エラをなくしたい人のコートの襟|襟先があごの角より下に来る形を選ぶ

**エラを目立たなくしたいなら、選ぶコートの襟は「上端が下顎角から3cm以上下で止まり、首元のVの深さがエラ幅以上ある形」です。**襟の名前がステンカラーでもテーラードでもショールカラーでも、この2つの数字を満たしていれば、エラは目立ちにくくなります。
逆に、どれほど評判のよい形でも、襟の上端があごの角と同じ高さまで来ていれば、顔の下半分に横の線がもう1本増えて、角の幅が強く見えます。
確かめるのは鏡と定規だけです。いま手元にあるコートを1着羽織って、鏡の前に立ってください。エラの角に人差し指を当てて、そのまままっすぐ下へ下ろします。指が襟に当たるまで、何cmありましたか。
3cm以上あれば、そのコートの襟はエラの味方です。3cmに届かなければ、この記事の後半にある直し方で、今日のうちに調整できます。
髪や首元のほかの手当ては顔のエラを無くす方法で、Tシャツやブラウスの襟ぐりはエラのハリと襟ぐりでまとめています。ここではコートの襟だけを扱います。秋冬は、顔のすぐ下に来る布のなかでいちばん面積が大きいのがコートの襟だからです。
結論:襟の上端を下顎角から3cm下げ、Vの深さをエラ幅以上にする
エラが目立つかどうかは、顔の形だけでは決まりません。顔のすぐ下に、どんな線がどの高さで並んでいるかで見え方が変わります。
コートの襟が作る線は、大きく分けて2種類です。
ひとつは横の線。襟の上端、立てた襟のふち、ボアやファーの縁などが、首の周りをぐるりと回る線です。この線が下顎角に近い高さにあると、見る人の目はあごの角から襟の上端へ横に流れ、顔の下半分の幅をそのまま測ってしまいます。
もうひとつは縦の線。前の合わせ目に向かって左右の襟が下がっていくVの線、前立て、ボタンの列です。この線が長いと、目は上下に動き、角の幅を測る時間が短くなります。
だから選ぶ基準は2つだけです。
- 横の線(襟の上端)を、下顎角から3cm以上下に置く
- 縦の線(Vの深さ)を、エラ幅と同じか、それより長くする
この2つがそろったコートは、襟の名前にかかわらずエラを目立たせません。片方だけ満たすものは、後半の「境目」の章で扱う調整が必要になります。両方とも満たさないものは、前を開けて着る、マフラーで縦を足すといった手当てをしても、効きが弱くなります。
測る前に:下顎角の高さとエラ幅を鏡で取る
数字を使うために、まず自分の2つの数字を取っておきます。1回測れば、以後はずっと使えます。
下顎角の位置を見つける
正面から鏡を見て、耳たぶのすぐ下に人差し指を置きます。そこから、あごの骨のふちに沿って指を前へゆっくり動かしてください。耳の下では縦に近かった線が、どこかで向きを変えて、あご先のほうへ横に近い角度で進み始めます。その向きが変わる点が下顎角です。
左右どちらも同じように探して、鏡の上から細く切ったマスキングテープを貼るか、指で押さえて位置を覚えておきます。
エラ幅を測る
左右の下顎角の間を、定規で鏡越しに測ります。鏡に映った顔を測るので厳密には少しずれますが、服を選ぶための目安には十分です。
多くの人は9〜12cmの間に入ります。この数字が、あとで出てくる「Vの深さ」の基準になります。たとえばエラ幅が10.5cmなら、あご先から襟の合わせ目まで10.5cm以上あるコートを探す、ということです。
下顎角の高さを確かめる
もうひとつ、あご先と下顎角の高さの差も見ておきます。あご先の下に定規を水平に当てて、下顎角がその線から何cm上にあるかを読みます。
この差が小さい人(おおむね2cm未満)は、あごの線が横に近く、エラが「幅」として見えやすい輪郭です。差が大きい人(3cm以上)は、あごの線が斜めに下がっていて、エラは「角」として見えやすい輪郭です。この違いは、後の境目の章で使います。
輪郭そのものを確かめたい人はベース型の顔かどうかを確かめるを、角の開き具合を測りたい人はエラが張っていると言われる輪郭の角度を先に読むと、自分がどちら寄りか分かります。
物差し①:襟の上端と下顎角の距離は3cm
コートを羽織り、前を閉めた状態で鏡の正面に立ちます。下顎角に当てた指をまっすぐ下ろして、襟のいちばん高いところに当たるまでの距離を測ってください。
0〜3cm:あごと同じ帯に横の線が入る
この範囲に襟の上端があると、正面から見たとき、あごの角と襟のふちがほぼ同じ高さの帯に並びます。目はその帯を左右に往復し、「顔の下半分の幅」をはっきり認識します。
エラ幅が10cmの人でも、襟の上端がその真下で左右に14cm広がっていれば、見る人の頭の中では「下半分に14cmの横幅があるもの」として記憶されがちです。顔の幅と襟の幅が一続きに見えてしまうためです。
スタンドカラー、ファネルネック、立てた状態のステンカラー、ボアの大きな衿、ハイネックのダウンが、この範囲に入りやすい代表です。
3〜6cm:首が見えて、あごと襟が別の線になる
襟の上端が下顎角から3cm以上離れると、その間に首が見えるようになります。首の縦の線が、あごの横の線と襟の横の線を切り離すので、2つの線が一続きに見えません。
この範囲がいちばん扱いやすく、ほとんどのステンカラー、テーラード、ショールカラーは、前を閉めた状態でここに入ります。
6cm以上:首元が大きく開いて、中に着るもので決まる
ノーカラーや、前を深く開けて着るコートはこの範囲に入ります。襟そのものはエラに影響しなくなりますが、代わりに中に着ているものの首元がいちばん上の線になります。
つまり、コートの襟の判断が、中に着るタートルネックやシャツの襟の判断に置き換わるということです。タートルネックを合わせる日の高さはエラをなくしたい人のタートルネックで測り方を書いています。
物差し②:Vの深さはエラ幅以上
次に、首元に開くVの深さを測ります。あご先から、左右の襟が合わさるいちばん下の点まで、まっすぐ下に何cmあるかを読んでください。
なぜエラ幅と比べるのか
顔の下半分で目が測るのは、横の長さと縦の長さの比です。エラ幅が10cmあっても、そのすぐ下に12cmの縦の線が伸びていれば、目は縦を先に追いかけます。反対に、縦が6cmしかないと、横の10cmのほうが長く見え、幅の印象が勝ちます。
自分のエラ幅をそのまま「Vの深さの最低ライン」にしておくと、どのコートの前に立っても一瞬で判断できます。
深さが足りないときに起きること
Vの底があご先から8cm以内にあるコートは、正面から見ると、首元の開きがほぼ三角形ではなく台形になります。台形の上辺はあごの線と平行に並ぶので、エラの線をなぞるような形になります。
前を閉めると深さが足りず、開けると深すぎる、という形のコートもあります。その場合は、ボタンを1つ外してVの底を1段下げると、ちょうどエラ幅前後の深さになることが多いです。
深ければ深いほどよいわけではない
Vの深さがエラ幅の2倍を超えると、今度は首元の空いた面積が大きくなり、中に着ているものの色や柄がその面積を占めます。中の服があごの近くで横に広がる形(ボートネックなど)だと、結局そこで横の線ができてしまいます。
目安としては、エラ幅の1倍から1.6倍の間に収めると、中に何を着ても崩れにくくなります。エラ幅10cmなら、10〜16cmの深さです。
物差し③:襟先が下を向いているか、横を向いているか
上端の高さとVの深さを満たしたうえで、もうひとつ見ておきたいのが襟先の向きです。
襟先の線とあごの線が平行になると、角が繰り返される
テーラードカラーの切れ込み(ラペルの角)や、ステンカラーの襟先は、それぞれ角を持っています。この角の線が、あごの線と同じ方向に走っていると、目は「同じ角度の線が2本ある」と感じて、角を強く意識します。
鏡で確かめるときは、襟先の角から、ラペルの外側の線を指でなぞってみてください。その線が、あごの線(下顎角からあご先へ向かう線)とほぼ平行なら、角が繰り返されています。
下を向く襟先と、丸い襟先は角を繰り返さない
襟先が胸のほうへ向かって下がっている形、角が丸く落とされている形は、あごの線とぶつかりません。ショールカラー、角を丸くしたステンカラー、細身のノッチドラペルの多くがここに入ります。
反対に、上向きに尖るピークドラペルや、肩の方へ水平に張り出す大きな襟は、あごの線と同じような角度の線を首元に作りやすくなります。この形が好きな人は、物差し①と②の数字を余裕をもって満たすもの(上端が下顎角から5cm以上下、Vの深さがエラ幅の1.3倍以上)を選ぶと、角の繰り返しが気になりにくくなります。
襟の形ごとの当てはめ方
名前で選ばないのが基本ですが、売り場で最初の当たりをつけるために、形ごとの傾向を並べておきます。最後は必ず自分の体で測ってください。
| 襟の形 | 前を閉めた上端の位置 | Vの深さ | 襟先の向き | 見るところ |
|---|---|---|---|---|
| ステンカラー | 下顎角から3〜5cm下 | 浅め | 斜め下 | 第1ボタンを外したときの深さ |
| テーラード | 下顎角から5cm以上下 | 深い | ラペルの角による | ラペルの角があごと平行か |
| ショールカラー | 下顎角から5cm以上下 | 深い | 丸い | 襟の外端が肩の先より内側か |
| ノーカラー | 襟なし | 中の服で決まる | なし | 中に着る首元の高さ |
| スタンドカラー | 下顎角から0〜3cm | ほぼなし | なし | 立ち上がりの高さが何cmか |
| ファネルネック | 下顎角とほぼ同じ | なし | なし | 前を開けて着られるか |
| 大きな折り返し襟 | 下顎角から2〜4cm | 浅め | 横 | 立てずに寝かせて着られるか |
| フード付き | 縁の立ち方による | 中くらい | なし | フードの縁が耳の下まで立つか |
表で見るのは、どの列が自分の弱いところに当たるかです。上端の高さが気になる人は2列目、顔の縦の短さが気になる人は3列目、角の強さが気になる人は4列目を優先してください。
前を閉める日と開ける日で、襟の働きが入れ替わる
同じコートでも、前を閉めるか開けるかで、物差し①と②の数字は大きく動きます。
閉めると上端が上がり、Vが浅くなる
ボタンを一番上まで留めると、左右の襟が首に沿って立ち上がり、上端が1〜2cm上がります。同時にVの底も上がるので、深さは浅くなります。
寒い日の朝、ボタンを全部留めて鏡を見たら急にエラが気になった、というのはこのためです。閉めた状態での上端が下顎角から3cmを割るなら、いちばん上のボタンだけは外して着る、と決めておくと迷いません。
開けると上端が下がり、Vが深くなる
前を開けると、襟は肩のほうへ寝て、上端が下がります。Vも一気に深くなります。
ただし、前を開けると今度は中の服の首元がいちばん上の線になります。中に着ているもので横の線ができていないかを、開けた状態でもう一度鏡で見てください。
両方で測って、悪いほうの数字で決める
コートは閉める日も開ける日もあります。売り場では、閉めた状態と開けた状態の両方で、上端の距離とVの深さを測ってください。どちらか一方でも3cmとエラ幅を満たさないなら、その状態で着る日にどう手当てするかを、買う前に決めておきます。
どちらとも取れるとき①:上端が下顎角から2〜3cmの間に来る
物差し①の3cmにわずかに届かないコートは、いちばん迷うところです。
首の見える長さで判断を分ける
あご先から鎖骨の間のくぼみまで、縦に何cmあるかを測ってください。首の見える長さです。
- 9cm以上ある人は、襟の上端が下顎角から2cmでも、その下に首の縦の線がしっかり残ります。2〜3cmのコートは着てかまいません
- 7〜9cmの人は、前を閉めた状態で2cmなら、第1ボタンを外して3cm以上に下げてから着ます
- 7cm未満の人は、2〜3cmの襟だと首がほとんど見えなくなるので、上端が4cm以上下に来る形を選び直したほうが楽です
首の長さは変えられませんが、襟の上端は1つのボタンで1〜2cm動きます。2〜3cmの境目にいるコートほど、ボタンひとつで判定が変わるので、着方を決めてから買えば問題になりません。
横から見て、襟の上端が後ろで高くなっていないか
正面では3cm離れていても、横から見ると、襟の後ろ側が高く立ち上がって耳の下まで届いている形があります。ステンカラーに多い作りです。
横顔や斜め45度で見られることが多い人(会議で横に座る、電車で立つなど)は、鏡を斜めに置いて、後ろ側の上端と下顎角の距離も測っておくと、正面だけでは分からないずれに気づけます。
どちらとも取れるとき②:エラ幅は広くないのに角だけが立つ
エラ幅が9〜10cmと狭めなのに、エラが目立つと感じる人がいます。下顎角の高さの差が3cm以上ある、つまり角が斜めに立っている輪郭の人に多い悩みです。
このタイプは物差し③を優先する
幅が広くないので、横の線(物差し①)の影響は比較的小さめです。その代わり、角の向きが目立ちやすいので、襟先の角があごの線と平行になる形を避けることが先になります。
- 上端の距離は2cm以上あれば十分
- Vの深さはエラ幅以上
- 襟先は丸いか、下を向いている形を選ぶ
ショールカラーや、角の丸いステンカラーがいちばん当てはまりやすい形です。
幅が広くて角は寝ている人は逆
反対に、エラ幅が11cm以上あって、高さの差が2cm未満の人は、幅のほうが目立ちます。このタイプは物差し①の3cmを守るのがいちばん効き、襟先の形はそれほど気にしなくて大丈夫です。
自分がどちらか分からないときは、エラ幅と高さの差の2つの数字を比べてください。エラ幅が11cm以上なら幅のタイプ、高さの差が3cm以上なら角のタイプ、どちらも当てはまるなら3つの物差しを全部満たすものを選びます。
どちらとも取れるとき③:首元を暖かくしたい日がある
エラのことだけ考えれば、襟の上端は低く、首元は開いているほうが有利です。でも真冬の朝、首元が開いたコートは寒い。ここは数字だけでは割り切れません。
暖かさは襟ではなく、中で取る
首元の暖かさは、コートの襟を高くするより、中に着るものとマフラーで取るほうが、エラへの影響を小さくできます。
- 中に薄手のタートルネックを着て、コートは上端が下顎角から4cm以上下に来るものにする
- タートルの折り返しは、下顎角から2cm以上離れる高さに調整する
- 襟の高いコートを1着だけ持つなら、色を顔まわりより暗く、表面に毛足のないものにして、横の線を目立たせない
襟を立てたい日は、片側だけ
襟を立てると暖かいうえに見た目も決まるので、立てたい日があると思います。立てるなら、両側を同じ高さで立てるのではなく、片側だけ立てて、もう片側は寝かせてください。左右が非対称になると、横の線が一本につながらず、エラの幅を測る線が途切れます。
どちらとも取れるとき④:ボアやフードの付いた襟が好き
ボアやファーの付いた襟、大きなフードは、秋冬らしさが一気に出る形です。好きなのにエラが気になってあきらめている、という声もよく聞きます。
ボアの縁は「厚みのある横の線」になる
ボアの縁は、ただの布の端より幅があり、毛足の分だけ面積も大きくなります。そのため、上端が下顎角から3cm離れていても、毛足が1〜2cmあれば実質の距離は1〜2cmになります。
ボアの襟を選ぶときは、毛足の長さを足した位置で測ってください。毛足が2cmなら、布の端が下顎角から5cm以上下にあるものを選ぶ、ということです。
フードは下ろしたときの縁の高さで見る
フード付きのコートは、フードを背中に下ろした状態で、首の横にフードの縁がどこまで立ち上がるかを見ます。
縁が耳の下まで立つ形は、下顎角の真横に厚い布が来るので、幅を強く見せます。縁が肩の上に寝て、首の横がちゃんと見える形なら、エラへの影響は小さく済みます。フードの付け根が前の合わせ目から遠い(肩の近くから始まる)形ほど、縁が寝やすい傾向があります。
マフラー・ストールを足す日の襟
秋冬は、コートの上にマフラーを重ねる日も多いはずです。マフラーを巻くと、襟の上端よりさらに上に横の線ができることがあります。
襟の上端と、マフラーの上端を両方測る
マフラーを巻いた日は、いちばん高い横の線がマフラーの上端に移ります。下顎角から3cmという物差しは、そのままマフラーの上端に当ててください。
マフラーの上端をどこに置くかはエラ張りがひどいと感じたらマフラーの上端に詳しく書きました。
襟の高いコートにマフラーを重ねない
スタンドカラーやファネルネックなど、もともと上端が下顎角に近いコートに、さらにマフラーを巻くと、横の線が2本重なり、その分だけ首元の厚みも増えます。
このタイプのコートには、マフラーを首に巻くのではなく、首にかけて両端を前に垂らすだけにすると、縦の線を足しつつ横の線を増やさずに済みます。
手持ちのコートで今日からできる直し方
新しいコートを買わなくても、いま持っている1着の数字は動かせます。物差しのどこが足りないかで、手当てを選んでください。
上端の距離が足りないとき
- いちばん上のボタンを外す(上端が1〜2cm下がる)
- 襟の後ろ側を少し寝かせ、首から離すように手で整える
- 中に着るものの首元を低いものに変え、首の見える面積を増やす
Vの深さが足りないとき
- ボタンを1つ外して、Vの底を1段下げる
- 中に着るものを、コートの襟の内側に収まる深さのVネックにする
- 細長いマフラーやストールを首にかけて、両端を前にまっすぐ垂らす
襟先が横を向いているとき
- 襟先の角を指で軽く内側に折り、角の線を少し丸く見せる
- ブローチや襟留めをラペルの角の少し下につけ、目の止まる位置をあごの線から離す
これらは、どれも1分でできる手当てです。全部やる必要はなく、自分の数字でいちばん足りないところから1つだけ試してください。
襟の色と素材で、横の線の強さを弱める
襟の形を変えられないときは、横の線そのものの強さを下げる方法があります。線の強さは、襟の上端と、その上に見える首や肌との色の差で決まります。
色の差が大きいほど、線ははっきり見えます。白い肌に黒いコートの襟が当たると、上端の線は濃く、遠くからでも目に入ります。同じ形でも、肌の色に近い明るさのベージュやグレーの襟なら、上端の線はぼやけて見えます。
上端の距離が3cmに届かないコートを持っているなら、そのコートを着る日は、中に襟の色と肌の間の明るさの服を挟んでください。黒いコートなら、中にグレーのタートルを着ると、黒から肌へ一気に変わる線が、黒からグレー、グレーから肌への2段階に分かれます。横の線が1本の強い線から、2本の弱い線になります。
素材も同じように効きます。表面に光沢のある生地や、毛足が立ったウールは、上端のふちで光や影が変わるので、線がくっきり出ます。表面がなめらかでつやの少ない生地は、ふちの線がおだやかです。
中に着る服の首元とセットで考える
コートの襟だけを見て選ぶと、家に帰って手持ちのトップスと合わせたときに、思っていたのと違うことがあります。コートの首元と中の首元は、1つの組み合わせとして考えてください。
組み合わせのルールはひとつだけです。いちばん高い横の線を1本にする。
- コートの襟が高い(上端が下顎角から3cm前後)なら、中はVネックやクルーネックなど、コートの襟の内側に収まる低い首元にする
- コートの襟が低い(上端が下顎角から5cm以上下)なら、中にタートルネックを合わせてもよい。ただしタートルの折り返しの上端を、下顎角から2cm以上離す
- ノーカラーのコートなら、中の首元がそのままいちばん高い線になるので、中の服で物差し①と②を測り直す
コートの襟の上端と、中の服の首元が、ほぼ同じ高さで並ぶと、横の線が2本重なって太く見えます。高さを2cm以上ずらすか、どちらか一方だけを高くすると、線は重ならずに済みます。
朝、出かける前にコートを羽織ったら、鏡でいちばん高い横の線がどれかを指でさしてみてください。それが1本だけで、下顎角から3cm以上下にあれば、その日の組み合わせは問題ありません。
秋のコートと冬のコートで、見る順番を変える
季節によって、エラまわりで一番気をつける場所が変わります。
秋の薄手のコートは、襟先の向き
トレンチコートやステンカラーなど、秋の薄手のコートは、襟が大きく、襟先の角がはっきりしているものが多いです。ベルトを締めて前を閉めると、襟先が横に張り出しやすくなります。秋は物差し③を最初に見てください。
冬のウールコートは、上端の高さ
冬の厚手のウールコートは、生地が厚いぶん、襟が首に沿って立ち上がりやすくなります。上端が秋のコートより1〜2cm高くなるのはよくあることです。冬は物差し①を最初に見てください。
真冬のダウンは、襟の厚み
ダウンは襟そのものに厚みがあり、上端が低くても首まわりがふくらみます。襟の厚みが3cmを超えるダウンは、上端の距離を測るときに厚みのぶんを差し引いてください。前を開けて着る日が多い人は、開けたときに襟が肩へ寝るものを選ぶと、エラまわりがすっきりします。
買う前に売り場で確かめる3つの動き
試着室の鏡の前では、まっすぐ立った正面だけを見がちです。実際に人から見られる場面に近い動きを3つ足してください。
① ボタンを全部留めて、正面で測る
上端の距離とVの深さを測ります。ここで3cmとエラ幅を満たさないなら、②③に進む前に、どのボタンを外せば満たせるかを確かめておきます。
② 前を開けて、斜め45度から見る
鏡を斜めに置くか、試着室の合わせ鏡を使って、横から見た襟の後ろ側の高さを確かめます。後ろの上端が耳の下まで来ていないかを見るためです。
③ バッグを肩にかけて、下を向く
バッグを肩にかけると、肩の側の襟が押し上げられて、片側の上端が上がります。そのまま足元を見るように下を向くと、あごが襟に近づきます。この状態で、あごと襟の間に指が1本入る余裕が残るかを確かめてください。余裕がなければ、毎日の通勤の場面で横の線ができやすいコートです。
境目に迷ったら、悪いほうの数字で選ぶ
ここまでの物差しは、どれも「3cm」「エラ幅」といった1本の線です。実際の体は、日によって姿勢も、中に着る服も変わります。
閉めた状態で満たすけれど、開けた状態では満たさない。正面では満たすけれど、横からでは満たさない。こうした境目のコートに迷ったら、悪いほうの状態で数字を満たすかどうかで決めると、買ったあとに「やっぱりエラが気になる」と感じる日が減ります。
それでも迷う1着があるなら、そのコートで一番よく着る場面を思い浮かべてください。通勤で前を閉めることが多いなら閉めた状態の数字、休日に開けて羽織ることが多いなら開けた状態の数字を優先します。
エラは顔の形の一部で、服で消すものは形ではなく、見え方です。襟の上端を3cm離し、Vをエラ幅まで深くする。この2つを覚えておけば、秋冬のコート選びで、顔の下半分のことを毎回悩まずに済みます。
秋冬のほかの失敗や、髪・小物まで含めた直し方はエラ張ってる人の秋冬の失敗にまとめています。
よくある問い
- Q. エラが張っているとスタンドカラーのコートは着られませんか
- 着られます。決め手は襟の高さではなく、襟の上端と下顎角の距離です。立ち上がりが低く、上端が下顎角から3cm以上下で止まるなら問題ありません。上端があごの角と同じ高さまで来る形は、前を1つ開けて合わせ目を下げるか、細いマフラーを縦に垂らして縦の線を足してください。
- Q. エラ幅はどうやって測ればいいですか
- 正面から鏡を見て、耳たぶの下から指をあごの線に沿って前へ動かし、線の向きが変わる点に左右それぞれ印をつけます。その2点の間を定規で鏡越しに測ってください。鏡に映った長さは実際とほぼ同じとして扱って大丈夫です。おおむね9〜12cmの間に収まる人が多く、この数字がVの深さの目安になります。
- Q. ショールカラーなら誰でもエラが目立ちませんか
- 多くの場合は効きますが、襟幅が広く、襟の外側の端が肩の先まで張り出す形は、横幅の線が強くなって逆に顔の下半分が大きく見えることがあります。襟の外端が肩の先より内側で終わっていて、合わせ目があご先から12cm以上下にあるものを選んでください。
- Q. フード付きのコートはエラ張りに向きませんか
- フードを背中に下ろした状態で、フードの縁が首の横に立ち上がるかどうかを見てください。縁が耳の下まで立つ形は、下顎角の真横に厚みが出て幅が強調されます。縁が肩に寝て、首の横が見える形ならエラは目立ちにくくなります。
— メグラシ編集部





