七五三で「カジュアルで」と言われた日の可否|手持ちを三つの箱に分けて、二番目の箱から出す

七五三の支度をしていると、どこかから「カジュアルで大丈夫」という言葉が来ます。
この一言で迷うのは、言った人の頭のなかでは範囲が決まっているのに、その範囲が伝わっていないからです。
だから最初にやるのは、服を選ぶことではありません。誰が言ったかを確かめることです。
出どころを三つに分ける
「カジュアルで」の出どころは、だいたい次の三つです。それぞれ指している中身が違います。
一つ目、神社や撮影の側から言われた場合。 これは動きやすさの話です。子どもが動くので、親も動ける格好で来てほしいという意味になります。下げる場所は、動きを止めるところ。つまり足元と、腕の上がりにくさです。生地の格を下げてほしいという意味ではありません。
二つ目、義実家や祖父母から言われた場合。 これは、自分たちも上げないという宣言であることが多い。相手が上げてこないので、こちらだけ上がると段が離れる、という配慮です。下げる場所は、飾りの数と光を返す面。丈や足元ではありません。
三つ目、配偶者から言われた場合。 これは支度に時間をかけなくていい、という意味であることがほとんどです。下げるのは、支度の工程です。服そのものではありません。
三つのうちどれかを先に決めてください。 どれかによって、下げる場所が違います。
手持ちを三つの箱に分ける
出どころが決まったら、次は手持ちのほうを分けます。実際に三か所に置いてください。10分で終わります。
| 箱 | 中身 | 参拝で使えるか |
|---|---|---|
| 一番目 | 勤め先や改まった場に着ていける服 | 使える |
| 二番目 | 近所より遠くへ出かけるときに着る服 | 上のほうなら使える |
| 三番目 | 家のなかと近所だけの服 | 使えない |
「カジュアルで」が指しているのは、二番目の箱の上のほうまでです。
三番目の箱は、どんな言い方をされても参拝には入りません。ここは出どころの三つとも共通しています。言った人も、三番目の箱を想定していません。
分けるときに迷った一着は、二番目に置いてください。迷うということは、一番目ではないという意味です。
二番目の箱から出すときに、確かめる三つ
二番目の箱の上のほうから一着を出したら、次の三つを確かめます。
一つ目、丈。 膝が隠れているか、足首まであるか。ここは下げません。
二つ目、肌の出ている面積。 肩、膝、胸元。どれも覆われているか。ここも下げません。
三つ目、足元。 つま先とかかとが覆われているか。ここも下げません。
この三つは、カジュアルと言われても動かさない場所です。 ここが下がると、控えているのではなく、場に足りていないように見えます。
逆に、下げていいのは次の三つです。生地の細かい艶、飾りの数、支度にかける時間。言った人が想定しているのは、この後半のほうです。
上げ直す順番|襟、足元、光る点
下げすぎたかもしれない、と思ったときの戻し方です。順番があります。
一つ目、襟。 首元に襟にあたる面を一つ足します。上に一枚重ねるだけで一段戻ります。いちばん動く量が大きく、いちばん取り消しやすい手です。
二つ目、足元。 つま先とかかとが覆われたものに替えます。覆われていれば、素材が布でも通ります。
三つ目、光る点。 光を返す点を一つだけ足します。一つで足ります。二つ足すと、今度は上がりすぎます。
三つを一度に動かさないでください。 一つずつ動かして、そのつど3メートル離れて鏡を見ます。言われた言葉と食い違わない位置で止めます。
「カジュアルで」でも変わらない、社殿の条件
出どころが三つのどれであっても、条件が一つだけ上書きされる場面があります。社殿に上がるかどうかです。
社殿に上がって祈祷を受けると、他の家族と並んで座ることになります。並んだ瞬間に段の差が見えるのは、この場面だけです。
上がる日は、二番目の箱の上のほうではなく、一番目の箱から出してください。 そのうえで、飾りの数を減らして、言われた言葉に合わせます。
上がらない日、つまり賽銭箱の前で参拝して帰る日は、二番目の箱で足ります。
確かめるのは一問です。「社殿に上がりますか」。これだけで、箱が決まります。
動きやすさで下げる場合の、具体的な二か所
出どころが一つ目、つまり神社や撮影の側から言われた場合の下げ方です。
腕の上がる高さ。 両手を頭の上まで上げてみて、上着の裾が持ち上がるかを見ます。持ち上がるなら、子どもを抱き上げるたびに前が開きます。上がらないものを選んでください。
しゃがんだときの膝。 片膝をついて、太ももの前が張るかを見ます。張るものは、しゃがむたびに折り目が消えます。
この二か所を満たせば、動きやすさの要望には応えています。生地の格を下げる必要はありません。 ここを取り違えると、動きやすくもならず、段だけ下がることになります。
11月の屋外で、下げた装いに足りなくなるもの
参拝の本番は11月です。二番目の箱から出した一着は、屋内で過ごす前提で選ばれていることが多い。
境内は、歩いている時間より止まっている時間のほうが長くなります。受付、順番待ち、子どもの支度。同じ気温でも、止まっている時間は一段寒く感じます。
足すのは厚い一枚ではなく、足せる一枚です。ご祈祷のあいだは屋内、待ち時間は屋外。この行き来が何度も起きます。
そして、この一枚は上げ直す道具にもなります。襟のある一枚を持っていけば、寒さにも段にも同時に使えます。荷物を一つで二役にすると、当日の手が減ります。
12月に入る日程なら、移動だけの一枚をもう一つ分けてください。写真に写らないものなので、暖かさだけで選んで構いません。
どちらとも取れる①|相手が本当に下げてくるか読めない
いちばん多い場面です。相手が言葉どおりに下げてくるか、実際には上げてくるかが分かりません。
中間に置いてください。 二番目の箱の上のほうから出しておき、襟のある一枚を手に持っていきます。
相手が下げて来ていたら羽織らない。上げて来ていたら着る。当日に動かせる余地を一つ残すのが、読めない日にはいちばん確実です。
着替えを一式持つより荷物が少なく済みます。羽織る一枚だけなら、参拝のあいだ手に持てます。
どちらとも取れる②|言った人と、当日そろえる人が違う
配偶者が「カジュアルで」と言い、当日は祖父母も来る、という日があります。
このとき基準にするのは、当日その場にいる人のうち、いちばん上げてきそうな人です。言った人ではありません。
祖父母が来るなら、一番目の箱から出してください。そのうえで、配偶者の言葉に応えるのは支度の工程のほうです。時間をかけずに一番目の箱から出せるように、前の週に一着だけ決めておけば、両方が成立します。
どちらとも取れる③|撮影があるのに「カジュアルで」と言われた
撮影の側から言われる場合、これは動きやすさの話です。ただし写真は残ります。
このときは、下げるのを支度の工程と飾りの数だけにして、丈と足元と生地は一番目の箱のままにしてください。
写真は近づいて見られます。3メートルでは見えなかった生地の表面が、拡大すると出ます。動きやすさは、腕の上がる高さとしゃがめるかの二か所で満たせるので、生地を落とす必要がありません。
二番目の箱の「上のほう」を、どこで切るか
箱に分けたあと、二番目の箱のなかでもう一度線を引きます。ここが実際の判定になります。
見るのは三か所です。
一つ目、表に出た縫い目の太さ。 二重に縫った太い線が表から見えるものは、下のほうに入ります。縫い目が目立たないものが上のほうです。
二つ目、金具の数と大きさ。 留め具や飾りの金具が、1メートル離れて形まで見えるものは下のほうです。点として見える程度なら上のほうに入ります。
三つ目、袖口と裾の落ち方。 まっすぐ落ちるものが上のほう、伸びて波打っているものが下のほうです。ここは着てみないと分かりません。
三つのうち二つが上のほうに入っていれば、参拝に持っていけます。 一つしか入らないものは、箱の下のほうです。
この線引きは、生地の種類や値段では決まりません。同じ形でも仕上げで反転します。判定に迷ったら、腕を伸ばした距離で鏡に映してください。 近くで感じる素材の良し悪しは、その距離では見えません。見えるのは縫い目と金具です。
早見表|出どころ別の、下げる場所
| 誰が言ったか | 指している中身 | 下げる場所 | 下げない場所 |
|---|---|---|---|
| 神社・撮影の側 | 動きやすさ | 腕の上がりにくさ・足元の硬さ | 生地・丈 |
| 義実家・祖父母 | 段をそろえたい | 飾りの数・光を返す面 | 丈・足元 |
| 配偶者 | 支度の時間 | 工程の数 | 服そのもの |
まとめ|言葉を分けてから、服を分ける
「カジュアルで」に答えるには、服より先に言葉を分けます。
誰が言ったかで、下げる場所が三つに分かれる。手持ちは三つの箱に分けて、二番目の箱の上のほうから出す。丈・肌の面積・足元は下げない。下げすぎたら、襟・足元・光る点の順に一つずつ戻す。
社殿に上がる日だけは、言葉より条件が優先します。 そこだけ確かめれば、あとは手持ちのなかで決まります。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 七五三で「カジュアルで大丈夫」と言われました。どこまで下げていいですか。
- 誰が言ったかで範囲が変わります。神社や撮影の側が言ったなら、動きやすさの話です。義実家や祖父母が言ったなら、自分たちも上げないという宣言です。配偶者が言ったなら、支度に時間をかけなくていいという意味であることが多い。三つのうちどれかを先に決めてください。下げる場所が、それぞれ違います。
- Q. 手持ちのどれが「カジュアル」にあたるのか分かりません。
- 三つの箱に分けてください。一番目は勤め先や改まった場に着ていける服、二番目は近所より遠くへ出かけるときに着る服、三番目は家のなかと近所だけの服です。「カジュアルで」が指しているのは、二番目の箱の上のほうまでです。三番目の箱は、どんな言い方をされても参拝には入りません。分ける作業は、実際に三か所に置くと10分で終わります。
- Q. 下げすぎたかもしれないとき、どこから戻せばいいですか。
- 順番があります。襟、足元、光る点の順です。首元に襟にあたる面を一つ足すと、それだけで一段戻ります。次に足元を、つま先とかかとが覆われたものに替えます。最後に光を返す点を一つだけ足す。三つ全部を一度に動かすと、今度は上がりすぎて言われた言葉と食い違います。一つずつ動かして、そのつど3メートル離れて見てください。
- Q. 相手が本当にカジュアルで来るか分かりません。
- 中間に置いて、上げ下げできる一枚を持ってください。二番目の箱の上のほうから出しておき、襟のある一枚を手に持っていく。相手が下げて来ていたら羽織らず、上げて来ていたら着ます。当日に動かせる余地を一つ残しておくのが、読めない日にはいちばん確実です。着替えを持つより荷物が少なく済みます。
- Q. 子どもは衣装を着るのに、親がカジュアルでも並びますか。
- 並びます。ただし、下がる場所には順番があります。丈、肌の出ている面積、足元。この三つは、カジュアルと言われても動かさないでください。ここが下がると、控えているのではなく場に足りていないように見えます。下げていいのは、生地の艶、飾りの数、支度にかける時間です。
— メグラシ編集部





