シニアファッション70代|杖や荷物で手がふさがるかで上着の丈を分ける

**外を歩くとき、あなたの手はふさがっていますか。**杖、手押し車、買い物袋、どれか一つでも片手を使っている日が週の半分を超えるなら、上着の丈はお尻の下で止めてください。腰骨からお尻のいちばん下までに裾がくる、短めの上着があなたの基本になります。
反対に、両手が空いたまま歩く日が多い人は、膝にかかる長めの上着で太ももとお尻の冷えを止めます。床から裾までがおよそ50cm、立ったときに膝のお皿が隠れるくらいの丈です。
70代の上着選びで答えを分けるのは、年齢でも体型でもなく、歩くときの手の状態です。手がふさがる人に長い丈を、手が空く人に短い丈を選ぶと、それぞれ別の困りごとが出てきます。この記事では、その分かれ目を自分の外出に当てはめて決められるように書いています。
70代の服選び全体の物差しは70代からのファッションの選び方に、身長150cm前後の丈の決め方は70代・150cmのファッションにまとめてあります。羽織りの重さと袖口は70代 ファッション 秋で扱いました。この記事は、冬の上着の丈と前あきに絞ります。
結論:手がふさがる日の数で、上着の丈を決める
先に早見の表を置きます。表は答えの一覧ではなく、どの軸で分かれるかを見るためのものです。
| 歩くときの手 | 上着の丈 | 前あき | 冷えの止め方 |
|---|---|---|---|
| 両手とも空く | 膝にかかる長め(床から裾まで約50cm) | ボタンでも留められる | 上着の丈で止める |
| 片手がふさがる(杖・袋) | お尻の下で止まる短め | 留めなくても開かない | 中の一枚で腰を覆う |
| 両手がふさがる(手押し車・両手の荷物) | 太ももの付け根で止まる短め | 重なりが深く、左右に広がらない | 中の一枚と、下の厚手 |
週に7日のうち、ふさがる日が4日以上なら下の2段、3日以下なら上の段を基本にします。ちょうど半々の人の決め方は、後ろの見出しで扱います。
なぜ手がふさがると、長い丈が歩きを乱すのか
杖をつくとき、杖の先は足の少し前、体の横に出ます。膝より下まで裾がある上着だと、歩くたびに裾が揺れて杖の軸に触れます。触れた瞬間に杖の位置がずれ、体重を預けるつもりだった支えがわずかに逃げる。この小さなずれが、70代の外歩きではいちばん避けたいものです。
買い物袋も同じです。片手に袋を提げると、袋は太ももの横で揺れます。長い裾と袋が擦れ合うと、袋が前後に振られ、それを止めようとして体がねじれます。
手押し車では、取っ手と体の間が近いので、前が開いた長い上着は取っ手に布がかかります。押すたびに裾を引っぱられるので、歩幅が小さくなります。
つまり手がふさがる人の上着は、手が持っているものと裾が触れない長さで決まります。似合う丈の話より先に来る条件です。
両手が空く人|膝にかかる長めで冷えを止める
手ぶらで歩ける人は、上着の丈で冷えを止めるのがいちばん簡単です。70代になると、太ももの前とお尻の下が冷えやすくなります。座ったとき、立ち上がったとき、ここが冷えていると腰まわりがこわばって、一歩目が出にくくなります。
膝にかかる丈の上着なら、立っているときも座っているときも、太ももの上半分を覆えます。目安は、立ったときに膝のお皿が半分以上隠れる長さです。床から裾までを測ると、身長150cmの人でおよそ48〜52cm、160cmの人で52〜56cmになります。
この丈で気をつけたいのは重さです。長い上着は布が多いぶん重くなります。ハンガーごと片手で持ち、肘を曲げたまま10秒持っていられるかを試してください。腕が下がってくるなら、肩にもその重さが一日かかります。
片手がふさがる人|お尻の下で止める短め
杖を使う人、片手で買い物袋を提げて歩く人は、裾がお尻のいちばん下で止まる丈を基本にします。腰骨より下、太ももの付け根より上。この範囲なら、杖の軸にも袋にも触れません。
測り方は簡単です。鏡の前で横を向いて立ち、お尻のいちばん出ているところから指3本ぶん下に印をつけます。肩の縫い目から、その印までの長さが上着の着丈の上限です。身長150cm前後なら約62〜66cm、160cm前後なら約66〜70cmが多くなります。
短い丈で見落とされやすいのが、腰の冷えです。上着で覆えないぶん、中で覆っておきます。
- 腰骨が隠れる丈の肌着を一枚
- 背中からお尻の上まで覆う、丈の長いベスト
- お腹から腰まで覆う薄手の腹巻き
このどれか一つを入れておけば、短い上着でも寒さが残りにくくなります。
両手がふさがる人|太ももの付け根で止め、前を深く重ねる
手押し車を使う人、両手に荷物を持って帰ることが多い人は、丈をさらに少し短くします。押しているときに体がわずかに前へ傾くので、そのときに裾が太ももの付け根で止まる長さが目安です。立ってまっすぐの姿勢で測ると、お尻のいちばん下からさらに指2本ぶん上になります。
もう一つの条件は前の重なりです。両手で取っ手を握っていると、前が開いたときに直すことができません。体の中心で左右の布が10cm以上重なるもの、または前を留めていなくても重みで裾が下に落ちる布を選びます。軽すぎる布は風で左右に開くので、手押し車の人には向きません。
前あき|留めなくても開かないものを選ぶ
手がふさがる人にとって、外でボタンを留め直すのはいちばん難しい動作です。杖を脇に挟む、袋を地面に置く、そのどちらも体の重心を崩します。
だから前あきは、家を出るときに一度留めたら、帰るまで触らなくて済むものを選びます。
| 前あきの形 | 手がふさがる人に向くか | 理由 |
|---|---|---|
| ボタンが上から下まで細かく並ぶ | 向きにくい | 一つ外れると直せない |
| 大きなボタンが2〜3個 | 向く | 指先だけで留め外しできる |
| 前を重ねて紐で結ぶ | 向きにくい | 結び目が歩くうちにゆるむ |
| ファスナー(下に留め具が付く) | 片手なら向く | 一度上げれば開かない。差し込みは家で |
| 留め具なし・重みで落ちる布 | 両手がふさがる人に向く | 触らなくても前が閉じている |
ファスナーは、下の差し込みを家の中で済ませておけば、外では引き上げるだけです。指先がこわばる日が多い人は、つまみに輪を付けておくと引き上げやすくなります。
ポケットの位置|手を入れずに中身が出せるか
手がふさがる人の上着は、ポケットの位置も選ぶ条件になります。腰の横についた深いポケットは、杖を持った手では届きにくく、反対の手は袋でふさがっていることがあります。
見るのは次の2点です。
- **胸か脇腹の高さに、片手で開けられるポケットがあるか。**鍵や乗り物の券をここに入れておくと、立ち止まらずに出せる
- **ポケットの口が、歩いているあいだに開かないか。**蓋か留め具があるものなら、中身が落ちにくい
手が空く人は、腰の位置のポケットで困りません。そこに手を入れて歩けると、手袋を忘れた日でも指先が温まります。
バッグの掛け方|上着の丈と一緒に決める
上着の丈が決まったら、バッグの掛け方も合わせて決めます。ここを別々に選ぶと、せっかく短くした丈が台なしになります。
片手がふさがる人は、斜めに掛ける小さなバッグを、杖を持つ手と反対側の腰に来るように掛けます。上着の裾より上にバッグの底が来る長さに紐を調整してください。裾より下にバッグが下がると、歩くたびに裾をめくり上げてしまいます。
両手がふさがる人は、背中に背負う形が向きます。手押し車に荷物を載せる人も、財布と鍵だけは体に付けておくと、車から離れたときに困りません。
手が空く人は、肩に掛けるバッグでも手提げでも構いません。ただし長い上着の上から肩掛けにすると、肩の布が擦れて毛玉が出やすくなります。
どちらとも言えない人|手がふさがる日とそうでない日が半々のとき
ここがいちばん迷うところです。普段は手ぶらで歩くけれど、週に2〜3日は買い物袋を提げる。杖は持っているけれど、近所なら使わない。こういう人は少なくありません。
決め方は3段階です。
**1. 冬の外出を一週間書き出す。**どこへ、何で、手に何を持って行ったか。紙に7行書くだけで足ります。
**2. 歩いた時間がいちばん長い外出の手の状態に合わせる。**たとえば、月曜と木曜はバスで通院、手ぶらで15分歩く。水曜と土曜は買い物、袋を提げて20分歩く。このとき長く歩いているのは買い物の日なので、短めの丈を基本にします。
**3. 基本にしなかった側に、もう一枚を用意する。**短めを基本にしたなら、手ぶらで出かける日用に膝丈を一枚。長めを基本にしたなら、荷物の日用にお尻の下までの一枚。冬の上着は、この2枚で回ります。
2枚目を買い足すのが難しいときは、短めの1枚に絞ってください。短い丈の冷えは中の一枚で補えますが、長い丈が杖や袋に触れる問題は、外では補えないからです。
車で出かける日が多い人
自分で運転する人、家族の車で送ってもらう人は、乗り降りの動きも見ておきます。長い上着は、座席に座ったとき裾をお尻の下に敷き込みます。敷いたまま降りようとすると、裾が引っぱられて立ち上がりにくくなります。
車の日が多い人は、短めの丈か、後ろの裾に切れ込みが入った長めの上着が向きます。切れ込みの深さが15cm以上あれば、座ったときに裾が左右に逃げます。
車を降りてから長く歩く日、たとえば駐車場から病院の受付まで距離がある日は、手の状態のほうで判断してください。
寒さが本格的になる時期の重ね方
冬の立ち上がりは、上着の中を何枚重ねるかで調整します。上着そのものを日替わりで変えるより、中で調整するほうが、手がふさがる人には楽です。
| 外の空気 | 手が空く人(長め) | 手がふさがる人(短め) |
|---|---|---|
| 朝晩ひんやり、日中は過ごしやすい | 上着の中はシャツか薄手のニット | 中にベストを足して腰を覆う |
| 一日中冷たい | 中は厚手のニット | ベストに加えて、裏の起毛した下 |
| 風が強い・雪がちらつく | 首にマフラー、手袋 | 首元が高い上着か、留めずに済むネックウォーマー |
手がふさがる人の首元は、巻く布よりも筒状のものが扱いやすくなります。巻いた布は歩くうちにゆるみ、直すには両手が要るからです。
下半身の冷えには、腰のゴムまわりの選び方も関わります。70代 ファッション 秋冬では、ゴムのウエストを上着の裾で隠すかどうかの決め方を書いています。短めの上着を選ぶ人は、合わせて読んでください。
色|手がふさがる人ほど、色は自由に選べる
上着の色は、丈と前あきが決まってから選べば十分です。手がふさがる人の上着は形の条件が多いので、色まで地味にしてしまいがちですが、短い丈は面積が小さいぶん、明るい色を選んでも派手に見えにくくなります。
白髪が増えてきた人は、髪よりやや暗い明るさの、灰みを含んだ色が顔まわりを沈ませにくくします。灰みのある青、深い緑、紅茶のような茶色。黒は輪郭が強く出すぎることがあるので、顔に近い上着より、下のズボンやスカートに回すほうが扱いやすくなります。
夕方に出かける人は、上着か帽子に明るい色を一か所入れておくと、車や自転車から見つけてもらいやすくなります。
買う前に、売り場と家で確かめる4つ
最後に、上着を手に取ったときに確かめる順番をまとめます。
- **着丈を測る。**肩の縫い目から裾まで。自分で決めた上限(片手がふさがる人ならお尻の下まで)に収まるか
- **片手で重さを確かめる。**ハンガーごと持って、肘を曲げたまま10秒持てるか
- **前あきを片手で試す。**利き手でない方の手だけで、留め具を一つ留められるか
- **家で杖や袋を持って歩く。**廊下で三歩。裾が杖や袋に触れないか
4番目は売り場ではできないので、買ったあとに家で試してください。触れるようなら、車の日や会食の日の上着に回せば無駄になりません。
まとめ:上着は、手の状態から決める
- 手がふさがる日が週の半分を超えるなら、上着の裾はお尻の下で止める
- 両手がふさがるなら、太ももの付け根で止め、前の重なりを深くする
- 手が空く人は、膝にかかる丈で冷えを止める
- 半々の人は、いちばん長く歩く外出の手の状態に合わせ、もう一枚で反対側を補う
- 短い丈の冷えは、中の一枚で止める
上着の悩みは、似合うかどうかより先に、歩きやすいかどうかで答えが出ます。冬の外出を一週間書き出すところから始めてください。
よくある問い
- Q. 杖を使い始めたら、手持ちのロングコートはもう着られませんか
- 着られます。ただ、杖を持つ側の裾が、杖をついたときに膝より下で揺れていると、杖の先と裾が絡みやすくなります。家の廊下で杖をついて三歩歩き、裾が杖に触れるかを一度確かめてください。触れないなら、そのまま着て構いません。触れるなら、車で出かける日や人と会って座っている時間が長い日に回し、歩く距離が長い日は短めの上着にするという使い分けで十分です。
- Q. 短い上着だと腰やお尻が冷えませんか
- 冷えます。だから短い上着にする人ほど、中で腰を覆っておくのが先です。腰骨が隠れる丈の肌着か、お腹から腰まで覆う薄手の腹巻き、あるいは丈の長いベストを中に一枚入れてください。上着の丈で冷えを止めるのではなく、中の一枚で止める考え方に切り替えると、手がふさがる日でも短い丈を選べます。
- Q. 手押し車を使っています。上着で気をつけることはありますか
- 手押し車は両手で押すので、前が開いて左右に広がる上着だと、取っ手と体の間に布がはさまります。前を閉じたときに体の中心で重なる幅が深いもの、または留めずに着ても裾が左右へ開きにくい、少し重みのある布を選んでください。丈は、押しているときに太ももの付け根で止まる長さが目安です。座る部分の付いた手押し車なら、腰を下ろしたときに裾を敷かないかも合わせて確かめます。
- Q. 家族から地味だと言われます。手がふさがる人でも色は選べますか
- 選べます。手がふさがる人の上着は形の条件が多いぶん、色は自由です。むしろ短い丈の上着は面積が小さいので、明るい色を着ても派手に見えにくい利点があります。白髪が増えているなら、髪よりやや暗い明るさの、灰みを含んだ青や緑、紅茶のような茶色から一枚試すと、顔まわりが沈みにくくなります。
— メグラシ編集部





