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コートのボタンの種類と留め方|シングル・ダブル・比翼の見分けどころ

メグラシ編集部//読了 15分
並んだコートの前立てを開いて、ボタンの並び方と留め具を確かめている場面

コートを見比べていて、同じような形なのに印象が違う。その差が説明できないとき、たいてい効いているのは前立てです。

コートのボタンは「いくつ付いているか」ではなく、「前立てがどう作られているか」で分かれます。 縦一列か、二列か、布の下に隠れているか。この3つで大半が説明でき、残りをトグルとその他の留め具で拾えば、店頭での判別はほぼ済みます。

アウターの形そのものの見取り図はジャケット・アウターの種類12種にまとめてあり、この記事はその図鑑では扱いきれなかった前立てとボタンの細部を担当します。

前立て|ボタンが付いているあの一本の帯

前立て(まえたて)は、コートの前を合わせるために、身頃の端に付けられた帯状の部分のことです。ここにボタンホールが開き、反対側にボタンが付きます。

見た目の上では、前立ては胴の真ん中に走る一本の縦線です。この線が長く見えるほど身長は高く見え、途中で切れたり左右に分かれたりすると横に広がって見えます。ボタンの話が体型の話につながるのは、この一点があるためです。

前立てのまわりには、名前の付いた部分がいくつかあります。前身頃が左右に重なる部分を打ち合わせ、その重なりの幅を打ち合わせ幅と呼びます。ボタンが縫い付けられた側と、ボタンホールが開いた側では、前立ての作りが違うことも珍しくありません。ボタンホール側のほうが力がかかるので、多くは芯が入って硬く仕上げられています。 店頭で前立てをつまんでみて、片側だけ張りがあるのはそのためです。

もう一つ知っておくと便利なのが、上前(うわまえ)と下前(したまえ)という呼び方です。重ねたときに外側に来る側が上前で、レディースのコートは着る人から見て右側が上前になることが多くつくられています。同じ形でも上前が反対だと、鏡で見たときの印象が変わります。

前立ての5系統を一枚で

系統ボタンの並び表からの見え方印象主に使われるコート
シングル縦一列ボタンが縦に並ぶ軽い、日常的ステンカラー、チェスター、ラップ
ダブル縦二列ボタンが左右に対で並ぶ格が上がる、厚みが出るトレンチ、ピーコート、チェスター
比翼仕立て一列(布の下に隠れる)縦の切り替え線だけ静か、端正ステンカラー、トレンチ、ノーカラー
トグル縦一列(棒状の留め具)横向きの棒が並ぶカジュアル、素朴ダッフル
ボタンを使わないなしベルト、スナップ、ジップ軽い、輪郭が出るガウンコート、ノーカラー

この5つの名前が言えれば、コート売り場での会話は成立します。 以降は、それぞれの中身を寸法で見ていきます。

順番としては、まず自分がどちらを求めているかを決めてください。前立てに情報がほしいのか、消したいのか。情報がほしいならダブルかトグル、消したいなら比翼かくるみボタン、その中間がシングルです。この一段目を先に決めると、店頭で見るべき棚が半分に減ります。

なお、同じ「コート」でも形によって採用されやすい前立ては決まっています。トレンチはダブル、ステンカラーは比翼かシングル、ピーコートはダブル、ダッフルはトグル。形と前立てはほぼ組で覚えられるので、アウターの種類12種の図と合わせて見ると定着が速くなります。

シングルとダブルの違いを寸法で

項目シングルダブル
ボタンの列一列二列
打ち合わせ(重なり幅)5〜8cm12〜18cm
胸の前の生地一枚二枚(重なる)
暖かさ標準高い(風が入りにくい)
格標準一段上がる
縦横の見え方縦に見える横に見える
前を開けたとき落ち着く左右に開いて広く見える

前を開けた状態で見分けるなら、重なり幅です。 手のひらの幅(およそ8cm)より広く重なっていればダブル、それ以下ならシングル。ボタンの列を数えるより速い場面があります。

ダブルは風が入りにくいので、実用としても冬向きです。ただし胸の前が二枚重なるぶん、上半身に厚みが出ます。この厚みが、体型によっては効き、体型によっては過剰になります。

もう少し具体的にいうと、生地の厚みが2mmのコートなら、ダブルの打ち合わせ部分だけは4mmになります。数字としては小さいのですが、重なるのが胸のいちばん前に出ている位置なので、正面から見たときの厚みとして読まれます。上半身にもともと厚みがある方がダブルを重く感じるのは、気のせいではなく寸法の話です。

反対に、肩幅が狭く上半身が薄い方にとっては、この二重が輪郭を補ってくれます。ダブルのコートを羽織ると急に決まって見える、という感想が出るのはこの場合です。どちらが正解ということではなく、足りないところに厚みが来ているか、足りているところに来ているかの違いだと考えてください。

シングルの段数|2つ・3つ・4つ

段数ボタン同士の縦の間隔縦の線の見え方向く丈
2つボタン18〜24cm間隔が空き、線が途切れやすい短め〜膝上
3つボタン14〜18cm標準。最も収まりがよい膝丈〜膝下
4つボタン12〜15cm線が細かく連続し、縦に伸びる膝下〜ロング
5つ以上10〜13cm情報量が増え、前が細かく見えるロング

間隔が12〜16cmに収まっているとき、縦の線はいちばん自然に読まれます。 18cmを超えると点が離れて線に見えなくなり、10cmを切ると点が多すぎて前立てが騒がしくなります。

丈が長いのにボタンが2つしかないコートは、留めても留めなくても腰から下が開きます。歩いたときの前の開き方は、段数でほぼ決まります。

もう一つ、いちばん上のボタンがどの高さに来ているかも見てください。鎖骨より上にあると、留めたときに首元が詰まって顔まわりが窮屈になります。逆に、みぞおちより下から始まると、胸元が大きく開いて寒い日には風が入ります。いちばん上のボタンは、鎖骨のくぼみから10〜15cm下あたりに来ているものが、留めても開けても収まります。

段数が多いコートは、下から順に外していけるという利点もあります。座るときは下の2つを外し、歩くときは1つだけ外す。段数が少ないと、この調整の幅がありません。通勤で電車に座る時間が長い方は、3〜4段のシングルがいちばん扱いやすい構成になります。

ダブルの配置|6×2、4×2、6×1

ダブルは「ボタンの総数×実際に留める数」で呼ばれることがあります。表に見えているボタンの全部が留まるわけではありません。

呼び方見えるボタン実際に留まる数印象
4×24個(2列×2段)2個最も軽い。腰の位置が締まる
6×26個(2列×3段)2個標準。トレンチに多い
6×16個(2列×3段)1個(いちばん下)Vが深く、縦に長く見える
8×28個(2列×4段)2個情報量が多い。ロング丈向き
8×38個(2列×4段)3個前がしっかり閉じる。防寒向き

6×1は、留める位置が低いぶん胸元のVが深くなり、縦に長く見えます。 上半身に厚みがある方や身長が高くない方が、ダブルを選ぶときの逃げ道になる配置です。

ダブルのボタンの横の間隔

縦の間隔と同じくらい、横の間隔が見え方を決めます。

二列の間隔胸の前の見え方向く体型
8cm以下縦の二本線が近く、縦に見える身長が高くない方、上半身に厚みがある方
9〜12cm標準。バランスが取れるほとんどの方
13〜16cm横の線が強く出て、胸が広く見える肩幅が狭い方、身長が高い方
17cm以上上半身が大きく見える意図してボリュームを出したいとき

間隔が広いほど、胸の前に横の線が引かれます。 横の線は幅を強調するので、上半身をすっきり見せたいときは10cm前後までに収めてください。

比翼仕立て|ボタンを布の下に隠す作り

比翼仕立て(フライフロント)は、前立ての上にもう一枚布をかぶせて、ボタンを表から見えなくした作りです。

表に残るのは縦の切り替え線だけになるので、前立てから情報が消えます。これが「静かに見える」「端正に見える」の正体です。

比翼の特徴内容
表に見えるもの縦の切り替え線が1本。ボタンは見えない
留め方かぶせ布の下でボタンを留める。上端だけ表に出る仕様もある
手間留め外しに一手間かかる
格シングルより静かで、きちんとした場に向く
相性のよい形ステンカラー、トレンチ、ノーカラー
苦手な場面頻繁に脱ぎ着する日

比翼のコートは、装いの情報量を減らしたいときの選択肢です。柄物のスカートや華やかなニットを着る日に、外側を静かにしておきたいなら比翼が効きます。逆に、全身が無地で静かな日は前立てが寂しく見えることがあります。

比翼が寂しく見える日の直し方は、前立てを変えることではなく、首元か足元のどちらかに一つだけ情報を置くことです。ストールの結び目、襟を立てる、色のある靴。前立てから消えた情報を、別の場所に一つだけ戻すと釣り合います。二つ戻すと、今度は比翼を選んだ意味がなくなります。

留め外しの手間についても、実感として書いておきます。比翼は表のかぶせ布をめくってから留めるので、一段ごとに二動作かかります。一日に何度も脱ぎ着する日には向きません。朝に一度着て、職場で一度脱ぐという使い方の日に、いちばん気持ちよく使えます。

隠しボタンと比翼の違い

この二つは混同されやすいので、指す範囲を分けておきます。

言葉指すもの使われ方
比翼仕立てかぶせ布でボタンを覆う「作りの名前」具体的。仕様として指定できる
隠しボタン表からボタンが見えない「状態の呼び名」広い。比翼のほか、スナップ留めなども含む
表前立てボタンが表に見える一般的な作り比翼の対義として使われる

比翼は作りの名前、隠しボタンは見え方の呼び名。 店頭で「ボタンが見えないもの」を探すなら、比翼という言葉を使うほうが正確に伝わります。

トグル|棒とループで留める

トグルは、棒状の留め具をひもの輪に通して留めるものです。ダッフルコートの留め具として知られています。

項目目安
棒の長さ4〜6cm
素材木、樹脂、水牛の角
留め具の数3〜4組
ループの素材革ひも、太い織りひも
印象カジュアル。素朴で厚みがある
向かない場面式、格のある場、きちんとした職場

手袋をしたままでも留められるという実用から生まれた形なので、装いの格の物差しの上ではいちばん外側に置かれます。式やきちんとした場での判断は礼装の格とドレスコードを目安にしてください。

トグルは横向きの棒が縦に並ぶので、前立てに「横の線が3〜4本」入ります。縦に伸ばしたい方には不利な要素なので、丈を長めにして縦の総量を稼ぐと釣り合います。

素材でも印象は動きます。明るい色の木のトグルに太い織りひもという組み合わせは学生の制服の記憶と結びつきやすく、濃い色の角のトグルに革ひもという組み合わせは落ち着いて見えます。同じダッフルでも、留め具の素材と色を見ると大人向けかどうかが判断できます。

もう一点、トグルは留め外しが速いという実用があります。ボタンホールに通す動作がなく、輪に引っかけるだけなので、手袋のままでも扱えます。屋外での出入りが多い日や、子どもの行事のように立ったり座ったりが続く日には、この速さがそのまま利点になります。格の物差しでは外側でも、生活の物差しでは強い留め方です。

ボタンを使わない留め方

留め方見え方向くコート
ベルトを結ぶだけ前立てに情報がない。腰の位置が決まるガウンコート、ラップコート
スナップ(ホック)表に何も出ない。最も静かノーカラー、比翼と併用
ジップ(ファスナー)縦の金属線が1本入るブルゾン、防寒重視のコート
くるみボタン生地と同じ布で覆ったボタン。目立たないノーカラー、ドレッシーなコート
前を開けたまま着る縦の開きが2本になり、細く見えるすべて

くるみボタンは、表前立てのまま情報量だけ落とせる選択肢です。比翼ほど静かにはなりませんが、留め外しの手間は普通のボタンと変わりません。

ボタンホールの向き|縦穴と横穴

前立てを見るとき、ボタンだけでなく穴の向きも見ておくと、その一着の作りの丁寧さが分かります。

穴の向き特徴使われる場所
横穴(横向き)力がかかってもボタンが端に寄って安定するコートの前立て全般。最も一般的
縦穴(縦向き)ボタンが上下に動きやすく、前立てがずれやすい前立ての幅が狭いとき、装飾的な仕様
いちばん上だけ縦穴首元の動きに追従させるため襟を立てて留める仕様のコート
鳩目穴(片側が丸い)丸い側にボタンの足が収まり、引きつれない厚手のコート、仕立てのよいもの

厚い生地のコートで前立てが引きつれるときは、穴の向きか糸足のどちらかが原因です。穴が縦向きだと、留めたときにボタンが上下に逃げて前立てが波打ちます。買う前に、留めた状態で前立てが平らかどうかを見てください。

穴の長さは「ボタンの直径+生地の厚み」でつくられます。直径25mmのボタンに厚み3mmの生地なら、穴は28mm前後です。付け替えるときに直径をそろえる必要があるのは、この式のためです。

ボタンの素材

素材見え方特徴
貝(白蝶貝など)光の当たり方で表情が変わる上質に見える。割れやすい
ナット(植物の実)つやが控えめで温かみがある定番。扱いやすい
水牛の角濃淡のむらがあり深みが出る高級コートに多い
樹脂均一でつやがある手入れが楽。安価に見えることも
金属光を強く返す。存在感が出るピーコート、ミリタリー由来の形
くるみ(生地包み)生地と一体化して目立たない静かに見せたいとき
木・角(トグル)素朴で厚みがあるダッフル

同じ形のコートでも、ボタンを樹脂から貝や角に替えると印象が一段上がります。 前立ての形は変えられませんが、ボタンだけなら付け替えられます。

ボタンの直径と、丈との釣り合い

ボタンの直径見え方釣り合う丈・身長
18〜20mm小さく、繊細に見える短丈、身長150cm前後
21〜23mm標準よりやや控えめ膝丈まで、身長155cm以下
24〜26mm最も一般的。外れにくい膝丈〜膝下、身長155〜168cm
27〜30mm存在感が出る。前立てが主役になる膝下〜ロング、身長165cm以上
31mm以上装飾として読まれるロング丈、意図的なデザイン

丈が短いコートに大きなボタンを付けると、顔の近くに情報が集まります。 短丈はボタンの位置がそもそも胸の高さに集中するので、直径を1〜2段落とすほうが収まります。

迷ったときの基準は、**親指の爪より少し大きい程度(22〜25mm)**です。この範囲は丈や身長を選ばず成立します。

直径がそのまま印象に出るのは、ボタンが顔から遠くない位置にあるためです。前立てのいちばん上のボタンは鎖骨の少し下にあり、これは装いのなかでかなり顔に近い場所です。顔に近い場所にある物の大きさは、顔の大きさと比べられます。 大ぶりのイヤリングを選ぶときと同じ判断が、そのままボタンにも当てはまります。

同じ理由で、光り方も直径と同じくらい効きます。 金属ボタンは同じ直径でも光を強く返すので、樹脂や貝より一回り大きく見えます。身長が高くない方が金属ボタンのコートを選ぶときは、直径を1段落とすとちょうどよくなります。アクセサリーとの兼ね合いはアクセサリーの決め方にもまとめています。

縦に見えるか、横に見えるか

前立てとボタンが体に与える影響を、一枚にまとめます。

作り縦/横起きることずれたときに出ること
シングル・4つボタン縦線が細かく連続し、身長が高く見える情報が多く、前立てが騒がしくなる
シングル・2つボタンどちらでもない静か。ただし線が途切れる丈が長いと腰から下が開く
ダブル・間隔広め横胸が広く、堂々として見える上半身が実際より大きく見える
ダブル・6×1縦Vが深く、縦に長く見える胸元が開き、寒い日は風が入る
比翼縦線が1本だけ通り、最も細く見える前立てが寂しく見えることがある
トグル横横の棒が3〜4本。幅が出る身長に対して上半身が短く見える

縦に見せたいなら比翼か細かいシングル、堂々と見せたいなら間隔の広いダブル。 この一行が、前立て選びの実用的な結論です。

体型との関係|胸・肩・身長

気になるところ避けると楽な作り選ぶと整う作り理由
胸に厚みがあるダブル、間隔の広い配置シングル、比翼、6×1二重の生地が厚みに加算される
肩幅が広いダブルの間隔広めシングル、縦に細かい配置横の線が肩幅を強調する
肩幅が狭い比翼だけで完結する構成ダブル、間隔9〜12cm横の線が上半身を補う
身長が高くない大きなボタン、トグル直径23mm以下、縦4段以上情報の粒が大きいと丈に負ける
身長が高い小さすぎるボタン直径25mm以上、ロング丈粒が小さいと前立てが間延びする
ウエストが気になる前を閉めた直線的な作りベルト付き、ラップ、6×1腰の位置を作り直せる

胸まわりの見え方は胸が大きい・胸が目立つときの装いにも詳しくまとめています。

骨格タイプ別の選び分け

骨格タイプ起きやすいこと選ぶと整う前立て避けると楽なもの
ストレート上半身の厚みに二重の生地が加算されるシングル、比翼、6×1のダブル間隔の広いダブル、大きすぎるボタン
ウェーブ前立てが重いと上半身が下に引っ張られる小ぶりのボタン、比翼、くるみボタン金属の大きなボタン、トグル
ナチュラル静かすぎる前立てだと骨格が浮くダブル、トグル、存在感のあるボタン極端に小ぶりのボタン

骨格の考え方そのものは骨格診断とはを、セルフチェックは骨格診断セルフチェックをご覧ください。

身長別|段数と直径の目安

身長向く段数(シングル)向くボタン直径ダブルを選ぶなら
150cm前後4つ以上20〜23mm二列の間隔8cm以下、6×1
155〜159cm3〜4つ22〜25mm間隔9〜10cm
160〜164cm3つ24〜26mm間隔10〜12cm
165〜169cm3つ25〜28mm間隔11〜13cm
170cm以上2〜3つ26〜30mm間隔12〜16cm

身長ごとの全身の比率は身長と全身のバランスや低身長・150cmの服選びにもまとめています。

コートのボタンの留め方|全部留めるか、下だけ外すか

同じコートでも、ボタンの留め方で見え方は変わります。コートを出し始める秋から冬にかけて、朝いちばん迷うのがここです。

留め方見え方向く場面
全部留める縦の線が最後まで通り、最も端正式、寒い日、きちんとした場
いちばん下だけ外す歩きやすく、脚が見える通勤、日常
上だけ留める裾が開いてAの字になるカジュアル
ベルトのみで締める腰の位置が作れる。前立ては開くトレンチ、ラップ
全部開けて着る縦の開きが2本になり、細く見える気温が高めの日

ダブルを開けて着ると、二列のボタンが左右に離れて胸の前が横に広く見えます。 上半身に厚みがある方は、閉めるかベルトで締めるほうが収まります。

開けて着ることには利点もあります。前が開くと、コートの縦の端が2本になり、その内側に中の服の色が縦長にのぞきます。この縦の帯が細いほど、全身は細く見えます。 中に濃い色を着ておくと、この帯が効きます。逆に、中が明るい色だと帯が広く見えて、開ける利点が減ります。

前を留めるか開けるかは、その日の気温だけでなく、中の服の色でも決めてよい判断です。開けるつもりの日は中を濃く、閉めるつもりの日は中を自由に。ここまで決まっていると、朝に迷う要素が一つ減ります。

気温と羽織り方の関係は羽織りを出す気温に、寒い日の内側の組み立ては寒さ対策用品のコーディネートにまとめています。

ダブルのコートのボタンの留め方|内側のボタンから留める

ダブルのコートは、表に見えるボタンだけでは前が合いません。多くのダブルには、下前(内側に重なる身頃)を留める内側のボタンが一つ付いています。 留める順番は次のとおりです。

  1. 内側のボタンを先に留める。 前を開いて、下前の端についているボタンを、上前の裏側にあるボタンホールかループに通します。ここを留めないと、歩くうちに下前がずれて裾から内側がのぞきます
  2. 表のボタンを、ボタンホールのある段だけ留める。 上の「ダブルの配置」で見たとおり、縦に3段並ぶダブルでもボタンホールが開いているのは1〜2段だけで、残りは飾りということがあります。穴のない段は留める必要がありません
  3. いちばん上の段は、寒さで決める。 襟を閉じて首元まで留められる作りなら、冷える日だけ留めます。留めると襟の形が変わるので、屋内に入ったら外すのが自然です
ダブルの配置留める段の目安確かめる場所
4×2(2列×2段)2段とも。歩きにくければ下の段だけ外す下の段を外したとき、裾がどれだけ開くか
6×2(2列×3段)ボタンホールのある2段。いちばん上は飾りのことが多い表のボタンの横に穴が開いているか
6×1(2列×3段)いちばん下の1段だけ胸元のVが深く開いたまま、前がずれないか
8×3(2列×4段)穴のある3段。寒い日は上まで上の段を留めたとき、襟がきれいに閉じるか

迷ったときは、ボタンホールの有無を見るのが最短です。 留められる段は作りの時点で決まっていて、穴のない段を無理に留める必要はありません。前を開けて着る日は、内側のボタンだけ留めておくと、下前が落ち着いて裾の線がそろいます。

冬のコートの前立てと首元の関係は、コートに合うマフラーの巻き方にも寸法で書いています。

通勤とフォーマルでの前立ての格

前立て通勤きちんとした場・式理由
比翼向く最も向く情報が少なく、静かに収まる
シングル(無地のボタン)向く向く標準。外れにくい
ダブル向く向く格は高い。厚みだけ確認
金属ボタンのダブル条件付き向かないことがある光が強く、軍装由来の印象が出る
トグル職場による向かない作業着由来。格の外側に置かれる
ジップ職場による向かない実用寄りに読まれる

式に着ていくコートの扱いは式での上着の考え方にまとめてあります。会場では脱ぐものですが、受付までは見られます。

名前と見分けどころの早見

名前一言の見分けどころ
シングルボタンが縦一列。重なりは5〜8cm
ダブルボタンが縦二列。重なりは12〜18cm
比翼仕立てボタンが見えず、縦の切り替え線だけがある
隠しボタン表からボタンが見えない状態の総称
トグル横向きの棒をひもの輪に通す
くるみボタン生地と同じ布でボタンが覆われている
表前立てボタンがそのまま表に見える一般的な作り
打ち合わせ前身頃が重なる部分そのもの

よくある勘違いと、その直し方

よくある見方実際直し方
ボタンの数が多いほど格が高い数ではなく列と作りで決まる比翼かダブルかを見る
ダブルは誰にでも重い間隔と配置で軽くできる間隔9cm前後、6×1を選ぶ
比翼は地味情報を減らす作り。中の服が主役になる柄や色のある服の日に選ぶ
ボタンは飾りだから何でもよい直径が変わるとホールに入らない付け替えは同じ直径で
トグルは子どもっぽい素材と丈で印象が変わる角や革ひも、膝下の丈を選ぶ
前は全部留めるものだ留め方で見え方が変わるだけ場面に合わせて選ぶ

ボタンが取れたとき・付け替えるとき

  1. まず予備を探す — 多くのコートは内側の裾に予備ボタンが縫い付けられています
  2. 直径をそろえる — ボタンホールは直径に生地の厚みを足した寸法で開いています。2mm違うと入らないか、ゆるみます
  3. 糸足を取る — ボタンと生地の間に、生地の厚みぶん(コートなら3〜5mm)の糸の柱を作ります。これがないと留めたときに前立てが引きつれます
  4. 全部替えるなら素材で印象を変える — 樹脂から貝や角に替えると、同じコートが一段落ち着いて見えます
  5. 表と裏で違う色の糸を使わない — 裏に響く色は、前立てを開けたときに見えます

買うときに、前立てで見る場所

  1. 前を閉じて、真横から重なり幅を見る — 5〜8cmならシングル、12cm以上ならダブル
  2. 二列の間隔を測る — 10cm前後が最も汎用。13cmを超えると胸が広く見える
  3. ボタン同士の縦の間隔を見る — 12〜16cmなら縦の線として読まれる
  4. 中に厚いものを着た状態で留めてみる — 冬に着るコートは、その状態が本番です
  5. ボタンの直径を親指の爪と比べる — 少し大きい程度が、身長と丈を選ばない
  6. いちばん上のボタンの位置を見る — 鎖骨より上にあると、首元が詰まって見えます

前立てが決まると、中の服が決まる

前立ては、コートを脱ぐまでのあいだ装いの真ん中を占め続けます。ここが静かなら中の服を自由にでき、ここが主役なら中は静かにしたほうが収まります。外側から順に決めていくと、朝の判断は速くなります。

とはいえ、手持ちのコートの前立てに合わせて中を組み替えるのは、慣れるまで骨が折れる作業です。airCloset では、手持ちのアウターの傾向を伝えると、プロのスタイリストがその外側と釣り合う中の一式を選んで届けます。届いた組み合わせを自分のコートに合わせてみると、前立てが求めていた情報量が見えてきます。

まとめ

  • コートのボタンは数ではなく 前立ての作り で分かれる。シングル・ダブル・比翼・トグル・留め具なしの5系統
  • 見分けどころは打ち合わせの重なり幅。シングル5〜8cm、ダブル12〜18cm
  • ボタン同士の縦の間隔は 12〜16cm で縦の線として読まれる。18cm超で途切れ、10cm未満で騒がしくなる
  • ダブルの二列の間隔は 10cm前後 が汎用。13cmを超えると胸の前に横の線が強く出る
  • 比翼は「作りの名前」、隠しボタンは「見え方の呼び名」。探すときは比翼のほうが正確に伝わる
  • ボタンの直径はコートで 20〜30mm。迷ったら22〜25mm。丈が短いほど小さめが収まる
  • 縦に見せたいなら比翼か細かいシングル、堂々と見せたいなら間隔の広いダブル
  • 付け替えるときは 同じ直径 で。糸足を生地の厚みぶん取ると引きつれない

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— メグラシ編集部

よくある問い

Q. コートのボタンにはどんな種類がありますか?
留め方で分けると5系統です。ボタンが縦一列に並ぶシングル、二列に並ぶダブル、ボタンが布の下に隠れる比翼仕立て、棒状のボタンをひもの輪に通すトグル、そしてボタンを使わずベルトやスナップで留めるものです。素材で分けると、貝ボタン、ナットボタン、水牛の角、くるみボタン、金属ボタン、木のトグルなどがあります。まず留め方の5系統を押さえると、店頭での判別はほぼ済みます。
Q. シングルとダブルはどこを見れば見分けられますか?
ボタンが縦に何列並んでいるかを見てください。一列ならシングル、二列に並んでいればダブルです。前を開けた状態で見分けたいときは、打ち合わせ(前身頃が重なる幅)を見ます。シングルは5〜8cm、ダブルは12〜18cm重なるので、重なりが手のひらの幅ほどあればダブルです。ダブルのほうが胸の前が二重になり、暖かく格も上がります。
Q. 比翼仕立てとは何ですか?
ボタンが表から見えないように、前立ての布をもう一枚かぶせて留める作りのことです。フライフロントとも呼ばれます。表に見えるのは布の縦の線だけになり、装いが静かに整って見えます。ボタンが見えない代わりに留め外しに一手間かかるので、ステンカラーコートやトレンチコートのように、きちんとした場面で使うコートに採用されることが多い作りです。
Q. 隠しボタンと比翼仕立ては同じものですか?
重なる部分はありますが、指す範囲が違います。比翼仕立ては「かぶせ布でボタンを覆う作り」を指す言葉で、隠しボタンは「表からボタンが見えない状態」全般を指す言い方です。比翼のほかに、一番上だけを隠す仕様や、スナップで留めて表にボタンを置かない仕様も隠しボタンと呼ばれることがあります。作りの名前としては比翼のほうが具体的です。
Q. トグルボタンとは何ですか?
棒状の留め具をひもの輪(ループ)に通して留めるもので、ダッフルコートの留め具として知られています。木や樹脂、水牛の角などで作られ、長さは4〜6cm程度が一般的です。手袋をしたままでも留められるという実用から生まれた形なので、装いとしてはカジュアル寄りに読まれます。式やきちんとした場には向きません。
Q. 身長が低いのですが、ダブルのコートは避けたほうがいいですか?
避ける必要はありませんが、ボタンの横の間隔を見てください。二列のボタンの間隔が広いほど、胸の前に横の線が強く出て、上半身が広く短く見えます。間隔が10cm以下のものか、縦に4段以上並ぶもの(縦の連続が長く見える)を選ぶと収まります。丈も膝下まであるほうが、横に広がった印象を縦に引き戻せます。
Q. ボタンの大きさはどう選べばいいですか?
コートのボタンは直径20〜30mmが一般的です。丈が長いコートほど大きめが釣り合い、短い丈に大きなボタンを付けると顔の近くに情報が集まります。身長155cm以下の方は23mm以下、165cm以上の方は25mm以上でも負けません。迷ったら、自分の親指の爪より少し大きい程度(22〜25mm)が最も外れにくい大きさです。
Q. コートのボタンは全部留めるのが正しいですか?
決まりはありませんが、見え方は変わります。全部留めると縦の線が最後まで通って端正に見え、いちばん下だけ外すと歩きやすく脚も見えます。ダブルのコートを開けて着ると、二列のボタンが左右に離れて胸の前が横に広く見えるので、上半身に厚みがある方は留めて着るか、ベルトで締めるほうが収まります。
Q. ダブルのコートは、どのボタンを留めればいいですか?
まず前を開いて、内側に重なる身頃を留める内側のボタンを留めます。そのうえで、表のボタンはボタンホールが開いている段だけ留めてください。縦に3段並ぶダブルでも、穴があるのは1〜2段だけで、残りは飾りということがよくあります。いちばん上の段は、襟を閉じられる作りなら寒い日だけ留めると、首元の冷えを防げます。
Q. ボタンが取れました。付け替えても大丈夫ですか?
付け替えられます。ただし同じ直径のものを選んでください。ボタンホールの長さは直径に厚みを足した寸法で開けられているため、直径が2mm変われば留まらないか、ゆるくなります。予備ボタンが付属している場合は内側の裾に縫い付けられていることが多いので、まず探してみてください。全部を別のボタンに替えるときは、糸足(ボタンと生地の間の糸の長さ)を生地の厚みぶん取ると、留めたときに前立てが引きつれません。

— メグラシ編集部

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冬のコートを襟の名前で探すなら、先に決めるのは形の好みではなく、マフラーを巻く日が多いかどうかです。巻く日が多いなら、襟のないノーカラーや小さなステンカラーのように首元が低い形、巻かない日が多いなら、スタンドカラーや大きな折り返しの襟のように襟そのものが首を覆う形が合います。測るのは襟の高さと、一番上のボタンから首の付け根までの深さの2つ。8つの襟の名前と見分けどころ、マフラーとの相性、月ごとと予定ごとの選び方、通販で入れる呼び名、名前が書いていないときの写真での見分け方まで、冬の首元から探せる形でまとめました。

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首元と手首に余白を残した、力の抜けた大人の装い

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抜け感とは|感覚的な言葉を、見せる場所・ゆとり・落ち感・色数の4つに翻訳する

抜け感とは何かを、感覚語のままにせず具体に置き換えます。首・手首・足首のどこを見せるか、シルエットのゆとりの量、素材の落ち感、色数という4つの道具に分解し、こなれ感との違い、やりすぎたときの直し方、季節ごとの作り方まで表で整理しました。

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メグラシ編集部/読了 13分
コートの襟の名前|冬はマフラーを巻くか、巻かないかで探し分ける

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メグラシ編集部/読了 20分
顔タイプフェミニンに似合うコート|襟・前の合わせ・ボタンの曲線で選ぶ

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顔タイプフェミニンに似合うコート|襟・前の合わせ・ボタンの曲線で選ぶ

顔タイプフェミニンのコートは、顔から30cm以内に曲線を1〜2か所置き、それより下は直線で落とすと、顔立ちとコートの量がつり合います。襟先の丸み、襟の幅、前の合わせ、ボタンの大きさ、表面の素材、裾の広がりを、どこを何cm・何mmで見るかを書きました。エレガント寄り・ソフトエレガント寄りのどちらに近いかで変える場所、手持ちのチェスターやトレンチを着る日の足し方、骨格の判定と食い違うときの決め方まで。

メグラシ編集部/読了 14分
上下がつながった服の違い|オールインワン・サロペット・コンビネゾン・ジャンプスーツ

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上下がつながった服は、オールインワン・サロペット・コンビネゾン・ジャンプスーツ・つなぎに名前が分かれます。どこが違うのかを表で見分けます。名前が分かれる理由、体型別の選び方、季節ごとの素材、トイレの問題や着脱の手間といった実用の話まで、正直に整理しました。

メグラシ編集部/読了 13分
上着の種類は丈と襟で見分ける|アウター12種の早見表

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上着の種類は、首元の襟・前の打ち合わせ・着丈の数字という3か所をこの順に見れば、1分でどれかに特定できます。テーラード・ステンカラー・チェスター・トレンチなどアウター12種の見分けどころを一言ずつ、気温の目安、次に買う1着を決める手順まで整理しました。

メグラシ編集部/読了 19分
ブローチの付け方|位置は鎖骨から指何本、ピンは生地の厚みで決める

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ブローチを付けると、位置が低すぎて見えたり、ニットが重さで下がったりします。高さは鎖骨から指2本下、横は首の付け根と肩先の真ん中を基準に、襟の形と生地の厚みで上げ下げします。左右の選び方と、迷う場面の決め方までまとめました。

メグラシ編集部/読了 16分

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