骨格ウェーブのスーツ|秋冬の厚い生地は肩先と着丈の2か所で選ぶ

骨格ウェーブのスーツは、色でも形の名前でもなく、肩の縫い目の位置と、着丈が止まる高さの2か所で決まります。
肩の縫い目が、肩の骨の出っぱりより外へ1.5cm以上出ていないこと。着丈が、ヒップのいちばん高い位置より上で止まっていること。この2つが揃っていれば、あとの調整はボトムスと中に着るもので効きます。
秋冬は、この2つの許せる幅がさらに狭くなる季節です。ウールや起毛の厚い生地は、肩先にできた空洞をそのまま形として残し、余った着丈を重さで下へ引っ張ります。生地をつまんで3mmを超える一着なら、肩は1cm以内で判定してください。
逆に、この2つを外した一着は、素材を上げても色を変えても戻りません。上半身の布が浮き、腰から下に布が集まり、体の縦の線が途中で切れるからです。
まず測る|手元の一着で3分、当てるのは2か所だけ
鏡の前で、着たまま測ります。必要なのは定規かメジャー1本です。
1か所目は肩です。肩の先に指を滑らせると、骨が出っぱって止まる場所があります。そこに人差し指を置いたまま、ジャケットの肩と袖の縫い目がどこにあるかを見ます。指の真上なら0cm、外へずれているならその距離を測ります。
2か所目は着丈です。横向きで鏡に立ち、お尻のいちばん高く出ている高さに手を当てます。ジャケットの裾がその高さより上で止まっているか、同じ高さか、下まで覆っているかを見ます。
この2つの数字が出れば、その一着に何が言えるかはもう決まっています。秋冬の一着なら、ここに3つ目として生地の厚みを足します。測り方は後の節で書きます。
軸1|肩先の出は0〜1cm。1.5cmを超えると胸の上に布が浮く
骨格ウェーブと呼ばれる体は、肩から胸にかけての厚みが前後方向に薄く出ることが多いタイプです。薄いこと自体はまったく問題ではありません。問題になるのは、既製のジャケットの肩の作りが、その薄さを前提にしていないときです。
肩の縫い目が骨より外に出ると、その分だけ布が体から離れます。離れた布は支えるものがないので、肩先から胸の上にかけて空洞ができ、腕を下ろすと縦のしわが1本入ります。これが「ジャケットに着られている」と感じるときの正体です。
目安はこうです。
- 0〜1cm:成立。腕を上げ下げしても、肩の布が独立して動かない
- 1〜1.5cm:条件つき。肩に厚みのあるものを内側に着るか、袖を通したときの空洞を確かめてから
- 1.5cm以上:外れる。ここは詰めるしかない場所で、着方では戻らない
もうひとつ、肩の中に入っている芯の厚みも見てください。指でつまんで5mmを超える厚みがあると、薄い上半身の上に段ができます。芯を抜ける作りなら、抜くだけで印象が変わります。
判定を確かなものにするには、腕を上げ下げしてみてください。腕を下ろしたときに、肩先の布が体より遅れて落ちてくるなら、そこに空洞があります。同時に落ちるなら、布は肩に乗っています。動かしたときの時間差は、静止した鏡では見えない情報です。
軸2|着丈はヒップの高い位置より上。覆う丈は腰から下に布が集まる
着丈は、長い短いではなく「どこで止まるか」で見ます。
基準はヒップのいちばん高い位置です。ここより上で止まる丈なら、上半身と下半身の切り替えがその高さで起き、そこから下は一続きの縦になります。ヒップ全体を覆う丈になると、切り替えが見えなくなり、腰から下の布の面積が増えます。
ウエストの細い位置から測って8〜16cmのあいだで止まる着丈が、扱いやすい範囲です。この範囲は身長で動きます。身長が低めなら8〜12cm、高めなら12〜16cmで考えてください。
長い丈が絶対に成立しないわけではありません。成立させるには、ボトムスの留め位置をへその高さまで上げて、下に見える縦の長さをジャケットの着丈より長くする必要があります。この条件を満たせないなら、丈を詰めるほうが確実です。
秋冬のスーツは、生地が厚いぶん許せる幅が狭くなる
夏の薄い生地のスーツなら、肩が1.2cm出ていても、腕を下ろせば布が自分の重さで落ちて肩に沿います。空洞は一時的に生まれても、すぐに潰れます。
秋冬のウールやツイード、起毛の生地はそうはいきません。生地にこしがあるので、肩先で体から離れた布は、離れたままの形を保ちます。空洞が潰れずに、肩から胸の上に一枚の板のような面が立ちます。薄い上半身との間に、横から見て1〜2cmの隙間が残ることもあります。
着丈も同じです。厚い生地は重いぶん、裾が下へ引かれて、薄い生地のときより5mmから1cmほど長く落ちます。売り場で着たときより、半日着たあとのほうが裾の位置が下がっていることがあります。
このため、秋冬の一着は判定を1段厳しく取ってください。目安は次のとおりです。
| 判定する場所 | 薄い生地の目安 | 秋冬の厚い生地の目安 |
|---|---|---|
| 肩先の出 | 0〜1.5cm | 0〜1cm |
| 着丈(細い位置から) | 8〜16cm | 8〜14cm |
| 肩の芯の厚み | 5mm以下 | 3mm以下 |
厚い生地が合わないという話ではありません。許せる幅が狭いだけで、その幅に収まる一着なら、厚い生地のほうが形が崩れずに長持ちします。
生地の厚みを指で測る|つまんで何mmか
生地の厚みは、表示を見なくても指で分かります。ジャケットの裾の端を、親指と人差し指でつまんでください。表地1枚ぶんの厚みが、指の間に挟まった感触で分かります。
目安は、名刺を2枚重ねた厚みがおよそ0.5mmです。つまんだ感触が名刺6枚ほどに届かなければ3mm以下、それより厚く感じれば3mmを超えています。
もう1つの見方は、生地の戻り方です。つまんだ指を離したときに、跡がすぐ消えるか、しばらく残るかを見ます。すぐ消える生地はこしが強く、肩の空洞を保ちやすい性質です。跡が少し残る生地は柔らかく、体の側へ寄りやすくなります。
同じ厚みなら、柔らかい生地のほうが骨格ウェーブと呼ばれる体には沿いやすくなります。秋冬に厚手を選ぶなら、厚みより先に柔らかさを確かめてください。
起毛やツイードなど、表面に凹凸のある生地
表面に毛足や凹凸がある生地は、厚み以上に存在感が出ます。光を吸って面が広く見えるので、同じ寸法でも肩まわりが一回り大きく見えることがあります。
骨格ウェーブと呼ばれる体でこうした生地を選ぶときは、凹凸の大きさを見てください。指先でなでて引っかかりを感じない程度の細かな起毛なら、問題はほとんど出ません。織り目が粒のように立っている粗い生地は、上半身の面を広げます。
粗い生地を使うなら、面積を減らすのが早道です。ジャケットだけをその生地にして、ボトムスは表面の滑らかな生地にします。上下を同じ粗い生地にすると、全身の面が一様に広がって、縦の線が見えにくくなります。
逆に、表面の凹凸は肩先の小さな空洞を隠してくれる面もあります。1cm前後の出なら、細かな起毛の生地のほうが目立たないこともあります。
軸3|下襟の幅は6〜8cm。胸の面と釣り合わせる
下襟(ラペル)の幅は、胸の上にどれだけの面積を置くかを決めています。
薄い上半身に幅の広い下襟を置くと、胸から肩にかけての面が襟に占領され、そこだけが重くなります。逆に細すぎると、体と襟の間に間延びした空きが出ます。
- 6〜8cm:釣り合う
- 8〜10cm:条件つき。中の首まわりを開けて縦を作る
- 10cm以上:外れやすい
測るのは、下襟のいちばん広いところの幅です。左右の襟の内側の距離ではありません。秋冬の厚い生地では下襟の返りも厚くなるので、同じ8cmでも面が強く出ます。厚手の一着は、7cm以下を目安にしてください。
軸4|留め位置の高さは、体のいちばん細い位置から上に0〜5cm
前を留めたときに、いちばん上の留め位置がどこに来るかを見ます。
ウェーブと呼ばれる体は、胴のいちばん細い位置が比較的高いところに出ます。ここより下で留まるジャケットは、細い位置を布で通り過ぎてしまうので、体の形が服に反映されません。
指標は簡単で、体のいちばん細い高さに手を当て、留め位置がその高さから上へ0〜5cmの範囲にあるかです。5cmより下で留まるなら、その一着は前を開けて着て、中に着るもので細い位置を見せるほうが早く決まります。
軸5|上下の丈の比。ジャケットの下に見える縦が、着丈より長いか
ここまでの4つが単品の話だとすれば、5つ目は組み合わせの話です。
ジャケットの裾から靴までの縦の長さを、ジャケットの着丈と比べます。下のほうが長ければ縦が続き、同じか短ければ二段に割れます。
同じジャケットでも、ボトムスの留め位置を3cm上げるだけでこの比は変わります。手元の一着が微妙だと感じるとき、直すのはジャケットではなくボトムスの位置であることが多いです。
4つの軸を組み合わせる|成立・条件つき・戻せない
| 軸 | 成立する範囲 | 条件つき | 戻せない |
|---|---|---|---|
| 肩先の出 | 0〜1cm | 1〜1.5cm | 1.5cm以上 |
| 着丈(細い位置から) | 8〜16cm | 16〜20cm | 20cm以上 |
| 下襟の幅 | 6〜8cm | 8〜10cm | 10cm以上 |
| 留め位置の高さ | 細い位置+0〜5cm | +5〜8cm | +8cm以上 |
読み方は、成立が3つ以上なら買う、条件つきが2つまでなら直して使う、戻せないが1つでもあれば見送るです。とくに肩の「戻せない」は、ほかの3つがすべて成立していても覆せません。秋冬の厚い生地なら、肩の「条件つき」も見送る側に入れてください。
どちらとも取れるとき|肩が1〜1.5cm、着丈が16〜20cmの帯
いちばん迷うのは、2つの軸がどちらも「条件つき」に入っている一着です。肩は1.2cm出ている、着丈は細い位置から17cm。成立とも外れとも言い切れない。売り場ではこの状態がいちばん多く起きます。
この場合は、どちらか一方だけを直せるかで決めてください。
着丈は詰められます。裾の内側に折り返しの余りがあれば、数センチ詰めて成立の帯へ入れられます。肩は、詰める直しが袖を外す作業になるので、手間が大きくなります。つまり、着丈を詰めれば肩だけが条件つきに残る一着になります。
肩だけが条件つきなら、着方で戻せます。中に肩の丸みが出るものを着る、前を留めずに開けて着る。この2つで空洞の見え方はかなり減ります。
ただし、ここに秋冬の厚い生地が加わると話が変わります。厚い生地では、肩の条件つきは着方で戻りにくくなります。肩1〜1.5cmで、生地が3mmを超える一着は、見送ってください。 薄手の生地なら、同じ寸法でも買ってよい側に入ります。
もう1つの判断材料は、その一着を着る時間の長さです。半日以上前を留めて座る日が多いなら、条件つきの肩はしわが固定されやすくなります。着る時間が短い行事用なら、条件つきのままでも成立します。
割れたとき①|肩は合うのに、着丈が長い
いちばん多い組み合わせです。肩で選ぶと丈が余ります。
このときは丈のほうを動かします。順番は3つあります。まず、裾を詰められる作りかを見ます。裏地の始末が単純で、裾の内側に折り返しの余りがあるなら、数センチは詰められます。次に、ボトムスの留め位置を上げて比を戻します。最後に、内側に着るものを裾から出さないようにします。
3つとも打てないなら、その一着は前を開けて着る一着として扱ってください。前を開けると、体の中央に縦の空きができ、覆っている面積が視覚的に減ります。
割れたとき②|着丈は合うのに、肩が浮く
こちらは着方では戻りません。ただし、打てる手はあります。
肩の芯が入っている作りなら、抜いてもらうと縫い目の位置は変わらないまま厚みだけ落ちます。それでも1.5cm以上出ているなら、肩を詰める直しになります。肩の直しは袖を一度外す作業になるので、直す前に、その一着を今後どのくらい着るかを先に決めてください。
直さない選択もあります。中に着るものを、肩に丸みの出るものに替える方法です。空洞の底が上がるので、しわが1本減ります。応急ですが、年に数回しか着ない一着ならこれで足ります。
割れたとき③|すべて合うのに、着ると気持ちが乗らない
寸法が全部合っているのに違和感が残るときは、たいてい表面の性質が原因です。
布が硬く、体に触れずに立っているときは、薄い上半身との間に空気の層ができます。手のひらで押して、離したときに戻る速さを見てください。1秒以内に元の形へ戻る布は、体に沿うより先に自分の形を保とうとします。
このときは、中に着るものを柔らかいものにして、ジャケットとの間の落差を埋めます。落差が小さくなると、硬い布でも体の側に寄ってきます。
ボトムスの側で決める2つ|上端の高さと、丈の止まる位置
ジャケットが決まったあと、結果を左右するのはボトムスです。ここは2つしか見ません。
上端の高さは、体のいちばん細い位置に合わせます。細い位置より3cm以上下に上端があると、腰の丸みの始まる場所に布が乗るので、そこが横に広がる面になります。
丈の止まる位置は、スカートなら膝の皿の中心から上下5cmの帯を避けてください。膝の皿の真ん中で止まると、脚の線がその高さで一度切れます。パンツなら、くるぶしの骨が見えるか、完全に隠れて靴の甲に触れるかの二択にします。
秋冬はブーツを合わせる日が増えます。ブーツの履き口とスカートの裾のあいだに見える脚の長さが5cm未満だと、その隙間がかえって目立ちます。裾をブーツに重ねるか、10cm以上離すかのどちらかにしてください。パンツの選び方は骨格ウェーブの似合うパンツで詳しく扱っています。
秋冬の中に着るもの|薄手ニット・ハイネック・ブラウス
スーツは3枚で1つの姿になります。中の一枚をどう扱うかで、同じ組み合わせが別のものに見えます。
首の開きは、ジャケットの襟の開きと同じ方向へ揃えます。 襟が深く開く一着なら、中も開ける。襟が高い位置で閉じる一着なら、中も首に沿わせる。方向がぶつかると、胸元だけに情報が集まって、そこで視線が止まります。
秋冬に増えるのが、薄手のハイネックを中に着る組み合わせです。このときは、ジャケットの下襟が首の線と交わる位置を見てください。下襟が開き始める点が、ハイネックの上端より10cm以上下にあれば、首から胸にかけて縦の帯が残ります。10cmより近いと、首まわりに布が集まって詰まって見えます。
薄手のニットを中に着る日は、厚みに注意します。ニットの厚みが2mmを超えると、ジャケットの肩先の空洞が埋まるぶん、肩の縫い目の出が見えにくくなります。肩が1cm前後出ている一着なら、これで成立の側に寄せられます。逆に、肩がぴったりの一着に厚いニットを重ねると、腕まわりが窮屈になります。
裾は、原則として内側に収めます。外に出す場合は、出した長さがジャケットの着丈の半分以下になるようにしてください。
コートを重ねる日|ジャケットの着丈とコートの丈の差を見る
冬のスーツは、上にコートを重ねて歩く時間があります。このとき、ジャケットの裾がコートの裾より下に出ていないかを見てください。出ていると、コートの下にジャケットの裾が1段見えて、横の線が増えます。
ジャケットの着丈が細い位置から14cm以内に収まっていれば、ほとんどのコートで裾は隠れます。16cmを超える一着は、短めのコートと合わせると裾がのぞきます。
肩にも注意が要ります。ジャケットの肩先が1cm以上出ている一着の上にコートを重ねると、コートの肩が押し出されて、上半身がさらに一回り広く見えます。コートを重ねる日が多い人ほど、ジャケットの肩は0〜1cmに収めてください。
室内でコートを脱いだあと、ジャケットの肩先に押されたしわが残ることがあります。厚い生地ほど残りやすいので、脱いだらすぐに肩を軽く手で整えてください。
秋冬の色の濃さ|濃い色ほど、肩と着丈の線が見えにくい
秋冬は濃い色のスーツが増えます。濃い色は、肩先の空洞や着丈の止まる位置の影が見えにくくなる性質があります。同じ寸法の一着でも、薄い色より濃い色のほうが、ずれが目立ちません。
これは、条件つきの一着を選ぶときの助けになります。肩が1〜1.5cmで迷う一着でも、濃い色なら印象の差は小さくなります。ただし、厚い生地の場合はこの助けが効きにくくなります。厚みのある生地は、色に関係なく形そのものを保つからです。
上下を分けて組むときも、濃い色同士なら差が出にくくなります。秋冬の起毛した生地は光り方の差も小さいので、上下を分けやすい季節でもあります。
袖丈も秋冬は少し短めに見る|手首の骨が隠れるかどうか
肩と着丈が決まったら、最後に袖丈を見ます。秋冬は中にニットやハイネックを着るので、袖口から中の服の袖がのぞきやすくなります。
目安は、腕を下ろしたときに袖口が手首の骨にかかるかどうかです。骨が半分隠れる長さなら、中の服の袖は1cmほどのぞく程度で収まります。骨が完全に隠れて手の甲にかかる長さだと、腕が長い布に包まれて、上半身の面が下へ伸びて見えます。
骨格ウェーブと呼ばれる体は、上半身の面を小さく見せたほうが縦の線が続きやすいので、袖は短めの側に寄せてください。袖丈は裾と同じく詰めやすい場所です。肩と着丈が成立していて袖だけが長い一着なら、迷わず詰めて構いません。
中に厚手のニットを着る日は、ニットの袖をジャケットの袖口から出さずに、手首の位置で一度折り返して収めておきます。袖口の重なりが1段減るだけで、手元がすっきり見えます。
場面で動かす|行事、通勤、人前で話す日
同じ一着でも、場面によって効かせる場所が変わります。
行事の日は、前を留めて着る時間が長くなります。留め位置の高さと、留めたときの横しわの有無を先に確かめてください。長時間留めるなら、留めたまま座って、留め位置の左右に布が引かれないかを見ます。
通勤で毎日着るなら、優先は着丈です。座る時間が長いほど、丈が長い一着はしわの寄る位置が固定されます。秋冬の厚い生地ではこのしわが戻りにくいので、なおさら丈を先に見てください。通勤の装い全体の組み方は骨格ウェーブのオフィスコーデにまとめてあります。
人前で話す日は、上半身が正面から見られます。下襟の幅と、中に着るものの首の開きを揃えてください。
スーツが似合う骨格かどうかより、肩と着丈が合うか
「スーツが似合う骨格」という言い方を見かけることがあります。けれど、スーツが似合うかどうかを決めているのは、体の側ではなく一着の側です。
既製のスーツは、肩から胸にかけて厚みのある体を基準に作られていることが多く、その基準に近い体ほど、選ばずに合う一着が見つかりやすいというだけです。骨格ウェーブと呼ばれる体は、その基準から少し離れているので、選ぶ手間が少し増えます。
増えた手間は、この記事の2か所を測ることで片づきます。肩が0〜1cm、着丈がヒップの高い位置より上。この2つに合う一着なら、どの体でもスーツは決まります。骨格ごとのオフィスの装いの違いは骨格タイプ別のオフィスカジュアルで比べています。
試着室での順番|上着を重ねた状態と脱いだ状態の両方を見る
秋冬のスーツは、試着室で見る状態が1つでは足りません。ジャケットだけを着た状態と、その上にコートを重ねた状態の両方で、肩と着丈を確かめてください。
試着室には、その季節に実際に上に着るコートを着ていくのが確実です。コートを脱いでジャケットを試し、肩の縫い目と着丈を測ったあと、もう一度コートを羽織ります。羽織ったときに、コートの肩がジャケットの肩先に押されて外へ出ていないか、コートの裾からジャケットの裾がのぞいていないかを見ます。
中に着るものも、秋冬に実際に合わせるものを着ていってください。薄手のブラウスで試して合っていた一着が、厚手のニットを中に着ると腕まわりで窮屈になることがあります。逆に、肩が1cm前後出ている一着が、ニットを中に着ると成立の側に寄ることもあります。
もう1つ、試着室の照明は真上から当たることが多く、肩先の空洞の影が見えにくくなります。売り場の窓際など、横から光が当たる場所で一度見ておくと、空洞の有無がはっきりします。
直すか見送るか|手間ではなく、着る回数で決める
条件つきの一着を前にしたとき、直して着るか見送るかで迷うことがあります。このときの判断材料は、直しの手間ではなく、その一着をこの先何回着るかです。
裾を詰める直しは比較的軽い作業です。年に10回以上着る見込みがあるなら、着丈が条件つきの一着は詰めて成立させる価値があります。肩を詰める直しは、袖を外す大きな作業です。年に数回しか着ない行事用なら、肩が条件つきのまま、中に着るもので補うほうが現実的です。
秋冬の厚い生地は、直しの仕上がりにも影響します。厚い生地ほど、縫い直した跡が表に出やすくなります。肩の直しは、薄い生地より厚い生地のほうが跡が残りやすいと考えてください。厚い生地で肩が外れている一着は、直すより見送るほうが結果は安定します。
直しに出す前には、直したあとの寸法を店の人と一緒に確かめておきます。裾を詰めるなら、詰めたあとの裾がヒップのいちばん高い位置より上で止まるか。袖を詰めるなら、手首の骨が半分隠れる長さに収まるか。この2つを数字で伝えると、仕上がりが思っていた位置とずれにくくなります。
迷ったら、見送る側を選んでください。合う一着は、肩と着丈の2か所を測れば、売り場で数分のうちに見分けられます。
上下を分けて買う判断|揃いにこだわらない
肩と着丈の両方が合う上が見つからないなら、上下を分けて組むほうが結果は良くなります。
分けるときの条件は2つです。色の濃さが近いことと、布の表面の光り方が近いことです。屋外の光の下で並べて、片方だけ光るなら別物に見えます。逆にこの2つが揃っていれば、織り方が多少違っても揃いに見えます。
分けて組む利点は、上下それぞれで丈と幅を選べることです。上の着丈が短めなら、下は幅を細めにして縦を伸ばす、という調整が同時にできます。
3分で決める手順|売り場でも、家の鏡の前でも
- 肩の骨に指を当て、縫い目の出を測る(1.5cm以上なら、ここで終わり)
- 裾の端をつまんで生地の厚みを見る(3mmを超えたら、肩は1cmで判定し直す)
- 横向きになり、裾がヒップの高い位置より上か下かを見る
- 下襟の幅を測り、前を留めて留め位置が細い位置からどれだけ上かを見る
- 座って、留め位置の左右に横しわが出ないかを見る
この順番が大事です。戻せない場所から先に見ると、時間を使う前に終わります。
まとめ|持ち帰るのは、2つの数字と生地の厚み
覚えて帰るのは、肩先の出の数字と、着丈がヒップの高い位置より上かどうか。この2つです。秋冬の一着なら、生地をつまんで3mmを超えるかどうかを足してください。
下襟と留め位置は、その2つが揃ってから効いてくる調整です。上下の比は、買ったあとにボトムスで動かせます。
つまり、選ぶときに全部を見る必要はありません。戻せない2か所だけを先に確かめて、あとは手元で動かす。 スーツはそういう買い方をしたほうが、結果として長く着られます。
関連記事
よくある問い
- Q. ジャケットの肩が合うサイズだと、胸まわりが窮屈になります。どちらを優先しますか
- 肩を優先してください。肩の縫い目の位置は、着てしまうと直せる幅がいちばん狭い場所です。胸まわりは、留め具を上から2番目だけにする、前を開けて着る、内側に着るものを薄いものに替える、の3つで数センチぶんの余裕が作れます。ただし前を留めたときに留め位置の左右に横方向のしわが出るなら、それは布の量が足りていない合図なので、そのサイズは前を開けて着る一着として扱ってください。
- Q. 着丈が長いジャケットしか手元にありません。どう着ればいいですか
- ボトムスの腰の位置を上げて、上下の丈の比を戻します。ジャケットの裾が太ももの上に乗る長さなら、ボトムスの留め位置をへその高さに置き、内側のものを外に出さずに収めてください。ジャケットの下に見えている布の縦の長さが、ジャケットの着丈と同じかそれより長くなると、上下が二段に割れて見えます。裾を数センチ詰められる作りなら、詰めるほうが早く決まります。
- Q. 秋冬の厚いウールのスーツは、骨格ウェーブには向きませんか
- 向かないわけではありません。厚い生地は肩先の空洞をそのまま形として残すので、肩の縫い目の出の許容が1.5cmから1cmへ縮むだけです。肩が0〜1cmに収まる一着なら、厚い生地でも成立します。迷うときは、生地を指でつまんで厚みを見てください。3mm以下なら通常の目安、3mmを超えたら肩と着丈をそれぞれ1段厳しく判定します。
- Q. 上下を別で買っても大丈夫ですか
- 肩と着丈が合う上が見つからないときは、別で買うほうが結果は良くなります。分けて買う条件は2つ、色の濃さが近いことと、布の表面の光り方が近いことです。秋冬の起毛した生地は光り方の差が出にくいので、上下を分けやすい季節でもあります。屋外の光で並べて確かめてから決めてください。
- Q. 中に着るものは何を基準に選びますか
- 首の詰まり具合を、ジャケットの襟の開きより浅くするか深くするかで決めます。ジャケットの襟が開いている一着なら、中の首まわりも同じ方向に開けたほうが縦が続きます。逆に襟が高い位置で閉じる一着なら、中は首に沿うものを選んでください。秋冬に薄手のハイネックを中に着る日は、ジャケットの下襟が首の線と交わらないかを先に見ます。
— メグラシ編集部





