おしゃれなクローゼットとワードローブ|枚数ではなく「何通り組めるか」で決まる

クローゼットは開くたびにいっぱいで、ハンガーも引き出しも埋まっている。それなのに、朝に手が止まる。着られる服がないのではなく、組める服がない。この差が、枚数を増やしても解けない理由です。
朝の数分で起きているのは、選ぶ作業ではなく探す作業です。上を決めて、合う下を探して、見つからずに最初の一枚を戻す。戻した時点で、その服は持っているけれど使えない一枚になります。
この記事は、その「組める・組めない」を数字で出す方法だけを置きます。9月半ばの今は、夏のものと秋のものが同じ場所に並んでいて、手持ちの偏りがいちばん見えやすい時期です。
しまい方の話はしません。掛けるか畳むかは別の記事に譲って、ここでは中身の選び方だけを扱います。
結論:おしゃれなワードローブは、枚数ではなく「何通り組めるか」で決まる
同じ20着でも、朝の景色はまったく違います。分かれ目は、その20着から実際に成立する組み合わせが何通りあるかです。
20着あって6通りしか組めないクローゼットと、12着で18通り組めるクローゼット。後者のほうが毎日違って見えて、しかも迷いません。整って見える人のクローゼットが必ずしも大きくないのは、この差です。
だから最初にやることは、減らすことでも買うことでもありません。いま何通りあるのかを出すことです。数字が出ると、足りないのが枚数なのか組み合わせなのかが分かれます。
数え方|上・下・羽織りを並べて、掛け算で出す
床かベッドの上に、3つの山を作ります。上に着るもの、下に履くもの、羽織るもの。いまの気温で着られないものは、この時点で外してください。
理論上の数は、3つの掛け算です。上4枚・下3本・羽織り2枚なら、4×3×2で24通り。ここが出発点になります。
ただし、24通りが全部成立するわけではありません。1組ずつ重ねて、次の2つを満たすものだけを数え直します。
- 色の幅に収まっているか ── 3つを並べたとき、濃さの離れが大きすぎないこと
- 丈の関係が決まっているか ── 上の裾と下の腰の位置、羽織りの裾と上の裾が、同じ高さで終わっていないこと
この2つを通ったものだけが、実際に着て出られる組み合わせです。多くの場合、理論値の半分以下まで落ちます。24通りが9通りになる、というのは珍しくありません。
実際に数えると、どう落ちるか
たとえば上が5枚あって、そのうち2枚が濃い側、3枚が薄い側に寄っているとします。下が3本で、2本が濃い側、1本が中間。羽織りが2枚で、どちらも薄い側。
理論値は5×3×2で30通りです。ところが濃い上2枚は薄い羽織りとしか組めず、薄い上3枚は濃い下としか組みにくい。中間の下1本だけがどちらともつながります。条件を通して数え直すと、成立するのは11通りでした。
30と11の差、この19通りが失われている場所です。差が大きいほど、直せる余地も大きいと考えてください。 出た数字は、そのまま書き留めておきます。
早見表|手持ちの構成と、出てくる通り数
| 手持ちの構成 | 理論値 | よくある実測 | 見えている状態 |
|---|---|---|---|
| 上3・下2・羽織り1 | 6通り | 2〜3通り | 毎日ほぼ同じに見える |
| 上4・下3・羽織り2 | 24通り | 8〜10通り | 週の後半で手が止まる |
| 上6・下3・羽織り2 | 36通り | 10〜12通り | 上ばかり増えている |
| 上5・下4・羽織り3 | 60通り | 25通り前後 | 迷いが出にくい |
3段目に注目してください。上を6枚まで増やしても、実測は2段目とほとんど変わりません。上だけが増えているクローゼットでは、掛け算の他の2つが止まったままだからです。
理論値と実測の開きが大きいときは、原因は次の3つのどれかにあります。枚数を足す前に、そちらを見てください。
通り数が増えない原因①|色がばらばら
いちばん多いのがこれです。一枚ずつは気に入っていて、並べてみると全部が違う方向を向いている。
色が散っていると、成立する相手が一気に減ります。濃い一枚は薄い相手としか組めず、薄い一枚は濃い相手としか組めない。結果、どの一枚も片側にしかつながらず、掛け算が働きません。
確かめ方は単純です。3つの山から1つずつ取って並べ、少し離れて見てください。どれか一つだけが浮いて見えるなら、その一枚が通り数を止めています。
直し方は、増やすのではなく寄せる作業です。土台になる色を2つに決めて、その2色を上と下の両方に持っておくと、つながる先が両側に生まれます。土台が両側にあるだけで、掛け算は動きはじめます。
色をいくつまでに収めるかは色の組み合わせは3色までに手順をまとめました。
通り数が増えない原因②|丈が合わない
色が揃っているのに組めないときは、丈です。
起きているのは、たいてい重なりです。上の裾と羽織りの裾が同じ高さで終わっている。下の腰の位置と上の裾が同じ線にある。同じ高さで切れる線が2本あると、そこで全体が分かれて見えます。
逃がし方は2つです。上の裾を下の腰より上に収めるか、羽織りの裾を上の裾より十分に下まで通すか。どちらかが決まっていれば、その組み合わせは成立します。
問題は、手持ちの上が全部同じ丈だと、この逃がし方がどちらも使えないことです。上の山を並べて、裾の高さが2種類以上あるかを見てください。1種類しかないなら、通り数を止めているのは枚数ではなく丈の単調さです。
同じことは羽織りにも言えます。羽織りが2枚あっても丈が同じなら、掛け算の3つ目は実質1になっています。長さの違う一枚を混ぜるだけで、下と上の組み合わせがそれぞれ二度使えるようになります。上下の見え方の整え方はコーデのバランスはトップスとボトムスの5原則で決まるが詳しいです。
通り数が増えない原因③|同じ役割が重なっている
見落とされやすいのがこれです。色も丈も問題ないのに伸びない場合、同じ仕事をする服が何枚も並んでいます。
役割は、ざっくり3つに分かれます。土台になるもの、主役になるもの、つなぐもの。土台は他を選ばせる側、主役はそれ一枚で場が決まるもの、つなぐのは上下の間を埋めるものです。
主役が5枚あっても、主役どうしは組めません。通り数を伸ばすのは、主役ではなく土台とつなぐ役です。 買うときに手が伸びるのは主役のほうなので、気づくと主役だけが増えています。
| 役割 | 見分け方 | 通り数への効き方 |
|---|---|---|
| 土台 | それだけでは印象が決まらない。他を選ばせる | 1枚増えると全体に掛かる |
| 主役 | 一枚で場が決まる。柄や色が強い | 増えても掛け算にならない |
| つなぐ役 | 上下の間を埋める。濃さが中間 | 両側につながり、伸びやすい |
山ごとに、この3つで数え直してください。土台が2枚以下、つなぐ役が1枚以下なら、そこが空いている場所です。手持ちのどれが実際に動いているかを先に知りたい場合は着たい服がわからないときの数え方が使えます。
秋の入れ替えで足す一枚は、増える通り数で決める
9月半ばは、夏のものを外して秋のものを入れる時期です。ここで一枚足すなら、基準は好みではなく増分にしてください。
候補を1つ思い浮かべて、床に並んだ手持ちの上に置いてみます。さきほどの2つの条件で、新しく成立する組み合わせがいくつ増えるかを数えます。
| 増える通り数 | 判定 | 考え方 |
|---|---|---|
| 5通り以上 | 足す価値がある | その季節の主力になる |
| 3〜4通り | 足してよい | 他の候補と比べてから決める |
| 2通り以下 | 見送る | 足しても朝は変わらない |
増分が大きくなりやすいのは、羽織りと、濃さが中間にある下です。羽織りは上下どちらの上にも乗るので、掛け算の3つ目がまるごと増えます。中間の濃さの下は、濃い上とも薄い上とも組めるので、片側で止まりません。
逆に増分が小さくなりやすいのは、いちばん濃いものといちばん薄いものです。手持ちの端にあるものは、つながる相手が片側だけになります。気に入って買った一枚が結局出番を持たないのは、たいていこの位置にあります。
秋は気温が2週ごとに動くので、足す順番でも迷いやすい時期です。買う順の決め方は秋に何から買うかにまとめてあります。
暮らし方で変わるところ
外に出る日が多い方は、上の山が先に減ります。洗う周期が追いつかないので、同じ役割の上を2枚持つほうが、通り数の実効値は上がります。理論上の数は変わらなくても、着られる日が増えるからです。
家にいる時間が長い方は、逆に羽織りが効きます。予定が急に入ったとき、一枚乗せるだけで場が変わるためです。この場合、上を増やすより羽織りを1枚増やすほうが、体感の変化は大きくなります。
季節の変わり目に外出が集中する方は、下を1本増やすほうが安定します。上と羽織りは気温で入れ替わりますが、下は前後の季節をまたいで使える期間が長いためです。
職場の服だけが足りない、という切り分けになった場合は、買い足すかどうかの判断をオフィスカジュアルを買い足さずに回すに分けてあります。
数えたあと、2週間で確かめること
数字を出した日の判断が合っていたかどうかは、2週間あれば分かります。
見るのは1つだけです。朝に手を伸ばして、結局戻した回数。戻す回数が減っていれば、通り数は実際に増えています。数字の上では増えたのに戻す回数が変わらない場合、増えたのは主役側で、土台やつなぐ役は空いたままです。
もう1つ、同じ組み合わせを何回着たかも見てください。2週間で3回以上同じ組になっているなら、成立している通り数のうち実際に使っているのは一部だけ、ということになります。数えた紙を見返して、まだ着ていない組から先に試すと、増えた分が使われはじめます。
よくある行き違い
「おしゃれな人は服をたくさん持っている」。数えてみると、そうとは限りません。持っている枚数より、一枚あたりが何本の線でつながっているかのほうが効きます。つながりが多いクローゼットは、少ない枚数でも毎日違って見えます。
「少なくすれば整う」。減らす方向にも同じ落とし穴があります。数だけ減らして役割の偏りが残ると、通り数は減ったままです。減らすときも、どの役割が何枚残るかで見てください。主役を残して土台を手放すと、枚数は減ったのに組めなくなります。
「まず収納から手をつける」。置き場所を整えると視界は良くなりますが、組めない服が組めるようにはなりません。順番としては通り数を出してからのほうが、手戻りが出ません。置き場所の決め方はクローゼット収納に分けてあります。
装いに活かすなら
通り数を一度数えると、翌朝からクローゼットの見え方が変わります。並んでいるのが服ではなく、線に見えるようになるからです。
数字が小さく出ても、それは持ち物の否定ではありません。どこが空いているかが分かった、というだけのことです。空いた場所は、たいてい一枚か二枚で埋まります。
季節の入れ替わりは、自分では選ばない形を試すのにも向いた時期です。顧客プロフィールと在庫情報を踏まえて選定された服が一定期間届く仕組みなら、手持ちにない役割の一枚が通り数をどれだけ動かすかを、買う前に確かめられます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. おしゃれなワードローブには、何着くらい必要ですか
- 着数では決まりません。同じ20着でも、実際に組める組み合わせが6通りの場合と18通りの場合があり、朝の迷いはこの差から出ます。先に数えてほしいのは、上に着るもの・下に履くもの・羽織るものの3つを掛け合わせて、色と丈の条件を満たす組み合わせが何通りあるかです。この数字が出てから、足りないのが枚数なのか組み合わせなのかを判断してください。多くの場合、足りないのは枚数ではありません。
- Q. 服はたくさんあるのに、着るものがないと感じるのはなぜですか
- 持っている一枚が、他の一枚とつながっていないからです。上を決めて合う下を探し、見つからずに最初の一枚を戻す。戻した時点で、その服は持っているけれど使えない一枚になります。つながりが切れる理由は3つに絞れます。色の濃さが離れすぎている、上の裾と下の腰の位置が同じ高さで重なっている、同じ役割の服が何枚も並んでいる。どれも枚数を足しても解けないので、先に原因を切り分けてください。
- Q. 組み合わせの通り数は、どう数えればいいですか
- 床かベッドの上に3つの山を作ります。上に着るもの、下に履くもの、羽織るもの。季節の合わないものは外してください。まず枚数を掛け算します。上4枚・下3本・羽織り2枚なら24通りが理論値です。次に1つずつ重ねて、3つを並べたときに濃さが離れすぎていないか、裾と腰の位置が同じ高さで重なっていないかを見ます。この2つを通ったものだけを数え直すと、実際の通り数が出ます。理論値の半分以下まで落ちるのが普通です。
- Q. 秋に一枚だけ足すなら、何を選べばいいですか
- 候補を手持ちの上に置いて、新しく成立する組み合わせがいくつ増えるかを数えてください。5通り以上増えるならその季節の主力になります。3〜4通りなら他の候補と比べてから、2通り以下なら見送って構いません。増分が大きくなりやすいのは羽織りと、濃さが中間にある下です。羽織りは上下どちらの上にも乗るので掛け算の3つ目がまるごと増え、中間の濃さの下は濃い上とも薄い上とも組めます。
— メグラシ編集部





