服の防虫剤|衣替えでしまう箱は、中の素材と次に開ける日で選ぶ

**いまから衣替えでしまう箱を、1つだけ手前に出してみてください。**中に入れる予定の服の洗濯表示を見て、素材欄に「毛」「絹」「カシミヤ」「アンゴラ」のどれか1つでもあれば、その箱には防虫剤を入れます。なければ、洗ってから入れれば入れなくても構いません。
服の防虫剤で迷う理由は、ほとんどが「どれを、いくつ、どこに」がばらばらに語られているからです。この記事では、それを3つの数字に置き換えます。素材欄の1行、箱の内寸から出すリットル、そして次にふたを開けるまでの月数です。
クローゼット全体に吊るすときの数え方は防虫剤 クローゼット|効く範囲は閉じた容積で決まるに、ニットを畳んで仕舞う前の手順は衣類の防虫剤とニット・ウールの保管にまとめてあります。ここでは、衣替えで箱や引き出しにしまう場面だけを扱います。
結論:素材欄の1行で入れるかを決め、リットルで個数、月数で期間を選ぶ
衣替えの箱に防虫剤を入れるかどうかは、服の枚数や値段では決まりません。決めるのは次の3つです。
| 見るもの | 測り方 | 決まること |
|---|---|---|
| 素材欄 | 洗濯表示の「毛」「絹」など動物の繊維の有無 | 入れるか、入れないか |
| 箱の内寸 | 縦×横×高さ(cm)÷1000 | 何個入れるか |
| 次に開ける日 | しまう日から次の衣替えまでの月数 | どの期間のものを選ぶか |
この順番で決めていくと、売り場で迷う時間がほとんどなくなります。逆に、個数から考え始めると「多めに入れておけば安心」という方向に流れて、においの強い箱ができあがります。防虫剤は多く入れても効き目が長くなるわけではなく、箱の中の薬剤の濃さが保たれる期間は、製品の表示どおりです。
自分の箱がどれに当たるかは、次の3つの問いに順に答えると分かります。
- 箱に入れる服の中に、素材欄に毛・絹・カシミヤ・アンゴラ・アルパカ・モヘア・羽毛のどれかがある服は1枚でもあるか。あれば「入れる箱」、なければ2へ
- 入れる服は、全部しまう前に洗ったか。洗っていない服が1枚でもあれば、先に洗う。洗ったなら3へ
- その箱を、次の衣替えまで一度も開けない予定か。開けないなら「入れなくてもよい箱」、途中で何度も開けるなら「入れておくと安心な箱」
1で「入れる箱」になった時点で、2と3の答えに関係なく入れます。綿と麻だけの箱は、2と3の答えで決めてください。こうして箱ごとに印を付けていくと、家じゅうの箱のうち、防虫剤が本当に必要なのは半分以下、ということもめずらしくありません。
もう1つ、最初に決めておきたいことがあります。においのある種類にするか、ない種類にするかです。家にある箱のうち1つでも、においのある種類が入っているなら、そこに合わせるか、全部出して入れ替えるかを先に決めてください。混ぜるとしみの原因になります(後の表で整理します)。
手順1|洗濯表示の素材欄で、動物の繊維が1%でもあるかを見る
衣類につく虫が好んで食べるのは、動物の毛や絹に含まれるたんぱく質です。洗濯表示の素材欄に次の言葉が1つでもあれば、その服は「入れる側」です。
- 毛(ウール)、カシミヤ、アンゴラ、アルパカ、モヘア、キャメル
- 絹(シルク)
- 羽毛(ダウン・フェザー)、革や毛皮が付いている部分
ここで見落としやすいのが、混率が小さい服です。「毛10%・アクリル90%」のニットも、毛が入っている以上、虫にとっては食べられる部分があります。食べられた跡は毛の多いところから出るので、混率が小さいと被害は小さく済むことが多いのですが、穴が1つ空けば服としては同じことです。1%でも入っていれば、入れる側に数えてください。
反対に、綿・麻・ポリエステル・ナイロン・アクリル・レーヨンだけでできた服は、素材そのものはあまり狙われません。ただし、これには条件があります。汗や皮脂、食べこぼしが残っていないことです。汚れは虫のえさになるので、綿のシャツでも、襟元や袖口に汚れが残ったまましまうと、そこだけ食べられた跡が出ることがあります。
素材欄を見るときに、もう1つ確かめたいのが付属品です。本体が綿でも、衿にウールの縁取りがある、ボタンが角でできている、裏地の一部に絹が使われている、といった服があります。素材欄に「衿:毛」「別布:絹」と分けて書かれていれば、それも入れる側です。
手順2|箱の内寸からリットルを出して、個数を決める
防虫剤は、閉じた空間の中に薬剤が広がって効くものです。だから個数は、服の枚数ではなく、箱の中の空間の大きさで決まります。
測るのは外寸ではなく内寸です。衣装ケースは壁に厚みがあり、引き出し式は奥にレールの分の段差があるので、外寸で計算すると2割ほど大きく出ます。
- メジャーで、箱の内側の横幅・奥行き・深さをcmで測る
- 3つを掛け合わせて、1000で割る(これでリットルになる)
- 防虫剤の袋に書かれた「◯L用」「引き出し1段用(◯Lまで)」の数字で割り、小数点以下は切り上げる
たとえば、内寸が横38cm・奥行き70cm・深さ22cmの引き出しなら、38×70×22=58,520、1000で割って約59リットルです。製品が「1個で50Lまで」なら、59÷50で1.2、切り上げて2個になります。
数字で出すと、多くの家庭用の衣装ケースは1個か2個で足りることが分かります。浅い引き出しなら1個、深い衣装ケースや押し入れ用の大きな箱で2個、というのが目安です。
製品の表示が「引き出し用」「衣装ケース用」「押し入れ用」と用途で書かれていて、リットルの数字が小さく添えてあるだけ、ということもあります。その場合でも、用途の名前よりリットルの数字を優先してください。同じ「衣装ケース用」でも、深型と浅型では中の空間が倍近く違います。
押し入れの中に衣装ケースを積み重ねている場合は、ケース1つずつを別の空間として数えます。押し入れ全体の大きさで個数を出して、押し入れの床にまとめて置く、という置き方では、ふたの閉まったケースの中まで薬剤は届きません。反対に、ふたのない棚や、布をかけただけの箱を押し入れに並べているなら、押し入れ全体を1つの空間として数え、上の段に置きます。
紙の箱にしまう場合も、内寸の測り方は同じです。ただ、紙の箱はすき間が多く、薬剤が外へ逃げやすいので、表示の期間より短めに見積もってください。継ぎ目をテープでふさいでおくと、多少は長持ちします。湿気を吸いやすいので、長く置く箱には向きません。半年以上しまうなら、ふたの閉まるケースに移すほうが安心です。
リットルの計算がどうしても面倒なときのために、ひとつ目安を置いておきます。一般的な引き出し式の衣装ケースで、深さが20cm前後なら1個、30cm前後なら2個。押し入れ用の大きな箱で、腕を伸ばしても底に手が届きにくい深さなら2〜3個。ここから外れる大きさの箱は、一度だけ測ってふたに書いておけば、次の衣替えからは測らずに済みます。
手順3|次にふたを開けるまでの月数を数えて、期間を選ぶ
防虫剤には、効き目の期間が書かれています。半年用、1年用といった分け方が多く、同じ大きさでも期間で中身の量が違います。
選び方は、しまう日から次にその箱を開ける日までの月数を数えて、それより長い期間のものを選ぶ、これだけです。秋の衣替えで夏物をしまうなら、次に開けるのは春から初夏の衣替えで、およそ7〜8か月後になります。半年用だと、最後の1〜2か月は効き目の切れた状態で置かれることになります。
一方で、秋に冬物を出したあとの箱は、空になるか、夏物が入るかのどちらかです。空になる箱に防虫剤は要りません。前の季節から入っていた防虫剤は、効き目が残っていても、空の箱に入れっぱなしにしないほうが、次に何を入れたか分からなくなる事態を防げます。
期間の数え方で迷いやすいのは、箱を途中で開ける場合です。開け閉めのたびに薬剤は外に逃げるので、効き目の期間は表示より短くなります。目安として、月に1〜2回開ける箱なら表示の期間の8割、毎週開ける箱なら半分ほどで数えておくと、切れたまま置く期間を作らずに済みます。
置く場所|服の上、ふたに近いところに置く
防虫剤の薬剤は、空気より重く、上から下へと広がっていきます。だから置く場所は、服のいちばん上です。箱の底や、服と服の間に挟むと、そこから上の部分に薬剤が届きにくくなります。
置き方のこまかい決まりは、次の3つです。
- 小袋は、たたんだ服の上に直接置く。2個入れるなら、箱の左右の端に分ける
- 服に直接触れさせたくないときは、薄い紙を1枚はさんでから置く
- ふたの裏に貼り付けるタイプは、ふたを閉めたときに服から3cm以上離れる位置に
もう1つ、置き場所で大事なのが、除湿剤との位置関係です。湿気は下にたまるので、除湿剤は箱の底や隅に、防虫剤は上に、と分けてください。同じ場所に重ねると、どちらかの働きが弱くなります。
着物や帯を一緒にしまう場合は、たとう紙に包んだまま、その上に防虫剤を置きます。着物は絹が多く、金糸や銀糸、箔の入った帯もあるので、においのない種類を選ぶか、袋の注意書きで使えるかを確かめてから入れてください。
夏物をしまう箱|綿・麻だけなら、先に汚れを落とす
秋の衣替えでしまうのは、夏物です。夏物は綿・麻・化繊が多く、手順1で見たとおり、素材だけを見れば防虫剤が要らない服がほとんどです。
ここで手を抜きたくなるのですが、夏物には別の問題があります。汗を最も吸った季節の服だということです。見た目にはきれいでも、脇や襟、背中には皮脂が残っていることが多く、それが半年以上かけて黄ばみになったり、虫のえさになったりします。
夏物をしまう前の段取りは、次の順です。
- 一度でも着た服は、しまう前にもう一度洗う。着たまま夏の終わりまで掛けていた服も同じ
- 洗ったあと、厚手のものは丸1日、薄手でも半日は乾かす。手で触って冷たく感じるうちは、まだ湿っている
- クリーニングから戻ったものは、ビニールを外して半日ほど風に当ててから入れる
- 素材欄を見て、毛・絹の入った服(夏用のウールのパンツ、絹のブラウスなど)があるかを確かめる
4で1枚でも見つかったら、その箱は入れる側です。夏用のウールのパンツや、絹混の薄いニットは、夏物の中に紛れて見落とされやすいので、素材欄で確かめてください。
すべて綿・麻・化繊で、洗ってから入れるなら、防虫剤を入れなくても構いません。入れておくと安心だという気持ちで入れるのも、もちろん自由です。その場合は、においのないタイプを1個だけ、と決めておくと、次の春に出したとき、すぐに着られます。
夏物の中で、とくに見落としやすいのが帽子とストールです。夏の帽子は麻や紙の素材が多い一方で、内側の汗止めのテープに革や毛が使われていることがあります。薄手のストールも、見た目は綿のようでいて、素材欄を見ると絹混だった、ということがよくあります。小物は洗濯表示のタグが小さく、縫い目の内側に隠れていることも多いので、裏返して探してください。小物を1つの袋にまとめ、その袋を毛や絹の服と同じ箱に入れておくと、どの箱に入れたか迷いません。
冬物を出す箱|においを抜いてから、空いた箱をどうするか
秋の衣替えでは、しまうのと同時に、冬物を出します。ここでよく困るのが、出した服のにおいです。
においのある防虫剤(樟脳・ナフタリン・パラジクロルベンゼン)を使っていた場合、服のたたみ目の内側へにおいがこもります。抜き方は次のとおりです。
- たたみ目を開いて、ハンガーに掛ける
- 風の通る日陰に、半日から1日置く
- 直射日光には当てない(色が変わったり、毛が傷んだりする)
においのないタイプを使っていた場合も、箱の中のこもった空気のにおいは残るので、出した日の晩に一度掛けておくと、翌朝には気にならなくなります。
冬物を出したあとの箱は、3つに分かれます。
- 空になる箱:前の防虫剤を取り出して、ふたを開けたまま半日ほど置いてから片付ける
- 夏物を入れる箱:前の防虫剤の種類を確かめる。においのある種類なら、新しく入れるものも同じ種類にするか、においのないタイプに統一する
- 冬物の一部を残す箱(着る回数の少ない礼服や厚手のコートなど):期間がまだ残っていても、出し入れでふたを開けたなら、残りの期間は短めに見積もる
いちばん失敗が起きやすいのは、2つめです。前の季節に入れた防虫剤が箱の底に残っていて、その上に別の種類を置いてしまう。これを防ぐには、冬物を出した時点で、箱の中を一度空にすることです。
空にしたら、箱の底を固くしぼった布で拭いて、ふたを開けたまま半日ほど乾かします。底に糸くずや綿ぼこりがたまっていると、そこが次の季節の虫のすみかになるからです。とくに、引き出しの奥の角、ふたの溝、キャスターの付け根は、ほこりがたまりやすい場所です。
冬物を出すときは、1枚ずつ広げて、穴や毛羽立ち、色の抜けた点がないかも見てください。もしあれば、その服が入っていた箱は、防虫剤の期間が切れていたか、しまう前の汚れが残っていた可能性があります。次にしまうときに、その箱だけ期間の長いものに変える、しまう前の洗濯を念入りにする、と手を打てます。出す日は、しまう日の答え合わせの日でもあります。
混ぜてはいけない組み合わせ
防虫剤には、成分の違ういくつかの種類があります。同じ箱に入れてよいかどうかは、次の表で確かめてください。
| 成分(袋の表示) | におい | 同じ箱に入れてよいもの |
|---|---|---|
| ピレスロイド系 | ほぼない | どの種類とも可 |
| 樟脳 | ある | ピレスロイド系だけ |
| ナフタリン | ある | ピレスロイド系だけ |
| パラジクロルベンゼン | ある | ピレスロイド系だけ |
においのある3種類のうち、2つを同じ箱に入れると、薬剤が溶けて液体になり、服にしみが出ることがあります。いちど出たしみは、洗っても落ちにくいことがあります。
迷ったときの決め方は1つです。家の中の箱を、全部同じ種類にそろえる。においのないタイプにそろえておけば、どの箱に何を入れたかを覚えておく必要がなくなります。
金糸・銀糸・ラメの入った服や、金属のボタン・飾りが付いた服は、においのある種類の一部で色が変わることがあります。こうした服をしまうときは、袋の注意書きで「金糸・銀糸に使用不可」とあるかを確かめてください。分からない場合は、においのないタイプを選ぶか、紙に包んで薬剤から離して置きます。
どちらとも取れるとき①|ウールが少しだけ入った混紡
素材欄に「毛5%」「毛15%」と小さく書かれたニットやスカートは、入れるべきか迷う代表です。
答えは手順1のとおり、入れる側です。ただ、ここで迷う人が気にしているのは、「この1枚のためだけに防虫剤を買うのか」ということだと思います。その場合は、次のどちらかで考えてください。
- 同じ箱に、ほかにも毛や絹の服があるか → あるなら、迷う必要はなく入れる
- この1枚しか動物の繊維がない → この1枚を、毛や絹の服が入るほかの箱に移す
箱を素材で分けてしまう、という考え方です。毛と絹の入った服を1つの箱に集め、そこにだけ防虫剤を入れる。綿・麻・化繊だけの箱は、洗ってから入れて、防虫剤なしにする。こうすると、防虫剤の個数も、においのする箱の数も減ります。
箱を分けられない場合、たとえば引き出しが1段しかないときは、混紡の1枚を箱のいちばん上、防虫剤のすぐ下に置いてください。薬剤は上から広がるので、上に置いた服ほど早く、濃く届きます。
素材欄の書き方で迷うこともあります。「毛」とだけあればウールのことです。「獣毛」「その他の獣毛」と書かれていれば、カシミヤやアンゴラなどウール以外の動物の毛を指します。「指定外繊維(テンセル)」のように、かっこの中に名前が入っているものは、植物由来か合成の繊維なので、動物の繊維には数えません。分からない言葉があったら、その服だけを動物の繊維の箱に入れておくのが、いちばん失敗の少ない決め方です。
それから、混紡で迷う服の多くは、秋口に羽織るカーディガンや、薄手のニットです。こうした服は衣替えのたびに出し入れされるので、しまう期間が短く、着る期間が長いという特徴があります。しまうのが2〜3か月だけなら、半年用を1個、その服の真上に置けば足ります。長く眠らせる冬物用の箱とは分けて考えてください。
どちらとも取れるとき②|夏物と冬物が、同じ箱に入る
収納の数が限られていると、夏物と冬物を1つの箱に入れて、季節で上下を入れ替える、という使い方になります。この場合は、ふたを開ける回数が年に何度もあるので、効き目の数え方が変わります。
決め方は次のとおりです。
- 冬物の中に毛や絹があるなら、箱全体を入れる側として扱う
- 季節の入れ替えでふたを開けた日を、防虫剤を替える日にする
- 入れ替えの日に、上に来る服(これからしまう側)を毛・絹にして、防虫剤をその上に置く
同居の箱でいちばん起きやすいのは、防虫剤が底に埋もれることです。入れ替えのときに服を出し入れすると、上に置いていた小袋が下にずれ、そのまま次の季節を迎えます。入れ替えのたびに、一度小袋を取り出して、最後に上に戻す、と決めておいてください。
それから、同居の箱では、夏物の汚れが冬物に移ることがあります。夏物をしまう前の洗濯(前の章の手順)は、ここでは特に省かないでください。
どちらとも取れるとき③|次に開ける日が、期間を1〜2か月越える
秋にしまう夏物は、次に開けるのがおよそ7〜8か月後です。売り場に半年用しかない、手元に半年用が残っている、という場合、期間を1〜2か月越えることになります。
この場合の選び方は、次の3つです。
- 1年用が手に入るなら、そちらを選ぶ。余った期間は、次に開けた日で終わりにして捨てる
- 半年用しか使えないなら、しまう日から半年後に、一度だけ箱を開けて入れ替える。ふたに日付を書いておく
- 入れ替えの手間をかけたくないなら、半年用を2個入れても期間は延びない。個数ではなく期間で選び直す
ここで勘違いしやすいのが、3つめです。2個入れれば2倍長く効く、ということはありません。薬剤は同じ速さで出ていくので、2個あれば2つが同時に終わります。
半年後に開けて入れ替えるときは、ついでに箱の中の様子も見てください。服の上に小さな粉のようなものや、糸くずのような抜け殻がないか。もし見つかったら、その箱の服は全部出して、洗うかブラッシングしてからしまい直します。穴の見分け方は洋服の虫食いの原因|穴の位置で見分けるを見てください。
どちらとも取れるとき④|引き出しを、毎週開ける
衣替えでしまう、と言っても、全部を半年眠らせるわけではない家庭も多いと思います。たとえば、冬物のニットを入れた引き出しを、寒い時期は毎週のように開けて着る。こうした引き出しは、しまう箱というより、使う箱です。
使う箱の場合、考え方を2つに分けてください。
- 開けている時間が長い(1日に何度も開ける、半開きのまま置く)→ 防虫剤より、着る前と着たあとのブラッシングのほうが効く
- 開けるのは週に1〜2回、すぐ閉める → 防虫剤を入れる。期間は表示の半分で数える
使っている服は、虫がつきにくい傾向があります。服を出し入れするたびに動き、光と風に当たるからです。逆に、着たあとにブラシをかけずに戻した服には、えさになる汚れが残ります。毎週開ける引き出しは、ブラシと防虫剤を両方そろえる、と考えておくと迷いません。
反対に、同じ引き出しの奥に、1年以上着ていない毛のニットが眠っている場合は、それだけを別の箱に移して、しまう箱として扱ってください。使う服と眠る服が同じ引き出しにあると、眠る服のほうが先に食べられます。
圧縮袋・不織布の袋・クリーニングの袋に入れる服
箱の中で、服をさらに袋に入れることがあります。この場合、防虫剤は袋の外に置くと薬剤が中まで届かないので、扱いが変わります。
- 圧縮袋:空気を抜くので、中に入れた防虫剤が効く空間はわずかです。袋の表示で、防虫剤を入れてよいか、入れるならどの大きさかを確かめてください。表示がなければ、中に小さいものを1個だけ、服の上に置きます
- 不織布の袋:通気性があるので、袋の外に置いた防虫剤でも中まで届きます。箱の中で袋ごと積み重ねるなら、防虫剤は一番上の袋の上に
- クリーニングのビニール袋:しまう前に外します。湿気がこもり、防虫剤の薬剤も通りにくいからです
圧縮袋には、もう1つ注意があります。毛や絹の服は、強く圧縮すると繊維がつぶれて戻りにくくなります。ニットやコートを圧縮袋に入れるなら、空気を抜き切らず、半分ほど膨らみが残る程度で止めてください。
しまう日に書いておくこと
衣替えの箱でいちばん困るのは、次に開けたとき、何をいつ入れたか分からないことです。それを防ぐには、しまう日に、箱のふたかラベルに次の3つを書いておきます。
- 入れた日(例:10/6)
- 防虫剤の種類(においあり・なし、成分名)
- 期間(半年・1年)
これがあると、次に開けたときに「この箱はにおいのある種類だから、ほかと混ぜない」「期間を過ぎているから、すぐ替える」と、その場で判断できます。家族と箱を共有している場合は特に、書いておくだけで、混ぜてしまう事故がほぼなくなります。
小袋そのものに書けるタイプなら、袋にも同じことを書いておくと、箱から出したときにも分かります。
書く場所は、ふたの上より、箱の手前の側面がおすすめです。押し入れやクローゼットの棚に積んだとき、ふたの上は見えなくなりますが、手前の側面なら積んだままでも読めます。マスキングテープを1枚貼って、その上に書けば、次の季節に書き直すときもはがして貼り替えるだけです。
さらに余裕があれば、箱に入れた服のうち、毛や絹の服の枚数も書いておくと便利です。「毛3・絹1」のように書いておけば、次に開けたとき、その4枚を真っ先に広げて傷みがないかを確かめられます。全部を広げて調べる手間が省けますし、穴が見つかったときに、どの箱のどの位置にあった服かがすぐに分かります。
家族の服を同じ箱にしまうなら、誰の服がどの箱に入っているかも、名前の頭文字だけでいいので書いておいてください。衣替えの日に家族の誰かが別の箱を開けて、前の防虫剤の上に別の種類を足してしまう、という混ぜてしまう事故は、たいていこの「誰の箱か分からない」から起きています。
よくある行き違い
「たくさん入れれば、長く効く」 個数を増やしても、期間は延びません。個数は箱の大きさで決まり、期間は製品の種類で決まります。多く入れると、においが強くなるだけです。
「においがしなくなったら、効き目が切れた」 においのないタイプは、最初からにおいがしません。においのある種類も、慣れると感じにくくなります。効き目は、製品の使い終わりの表示か、入れた日からの期間で判断してください。
「新しい服には、虫はつかない」 買ったばかりの服でも、毛や絹が入っていれば虫のえさになります。新しいかどうかではなく、素材と汚れで判断してください。試着や店頭で付いた手の皮脂も、えさになることがあります。
「防虫剤を入れていれば、洗わずにしまってもいい」 防虫剤は、虫を寄せつけにくくするもので、汚れを落とすものではありません。汗や皮脂の汚れは、黄ばみやにおいの原因にもなります。洗ってから入れるのが先です。
「防虫剤は手で触っても大丈夫」 袋に入っているので通常は問題ありませんが、袋が破れた場合や、小さな子どもやペットのいる家庭では、製品の注意書きに従って扱ってください。手に触れたら洗う、子どもの手の届かない場所に置く、が基本です。
関連記事
よくある問い
- Q. 綿と麻のシャツだけをしまう箱にも、防虫剤は要りますか
- 洗ってから入れるのであれば、必須ではありません。衣類につく虫が好むのは毛や絹といった動物の繊維で、綿や麻そのものはあまり狙われません。ただし、汗や食べこぼしが残っていると、綿でも食べられた跡が出ることがあります。洗ってよく乾かしてから入れる、これが先です。同じ箱にウールの小物が1つでも入るなら、その時点で箱全体に入れる側に変わります。
- Q. においのある防虫剤と、においのない防虫剤は一緒に使えますか
- においのないタイプ(成分表示にピレスロイド系とあるもの)は、ほかのどの種類とも同じ箱に入れて構いません。避けたいのは、においのある種類どうしを混ぜることです。樟脳・ナフタリン・パラジクロルベンゼンのうち2つを同じ箱に入れると、薬剤が溶けて服にしみが出ることがあります。前の季節に何を入れたか分からない箱は、いったん全部出して1種類にそろえてください。
- Q. 冬物を出したら、防虫剤のにおいが残っています。どうすればいいですか
- ハンガーに掛けて、風の通る日陰に半日から1日置いてください。においのある防虫剤を使っていた場合、たたみ目の内側にこもりやすいので、たたみ目を開いて掛けるのが早道です。日に当てると色が変わる素材もあるので、直射日光は避けます。急ぐときは、着る前の晩に掛けておくだけでもかなり違います。
- Q. 防虫剤の効き目が切れたかどうか、どこで分かりますか
- 多くの製品には、使い終わりが分かる表示(色が変わる、文字が出るなど)が付いています。表示がない場合は、入れた日を小袋か箱のふたに書いておき、製品に書かれた期間で数えてください。粒が小さくなっているか、袋が平らにしぼんでいれば、期間内でも替える時期です。
— メグラシ編集部





