スマートカジュアルのレストラン|秋冬の女性は、座った上半身で決める

**あなたがテーブル席の店に行くなら、決めるのはテーブルの天板から上に見える約40cmだけです。**秋冬は入口でコートを預け、席に着いたら食事が終わるまで立ちません。同じテーブルの相手と店の人が見ているのは、胸から上と、天板に置いた手元です。
スマートカジュアルの指定を見ると、多くの人は全身のコーデを組み直そうとします。けれど、全身を見られるのは入口から席までの数十歩と、帰りにコートを受け取る数十秒だけです。そこで見られるのは靴と裾くらいで、残りの時間はずっと上半身で過ごします。
この記事では、座った姿の上半身と入口から席までの足元の2か所に分けて、秋冬のスマートカジュアルを決める方法を書きます。店の格の線引きそのものはスマートカジュアル 女性|お店の格5段階の線引きと、手持ちでの組み方で、案内文の読み違いはディナーのドレスコード|案内の一言を読み違えて浮く型と、当日の直し方でくわしく扱っています。ここでは、秋冬のレストランでいちばん長く見られる姿に絞ります。
結論:天板から上と、入口から席までの2か所だけ整える
秋冬のスマートカジュアルは、次の2か所で決まります。
| 見られる場所 | 見られる時間 | 見るところ |
|---|---|---|
| 天板から上の約40cm | 食事のあいだずっと | 襟元・素材・袖口 |
| 入口から席までの数十歩 | 行きと帰りの数十秒 | 靴・裾・バッグ |
天板から上は、さらに3か所に分けます。襟元、ニットやシャツの素材、袖口です。**この3か所のうち2か所がきちんとしていれば、残る1か所は少し崩しても浮きません。**3か所すべてを整えると、昼の食事ならかえって堅く見えることもあります。
足元は、靴と裾が場に合っていれば十分です。テーブルの下に入ってしまえば、脚の形や丈はほとんど見えません。ここに時間をかけすぎて、上半身が手薄になるのがいちばんもったいない形です。
秋冬にこの考え方が特に役に立つのは、コートという大きな1枚があるからです。春や夏は、店に入ってからも全身の服がそのまま見えます。秋冬は、外を歩く間はコートが全身を覆い、店に入るとコートが外れて上半身だけが残ります。外で見られる姿と、店の中で見られる姿がはっきり分かれる季節なので、それぞれを別々に整えると、無駄な迷いがなくなります。外の姿はコートと靴、店の中の姿は天板から上、と分けて考えてみてください。
先に確かめること|コートを預ける店か、椅子にかける店か
服を考える前に、店でコートをどう扱うかを確かめてください。予約の画面や店の案内に書かれていなければ、席の写真を見ます。
入口にクロークや受付台があり、上着を預かってくれる店なら、席に着いた時点でコートは視界から消えます。この場合は、コートの中の服だけで一晩を過ごすつもりで決めます。コートは、受け取るときに一瞬だけ見られる物になります。
預ける場所がなく、椅子の背にかける店や、足元にかごを置く店では、コートが席の近くに残ります。椅子の背にかけたコートは、向かいの人からは肩の後ろに少し見える程度です。それでも、毛玉が目立つものやフードの大きなものは、背もたれからはみ出して目に入ります。この場合だけ、コートも服の一部として考えてください。
どちらか分からないときは、預けない前提で選んでおくと外れません。椅子の背にかけても形が崩れにくい、厚すぎないウールのコートなら、預けても預けなくても困りません。
靴を脱ぐ席かどうかも、ここで確かめる
和食の店や個室のある店では、掘りごたつや座敷の席に通されることがあります。靴を脱ぐ席では、天板から上だけで決めるという考え方が少し変わります。靴を脱いで上がる瞬間と、席へ歩く数歩のあいだ、足先とひざ下が見えるからです。
秋冬はタイツやストッキングを合わせることが多いので、足先の色と厚みを見ておきます。黒の厚手のタイツは、靴を脱ぐと足先だけが濃く浮いて見えることがあります。座敷の可能性があるなら、肌の色に近い薄手のストッキングか、ボトムと同じ色の薄手のタイツにしておくと、靴を脱いでも違和感が出にくいです。つま先の補強部分が厚く色が変わっているものは、脱いだときに目に入るので避けておきます。
もう1つ、座敷では床に座るので、ボトムの形も関わります。細身のタイトスカートは、正座や横座りのときに裾が上がりやすく、座っている間ずっと気になります。座敷の可能性があるなら、ゆとりのあるパンツか、ひざが隠れるフレアのスカートを選んでおくと楽です。
天板から上の40cmを数える|見えるのは襟・肩・袖口・手元
座ったとき、相手から見える範囲を確かめておきます。自宅の食卓の椅子に座り、天板の高さから頭の上までを鏡に映してみてください。多くの食卓で、天板から肩までがおよそ30〜40cmです。
この範囲に入るのは、次の4つです。
- 首まわりと襟の形
- 肩の線と、ニットやシャツの表面
- 袖口と手首
- 天板に置いた手元と、指輪や時計
ここで分かるのは、ボトムの色や形はほとんど関係ないということです。逆に、袖口と手元は思っているより長く見られます。料理を取る、グラスを持つ、ナイフを動かすたびに、袖口は相手の目線の真ん中を通ります。
もう1つ、照明の向きも見ておくと役に立ちます。夜のレストランは、天井からの光より、テーブルの上の小さな明かりのほうが強いことが多いです。下から当たる光は、ニットの毛羽や、シャツの小さなしわを強く見せます。昼に見て大丈夫だった服が、夜の席では急にくたびれて見えるのはこのためです。
出かける前に、座った姿を1枚撮っておく
服が決まったら、家の椅子に座って、向かいの席の高さから上半身をスマートフォンで1枚撮ってみてください。自分で机の上に立てかけて、タイマーで撮れば十分です。部屋の明かりを少し落として、机の上に小さな明かりを1つ置くと、夜の店内に近い見え方になります。
撮った写真で見るのは、首元に影がたまっていないか、ニットの表面がぼやけていないか、袖口が手の甲まで落ちていないか、の3つです。鏡で立った姿を見るより、ずっと店での見え方に近くなります。写真の中で、服の印象より先に顔と手元に目が行くなら、上半身は十分に整っています。
境目①|襟元:首の付け根から指3本ぶん開いているか
襟元は、天板の上でいちばん目立つ場所です。迷ったら、首の付け根のくぼみから指を横に3本並べて当ててみてください。
指3本ぶんより下まで開いている、あるいは襟のあるシャツやブラウスなら、襟元はきちんとした側に入ります。秋冬のニットで多い、首に沿った丸い襟でも、くぼみが少し見える程度の開きがあれば同じ扱いです。
逆に、首まで詰まったタートルネックや、厚手のハイネックは、そのままだとカジュアル寄りに見えます。原因は形ではなく、首のまわりに布の量が集まって、顔の下に影ができることです。この場合は、次のどちらかで調整します。
- 細いネックレスを外側に重ねて、首元に小さな光を足す
- タートルの上に、襟の開いたカーディガンやジャケットを重ねて、縦の線をつくる
襟元が浅いと感じても、残りの2か所、素材と袖口がきちんとしていれば、無理に変えなくて構いません。秋冬は首元が冷えるので、寒さを我慢して開きの深い服にする必要はありません。
境目②|素材:ニットの毛羽と光り方
2つ目は素材です。秋冬のスマートカジュアルで、いちばん判断が分かれるのがニットです。
ニットを窓際の光にかざして、表面を横から見てください。毛羽が細かく立っていて、輪郭がぼんやりするなら、カジュアル寄りです。表面がなめらかで、光を受けると少しだけ艶が出るなら、きちんとした側に入ります。
目安になるのは編み目の大きさです。指の腹で触ったときに、1つ1つの編み目が分からないくらい細かいものは、天板の上でシャツと同じくらいきちんと見えます。指先が編み目に引っかかる太い編みや、模様編みが大きく出るものは、休日の印象が強くなります。
シャツやブラウスの場合は、張りの強さを見ます。肩に掛けたとき、布が自分で形を保つくらいの張りがあれば、夜の明かりの下でもしわが目立ちません。柔らかく落ち感のある布は、座っている間に前身ごろに細かいしわが寄りやすいので、出かける直前に一度アイロンを当てておきます。
素材がカジュアル寄りでも、襟元と袖口がきちんとしていれば通ります。毛羽の多いニットしかないときは、首元と手元で足りない分を補ってください。
色についても少しだけ触れておきます。秋冬は、灰色や茶色、紺といった落ち着いた色が増えます。どれもスマートカジュアルに向いた色ですが、同じ色の濃淡だけで上半身をまとめると、夜の明かりの下では平らに見えやすくなります。ニットとカーディガンを同じ灰色でそろえるなら、どちらかの素材を変える、首元に少しだけ白や金の光を置く、といった差をつけてください。上半身の中に明るさの違う場所が1つあるだけで、天板の上の印象が締まります。
境目③|袖口:手首の骨が見えるか、袖が天板に触れるか
3つ目は袖口です。食事中、もっとも頻繁に相手の目の前を通る場所です。
腕を前に伸ばして、グラスを持つ形をつくってみてください。手首の外側の骨が見えるくらいの長さで袖が止まっていれば、袖口はきれいに見えます。袖が手の甲まで落ちてくる長さや、袖口が広がって天板に触れる形は、料理を取るたびに袖を気にすることになります。
秋冬は、厚手のニットの袖をたくし上げて着ることが多くなります。たくし上げた袖は、座っている間に少しずつ下がってきて、手首のあたりで布がたまります。気になるなら、袖口が細く締まったものを選ぶか、袖丈が手首でぴったり止まるものにしておきます。
もう1つ、袖口の色も見ておきます。ソースやワインが飛びやすいのは袖口です。白やごく薄い色の袖口は、食事の間ずっと気を遣うことになります。上半身を明るい色にしたいなら、袖だけ濃い色の羽織を重ねる方法もあります。
2か所そろえば残り1か所は崩してよい
3か所の境目をまとめると、次のようになります。
| 場所 | きちんとした側 | 崩れて見える側 |
|---|---|---|
| 襟元 | 指3本ぶんの開き・襟つき | 詰まった厚手の首元 |
| 素材 | 毛羽が少なく表面がなめらか | 太い編み・毛羽が多い |
| 袖口 | 手首の骨で止まる | 手の甲まで落ちる・広がる |
3か所すべてがきちんとした側なら、格の高い店の夜でも上半身は十分です。2か所なら、多くのスマートカジュアルの店で浮きません。1か所しかそろわないときは、どこか1つを足してください。いちばん足しやすいのは襟元で、ネックレス1本で変わります。
反対に、3か所すべてがきちんとしすぎて、同じテーブルの人より堅く見えそうなときは、1か所をあえて崩します。袖を少しだけたくし上げる、ネックレスを外す、くらいで十分です。
入口から席までの数十歩|靴・裾・バッグ
座る前と帰るときに、全身が見られる時間があります。入口から席までの数十歩と、席を立ってコートを受け取るまでの数十秒です。ここで目に入るのは、靴、裾、バッグの3つです。
靴は、甲と踵で判断します。甲が細く見える形、踵が細めで歩く音が小さいものは、パンプスでもローファーでもショートブーツでも通ります。靴底が厚く、甲が丸く大きい形は、床の硬い店内では音も目立ちます。スニーカーは、店によって判断が分かれるので、迷うなら避けておくほうが楽です。
裾は、床から何cm上で止まっているかを見ます。パンツなら靴の甲に軽くかかる程度、スカートならひざ下から足首の間で、歩いたときに裾が大きく揺れないものが落ち着いて見えます。ワイドパンツの裾が床をこするほど長いと、店内を歩くときに目立ちます。
バッグは、席に着いたらどこに置くかで大きさを決めます。足元のかごに入るか、椅子の背と体の間に収まる大きさなら、席で邪魔になりません。大きなトートしかない日は、入口でコートと一緒に預けられるか確かめてください。
仕事帰りに寄るときは、バッグと靴だけ替える
平日の夜、仕事帰りにそのまま店へ向かうこともあります。仕事の服のまま行くと、上半身は意外と整っていることが多いです。襟のあるシャツや、表面のなめらかなニットは、そのままスマートカジュアルの側に入ります。
浮きやすいのは、書類やパソコンが入った大きなバッグと、通勤用の歩きやすい靴です。この2つは、入口から席までの数十歩でいちばん目に入ります。会社に小さめのバッグと、甲の細い靴を1足置いておき、店へ向かう前に替えるだけで、全身の印象がそろいます。大きなバッグは、店の入口で預かってもらえるか聞いてみてください。預かってもらえない店なら、足元に置いても通路にはみ出さない向きに置きます。
秋冬に起きやすい3つのずれ
秋冬のスマートカジュアルで、よく起きるずれを3つ挙げます。どれも、立った姿では気づきにくく、座ってから気づくものです。
1つ目は、厚手のタートルネックです。立っているときは落ち着いて見えても、座ると顎の下に布がたまり、上半身の大半がニットの量になります。境目①の調整で、首元に光か縦の線を足してください。
2つ目は、重ね着の厚みです。寒さに備えて、ニットの上にカーディガン、その上にコートと重ねると、コートを脱いだあとの肩まわりが丸く厚く見えます。店内は暖かいことが多いので、コートの下は2枚までにしておくと座った姿が軽くなります。
3つ目は、ロングブーツとスカートの組み合わせです。座ると、スカートの裾とブーツの口の間に脚が見えたり、スカートがずり上がってブーツの口が見えたりします。テーブルの下なので相手からは見えにくいですが、席を立つときに目に入ります。ひざが隠れる丈のスカートを選んでおくと気になりません。
どちらとも取れるとき①|カウンター席か、テーブル席か分からない
予約の時点で席の種類が分からないことがあります。カウンター席では、天板の高さが変わり、隣の人との距離も近くなります。
カウンターは、テーブルより天板が高いことが多く、座ると胸のあたりまで隠れます。見えるのは首から上と手元が中心です。そのぶん、横に座る人からは、腰から下まで横向きに見えます。スカートの丈や、座ったときのパンツの裾の上がり方が、テーブル席よりも目に入ります。
どちらか分からないときは、次の順で決めてください。
- 上半身は、テーブル席の前提で3か所を整える
- 下半身は、横から見られても落ち着く丈にしておく。スカートならひざが隠れる長さ、パンツなら座ったときに足首が少し見える程度
- 靴は、足をかける台に乗せても甲がきれいに見えるものにする
カウンター前提で選んでおけば、テーブル席になっても困りません。逆はときどき困ります。
カウンター席でもう1つ気をつけたいのが、背の高い椅子です。足が床に届かない高さの椅子では、座るときと降りるときに、スカートの裾が大きく動きます。タイトなスカートだと座る動作そのものがしにくくなるので、カウンターの可能性があるなら、ゆとりのある形か、パンツを選んでおきます。コートを椅子の背にかける場所がないことも多いので、預けられるかどうかを入口で一度聞いておくと、座ってから慌てずに済みます。
カウンターの向こうで料理人が調理する店では、手元を見られる時間がテーブル席より長くなります。袖口の境目③を少し厳しめに見て、袖がまな板やグラスに触れない長さにしておくと、食事中に袖を気にせずに済みます。
どちらとも取れるとき②|案内に「スマートカジュアル」とだけあって、店の雰囲気が読めない
案内に一言だけ「スマートカジュアル」と書かれ、写真も少ない店があります。このときは、店の格を読み当てようとするより、上下に調整できる服で行くほうが確実です。
具体的には、上半身の3か所を「2か所きちんと」にしておきます。そのうえで、足すものと引くものを1つずつ持っていきます。
- 足すもの:細いネックレス、またはバッグに入る薄いストール
- 引くもの:羽織っていくジャケットやカーディガン
店に入って、まわりの席が思ったより格が高ければ、ネックレスやストールを足します。思ったより軽ければ、羽織を脱いで椅子の背にかけます。入店してからトイレで30秒もあれば調整できる範囲にしておくと、読み違えても挽回できます。
足すものと引くものを選ぶときは、どちらもバッグかコートのポケットに収まるかどうかで決めてください。ストールが厚手で、バッグに入らないほど大きいと、使わなかったときに席で置き場所に困ります。ネックレスは小さな袋に入れておけば、トイレの鏡の前で10秒もかからずにつけられます。羽織は、脱いだときに椅子の背にかけても、背もたれからはみ出さない長さのものにします。腰までのカーディガンか、短めのジャケットがちょうどよい長さです。
もう1つの手がかりは、店のある場所です。オフィス街の店は平日の夜に仕事帰りの人が多く、シャツやジャケットの人が目立ちます。住宅街や観光地の店は、週末になるとニットや柔らかい服の人が増えます。同じスマートカジュアルの指定でも、場所と曜日で並ぶ服装は変わるので、迷ったときの判断材料にしてください。
予約のときに電話で「どのくらいの服装の方が多いですか」と聞いても構いません。聞くこと自体は失礼になりません。返ってきた答えが「ジャケットの方もいらっしゃいます」なら格は高め、「普段着で大丈夫です」なら軽めと受け取ってください。
どちらとも取れるとき③|同伴者の服装が、自分とかなりずれそう
自分だけ整えても、同伴者がかなり軽い服装で来ると、テーブルの上で差が目立ちます。逆に、相手がしっかりしたジャケットで来て、自分だけ軽く見えることもあります。
ずれが気になるときは、事前に一言だけ確かめるのが早いです。「何を着ていくか迷っていて」と聞けば、相手もたいてい答えてくれます。聞けない相手なら、次の考え方で決めます。
相手が軽く来そうなら、上半身の3か所を「2か所きちんと」にとどめます。3か所すべてを整えると、テーブル越しの差が大きくなります。素材をきちんと寄せ、袖口は少したくし上げる、くらいの崩し方がちょうどよい距離です。
相手がきちんと来そうなら、3か所をすべて整えます。上半身だけでも相手にそろっていれば、ボトムが少し軽くても目立ちません。
複数人の食事会では、主催の人の服装に寄せるのがいちばん無理がありません。主催の人がジャケットなら自分も羽織を1枚、主催の人がニットなら自分もニットで、と決めておくと迷いが減ります。少人数の集まりの考え方はドレスコードなしのレストランの服装 女性|誰と何の集まりかで決めるも参考になります。
どちらとも取れるとき④|昼の会食か、夜の会食か
同じ店でも、昼と夜では求められる格が少し変わります。スマートカジュアルの指定が昼にも夜にも同じように書かれていることがありますが、実際に店内で並ぶ服装は違います。
昼は、窓からの自然光で店内が明るく、服の色がそのまま見えます。明るめの色のニットや、柄の入ったブラウスでも浮きません。素材の毛羽も、自然光ではそれほど目立ちません。3か所のうち2か所がきちんとしていれば十分です。
夜は、明かりが絞られ、テーブルの小さな光が上半身を下から照らします。毛羽やしわが目立ち、色は暗く沈みます。素材の境目②を少し厳しめに見て、表面のなめらかな物を選んでください。色は、紺や深い緑、焦げ茶のような濃い色でも、襟元に光るものがあれば暗くなりすぎません。
昼に会って、そのまま夜まで過ごす予定のときは、夜に合わせて素材を決め、昼は羽織を脱いで軽く見せる、という順にすると1日通せます。
手持ちで組む3つの型
ここまでの考え方で、秋冬に手持ちの服から組みやすい型を3つ挙げます。どれも、天板から上の3か所のうち2か所以上がきちんとした側に入る組み方です。
1つ目は、細い糸のニットと、濃い色のきれいめパンツです。ニットは襟元が少し開いたもの。首元に細いネックレスを足すと、襟元と素材の2か所がそろいます。足元はローファーか甲の細いパンプスにします。
2つ目は、張りのあるシャツと、ひざ下丈のスカートです。シャツは袖口のボタンを留め、袖を手首の骨で止めます。上に薄手のカーディガンを肩から羽織ると、秋冬の店内の冷えにも対応できます。襟元と袖口の2か所がそろいます。
3つ目は、タートルネックと、襟の開いたジャケットです。タートルだけだと襟元がカジュアル寄りになりますが、ジャケットで縦の線をつくると、きちんとした側に入ります。タートルは薄手のものを選び、首元に布がたまらないようにします。
4つ目に、ニットのワンピースも挙げておきます。1枚で済むので秋冬に重宝しますが、天板から上だけを見ると、ただのニットに見えます。そのため、襟元と袖口の2か所をきちんと寄せるのが大切です。襟の開いた形を選び、袖は手首で止まるものにします。腰のあたりは天板に隠れるので、ベルトの有無は気にしなくて構いません。厚手のニットワンピースは、座ったときにお腹まわりに布がたまりやすいので、薄手から中くらいの厚みのものが座った姿には向いています。
どの型も、コートは中の服より少し軽い印象のものでも構いません。預けてしまえば、ほとんど見られないからです。冬の夜に格の高い店へ行くときの防寒とのバランスは、ホテルディナーの服装 冬|防寒とドレスコードを両立させる、コートと足元の工夫にまとめています。
年代で変わるところ
天板から上で決めるという考え方は、年代で変わりません。変わるのは、3か所のうちどこを優先するかです。
20代から30代前半は、素材が多少カジュアル寄りでも、若さの印象と合って浮きにくいです。そのぶん、襟元と袖口をきちんとさせると、全体の印象がぐっと落ち着きます。
30代後半から40代は、素材の差がいちばん出やすい年代です。同じ形のニットでも、毛羽の少ない細い糸のものを選ぶだけで、天板の上の印象が大きく変わります。手元のアクセサリーを1つ足すと、袖口の境目もそろいやすくなります。
50代以降は、首元の詰まりが顔の下の影として出やすくなります。タートルを選ぶなら薄手のもの、または襟の開いたニットに細いストールを軽く巻く形が楽です。明るい色を首元の近くに置くと、夜の明かりでも顔色が沈みません。
どの年代でも、無理に流行の形に寄せる必要はありません。3か所が整っていれば、スマートカジュアルの店では十分に落ち着いて見えます。
体型について気になることがあっても、天板から上で決める考え方はそのまま使えます。お腹まわりや腰まわりが気になる人は、そこが天板の下に入ることを思い出してください。気にする場所を隠すために、上半身まで大きなシルエットにする必要はありません。肩の線が合っていて、袖口が手首で止まっていれば、上半身はすっきり見えます。肩まわりが気になる人は、襟の開きで縦の線をつくると、天板の上の印象が軽くなります。どちらの場合も、無理に体を締めつける服を選ぶより、座って1時間以上過ごしても苦しくないものを選ぶほうが、表情まで落ち着いて見えます。食事の席では、楽に座れていることそのものが、いちばんきちんとして見える条件です。
当日に直せること
家を出たあとで「軽すぎたかもしれない」「堅すぎたかもしれない」と気づくことがあります。店に着いてから、席に座る前の短い時間で直せることをまとめておきます。
軽すぎたと感じたら、まず襟元を整えます。ネックレスを足す、シャツの第1ボタンを留める、ストールを首に軽くかける。次に袖口です。たくし上げた袖を下ろし、手首の骨で止めます。この2つで、天板から上の印象はかなり変わります。
堅すぎたと感じたら、羽織を脱いで椅子の背にかけます。ネックレスを外してバッグにしまうだけでも、少し肩の力が抜けた印象になります。
足元が場に合っていないと感じたときは、席に着いてしまえば見えにくくなります。入口から席までの数十歩だけ、背筋を伸ばして歩けば、それほど気にしなくて大丈夫です。帰りにコートを受け取るときも、コートを羽織ってしまえば足元への視線はほとんど集まりません。
雨や雪の日は、足元とコートの扱いが少し変わります。濡れたコートは、預ける店ならそのまま渡して構いません。椅子の背にかける店では、入口で軽く水を払ってから、裏地を外側にして折りたたみ、膝の上か足元のかごに置きます。靴が濡れて色が変わったときは、席に着く前にハンカチで甲だけ拭いておくと、入口から席までの数十歩で目立ちにくくなります。雨の日のために、バッグの中に薄いハンカチを1枚多く入れておくと安心です。
**見られる場所を先に絞ると、迷う範囲がぐっと小さくなります。**秋冬のスマートカジュアルは、コートを脱いで座ったときの40cmを整えることから始めてください。
よくある問い
- Q. スマートカジュアルのレストランに、ニットで行ってもいいですか
- 行けます。分かれ目は編み目の細かさと襟元です。表面に毛羽が立たない細い糸のニットで、首の付け根から指3本ぶん程度の開きがあれば、天板の上ではブラウスと同じ扱いになります。ざっくりした太い編みのニットや、首まで詰まった厚手のタートルは、首元に細いネックレスか襟のあるシャツを足すと収まります。
- Q. 秋冬にブーツで行くのは失礼になりませんか
- 丈よりも甲と踵で決まります。甲が細く、踵が細めで歩く音が小さいショート丈か、ひざ下丈のブーツなら問題になりにくいです。反対に、靴底が厚いワーク系の形や、ムートン素材のように足首が太く見える形は、店内の数十歩で目に入りやすいので、きれいめのパンプスかローファーに替えるほうが安心です。
- Q. コートは着たまま席まで行くものですか
- 入口で預ける店が多く、預けない店では椅子の背にかけるか、足元のかごに入れます。どちらの場合も、コートを脱いだあとの姿で一晩を過ごすので、服はコートを脱いだ状態で整えておきます。預けたコートは受け取るときに一瞬見られるだけなので、コートの格に気を取られすぎなくて大丈夫です。
- Q. ジーンズは避けたほうがいいですか
- テーブル席なら脚は天板の下に隠れるため、色の濃い無地のジーンズに、上半身をきちんと寄せれば通ることが多いです。ただし色落ちや穴があるもの、裾を折り返して太く見えるものは、入口から席までの間に目に入ります。迷ったら、同じ形の濃い色のパンツに替えておくと迷いが消えます。
— メグラシ編集部





