ニットの流行の見分け方|編み目・袖の太さ・裾の切れる位置を3枚くらべて決める

去年のニットを出したら、なんとなく違って見えた
衣替えで引き出しから出した1枚が、自分でもよく分からないまま古く見える。形は変わっていないし、傷んでもいない。それでも、今年買った1枚と並べると差がある。
この差を「今年の形」という言葉で説明しようとすると、うまくいきません。形の名前は毎年つけ替えられていて、去年の名前と今年の名前が同じものを指していないことがよくあるからです。
見るべきなのは名前ではなく、布の上で実際に動いている場所のほうです。ニットの場合、それは3か所しかありません。
結論:編み目の太さ・袖の太さ・裾の切れる位置。この3か所だけ数える
年ごとに動いているのは、この3つの数値です。色でも、形の名前でもありません。
| 見る場所 | 数え方 | 3段階 |
|---|---|---|
| 編み目の太さ | 平らな部分で、1cmに縦の畝が何本入るか | 5本以上=細い/3〜4本=中間/2本以下=太い |
| 袖の太さ | 手首の位置を握り、布と腕のすきま | 1cm未満=沿う/1〜3cm=中間/3cm超=離れる |
| 裾の切れる位置 | 腰骨の上端に対して、裾がどこで切れるか | 上で切れる/腰骨の上で重なる/下まで続く |
3か所とも、指と手のひらだけで数えられます。メジャーは要りません。
そして大事なのは、1枚では判定が出ないということです。手持ちの1枚を見ても、それが今年の側なのか自分の好みなのかは分かりません。同じ売り場の同じ棚から3枚取って、共通している数値を探してください。共通しているほうが、その年の側です。
売り場での5分
やることは順番に3つだけです。
- 同じ棚から3枚取り、平らなところに置く
- 肩と胸のあいだで、1cmに畝が何本入るかをそれぞれ数える
- 袖の手首を握って、すきまの幅を3段階で採点する
- 最後に、裾が腰骨のどこで切れるかを体に当てて見る
3枚のうち2枚以上が同じ段に入ったら、それがその年の位置です。3枚がばらけたときは、その項目はその年に動いていないということなので、いったん忘れてかまいません。
数えるときに外しやすい場所
**裾のリブと袖口では数えない。**ここは本体と別の編み方で作られていて、たいてい本体より目が詰まっています。ここで数えると、どの1枚も細い側に出ます。
**畳んで重なっているところで数えない。**下の段の畝が透けて、本数が倍に見えます。必ず1枚だけを平らに広げてください。
**毛足の長い表面では、押さえてから数える。**表面の毛が畝を覆っていると本数が読めません。手のひらで軽く押さえて、下の畝を出してから数えます。
3枚が割れたときの進め方
3枚とも別の段に入ることがあります。そのときに1枚を選んで「これが今年」と決めるのが、いちばん外しやすい進め方です。割れているという事実のほうが答えで、その項目はその年に決まっていないということを意味します。
決まっていない項目は、自由に選べる項目です。自分が着やすいほうを取ってかまいません。逆に、3枚がぴたりとそろった項目は、その年にいちばんはっきり動いている場所なので、そこだけは合わせておくと全体が今の側に寄ります。
年によって、3つのうち2つが決まっていて1つが自由、ということがよくあります。自由な項目まで合わせにいくと、着る側の都合が全部なくなります。
手持ちの1枚を、今の側へ寄せる手順
数え終わったら、引き出しの1枚と引き算します。ずれた項目が0なら何もしません。1つなら、その場で寄せられます。
| ずれている場所 | その日のうちにできること | 限界 |
|---|---|---|
| 袖が細すぎる | 袖口を2回折り上げ、手首に3cm前後の余白を作る | 袖口のリブが硬い1枚では戻る |
| 袖が太すぎる | 袖口を1回だけ内側に折り込み、手首で止める | 折り目が表から見える厚みの1枚は不可 |
| 裾が長い | 前側だけ内側に入れて、切れる位置を腰骨の上へ上げる | 編み地が厚いと前だけ盛り上がる |
| 裾が短い | 下に1枚重ね、その裾を2〜3cm出して境目を下げる | 上下の色が近いと境目が消える |
| 編み目が細すぎる | 表面に情報のある小物を1つだけ首元に置く | 2つ置くと逆に情報が散る |
| 編み目が太すぎる | 他の場所の情報をゼロにして、面を1色でそろえる | 下も太い編みだと打ち消せない |
編み目の太さだけは、その1枚を替えないかぎり動かせません。ただし、周りを静かにすれば太さは目立たなくなるので、着られなくなるわけではありません。
ずれが3つそろったときは、直すより入れ替えたほうが早い段階です。それでも、全部を一度に替える必要はありません。いちばん出番の多い1枚から順に入れ替えると、着回しの中心が今の側に移ります。
3か所が、それぞれ何を決めているか
数値そのものより、その数値が変わると何が変わるのかを知っておくと、ずれを直すときに迷いません。
**編み目の太さは、そのニットが持っている情報の量を決めます。**畝が太いほど、遠くから見たときに表面の凹凸が目に入ります。太い編みを着た日は、他の場所の情報をひとつ減らすと釣り合います。細い編みは表面が平らに読まれるので、その日の情報は他の場所に預けられます。
**袖の太さは、腕から手にかけての線の続き方を決めます。**手首で布が沿っていると、腕の線がそのまま手へ続きます。すきまが大きいと、手首のところで一度区切られ、手が別のものとして見えます。どちらが良いということはなく、その日に手元の小物を見せたいかどうかで決まります。
**裾の切れる位置は、上半身と下半身の分け方を決めます。**腰骨より上で切れると、上下の境目が高いところにできます。下まで続くと、境目が見えなくなり、縦に一続きの面になります。ここは、下に合わせるものとの関係でいちばん結果が動く場所です。
場面で変わるところ
**通勤で上に羽織る日。**編み目の太さは、アウターの中に入るかどうかを決めます。畝が2本以下の太い編みは、肩まわりで厚みを持つので、アウターの袖ぐりが浅いと腕が上がりにくくなります。羽織る日は中間の段から選ぶと、外した後も形が残ります。
**室内で過ごす時間が長い日。**脱ぎ着が少ないので、太い編みでも困りません。むしろ表面の情報がある1枚のほうが、上に何も足さない日には釣り合います。
**写真を撮る予定のある日。**細い編みは光を面として返し、太い編みは畝ごとに影を作ります。同じ色でも、写真では太い編みのほうが濃く写ります。明るい色を選んだのに写真で重く出るときは、色ではなく畝の本数を見てください。
**秋のはじめ、まだ気温が高い日。**裾の切れる位置だけ先に決めておくと、下に合わせるものを替えるだけで9月から11月まで使えます。丈の合う1枚は、季節をまたぐ時間がいちばん長くなります。
**人と会う予定が続く週。**3か所のうち、他の人の目にいちばん先に入るのは袖です。正面から見たとき、手首は顔と同じ高さの近くで動いているからです。週のはじめに袖のゆとりだけ今の側にそろえておくと、残りの2か所は多少ずれていても気になりません。優先順位をつけるなら、袖・裾・編み目の順になります。
よくある行き違い
**「太い編みは今年っぽい」。**太いか細いかは、年によって行ったり来たりしています。片側が固定的に新しいということはありません。確かめる方法は3枚くらべることだけで、去年の記憶で判断すると、ちょうど入れ替わった年に外します。
**「古く見えるのは色が古いから」。**色よりも先に、3か所の数値を数えてみてください。同じ色でも、畝の本数と裾の位置が今の側にそろっていれば古くは見えません。色の年ごとの位置は別の記事にまとめてあるので、そちらと一緒に見るほうが早く決まります。
**「全部買い替えないと追いつかない」。**ずれているのは、たいてい3か所のうち1か所です。袖だけなら折り上げる、裾だけなら前を入れて位置を上げる。その日のうちにできることで、ほとんどは釣り合います。3か所ともずれていたときだけ、入れ替えを考えれば足ります。
装いに活かすなら
秋のはじめに一度だけ、売り場で5分使ってください。3枚数えて、その年の位置を3つ書き留めておく。それだけで、引き出しの中の1枚ずつに点をつけられるようになります。
**追いかけるのをやめて、確かめるだけにする。**そう決めると、毎年ゼロから覚え直す必要がなくなります。更新するのは、3つの数字だけです。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 今年のニットは、どこを見れば分かりますか
- 3か所です。1つめは編み目の太さで、表面の畝が1cmのあいだに何本入るかを数えます。2つめは袖で、手首のところを握ったときに布と腕のあいだにどれだけゆとりが残るか。3つめは裾で、腰骨に対して上で切れているか、下まで続いているかを見ます。この3か所は形の名前が入れ替わっても場所が動きません。売り場で3枚手に取って数えれば、その年がどこに集まっているかが分かります。
- Q. 編み目の太さは、どうやって数えるのですか
- 肩と胸のあいだの平らな部分に指を当て、人差し指の幅を1cmの目安にして、その中に縦の畝が何本入るかを数えてください。5本以上入るなら細い編み、3〜4本なら中間、2本以下なら太い編みです。裾のリブや袖口は編み方が違うので、そこでは数えません。同じ糸でも編み方で見え方が変わるので、糸の太さではなく畝の本数で数えるほうが安定します。
- Q. 手持ちのニットが急に古く見えます。買い替えるしかないですか
- 3か所のうち、ずれているのがいくつかを先に数えてください。1か所だけなら着方で寄せられます。袖だけが細いなら袖口を2回折り上げて手首に余白を作る、裾だけが長いなら前だけ内側に入れて切れる位置を上げる、といった具合です。3か所ともずれているときだけ、入れ替えを考えれば足ります。たいていは1か所です。
- Q. 3枚くらべるとき、どんな3枚を選べばいいですか
- 同じ売り場の、同じ棚に並んでいる3枚にしてください。値段の帯も、狙っている年代も近いものがそろいます。離れた場所から集めると、店ごとの方針の差が混ざって、年の差なのか店の差なのかが分からなくなります。3枚に共通している数値がその年の側で、自分の1枚と引き算したときのずれの数が、今どちら側にいるかを教えてくれます。
- Q. 来年になっても、この見方は使えますか
- 数える場所は変わりません。変わるのは、その年に3枚が集まっている数値のほうです。だから毎年やることは同じで、秋のはじめに売り場で3枚数え直すだけです。所要時間は5分ほどで、覚え直すことはありません。形の名前を追いかけると毎年ゼロから覚え直すことになりますが、測る場所を覚えておけば、更新するのは数字だけで済みます。
— メグラシ編集部





