PD診断と骨格診断が食い違うとき|服の部位ごとに、どちらで決めるか

PD診断(パーソナルデザイン診断)の結果と骨格診断の結果が違う方向を指したとき、決め方は一行で済みます。
寸法は骨格、方向はPD。
襟ぐりが何センチ開くか、肩の縫い目がどこにあるか、丈がどこで止まるか。これは骨格が決めます。どんな色を置くか、装飾をどれだけ乗せるか、全体をどちらの雰囲気へ寄せるか。これはPDが決めます。
この2つは、そもそも見ているものが違います。だから食い違って当たり前で、片方が間違っているわけではありません。
なぜ食い違って見えるのか|同じ言葉に翻訳してしまうから
2つの結果が真逆に見えるのは、両方を「柔らかい/硬い」のような同じ言葉に翻訳したときです。
骨格の結果が指しているのは、布が体に触れるか離れるか、どの位置で止まるかという物理です。PDの結果が指しているのは、装いがどちらの方向へ向くと本人と一致するかという印象です。
たとえば、骨格の側が「体に沿う布のほうが成立する」と言い、PDの側が「ゆったりした雰囲気が合う」と言ったとします。同じ言葉に直すと矛盾しますが、分けて読めば矛盾しません。体に沿う布のまま、ゆったりした雰囲気は作れるからです。色を落ち着かせ、装飾を減らし、丈を長めに取れば、寸法を動かさずに方向だけが動きます。
分け方の全体像|5か所に決定権を配る
服を5か所に分けます。それぞれ、どちらが決めるかは最初から決まっています。
| 部位 | 決めるのは | 理由 |
|---|---|---|
| 襟ぐりの深さ | 骨格 | 鎖骨との距離が変わると、上半身の面が割れる |
| 肩の縫い目の位置 | 骨格 | 骨より外に出ると布が浮く。着方では戻らない |
| 丈(上下とも) | 骨格 | 体の張る位置で止まると、その高さに線が入る |
| 装飾の量 | PD | 体との物理的な関係が薄い。方向だけが動く |
| 色の強さ | PD | 面の大きさは変わらず、印象だけが動く |
そして、この表に載っていない項目が1つあります。素材です。素材だけは両方が関わるので、あとで分けて説明します。
骨格が決める①|襟ぐりの深さは、鎖骨からの距離で見る
襟ぐりは、鎖骨の中央のくぼみから、襟ぐりのいちばん下までの距離で測ります。
この距離が体に合っていないと、首から胸にかけての面が割れるか、逆に区切りがなくなるかのどちらかになります。ここはPDの方向とは無関係に決まる場所です。
PD側の指示が「首元を華やかに」であっても、襟ぐりの深さを変えるのではなく、深さを保ったまま首元に何を置くかで応えます。距離を動かすのは最後の手段です。
骨格が決める②|肩の縫い目は、骨より外に出さない
肩の骨の出っぱりに指を当て、袖の縫い目がその真上にあるかを見ます。外へ1.5cm以上出ていると、肩から胸にかけて布が浮きます。
これはどんな方向の装いでも同じです。浮いた布は、装飾を足しても色を変えても浮いたままです。
PD側が「肩の線をゆるく見せたい」なら、縫い目の位置は保ったまま、袖の布の落ち方や袖丈で応えてください。位置は骨格、落ち方はPDという分け方になります。
骨格が決める③|丈は、体の張る高さを避ける
上に着るものの裾も、下に着るものの丈も、体のいちばん張っている高さを避けます。腰の脇に手を当てていちばん外へ出ている高さを探し、そこから上下に3cm以上ずらすだけです。
丈は、方向を作る力が弱い割に、体との関係を強く決めます。だから骨格に預けるのが合理的です。
例外が1つだけあります。全体の長さの印象は方向に関わるので、そこはPDが持っていて構いません。ただし、その場合も「長くする」の中身を、裾の止まる高さではなく、重ねる枚数や縦の続き方で作ってください。止まる高さは骨格、全体の長さの印象はPD。同じ丈という言葉でも、この2つは別の項目です。
PDが決める①|装飾の量は、面の3割まで
装飾(ひだ、飾り布、光る留め具、模様の密度)は、体との物理的な関係が薄い項目です。ここはPDの方向に従って構いません。
ただし1つだけ数量の目安を置きます。上半身の見えている面積のうち、装飾が占めるのは3割まで。3割を超えると、装飾が寸法の判断を隠してしまい、鏡で見ても何が効いているか分からなくなります。
方向として装飾を多く取りたい場合は、上半身か下半身のどちらか一方に寄せて、もう一方は無地に近くしてください。量ではなく、置き場所で方向は作れます。
置き場所には、もう1つ考え方があります。体の細い場所の近くに置くと、そこが起点になる。 首、手首、足首、胴のいちばん細い高さ。この4か所の近くに装飾を置くと、装飾が細さの位置を指し示す働きをします。逆に、体のいちばん厚みのある場所に置くと、装飾がその厚みの上に乗るので、方向ではなく面積の話になります。
方向を作りたいなら細い場所の近く、面を作りたいなら厚みのある場所。PDの結果がどちらを指していても、この置き分けは使えます。
PDが決める②|色の強さは、面の大きさを変えない
色は、面の大きさを物理的に変えません。だから色の選択はPDに預けられます。
判断に使うのは、上下の濃さの差です。差が大きいと、その境目が線になります。差が小さいと、上下が一続きの面になります。どちらを取るかは方向の話なので、PDの結果が指すほうへ寄せてください。
骨格の側が関わるのは、境目がどの高さに来るかだけです。高さは骨格、濃さの差はPD。ここでも同じ分け方が使えます。
両方が関わる項目|素材は「硬さ」と「光り方」に割る
素材だけは、1つの言葉に2つの性質が入っています。
硬さは骨格の担当です。布をつまんで離し、3秒以内にしわが消えるなら硬い、5秒以上残るなら柔らかい。硬い布は体の丸みを越えて自分の形で立ち、柔らかい布は体側へ落ちます。これは物理なので、方向では動きません。
表面の光り方はPDの担当です。同じ硬さの布でも、光を強く返すものと、鈍く返すものがあります。ここは印象だけが動くので、方向に従って選べます。
つまり、「硬さは骨格で決めて、その硬さの中から光り方を選ぶ」という順番になります。素材で迷ったときは、この2段階に割ってください。
素材の名前で覚えようとすると、この2段階が混ざります。同じ名前の素材でも、織り方や糸の太さで硬さは変わりますし、仕上げの違いで光り方も変わります。名前は目印にはなりますが、判断の材料にはなりません。触って秒数を数え、光にかざす。 この2つの動作のほうが、素材名を10個覚えるより正確です。
もう1つ、厚みは硬さとは別の性質です。厚くても柔らかい布があり、薄くても硬い布があります。厚みは季節の判断に使い、硬さは骨格の判断に使う。ここも分けておくと、店頭で混乱しません。
順番を間違えるとどうなるか|寸法をあとから動かすことになる
分け方より大事なのが順番です。先に骨格で寸法を確定させ、あとからPDで色と装飾を乗せる。
逆にすると、乗せた装飾に合わせて寸法を動かすことになります。装飾は服ごとに違うので、動かす方向も服ごとに変わり、基準が残りません。
寸法が合っている服は、装飾を変えても崩れません。装飾が合っている服は、寸法が外れていると崩れます。あとから動かせるほうを、あとに回す。 それだけの理由です。
買い物の場で、この分け方をどう使うか
売り場で一着を手に取ったとき、判断は2段階になります。
1段階目は骨格。 肩の縫い目、襟ぐりの深さ、丈の止まる位置、布の硬さ。この4つを測って、成立帯に入っているかを見ます。ここで外れたら、その一着は方向がどれだけ合っていても置いてください。
2段階目はPD。 1段階目を通った一着が2つ以上あったときに、方向で選びます。装飾の量、色の強さ、表面の光り方。ここは好みで構いません。むしろ好みで選んだほうが、着る回数が伸びます。
この順番の利点は、迷う時間が短くなることです。1段階目は測れば終わるので、判断に迷いがありません。迷いが発生するのは2段階目だけになり、しかもそこは好みなので、どちらを選んでも大きくは外れません。
逆の順番だと、方向の合う一着をいくつも試着してから、寸法で全部落とすことになります。同じ結論に、何倍もの時間がかかります。
人に伝えるとき|2つの言葉を混ぜない
売り場の人やスタイリストに希望を伝えるときも、2つを分けて言うと通じやすくなります。
寸法の話は数字で伝えます。「肩の縫い目が骨の真上に来るもの」「襟ぐりが鎖骨から8cmくらい開くもの」「丈が腰の張るところを外れているもの」。数字で言えば、相手は棚から探せます。
方向の話は形容で伝えます。「落ち着いた雰囲気」「華やかすぎない」「柔らかい印象」。これは数字にできませんが、数字にする必要もありません。
混ぜると通じません。「柔らかい感じの服」とだけ言うと、相手は布の硬さの話なのか印象の話なのか判断できず、どちらかを推測することになります。先に数字、あとで形容。 伝える順番も、決める順番と同じにしてください。
割れたとき①|PD側が、骨格の成立帯の外を指している
たとえばPDの方向が大きめの布を指していて、骨格の判定では体に沿う寸法が成立帯だという場合。
このときは、寸法は成立帯に置いたまま、丈と長さで方向を作ります。 幅を広げるのではなく、丈を長く取る。袖を長く取る。縦方向は体との関係が緩いので、方向を作る余地が大きいのです。
幅を広げると布が体から離れて浮きますが、丈を伸ばしても浮きません。ここが逃げ道になります。
割れたとき②|骨格は合っているのに、着る気にならない
寸法が全部成立しているのに手が伸びない一着は、方向がまだ乗っていません。
このときに触るのは3か所です。首元に置くもの、足元の色、そして持つものの大きさ。この3つは寸法に影響しないので、方向だけを動かせます。
3つとも変えて手が伸びないなら、その一着は方向が根本的に違うので、寸法が合っていても手放して構いません。寸法が合う一着は、探せばまた見つかります。方向が合わない一着を無理に着続けるより、そのほうが結果は早く出ます。
割れたとき③|どちらの結果も持っていない
診断を受けていなくても、この分け方は使えます。
骨格側は、手首の断面が丸いか平たいか、鎖骨に指が沈むか、体のいちばん細い高さがどこか。この3点を測れば、寸法の判断はできます。
PD側は、手持ちの中で気持ちが乗る5着を並べて、共通点を1つだけ書き出してください。色か、装飾の量か、丈か。1つ書ければ、それが方向の手がかりになります。
名前を先に決めなくても、判断は動き始めます。
まとめ|一行と、5か所
覚えるのは一行です。寸法は骨格、方向はPD。
そして5か所。襟ぐり・肩・丈は骨格。装飾と色はPD。素材は硬さと光り方に割って、硬さを骨格、光り方をPDへ。
食い違いは、この配り方を決めていないから起きます。配ってしまえば、2つの結果は競合しません。むしろ、片方だけでは決まらなかった部分が埋まります。
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よくある問い
- Q. PD診断と骨格診断、先に受けるならどちらですか
- 手持ちの服が着られなくて困っているなら骨格が先です。骨格は寸法の話なので、結果が出た日から手元の服を測って仕分けられます。着られる服はあるのに選んだ結果が自分らしくないと感じているならPDが先です。PDは方向の話なので、持っている服の傾向を整理する働きをします。困りごとがどちらの言葉で説明できるかで決めてください。
- Q. 2つの結果が真逆を指しています。片方は間違いですか
- どちらも間違っていないことのほうが多いです。2つは見ている対象が違います。骨格は布と体の関係、PDは装いの方向です。真逆に見えるのは、両方を同じ言葉に翻訳してしまったときです。たとえば片方が柔らかい印象を指し、もう片方が硬い布を指していても、柔らかい印象は色と装飾で作れるので、布の硬さを変える必要はありません。翻訳を分ければ、両立できる場合がほとんどです。
- Q. 部位ごとに分けると、ちぐはぐになりませんか
- 分け方に順番を付ければ、ちぐはぐにはなりません。先に骨格で寸法を確定させ、そのあとPDで色と装飾を乗せてください。順番が逆になると、装飾に合わせて寸法を動かすことになり、体との関係が崩れます。寸法が合っている服は、装飾が変わっても崩れません。逆は成り立たないので、順番だけは守ってください。
- Q. 自己診断の結果でも、この分け方は使えますか
- 使えます。ただし、自己診断で出た結果を1つに決め切らないでください。骨格側は、手首の断面と鎖骨の沈み方と体のいちばん細い高さの3点さえ測れていれば、タイプ名がなくても寸法の判断はできます。PD側は、自分が心地よいと感じた服を5着並べて共通点を1つ書き出すだけでも、方向の目安になります。名前より、手元の観察のほうが実用的です。
- Q. 迷ったまま買うとき、どちらに寄せると失敗しにくいですか
- 骨格に寄せてください。寸法が合っていない服は、着るたびに直すことになりますが、方向が少しずれている服は、合わせるものを変えれば方向を寄せられます。あとから動かせるほうを、あとに回すという考え方です。ただし、まったく気持ちが乗らない一着は、寸法が合っていても着る回数が伸びません。寸法が合ったうえで、2着のうち好きなほうを選ぶ、という順番にしてください。
— メグラシ編集部





