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70代からのファッションの選び方|変わったのは年齢ではなく一日の動線。5つの物差しで手持ちを測る

メグラシ編集部//読了 9分
秋のやわらかい光が、椅子の背に掛けた前開きの一枚と、床に置いた歩きやすい靴を斜めに照らしている

秋の外出が増える時期になると、手持ちの服を前にして「これはもう違う気がする」と感じることがあります。けれど、違って見えている理由が服の側にあるのか、自分の一日の過ごし方が変わったからなのかは、並べただけでは分かりません。

年齢の数字は、服を決めてくれません。決めているのは、一日のあいだに体がどこをどう動くかのほうです。同じ70代でも、週に4日出かける人と、家で静かに過ごす日が多い人では、合う一着がまったく違います。

だから最初にやるのは、服を見比べることではなく、自分の一日を5か所だけ測ることです。

結論:入れ替わったのは体ではなく、一日の動線

70代になって服の感じ方が変わるとき、実際に動いているのは「似合う色」でも「落ち着いた形かどうか」でもありません。腕を上げる高さ、椅子から立つ回数、続けて歩く分数。この3つが先に入れ替わり、服の当たる場所がそれについて動いています。

だから、できなくなったのではありません。当たり方が変わったので、合わせ方のほうを動かす。それだけで同じ形がまた着られることは、よくあります。

一日を測る5つの物差し

直近でいちばん出かけた一日を思い出しながら、5つだけ数えてください。所要5分です。

物差し数えるもの服のどこに効くか
① 腕の高さ肩より上に手を上げた回数袖ぐりの深さと肩線の位置
② 立ち座り椅子や座席から立った回数前身頃の張りと裾の幅
③ 連続歩行いちばん長く続けて歩いた分数靴の底の厚みと上半身の重さ
④ 屋内の時間明かりの下で過ごした時間の割合顔まわりに置く色の明るさ
⑤ 洗濯の間隔洗ってから次に着るまでの日数手入れの手数と、同じ役割の枚数

数えた5つは、そのまま手持ちを並べ替えるための順番になります。

① 腕の高さ ── 袖ぐりと肩線を先に見る

肩より上に手を上げる場面は、棚の上のものを取る、電車やバスで手すりを持つ、洗濯物を干す、髪をまとめる、といったところです。

上げる回数が1日3回以下なら、袖ぐりが浅く体に沿った形でも一日もちます。4回以上あるなら、袖ぐりの底が脇の下から指2本ぶん下に落ちているものを選んでください。腕を上げたときに、服の全体が一緒に持ち上がらなくなります。

肩線の位置も同じところで効きます。肩の骨の先より外へ2cm以上落ちている形は、腕を上げると布が肩に溜まります。**肩線が落ちた形を着る日は、中に重ねるものを一枚薄くして、肩の上の厚みを減らしてください。**同じ服の窮屈さが変わります。

② 立ち座り ── 前身頃と裾幅

椅子から立つ回数が多い日は、座った姿勢で服がどこに当たるかが一日を決めます。

見るのは2か所です。座ったときに前を留めたままでいられるか。そして、立ち上がるときに裾が膝の前で突っ張らないか。

スカートやワンピースなら、座った状態で膝の前に手のひら1枚分のゆとりがあるかどうか。パンツなら、座ったときに腰のうしろが下がらないか。この2つが通ると、立ち座りの多い日でも服を直す動作が減ります。

立ち座りの回数向く形理由
0〜3回どの形でもよい姿勢が変わる回数が少ない
4〜8回前が開く、または伸びる素材座るたびに留め直さずに済む
9回以上裾に広がりのある形立ち上がる動作で布が追いつく

③ 連続歩行 ── 上ではなく下から整える

いちばん長く続けて歩いた時間が10分を超える日は、上半身より先に足元を決めてください。

続けて歩く日に効くのは、靴の底の厚み、中敷きの当たり、靴下の厚さの3つです。この3つが整っていないと、上半身をどれだけ軽くしても歩く時間の負担は変わりません。

上半身の重さは、そのあとで調整します。続けて歩く日は、肩に重さが乗るもの、つまり厚い上着と重い鞄の合計を減らす。鞄を斜めに掛けるか、背負う形に替えるだけでも、肩の上の重さの掛かり方が変わります。

歩く時間が長い日にもうひとつ見ておきたいのが、裾が足に当たる高さです。前に足を出したときに裾が膝の前で当たると、その一歩ごとに布を押し出すことになります。長い丈を着る日は、歩幅が大きくなる場面がどれだけあるかを先に考えて、階段や坂を含む道なら、裾の幅か丈のどちらかを一段動かしておくと楽になります。

④ 屋内の時間 ── 顔まわりの色は明かりで決まる

一日の半分以上を屋内で過ごすなら、顔まわりの色は屋外の光ではなく、室内の明かりの下で選んでください。

同じ色でも、外の光の下と室内の明かりの下では、顔に映り込む明るさが変わります。確かめ方は簡単です。着る予定の服を持って、実際に長くいる部屋へ行き、鏡の前で襟元に当ててみる。顔の輪郭がぼやけて見えるなら、その色は顔から離して、腰から下へ移すと収まります。

秋から冬にかけては屋内で過ごす時間が増えるので、この確かめ方の効き目が上がる時期です。

もうひとつ、屋内の時間が長い日に効くのが、顔まわりの素材の表面です。光をまっすぐ返す面は、明かりの下で顔の近くに置くと強く出ます。細かく毛羽立った面や、織りの目が見える面は、同じ色でも光をやわらげて返します。色を変えずに印象だけ動かしたいときは、色ではなく面のほうを入れ替えると早く決まります。

5つの数字で、手持ちを並べ替える

数えた5つを持って、クローゼットの前で並べ替えます。全部を出す必要はありません。

  1. よく着る上半身の服を、手の届くところから5枚だけ出す
  2. 1枚ずつ、腕を上げてみる。袖ぐりで服全体が持ち上がるものを右に分ける
  3. 椅子に座ってみる。前を留めたままでいられないものを、同じく右に分ける
  4. 右に残ったものは「動かない日の服」。左は「出かける日の服」
  5. 左が3枚に満たないときだけ、足りない役割を1つ書き出す

⑤の洗濯の間隔が長い人は、ここで「左が3枚」を目安にしてください。洗って戻るまでの日数のあいだに、出かける予定が入ることがあるからです。間隔が短い人は2枚でも回ります。

この並べ替えで大事なのは、右に分けたものを処分しないことです。右は「合わなくなった服」ではなく「動きの少ない日に向いている服」です。役割を書き換えるだけで、手持ちの数は減らずに済みます。

⑤ 洗濯の間隔 ── 枚数は手数で決まる

洗ってから次に着るまでの日数が短いほど、同じ役割の服は少なくて足ります。長いほど、同じ役割を2枚以上持っておく必要があります。

見るのは日数だけではなく、手入れの手数です。洗って干すだけで戻るものと、形を整える手間が要るものとでは、次に着られるまでの距離が違います。手数の多い一着は、手数の少ない一着と組にして持っておくと、着たい日に着られない、ということが減ります。

場面ごとの違い

同じ5つの物差しでも、場面によってどれが先に効くかが変わります。

場面先に効く物差し決めること
近所の買い物① 腕の高さ棚に手を伸ばせる袖ぐり
人と会う食事② 立ち座り・④ 屋内座った姿勢と顔まわりの色
病院や役所② 立ち座り前が開いて、待ち時間に調整できる形
秋の日帰りの外出③ 連続歩行足元と、肩に乗る重さの合計
家で過ごす日⑤ 洗濯の間隔手数が少なく、続けて着られる一枚

よくある行き違い

「年齢に合った服を選べば落ち着く」 ── 年齢は一日の動線を教えてくれないので、ここからは決まりません。同じ年でも、出かける日の多い人と少ない人では、必要な袖ぐりの深さが違います。まず動線を測って、そのあとで好みの形を選ぶほうが早く決まります。

「体に負担がないのは、ゆったりした服」 ── ゆったりしているかどうかより、どこにゆとりがあるかです。袖ぐりと裾にゆとりがあって、肩線が骨の先に乗っている形は、全体が大きい服より動きやすく感じられます。全体を大きくすると、布の量そのものが重さになります。

「着られなくなった服は手放すしかない」 ── 手放す前に、着づらさが出る場面を一度だけ特定してください。腕を上げたときだけなら、中に重ねるものを薄くするだけで戻ることがあります。座ったときだけなら、前を開けて着る形に役割を変えれば残せます。

装いに活かすなら

5つの数字が出たら、手持ちを「よく出かける日に着るもの」と「家で過ごす日に着るもの」の2つに分けてみてください。分けたあとで足りない場所が見えたら、そこだけ1枚足す。全部を見直さなくても、動線に合っていない1枚を入れ替えるだけで、朝に迷う時間が短くなります。

秋は気温が二段で動くので、前が開く薄い一枚が、いちばん多くの場面をまたいでくれます。

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よくある問い

Q. 70代になったら、明るい色は避けたほうがいいですか
避ける必要はありません。見るのは色の明るさそのものではなく、その色をどの距離に置くかです。顔から30cm以内、つまり襟元と肩の上に置く色は、屋内の明かりの下で顔に映り込みます。ここに明るい色を置くと表情がはっきり見えます。一方、腰から下に大きく置いた明るい色は、歩くときに面積が動くので、落ち着かなく感じる人がいます。避けるかどうかではなく、顔に近いところから順に置く場所を決めてください。
Q. 手持ちの服が急に着づらくなりました。買い替えるべきでしょうか
買い替える前に、着づらさが出る場面を一度だけ特定してください。腕を上げたときなら袖ぐりと肩線、座ったときなら前身頃と裾幅、歩いたときなら重さと靴です。この3つのどれかに寄っていることがほとんどで、原因が分かると、直せるものと入れ替えるものが分かれます。肩線が外に落ちているだけなら、中に着るものを薄くして肩の位置を戻すと、同じ一着がまた動きます。
Q. 秋の外出用に一着だけ足すなら、何を選べばいいですか
前が開いて、たたむと両手のひらに収まる厚さの一枚です。9月末から11月は、朝と昼で体感が二段変わるので、脱いだあとに手が空くかどうかが一日の快適さを決めます。選ぶときは3か所を見てください。腕を前に伸ばして肩が突っ張らないか、前を留めて座ったとき裾が突っ張らないか、たたんで鞄に入るか。この3つが通れば、気温が動く時期をまたいで使えます。
Q. 動線を測ると言われても、毎日ばらばらです。どう数えればいいですか
いちばん出かけた日を1日だけ選んで、その日で数えてください。服は、いちばん負担の大きい日に合わせて選ぶほうが破綻しません。ゆっくり過ごす日は、負担の大きい日の服でも十分に足ります。逆にゆっくりした日に合わせると、出かけた日に足りなくなります。月に4日以上ある過ごし方のうち、いちばん動く日を基準にするのが目安です。

— メグラシ編集部

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