マラソン大会の服装 女性|スタートの気温と完走時間で決める

**手元のスマートフォンで、大会当日の天気予報を時間ごとの表示に切り替えてみてください。**見るのは2か所だけです。号砲が鳴る時刻の気温と、あなたがゴールする予想時刻の気温。この2つの数字と、そのあいだの時間の長さで、マラソン大会の服装はほぼ決まります。
たとえば号砲の時刻が9度で、ゴールが4時間30分後の13度なら、半袖にアームカバー、薄手の手袋、ハーフタイツの上にショートパンツです。待っているあいだは、その上に捨てられる上着を1枚。これがいちばん多くの人に当てはまる組み方で、ここから気温と時間で1枚ずつ足したり引いたりしていきます。
日中の最高気温で服を決めると、ほとんどの場合寒い側に外れます。最高気温が出るのは午後で、多くの大会は朝に号砲が鳴るからです。反対に、朝の気温だけを見て厚く着ると、ゴールが昼を越える人は後半に暑くなります。どちらの失敗も、自分が走っている時間の幅を見ていないことから起きます。
普段の練習の服の選び方はランニングウェア 女性|走る時間帯と1回の長さで最初の一式を選ぶで、外での重ね着の考え方はスポーツウェアの重ね着|秋冬の外運動は、止まる回数で枚数を決めるで扱っています。この記事は、大会当日のための1着の決め方だけに絞ります。
結論:決めるのは「号砲の気温」と「ゴールまでの時間」の2つ
マラソン大会の服装は、次の順で決めてください。
- 号砲の時刻の予想気温を見る
- 自分がゴールするまでの時間を出す
- 胴に着るものを、走り出して10分後の体に合わせて決める
- 腕と手と首は、途中で外せるもので寒さに備える
- スタートを待つあいだの上着を、走る服とは別に用意する
この順番にするのは、胴に着るものは途中で脱げないからです。ゼッケンを胸につけた上着を、走りながら脱いで腰に巻くのは手間がかかりますし、ゼッケンが隠れると記録の計測や係の確認に困ることもあります。だから胴は「走り出して体が温まった状態」に合わせ、寒さへの備えは腕と手に回します。腕と手のものは、暑くなれば下ろす、外す、ポケットに入れるの3つで調整できます。
もう1つの軸である「ゴールまでの時間」は、同じ気温でも服を変えます。3時間台でゴールする人と、5時間を超える人とでは、走っているあいだの体の熱の出方がまったく違います。速く走る人は体が熱を多く出すので、同じ気温でも薄くてかまいません。ゆっくり走る人や、途中で歩く時間が入る人は、熱が少ないぶん冷えやすくなります。
先に書き出す2つの数字
号砲の時刻の気温
天気予報の時間ごとの表示で、号砲の時刻にいちばん近い時間の気温を見てください。1日の予報に出る「最低気温」と「最高気温」は使いません。最低気温は夜明け前で、最高気温は午後だからです。
予報の数字は、大会の3日前、前日、当日の朝と、3回見直してください。秋から冬の朝は、前日と当日の朝で2〜3度動くことがあります。前日の夜に服を2通り並べておき、当日の朝の数字でどちらにするかを決めると、迷う時間が短くなります。
あわせて風の強さも見ておきます。風が秒速5メートルを超える予報なら、体で感じる寒さは数字より2〜3度低い側に寄ります。海沿いや川沿いを走るコースは、街中より風が強く出やすい場所です。
ゴールするまでの時間
これはあなた自身の数字です。目標の時間ではなく、現実にかかりそうな時間を出してください。
出し方は、直近にいちばん長く走った練習の、1キロあたりの時間を使います。それに走る距離をかけ、フルマラソンなら3割、ハーフなら2割を足します。練習で1キロ7分なら、7分×42.195で約4時間55分、3割を足すと6時間を少し超えます。初めての大会では、後半に足が止まって歩く時間が入ることが多いので、練習の速さをそのまま当てはめると短く出ます。
この数字は、服を決めるときだけでなく、ゴールしたときの気温を予報から拾うためにも使います。号砲から何時間後にゴールするかがわかれば、その時刻の予報を見れば、走り終わる瞬間の気温がわかります。
気温と完走時間で見る一式の目安
2つの数字が出たら、次の表で自分がどこに入るかを見てください。表は、胴・腕と手・脚の組み合わせの基準を示すためのものです。境目の上下で迷うときの決め方は、後ろの章で厚く書きます。
| 号砲の気温 | ゴールまで4時間30分以内 | ゴールまで4時間30分を超える |
|---|---|---|
| 15度以上 | 半袖・ショートパンツ。手袋なし | 半袖・ショートパンツ。薄手の手袋を持つ |
| 12〜15度 | 半袖・ショートパンツ。薄手の手袋 | 半袖にアームカバー・ハーフタイツ |
| 8〜12度 | 半袖にアームカバー・手袋・ハーフタイツ | 長袖か、半袖に厚めのアームカバー・ひざ下までのタイツ |
| 8度未満 | 長袖・手袋・ひざ下までのタイツ | 長袖に薄いベスト・手袋・ネックウォーマー・タイツ |
表の右の列と左の列で、同じ気温でも1段階ずつ違うのは、さきほどの体の熱の話です。ゴールまで長くかかる人は、表で自分の気温よりも1行下を見る、と覚えておいてもかまいません。
胴に着るもの|走り出して10分後の体に合わせる
胴の1枚は、スタートラインに立ったときの寒さではなく、走り出して10分後の体に合わせて選んでください。走り出して10分もたつと体が温まり、立っていたときより5〜8度ほど暖かく感じるようになります。スタート前に「ちょうどいい」と感じる服は、走り始めると暑すぎるのです。
半袖と長袖の境目
号砲の気温が12度以上なら半袖、8度より低いなら長袖が基準です。8〜12度のあいだは、半袖にアームカバーを足すのがいちばん外しにくい組み方です。長袖を選ぶと、暑くなったときに袖をまくるしかなく、まくった袖は走っているうちに下がってきます。アームカバーなら手首まで下ろす、外してポケットに入れる、の2段階で調整できます。
生地は、汗を吸って乾くものに
綿のTシャツは、汗を吸うと乾きにくく、後半に重く冷たくなります。練習で着ている、汗が乾きやすい化学繊維のシャツをそのまま使ってください。大会のために新しく買ったものは、一度は30分以上走って着心地を確かめておきます。脇の下と首まわりの縫い目が肌に当たる位置は、長く走るとすれやすい場所です。
胸まわりと、ゼッケンの位置
胸まわりは、普段の練習で使っているスポーツブラをそのまま使ってください。新しいものを当日におろすと、走って1時間を過ぎたころにアンダーの位置や肩ひもの縫い目がすれることがあります。選び方の考え方はスポーツブラの選び方|足が浮く運動かどうかで、支える強さを決めるにまとめています。
ゼッケンは胴の前面につけるのが一般的です。安全ピンの位置が胸のふくらみにかかると、走るたびに生地が引っぱられて気になります。胸の下からみぞおちのあたりの、生地が平らになる場所に4か所で留めてください。
腕と手と首|「途中で外せる保温」で備える
寒さへの備えは、この3か所に集めます。どれも走りながら外せて、外したら小さく丸めてポケットに入れられるものです。
アームカバー
手首から二の腕までを覆う筒状のものです。号砲の気温が8〜15度の帯で、いちばん働きます。走り始めは上まで上げておき、暑くなったら手首まで下ろす、さらに暑ければ外す。半袖の袖口との境目に1〜2センチの重なりがあると、肌がのぞかずにすみます。
手袋
指先は、体の中でもいちばん先に冷えます。号砲の気温が12度を下回るなら、薄手の手袋を持ってください。厚手のものは、給水のコップや補給食の袋がつかみにくくなります。指先が薄く、手の甲側が少し厚い程度のものが扱いやすい厚さです。
手袋は、ゴールまでの時間が長い人ほど最後まで外さないことが多くなります。後半に歩く時間が入ると、手が一気に冷えるからです。外したときに落とさないよう、ショートパンツの後ろのポケットか、腰につけるポーチに入る大きさにしておきます。
首
首に巻くネックウォーマーは、号砲の気温が8度を下回る日か、風が強い日に持ってください。薄手の筒状のものなら、暑くなったら手首に通しておけます。首を温めると体全体が暖かく感じるので、胴の1枚を薄くしたい人には向いています。
脚に履くもの|ショートパンツ・ハーフタイツ・タイツの境目
脚は、胴ほど温度に敏感ではありません。腕より大きな筋肉が常に動いているので、熱が出やすいからです。だから脚は、胴より1段階薄めでかまいません。
| 号砲の気温 | ゴールまで短い人 | ゴールまで長い人 |
|---|---|---|
| 12度以上 | ショートパンツ | ショートパンツか、その下にハーフタイツ |
| 8〜12度 | ショートパンツの下にハーフタイツ | ショートパンツの下にひざ下までのタイツ |
| 8度未満 | ショートパンツの下にタイツ | ショートパンツの下に足首までのタイツ |
ショートパンツの下にタイツを重ねるのは、寒さのためだけではありません。後半に脚が重くなってきたとき、締めつけのあるタイツが脚の揺れを抑えて、走りやすく感じる人がいます。反対に、締めつけが苦手な人は、タイツを履くと後半に脚がだるく感じます。どちらの体質かは、練習で一度、30キロ近い距離を同じ組み方で走ってみるとわかります。
太ももの内側のすれ
ショートパンツだけで走ると、太ももの内側どうしがこすれて、後半に赤くなることがあります。これが気になる人は、気温にかかわらずハーフタイツを重ねると防げます。ハーフタイツの裾は、ショートパンツの裾より3〜5センチ長いものにすると、走っているうちにショートパンツがめくれても肌が出ません。
スタートを待つ30〜60分をどうしのぐか
大きな大会ほど、整列してから号砲が鳴るまでの時間が長くなります。号砲が鳴ってから自分がスタートラインを越えるまでに、さらに10〜20分かかることもあります。この30〜60分、走る服だけで立っていると、走る前に体が冷え切ってしまいます。
ここで着るのは、走る服とは別の、手放せる上着です。
捨てられる上着の選び方
- 大きめの薄いポンチョ。かぶるだけで全身を覆え、風を通しにくい
- もう着なくなった長袖のスウェットや薄いフリース
- 大きめのビニール袋に頭と腕を通す穴を開けたもの
号砲の直前、または走り出して1〜2キロのところで脱ぎます。脱いだ上着を置いていけるかどうか、回収してもらえるかどうかは大会によって違います。決まりは大会の案内に書いてあるので、前日までに必ず読んでおいてください。持ち帰る決まりの大会なら、小さくたためる薄いポンチョを選び、腰のポーチに入れて走ります。
足元と手を冷やさない
並んでいるあいだ、地面からの冷えで足先がしびれてくることがあります。薄い使い捨てのスリッパの上に立つ、段ボールを1枚敷く、などで足裏を地面から離すと冷えにくくなります。手袋とアームカバーは、待っているあいだから着けておいてかまいません。走り出してから外せばよいのです。
雨と風の日は、どこを足すか
予報に雨がある日は、胴に着るもの1枚では寒さが防ぎきれません。濡れた服は乾いた服より体温を奪いやすいからです。
雨の日
半袖の上に、ゼッケンを隠さない薄いベストを重ねる方法があります。ベストは腕が自由に動き、胴の前後を風と雨から守ります。ゼッケンはベストの上からつけ直すか、透ける素材なら下につけたままでも見えます。どちらが許されるかは大会の決まりを確かめてください。
帽子は、つばのあるものを選ぶと、顔に雨が当たって前が見えにくくなるのを防げます。髪が長い人は、低い位置でまとめると帽子の後ろから出しやすく、濡れても首に張りつきにくくなります。
風の日
風速が秒速5メートルを超える日は、表で自分の気温より1行下を見てください。向かい風の区間は体で感じる寒さが一気に下がり、追い風の区間は暑く感じます。その差を受け止めるのが、アームカバーと手袋の出し入れです。
足元|靴と靴下は、当日初めてのものを使わない
足元は、気温や時間よりも「慣れているかどうか」で決めてください。大会当日に新しい靴や靴下をおろすと、20キロを過ぎたあたりで足の指や爪、かかとが痛むことがあります。
靴下は、指先と土踏まずの部分に余計なしわが寄らない厚さのものを選びます。薄すぎると靴の中で足がずれ、厚すぎると足の指が圧迫されます。練習で30キロ前後を走った組み合わせが、そのまま当日の正解です。
寒い日は厚手の靴下を履きたくなりますが、靴の中の余裕が減って、後半に足がむくんだときに窮屈になります。足先の冷えは、待っているあいだの対策で防ぎ、走るときの靴下は普段のままにしてください。靴そのものの選び方はランニングシューズは歩く時間で選ぶを参考にしてください。
境目で迷ったときの決め方
ここまでの表と目安は、まっすぐ当てはまる人には十分です。けれど実際には、気温がちょうど境目にある、朝は寒いのに昼は暖かい、寒がりなのに速く走る、といった「どちらとも取れる」場面が多く出てきます。この章では、そうした迷いを1つずつ決めていきます。
号砲の気温が、表の境目ちょうどのとき
たとえば号砲の気温が12度で、表の「12〜15度」と「8〜12度」のどちらにも入る、という場面です。このときは、完走時間で決めます。ゴールまで4時間30分を超えるなら寒い側、それより短いなら暖かい側を選んでください。速く走る人は体が熱を多く出すので、境目では薄いほうに倒してかまいません。
完走時間もちょうど4時間30分前後だという人は、胴は暖かい側、腕と手は寒い側にしてください。胴は脱げないので薄めにしておき、腕と手でいつでも足せる状態にします。
朝は寒く、ゴールのころは暖かい日
号砲が8度、ゴールのころが16度、のように、走っているあいだに8度以上も上がる日があります。こういう日は、胴をゴールの気温に、腕と手と首を号砲の気温に合わせてください。半袖に厚めのアームカバー、手袋、薄いネックウォーマー、という組み方になります。前半はすべて着けて走り、気温が上がるにつれて首、手、腕の順に外していきます。外す順番を決めておくと、走りながら迷わずにすみます。
朝も昼もほとんど気温が変わらない日
曇りの日や、冷たい雨が降る日は、走っているあいだ気温がほとんど上がりません。こういう日は、外していくつもりの準備はいりません。最初から最後まで着ていられる組み方を選び、長い人は表で1行下を見てください。
普段から寒がりなのか、暑がりなのか
練習で、ほかの人より1枚多く着ていることが多い人は寒がり、1枚少ない人は暑がりと考えてください。寒がりの人は腕と手で1段階足し、胴は表のとおりにします。暑がりの人は胴を1段階薄くして、腕と手は表のとおりに持ちます。どちらの場合も、胴は大きく動かさず、出し入れできる場所で調整するのが基本です。
初めてのフルマラソンで、完走時間の見当がつかないとき
最初に計算した時間に、さらに30分足した時間で表を見てください。初めての大会では、30キロを過ぎたあたりから歩く人が多く、その時間帯に急に体が冷えます。ゴールしたときに少し暑かったという失敗より、後半に寒くて足が動かなくなる失敗のほうが、完走そのものを危うくします。
ハーフと10キロの場合
ハーフマラソンは、フルの半分の時間で終わりますが、体の熱の出方は1キロあたりの速さで決まります。ゴールまで2時間を超えない人は表の左の列、2時間30分を超える人は右の列を見てください。10キロの大会は、ほとんどの人が1時間前後で終わるので、表の左の列で胴を1段階薄くしてかまいません。そのかわり、待っている時間は同じだけあるので、捨てられる上着は忘れないでください。
予報が、雨と晴れのどちらとも取れるとき
前日の夜の予報で、降水の確率が40〜60パーセントのように、降るか降らないか決めきれないことがあります。このときは、晴れの日の組み方を基本にして、雨のときに足すものだけを別に用意してください。足すのは、薄いベストかポンチョ、つばのある帽子の2つです。
当日の朝、家を出る時点で降っていなければ、帽子だけを身につけ、ベストかポンチョは待っているあいだの上着として使います。号砲の直前に雨が降っていなければ脱いで手放し、降っていればそのまま着て走り出します。雨の可能性があるだけで最初から全身を雨の装備にすると、降らなかったときに暑くて走りにくくなります。
寒がりで、しかもゴールまで長くかかる人
この2つが重なる人は、表の右の列からさらに1行下を見てください。たとえば号砲が12度でも、8〜12度の右の列、つまり長袖か厚めのアームカバーに、ひざ下までのタイツです。そのうえで、手袋は最後まで外さない前提で選び、首にも薄いネックウォーマーを足します。
後半に歩く時間が長くなると、体の熱は一気に減ります。歩き始めたら、外してポケットに入れていたアームカバーや手袋を、すぐに着け直してください。冷えを感じてから着けるより、歩き始めた時点で着ける方が、体が冷えきる前に止められます。
速く走るけれど、寒がりな人
ゴールが3時間台と速いのに、普段から寒がりだという人もいます。このときは胴を表のとおりに薄くして、寒さへの備えは首に集めてください。首はすぐに外して手首に通せるので、体が温まったあとも邪魔になりません。速いペースで走る人は、腕を大きく振るので、アームカバーが下がりやすいという悩みもあります。首と手で温めるほうが、走りの邪魔をしません。
友達と一緒に走るとき
2人で同じペースで走る約束をしているなら、遅いほうの人の完走時間で2人とも服を決めてください。速い人がペースを落として走ると、普段より熱が少なくなって、思ったより寒く感じます。
ゴールしてから着替えるまで
ゴールした瞬間から、体は急に冷え始めます。走っているあいだに出ていた熱が止まり、汗で濡れた服だけが残るからです。ゴールから荷物を受け取って着替えるまでに、20〜40分かかる大会も珍しくありません。
荷物には、次のものを入れておきます。
- 乾いた長袖と、厚手の上着
- 長ズボン
- 乾いた靴下と、締めつけの少ない靴
- 汗を拭くためのタオル
- 濡れた服を入れる袋
ゴール後に大会から保温用のシートが配られることもありますが、それを当てにせず自分で持っていくほうが安心です。帰りの電車や車で座っているあいだも体は冷えるので、上着は走る前に着ていたものより1枚厚いものを入れておくと、帰り道まで快適に過ごせます。
髪が長い人は、ゴールしたあと汗で首に張りついた髪が冷たく感じます。小さいタオルを1枚多めに入れて、着替える前に首まわりと髪の根元を拭いておくと、帰り道の冷えが変わります。
着替える場所がないとき
大会によっては、更衣のための場所が狭かったり、屋外のテントだけだったりすることがあります。そうした大会では、すぐに全身を着替えられないことを前提にしてください。走った服の上からそのまま着られる、前開きの厚手の上着と、裾にファスナーがついていて靴を履いたまま足を通せる長ズボンを用意しておくと、濡れた服の上から先に体を覆えます。
上だけでも乾いたものに替えたいときは、大きめのタオルを首からかけて、その内側で着替えると落ち着いて替えられます。濡れた靴下を乾いたものに替えるだけでも、帰り道の足の冷えはずいぶん変わります。着替えの順番は、靴下、上の肌着、上着、の順にすると、短い時間で体が温まります。
女性が当日に困りやすい、髪・日差し・ポケット
服の厚さとは別に、女性ランナーの相談で毎回出てくるのが、髪のまとめ方、秋冬の日差し、そして小物をしまう場所の3つです。どれも走り出してから気づくと直しにくいので、前日までに決めておきます。
髪は、帽子の後ろから出る高さでまとめる
髪が肩より長い人は、まとめる高さで走りやすさが変わります。頭の高い位置でまとめると、走るたびに左右に大きく揺れて、首の後ろを何度も打ちます。耳の下くらいの低い位置で1つにまとめ、毛先を内側に入れて留めると、揺れが小さくなります。帽子をかぶるなら、後ろの調整穴から髪を出せる高さにしておくと、帽子が浮かずにかぶれます。
前髪や顔まわりの短い髪は、汗で額に張りつきやすい場所です。細いヘアバンドを1本使うと、汗が目に入るのも一緒に防げます。寒い日は、耳まで覆う幅のあるヘアバンドにすると、耳の冷えも防げます。
秋冬でも、日差しは後半に効いてくる
秋から冬の大会は、朝の気温が低いので日差しを忘れがちです。けれどゴールまで4時間を超える人は、昼前後の、日が高い時間帯にも外を走っています。つばのある帽子は、雨のときだけでなく、日差しを顔に当てないためにも役に立ちます。サングラスを使う人は、練習で一度かけて走り、鼻の上でずれないかを確かめておきます。
日焼け止めは、汗で流れにくいものを、首の後ろと耳、腕の外側にも塗っておきます。アームカバーを途中で外すと、その下の肌はそこから日に当たります。外す予定があるなら、腕にも塗っておいてください。
ポケットとポーチの容量
フルマラソンを走るあいだに、補給食、外した手袋、外したアームカバー、場合によっては鼻をかむ紙と、しまうものがいくつも出てきます。ショートパンツの後ろのポケットだけでは足りないことが多いので、腰に巻く細いポーチを1つ用意してください。
ポーチは、走ったときに上下に揺れないものを選びます。中身を入れた状態で、練習で一度走っておくと、どこに何を入れると揺れないかがわかります。重いものは背中の真ん中に、軽いものは脇腹のほうに寄せると、揺れが小さくなります。スマートフォンを持つ人は、汗で濡れないよう薄い袋に入れておきます。
給水所と補給で、手と袖がふさがるとき
服の決め方とは関係がないように見えて、実は服を左右するのが給水所の場面です。給水所では、走りながらコップを取り、飲み、捨てる、という動きを短い時間で何度も繰り返します。
手袋は、指先がつかめる薄さに
厚手の手袋や、指先が丸いミトンは、紙のコップをつかむときに滑ります。コップを落とさないよう手袋を外す人もいますが、外したあとに着け直すのは、走りながらだと意外に手間がかかります。給水のたびに外さなくてすむ薄さを、最初から選んでおくのがいちばんです。
手袋の手のひら側に滑り止めがついているものは、コップや補給食の袋をつかみやすくなります。寒い日にどうしても厚手が必要なら、薄手の手袋の上に、外しやすいミトンを重ねる方法もあります。前半はミトンも着けて、暖まってきたら外し、手のひら側の薄手だけで給水所を通ります。
袖口は、手首より上で止まる長さに
長袖を着る日は、袖口が手首の骨より下まであると、コップを取るときに袖口が濡れます。濡れた袖口は冷たく、後半にはそこから手首が冷えていきます。袖口が手首の骨の上で止まる長さか、指を通す穴がついていて手の甲まで覆えるものなら、給水で濡れにくくなります。
アームカバーの場合は、給水所の手前で手首の少し上までずらしておくと、袖口が濡れずにすみます。こぼれた水がアームカバーにしみたまま、風の強い区間に入ると、腕が急に冷えます。暑い区間で外す予定なら、給水所の手前で外してしまうのも1つの方法です。
補給食を出すときに、手袋が邪魔をしないか
ポーチやポケットから補給食を取り出すとき、手袋の指先が袋の端をつかめるかどうかも、練習で確かめておきます。手袋をしたままでは袋が開けにくいと感じたら、出発前に袋の切り口を少しだけ開けておくと、走りながらでも口に運びやすくなります。
前日までにする、同じ一式での試走
当日の服は、前日までに一度、上から下まで同じ組み方で走っておいてください。走るのは30分程度で十分です。確かめるのは次の5つです。
- ゼッケンを安全ピンで留めた位置が、腕を振ったときに引っぱられないか
- アームカバーが、腕を振るたびに下がってこないか
- 手袋を外したとき、ポケットかポーチにすぐしまえるか
- ショートパンツの下のハーフタイツが、ずり上がってこないか
- スポーツブラの肩ひもとアンダーが、30分走って当たる場所がないか
この試走で引っかかったものは、当日までに組み方を変えます。ピンの位置をずらす、アームカバーを1サイズ小さくする、ポーチを腰の前に回す、など、多くは小さな直しで解決します。大会の週になってから服を買い足すと、試走が間に合わないことがあるので、服の準備は1週間前に終わらせておくのが理想です。
前日の夜に並べる、最後の確認
前日の夜は、服を2通り並べておきます。1つは予報どおりの組み方、もう1つは2度寒くなったときの組み方です。違うのは腕と手と首だけ、という形にしておくと、朝に入れ替えるのは小物だけで済みます。
並べるときは、着る順に上から置いておくと、当日の朝に迷いません。
- スポーツブラ、ハーフタイツかタイツ
- 半袖か長袖のシャツ、ゼッケンを先に留めておく
- ショートパンツ
- 靴下と靴
- アームカバー、手袋、ネックウォーマー
- 待っているあいだの上着
- 荷物袋の中身(着替えとタオル)
ゼッケンは前日のうちにシャツに留めておくと、朝の時間に余裕が生まれます。安全ピンは予備を2本持っておくと、当日にピンが外れたときにも困りません。
まとめ|自分が外にいる時間で、服を決める
マラソン大会の服装は、天気予報の1つの数字では決まりません。号砲の気温、ゴールまでの時間、そして待っている時間と、ゴールしてから着替えるまでの時間。自分が外にいるすべての時間を並べて、そのどこで寒くなり、どこで暑くなるかを見てから組み立てます。
胴は走り出して10分後の体に、腕と手と首は寒い時間帯に合わせる。待つあいだは捨てられる上着で、ゴールのあとは乾いた着替えで。この順で考えれば、当日の朝に予報が少し変わっても、入れ替えるのは小物だけで済みます。
迷ったときは、完走まで長くかかる人は1枚足す、短い人は1枚引く。この1つだけ覚えておけば、境目の日でも大きく外すことはありません。普段の練習で、同じ組み方で長く走っておくことが、当日のいちばんの準備です。
よくある問い
- Q. マラソン大会で半袖と長袖、どちらにすればいいですか
- 号砲の時刻の予想気温が12度以上なら半袖、8度より低いなら長袖を基準にしてください。その間の8〜12度は、半袖にアームカバーを足す形がいちばん外しません。暑くなったら手首まで下ろすか外してポケットに入れ、寒いままなら最後まで着ていられます。完走まで5時間を超えそうな人は、後半に歩く時間が増えて体が冷えやすいので、同じ気温でも1段階寒い側を選んでください。
- Q. タイツは履いたほうがいいですか
- 号砲の気温が10度より低いか、完走まで4時間30分を超えそうなら、ひざ下まであるタイツか、ショートパンツの下にハーフタイツを重ねると脚が冷えにくくなります。気温が15度を超える日や、ゴールが3時間台の人は、ショートパンツだけのほうが脚が重くなりません。どちらか迷ったら、ハーフタイツにすると両方の中間をとれます。
- Q. スタートを待つあいだ、寒くて仕方がありません
- 走る服の上に、待つあいだだけ着る上着を1枚重ねてください。大きめの薄いポンチョや、もう着ない長袖のスウェットなど、号砲の直前に脱いで手放せるものが向いています。捨てる場所や回収の方法は大会ごとに決まりがあるので、案内を先に読んでおきましょう。手袋とアームカバーは、待つあいだから着けておいてかまいません。
- Q. 初めてのフルマラソンで、何時間かかるかわかりません
- 直近にいちばん長く走った練習の1キロあたりの時間に、42.195をかけて、そこに3割を足してください。初めての人は後半に歩く時間が入るので、練習の速さそのままでは計算が短く出ます。出てきた時間が4時間30分を超えたら、この記事の表では長い側の列を見てください。
— メグラシ編集部





