冬の通勤で電車が暑い|コートの下は、乗っている分数で薄くする

**家から駅まで歩く時間より、電車に乗っている時間のほうがずっと長いなら、コートの下は薄くしてください。**目安は、車内にいる分数が、外を歩いたりホームで待ったりする分数の2倍を超えるかどうかです。超えるなら、寒さはコートと首まわりで受け、コートの下は薄手1枚で足ります。
冬の朝、玄関を出た瞬間は寒くて、厚いニットを着てきてよかったと思う。ところが駅で電車に乗って10分もすると、背中がじっとりしてきて、首まわりが熱くなる。降りて駅を出ると、今度は湿った背中が冷えて、朝よりも寒く感じる。冬の通勤でこれを繰り返している人は少なくありません。
原因は、寒さに強いか弱いかではなく、外の寒さに合わせた枚数のまま、暖かい車内に長くいることにあります。外にいる時間と、車内にいる時間。この2つの長さの比で、コートの下の枚数は決まります。
同じ気温でもコートかニットと羽織りかで迷う日の判断は14度の服装|コートかニット+羽織りかは、外にいる時間と風で選ぶに書いています。この記事は、コートを着る季節に入ってから、電車の中で暑くなる人のための話です。
結論:外の分数と車内の分数を比べて、コートの下を決める
まず自分の通勤を、外にいる時間と車内にいる時間に分けて数えます。そのうえで、次の表のどこに当てはまるかを見てください。
| 車内の分数 ÷ 外の分数 | コートの下 | コート | 首まわり |
|---|---|---|---|
| 2倍を超える | 薄手のニットかシャツ1枚 | 厚手でよい。前が全部開くもの | 外しやすい巻き物 |
| 1〜2倍 | 中厚のニット1枚 | 中厚。前を開けて歩いても寒くないもの | 薄い巻き物 |
| 1倍に満たない | 中厚のニットに、薄い1枚を重ねてよい | 軽いもの | 厚手でもよい |
いちばん多いのは、1つめの「2倍を超える」人です。駅まで徒歩10分、ホームで5分、電車に35分なら、外は15分、車内は35分で、2倍を超えています。乗り換えが1回あって、その間の歩きが地下通路なら、それも車内側に数えます。
2倍を超える人は、コートの下に厚いニットを着る理由がほとんどありません。外の15分はコートと首まわりで十分にしのげますし、車内の35分は、コートの下が薄いほど楽に過ごせます。
冬の電車で汗をかくのは、熱の逃げ場がないから
なぜ冬の電車はこれほど暑いのか。理由は3つ重なっています。
ひとつは暖房です。冬の車内は、座席の下などから暖めていることが多く、座っていると足元と腰まわりが温まります。立っていても、ドアが閉まっている間は暖かい空気がこもります。
ふたつめは、人の熱です。混んだ車内では、まわりの人の体温がそのまま空気を温めます。体と体の間に隙間がないので、自分の体から出た熱も逃げていきません。
みっつめは、コートそのものです。冬のコートは、外の冷たい空気から体を守るために、熱を外に逃がさないように作られています。外ではありがたいこの性質が、暖かい車内では逆に働き、体の熱をコートの内側に閉じ込めます。
さらに、駅の中の動きも体を温めます。改札までの階段を上り下りし、乗り換えのために早足で歩くと、電車に乗る前から体温が上がっています。その状態で暖かい車内に入るので、乗ってすぐに汗が出始めるのです。朝の通勤で急ぎがちな人ほど、車内で暑くなりやすいと考えてください。
この3つのうち、自分で変えられるのは3つめだけです。暖房と人の熱はどうにもなりませんが、コートの内側にこもる熱は、コートの下の枚数と、コートの前の開け方で調整できます。
汗が出るのは、体が熱を逃がそうとしているからです。コートの下が厚いと、熱の逃げ場がなくなり、体は汗で温度を下げようとします。だから、汗をかいてから脱ぐのではなく、汗が出る前に逃げ場を作っておくことが大切です。
自分の通勤を、分数で書き出す
一度だけ、自分の通勤を分数で書き出してみてください。紙でも、携帯電話のメモでも構いません。
書き出すのは次の区間です。
家を出てから駅の改札に入るまで。駅のホームで電車を待つ時間。電車に乗っている時間。乗り換えがあるなら、乗り換えの移動と待ち時間。降りた駅の改札から職場の入口まで。
このうち、外の空気に触れているのは、家から駅、ホーム(地上にあるもの)、駅から職場の3つです。地下のホームや、屋根と壁に囲まれた乗り換え通路は、外より暖かいので、車内側に数えて構いません。
書き出してみると、思っていたより車内が長いことに気づく人が多いはずです。片道1時間の通勤でも、外にいるのは15分から20分程度、ということはよくあります。
もうひとつ、同じ紙に書いておいてほしいのが、座れる日と立つ日の割合です。座れる日は、足元の暖房で下半身が温まりやすく、立つ日は、人に囲まれて上半身が温まりやすくなります。どちらが多いかで、どこを薄くするかが少し変わります。
同じ分数でも、冬の入口と真ん中では外の寒さが違います。コートを出し始めたころは、外の時間がそれなりにあっても寒さはしのげますが、いちばん冷え込む時期には、同じ15分でも体の冷え方が変わります。分数の比は季節を通して同じでも、首まわりと手袋の厚さは、寒さが深まるにつれて1段ずつ上げていくと考えてください。
分数の書き出し例|3人の通勤で比べる
数え方がつかみにくい人のために、3人の通勤を例に挙げます。どれも架空の例ですが、多くの人がこのどれかに近いはずです。
1人めは、家から駅まで徒歩8分、地上のホームで4分待ち、電車に40分、降りた駅から職場まで5分。外は8分と4分と5分で17分、車内は40分です。車内は外の2倍を超えるので、表の1段目にあたります。この人は、コートの下を薄手のニット1枚にして、厚手のコートと外しやすい巻き物で出かけます。
2人めは、家から駅まで自転車で10分、ホームで5分、電車に20分、乗り換えの地下通路で5分、次の電車に10分、駅から職場まで8分。外は10分と5分と8分で23分、車内は20分と5分と10分で35分です。車内は外の1.5倍ほどなので、表の2段目。中厚のニット1枚と、前を開けて歩ける中厚のコートが合います。自転車の10分は風を受けるので、首まわりと手袋はしっかり持っていきます。
3人めは、バス停まで徒歩10分、バスを待つ時間が10分、バスに15分、駅から職場まで12分。外は32分、車内は15分です。車内は外の半分ほどなので、表の3段目。中に重ねてよい型ですが、バスの車内も暖かいので、コートは軽めにして、乗ったら前を開けます。
自分の通勤を書いたら、朝の分と帰りの分を分けておくと、さらに役に立ちます。帰りは寄り道や待ち時間で外が長くなることがあり、朝と帰りで段が変わる人もいるからです。
車内が外の2倍を超える人|コートの下は薄手1枚にする
いちばん多いこの型の人は、寒さの受け持ちを、コートの下からコートと首まわりに移します。
コートの下は、薄手のニット1枚か、シャツかブラウスの上に薄いカーディガン程度にします。厚いニットやフリースのような、それ自体で暖かい1枚は、職場でも暑く感じることが多いので、通勤に限らず避けてかまいません。
そのぶん、コートは厚くても大丈夫です。外の15分は、厚いコートと首まわりの巻き物でしのぎます。厚いコートは、外では熱を逃がさず、車内では前を開ければ熱が抜ける。コートの下が薄ければ、開けたときの涼しさがすぐに体に届きます。
大切なのは、コートの前が全部開くことです。上から下まで前が開くコートなら、車内で前を開けておくだけで、体の前面から熱が逃げます。かぶって着るタイプや、前が途中までしか開かないものは、この型の人には向きません。
たとえば、厚手のコートの下に、首元の開いた薄手のニットを1枚。下はいつものパンツかスカートに、普段の厚さのタイツ。首には短めの巻き物。これで駅までの道は寒くなく、車内では前を開けて巻き物を外せば、職場に着くまで汗をかかずに過ごせる、という組み合わせになります。
首まわりは、外しやすいものにします。長い巻き物をぐるぐる巻くと、外すのに手間がかかり、混んだ車内では外せないまま汗をかきます。輪になった短いものや、一度巻いて端を垂らすだけのものが、外すにも戻すにも楽です。
外と車内が同じくらいの人|中厚1枚と、前を開けて歩けるコート
車内の分数が外の1倍から2倍の人は、外と中の両方で過ごしやすい、中間の組み合わせを選びます。
コートの下は、中厚のニット1枚。薄手では外で寒く、厚手では車内で暑い、という人に合う厚さです。手のひらでニットをつまんだとき、指の間に少し厚みを感じるけれど、つまんだ形がすぐ戻るくらいのものが目安です。
コートは、前を開けて歩いても寒くない程度の中厚のものにします。外を歩く時間がそれなりにあるので、前を閉めたままでは、歩いているうちに体が温まり、電車に乗る前から汗ばむことがあります。歩くときは前を少し開け、ホームで立ち止まったら閉める、という調整がしやすいコートが向いています。
組み合わせの例を挙げると、中厚のウールのニットに、膝上丈の中厚のコート、薄い巻き物。下は普段のパンツに、くるぶしの出ない靴下。歩くときはコートの前を半分ほど開け、ホームでは閉め、車内では巻き物を外して前を開ける。1つの組み合わせで、外と中のどちらにも寄せられるのがこの型の強みです。
この型の人がいちばん気をつけたいのは、駅まで速く歩く日です。遅刻しそうで小走りになると、外の時間でも体が温まり、車内に入った時点ですでに暑くなっています。急いだ日は、改札に入ったところで首まわりを外しておくと、そのあとの車内が楽になります。
外が長い人|中に重ねてもよいが、コートは軽くする
駅まで遠い、バスを待つ時間が長い、職場の最寄り駅から歩く距離が長い。こうした理由で、外にいる時間のほうが長い人もいます。
この型の人は、コートの下に重ねて暖かさを確保して構いません。中厚のニットの下に薄い1枚を重ねるのも、外が長ければ理にかなっています。
そのかわり、コートは軽めにします。中に重ねたうえで厚いコートを着ると、短い車内でも熱がこもりやすくなります。中で暖かさを作り、コートは風を止める役に絞る、という分け方です。
たとえば、薄手の肌着の上に中厚のニット、その上に風を通しにくい軽い上着。首には厚手の巻き物、手には手袋。外の30分を歩き通しても寒くない組み合わせで、短い車内では上着の前を開けるだけで済みます。
外が長い人は、足元と手の冷えも強く出ます。体の真ん中を重ねるより、靴の中で足先が冷えないか、手袋が要るかを先に見てください。真冬の首・手首・足首の守り方は真冬コーデ|手首・首・足首の隙間に風が通るかで、防寒の合否が決まるに詳しく書いています。
汗をかく場所は首・背中・脇。首から先に外す
車内で汗をかきやすい場所は、首、背中、脇の3つです。この3つは、熱がこもりやすいうえに、汗をかくと乾きにくい場所でもあります。
熱を逃がすには、首からが早道です。体の熱は上に向かって逃げていくので、首元が開くと、コートの内側の温かい空気がそこから抜けていきます。逆に首元が詰まっていると、コートの前を開けても、熱は下からしか逃げません。
そこで、車内に入ったら、まず首まわりを外します。巻き物を外してバッグに入れるか、腕にかけます。タートルネックのように首元が詰まった服を着ている人は、首元を折り返して少し下げるだけでも違います。
次に、コートの前を開けます。いちばん上のボタンから2つを外すだけでも、首元から熱が抜けます。座れたら前を全部開けておくと、背中の汗も出にくくなります。
髪の長い人は、首まわりの熱に髪も関わります。下ろした髪が首を覆っていると、巻き物を外しても首元に熱がこもります。車内が長い日は、髪を低い位置でまとめておくだけで、首元から熱が抜けやすくなります。
背中と脇の汗を減らすには、コートの下の1枚の素材が効きます。汗を吸ってもすぐに冷たく感じにくい、ウールを含むニットや、乾きやすい化学繊維の混ざったものは、車内で多少汗をかいても、駅を出たあとに冷えにくくなります。綿100%の厚手の肌着は汗を吸ったまま乾きにくいので、冬の通勤には向かないことがあります。
背中の汗には、バッグの持ち方も関わります。背負う形のバッグを使っていると、背中とバッグの間に熱がこもり、背中だけがじっとりしてきます。混んだ車内では前に抱える人も多いですが、そうすると今度はお腹のあたりに熱がこもります。車内が長い人は、手に提げるか、肩にかけるバッグのほうが、体に熱をためにくくなります。背負う形をやめられないなら、車内に入ったら手に提げ、背中を空けてください。
前を開けるか、脱ぐか|混んだ車内で脱げないとき
車内で暑いなら脱げばいい、と思っても、混んだ電車ではコートを脱ぐのは難しいものです。腕を動かす余地がなく、脱いだコートを持つ場所もありません。
そこで、車内では「脱ぐ」ではなく「開ける」で調整すると決めておきます。開ける順番は次のとおりです。
ホームで電車を待っている間に、首まわりの巻き物を外してバッグに入れる。乗ったら、コートのいちばん上のボタンから2つを外す。座れたら、前を全部開ける。立っているなら、前を全部開けられるところまで開ける。
乗る前に首まわりを外すのは、乗ってからでは腕が上がらないことがあるからです。寒いホームで外すのはためらわれますが、電車が近づいてくるのが見えたら外す、くらいの時間で十分です。
前を開けるときは、コートの裾や前の打ち合わせが、隣の人に触れないように気をつけます。前を全部開けると、裾が広がって隣の人の膝やバッグに当たることがあります。立っているときは、開けたコートの前を片手で軽く押さえておくか、ボタンを下から1つだけ留めておくと、熱は首元から逃がしつつ、裾は広がらずに済みます。
空いている時間帯の電車なら、コートを脱いで膝に置くか、腕にかけてしまっても構いません。脱いだコートは裏返してたたむと、表面の汚れが他の人に触れず、自分の服にもつきません。
足元と脚|タイツと靴の中も、車内で暑くなる
上半身ばかり気にしていると見落としがちなのが、足元です。冬の車内は、座席の下から暖めていることが多く、座ると脚と足先が直接温まります。外の寒さに合わせて厚手のタイツや裏起毛の靴下を選んでいると、座って数分で脚が汗ばみ、靴の中が蒸れてきます。
蒸れた靴の中は、駅を出たとたんに冷えます。足先の冷えは体全体の寒さにつながるので、上半身を薄くしたのに、足元のせいで寒い、ということも起きます。
車内が長い人は、タイツや靴下を「外の寒さ」ではなく「車内の暖かさ」に合わせて選んでください。厚さは普段より1段薄く、そのかわり、くるぶしが出ない丈にして、外での冷たい風を防ぎます。靴は、中に起毛のあるものより、内側がなめらかなものが蒸れにくくなります。
外の時間が長い人は、足元を厚くして構いません。そのかわり、座れたら靴の中で足の指を動かし、熱がこもらないようにしておくと、降りたあとの冷えが和らぎます。足元も、上半身と同じく、外と車内の分数で厚さを決めると考えてください。
どちらとも取れるとき① 座れる日と立つ日がある
始発駅に近い人や、時間帯によって混み方が違う人は、座れる日と立つ日があります。座れる日は足元の暖房で温まり、立つ日は人の熱で上半身が温まります。
どちらの日でも困らないようにするには、コートの下は「立つ日」に合わせて薄くしておき、足元は「座る日」に合わせて調整します。
立つ日の上半身は、人に囲まれていちばん暑くなります。ここに合わせて薄くしておけば、座れた日も上半身は涼しく過ごせます。座れた日は、足元の暖房で下半身が温まるので、厚い靴下や厚手のタイツを履いていると、ふくらはぎや足先が汗ばむことがあります。座る日が多い人は、足元を1段薄くしておくと楽です。
立つ場所でも暑さは変わります。ドアの近くは、駅に着くたびにドアが開いて外の空気が入るので、車両の中ほどより涼しく感じます。逆に、車両の中ほどは人が詰まり、空気が動きにくいので、いちばん暑くなります。暑がりの人は、乗る位置をドアの近くにするだけでも、車内の過ごしやすさが変わります。
迷ったら、週のうち立つ日のほうが多いか少ないかで決めてください。立つ日が多ければ上半身を薄く、座る日が多ければ足元を薄く。両方が同じくらいなら、上半身を薄くするほうを優先します。上半身の汗のほうが、駅を出たあとの冷えにつながりやすいからです。
どちらとも取れるとき② 帰りは夜で寒い
朝の分数に合わせて薄くすると、夜の帰りに寒くなることがあります。夜は朝より気温が下がる日も多く、仕事の疲れもあって、寒さを強く感じます。
ここで、帰りに合わせてコートの下を厚くしてしまうと、朝の車内でまた汗をかきます。そうではなく、帰りの寒さは「足すもの」で受けてください。
薄い巻き物、手袋、ひざ下まである靴下に替えられる短い靴下。どれか1つをバッグに入れておき、帰りの駅を降りてから家までの間だけ足します。車内では外しておけるので、帰りの電車でも汗をかかずに済みます。
仕事のあとに食事や飲み会がある日は、さらに注意が要ります。暖房の効いた店で過ごし、体が温まった状態で電車に乗ると、空いた車内でも汗をかきます。店を出る前に首まわりを外しておき、駅を降りてから巻き直す、という順番にしておくと、帰り道の冷えを防げます。
帰りの電車は、朝より空いていることも多いので、車内でコートの前を閉めたままでも汗をかかない日があります。その日は、前を開けずにそのまま家まで帰れば、外での寒さを感じにくくなります。朝と帰りで、開け方を変えて構いません。
どちらとも取れるとき③ 職場が寒い、または暑い
コートの下の1枚は、通勤だけでなく、職場で過ごす服でもあります。職場が寒いか暑いかで、薄くできる限度が変わります。
職場が暖かい人は、通勤の分数で決めたとおりに薄くしておけば、職場でもそのまま快適に過ごせます。通勤のためにだけ着込んだ1枚を、職場で脱いで持て余すことがなくなります。
職場が寒い人、たとえば窓際の席や、人の出入りが多い入口近くの席の人は、通勤で決めた薄手1枚では足りないことがあります。このときは、職場に羽織りを1枚置いておくのがいちばん確実です。通勤の服は車内に合わせて薄くし、職場では置いてある羽織りを足す。行き帰りの荷物も増えません。
職場の席が暖房の吹き出し口に近い人や、日当たりのよい窓際の人は、逆に職場が暑いこともあります。この場合は、通勤の分数で決めた薄手の1枚がそのまま職場でも役に立ちます。厚いニットを着てくると、朝の車内でも職場でも暑い、という一日になるので、車内の長い型の人ほど、薄手1枚の利点は大きくなります。
職場に羽織りを置けない人は、コートの下の1枚を、首元で調整できるものにしてください。前開きのカーディガンを重ねるなら、車内では前を開け、職場では閉める。首元の詰まったニットを1枚で着るより、調整の幅が広くなります。
どちらとも取れるとき④ 乗り換えでホームに長く立つ
乗り換えのたびに地上のホームで長く待つ人は、外の時間が見た目より長くなります。電車の本数が少ない路線や、待ち合わせの時間が長い駅では、ホームで10分以上立つこともあります。
ホームは屋根があっても風が抜けるので、体感は駅までの道より寒いことがあります。ここで寒いからといって、首まわりを巻き直し、コートの前を閉め、そのまま次の電車に乗ると、また車内で暑くなる、という繰り返しになります。
乗り換えのホームが長い人は、分数を数え直すときに、そのホームの時間を外側に入れてください。それで外の分数が増え、車内の2倍を下回るなら、表の2段目の組み合わせに移ります。
ホームで待つ場所を選ぶのも効果があります。風よけの壁や待合の囲いがあるホームなら、その陰で待つだけで、体感はずいぶん変わります。階段の近くは下から風が吹き上がることが多いので、長く待つなら避けたほうが楽です。
もうひとつの方法は、ホームで寒いのは首と手だけにして、体の真ん中はコートの前を閉めるだけで受けることです。首まわりは巻き直してよい、手袋もしてよい、そのかわり、乗ったらすぐに両方を外す。首と手は外すのも戻すのも早いので、短い区切りで調整するのに向いています。
コートの選び方|前の開き方と、裏の生地
これまで書いてきた調整は、コートの形によってやりやすさが大きく変わります。通勤で車内が長い人がコートを選ぶときは、次の2つを見てください。
1つめは、前の開き方です。上から下まで前が開くこと、そして、その開け閉めを片手でできることが大切です。ボタンが大きく、ボタン穴に余裕があるものは、混んだ車内でも片手で外せます。ファスナーは一気に開けられて便利ですが、下まで開けると前が大きく広がるので、立っているときはボタンのほうが調整しやすいことがあります。
2つめは、裏の生地です。コートの内側がつるりとした生地なら、コートの下の服とこすれずに、熱がこもりにくくなります。内側がボアや起毛になっているものは、外ではとても暖かいのですが、車内では熱を閉じ込めやすく、コートの下の服にも毛がつきます。車内が長い人は、内側がなめらかなものを選ぶほうが楽に過ごせます。
コートの重さも見ておきたい点です。重いコートは、それだけで肩と背中に負担がかかり、立っている車内で体が熱を持ちやすくなります。同じ暖かさなら、手に持ったときに軽く感じるほうが、長い車内では疲れにくくなります。売り場で選ぶときは、羽織るだけでなく、腕にかけて重さを確かめてください。
コートの丈も少し関わります。膝より長いコートは、座ったときに膝の上に布が重なり、足元の暖房と合わせて下半身が暑くなります。座れる日が多い人は、膝上の丈のほうが過ごしやすいこともあります。
汗をかいたあとに冷える|駅を出てからの5分
最後に、いちばんつらい「駅を出たあとの冷え」について書いておきます。車内で汗をかいてしまった日、駅を出た瞬間に背中がひやりとして、そこから職場や家まで、ずっと寒い。これは、汗で湿った服が外の冷たい空気で冷やされるためです。
防ぐ方法は、車内で開けたものを、改札を出る前に閉めることです。電車を降りてホームから改札に向かう間に、首まわりを巻き直し、コートの前を閉める。外に出る前に、体のまわりに温かい空気の層を作っておくと、湿った服が冷えにくくなります。
それでも冷えたら、駅を出てからの最初の5分を急ぎ足で歩いてください。駅を出た直後に立ち止まって携帯電話を見たり、信号を待ったりする時間は、湿った背中がいちばん冷える時間です。地図や連絡の確認は、改札の内側の暖かい場所で済ませてから外に出ると、冷える時間を短くできます。体が動くと熱が生まれ、湿った服も少しずつ乾きます。職場や家に着いたら、湿った肌着だけでも替えられるように、薄いものを1枚バッグや職場に置いておくと安心です。
冬の通勤で大事なのは、寒さに強くなることでも、暑さに耐えることでもありません。外にいる分数と、車内にいる分数を一度書き出して、その比に合わせて枚数を決めることです。季節の変わり目にどの服を表に出しておくかは衣替えはいつ?|最低気温の続き方と生活時間で、自分の開始日を出すも参考にしてください。
一度分数を書いておけば、毎朝の服選びで迷う時間が減ります。寒い朝ほど厚いニットに手が伸びますが、自分の通勤が車内の長い型なら、その手を止めて、薄手の1枚とコートと首まわりで出かけてみてください。
よくある問い
- Q. 冬の電車が暑くて汗をかきます。コートを薄くしたほうがいいですか
- 先にコートの下を薄くしてください。コートを薄くすると、駅までの道とホームで寒くなります。車内で暑いのは、コートの下に重ねた枚数のせいであることが多く、厚いニットを薄手のニットやシャツに替えるだけで、汗の量はかなり減ります。外の寒さはコートと首まわりで受け、車内では首まわりとコートの前を開けて熱を逃がすのが基本です。
- Q. 満員電車でコートを脱げません。どうすればいいですか
- 脱ぐのではなく、開ける順番を決めておきます。乗る前のホームで首まわりの巻き物を外してバッグに入れ、乗ったらコートのいちばん上のボタンから2つを外します。首元が開くだけで、体の熱は上に抜けていきます。前が全部開けられるコートなら、乗ってすぐ前を開けておくと、腕を動かさずに済みます。
- Q. 帰りは夜で寒いのに、朝と同じ服で大丈夫ですか
- 朝の分数で決めた枚数で、帰りの寒さが足りないことはあります。その場合は、コートの下を増やすのではなく、薄い巻き物か手袋をバッグに1つ入れておき、帰りの駅から家までだけ足してください。車内では外しておけるので、行きと同じように汗をかかずに済みます。
- Q. 汗をかいたあと、駅を出ると急に寒くなります
- 汗で湿った肌着が外気で冷えるためです。肌に触れる1枚を、汗を吸ってもすぐに冷たく感じにくい素材にしておくことと、駅を出る前に首まわりを戻し、コートの前を閉めておくことの2つで、ずいぶん楽になります。車内で開けたものは、改札を出る前に閉める、と順番を決めておくと忘れません。
— メグラシ編集部





