顔合わせの服装|「カジュアルで」の本当の意味と、本人・母親・父親の目安

顔合わせの日取りが決まって、最初に手が止まるのが服装だと思います。とくに困るのが、相手のご家族から「そんなにかしこまらなくて大丈夫ですよ」「カジュアルな服装で」と伝えられたときです。言葉どおりに受け取っていいのか、それとも社交辞令なのか。誰に聞けばいいのかも分かりません。
この記事は、その一言の読み方から始めて、場所別・立場別に当日の服装を決めきるための記事です。本人だけでなく、母親と父親の目安も分けて書いています。夏(7〜8月)の顔合わせについては、冷房差や汗染みといった実務の部分を厚めにまとめました。
「カジュアルで」と言われたら、本当にカジュアルでいいのか
先に結論を言い切ります。「カジュアルな服装で」は、ほぼ確実に「礼服でなくていい」という意味であって、普段着でどうぞという意味ではありません。
この一言を言う側の頭の中にあるのは、モーニングコートや留袖、あるいは黒い礼服です。「そこまで用意させては申し訳ない」という配慮が、「カジュアルで」という言葉になって出てきます。つまり、外している上限の話をしているのであって、下限の話はしていません。
実際の中心はこのあたりです。
- 女性:膝が隠れる丈のワンピース、またはジャケット+ワンピース、きれいめのセットアップ
- 男性:襟付きシャツ+ジャケット、センタープレスの入ったスラックス、革靴
ここから外れるもの、つまりデニム、Tシャツ、パーカー、スニーカー、サンダル、リュック、大きなトートバッグは、「カジュアルで」と言われていても外します。
顔合わせでいちばん多い失敗は、装いが重すぎることではありません。片方だけが軽いことです。相手の家がスーツとワンピースで来ていて、こちらだけがポロシャツとカットソーだった、という状態は、その日のあいだずっと空気に残ります。逆に、こちらが少しきちんとしすぎていた場合、その場では「ちゃんとした人たちだ」で終わります。どちらに転んでも困りにくいのは、明らかに前者ではなく後者のほうです。
だから、迷ったら一段きちんとした側に寄せる。これが顔合わせ全体を通じての基本方針になります。
格を決めるのは、服ではなく場所
では、その「一段きちんと」がどのくらいなのか。それを決めるのは自分の好みではなく、当日の場所です。店が決まる前に服を買いに行くと、たいてい合いません。順番としては、場所が決まってから服を決めてください。
| 場所 | 求められる格 | 女性の目安 | 男性の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 料亭・日本料理店(個室) | 略礼装〜準礼装 | ワンピース+ジャケット、上品なセットアップ | 濃色スーツ、ネクタイあり | 座敷なら靴を脱ぐ。正座・脚を崩す姿勢を想定する |
| ホテルの個室・レストラン | 略礼装〜準礼装 | ジャケット付きワンピース、フォーマル寄りセットアップ | 濃色スーツ、ネクタイあり | 冷房が強い。羽織りは必須級 |
| ホテル内の和食・鉄板焼 | 略礼装 | ワンピース、きれいめセットアップ | スーツまたはジャケット+スラックス | カウンター席なら横並び。横顔と背中が見られる |
| レストラン(フレンチ・イタリアン) | 略礼装 | きれいめワンピース、ブラウス+スカート | ジャケット+シャツ、ネクタイは任意 | 店のドレスコードを事前に確認 |
| カジュアルな個室居酒屋・和食チェーン | きれいめ | ブラウス+スカートかきれいめパンツ | ジャケット+シャツ | それでもデニムとスニーカーは外す |
| どちらかの自宅 | きれいめ〜略礼装 | ワンピース、ブラウス+スカート | 襟付きシャツ+スラックス、ジャケットは持参 | 靴を脱ぐ。素足を避け、荷物は最小限に |
表の右端に書いたとおり、同じ「きちんと」でも気にする点が場所ごとに違います。座敷なら足元、カウンターなら横顔、自宅なら靴を脱いだあとの足元です。なお、レストランのドレスコードが「スマートカジュアル」と案内されている場合の線引きは、スマートカジュアルの女性の服装にまとめています。顔合わせで求められるのは、その一段上だと考えてください。
料亭・座敷のときに増える判断
畳の個室は、服装の判断が二段階になります。ひとつは見た目の格、もうひとつは座り方に耐えるかどうかです。
タイトなスカートは正座でも横座りでも裾が上がります。膝が隠れる丈でも、座った瞬間に太ももが出るものは落ち着きません。座敷が分かっているなら、フレアかセミタイトの膝下丈、あるいはワイドパンツのほうが安心です。スカートの形ごとの座りやすさはスカートの種類にまとめています。
足元は、靴を脱ぐ前提です。女性はストッキング、男性は無地の靴下。脱ぎ履きしやすい靴(編み上げでないもの)を選んでおくと、玄関先で手間取りません。素足でサンダル、というのはこの場では避けてください。
自宅で行うとき
どちらかの自宅で顔合わせをする場合、格は少し下がりますが、ゼロにはなりません。「家に上がるから普段着で」ではなく、「よそのお宅を訪問する装い」だと考えると外しません。
女性ならワンピース、またはブラウスにスカート。男性は襟付きシャツにスラックス、ジャケットは持参しておいて、相手の様子を見て着るかどうかを決めます。自宅開催のほうが、実は服装の差が出やすい場です。ホストの家族が普段着に近い装いになることが多く、そこにゲスト側だけがスーツで行くと、今度は逆に相手を恐縮させてしまいます。ここでも、事前に一言確認しておくのが確実です。
セミフォーマル(準礼装)とは何を指すのか
「両家顔合わせ セミフォーマル」で調べる方が一定数いるのは、案内の文面にこの語が出てきたからだと思います。ここは言葉の定義と、実際の運用が少しずれている部分なので、両方を書きます。
言葉としての定義
礼装の格は、上から**正礼装(フォーマル)/準礼装(セミフォーマル)/略礼装(インフォーマル・平服)**の三段階に整理されます。セミフォーマルはこの真ん中、正礼装のひとつ下です。
| 格 | 女性(昼) | 女性(夜) | 男性 |
|---|---|---|---|
| 正礼装 | アフタヌーンドレス、留袖 | イブニングドレス | モーニングコート、燕尾服、紋付羽織袴 |
| 準礼装(セミフォーマル) | セミアフタヌーンドレス | カクテルドレス | ディレクターズスーツ、ブラックスーツ、タキシード |
| 略礼装(平服・インフォーマル) | ワンピース、アンサンブル、セットアップ | ワンピース、光沢のあるセットアップ | ダークスーツ |
この三段階と、昼夜での使い分けについては礼装の格とドレスコードの早見表でまとめて整理しています。招待状や案内文の読み方に迷ったら、そちらを先に見てください。
顔合わせでの実際の運用
一方で、顔合わせの案内で「セミフォーマルで」と言われたとき、本当にカクテルドレスやディレクターズスーツを指していることは、まずありません。実務上は略礼装から準礼装のあいだ、具体的には次の線を指しています。
- 女性:ジャケット付きのワンピース、フォーマル寄りのセットアップ、光沢を抑えた素材、膝が隠れる丈
- 男性:濃紺やチャコールのスーツにネクタイ、白または淡色のシャツ、黒か濃茶の革靴
つまり、「結婚式に招かれたときの装いより、少しだけ控えめ」くらいの位置です。顔合わせは主役が誰かはっきりしない場でもあるので、華やかさより「整っていること」を優先すると、当日の居心地がよくなります。
なお、「準正装」という言い方を目にすることもあります。これは準礼装とほぼ同じ意味で使われている語だと考えて差し支えありません。
本人(女性)の服装
新婦本人は、顔合わせの中でいちばん視線が集まる立場です。かといって、結婚式のような華やかさは求められていません。軸は「明るさ」と「清潔感」の二つです。
基本形
- 膝が隠れる丈のワンピース(ネイビー、ベージュ、ライトグレー、くすんだピンク、ミントなど)
- ジャケットかボレロを一枚。会場が涼しくても暑くても対応できます
- つま先とかかとの隠れたパンプス。ヒールは3〜5cmが扱いやすい高さ
- 肌色のストッキング
- 小ぶりのハンドバッグ。座敷なら床に置くので、自立するものが便利です
形はAラインかIラインのシンプルなものが収まります。ワンピースの形ごとの印象はワンピースの種類で見比べられます。色は、顔まわりが明るく見えるものを選んでください。写真に残る場でもありますし、両家の親から見て「元気そうだ」と感じてもらえることには意味があります。全身を暗い色でまとめると、印象が沈むだけでなく、場面によっては弔事の装いに見えることもあります。
避けたいもの
白一色は避けてください。花嫁の色という感覚が残っているためで、実際に気にする方もいます。オフホワイトやアイボリーのジャケットを差し色として使う分には問題ありませんが、全身が白に寄るのは外しておくのが無難です。
そのほか、肩が大きく開くデザイン、背中が深く開くもの、膝上のミニ丈、透ける素材の一枚着、大きな柄、香りの強い香水。このあたりは避けたほうが安全です。ネックラインの開き具合による印象の違いはネックラインの種類を、袖の長さと肌の見え方については袖の種類を参考にしてください。
和装にする場合
顔合わせで和装を選ぶ方もいます。訪問着や色無地が一般的な選択で、振袖を着る方もいます。ただし和装は格が高く出るので、片方だけが和装だと差が生まれます。着るなら、必ず事前に相手の家に伝えてください。「こちらは訪問着を考えているのですが、そちらはいかがされますか」と一言あるだけで、当日のバランスが揃います。
本人(男性)の服装
新郎本人の装いは、実は父親より判断が難しいところがあります。父親はスーツで確定しやすいのに対して、本人は「スーツだと硬すぎるのでは」と迷いやすいためです。
場所ごとの目安
| 場所 | 上 | 下 | ネクタイ | 靴 |
|---|---|---|---|---|
| 料亭・ホテル | 濃紺またはチャコールのスーツ | スーツと共布 | あり | 黒か濃茶の革靴 |
| レストラン | スーツ、またはジャケット+スラックス | センタープレスありのスラックス | 任意(あると安心) | 黒か濃茶の革靴 |
| 個室居酒屋・自宅 | ジャケット+襟付きシャツ | スラックスか濃色のきれいめチノ | なし可 | 革靴(スニーカーは避ける) |
「カジュアルで」と言われている場合でも、ジャケットは持って行ってください。着るか着ないかは会場で決められますが、持っていなければ選択肢がありません。相手の父親がジャケットで来たときに、こちらがシャツ一枚だと差がはっきり出ます。
シャツは白か淡いブルーの無地。ボタンダウンはややカジュアルに寄りますが、ジャケットを羽織れば問題ありません。柄シャツ、色の濃いシャツ、第一ボタンを開けたときにインナーが見えるものは避けます。
足元は革靴です。色は黒か濃茶。靴下は靴と同系色の無地で、座ったときに素肌が見えない長さのものを選んでください。座敷ならなおさらです。くるぶし丈のスニーカーソックスは、この場では向きません。丈ごとの見え方は靴下の丈の種類にまとめています。
母親の服装
母親は、両家の格を目に見える形で示す立場です。ここが揃っていると、その日の全体が落ち着きます。
基本形
- ジャケット+ワンピースのアンサンブル、またはフォーマル寄りのセットアップ
- 色はネイビー、チャコール、グレージュ、モーヴ、深いグリーンあたり
- 膝が隠れる丈からミモレ丈。袖は七分か長袖
- 肌色のストッキング、つま先の隠れた3〜5cmのパンプス
- パールのネックレスとイヤリング
黒のフォーマル一式をお持ちの方は多いと思いますが、黒で全身を揃えると弔事の装いに見えます。靴・バッグ・ストッキング・アクセサリーまで黒だと、会場の照明の下でさらに沈みます。羽織りをグレージュにする、バッグをサテンにする、パールを重ねる、ストッキングを肌色にする。このうち二つを実行すれば、同じ一着が祝いの場の装いとして読み取ってもらえます。この考え方は祝賀会の服装でも詳しく書いています。
和装にする場合
母親の和装は、色留袖や訪問着、色無地が選ばれます。ただし色留袖は格が高く、顔合わせでは重くなりすぎることがあります。訪問着か色無地のほうが収まりがよいところです。こちらも、着るなら必ず相手の家に伝えてください。片方の母親だけが和装、という状態が生まれると、洋装の側が気にします。
父親の服装(60代も含めて)
顔合わせの服装で調べる方の一定数は、男性側、とくに父親についてです。ここが最も情報が少なく、当日ぶっつけになりやすい部分だと思います。
基本形は濃色スーツ
料亭・ホテル・レストランのいずれでも、父親は濃紺またはチャコールのスーツにネクタイが基準です。シャツは白か淡いブルーの無地、靴は黒の革靴、靴下は黒か濃紺の無地。これで外すことはありません。
ネクタイの色は、明るめのシルバーグレー、淡いブルー、控えめな小紋柄あたりが選びやすいところです。真っ黒は弔事、真っ白は祝儀の礼装という印象になるので、どちらも避けます。
「カジュアルで」と言われた父親の下限
ここが本題です。相手の家から「カジュアルで」と伝えられた場合、父親はどこまで下げていいのか。答えは次のとおりです。
| 項目 | これは可 | これは避ける |
|---|---|---|
| 上 | 濃紺・チャコール・グレーのジャケット | ポロシャツ一枚、ニット一枚、ブルゾン |
| シャツ | 白・淡いブルー・淡いグレーの襟付き無地 | Tシャツ、柄シャツ、開襟の派手なもの |
| ネクタイ | あり/なし どちらも可 | 派手な柄、キャラクター柄 |
| 下 | センタープレスのスラックス、濃色のきれいめチノ | デニム、カーゴパンツ、ハーフパンツ |
| 靴 | 黒か濃茶の革靴、上質なレザーシューズ | スニーカー、サンダル、ウォーキングシューズ |
| 靴下 | 黒・濃紺・濃茶の無地、ふくらはぎ丈 | 白い靴下、くるぶし丈、素足 |
つまり、ジャケットと革靴は落とさない。落としていいのはネクタイまでです。この線を守れば、相手の家が本当にカジュアルで来ても浮きませんし、スーツで来ても差が目立ちません。
60代の父親が気にするとよい二点
ひとつは肩幅です。何年か前に作ったスーツやジャケットをそのまま着ると、肩が余っていたり、逆に張っていたりします。肩が合っていないジャケットは、生地の質に関係なくだらしなく見えます。持っている一着を着るつもりなら、当日の一週間前に一度着てみてください。
もうひとつは首まわりです。シャツの第一ボタンを留めてネクタイを締めた状態で、指が一本入る余裕があるかどうか。ここがきついと、二時間の食事のあいだずっと苦しく、写真の表情にも出ます。買い直すほどでもない場合は、ネクタイなしで第一ボタンを開ける形にしてジャケットを羽織れば、十分に整います。
ウエストも同じです。座って食事をする時間が長いので、ベルトを締めた状態で座ってみて、苦しくないかを確かめておいてください。
両家で格を揃える──これが最優先
ここまで場所別・立場別に書いてきましたが、最も大切なのは両家の格が揃っていることです。
服装そのものが多少軽くても、両家が同じ水準なら、その日は問題なく進みます。逆に、どちらかが礼服でどちらかが普段着だと、服の良し悪しに関係なく気まずさが残ります。顔合わせは、両家が初めて並ぶ場です。並んだときの見え方がすべて、と言ってもいいくらいです。
相談は本人どうしが橋渡しをする
親から親へ直接聞くのは、まだ関係ができていない段階では難しいものです。本人どうしで確認して、それぞれが自分の親に伝える形がいちばんスムーズです。
聞き方の例を挙げます。そのまま使えます。
「当日の服装ですが、こちらは母がワンピースにジャケット、父がジャケットにスラックスの予定です。そちらのご都合に合わせて調整しますので、決まりましたら教えてください」
「うちの両親は洋装で、母がネイビーのアンサンブル、父が濃紺のスーツで考えています。和装のご予定はありますか」
「お店が座敷とうかがったので、母はワンピース、父はジャケットにスラックスにしようと思っています。そちらもそのくらいで大丈夫でしょうか」
具体的な服の名前を先に出すのが要点です。「どんな感じにしますか」とだけ聞くと、相手も「そちらに合わせます」としか答えられず、話が一周してしまいます。こちらの案を先に出せば、相手は「同じくらいにします」または「うちはもう少しきちんとします」と答えるだけで済みます。
差が出てしまったときの対処
事前に揃えたつもりでも、当日ずれることはあります。そのときに効くのが羽織りとネクタイです。
相手が思ったよりきちんとしていた場合、男性はネクタイを締める。持っていればジャケットを着る。女性はジャケットを羽織り、大ぶりのアクセサリーを外して、パールに替える。逆に相手が軽い装いだった場合は、男性はジャケットを脱いでネクタイを外す、女性は羽織りを脱ぐ。この一手で、見た目の差はかなり縮まります。
だからこそ、脱ぎ着できるものを一枚持っていくのが実務的です。ネクタイは着けて行かず、鞄に入れておくのでも構いません。
夏(7〜8月)の顔合わせでやること
夏の顔合わせは、それだけで別の記事が書けるくらい実務が増えます。ここを厚めに書きます。
課題は「外の暑さ」と「店内の冷房」の二つ
7〜8月の日中は、外を数分歩いただけで汗をかきます。一方、料亭やホテルの個室は22〜25度に保たれていることが多く、二時間座って動かないと確実に冷えます。**外の気温に合わせて服を選ぶと、店内で寒くなります。**この両方に対応する組み立てが必要です。
答えは、薄手の重ね着です。
- 女性:半袖または五分袖のワンピース+たためる薄手のジャケットかボレロ
- 男性:半袖ではなく長袖シャツ+ジャケット(ジャケットは会場で着る前提で持参)
男性が半袖シャツを選びたくなる気持ちは分かりますが、ジャケットを脱いだときに半袖だと、その瞬間に装いが一段下がります。長袖シャツで袖をまくらずに通す形にしておくと、脱いでも整った状態が保てます。移動中に暑いなら、駅や店の手前でジャケットを脱いでおいて、入店前に羽織れば大丈夫です。
気温と服の対応そのものは気温別の服装に細かくまとめていますが、顔合わせの日は「外の気温」と「室内22度」の両方だと考えてください。
袖の長さをどうするか
女性の袖は、五分袖から七分袖がいちばん扱いやすい長さです。半袖でも問題ありませんが、ノースリーブ一枚は避けてください。羽織りとセットなら可、羽織りを脱ぐ場面があるなら不可、と考えると判断が速くなります。
母親世代なら、七分袖か長袖が安心です。冷房の直下に座る可能性もありますし、二の腕を気にせずに済みます。袖の形と印象の違いは袖の種類を見てみてください。
透けをどう防ぐか
夏物の生地は薄く、店内の照明や窓からの光で思った以上に透けます。とくに白、アイボリー、淡いベージュ、淡いピンクは要注意です。
- 裏地のあるワンピース・スカートを選ぶ(これがいちばん確実です)
- 裏地がないなら、ペチコートかインナーワンピースを着る
- 下着は肌に近い色(ベージュ・モカ)にする。白い下着は白い服の下で最も目立ちます
- 男性の白シャツも同じ。無地の白い肌着ではなく、ベージュかグレーの肌着にすると透けません
家の中の照明で確認しても分かりません。窓際に立って外光を背にした状態で鏡を見ると、当日の見え方に近くなります。
汗染み対策
移動で汗をかいた状態で席に着くと、背中や脇に染みが出ます。座敷でジャケットを脱ぐ場面があるなら、なおさら気になります。
- 汗染みが目立ちやすい:グレー、ライトブルー、淡いカーキ、薄い水色の平織り
- 目立ちにくい:白、ネイビー、黒、柄物、凹凸のある織り地(シアサッカー、リップル、ジャカード)
男性の白シャツは、汗そのものは目立ちませんが、肌が透けて色が変わって見えます。前述の肌着の色でほぼ解決します。
そのほか、汗取りパッドを付ける、店に着いてから10分ほど落ち着いてから席に着く、替えのハンカチを二枚持つ。この三つで当日の不安はだいぶ減ります。
靴下・ストッキングをどうするか
夏でも、ここは省かないでください。
| 立場 | 夏の足元 |
|---|---|
| 女性本人・母親 | 肌色のストッキング。料亭・ホテルなら必須と考える。素足+パンプスは避ける |
| 男性本人・父親 | 黒か濃紺の無地の靴下。ふくらはぎ丈。くるぶし丈と白い靴下は避ける |
| 座敷の場合 | 全員、靴を脱ぐ前提。穴・毛玉・薄くなっていないかを前日に確認 |
「夏なのにストッキングは暑い」という声はもっともですが、店内は冷房が効いているので、実際に着用している時間のほとんどは涼しい場所です。暑いのは移動の数分だけです。どうしても気になる場合は、20デニール前後の薄いものを選び、替えを一足バッグに入れておくと安心です。
靴も同じで、サンダルやミュールはこの場では避けます。つま先とかかとの隠れたパンプス、男性は革靴。つま先やかかとが出る靴がきちんと感を落とす理由は靴・パンプスの種類でも整理しています。
夏の素材選び
涼しく見えて、かつ格が落ちない素材があります。
- 可:シアサッカー、強撚のポリエステル、薄手のジョーゼット、トリアセテート混、サマーウール
- 避けたい:リネン100%(しわが強く出てカジュアルに見えます)、Tシャツ地のカットソー、ざっくりしたガーゼ素材
リネンは涼しく上質な素材ですが、座ってしわが寄ると一気に休日の服に見えます。混紡でしわの戻る生地を選ぶか、この日は別の素材にしておくほうが安全です。
避けたいものを、まとめて
ここまでに出てきたものも含めて、一覧にします。
- 白すぎる装い(女性本人):花嫁の色。全身が白に寄るのは避け、差し色として使う
- 肌の露出:肩の大きな開き、深いV、背中の開き、膝上のミニ丈、素足
- 透ける素材の一枚着:裏地かインナーで必ず対処する
- 派手な柄:大きな花柄、アニマル柄、はっきりしたチェック。遠目に無地に見える柄行きなら可
- 音が出るアクセサリー:重ねたバングル、揺れる大ぶりのピアス、金属のチャーム。静かな個室でよく響く
- 強い香り:香水、香りの強い柔軟剤やヘアオイル。個室で食事をする場では逃げ場がない
- デニム・スニーカー・サンダル・リュック:「カジュアルで」と言われていても外す
- 全身黒:とくに母親。弔事の装いに見える
- 新しすぎる靴:当日に靴擦れすると、その後の時間がつらくなる
判断に迷う一点があるなら、外しておくのが結局は楽です。着なかったことを後悔する場面は、この日にはほとんどありません。
当日の持ち物と、写真の色
持ち物
- 袱紗(結納品や記念品を渡す場合)
- 家族書・親族書(用意する場合。事前に両家で合わせておく)
- 会計を担当するなら、その分の現金
- ハンカチ二枚(汗用と手拭き用)
- 予備のストッキング一足
- 折りたたみのエコバッグ(手土産の紙袋を入れられる)
- 小さめの手鏡、あぶらとり紙
- 常備薬、絆創膏
手土産を持参する場合は、紙袋のまま渡さず、袋から出して両手で渡すのが基本です。渡すタイミングは、店に着いてすぐ、席に着く前が一般的です。
写真に写ることを前提にした色選び
顔合わせは、ほぼ必ず記念写真を撮ります。両家が横一列に並ぶ形が多く、その写真は長く残ります。
- 顔まわりに明るい色を置く:インナー、羽織り、スカーフのどれかで、顔の近くに光を集める
- 両家で色が被りすぎないか:全員がネイビーだと写真が重くなります。片方の家がネイビー中心なら、もう片方はグレージュやモーヴ寄りにすると並びが整います
- 暗い店内では、暗い色はさらに沈む:料亭の個室は照明が落ちていることが多いので、真っ黒より濃紺、濃いグレーより中間のグレーが写真では扱いやすい色です
- 柄より無地:写真で見たときの落ち着きが違います
自分の顔色が明るく見える色の方向が分からない場合は、パーソナルカラー4シーズンの比較が手がかりになります。似合う色の系統が分かっていると、当日の一着を選ぶ時間がぐっと短くなります。
当日の朝の最終確認
家を出る前に、この六つだけ確認してください。
- 座った姿勢で、裾が上がりすぎないか・ウエストが苦しくないか
- 窓際に立って、透けていないか
- 靴下・ストッキングに穴や薄くなった箇所がないか(座敷なら必須)
- アクセサリーを動かして音が鳴らないか
- 香りが強すぎないか
- ジャケットまたは羽織りを持ったか
この六つを通れば、あとは会話に集中できます。服装の心配を朝のうちに片付けておくことが、当日いちばん効きます。
まとめ
顔合わせの服装で覚えておくことを、最後に整理します。
- 「カジュアルで」は「礼服でなくていい」の意味。普段着の意味ではない
- 格を決めるのは場所。料亭・ホテル・レストラン・自宅で許容範囲が違う。店が決まってから服を決める
- セミフォーマル=準礼装。ただし顔合わせでの実務は略礼装〜準礼装のあいだ
- 女性本人は膝が隠れる丈のワンピース+羽織り。白一色は避ける
- 男性本人はジャケットを必ず持参。着るかどうかは会場で決められる
- 母親はジャケット+ワンピース。全身黒にせず、どこかに光か色を一点
- 父親はジャケットと革靴を落とさない。落としていいのはネクタイまで
- 両家で格を揃えるのが最優先。本人どうしが橋渡しをして、具体的な服の名前を先に出す
- 夏は「外の暑さ」と「室内22度」の両方に対応する。長袖シャツ+ジャケット、五分〜七分袖+羽織り
- 夏でも靴下とストッキングは履く。素足・サンダル・くるぶし丈は避ける
- 透けは裏地かインナーで対処。窓際の外光で確認する
- 迷ったら一段きちんとした側へ。軽すぎるほうが当日つらい
顔合わせの慣習は、地域や家によって幅があります。ここに書いたのはあくまで一般的な目安ですので、気になることがあれば、相手の家に一言確認するのがいちばん確実です。その一言を出しやすくするための材料として、この記事を使ってもらえたらと思います。良い一日になりますように。
関連記事
- 礼装の格とドレスコードの早見表
- 祝賀会の服装
- スマートカジュアルの女性の服装
- 気温別の服装
- ワンピースの種類
- 袖の種類
- スカートの種類
- ネックラインの種類
- 靴下の丈の種類
- 靴・パンプスの種類
- パーソナルカラー4シーズンの比較
次に読むなら
— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 顔合わせで「カジュアルな服装で」と言われました。普段着で行っていいですか?
- 普段着ではありません。この一言はほとんどの場合「モーニングや留袖のような礼服はご用意いただかなくて大丈夫です」という意味で使われます。実際の中心は、女性なら膝が隠れる丈のワンピースかセットアップ、男性なら襟付きシャツにジャケット、というあたりです。デニム、Tシャツ、スニーカー、サンダル、リュックは外してください。相手の家が気を遣って言ってくれた言葉なので、そのまま額面どおりに受け取ると、当日ひとりだけ軽い装いになってしまうことがあります。
- Q. 両家顔合わせの「セミフォーマル」とはどんな服装ですか?
- セミフォーマルは礼装の格でいう準礼装のことで、正礼装のひとつ下にあたります。女性ならセミアフタヌーンドレスやカクテルドレス、男性ならディレクターズスーツやブラックスーツが本来の該当例です。ただし顔合わせの案内で「セミフォーマルで」と言われる場合、実務上は略礼装から準礼装のあいだ、つまり女性はジャケット付きのワンピースやフォーマル寄りのセットアップ、男性は濃色のスーツにネクタイ、という線で運用されているのが実態です。格の全体像は礼装の格の記事で確認できます。
- Q. 夏の顔合わせは何を着ればいいですか?
- 7〜8月は「外の暑さ」と「店内の冷房」の両方に対応する組み立てにします。女性は半袖か五分袖のワンピースに、たためる薄手のジャケットかボレロを一枚。素材は裏地のあるものを選ぶと透けの心配が消えます。男性はノータイでも構いませんが、ジャケットは持参してください。靴下は必ず履き、素足は避けます。女性のストッキングは、料亭やホテルなら履いておくほうが無難です。移動で汗をかく前提で、汗染みの目立たない色と織り地を選んでおくと当日が楽になります。
- Q. 父親の服装はどうすればいいですか。60代で「カジュアルで」と言われた場合は?
- 父親は両家の格を代表する立場なので、迷ったら一段きちんとした側に寄せてください。「カジュアルで」と言われている場合でも、濃紺やチャコールのジャケットに、襟付きシャツ、センタープレスの入ったスラックス、革靴、というのが下限です。夏でノータイは問題ありません。ポロシャツ一枚、デニム、スニーカー、サンダルは避けます。チノパンにするなら、濃色でセンタープレスのあるものに限ります。60代なら、体型に合った肩幅のジャケットを選ぶことと、シャツの首まわりに余裕を持たせることの二点で、当日の座り心地がかなり変わります。
- Q. 両家で服装の格が揃わないのが心配です。どう相談すればいいですか?
- 服を買う前に、本人どうしで確認して、それぞれの親に伝えるのがいちばん確実です。文面としては「当日の服装ですが、こちらは母がワンピースにジャケット、父がジャケットにスラックスの予定です。そちらのご都合に合わせて調整しますので、決まりましたら教えてください」という形が使いやすいところです。具体的な服の名前を先に出すと、相手も答えやすくなります。どちらかが礼服、どちらかが普段着、という状態がいちばん気まずいので、格を合わせること自体が目的だと考えてください。
— メグラシ編集部







