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骨格ナチュラルのスーツ|織りの粗さとシワの残り方で決まる

メグラシ編集部//読了 10分
ジャケットの織り目の粗さと袖口から出る手首の位置を確かめている様子

骨格ナチュラルのスーツは、形の名前でもサイズでもなく、布の表面で決まります。

見るのは2つ。織り目が目で見えるかどうか。つけたシワが何秒残るか。この2つが揃った一着は、肩と鎖骨と手首の骨を布が受けてくれます。揃っていない一着は、骨の線と布の面が別々に主張します。

サイズを1つ上げるかどうかも、この2つで決まります。上げてよい布と、上げると外れる布があるからです。

まず触る|売り場でも、家のクローゼットでも

着る前に、布を触ります。

織り目:袖の外側を光にかざして、糸の1本1本が見えるかを確かめます。表面が平らで糸が見えないなら、平らな面の布です。

シワの戻り:袖の内側をぎゅっと握って5秒置き、離してから何秒でシワが消えるかを数えます。

この2つの結果で、その一着の性格が決まります。着るのはそのあとです。

軸1|織り目が見えるか。骨の線と競合させない

骨格ナチュラルと呼ばれる体は、肩、鎖骨、手首、膝といった場所に骨の線が出ます。線が出ること自体は、装いの上では材料になります。

問題は、その線を平らな面の上に置いてしまうときです。何も情報のない平らな面の上に骨の線が1本走ると、線だけが浮きます。

織り目が見える布は、表面にすでに細かい情報があります。そこに骨の線が重なっても、線は面の一部として収まります。だから、織り目のある布を選ぶという判断は、隠すためではなく釣り合わせるための判断です。

  • 糸が1本ずつ見える:成立
  • 近づけば見える:条件つき
  • 光を返して面が平ら:外れやすい

軸2|シワの戻り。10秒以上残るなら、体の動きを受ける

握って離したシワが、何秒で消えるかを数えます。

  • 10秒以上残る:体の動きをそのまま受ける。動いた形が布に残る
  • 5〜10秒:中間
  • 3秒以内に消える:跳ね返す。体の形より布の形が勝つ

骨格ナチュラルの体で扱いやすいのは、10秒以上残るほうです。肩や肘の動きが布に残るので、体と布が同じ速さで動きます。

ただし、毎日着る一着では話が変わります。同じ場所に毎日シワが集まると、そこが折り目として残ります。毎日着る前提なら、5〜10秒の中間を選ぶほうが長く持ちます。

シワが残ることを、崩れと同じに扱わないでください。骨格ナチュラルの体では、肘や肩の動いた跡が布に残ることで、体と布が同じ動きをしていることが見えます。跡がまったく残らない布は、体が動いても布だけが元の面に戻るので、動きが服に反映されません。

見分けたいのは、動いた跡と、放置してできた折り目の違いです。動いた跡は、腕を伸ばせば緩やかに戻ります。折り目は、伸ばしても線として残ります。折り目になってきたら、掛けて休ませる日を挟んでください。1日休ませるだけで、10秒側の布はかなり戻ります。

軸3|袖口と手首。骨が1〜3cm出る長さ

腕を下ろした状態で、袖口から手首の骨がどれだけ出ているかを見ます。

  • 1〜3cm出る:腕の線が手のほうへ続く
  • 0〜1cm:条件つき。動くと隠れる
  • 完全に隠れる:袖が独立した筒に見える

手首の骨が見えていると、腕という縦の線が袖の外まで続きます。ここは1〜2cmの直しで変わる場所なので、ほかが合っている一着なら迷わず直してください。

逆に、長い袖を折って着るのは避けたほうが無難です。折ると袖口に体積ができ、いちばん細い手首の位置に厚みが乗ります。

袖丈を見るときは、腕を下ろした自然な姿勢で測ってください。腕を前に出すと袖は上がり、後ろに引くと下がります。鏡の前で腕の位置を作ってしまうと、実際に立っているときの長さとは違う数字になります。そして、上に何も羽織らない状態で測ること。中に着るものの袖が先に出ていると、どこまでがジャケットの袖か分からなくなります。

軸4|肩の縫い目。骨より1〜3cm外は、余りではない

肩の骨の出っぱりに指を当て、袖の縫い目がどこにあるかを測ります。

骨格ナチュラルの体では、縫い目が骨より1〜3cm外にあるほうが成立します。 これは余りではなく、骨の角を布で受けるための距離です。真上に置くと、骨の出っぱりが縫い目を押し上げて、そこに角ができます。

  • 1〜3cm外:受けられる
  • 0〜1cm:骨が縫い目を押す
  • 5cm以上外:布の硬さ次第。硬い布なら肩先に角ができる

だから、距離だけを見て判断しないでください。距離と硬さの組み合わせです。5cm外でも、シワが10秒残る柔らかい布なら、布は肩から素直に落ちます。

確かめ方は、横向きに立って肩先を見ることです。骨の位置から布までが、なだらかな斜面になっているか、角のある段になっているか。斜面ならその距離は成立していて、段なら硬すぎます。正面の鏡だけでは、この違いは見えません。

もう1つ、肩の中の芯も見ます。骨格ナチュラルの体では、芯を入れて肩の形を作るより、芯を抜いて布の落ちるままにしたほうが、骨の線と競合しません。芯を抜ける作りなら、抜いた状態でもう一度横から見てください。斜面がなだらかになるなら、抜いたほうが合っています。

4つを組み合わせる

成立条件つき外れる
織り目糸が見える近づけば見える面が平らで光を返す
シワの戻り10秒以上残る5〜10秒3秒以内に消える
袖口と手首骨が1〜3cm出る0〜1cm完全に隠れる
肩の縫い目骨より1〜3cm外0〜1cm/3〜5cm5cm以上外かつ硬い布

袖口は直せます。肩の縫い目と織りとシワの戻りは直せません。直せない3つを先に見るというのが、順番の理由です。

1サイズ上げてよいのは、どんなときか

「骨格ナチュラルは大きめが合う」という言い方は、条件を落とすと外れます。

上げてよい条件:織り目が見えて、シワが10秒以上残る。この布なら、増えた分は体側へ落ちて、肩から腕へ線が続きます。

上げてはいけない条件:表面が平らで、シワが3秒で消える。この布で上げると、増えた分がそのまま面として体から離れ、肩先に空洞ができます。

つまり、上げるかどうかは体の話ではなく布の話です。同じ体でも、布によって答えが逆になります。

ボトムスの側|丈と、裾の落ち方

上が決まったら、下は2つだけ見ます。

は、くるぶしの骨が見えるか、完全に隠れて甲に触れるかの二択です。骨の上で止まる中途半端な丈が、いちばん線を途切れさせます。骨格ナチュラルの体は足首の骨がはっきり出ることが多いので、見せると細い場所が終点になり、隠すと縦が靴まで続きます。どちらを取ってもよいので、どちらかに振り切ってください。

裾の落ち方は、立ったときに裾が自分の重さで落ちているか、外へ張っているかで見ます。織り目が見えてシワが10秒以上残る布なら、裾は素直に落ちます。落ちる裾は、脚の線をそのまま下へ延ばします。外へ張る裾は、そこに体積を作って線を止めます。

上で織りの粗い布を選んだなら、下も同じ性質の布にしてください。上下で落ち方が違うと、腰の高さで動きが分断されます。

手持ちを直すなら、どこから手をつけるか

すでに持っている一着を活かす場合、直す順番は決まっています。

1番目は袖丈。 1〜2cmの調整で、手首の骨が見える長さになります。ほかの場所に影響が出ないので、いちばん軽い直しです。

2番目は着丈。 肩幅の1.5倍を下回っているなら、詰めるのではなく、下に着るものを長くして全身の比で調整します。ジャケットの着丈を詰めると、留め具の位置が裾に寄って下端が詰まって見えます。

3番目は身幅。 織り目が見えてシワが残る布なら、詰めるとせっかくの落ち方が失われます。詰めるより、下に着るものの幅を合わせるほうが結果が良くなります。

肩は直しません。骨格ナチュラルの体では、肩の縫い目が骨より1〜3cm外にあるのが成立帯なので、そもそも直す必要のない場所です。ここに手をつけようとしたら、判断がどこかで逆になっています。

割れたとき①|織りは合うのに、肩が窮屈

織り目もシワの戻りも成立しているのに、肩だけが窮屈なら、縫い目が骨の真上か内側にあります。

このときは1つ上げてください。上の条件を満たしている布なので、上げても外れません。上げたあとに袖が長くなるはずなので、袖丈を1〜2cm詰めれば完成します。

肩を優先し、袖で調整する。この順番だと直しが軽く済みます。

割れたとき②|布は合うのに、全体が四角く見える

織りもシワも合っているのに全体が四角く見えるなら、着丈と幅の比が近すぎます。

ジャケットの着丈と、肩幅を比べてください。着丈が肩幅の1.3倍を下回ると、正方形に近い比になります。1.5〜1.8倍のあいだに入る一着なら、縦のほうが長い比になります。

短い着丈の一着しか手元にないなら、下に着るものを長めにして、全身での比を作り直してください。

割れたとき③|行事の日だけ、うまくいかない

普段は決まるのに、前を留めて座る日だけ落ち着かないなら、留めたときの背中を見てください。

前を留めて腕を前に出したとき、背中の中央に横向きの引きが出るなら、背中側の布が足りていません。骨格ナチュラルの体は肩甲骨が後ろへ出るので、ここで引かれやすいのです。

打てる手は2つ。背中に縦のひだ(後ろ中心の余り布)がある作りに替える。もしくは、その日は前を開けて着る。行事の性質が許すなら、後者で足ります。

上下を揃えるか、別で組むか

揃いで買う利点は、織りの粗さが上下で一致することです。骨格ナチュラルの体では、この一致がそのまま全身の一続きの面になります。

別で組むときの条件は、色の濃さより織りの粗さを合わせることです。片方だけ表面が平らだと、色が同じでも別物に見えます。屋外の光の下で並べて、片方だけ光るかどうかを確かめてください。

逆にいえば、織りの粗さが揃っていれば、濃さが少し違っても揃いに見えます。合わせる優先順位が、ほかのタイプとは入れ替わる場所です。

3分で決める手順

  1. 袖の外側を光にかざし、糸が見えるかを確かめる
  2. 袖の内側を握って離し、シワが消えるまでの秒数を数える
  3. 着て、袖口から手首の骨が何センチ出るかを見る
  4. 肩の骨に指を当て、縫い目までの距離を測る
  5. 着丈が肩幅の1.5倍以上あるかを見る

1と2で外れたら、着る前に終わります。触るだけで半分決まるというのが、このタイプのスーツ選びのいちばんの近道です。

まとめ|触ってから、着る

骨格ナチュラルのスーツは、鏡の前に立つ前に半分決まっています。織り目が見えるか、シワが10秒残るか。この2つです。

そこが揃っていれば、肩の縫い目が3cm外にあっても布は素直に落ち、1サイズ上げても外れません。揃っていなければ、寸法をどう合わせても布が自分の形で立ちます。

だから、ハンガーから外したら、まず触ってください。

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よくある問い

Q. 骨格ナチュラルは1サイズ上げたほうがいいと聞きました。本当ですか
条件つきです。上げてよいのは、布に織り目が見えて、つけたシワが10秒以上残る場合に限ります。この条件なら、増えた布は体側へ落ちて肩と腕の線に沿います。逆に、表面が平らでシワが3秒で消える布を1つ上げると、増えた分がそのまま面として体から離れます。上げる前に、まず布をつまんで離してください。判断はそこで付きます。
Q. 袖が長くて手首が隠れます。詰めたほうがいいですか
手首の骨が完全に隠れているなら詰めてください。目安は、袖口から手首の骨が1〜3cm出る長さです。骨格ナチュラルの体は手首の骨がはっきり出ることが多く、その骨が見えていると腕の線が手のほうへ続きます。隠れると、袖だけが独立した筒に見えます。詰めるのは1〜2cmで足りることが多いので、直しの中では負担の軽い部類です。
Q. 上下を揃いで買うべきですか、別で組むべきですか
織り目が見える布で揃えられるなら揃い、見つからないなら別で組んでください。骨格ナチュラルの体は、上下で織りの粗さが揃っていると全身が一続きの面に見えます。別で組む場合の条件は、色の濃さより織りの粗さを合わせることです。片方だけ表面が平らだと、同じ色でも別の一着に見えます。屋外の光で並べて確かめてください。
Q. 肩が余って見えるのが不安です
余りと、受けるための距離は別物です。骨の出っぱりより1〜3cm外に縫い目があるのは、骨を布で受けるための設計で、この範囲なら肩から腕へ線が続きます。不安になるのは、縫い目が5cm以上外にあって、なおかつ布が硬い場合です。この組み合わせだと布が自分の形で立つので、肩の先に角ができます。距離ではなく、距離と硬さの組み合わせで見てください。
Q. 行事の日と通勤で、選び方は変わりますか
優先の順番が入れ替わります。行事の日は前を留めて座る時間が長いので、留めたときに背中が引かれないかを先に見てください。通勤で毎日着るなら、シワの戻り方が先です。10秒以上残る布は表情になりますが、同じ場所に毎日シワが集まると折り目として残ります。毎日着る一着は、少し戻りの速い布を選ぶほうが持ちます。

— メグラシ編集部

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