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バックシャンとは?ドレス・ワンピース10種を図と表で見分ける

メグラシ編集部//読了 17分
濃色のフォーマルドレスにジャケットとパールを合わせた、式に参列する装い

「バックシャンって、どういう意味なのだろう」。ドレスの商品ページやレビューで見かけて、調べにきた方が多いのではないかと思います。先に答えを書きます。

バックシャンとは、背中が大きく開いていて、後ろ姿が主役になるデザインのことです。正面から見ると落ち着いたワンピースなのに、振り返ると背中がすっと開いている。あの手のつくりを、日本ではこう呼びます。英語のback(背中)とドイツ語のschön(美しい)を組み合わせた和製の言い方といわれ、もとは「後ろ姿の美しい人」を指す俗語でした。海外の店で通じる言葉ではないので、英語圏の通販で探すときは open back や backless という語のほうが見つかります。

もうひとつ、この記事で答えておきたいことがあります。カクテルドレスとイブニングドレスは何が違うのか。これは言葉で長く説明するより、表で並べたほうが早いものです。丈、着ていく場、時間帯、露出、素材、靴とバッグ。この6つを横に並べると、二つの境目がはっきりします。

つまりこの記事は、定義は図で、違いは表で答えます。まず10種類の形を一枚の図で見比べて、バックシャンを後ろ姿の図で確かめて、カクテルとイブニングを表で分けます。そのあと、10種それぞれの形と向いている場面、結婚式で選べるものと避けたほうがよいもの、骨格タイプ別の似合わせまでたどっていきます。

ドレス・ワンピース10種を一枚で見比べる

名前から覚えようとすると、途中で混ざります。先に形を目で見てしまうほうが早いものです。並び順にも意味を持たせました。はじめの5つはシルエットそのものを指す呼び名、続く3つは作りを指す呼び名、最後の2つは着ていく場を指す呼び名です。

ドレス・ワンピース10種を一枚で見比べる

呼び名は「シルエット」「作り」「着ていく場」の3種類が混ざっています。

肩から裾に向かってまっすぐ広がるAラインワンピースのイラスト

Aラインワンピース

体に沿ってまっすぐ落ちるシフトワンピースのイラスト

シフトワンピース

ウエストで絞り裾が大きく広がるフレアワンピースのイラスト

フレアワンピース

膝まで細く裾で大きく広がるマーメイドドレスのイラスト

マーメイドドレス

胸のすぐ下に切り替えがあるエンパイアワンピースのイラスト

エンパイアワンピース

襟と前ボタンがついたシャツワンピースのイラスト

シャツワンピース

細い肩ひもで吊るすキャミワンピースのイラスト

キャミワンピース

背中が大きく開いたバックシャンドレスを後ろから見たイラスト

バックシャンドレス

床まで届く丈の長いイブニングドレスのイラスト

イブニングドレス

膝丈で整えたカクテルドレスのイラスト

カクテルドレス

ドレスの家族分け

シルエットの仲間

外形そのものから付いた名前

Aラインワンピース

シフトワンピース

フレアワンピース

マーメイドドレス

エンパイアワンピース

作りの仲間

襟・肩ひも・背中など構造の違い

シャツワンピース

キャミワンピース

バックシャンドレス

場の仲間

着ていく場から付いた名前

イブニングドレス

カクテルドレス

シルエットの名前と場の名前は、別の軸です。
「Aラインのカクテルドレス」のように重ねて使われます。

ドレス・ワンピース10種の形。名前が指しているものが3種類あるため、その軸ごとにまとめています。

並べてみると、ドレスの名前が一枚岩ではないことが見えてきます。Aライン、シフト、フレア、マーメイド、エンパイアは、外形そのものの呼び名。シャツワンピース、キャミワンピース、バックシャンドレスは、襟や肩ひも、背中といった構造の呼び名。イブニングドレスとカクテルドレスは、どこへ着ていくかという場の呼び名です。

名前の軸が3つ混ざっている

ここがこの記事の背骨にあたる部分です。ドレスの呼び名には、シルエット・作り・場という3つの軸が混ざっています。軸が違うので、ひとつの服に複数の名前が同時に当てはまります。

「Aラインのカクテルドレス」は成り立ちます。外形がAラインで、着ていく場がカクテルの集まりだからです。「バックシャンのイブニングドレス」も成り立ちます。背中が開いていて、丈が床まである。「キャミワンピースのマーメイド」だってあり得ます。

だから店頭で名前が食い違って見えても、どちらかが間違っているとは限りません。片方が形の話をしていて、もう片方が場の話をしているだけ、ということが多いのです。選ぶときは、まず外形を決めて、次に作りを見て、最後に場に合うかを確かめる。この順で考えると、名前に振り回されずに済みます。

早見表:形・印象・向いている場面

主な10種を表にまとめました。買い物の途中で見返すなら、ここだけで足ります。

ドレス・ワンピース形の特徴印象向いている場面
Aラインワンピース肩や胸下から裾へ直線的に広がる素直、清潔通勤、来客のある日、昼の集まり
シフトワンピース体に沿ってまっすぐ落ちる筒形端正、都会的仕事、面談、きちんとした食事
フレアワンピースウエストで絞り、裾が波打って広がるやわらかい、華やか食事会、発表会、休日の外出
マーメイドドレスひざまで沿い、裾で大きく開く優美、抑揚がある披露宴、記念のパーティ、二次会
エンパイアワンピース胸のすぐ下に切り替えがある軽やか、たおやか夏の集まり、体調に波がある日
シャツワンピース襟と前ボタンがつく気軽、きちんと日常、週末、羽織りとしても
キャミワンピース細い肩ひもで吊る涼やか、少しの色気夏の日常、重ね着の主役
バックシャンドレス背中が大きく開く静かな華やぎ夜の食事、パーティ、記念日
イブニングドレス床すれすれまでの長い丈荘重、格が高い舞踏会、ガラ、格式の高い晩餐
カクテルドレスひざ丈からミモレ丈で整える華やか、社交的パーティ、レセプション、二次会

バックシャンとは──後ろ姿が主役のデザイン

冒頭で答えを書きましたが、ここではもう少し丁寧に見ていきます。図で見るのがいちばん早いので、後ろから見た姿を置きます。

正面から見たときには、ふつうのワンピースと変わりません。前身頃は詰まっていて、袖があることさえあります。変わるのは背を向けたとき。肩甲骨のあいだから腰にかけて、布がないか、透けているか、細いひもだけで渡してある。歩き去るときにいちばん強く印象が残る、という設計です。

言葉の成り立ちと、使われ方の幅

back と schön を組み合わせた和製の造語といわれます。schön はドイツ語で「美しい」。もとは「後ろ姿の美しい人」を指す言い回しでしたが、現在は服のデザインを指す言葉として定着しました。呼び方には幅があり、店によってはバックコンシャス、バックオープン、オープンバックといった言い方も使われます。指しているものはおおむね同じです。

言葉が和製であることには、実用上の意味もあります。海外のブランドや越境の通販で同じ形を探すときは、open back、backless、low back といった語で検索したほうが早く見つかります。

開き方には4つの型がある

ひとくちに背中が開くといっても、開け方は同じではありません。

ひとつ、水滴形にくり抜くタイプ。首の後ろから肩甲骨のあたりまで、丸や涙のような形に開きます。開く面積は小さく、日常寄りの装いにも取り入れやすい形です。

ふたつ、V字に深く落とすタイプ。首の後ろから腰に向かって三角に開きます。開きが深いほど華やかになり、下着の選択肢が狭くなります。

みっつ、ひもや布を渡すタイプ。編み上げのひも、交差した細いストラップ、リボン結び。布はなくても線があるので、まったくの素肌よりは装飾的に見えます。リボンで留める形ならリボンの結び方の考え方がそのまま使えます。

よっつ、透ける素材で覆うタイプ。チュールやレースで背中を覆い、肌が透けて見えます。開いてはいないので、露出の面ではいちばん扱いやすい形です。

下着と、当日の段取り

背中が開いた服でいちばん困るのが下着です。開きの深さによって、対応が変わります。

肩甲骨より上までの浅い開きなら、後ろの留め具の位置が低い一般的な下着で足ります。腰に近いところまで開くなら、背中のないタイプ、貼るタイプ、ドレスに縫い込まれたカップのあるものを選ぶことになります。買う前に、開きの下端が背中のどこに来るかを鏡で確かめておくと、当日に慌てずに済みます。

もうひとつ、背中は自分では見えません。試着室では、鏡を二枚使うか、スマートフォンで後ろ姿を撮っておくことをおすすめします。座ったときに開きがどう動くか、椅子の背に肌が当たらないかも、そのときに確かめられます。

場に合わせて開きを覆う

背中が開いた服は、場を選ぶ服ではありません。覆えばいいからです。大判のショールを両肩にかける、短いボレロを重ねる、ジャケットを羽織る。式のあいだは覆って、歓談のときに外す。この使い分けができると、一着で幅広い場に持っていけます。

結婚式に招かれた立場で着るときは、開きの深さが判断の目安になります。肩甲骨より上までの浅い開きならそのままでも落ち着き、ウエストに近いところまで開くならショールで覆う。判定の考え方は結婚式の服装マナーに、項目ごとにまとめてあります。

カクテルドレスとイブニングドレスの違いを表で

ここがこの記事のもうひとつの山です。二つの名前は、どちらも「着ていく場」から付いた呼び名で、シルエットの話をしていません。だから形で見分けようとすると迷います。分かれ目は、丈と時間帯です。

見る軸カクテルドレスイブニングドレス
準礼装から略礼装夜の正礼装
ひざ丈からミモレ丈。くるぶしより上で終わる床すれすれ。足の甲まで届くこともある
着ていく場パーティ、レセプション、記念式典、二次会、食事会舞踏会、ガラ、格式の高い晩餐会、授賞式
時間帯夕方から宵の口。おおむね日没前後まで日が落ちてから。夜のあいだ
露出肩や胸元は控えめ。袖のある形も成立する肩・背中・デコルテを出す形が基本
素材サテン、ジョーゼット、レース、ツイード。適度な光沢シルクサテン、ベルベット、チュール、ビーズやスパンコール
靴とバッグヒールのあるパンプスと、小ぶりのクラッチかハンドバッグヒールの高いサテンやエナメルのパンプスと、小さなクラッチ

表をひとことでまとめると

丈で切るのがいちばん確実です。ひざ下で終わればカクテル、床まで届けばイブニング。この一点だけ覚えておけば、店頭で迷うことはほとんどなくなります。

そのうえで、時間帯が二つ目の軸になります。礼装の考え方には「昼は光らせない、夜は光らせてよい」という筋が残っています。イブニングドレスの素材が強い光沢を持っているのは、夜の照明の下で映えるようにできているからです。同じ理由で、昼の集まりに全面がスパンコールのドレスを着ると浮きます。

三つ目は露出です。イブニングは肩と背中を出す形が基本で、そのぶん手袋やショールで調整します。カクテルは肩を出さない形も、袖のある形も成立します。日本で開かれる集まりの多くはカクテル寄りなので、袖のあるドレスを一着持っておくと出番が多くなります。

日本での実際の出番

正直に書いておくと、日本の一般的な結婚式に招かれた立場でイブニングドレスを着る機会は、ほとんどありません。招待客の装いは略礼装から準礼装のあいだに収まるので、選ぶのはカクテルドレスの範囲です。イブニングドレスが出てくるのは、新婦のお色直し、格式の高いホテルの晩餐、海外のガラや授賞式といった場面に限られます。

逆にいえば、カクテルドレスの範囲を押さえておけば、日本での出番はほぼ足ります。ひざ丈からミモレ丈、控えめな光沢、つま先の隠れたパンプス。この組み合わせが、いちばん潰しの利く一式です。

招待状の書き方から読む

どちらを着るべきかは、招待状に手がかりがあります。「ブラックタイ」と書かれていれば、男性はタキシード、女性はイブニングドレスかロング丈のドレス。「カクテルアタイア」ならカクテルドレス。「平服でお越しください」と書かれていれば、これは普段着という意味ではなく略礼装のことなので、ひざが隠れる丈のワンピースにパンプスで足ります。

何も書かれていないときは、会場の格から読みます。ホテルや専門式場なら準礼装寄り、レストランやゲストハウスなら略礼装で落ち着きます。迷ったときは、一段きちんとしたほうに寄せておくと後悔が少なくて済みます。

10種それぞれの形と、向いている場面

ここからは1種類ずつ見ていきます。探されることの多い形には、その形だけを抜き出した図を添えました。

Aラインワンピース

肩、あるいは胸の下あたりから裾へ向かって直線的に広がり、正面の輪郭がアルファベットのAに見えるワンピースです。広がり方は裾までまっすぐで、布が波打つほどのボリュームはありません。

印象は素直で清潔。ウエストからヒップにかけて体に張りつかないので、腰まわりに気になるところがあるときにも扱いやすい形です。隠すというより、体と布のあいだに空気の層をつくって線を整える、という感覚に近いものです。

向いている場面は幅広く、通勤にも来客のある日にも、昼の集まりにも持っていけます。素材を変えるだけで場が動くのがこの形の良さで、コットンならカジュアルに、とろみのある化繊やウール混ならきちんとした場にも寄ります。合わせる羽織りは、丈の短いジャケットやボレロが釣り合います。

シフトワンピース

体に沿ってまっすぐ落ちる筒形のワンピースです。ウエストに切り替えがなく、肩から裾までが一続きになっています。1960年代に広まった形で、いまも仕事着の定番として残っています。

印象は端正で都会的。縦の線が通るので、全身がすっきり見えます。装飾が少ないぶん素材と色がそのまま出るため、質のよい無地を選ぶと形の良さが際立ちます。

向いている場面は仕事、面談、きちんとした食事。ジャケットを重ねればそのまま準礼装に寄せられますし、アクセサリーを変えるだけで夜の装いにもなります。腰の位置が出にくい形なので、細いベルトを足すと重心が上がります。上半身の首元をどう選ぶかはネックラインの種類にまとめました。

フレアワンピース

ウエストでいったん絞り、そこから裾に向かって布が波打ちながら広がる形です。生地を平らに広げると扇形に近く、台形に裁つAラインとはそもそも作りが違います。

印象はやわらかく華やか。歩くたびに揺れるので、静止しているときより動いているときのほうがきれいに見えます。空気をふくむぶん、実際の布の量より軽く見えるのも特徴です。

向いている場面は食事会、発表会、休日の外出、そして披露宴。上半身が細く見えるので、下半身にボリュームが出ても全体は締まって見えます。風のある日と自転車の日は、丈と重さを確かめてから出かけると安心です。

マーメイドドレス

ひざのあたりまで体に沿い、そこから裾に向かって大きく広がるドレスです。魚の尾ひれに見立てた名前で、切り替えの位置が高いほど華やかに、低いほど落ち着いて見えます。

印象は優美で抑揚があります。体の曲線と裾の広がりが組み合わさるので、輪郭にドラマが出ます。式や記念のパーティで選ばれることが多い形です。

向いている場面は披露宴、二次会、記念のパーティ。歩幅が制限されやすいので、切り替えがどこに来るかは試着で確かめておきたいところです。合わせる靴はヒールがあるほうが釣り合い、羽織りは短いボレロだと裾の広がりを邪魔しません。

エンパイアワンピース

胸のすぐ下という高い位置に切り替えがあり、そこから裾までがゆるやかに落ちる形です。19世紀初頭のフランスの様式に由来する名前といわれます。

印象は軽やかでたおやか。切り替えが高い位置にあるぶん、脚の始まりが上に見えて、全身が縦に長く見えます。お腹まわりに布が張りつかないので、体調に波がある日にも着やすい形です。

向いている場面は夏の集まり、昼のパーティ、長時間の移動がある日。締めつけが少ないので、着ていて楽なのがこの形の持ち味です。ただし切り替えの位置が高いぶん、胸の下にボリュームが集まって見えることがあります。落ち感のある素材を選ぶと静かにまとまります。

シャツワンピース

襟と前ボタンがつく、シャツをそのまま長くしたようなワンピースです。もとは日常着ですが、素材と丈で驚くほど印象が変わります。

印象は気軽で、それでいてきちんと見えます。前を全部開ければ羽織りとして使えるので、一着で二役こなせるのが強みです。

向いている場面は日常、週末、少しくだけたオフィス。ベルトを締めれば腰の位置が出て、開ければゆったり着られます。フォーマルな場に着ていくときは、シャツ襟が通勤着に見えやすいので、素材をジョーゼットやサテンに寄せると格が上がります。上に重ねる一枚の選び方はジャケット・アウターの種類も参考になります。

キャミワンピース

細い肩ひもで吊る形のワンピースです。肩と腕が大きく出るので、そのままだと下着に近い印象になることもありますが、重ね着の主役としては使い勝手のよい一枚です。

印象は涼やかで、少しの色気があります。サテンのような光沢のある素材だと夜寄りに、コットンやリネンだと日常寄りに振れます。

向いている場面は夏の日常と、重ね着の土台。Tシャツやブラウスの上から重ねる、カーディガンを羽織る、ジャケットを合わせる。どれもうまくいきます。フォーマルな場に着ていくときは、羽織りを重ねるかインナーを足すことが前提になります。素材がサテンやジョーゼットなら、重ねた時点でパーティの装いとして成立します。

バックシャンドレス

背中が大きく開いた、後ろ姿が主役のドレスです。詳しくは前の節で扱いましたので、ここでは形の位置づけだけ整理します。

これは外形の名前ではなく、作りの名前です。だからAラインでもマーメイドでも、背中が開いていればバックシャンと呼ばれます。図鑑の中で「シルエットの仲間」ではなく「作りの仲間」に入っているのは、そのためです。

向いている場面は夜の食事、パーティ、記念日。日中の場に着ていくなら、開きの浅いものを選ぶか、羽織りを重ねると落ち着きます。

イブニングドレス

床すれすれまで丈のある、夜の正礼装にあたるドレスです。肩や背中、デコルテを出す形が基本で、素材はシルクサテン、ベルベット、チュールなど、光を強く返すものが選ばれます。

印象は荘重で、格の高さがそのまま出ます。裾が長いぶん、歩き方も所作も変わります。階段のある会場では、裾をどう持つかを事前に試しておくと安心です。

向いている場面は舞踏会、ガラ、格式の高い晩餐会、授賞式。日本で招かれた側が着る機会は多くありませんが、新婦のお色直しや、海外の式に招かれたときには出番があります。手袋やストールを合わせるのが本来の形です。

カクテルドレス

夕方から宵の口の集まりに着る、ひざ丈からミモレ丈のドレスです。カクテルを片手に立って過ごす集まりのための装い、というのが名前の由来といわれます。

印象は華やかで社交的。イブニングほど重くなく、日常着ほど軽くない、その中間を受け持ちます。肩や胸元の露出は控えめで、袖のある形も成立するので、選択肢が広いのが特徴です。

向いている場面はパーティ、レセプション、記念式典、二次会、少し改まった食事会。日本でいちばん出番の多いドレスがこれで、一着持っておくと年に何度か助けられます。合わせる靴はヒールのあるパンプス、バッグは小ぶりのクラッチかハンドバッグが基本です。

場から選ぶ──どの集まりに何を着るか

形から選ぶのが難しいときは、行き先から逆算するほうが早いこともあります。よくある場面を表にしました。呼び方や求められる格は会場・地域・立場によって幅がありますので、目安として使ってください。

行き先選びやすい形丈の目安押さえどころ
結婚式(友人として)カクテルドレス、Aライン、フレアひざが隠れる〜ミモレ白系を外す。羽織りを一枚
結婚式(親族として)フォーマルワンピース、マーメイドミモレ〜ロングジャケットと同素材で格を揃える
二次会・会費制パーティカクテルドレス、バックシャン、キャミワンピースひざ〜ミモレ華やかさを出してよい範囲
立食のレセプションカクテルドレス、シフトひざ〜ミモレ立ち続けるので靴を優先
記念式典・表彰シフト、Aライン、控えめなカクテルひざ〜ミモレ光沢を抑える。写真に残る
格式の高い晩餐・ガライブニングドレス床すれすれ手袋・ストール・小さなクラッチ
発表会・観劇フレア、Aライン、エンパイアひざ〜ミモレ座席で座る時間が長い
少し改まった食事シフト、バックシャン、フレアひざ〜ミモレ店の格に合わせて光沢を調整

表を見ると、日本での出番の大半がひざ丈からミモレ丈に集中していることがわかります。一着だけ選ぶなら、この丈で、控えめな光沢の、袖か羽織りのあるものを。ここから始めると失敗が少なくなります。

結婚式で選べるドレス・避けたほうがよいドレス

招かれた立場で着るときの線引きを整理します。細かい項目ごとの判定は結婚式の服装マナーに可・条件付き可・不可でまとめてありますので、ここでは形の話に絞ります。

そのまま選べる形

Aラインワンピース、フレアワンピース、控えめなカクテルドレス、シフトワンピース。この4つは、色と丈さえ守れば迷わず着られます。素材がジョーゼットやサテン、ジャカードなど、光を柔らかく返すものであればなお落ち着きます。

マーメイドドレスも披露宴では選ばれる形ですが、切り替えの位置が高いものは華やかに寄るので、親族の立場なら低めのものが座りよく見えます。

一手間で選べる形

バックシャンドレス、キャミワンピース、エンパイアワンピース。この3つは、羽織りかインナーを足すと問題なく着られます。

背中の開きは、大きく開くならショールで覆う。細い肩ひもは、ボレロかジャケットを重ねる。エンパイアは切り替えが高いぶんカジュアルにも見えるので、素材と小物で格を持ち上げる。どれも難しい調整ではありません。

避けたほうがよい形と色

避けるのは、形そのものより色と丈です。白、オフホワイト、アイボリー、シャンパンベージュは、会場の照明の下で新婦の色に近づくため外します。丈は、座ったときにひざが出るものを外します。立って半分隠れる丈でも、椅子に座ると10センチ近く上がるからです。

イブニングドレスは、招かれた側としては格が高すぎます。主役より重い装いになるので、日本の一般的な式では選びません。シャツワンピースも、シャツ襟とコットンの組み合わせだと通勤着に見えるため、そのままでは向きません。

足元は、つま先の隠れたパンプスと肌色のストッキング。ここは形の話とは別に、揃えておきたいところです。合わせる靴下やストッキングの考え方は靴下・レッグウェアの丈にもまとめました。

ドレスの丈の呼び方

形と同じくらい、場合によっては形より効いてくるのが丈です。同じAラインでも、ひざ丈と床丈では別の服のように見えます。呼び方には幅がありますが、おおよそ次のように使われています。

丈の呼び方だいたいの位置場での扱い
ミニ丈ひざ上二次会やパーティ向け。式では避ける
ひざ丈ひざの上下数センチ招かれた側の基本。場面を選ばない
ミモレ丈ふくらはぎの中ほど落ち着きが出る。親族の立場でも通る
ミディ丈ふくらはぎ下ミモレとロングの中間。使いやすい
ロング丈足首あたり格が上がる。移動の多い日は裾に注意
フロアレングス床すれすれイブニングの領域。夜の正礼装

丈を選ぶときの目安はひとつです。脚のいちばん細い場所で切ると線が通り、いちばん太い場所で切ると視線がそこで止まります。多くの場合、ふくらはぎの下、足首に向かって細くなり始めるあたりがいちばん扱いやすい位置になります。

身長によってこの位置は動きます。同じ「ミモレ丈」と書かれた商品でも、身長155センチの人と170センチの人では裾の来る場所が違います。商品ページの総丈を、自分のウエストから床までの寸法と突き合わせておくと、数字だけで見当がつくようになります。靴のヒールでも数センチ動くので、当日履く靴で合わせておくと安心です。

骨格タイプ別・似合わせの軸

体型を隠すのではなく、線を通して整えるという考え方で見ていきます。自分のタイプがわからないときは骨格診断とはから、判断に迷うときは骨格タイプがわからないときをどうぞ。

骨格ストレート

上半身に厚みがあってメリハリのある体型で、重心は上にあります。下半身に布が溜まると重心が下がって見えやすいので、余分なボリュームを持たない形が扱いやすくなります。

得意なのはシフトワンピース、控えめなAライン、落ち感のあるカクテルドレス。ウエストの位置が高すぎない、体に沿ってまっすぐ落ちる形が釣り合います。首元は開いているほうが軽くなるので、Vネックやすっきりしたラウンドネックが合いやすい方向です。

苦手が出やすいのは、胸の下で強く絞るエンパイアと、ウエストにたっぷり布を寄せる形です。上半身の厚みとボリュームが重なるためで、選ぶなら寄せの少ないもの、切り替えが自然な位置にあるものを試してみてください。素材はハリの強いものより、落ちるもののほうが軽く見えます。

骨格ウェーブ

上半身が薄く華奢で、曲線的、重心は下にあります。下半身に視線を集めすぎない工夫と、上半身に少し布を足す工夫が、両方効いてきます。

得意なのはフレアワンピース、エンパイアワンピース、切り替えの高いカクテルドレス。ウエストの位置がはっきりしていて、そこから広がる形だと脚の始まりが上に見えます。やわらかい素材、レース、シフォンとも相性がよいタイプです。

苦手が出やすいのは、重い素材でまっすぐ落ちる形です。厚手のシフトワンピースは布の重さが下半身に集まりやすい。着たいときは薄手で落ち感のあるものを選び、上半身に装飾やボリュームを足すと釣り合います。丈はひざ丈からミモレ丈が使いやすい範囲で、長い丈を選ぶならヒールで縦の長さを補うとまとまります。

骨格ナチュラル

骨と関節が目立ち、肩幅や背中が広めで、体に厚みより枠のあるタイプです。布の量に負けにくいので、ボリュームのある形をそのまま着られるのが強みになります。

得意なのはAラインワンピース、マーメイドドレス、ロング丈のフレア、たっぷりしたシャツワンピース。素材の質感がはっきりしているものとも相性がよく、リネン混やジャカードのような表情のある生地も着こなせます。

苦手が出やすいのは、体に張りつく薄い素材です。細身のシフトを着たいときは、少しゆとりのあるサイズを選び、素材に厚みや張りのあるものを探すと骨感が目立ちにくくなります。バックシャンを着るなら、肩甲骨がはっきり出るぶん、開きが大きいものほど堂々と見えるタイプでもあります。

体型の気になりに合わせる

隠すではなく、整える。線をどこに通すかを決めれば、体型は問題ではなく条件になります。考え方の全体像は着痩せの考え方にもまとめました。

お腹まわりが気になるとき

胸のすぐ下で切り替わるエンパイアワンピースが、いちばん素直な選択です。切り替えから下は体に触れずに落ちるので、お腹まわりに布が張りつきません。Aラインの控えめなものも同じ理屈で使えます。

避けたいのは、ウエストの位置でぴったり絞る形と、薄すぎる素材です。中くらいの厚みで落ち感のある生地を選ぶと、体の線を拾わずに縦に落ちます。ベルトを使うなら、いちばん細い位置ではなく、少し上のあばらに近い位置で締めると楽になります。

二の腕・肩まわりが気になるとき

袖のあるドレスを選ぶか、羽織りを一枚足すか、シースルーの袖にするか。この3つが定番です。とくにシースルーの袖は、露出を抑えながら重くならないので、夏の集まりで助かります。

ノースリーブを着たいときは、肩ひもの幅が広いものを選ぶと肩まわりが落ち着きます。細い肩ひものキャミワンピースは、ボレロやジャケットを重ねる前提で考えると選びやすくなります。袖の形ごとの違いは袖の種類にまとめてあります。

腰まわり・下半身が気になるとき

Aライン、フレア、切り替えの低いマーメイドが候補になります。腰に張りつかない程度のゆとりがあり、裾に向かって静かに落ちる形が扱いやすい選択です。

素材は、薄すぎると体の線を拾い、厚すぎると量が出ます。中くらいの厚みで落ちるもの。色は暗いほうが引き締まって見えますが、明るい色を諦める必要はありません。上下を近い色でそろえるか、羽織りとドレスの明度を近づけると、全身に縦の線が通ります。

身長が低めのとき/高めのとき

身長が低めなら、切り替えの位置が高い形が助けになります。エンパイアや、ウエストが高い位置にあるカクテルドレス。裾は足首が見える丈にするか、ヒールで補うと縦が詰まりません。

身長が高めなら、長い丈をそのまま着られるのが強みです。ミディやロング丈のフレア、マーメイド、床丈のイブニングまで選択肢に入ります。気をつけたいのは、ミモレのつもりがひざ下丈になっていることで、総丈の実測が役に立ちます。低めの身長で悩むときの考え方は低身長150センチの装いにもまとめました。

迷いやすい組み合わせの見分け方

似た形が並ぶところを、判断の一言でまとめます。

Aラインとフレア

Aラインは肩または胸の下から裾まで一直線に開き、裾の輪郭も直線に近くなります。フレアはウエストでいったん絞ってから、布を多く使って広げるので、裾が波打ちます。生地を平らに広げると、Aラインは台形、フレアは扇形に近い形です。迷ったら、腰の位置に切り替えの線があるかを見てください。

シフトとエンパイア

シフトは切り替えがなく、肩から裾までが一続きに落ちます。エンパイアは胸のすぐ下に切り替えがあり、そこから下が別のパーツになっています。正面から見ると似て見えることもありますが、胸の下に横の縫い目があるかどうかで判別できます。着心地はエンパイアのほうがゆったりします。

マーメイドとトランペット

どちらもひざ下で広がりますが、広がり方が違うといわれます。マーメイドは裾で大きく波打ち、トランペットは切り替えからゆるやかに開いてラッパのような輪郭になります。境目はあいまいで、ブランドによって表記が入れ替わることもあります。歩幅がどれだけ取れるかは試着で確かめるのが確実です。

バックシャンとバックコンシャス

指しているものはほぼ同じです。バックシャンが和製の言い方で、バックコンシャスは「背中を意識した」という意味合いの表現。店によってはバックオープン、オープンバックとも書かれます。呼び方の違いより、開きがどこからどこまでかを見るほうが役に立ちます。

ドレスとワンピース

日本語では、ワンピースは上下がつながった服全般を指し、ドレスは改まった場に着るものを指すことが多い、という使い分けです。ただし境目は明確ではなく、同じ商品がどちらの名前でも売られています。英語では dress が上下つながった服全般を指すので、越境の通販では感覚が変わります。

カクテルドレスとパーティドレス

パーティドレスは、パーティに着ていくドレス全般を指すゆるい呼び方です。カクテルドレスはそのなかの一区分で、丈と時間帯がもう少しはっきりしています。商品名にパーティドレスとあるものの多くは、実質カクテルドレスの範囲に収まっています。

素材と色で、場を合わせる

形が決まったら、最後は素材と色です。ここで場の空気に合うかどうかが決まります。

素材は光の返し方で選びます。昼の集まりならジョーゼット、シャンタン、ジャカードなど光を抑えたもの。夜ならサテン、ベルベット、ビーズやスパンコールなど光を返すもの。この使い分けが、礼装の考え方の背骨にあたる部分です。一着で昼夜どちらにも使いたいなら、光沢を抑えた生地を選んでおくと迷いが減ります。

色は、面積の大きさを考えて決めます。ドレスは全身の大部分を一色が覆うので、顔映りへの影響が大きい服です。濃紺、ボルドー、深緑、グレージュ、くすみピンクあたりは会場を選ばず使えます。自分に合う色の方向を知っておくと、大きな面積を任せる色を決めやすくなります。4シーズンの比較色の名前の図鑑も参考にしてみてください。

小物で温度を調整するという手もあります。同じ濃紺のドレスでも、パールとサテンのバッグならフォーマルに、ゴールドのアクセサリーとレザー調のバッグなら少しくだけた集まりに寄ります。装いの重さをどこで決めるかはスマートカジュアルとはの考え方が近いところです。

迷ったときの決め方

最後に、店頭や画面の前で迷ったときの順序をまとめます。

ひとつ、行き先と時間帯を決める。昼か夜か、格の高い会場か気軽な集まりか。ここでカクテルの範囲かイブニングの範囲かが決まり、選択肢が半分になります。

ふたつ、丈を決める。ひざが隠れるか、ふくらはぎの細い位置で切れるか。座ったときの丈で判断すると失敗しません。

みっつ、外形を決める。まっすぐ落とすか、裾に広がりを出すか。上半身に厚みがあるなら落とす方向、下重心が気になるなら広げる方向が、それぞれ釣り合いやすい選択です。

よっつ、羽織りを用意する。ショール、ボレロ、ジャケット。一枚あるだけで、露出の判定はほぼすべて条件付き可に変わります。

いつつ、後ろ姿を確認する。背中が開いた形ならなおさらですが、開いていない形でも、後ろ姿は自分では見えません。鏡を二枚使うか、撮っておくかして確かめておくと、当日に不安が残りません。

名前は、覚えられたら便利という程度のものです。大事なのは、自分の体にとって縦に落とすことが効くのか、裾に広がりを出すことが効くのか、そして行き先がどれだけの格を求めているのかを知っていること。分からなくなったら、この記事の最初の図に戻ってきてください。

下半身の形をあわせて考えたいときはスカートの種類パンツの種類もどうぞ。診断を受けてみたい方には骨格タイプ診断パーソナルカラー診断もご用意しています。

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— メグラシ編集部

よくある問い

Q. バックシャンとはどういう意味ですか?
背中が大きく開いていて、後ろ姿が主役になるデザインのことです。英語のback(背中)とドイツ語のschön(美しい)を組み合わせた和製の言い方といわれ、もとは後ろ姿の美しい人を指す俗語でした。現在はドレスやワンピースの、背中を見せるつくりを指して使われることがほとんどです。開き方には水滴形、V字、編み上げ、透ける素材など幅があります。
Q. カクテルドレスとイブニングドレスはどう違いますか?
丈と時間帯がいちばんの違いです。カクテルドレスはひざ丈からミモレ丈で、夕方から宵の口の集まりに着ます。イブニングドレスは床すれすれまでの長い丈で、日が落ちてからの格式の高い場に着ます。露出はイブニングのほうが広く、素材の光沢も強め。靴とバッグも、イブニングはヒールの高いパンプスと小さなクラッチが基本になります。
Q. イブニングドレスとはどんなドレスですか?
夜の正礼装にあたる、床すれすれまで丈のある長いドレスです。肩や背中、デコルテを出す形が基本で、シルクサテンやベルベット、チュールなど光を強く返す素材が使われます。着ていく場は舞踏会、ガラ、格式の高い晩餐会や授賞式など。日本の一般的な結婚式に招かれた側が着る機会は、ほとんどありません。
Q. カクテルドレスとはどんなドレスですか?
夕方から宵の口の集まりに着る、ひざ丈からミモレ丈のドレスです。カクテルを片手に立って過ごす集まりのための装い、というのが名前の由来といわれます。肩や胸元の露出は控えめで、袖のある形も成立します。パーティ、レセプション、記念式典、結婚式の二次会など、日本でいちばん出番の多いドレスです。
Q. 結婚式のお呼ばれで避けたほうがよいドレスはどれですか?
白やオフホワイト、アイボリーなど新婦の色に近いもの、ひざが出る丈、つま先の出る靴と合わせる前提の形は避けます。背中が大きく開いたバックシャンや肩の出るデザインは、羽織りを一枚持っていけば着られます。判断に迷う項目は、結婚式の服装マナーの記事に可・条件付き可・不可で整理してあります。
Q. Aラインワンピースとフレアワンピースはどう違いますか?
広がりが直線か曲線かの違いです。Aラインは肩または胸の下から裾までを一直線に開き、正面の輪郭がアルファベットのAに見えます。フレアはウエストでいったん絞ってから布を多く使って広げるので、裾が波打ち、歩くと揺れます。腰の位置に切り替えがあるかどうかが、見分けの目安になります。
Q. 骨格ウェーブに似合うワンピースはどれですか?
ウエストの位置がはっきりしていて、そこから広がる形が合いやすいタイプです。フレアワンピース、エンパイアワンピース、切り替えの高いカクテルドレスあたりが候補になります。やわらかい素材と相性がよく、重い生地でまっすぐ落ちる形は下重心になりやすいので、着るなら上半身に装飾を足すと釣り合います。

— メグラシ編集部

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