スーツのクリーニング頻度|テカリ・膝・臭いの合図で出す日を決める

**スーツのクリーニングは、上着が着た日数で15日前後、パンツがその半分の7〜8日前後です。**これを土台の数にして、あとは3つの合図が出たかどうかで前後させます。合図は、襟の内側に残る線、膝と肘の抜け、脱いで一晩置いても残る臭いです。
日数がきても合図が出ていなければ、まだ出さなくて構いません。ウールのスーツは、洗うたびに繊維の油分と張りが少しずつ抜けていきます。出す回数を減らすほうが、形は長く持ちます。
服全体を品目ごとに数える方法はクリーニングに出す頻度|着た回数ではなく、素肌が触れた回数を品目ごとに積むに書きました。家で洗う場合の上下の分け方はスーツの洗い方|上着とパンツを分けるにあります。この記事はスーツだけに絞って、出す合図の見方と、出さない間の手入れで回数を減らす手順を書きます。
結論:上着は15日前後、パンツは7〜8日前後。合図が出たら日数より先に出す
最初に、あなたの回数の決め方を3行で置きます。
- 土台の数は、上着が着た日数で15日前後、パンツが7〜8日前後
- 襟の内側の線、膝や肘の抜け、一晩置いても残る臭い。このどれかが出たら、日数に届いていなくても出す
- 合図が1つも出ていなければ、日数に届いても1週間は待ってよい
スーツは、毎日のように着るわりに、汚れが目に見えにくい服です。表地は濃い色が多く、皮脂も汗も表に出てきません。だから日数だけで決めたくなりますが、日数は着方によって意味が変わります。電車で1時間座る人と、立ち仕事の人では、同じ10日でもパンツの受けているものがまったく違います。
逆に、外から見てきれいだからといって、何か月も出さずにいるのも危ない。表に出てこないだけで、襟の内側やウエストの帯には、汗と皮脂が着た日の分だけ積み重なっています。それが表に見えるようになったときには、もう落ちにくい段階に入っていることが多いのです。出しすぎも出さなすぎも、日数だけで決めていることから起きています。
そこで、日数は「そろそろ見る」の合図にして、出すかどうかは目と鼻で決める。この記事の手順はこれだけです。以下では、土台の数を自分の着方に合わせる方法、3つの合図の見方、出さない間の手入れ、どちらとも取れるときの決め方を順に書きます。
自分の土台の数を出す:着た日数を「1着あたり」に割る
土台の数は、スーツ1着あたりの着用日数で数えます。カレンダーの日数ではありません。
たとえばスーツを2着持っていて、週に5日着ているなら、1着あたりは週に2.5日です。上着の15日前後には、6週間ほどで届きます。3着なら週に1.7日ほどで、9週間ほどかかります。1着しかなく週に5日着ているなら、3週間で届きます。
| 手持ちの着数と着方 | 上着が15日に届くまで | パンツが7〜8日に届くまで |
|---|---|---|
| 1着・週5日 | 約3週間 | 約1.5週間 |
| 2着・週5日 | 約6週間 | 約3週間 |
| 3着・週5日 | 約9週間 | 約4.5週間 |
| 2着・週2〜3日 | 約12週間 | 約6週間 |
この表は、比べるための目安です。ここから、あなたの着方に合わせて上下させます。
縮めるほうに動かすのは、次のような着方です。通勤や仕事中に座る時間が長い。人の多い場所に長くいて、食べ物や煙の匂いが付きやすい。外回りが多く、汗をかく日が週に何度かある。どれか1つ当てはまるなら、パンツの数を5〜6日前後に縮めて見てください。上着は、襟の内側に汗が触れる日が多い人だけ12日前後に縮めます。
伸ばすほうに動かすのは、屋内の冷えた部屋にいる時間が長く、ほとんど動かない日が多い着方です。この場合は上着を20日前後、パンツを10日前後まで伸ばして構いません。ただし、伸ばせるのは合図が出ていないときだけです。
数え方は、手帳やスマートフォンのメモに、スーツごとに着た日を「正」の字で付けていくのがいちばん手間がかかりません。着た日を覚えておくのは意外に難しく、思っているより多く着ていることがよくあります。1か月だけでも付けてみると、自分の着方の偏りが見えてきます。
合図1:襟の内側と袖口に線が出ているか
1つ目の合図は、上着の襟の内側です。
上着を裏返して、首の後ろが当たる部分を明るい場所で見てください。襟の折り返しの内側、ちょうど首の付け根が触れるところに、うっすらと横に走る線が見えたら合図です。濃い色の生地では、線は黒ではなく、周りより少し艶のある帯として見えます。指でなぞると、周りより少しだけ硬く感じることもあります。
これは首から出る皮脂が、生地に少しずつ溜まったものです。この段階で出せば、線はほとんど残らずに落ちます。ところが、そのまま着続けて皮脂が酸化すると、黄ばみになり、洗っても薄く残るようになります。だから、この線は日数より優先します。
同じ見方を、袖口でもしてください。袖口の内側、手首の骨が当たる位置に、同じような艶の帯が出ていれば合図です。袖口は机に置いた手が擦れる場所でもあるので、表側の端が少し白っぽく毛羽立っていることもあります。こちらは擦れによるもので、皮脂の線とは別です。白っぽい毛羽はクリーニングでは戻らないので、出す理由には数えません。
確かめる頻度は、週に1回で十分です。週末にハンガーから外して裏返すだけで、10秒もかかりません。
見る場所はもう1つあります。パンツのウエストの内側、腰の後ろ側に当たる帯の部分です。ここはシャツ越しに背中の汗を受け続けるので、上着の襟と同じように艶の帯が出てきます。座る時間が長い人ほど、ここに先に出ます。ウエストの内側を指でなぞって、帯の一部だけが少し硬く、しっとりした手触りなら合図です。
襟の線もウエストの線も、照明の真下では見えにくく、窓からの横の光で見ると浮き上がります。昼の窓辺で、生地を光に対して斜めに傾けてみてください。部屋の照明だけで見て「線はない」と決めると、見落としが出ます。
着るときにできる予防もあります。シャツの襟が上着の襟より少し上に出ているように着ると、首の皮脂は先にシャツが受けます。シャツは毎回洗うものなので、上着に届く量が減り、合図1が出るまでの日数が延びます。
合図2:膝と肘が抜けているか ── 抜けは洗わなくても戻る
2つ目の合図は、パンツの膝と上着の肘の「抜け」です。
パンツをハンガーから外して、平らな台に置いてください。膝の位置に、丸く前に出た膨らみが残っていたら抜けです。上着は、袖を自然に垂らしたまま横から見て、肘のところで袖が前に曲がったまま戻っていなければ抜けです。
ここで知っておいてほしいのは、抜けそのものは、洗わなくても戻せるということです。抜けは、繊維が曲がった形のまま癖になった状態で、汚れではありません。クリーニングの店にはプレスだけを頼めるところが多く、家でもスチームを当てて形を整え、そのまま冷めるまで置けば戻ります。
では、なぜ合図に数えるのか。抜けが出ているということは、その部分が何度も曲げられ、汗と体温を受けてきたということだからです。膝の裏、肘の内側は、汗が溜まりやすい場所でもあります。抜けが出ていて、さらに膝の裏を顔に近づけて匂いがするなら、そのときは出します。匂いがしなければ、プレスだけで済ませて、日数はそのまま数え続けます。
つまり、抜けは「見に行く合図」です。抜けを見つけたら、膝の裏と肘の内側を確かめる。この順番で見ると、プレスで済むものを洗いに出さずに済みます。
合図3:脱いで一晩置いても臭いが残るか
3つ目の合図は、臭いです。ここは確かめ方が大事です。
帰宅してすぐの上着は、外の匂いをまとっています。食事の匂い、電車の匂い、雨の匂い。これは、ほとんどの場合、一晩風に当てれば抜けます。だから、帰宅直後に嗅いで「臭うから出そう」と決めると、出す回数が必要以上に増えます。
確かめるのは、翌朝です。脱いだ上着を厚みのあるハンガーに掛け、クローゼットの扉の外、風の通る場所に一晩置いてください。翌朝、襟の内側と脇の下に顔を近づけて、まだ匂いが残っていたら合図です。残っている匂いは、外から付いたものではなく、生地の中に入った汗や皮脂が出しているものだからです。
一晩で抜けきらないけれど、薄くなってはいる。このときは、もう一晩置いてください。2晩目で抜けたら、出す必要はありません。2晩置いても同じ強さで残っているなら、その週のうちに出します。
脇の下は、特に注意して見てください。上着の脇は、裏地があっても汗が届きます。秋冬は汗をかいていないつもりでも、暖房の効いた電車や室内で、体は思ったより汗をかいています。脇の下だけ匂う状態が2回続いたら、日数に関係なく出すと決めておくと迷いません。
テカリはクリーニングでは戻らない ── 出す合図に数えない
ここで、よく合図と間違えられるものを1つ外しておきます。テカリです。
パンツのお尻や膝、上着の肘や背中が光って見える。これは、表面の毛羽が擦れたり押されたりして寝てしまい、平らになった面が光を返している状態です。汚れが光っているのではありません。
だから、**テカリはクリーニングに出しても戻りません。**むしろ、仕上げのプレスで表面がさらに平らに整えられて、光り方が強くなることがあります。テカリを理由に出すのは、回数を増やすだけで、望んだ結果にはなりません。
テカリが気になるときは、別の手入れをします。光っている面に当て布をして、アイロンを押し当てずに少し浮かせてスチームだけを当てます。湿気を含んで少し起きた毛を、ブラシで毛の流れと逆方向に軽くなでる。これで、軽いテカリは目立たなくなります。
それでも光るなら、その場所は着方で守ります。長く座る日は別のスーツにする、座るときに上着を脱ぐ、といったことです。テカリは汚れの合図ではなく、擦れの記録です。ここを分けて考えるだけで、出す回数がひとつ減ります。
シミは日数と関係なく、その週のうちに出す
3つの合図とは別に、日数も合図も関係なく出すものがあります。シミです。
食べこぼし、飲み物の跳ね、雨に混じった泥。こうしたものが付いたら、その週のうちに出してください。シミは時間が経つほど、繊維の奥に入り込んで落ちにくくなります。特に油を含むもの、色の濃い飲み物、たんぱく質を含むものは、数日で落ち方が大きく変わります。
家でできるのは、乾いた布かティッシュで上から押さえて、表面に残っているものを吸い取るところまでです。こすると、シミが広がり、生地の表面も傷めます。水をかけるのも、種類によっては輪じみになるので避けてください。
出すときには、何がいつ付いたかを店に伝えます。「3日前にコーヒーが跳ねた」「昨日の夕方、ソースが付いた」。これだけで、落とし方の選び方が変わります。紙に書いてポケットに入れておくと、受付で言い忘れません。
シミで出したときは、土台の日数をそこでゼロに戻して数え直して構いません。ついでに全体もきれいになっているからです。
出さない間に回数を減らす:帰宅後の3分
ここからは、出す回数そのものを減らす手入れです。毎日の帰宅後に3分あれば足ります。
1. ポケットを空にする
脱いだらまず、上着とパンツのポケットから中身を全部出します。財布やスマートフォン、鍵が入ったまま掛けておくと、その重さで生地が下に引っ張られ、形が崩れます。形が崩れた部分は、擦れやすくなり、テカリの原因にもなります。
2. 上から下へ、ブラシをかける
洋服ブラシで、肩から裾に向けて、上から下へブラシをかけます。最初に毛の流れと逆方向に軽く払って、繊維の間に入ったほこりを浮かせ、次に流れに沿って整えます。ほこりは、そのままにしておくと湿気を吸って生地に絡み、汚れとして残ります。毎日払っておけば、汚れが溜まる速さがかなり落ちます。
3. 厚みのあるハンガーに掛けて、一晩外に置く
細い針金のハンガーではなく、肩の厚みが4〜5cmほどあるハンガーに掛けます。肩の線が支えられるので、上着の形が保たれます。パンツは裾を挟んで逆さに吊るすと、膝の抜けが自分の重さで少しずつ戻ります。
そして、一晩はクローゼットの外に置きます。着たばかりのスーツは、体温と湿気を含んでいます。すぐに閉じた場所にしまうと、その湿気が抜けずに匂いになります。
この3分を続けると、合図2と合図3が出る日がはっきり遅くなります。
休ませる日数:続けて着ないだけで、出す回数が変わる
帰宅後の手入れと同じくらい効くのが、休ませる日数です。
同じスーツを続けて着ると、前の日に含んだ湿気が抜けきらないまま、次の日の汗を受けます。繊維は湿ったまま曲げられ続けるので、抜けも戻りにくくなります。目安は、1回着たら中2日休ませることです。中2日あれば、ウールは含んだ湿気をほとんど手放し、形もある程度戻ります。
2着を交互に着ると、中1日しか空きません。これでも続けて着るよりはずっといいのですが、できれば3着で回すと中2日がとれます。3着そろえるのが難しいなら、上着は2着で回し、パンツだけを3本にする方法もあります。パンツのほうが受けるものが多いので、パンツの休みを増やすほうが効きます。
休ませた日数は、土台の数にも関わります。中2日以上休ませて着ている人は、上着の数を18日前後、パンツを9日前後まで伸ばして見て構いません。毎日続けて着る日が多い人は、上着を12日前後、パンツを5〜6日前後に縮めます。
上着とパンツの回数がずれるとき
ここまでの数で回すと、パンツのほうが先に出す日がきます。上着がまだきれいなのに、パンツだけ出してもいいのか。ここで迷う人が多いです。
パンツだけ出すのは、構いません。受けているものが違うのだから、回数が違って当然です。ただ、気をつけたいことが1つあります。洗った回数が違うと、上着とパンツの色が少しずつ離れていくことです。
ウールの濃い色は、洗うたびにごくわずかに色が浅くなります。1回ではわかりませんが、パンツだけを4回、5回と出していると、明るい窓辺で並べたときに、パンツだけが少し白っぽく見えてきます。
そこで、パンツを2回出したら、上着も1回出すと決めておきます。上着に合図が出ていなくても、そこで一度そろえておく。これで色の差は、並べてもわからない範囲に収まります。
もう1つの方法は、同じ生地のパンツを2本持つことです。パンツが2本あれば、それぞれの回数が半分になり、上着の回数に近づきます。仕事でスーツを着る日が多いなら、最初から2本付きのものを選ぶと、この迷いそのものがなくなります。
どちらとも取れるときの決め方
実際には、合図がはっきり出ることは多くありません。「線があるような、ないような」「少し匂うような気もする」。ここがいちばん迷うところなので、決め方を置いておきます。
線が見えるかどうか、はっきりしない
上着を裏返して、襟の内側に白いティッシュを1枚当て、指で軽く押さえてから離してください。ティッシュに薄い灰色や黄色が移ったら、皮脂がもう表面まで出てきています。移らなければ、まだ出さなくて構いません。それでも気になるなら、1週間後にもう一度同じことをします。2回続けて何も移らなければ、その線は光の加減で見えていただけです。
一晩置くと、匂いが弱いけれど消えない
2晩目まで待ちます。2晩目で消えていれば出さない。消えていなければ、その週のうちに出す。それでも判断がつかないときは、家族など自分以外の人に嗅いでもらいます。自分の匂いは、自分では気づきにくいからです。
日数は届いたが、合図が1つも出ていない
1週間だけ待ちます。待った1週間のうちに合図が出たらそこで出し、出なければもう1週間待って構いません。ただし、上着で25日前後、パンツで12日前後を超えたら、合図がなくても一度出してください。目に見えない汗は、それくらいの日数で生地に溜まってきます。
合図が上着だけ、またはパンツだけに出た
出たほうだけを出します。ただ、前の章の「パンツ2回に上着1回」の数え方と重なったら、両方そろえて出します。
迷ったときに大事なのは、「迷ったから出す」にしないことです。迷うということは、合図がまだはっきりしていないということ。1週間後にもう一度見ると決めて、そこで決める。この繰り返しで、出す回数は自然に適正なところへ落ち着きます。
秋冬のスーツと、春先のスーツで数を変える
スーツの生地は、季節によって厚さが違います。数も、それに合わせて少し動かします。
秋冬のスーツは、生地が厚く、目が詰まっています。汗や皮脂を受けても、表に出てくるまでに時間がかかります。そのぶん土台の数は伸ばせますが、気をつけたいのは暖房です。暖房の効いた電車や会議室では、厚い生地の内側に湿気がこもります。秋冬は、汗をかいていないつもりでも、脇と背中は湿っています。だから秋冬は、日数は伸ばしてよいかわりに、合図3の匂いを毎週必ず確かめてください。
春先の薄手のスーツは逆です。生地が薄く、汗が表まで届きやすいので、土台の数を少し縮めて見ます。上着は12日前後、パンツは6日前後です。
秋の立ち上がりにも、気をつけたいことがあります。まだ日中は汗ばむ日があるのに、朝晩が冷えるので厚手のスーツに替えた。この時期は、厚い生地が汗をいちばん溜めやすい組み合わせです。替えてから最初の2週間は、日数に関係なく、週末ごとに脇の下の匂いを確かめてください。ここで合図が出たら、季節の最初の1回として早めに出しておくと、その後の冬の間は土台の数で回せます。
雨と雪の日も、秋冬の数に関わります。濡れたスーツは、帰宅後すぐにハンガーに掛け、乾いたタオルで上から押さえて水を吸わせます。暖房器具の前で急いで乾かすと、ウールが縮んだり、形が歪んだりします。部屋の中で自然に乾かして、乾ききってからブラシをかけてください。泥はねは、乾いてからブラシで払えば落ちることが多く、その場合は出す必要はありません。乾いても跡が残るなら、シミとして扱って、その週のうちに出します。
季節の変わり目、厚手と薄手を入れ替える時期には、着ていたほうを必ず1回出してからしまいます。これは次の章で詳しく書きます。
衣替えの前には、合図がなくても1回出す
1つだけ、合図がなくても出す日があります。しまう前です。
秋冬のスーツを春にしまうとき、春夏のスーツを秋にしまうとき。次に着るまで数か月あく前には、合図が出ていなくても必ず1回出してください。
理由は、目に見えない皮脂と汗です。着ている間は気にならなくても、生地に残った皮脂は、しまっている間に少しずつ酸化して黄ばみになります。しまうときにはきれいに見えていたのに、次の季節に出したら襟と脇が黄色くなっていた。これは、しまう前に出さなかったときによく起きることです。
また、皮脂や食べこぼしの跡は、虫が寄りやすい場所でもあります。ウールは虫が好む素材なので、汚れが残ったまましまうと、穴が開くことがあります。しまう前の1回は、黄ばみと虫の両方を防ぐためのものです。
戻ってきたら、ビニールのカバーは外してください。カバーをかけたままにすると、湿気がこもります。通気性のある布のカバーに替えて、詰めすぎないクローゼットにしまいます。しまい方の詳しいところはセーターの保管方法|出した日の臭い・黄ばみ・型崩れから逆算して直すにも書いています。ウール同士なので、考え方はそのまま使えます。
店に出すときに伝えること・頼むこと
出す日が決まったら、店での頼み方でも次の回数が変わります。受付で伝えることは、3つに絞っておくと言い忘れません。
1. 合図が出た場所を伝える
「襟の内側に線が出てきた」「脇の下の匂いが一晩で抜けない」「膝が前に出ている」。どの合図で出したのかを伝えると、店はそこを重点に見てくれます。全体を強く洗うのではなく、気になる場所だけ丁寧に扱ってもらえるので、生地への負担が減ります。
2. 上着とパンツのどちらを出すのかを、はっきり言う
上下で出すときも、パンツだけのときも、伝票に何が入ったかを確かめます。上下で回数を分けて数えているなら、ここで記録しておくと、次の「パンツ2回に上着1回」の数え方がずれません。受け取った伝票をスーツごとにまとめて取っておくだけで、記録の代わりになります。
3. プレスだけで済む部分は、プレスだけを頼む
合図2の抜けだけで、匂いも線も出ていないなら、洗いではなくプレスだけを頼めるか聞いてください。洗う回数を1回減らせます。プレスだけの仕上げを受けていない店もありますが、聞いてみる価値はあります。
もう1つ、仕上がりの形についても伝えておきたいことがあります。パンツの折り目を付けるかどうか、付けるならどの位置か。もともと折り目のないパンツに強い折り目が付いて戻ってくると、印象が大きく変わります。最初に出すときに「元の通りに」と一言添えておくと、2回目からは迷わずに済みます。
受け取ったら、その場でビニールのカバーを外すか、家に着いたらすぐに外してください。仕上げのあとの生地には、まだ湿気や溶剤の匂いが残っていることがあります。一晩は風の通る場所に掛けてから、クローゼットに戻します。
家でできる手入れと、店に任せる手入れの境目
ここまでの話を、家でやることと店に任せることに分けておきます。この境目がはっきりしていると、出すかどうかで迷う時間が減ります。
家でやるのは、表面に乗っているものを払うこと、湿気を抜くこと、形を整えることの3つです。ブラシ、一晩の陰干し、厚みのあるハンガー、裾を挟んで逆さに吊るすパンツ。スチームを当てて抜けを戻すのも、家でできます。どれも、生地の中に入ったものを取り出す作業ではありません。
店に任せるのは、生地の中に入ったものを取り出すことです。襟の内側の皮脂、脇に残る汗、シミ。これは表面を払っても取れません。家で無理に落とそうとして、こすったり水をかけたりすると、かえって跡が残ります。
境目を一言で言うと、「払えば消えるか、払っても残るか」です。帰宅後にブラシをかけて、一晩置いて、それでも残るものだけが店の仕事です。逆に言えば、払えば消えるものを理由に出す必要はありません。
この考え方で回していると、出す日は自然に「合図が出た日」と「しまう前の日」の2種類に絞られていきます。日数を数えるのは、合図を見に行く日を忘れないためです。数そのものに従って出すのではない、というところだけ覚えておいてください。
着数別の回し方:1着・2着・3着
最後に、手持ちの着数ごとに、実際の回し方をまとめます。
1着で回す
1着だと休ませる日がとれません。週に3日以内しか着ないなら、間の日を休みにできるので、上着15日前後・パンツ7〜8日前後をそのまま使います。週に4日以上着るなら、上着10日前後・パンツ5日前後まで縮めて見てください。
いちばん大事なのは、出している間のことを先に決めておくことです。仕上がりまで何日かかるかを店で聞いておき、着る日の少ない週を選んで出します。金曜に出して月曜に受け取れる店なら、週末に出すと決めておけば困りません。
2着で回す
交互に着れば中1日の休みがとれます。上着は15日前後、パンツは7〜8日前後の数がそのまま使えます。2着の色や柄が近いなら、パンツをどちらにも合わせられるように揃えておくと、パンツだけ休ませたい日に入れ替えられます。
出す時期は、2着を同時に出さないようにずらします。片方が出ている間は、もう片方を続けて着ることになるので、その期間は帰宅後の手入れをいつもより丁寧にしてください。
3着で回す
中2日の休みがとれるので、上着は18日前後、パンツは9日前後まで伸ばして構いません。3着あると、合図が出たものから順に出せるので、日数を厳密に数えなくても回ります。月に一度、3着を並べて合図を確かめる日を決めておくと、出し忘れも出しすぎも起きにくくなります。
上下の数が合わない組み合わせで回す
上着が2着でパンツが3本、上着が1着でパンツが2本。こうした組み合わせのときは、上着とパンツを別々に数えます。上着は上着の着た日数、パンツはそれぞれのパンツの着た日数です。メモには、上着とパンツを別の行に付けておくと混ざりません。そのうえで、同じ上着と組んでいるパンツが2回出たら、上着も1回出す。これで、組み合わせが入り組んでいても色の差は開きません。
着数が増えるほど、1着あたりの回数は減り、スーツは長く持ちます。ただ、着数を増やすよりも先に効くのは、帰宅後の3分と中2日の休みです。いまの着数のまま、まずそこから始めてみてください。
よくある問い
- Q. スーツは毎週クリーニングに出したほうが清潔ですか
- 毎週出す必要はありません。ウールのスーツは、洗うたびに繊維の油分と張りが少しずつ抜けていきます。毎週出すと、汚れは落ちても生地が先に薄くなり、肘や膝の形が戻りにくくなります。清潔さを保つのは、出す回数よりも帰宅後の手入れのほうです。脱いだらすぐにブラシをかけて、厚みのあるハンガーに掛け、一晩は風の通る場所に置く。これで表面のほこりと湿気が抜けます。そのうえで、襟の内側の線、膝の抜け、一晩置いても残る臭いのどれかが出たら出します。合図が出なければ、上着は着た日数で15日前後までは待って構いません。
- Q. パンツだけクリーニングに出してもいいですか
- 出して構いません。パンツは座る、歩く、膝を曲げるの動きを上着より多く受けるので、汚れも抜けも先に来ます。ただ、パンツだけを何度も出していると、上着との色の差が少しずつ開いていきます。目安は、パンツを2回出したら上着も1回出すことです。上着に合図が出ていなくても、そこで1回そろえておくと色の差が目立ちにくくなります。もし着る日の多いスーツなら、同じ生地のパンツをもう1本持つと、それぞれの回数が半分になり、上着との差も開きにくくなります。
- Q. テカリが出てきたらクリーニングに出せば戻りますか
- テカリは、座面や膝、肘の生地が擦れたり、強く押されたりして、表面の毛羽が寝てしまった状態です。汚れが光っているわけではないので、クリーニングに出しても戻りません。出すとかえって表面が平らに仕上がり、光り方が強くなることもあります。テカリが気になるときは、出す理由に数えず、別に扱ってください。軽いものなら、当て布をしてスチームを浮かせ、ブラシで毛を起こすと目立ちにくくなります。それでも光るなら、その部分は着方の側で減らします。座る時間の長い日は別のスーツにする、といった回し方です。
- Q. 1着しか持っていません。どう回せばいいですか
- 1着だと休ませる日がとれないので、土台の数より早めに合図が出やすくなります。まず、週に着る日を数えてください。週に3日以内なら、間の日に必ず休ませられるので、上着15日前後・パンツ7〜8日前後の数がそのまま使えます。週に4日以上なら、続けて着る日が出てくるので、上着は10日前後、パンツは5日前後まで縮めて見てください。そのうえで、出している間に着るものがなくなる日をどうするかを先に決めておきます。仕上がりまでの日数を調べて、着る日の少ない週に出すのが、1着で回すときのいちばん大事な段取りです。
— メグラシ編集部





