袋の中のにおいが、つんとした薬のようなにおいなら、防虫剤です。干せば抜けます。押入れのようなにおいなら、こもりです。これも干せば抜けます。酸っぱいにおいや、湿った土のようなにおいなら、着れば体温で強くなるので、洗うか預けてください。
袋の中で10分置いても、ほとんどにおいがしないなら、そのまま着てかまいません。着る前に一晩、ハンガーに掛けて部屋の空気に当てておけば十分です。
もう1つの目安は、その服を着る場面です。電車で人と近くなる通勤の日や、人と向かい合って座る食事の日に着る服なら、弱いにおいでも手を打っておくほうが安心です。家の近くの用事にしか着ない服なら、干すだけで様子を見てもかまいません。
袋で確かめるときは、袋そのもののにおいにも気をつけてください。買い物でもらった袋や、食品を入れていた袋を使うと、袋のにおいが混ざって判定を誤ります。何も入れていなかった新しい袋か、よく洗って乾かした布の袋を使ってください。
弱いにおいの服を着て出かけた日は、帰ってきてすぐにもう一度かいでみてください。1日着たあとに、においが強くなっていたら汗や皮脂、変わらないか弱くなっていたら防虫剤やこもりです。着てみることで、かぎ分けの答え合わせができます。強くなっていた服は、その日のうちに洗うか、預ける袋に入れてください。
どちらとも取れる場合2|一部だけがにおう
全体はにおわないのに、脇だけ、襟だけ、袖口だけがにおう服もあります。この場合、服全体を洗う必要があるかどうかで迷います。
洗える服なら、においのする部分だけ先に洗剤をなじませてから、全体を洗ってください。部分だけを水で洗って干すと、そこだけ水じみの輪ができることがあります。部分だけで終わらせず、最後は全体を洗うほうが仕上がりはきれいです。
洗えない服で一部だけがにおう場合は、においのする部分に、固くしぼった布を軽く当てて、汚れを布に移す方法があります。こすらず、上からとんとんと押すだけにしてください。そのあと、風の通る日陰で半日干します。それで抜けなければ、クリーニング店に預けて、においのする場所を伝えてください。場所を伝えると、そこを重点的に処理してもらえます。
襟だけがにおう場合は、首の後ろにかかっていた髪の皮脂が原因のことがあります。襟だけがにおう服が何枚もあるなら、来年からは、しまう前に襟の内側だけ先に手入れをすると、においはかなり減ります。
一部だけがにおう服は、その場所に何が触れていたかを考えると、来年の対策が見えてきます。脇なら汗、襟なら髪と首、袖口なら手。ポケットの中だけがにおうなら、しまう前にポケットに何かを入れたままだったかもしれません。においの場所は、しまう前にどこを手入れすればいいかを教えてくれる目印です。
どちらとも取れる場合3|洗えないコートやニットから、汗のにおいがする
いちばん困るのは、家で洗えないウールのコートや、手洗いもできないニットから、汗や皮脂のにおいがする場合です。干しても抜けない、でも洗えない。
この場合は、無理に家で処理せず、クリーニング店に預けてください。家で水を含ませた布で拭いたり、強いスプレーをかけたりすると、表面の毛並みが乱れたり、輪じみが残ったりします。においは消えても、服の見た目が戻らなくなることがあります。
預けるときは、においの種類と、においのする場所を伝えてください。汗や皮脂のにおいだと伝えると、水を使った処理を加えてもらえることがあります。ふつうの処理だけでは、汗のにおいが残ることもあるので、伝えるかどうかで仕上がりが変わります。
預けるまでのあいだは、ほかの服と一緒にクローゼットに戻さず、風の通る場所に吊るしておいてください。しまいこむと、そのにおいがほかの服に移ります。
すぐに着たいのに預ける時間がない場合は、着る前日に風の通る場所に一晩吊るし、着た日の帰りにそのまま預けてください。1日だけなら、においはそれほど強くなりません。
預けるか家で済ませるか、金額と手間で迷ったら
クリーニング店に預けるかどうかは、においの種類と素材だけでなく、その服をあと何年着るつもりかでも決まります。毎年着ている大事なコートなら、預けて確かに落としておくほうが、結果的に長く着られます。今年で手放すつもりのニットなら、干して様子を見て、それでもにおえばそこで手放すと決めてもかまいません。
判断の目安として、服を3つに分けてみてください。来年以降も必ず着る服、今年は着るけれど来年はわからない服、もう着ないかもしれない服。1つ目は預ける候補、2つ目は家でできる範囲で手を打つ候補、3つ目は衣替えのついでに手放すかどうかを決める候補です。においの処理は、手放すかどうかを考えるきっかけにもなります。
預ける枚数が多くなりそうなときは、においの強い服から順に預けてください。弱いにおいの服は、干したり家で洗ったりしているうちに抜けることもあるので、強い服を先に処理しておけば、残りを預けずに済む場合があります。一度に全部を預けようとすると、受け取りまでのあいだに着る服がなくなるので、2回か3回に分けるほうが、衣替えの時期の着回しにも困りません。
出した服を、今日の手順で片づける
ここまでの内容を、衣替えの日の手順として並べると、次のようになります。
- 出した服を、しまっていた場所ごとに分けて床に並べる
- 1枚ずつ、襟・脇・袖口の順にかぐ。5枚ごとに窓を開けて鼻をリセットする
- においのしない服は、そのままクローゼットへ
- 防虫剤・こもったにおいの服は、風の通る日陰で半日から1日干す
- 汗・皮脂のにおいの服は、洗濯表示を見て、洗える服は洗う。洗えない服は預ける袋に入れる
- 湿気のにおいの服は、点がないか確かめる。点がなければ分けて洗う。点があれば預ける
- 干した服は、取り込んだあともう一度かいでから、クローゼットへ
手順の中でいちばん大事なのは、2番目の、かぎ分ける段階を飛ばさないことです。ここを飛ばして全部を洗濯機に入れると、洗えない素材を傷めてしまいます。逆に全部を干すだけで済ませると、汗のにおいが残った服を、気づかないまま着て出かけることになります。
衣替えの日にすべてを終わらせる必要はありません。干す服は今日、洗う服は明日、預ける服は週末に、というように分けてもかまいません。分けておけば、においのある服がクローゼットに戻ることはありません。衣替えを始める時期の目安は、衣替えの時期でも書いています。
来年においを出さないしまい方
今年においが出た服は、来年の衣替えでも同じことが起きやすい服です。春にしまうときに、次の3つを守ると、来年のにおいは大きく減ります。
1つ目は、しまう前に、すべて洗うか手入れをすることです。一度しか着ていない服も、目に見えない汗は残っています。洗える服は洗い、洗えない服はクリーニング店に預けてから、しまってください。預けたあと、店の薄い袋に入れたまましまうと、湿気がこもります。袋から出して、通気性のある布のカバーに替えてからしまうほうが安心です。
2つ目は、しまう日を選ぶことです。晴れが2日以上続いた、空気の乾いた日にしまってください。湿った日にしまうと、その日の湿気ごと閉じこめることになります。
3つ目は、しまう場所の湿気を逃がすことです。押入れの下段や床に近い場所には、すのこを敷いて床から浮かせるだけでも、湿気のたまり方が変わります。衣装ケースを使うなら、ぎゅうぎゅうに詰めず、上に手のひらが入るくらいのすき間を残してください。月に一度、晴れた日にふたを開けて空気を入れ替えると、さらに安心です。
防虫剤を使う場合は、種類の違うものを同じ場所に混ぜて入れないようにしてください。種類によっては、混ぜると溶けて服にしみが残ることがあります。袋の表示を見て、同じ種類のものだけを使い、交換の時期も書いておくと、来年迷わずに済みます。
においのある服を出した日に、ほかの服を守る
最後に、においのある服を出した日に、ほかの服を守るための注意を書いておきます。
においのある服を、においのない服と同じクローゼットに戻すと、においは少しずつ移ります。特に、湿気や汗のにおいは移りやすく、1枚のにおいが、隣に吊るした数枚に広がることがあります。においの処理が終わるまでは、クローゼットに戻さないでください。
処理を待つ服は、部屋の中の風の通る場所に、ほかの服と距離をあけて吊るしておきます。ドアの上のフックや、カーテンレールに掛けたハンガーなど、一時的な場所でかまいません。袋に入れてしまうのは、預ける直前だけにしてください。
処理を終えてクローゼットに戻すときは、もう一度だけかいでください。干したり洗ったりしたあとでも、においが少し残っていることがあります。残っていたら、もう一晩だけ外に出しておけば、クローゼットの中の服を守れます。
衣替えのたびに迷わないための、自分用の記録
においの処理は、毎年同じ服で同じことが起きがちです。今年の衣替えで、においが出た服と、そのにおいの種類、どう処理したかを、簡単に書き留めておいてください。
たとえば「紺のコート、押入れ下段、湿気のにおい、預けた」「灰色のニット、衣装ケース、防虫剤、半日干した」という程度で足ります。来年の春にしまうとき、この記録を見れば、どの服をどこにしまうべきかがわかります。湿気のにおいが出た服は、来年は吊るす場所に移す。汗のにおいが出た服は、しまう前に預ける。
記録が2年分たまると、自分の家の中で、においが出やすい場所と出にくい場所がはっきりしてきます。においが出やすい場所には、湿気に強い素材の服だけをしまうようにすれば、衣替えの日にかぎ分ける枚数そのものが減っていきます。
記録は、紙でもスマホのメモでもかまいません。衣装ケースのふたの内側に貼っておくと、来年ふたを開けた瞬間に目に入り、見返し忘れることがありません。においが出なかった服も「出なかった」と書いておくと、そのしまい方が合っていたことがわかります。うまくいったしまい方は、ほかの服にも広げてください。
衣替えは、1年に2回、自分の服を全部手に取る機会です。においの処理は面倒な作業に感じますが、1枚ずつかいで確かめることで、どの服がまだ着られて、どの服がそろそろ手放しどきかも、自然に見えてきます。においをかぎ分ける10分が、その年の秋冬を気持ちよく過ごすための準備になります。
よくある問い
- Q. 防虫剤のにおいが、干しても抜けません
- 干す場所の風が弱いことが多いです。室内の窓際に吊るすだけでは、服の表面の空気が入れ替わりません。風の通るベランダの日陰か、室内なら扇風機の弱い風を当てて半日置いてください。それでも残る場合は、服の裏側、特に縫い代や袖の内側ににおいが残っています。裏返して同じ時間干すと抜けやすくなります。
- Q. においがある服を、ほかの服と同じ洗濯機に入れていいですか
- 汗や皮脂のにおいなら、ほかの服と一緒でかまいません。湿気やカビのようなにおいがする服は、ほかの服と分けて洗ってください。においのもとがほかの服に移ることがあります。また、白い点や黒い点が見える服は、家で洗う前にクリーニング店に相談するほうが確かです。
- Q. 毎年、衣替えのたびににおいます。しまい方の何が悪いのでしょうか
- 多くの場合、しまう前に洗いきれていないか、しまう場所の湿気が抜けていないかのどちらかです。一度着ただけの服をそのまましまうと、目に見えない汗や皮脂が残り、半年のあいだににおいに変わります。しまう日は晴れが2日以上続いた日を選び、すべて洗うか手入れをしてからしまうと、翌年のにおいは大きく減ります。
- Q. においを消すスプレーで済ませてもいいですか
- 防虫剤やこもったにおいなら、干したあとの仕上げに使う程度ならかまいません。ただ、汗や皮脂のにおいは、スプレーで上から覆っても、もとが残っているので、着て体温が上がると戻ってきます。汗や皮脂のにおいは、洗うか預けるかで、もとを落としてください。
— メグラシ編集部





