イエベ春の黒|黒コートと黒ニットは、顔から離す距離と間の1色で着る

**黒いコートを着て鏡の前に立ったとき、顔より先にコートが目に入るなら、あなたの黒は顔に近すぎます。**イエベ春の人が黒を着て「重い」「疲れて見える」と感じるのは、黒が似合わないからではありません。顔と黒の間に距離がなく、明るさの差を受け止めるものが何もないからです。
この記事では、手持ちの黒を手放さずに着るための3つの境目を、鏡と自分の手で測れる形にしました。顎先から黒までの距離、顔と黒の間に挟む色の明るさ、上半身に占める黒の面積です。秋冬は売り場も手持ちも黒が増える季節なので、ここを一度決めておくと、コートとニットの選び方がまとめて楽になります。
イエベ春のほかの色の扱いは、イエベ春のグレーとイエベ春の茶色にまとめています。この記事は黒だけに絞ります。
結論:黒は顔から握りこぶし1つ離し、届かないときは間に明るい色を1枚挟む
先に答えを置きます。
**顎先から黒の上端まで、握りこぶし1つぶん(約10cm)離れていれば、イエベ春でも黒は重く見えにくくなります。**離せないときは、顔と黒の間に、白い紙より少し黄みのある明るい色を、指3本ぶん以上の幅で挟んでください。そのうえで、胸から上を写した写真の中で黒が半分を超えていたら、黒を下半身に回すか、上の1枚だけを明るい色に替えます。
この3つは順番に確かめます。距離が足りていれば、間の色も面積もそれほど気にしなくて構いません。距離が足りないときに、間の色で補います。間の色も入れられないときに、面積で調整します。
| 境目 | 測り方 | 重く見えにくい目安 | 足りないときにすること |
|---|---|---|---|
| 顔との距離 | 顎先から黒の上端まで | 握りこぶし1つ(約10cm)以上 | 襟を開く、ボタンを1つ外す |
| 間に挟む色 | 顔と黒の間に見える明るい色の幅 | 指3本ぶん(約5cm)以上 | 明るいインナーやマフラーを足す |
| 黒の面積 | 胸から上の写真で黒が占める割合 | 半分未満 | 黒を下に回す、上を1枚替える |
表は迷ったときの手がかりです。ここで答えを決めきらず、下の章で自分の顔と手持ちの服に当てはめてください。
まず確かめる:あなたの黒は「重い」のか「強い」のか
黒を着たときの違和感は、大きく2つに分かれます。どちらなのかで、直し方が変わります。
ひとつは「重い」です。顔の下に影が落ちたように見え、頬や口元の色が引いて、目の下のくまやほうれい線のような影が目立ちます。これは、黒が顔に近すぎて、肌の明るい部分よりも暗い部分のほうが強調されている状態です。イエベ春の人の多くはこちらに当たります。
もうひとつは「強い」です。顔は沈まないものの、服だけが浮いていて、着ている人より服が先に目に入ります。これは、黒の面積が大きすぎるか、黒の素材に張りや艶があって、存在感が顔を上回っている状態です。
見分け方は簡単です。黒いニットを着て鏡の前に立ち、白いハンカチかティッシュを胸元に当ててください。白を当てた瞬間に顔色が戻るなら「重い」側です。距離と間の色で直せます。白を当てても服の印象が変わらないなら「強い」側で、面積と素材の見直しが先になります。
両方が同時に起きている人もいます。その場合は、先に「重い」を直してください。顔色が戻ってから、残った強さを面積で整えるほうが、手持ちの服を手放さずに済みます。
境目1|顎先から黒の上端までを、握りこぶしで測る
まず距離を測ります。黒い服を着て、正面を向いたまま、顎先の下に握りこぶしを縦にして当ててください。こぶしの下端が黒の上端に届かなければ、距離は足りています。こぶしが黒に当たって顎が押し上げられるようなら、黒が近すぎます。
握りこぶし1つは、多くの人で約10cmです。手が小さい人は、こぶしの下に指1本ぶんを足して考えてください。定規で測るなら、顎先から真下に10cmです。
距離が足りない服の代表は、丸首の黒ニット、詰まった襟の黒ブラウス、ボタンを一番上まで留めた黒コートです。どれも黒の上端が鎖骨より上に来るので、顎先から5cm前後しか離れません。
逆に、距離を作りやすい形もあります。Vネックは中央が下がるので、顎の真下だけが深く開きます。ボートネックは横に広がって、首の付け根が見えます。シャツ襟のボタンを2つ外すと、黒の上端は鎖骨の下まで下がります。コートは、ボタンを一番上だけ外して襟を少し寝かせるだけで、こぶし1つぶんに届くことが多くあります。
手持ちの黒を全部この方法で測ると、同じ黒でも「そのまま着られる黒」と「直してから着る黒」に分かれます。前者は、イエベ春であっても気にせず着て構いません。
測るときは、うつむかずに、ふだん人と話すときの顔の角度で測ってください。少し顎を引くだけで、こぶしの入る余地は指1本ぶん狭くなります。座って過ごす予定の日は、椅子に座った姿勢でも一度測っておくと安心です。座ると服の前身ごろが少したるんで、立っているときより黒の上端が上がることがあるからです。立っても座ってもこぶしが入る服は、どんな予定にもそのまま使える黒として、いちばん手前に掛けておいてください。
境目2|顔と黒の間に挟む色は、白い紙より少し黄みのある明るさ
距離が取れない服は、間に色を挟みます。挟む色で迷ったら、コピー用紙のような真っ白な紙を手元に置いて、候補の布を並べてください。紙と並べて、わずかに黄みや赤みが見える明るい色が、イエベ春の顔と黒の間をつなぎます。
具体的には、生成り、アイボリー、明るいベージュ、薄いキャメル、ミルクティーのような色です。真っ白も使えますが、黒と真っ白が隣り合うと明暗の差がいちばん大きくなり、今度は顔まわりが硬く見えることがあります。紙より少し黄みのある白のほうが、イエベ春の肌の色に近く、黒との段差がなだらかになります。
挟む幅は、指3本ぶん(約5cm)以上を目安にしてください。指1本ぶんの細い線では、黒の強さに負けて、かえって黒が目立ちます。丸首の黒ニットの下からアイボリーのシャツ襟を出す、黒コートの中に明るいベージュのタートルネックを着る、黒コートの上から生成りのマフラーを顎の下まで巻く。どれも、顔の真下に明るい面が5cm以上できます。
挟む色の明るさは、顔の明るさより少し明るいか、同じくらいがちょうどよくなります。暗いキャメルやこげ茶を挟むと、黒との差が小さくなって段差は消えますが、顔の下全体が暗くなるので、重さは残ります。間の色は「黒と顔をつなぐ色」ではなく、「顔の明るさを顎の下に延ばす色」と考えてください。
手持ちに明るい色の服が少ない人は、まず1枚だけ、明るいアイボリーのシャツか、生成りの薄手のタートルネックを用意してください。どちらも黒ニットの下にも黒コートの中にも入り、黒の数だけ組み合わせが増えます。シャツは襟を出して使い、タートルネックは首の部分を黒の上に重ねて使います。1枚で、手持ちの黒のほとんどに明るい面を足せる便利な服です。
明るい色の服を着るのが落ち着かない人は、布ではなく光で挟む方法もあります。顎の下にほのかに光る小さなアクセサリーを置くと、細い線でも光を返すので、同じ幅の布よりも明るく見えます。金色の細い鎖や、白っぽい真珠のような粒は、イエベ春の肌に近い明るさで、黒と顔の間をなめらかにつなぎます。
境目3|胸から上の写真で、黒が半分を超えていないか
距離と間の色を整えたら、最後に面積を見ます。スマートフォンで、胸から上が入るように自分を写してください。写真の中で、黒が占める部分が半分を超えていたら、面積が大きすぎます。
面積が大きいとき、顔は黒に囲まれて小さく見えるのではなく、黒に飲まれて見えます。イエベ春の人は肌や髪の明るさが比較的高いことが多く、大きな黒の面が隣にあると、明るさの差がそのまま顔の重さに置き換わります。
半分を超えていたら、2つのうちどちらかを選んでください。ひとつは、黒を下半身に回すことです。黒のパンツやスカートは顔から最も遠いので、イエベ春でもほとんど気にせず使えます。もうひとつは、上の1枚だけを明るい色に替えることです。黒コートを着るなら中を明るく、黒ニットを着るならその上の羽織を明るくします。
黒が上下で続く日は、写真で確かめると、たいてい黒が7割を超えています。その日は、顔の下に明るい色を1枚置くだけでなく、バッグや靴を明るい色にして、黒の面を途中で切ってください。上から下まで1枚の黒の面に見えなくなれば、それだけで重さは減ります。
黒の素材で、同じ黒でも重さが変わる
同じ真っ黒でも、素材によって顔への響き方が違います。これは目で確かめられる違いです。
光を吸う素材ほど、黒は深く、重く見えます。毛足のあるウール、起毛したフランネル、厚手の綿は、表面で光が散って、黒がいっそう暗く沈みます。顔のすぐ下に置くと、影のように見えやすい素材です。
光を少し返す素材は、黒の中に明るい部分が生まれます。細い糸で編んだハイゲージのニット、表面がなめらかなウール、ほのかに光沢のあるとろみのある生地は、窓の光が当たると黒の一部が灰色がかって見えます。この明るい部分があると、肌との差がやわらぎます。イエベ春の人が顔の近くに黒を置くなら、こちらの素材が向いています。
ただし、強い艶のある素材は反対に働くことがあります。光を鏡のように返す生地は、黒い面の中に白い光の線が走って、今度は服の存在感が強くなります。「強い」側の違和感が出やすいので、顔の近くではほのかな光沢までにとどめてください。
素材を確かめるときは、窓のそばで、布を顎の下に当てて少し傾けてください。傾けたときに黒の一部が明るく見える布は、顔に近づけても重くなりにくい布です。傾けても黒のまま変わらない布は、顔から離して着るか、間に明るい色を挟んでください。
黒コートを持っている場合の、着方の直し方
秋冬に最も手に取る黒は、コートです。買い替えずに着るための直し方を、順番に並べます。
まず、ボタンを一番上まで留めないでください。一番上を外して襟を少し外側に寝かせると、顎先から黒までの距離がこぶし1つぶん近く広がります。寒い日でも、マフラーで首を覆えば暖かさは保てます。
次に、中に着るものを明るくします。黒コートの中に黒ニットを合わせると、胸から上がほとんど黒で埋まります。中をアイボリーや明るいベージュのニットにすると、コートの前が開いた部分に明るい縦の面ができて、黒の面が左右に分かれます。
マフラーやストールを使うなら、顔の下に明るい面が来るように巻いてください。生成りや明るいキャメルのマフラーを、顎の下に厚みが出るように一周させるのがいちばん効果があります。端を胸の前に垂らすと、黒い面の上に明るい縦の線が加わり、面積もいっしょに減ります。
最後に、髪を見てください。髪を下ろしていて、毛先が黒コートの肩にかかっていると、髪の暗さとコートの黒がつながって、顔のまわりが1つの暗い塊になります。耳にかける、結ぶ、片側に流すなどして、髪とコートの間に首や明るいマフラーを挟むと、塊が切れます。
コートの丈とボタンも見ておくと、さらに軽くなります。膝より長い黒コートは、立ったときの黒の面が大きく、胸から上の写真でも黒が半分を超えやすくなります。長い黒コートを着る日は、足元を明るい色の靴やタイツにして、下で黒の面を切ってください。ボタンが黒一色のコートなら、ボタンの色は気にしなくて構いませんが、金色や角のような明るいボタンが付いているコートは、それだけで黒の面に明るい点が並び、重さがやわらぎます。手持ちの黒コートを選び直すときの小さな手がかりになります。
襟の形も確かめておきます。大きく折り返した襟は、襟の裏側が顔のほうへ向くので、黒の面が顎に近づきます。小さく立った襟や、襟のない形は、首の付け根の高さで黒が止まるので、マフラーで調整しやすくなります。
黒ニットは、首の形を先に見る
黒ニットは、コートより顔に近く、しかも脱がずに一日中着るものです。直し方は、首の形で変わります。
丸首は、黒ニットの中で最も距離が取りにくい形です。中に明るいシャツを着て襟を出すか、上に明るいカーディガンを羽織ってください。襟を出すときは、襟の先が鎖骨にかかる程度の大きさがあると、指3本ぶんの明るい幅が確保できます。
タートルネックやハイネックは、黒が顎のすぐ下まで来ます。イエベ春の人が最も重さを感じやすい形です。どうしても着たい日は、首の部分を折り返して高さを下げ、顔のすぐ下に明るい色のスカーフを巻いてください。それでも重く見えるなら、黒のタートルは上着の中に着て、首まわりだけが少し見える程度にとどめます。
Vネックとボートネックは、黒ニットの中でいちばん使いやすい形です。Vの深さが握りこぶし1つぶんあれば、中に何も着なくても距離は足ります。ボートネックは、肩の近くまで首が見えるので、横方向に明るい面が広がります。
カーディガンなら、前を開けて着るだけで、黒は左右の細い面に分かれます。中を明るい色にすれば、黒は顔を囲む額縁のような役割になり、重さよりも締まりのほうが先に出ます。
新しく買うなら、黒の代わりになる濃い色
手持ちの黒を直して着るのとは別に、これから買うものは、黒の代わりになる濃い色を選ぶ方法もあります。黒と同じように全体を引き締めつつ、イエベ春の顔に近づけても重くなりにくい色です。
いちばん近いのは、黄みのあるこげ茶やチョコレート色です。黒と並べると明るさはほとんど変わらないのに、赤みと黄みがあるぶん、肌との差がなだらかになります。
次に、明るめのネイビーです。真っ黒に近い濃紺ではなく、窓の光の下で青がはっきりわかる程度の紺を選んでください。黒より明るく、青の鮮やかさがイエベ春の澄んだ顔色と合いやすくなります。
黄みのあるチャコールグレーも候補になります。灰色の中に茶色が少し混ざったような色で、黒の代わりに使うと全体がやわらかくなります。グレーの選び方は、イエベ春のグレーで詳しく書いています。
どの色も、売り場で選ぶときは、手持ちの黒い服を1枚持っていって並べてください。並べたときに黒と見分けがつくくらいの明るさで、顎の下に当てて顔色が沈まなければ、その色は黒の代わりとして働きます。
どちらとも取れる場合:黒を着ても重く見えない日と、重く見える日がある
ここまでの目安は、イエベ春のなかでも黒に引っぱられやすい人に合わせています。実際には、同じイエベ春でも、黒が平気な人と、少しの黒でも重く見える人がいます。どちらとも取れるときは、次の順で判断してください。
まず、髪と瞳の暗さを見ます。髪が地毛の黒に近く、瞳も濃い茶色や黒に近い人は、顔の中にもともと暗い部分があります。この場合、黒い服は顔の中の暗さと呼応して、重さより締まりのほうに働きやすくなります。距離の目安を、こぶし1つから指3本ぶん程度に縮めても構いません。
反対に、髪が明るい茶色で、瞳も明るい人は、顔の中に暗い部分が少ないので、黒だけが浮きます。こぶし1つの距離を守り、間に明るい色を挟むのを基本にしてください。
次に、16タイプの診断で2番目に近いタイプを言われているなら、それを手がかりにします。2番目がブルベ冬の人は、黒との相性が比較的よく、黒を顔の近くに置いても重くなりにくい傾向があります。くわしくは1stイエベ春・2ndブルベ冬を見てください。2番目がイエベ秋の人は、黒よりもこげ茶のほうが合いやすいので、黒は顔から離すほうを優先します。
それでも決められないときは、同じ黒ニットを、朝と夕方の2回、窓のそばで着て写真を撮ってください。朝の白っぽい光でも夕方の黄色い光でも顔色が沈まなければ、黒は使える色です。どちらか一方でだけ重く見えるなら、その時間帯に予定がある日は、間に明るい色を挟みます。両方で重く見えるなら、その黒は顔から離して着る黒に分けてください。
最後に、体調や季節で顔色が変わることも考えに入れてください。日に焼けた直後や、寒さで血色が引いている日は、同じ黒でも重さの出方が変わります。一度の結果で決めず、季節の初めに一度だけ確かめ直すと、判断がぶれにくくなります。
周りの人の言葉が分かれることもあります。ある人には「黒が似合う」と言われ、別の人には「黒を着ると疲れて見える」と言われる。この場合、どちらかが間違っているのではなく、見た場面が違うことがほとんどです。前者は開いた襟の黒ジャケットを着ていた日、後者は詰まった襟の黒ニットを着ていた日、ということがよくあります。言われた日の服を思い出して、首まわりの形と距離を比べてください。言葉の分かれ目が、そのままあなたの境目になります。
それでも判断が揺れる人は、黒を「顔から離す色」として扱う側に寄せておくのが安全です。顔から離した黒で失敗することはほとんどありませんが、顔に近い黒で失敗すると、その日一日の印象が変わってしまうからです。距離が取れていると確かめられた黒だけを、少しずつ顔の近くに戻していけば、無理なく手持ちの黒を広げられます。
髪の色と黒の服が、首のところでつながっていないか
黒の重さは、服だけで決まるわけではありません。髪の暗さと服の黒がつながると、2つが合わさって1つの大きな暗い面になります。
確かめ方は、横からの写真です。鏡の横に立つか、誰かに横から撮ってもらい、耳の後ろから肩までを見てください。髪の毛先が服の黒に触れていて、首が見えていなければ、髪と服がつながっています。
つながっているときは、髪か服のどちらかで間を作ります。髪の側なら、耳にかける、低い位置で結ぶ、毛先を内側に入れて首を見せる、のどれかです。服の側なら、首の後ろまで明るい色が回るマフラーや、襟の大きい明るいシャツを使います。
髪を明るく染めている人は、また別の注意が必要です。明るい茶色の髪と黒い服の間には大きな明暗の差があり、髪だけが浮いて見えることがあります。この場合は、黒の面積を減らすか、髪の色に近い明るいキャメルを間に挟むと、髪と服の段差がなだらかになります。
口元と目元で、黒を受け止める
顔の側で黒を受け止める方法もあります。服を替えられない日に役立ちます。
口元は、黒を着た日に最も色が引いて見える場所です。黒と並ぶと、唇の赤みが周りの暗さに吸われて、顔全体が青白く見えやすくなります。イエベ春の人なら、コーラルや明るいオレンジ寄りのピンクのように、黄みを含んだ明るい色を唇に置くと、黒の隣でも口元が沈みにくくなります。
目元は、黒と呼応させる場所です。黒い服の日に、目元の線や影を少しだけはっきりさせると、顔の中にも締まった部分ができて、服の黒だけが浮くのを防げます。ただし、濃くしすぎると顔全体が暗くなるので、まつげの根元を埋める程度にとどめてください。
頬は、黒の日に最も効く場所です。頬の高い位置にほんのり明るい血色があると、黒の重さが顔の上まで届かなくなります。服の色を変えるより先に、頬と唇の2か所を一段明るくするだけで、鏡の印象はかなり変わります。
確かめるときは、黒い服を着たまま、唇の色だけを2種類試してください。ひとつはふだん使っている色、もうひとつは一段明るく黄みのある色です。どちらも同じ窓のそばで、胸から上を写します。2枚を並べて見たとき、顔より先に服が目に入るのはどちらかを比べると、自分にとって黒の日に必要な明るさがわかります。一度わかれば、黒を着る日は唇をその色にする、と決めておくだけで、朝の迷いが減ります。
眉も見ておきます。髪を明るく染めているのに眉が黒に近いと、顔の中に黒の点が2つでき、黒い服とつながって顔全体が硬くなります。眉を髪の明るさに少し寄せるだけで、黒い服の日でも顔の中の明暗が整います。
黒が決まっている日の、着方の分け方
予定によっては、黒を選ぶしかない日があります。そういう日は、色を替えずに、距離と面積で整えてください。
弔事や法事の日は、黒の面積を減らすことができません。そのぶん、襟の形で距離を作ります。詰まった襟よりも、首の付け根が少し見える襟のほうが、顎から黒が離れます。白に近い小物や肌に近い色のストッキングで、顔のすぐ下と足元に明るさを足してください。
仕事で黒のスーツや黒のジャケットを着る日は、中のブラウスで決めます。アイボリーや明るいベージュのブラウスを選び、ジャケットの襟の間から指3本ぶん以上の明るい面が見えるようにします。黒のタートルを中に着るのは、この日には向きません。
会食や集まりで黒のワンピースを着る日は、顔の下に光を置きます。ほのかに光る金色の小さな首飾りや、明るい色のショールを肩にかけると、黒の面が途中で切れて、顔のまわりに明るさが戻ります。
どの予定でも、外では窓のない場所や照明の暗い場所に長くいることが多くなります。暗い場所では黒の面がいっそう大きく見えるので、家の窓のそばで確かめたときより、もう一段明るさを足すくらいでちょうどよくなります。
反対に、昼の屋外で過ごす予定の日は、黒はそれほど重く見えません。日の光は上から強く当たるので、黒の表面にも明るい部分ができ、顔にも光が回るからです。紅葉を見に行く、子どもの行事で屋外に立つ、といった日は、家で決めた目安どおりで構いません。一日のうちどこで長く過ごすかを思い浮かべて、暗い場所が長い日ほど明るさを足す、と覚えておくと判断が早くなります。
売り場で黒を選ぶときに見る3か所
これから黒い服を買うなら、売り場で3か所を見てから決めてください。家に帰ってから「やっぱり重い」となる失敗のほとんどは、この3か所で防げます。
1か所目は、襟の上端の位置です。ハンガーに掛かった状態ではわかりにくいので、必ず試着して、顎先から黒の上端までを握りこぶしで測ってください。試着室の鏡は顔から近いので、半歩下がって全身が入る位置から見るのがよいです。こぶしが入らない形なら、間に挟む明るい色を手持ちから思い浮かべられるかを、その場で考えます。思い浮かばなければ、その1枚は見送るほうが手持ちと噛み合います。
2か所目は、布の表面です。試着室の照明は真上から強く当たることが多く、黒がふだんより明るく、なめらかに見えます。売り場の窓際や、照明の届きにくい棚の陰に布を持っていって、顎の下で傾けてください。陰に入れたときに黒が急に沈んで見える布は、家の窓のそばや夕方の部屋でも同じように沈みます。
3か所目は、黒の中の色みです。黒にも、わずかに青みや赤み、緑みを含んだものがあります。白い紙を1枚持っていき、紙の上に布を置いてみてください。紙の白との境目で、黒がほんのり茶色や赤みを帯びて見える布は、イエベ春の肌との段差が小さく、顔の近くでも重くなりにくい黒です。反対に、青みが強く冷たく見える黒は、顔から離して着る側に分けておくと迷いません。
この3か所を見る習慣がつくと、同じ黒でも「顔の近くに置ける黒」と「下に回す黒」を、買う前に分けられるようになります。
手持ちの黒を、3つの山に分ける手順
最後に、手持ちの黒をまとめて見直す手順です。休みの日に30分あれば終わります。
1つ目に、黒い服を全部出して、首まわりの形で並べます。詰まった襟、丸首、開いた襟の順です。
2つ目に、1枚ずつ着て、顎先から黒の上端までを握りこぶしで測ります。こぶしが入るものを「そのまま着る黒」の山に、入らないものを「直して着る黒」の山に分けます。
3つ目に、「直して着る黒」を1枚ずつ見て、間に挟める明るい色が手持ちにあるかを確かめます。アイボリーのシャツ、明るいベージュのマフラー、生成りのカーディガンなどです。組み合わせが見つかったものは、ハンガーにいっしょに掛けておきます。見つからないものは「下に回す黒」か「顔から離す黒」の山に移します。
この3つの山ができると、朝に黒を手に取ったとき、何を足せばいいかが一瞬で決まります。新しい服を買うときも、「直して着る黒」の山に合う明るい色を1枚選べばいいので、手持ちと噛み合わない買い物が減ります。
黒が似合わないと感じて手放したくなったときの考え方は、黒が似合わないのに黒い服が多いにもまとめています。秋冬の服全体の組み方は、イエベ春の冬服とイエベ春の秋服が地味に見えるが続きになります。
まとめ:黒は「似合わない色」ではなく「置き場所の決まった色」
イエベ春にとって、黒は避ける色ではありません。顔から握りこぶし1つ離すこと、離せないときは間に紙より少し黄みのある明るい色を挟むこと、胸から上で黒を半分までにすること。この3つで、置き場所が決まる色です。
鏡の前で違和感があったら、白いハンカチを胸元に当てて、「重い」のか「強い」のかを先に確かめてください。重いなら距離と間の色、強いなら面積と素材です。
手持ちの黒コートと黒ニットは、ボタンを1つ外す、中を明るくする、髪を首から離す、の3つで、ほとんどが着られる側に戻ります。手放すかどうかは、それを試してから決めても遅くありません。
よくある問い
- Q. イエベ春は黒を着てはいけないのですか
- 着てはいけない色はありません。黒を着たときに顔が重く見えるのは、黒が顔のすぐ下にあり、肌の明るさとの差が大きすぎて目がそちらへ引っぱられるためです。顎先から黒の上端までを握りこぶし1つぶん離すか、間に明るい色を1枚挟めば、手持ちの黒コートも黒ニットもそのまま着られます。
- Q. 法事や仕事で黒を着なければいけない日はどうすればいいですか
- 決まりで黒が必要な日は、色を替えるのではなく、首まわりの形で距離を作ってください。詰まった襟よりも、開きのある襟のほうが顎から黒が離れます。そのうえで、真珠のような白に近い小物や、肌の色に近いストッキングで明るさを足します。服の色を変えずに、顔のすぐ下だけを軽くするのが目安です。
- Q. 黒髪のイエベ春です。黒い服とどう合わせればいいですか
- 黒髪と黒い服が首のところでつながると、頭から胸までが1つの濃い塊に見えやすくなります。髪を耳にかけるか結んで首を見せ、髪と服の黒の間に肌を挟んでください。それができない日は、服の側を明るい色にして、黒は髪の1か所だけにします。
- Q. 診断でイエベ春と言われましたが、黒を着ても顔が重く見えません
- 髪と瞳が暗く、肌との明るさの差がもともと大きい人は、イエベ春でも黒に引っぱられにくいことがあります。その場合は、この記事の距離や面積の目安を一段ゆるめて構いません。ただし、真っ黒の詰まった襟だけは鏡で一度確かめてください。そこで重く見えなければ、黒はあなたの手持ちとして使える色です。
— メグラシ編集部





