骨格診断に根拠はあるのかと迷ったとき|主張を3つの箱に仕分けて、自分で確かめられる範囲を線引きする

「根拠はあるのか」は、1つの問いではありません。 骨格診断が言っていることは1種類ではないからです。
言っていることを3つに分けます。測れば確かめられること、条件を揃えれば確かめられること、確かめようがないこと。 この3つは混ざったまま語られるので、ある・ないの二択にすると必ず食い違います。
この記事は、仕分けの手順と、それぞれの箱の検算方法を書きます。答えを出すのは、読んだあなたです。判断の材料は全部、家にあるもので集まります。
3つの箱|測定・予測・好み
まず箱を用意します。
| 箱 | 主張の形 | 自分で確かめられるか |
|---|---|---|
| 測定 | 「手首の断面は人によって違う」 | 確かめられる。測ればよい |
| 予測 | 「この形のほうが縦の線が通って見える」 | 条件を揃えれば確かめられる |
| 好み | 「だからそちらのほうが良い」 | 確かめようがない |
3つは階段のようにつながっています。測定が土台にあり、その上に予測が乗り、いちばん上に好みが乗る。下の段が崩れていると、上の段は自動的に崩れます。
箱①|測定の主張は、再現するかどうかで決まる
測定の主張が使えるかどうかは、正しいかどうかではなく同じ結果が出るかどうかで決まります。
同じ人が同じ場所を測って、日によって違う答えが出るなら、その測定からは何も導けません。逆に、日を変えても同じ答えが出るなら、それは土台として使えます。
確かめるのは自分でできます。 誰かの権威も、統計の知識も要りません。
測定の再現性を自分で測る手順
手首、鎖骨、膝の3か所について、次のようにします。
- 判定の手順を紙に書く。どこを、どの姿勢で、何を見るか
- 日を変えて3回、その紙どおりに判定する
- 3回のうち2回以上同じ答えになった場所を数える
3か所中2か所以上そろえば、その測定は使える水準です。 1か所以下なら、測り方の手順がまだ固まっていません。
このとき直すのは判定の中身ではなく、手順の書き方です。「手首を触る」ではなく「手のひらを上に向け、力を抜いて、手首のいちばん細いところの断面を親指と人差し指ではさむ」。次に読んで同じ動作ができる書き方になっているかを確かめてください。
手順を紙に書くとは、どういうことか
再現性を測る作業の八割は、手順の書き方で決まります。書き方が甘いと、同じ人が同じ場所を測っても答えが変わります。
書けている手順には、次の4つが必ず入っています。姿勢、触る場所の特定のしかた、見る対象、答えの選択肢。
たとえば鎖骨なら、「立って、肩の力を抜き、腕を体側に下ろす」が姿勢。「首のつけ根から肩先へ向かって指を滑らせ、骨がいちばん高くなったところで止める」が場所の特定。「その高さが、皮膚の上からどれくらいはっきり分かるか」が見る対象。「はっきり分かる/触れば分かる/押さないと分からない」が選択肢です。
選択肢を先に決めておくことが特に効きます。選択肢がないまま測ると、その日の気分で言葉が変わり、比べられなくなります。3択にして、真ん中を用意しておくのが扱いやすい形です。
再現率が低かったときの読み方
3回とも違う答えが出る場所は、その人にとって境目にある可能性があります。手順の問題ではなく、値そのものが境目にあるということです。
見分け方があります。手順を紙どおりに他の人にも読んでもらい、同じ場所を判定してもらってください。その人も揺れるなら手順の問題、その人は揺れないならあなたの値が境目にあります。
境目にある場所は、判定から外して残りの2か所で決めます。 無理に埋めると、いちばん不安定な1票が全体を決めます。
箱②|予測の主張は、2着比較で確かめられる
「この形のほうが縦の線が通って見える」というのは、確かめられる主張です。ただし条件が要ります。
比べる2着は、分類の推す形だけが違い、他の条件が近いものにしてください。丈が10cm違う2着を比べても、丈の差なのか形の差なのか分かりません。
条件を揃えるべきなのは3つ。総丈、生地の厚み、肩の縫い目の位置。 この3つが近い2着を用意できたら、予測は確かめられます。
予測の確かめ方|見る順番と判定の場所
2着を着比べるとき、順番を固定します。分類が推さないほうを先に着て、推すほうを後に着る。 逆にすると、前の印象が後を引きます。
見る場所は1か所だけ決めます。多くの場合は肩からウエストまでの線が一続きに見えるかです。鏡から2歩下がって、3秒だけ見る。長く見ると、服ではなく自分の表情を見始めます。
差が出なければ、その予測はあなたには効いていないということです。分類が違うと決める前に、この一段を挟んでください。
予測を確かめる2着が手元にないとき
条件を揃えた2着が手持ちにないことは、よくあります。買い足す必要はありません。1着を、着方で2通りにする方法があります。
たとえば袖丈です。同じ一着を、袖を下ろした状態と、手首の骨が出る位置までまくった状態で比べる。丈も厚みも肩の位置も同じままで、変わるのは1か所だけです。
裾も同じように使えます。入れた状態と出した状態。ウエストの位置が変わるだけで、他の条件は動きません。
変えられる場所を1つだけ選び、その1か所で比べる。 2着を用意するより条件が揃うので、むしろ精度は上がります。差が出るかどうかを見るだけなら、この方法で足ります。
箱③|好みの主張は、確かめる必要がない
「だからそちらのほうが良い」は、確かめようがありません。良いというのは、その人にとって心地よい方向を言葉にしたものだからです。
これは悪いことではありません。選ぶ理由としては十分です。問題になるのは、好みの主張を測定の主張のように扱って「だからこれを着るべきだ」と続けたときだけです。
箱が分かれていれば、その飛躍に自分で気づけます。気づいたうえで従うのも自由です。
医療の枠組みとの線引き
骨格診断は、服の形を選ぶための分類です。健康や体の状態を判断するものではありません。
触る場所が体である以上、地続きに見えることがあります。ですが目的も方法も別です。この記事で扱っている検算も、服を選ぶ精度を上げるためのもので、体について何かを判断するためのものではありません。
線引きをはっきりさせておくと、診断結果の読み方も落ち着きます。 服の選び方の話として受け取れば、合わなければ変えればいいだけの話になります。
どちらとも取れるとき①|主張が2つの箱にまたがる
よくあるのが、「手首が丸いから、丸い形が合う」のように、測定と予測がひとつながりの文になっている形です。
このときは、接続詞のところで切ってください。 前半は測定、後半は予測。別々に確かめます。
前半だけ確かめられて後半が確かめられなかった、という結果はよく出ます。それは矛盾ではありません。土台は使えるが、その上の予測は自分には効かなかったというだけです。
どちらとも取れるとき②|測定は再現するのに予測が外れる
3か所の測定が全部そろっているのに、推される形がどれもしっくり来ない。この形は珍しくありません。
順番に疑ってください。まず条件を揃えた2着比較をやったか。やっていないなら、そこからです。やったうえで差が出ないなら、次に見る場所を変えます。 肩からウエストではなく、腰から膝までの線で見る。
それでも出なければ、その分類の予測はあなたには使えないと判断してかまいません。測定は残ります。 手首・鎖骨・膝の3か所の答えは、分類名がなくても服の丈や厚みを決めるときに使えます。
対面に変えると、どの箱が変わるか
有料や対面に切り替えたときに変わるのは、主に測定の箱です。判定する人が手順を固定できるぶん、再現性が上がります。
予測の箱は、あまり変わりません。予測は「見え方」の話なので、見る人の目に依存します。第三者が見たほうが客観的にはなりますが、確かめられる形になるわけではありません。
好みの箱は、まったく変わりません。形式を変えても、好みの主張は好みのままです。
人に聞かれたときの答え方
「骨格診断って根拠あるの」と聞かれたとき、3つの箱があると答えやすくなります。
「どの話かによる」から始めてください。 触って分ける部分は自分で測れば確かめられるし、実際に測ったら3か所中2か所は日を変えても同じだった。着比べて差が出るかは条件を揃えれば試せて、自分の場合は肩からウエストの線では差が出た。良いかどうかは好みの話なので確かめていない。
この3段で言えば、相手が疑っているのがどの段なのかも見えます。たいていはいちばん上の段を疑っているのに、いちばん下の段を否定する形で話しているだけです。
段が分かれていれば、否定にも肯定にも付き合いやすくなります。全部まとめて守る必要も、全部まとめて捨てる必要もありません。
この言い方には副産物もあります。自分がどの段まで確かめたかを口に出すと、確かめていない段が自分でも見えます。測定は確かめたけれど、予測はまだ試していない。そう気づいたら、次にやることが決まります。説明のための整理が、そのまま次の手順になります。
仕分けたあと、何が手元に残るか
3つの箱に分けると、手元に残るのは次の2つです。
1つは、再現する測定の答え。3か所のうち、日を変えても同じだった場所です。これは分類名とは別に、そのまま使えます。
もう1つは、自分で確かめた予測。2着比較で差が出た形です。効かなかった予測は捨ててかまいません。
この2つがあれば、根拠の議論に決着がつかなくても、買い物は進みます。根拠を問うことの目的は、議論に勝つことではなく、自分が何を頼りにしているかをはっきりさせることです。
よくある問い
- Q. 骨格診断に科学的な裏づけはありますか
- 問いを分ける必要があります。骨格診断が言っていることは1種類ではありません。「手首の断面は人によって違う」というのは測れば確かめられる主張です。「この形のほうが縦の線が通って見える」は、条件を揃えれば確かめられる主張です。「だからそちらのほうが良い」は好みの話で、確かめようがありません。裏づけがあるかどうかは、どの箱の話をしているかで答えが変わります。まとめて一つの答えを出そうとすると、必ず食い違います。
- Q. 自分で確かめるとしたら、何から始めればいいですか
- 測定の再現性からです。手首・鎖骨・膝の3か所について、日を変えて3回、同じ手順で判定してください。3回のうち2回以上同じ答えになった場所を数え、3か所中2か所以上そろえば、その測定は使える水準です。1か所以下なら、測り方の手順が固まっていません。判定の中身を疑う前に、測り方を疑ってください。再現しない測定から出た結論は、何度出し直しても揺れます。
- Q. 骨格診断は医療的なものですか
- 違います。骨格診断は服の形を選ぶための分類で、健康や体の状態を判断するものではありません。触る場所が体である以上、医療と地続きに見えることがありますが、目的も方法も別の枠組みです。この記事で扱っている検算も、服を選ぶ精度を上げるためのもので、体について何かを判断するためのものではありません。線引きをはっきりさせておくと、診断結果の読み方も落ち着きます。
- Q. 診断どおりの服を着たのに、しっくり来ませんでした
- 分類が違ったのか、条件が違ったのかを分けてください。同じ分類向けとされる服でも、丈・厚み・肩の位置は一着ごとに違います。確かめるには、分類以外の条件をできるだけ揃えた2着を比べます。丈と厚みが近く、分類の推す形だけが違う2着です。それでも差が出ないなら、その予測はあなたには効いていないということです。分類そのものが違うと決める前に、この一段を挟んでください。
- Q. 確かめられない主張は、聞かなくていいということですか
- 聞いてかまいませんが、確かめられる箱の結論の根拠には使わないでください。好みの主張は、その人にとって心地よい方向を言葉にしたものです。参考になりますし、選ぶ理由としては十分です。問題になるのは、好みの主張を測定の主張のように扱って「だからあなたはこれを着るべきだ」と続けたときだけです。箱が分かれていれば、その飛躍に自分で気づけます。
— メグラシ編集部





