洗濯の仕方|同じ回に入れていいかは、脱水に耐える時間で決まる

洗濯でいちばん結果を左右するのは、洗い方ではありません。同じ回に入れていいかどうかです。
洗濯機は、中に入っているものを区別しません。一回まわせば、全部に同じ水流と、同じ脱水時間と、同じ水温がかかります。 だから、耐えられる時間の違うものを混ぜると、必ずどちらかが傷みます。
つまり、洗う前にやることは一つです。耐える時間で分ける。 色で分けるのも、汚れで分けるのも、そのあとで構いません。
一回の洗濯で、全部に同じ条件がかかる
かかるのは3つです。水流の強さ、脱水の時間、水の温度。
このうち、いちばん差が出るのが脱水です。水流は服が水に浮くので分散し、水温は多くの場合ほぼ常温です。脱水だけは、遠心力が全部に同じだけかかります。
厚手の丈夫なものに合わせた時間では、薄くて伸びやすいものが伸びます。薄いものに合わせた時間では、厚いものが濡れたまま出てきます。この一点だけで、回を分ける理由になります。
分ける軸①|脱水に耐える時間
見分け方は簡単です。濡らした状態で持ち上げたときに、自分の重みで伸びるかどうか。 洗う前に、水で濡らす必要はありません。乾いた状態で肩のあたりを持ち、下へ軽く引いてみてください。引いたぶんだけ伸びて、離してもすぐ戻らないものは、脱水に弱い側です。
弱い側は短い脱水、強い側は通常の脱水。この2つに分けるだけで、傷みの大半は起きなくなります。
伸びる方向にも違いがあります。横に伸びるものは、脱水で内側の壁に押しつけられて幅が広がります。縦に伸びるものは、自分の重みで丈が伸びます。 どちらも短い脱水で軽くなりますが、縦に伸びるものは干し方でも変わるので、脱水だけでは足りないことがあります。
判定に迷ったら、新しいうちに一度だけ短い脱水で洗ってみてください。 短くして問題が出ることはありません。逆は取り返しがつかないので、最初の一回は弱い側から入るのが安全です。
| 引いたときの戻り | 脱水の側 | 同じ回に入れていいもの |
|---|---|---|
| すぐ戻る | 通常でよい | 同じくすぐ戻るもの |
| ゆっくり戻る | 短めにする | 同じ側だけ |
| 戻らない | 短い脱水か手で挟む | 単独か、同じ側だけ |
分ける軸②|引っかかるものがあるか
留め具、金具、面ファスナー、装飾。これらは、他の衣類の表面を削ります。削られた表面は毛羽立ち、そこから毛玉になります。
外せるものは外し、閉じられるものは閉じる。 これだけで大半は防げます。閉じられない、外せないものは、袋に入れるか、回を分けてください。
引っかかりは、洗剤や水温では防げません。物理的に触れないようにするしかない、という点で、他の条件とは性質が違います。
削られる側にも差があります。表面に毛足のあるもの、編み目のゆるいものは、引っかかりに弱い。 平らで目の詰まったものは、多少触れても表面が変わりません。だから、弱い側だけを袋に入れるという分け方もできます。
どちらを袋に入れるかは、枚数の少ないほうにしてください。引っかかるものが1枚なら、その1枚を入れる。弱いものが1枚なら、その1枚を入れる。 数が少ないほうを守るのが、手数として最短です。
分ける軸③|乾く速さの差
同じ回で洗ったものは、同じタイミングで干すことになります。乾く速さが違いすぎると、遅いほうが乾くまで、干す場所が占領されます。
厚みが3倍以上違うものは、同じ回にしないほうが干し場所の回転が上がります。 薄いものだけの回と、厚いものだけの回に分けると、薄いほうは半日で空き、次を干せます。
これは傷みの話ではなく、一日の使い方の話です。ただ、干し場所が足りずに間隔を詰めると、乾く時間が延びて、においの原因になります。
厚みの差を測るのは簡単で、同じ場所を指で挟んで比べるだけです。数字で出す必要はありません。片方が明らかに分厚いと感じるなら、それは3倍以上あると考えて構いません。
3つを合わせて、回を決める
脱水・引っかかり・乾く速さ。この3つを見て、回を組みます。
多くの家では、「通常脱水・引っかかりなし・薄手」「通常脱水・引っかかりなし・厚手」「短い脱水」の3つに落ち着きます。毎日3回まわす必要はありません。3つの箱を用意して、たまった箱から順にまわせば十分です。
箱を分けておくと、洗う直前に仕分ける手間がなくなります。仕分けは脱いだときに終わっているのが、いちばん短い形です。
箱を置く場所は、脱ぐ場所のそばにしてください。洗濯機の前に置くと、脱いだ場所から運ぶ一手間が入り、その一手間で仕分けが飛びます。判断が入るのは、脱いだ瞬間の1回だけにするのが目標です。
箱が3つも置けない場合は、2つで構いません。「短い脱水」と「それ以外」の2つです。分けるべき軸のうち、いちばん効くのは脱水なので、1つしか分けられないならここを分けてください。
ネットに入れるか、回を分けるか
袋は、引っかかりを防ぐには有効です。ただし、脱水の時間は変えられません。袋に入れても、かかる時間は同じです。
だから、引っかかりが理由なら袋、脱水が理由なら回を分ける、と使い分けてください。両方が理由なら、袋に入れたうえで回も分けます。
袋に詰め込みすぎると、水も洗剤も届かなくなります。袋の中で服が動く余裕を残してください。
量|槽の7割が上限
入れたあと、上から手のひらを入れて、指が槽の壁に触れずに一周できるかどうか。触れずに回れば7割以下です。
7割を超えると、水も洗剤も服のあいだに届きません。洗えていない場所が残り、乾いたあとでにおいが戻ります。
量が多い日は、詰め込んで一回にするより、二回に分けたほうが結局は早く終わります。洗い直す時間が要らないからです。
汚れの強いものは、回を分けるより先に処理する
汚れが強い一枚が混ざると、その汚れは水に移り、他の衣類にも触れます。洗剤が十分にあれば戻りませんが、量が多い回では戻ることがあります。
だから、汚れが強い場所は洗う前に、その場所だけ処理してください。 面積を、汚れている輪の内側に閉じるのがこつです。輪の外まで濡らすと、乾いたときに輪の跡が広がって残ります。
処理してから回に入れれば、他の衣類と分ける必要はなくなります。分けるより、先に減らすほうが回数が増えません。
洗剤の量を決めているのは、水量
洗剤の分量は、衣類の重さではなく水量に対して決まっています。洗濯機が表示する水量を見て、それに対応する量を入れてください。
多く入れても汚れの落ち方は変わらず、すすぎきれない分が生地の表面に残ります。少なすぎると、いったん水に移った汚れが服へ戻ります。
汚れの強い一枚がある日は、洗剤全体を増やすのではなく、その一枚だけ先に部分的に処理してください。全体を濃くしても、届く場所は変わりません。
裏返すかどうかの判定
裏返すのは、表面を守りたいときです。表に飾りがある、表面に毛足がある、色が濃くて表面の擦れが目立つ。この3つのどれかに当てはまるなら裏返します。
逆に、汚れが表側に付いているものは裏返しません。裏返すと、汚れている面が内側に入り、水流が当たりにくくなります。
守りたいのか、落としたいのか。 どちらを優先するかで決まります。
裏返すかどうかは、干し方にも関わります。裏返したまま干すと、表側が内側になって乾きが遅れます。洗うときだけ裏返して、干すときに戻す。 手間は増えますが、乾く時間は短くなります。
洗い終わってから取り出すまでは30分
洗い終わった直後の衣類は、濡れた状態で重なっています。この時間が長いほど、においの元が増えます。
上限は30分。 すぐに干せないと分かっている日は、洗い終わる時刻を予約で調整して、帰ってから始まるようにしてください。
夏物のように薄いものは、濡れている時間が短くて済むので影響が小さく見えます。ただ、薄いものほど重なりやすく、重なった面は乾きません。厚みではなく、重なっているかどうかが効きます。
30分を超えてしまった日は、干す前にもう一度短く回す手もあります。水を通すと、増えた分がいったん流れます。やり直すのは一手間ですが、乾いてからにおいに気づくよりは短くて済みます。
時間が空いてしまった場合は、干す前に一度ほぐして重なりを外します。ほぐさずに干すと、重なっていた面だけ乾きが遅れます。
どちらとも取れるとき①|脱水耐性が違うが、量が少ない
分けたほうがいいと分かっていても、それぞれの量が少なくて、二回まわすのがためらわれる日があります。
この場合は、弱いほうに合わせて一回でまわし、強いほうを干すときに手当てしてください。 短い脱水で出てきた厚手は水を含んでいるので、干す前にタオルで挟んで押します。これで乾く時間の差は縮まります。
逆はできません。強い脱水に薄いものを合わせると、伸びたものは戻らないからです。迷ったら弱いほうへ倒す。 これが原則です。
どちらとも取れるとき②|表示が読めない一枚
表示が消えている、あるいは最初からない一枚があります。この場合も弱いほうへ倒します。
短い脱水、弱い水流、常温の水。この3つで洗い、同じ回には同じ条件で洗えるものだけを入れてください。一枚のために全体を弱くするのが惜しいなら、その一枚を別の回に回します。
どちらとも取れるとき③|色が出るかどうか分からない
色が出るかどうかは、濡れている時間の長さで効いてきます。短い時間で洗って早く干せば、多少色が出ても、他の衣類に移るところまでは行きません。
だから、色が不安な一枚があるときにやることは2つです。その回だけ、洗い終わりから干すまでの時間を10分以内にする。そして、その回に白いものを入れない。 この2つで、ほとんどの場合は足ります。
初めて洗う濃い色の一枚は、最初の一回だけ単独で洗うのがいちばん確実です。
判定の順番
迷ったら、この順で決めてください。
1. 引っかかるものを外すか閉じる。2. 引いて戻るかで脱水の側を分ける。3. 厚みの差が3倍を超えていないか見る。4. 槽の7割に収める。5. 水量に対して洗剤を入れる。6. 洗い終わりから30分以内に干す。
素材ごとの洗い方や干し方は、この6つが通っている前提の上に乗ります。土台がずれていると、素材ごとの工夫はほとんど効きません。
6つのうち、毎回考える必要があるのは1と2だけです。3から6は、一度決めればそのまま続きます。槽の7割という量も、洗剤の量も、30分という上限も、日によって変わりません。
つまり、洗濯のたびに判断しているのは「引っかかりを外したか」と「同じ脱水でいいか」の2点です。この2点を脱いだ時点で終わらせておけば、洗う作業そのものには判断が残りません。 箱を3つ置くだけで、それができます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 洗濯物は何で分ければいいですか
- 色で分ける前に、脱水に耐える時間で分けてください。一回まわすと、中の全部に同じ脱水時間がかかります。厚手の丈夫なものと、薄くて伸びやすいものを同じ回に入れると、前者に合わせた時間では後者が伸び、後者に合わせた時間では前者が乾きません。まず耐える時間で2つに分け、そのうえで色や汚れの強さを見ます。色分けは、濡れている時間が長いときにだけ効いてくる条件なので、優先順位としてはあとです。
- Q. 洗濯機にどのくらい入れていいですか
- 槽の7割が上限です。入れたあと、上から手のひらを入れて、指が槽の壁に触れずに一周できるかどうかで確かめられます。7割を超えると、水も洗剤も服のあいだに届かず、洗えていない場所が残ります。洗えていないと、乾いたあとでにおいが戻る原因になります。量が多い日は、詰め込んで一回にするより、二回に分けたほうが早く終わります。一回で洗えなかったものを洗い直す時間が要らないからです。
- Q. 洗剤はどのくらい入れればいいですか
- 衣類の重さではなく、水量で決まります。洗濯機が表示する水量に対しての分量が、洗剤の側に書かれています。多く入れても汚れの落ち方は変わらず、すすぎで落としきれない分が残って、生地の表面に膜のようになります。少なすぎると、汚れが水に移ったあと戻ってしまいます。迷ったら、水量が同じなら量も同じ、と覚えてください。汚れが強い日は、洗剤を増やすのではなく、その一枚だけ先に部分的に処理してください。
- Q. 洗い終わったあと、すぐ干せないときはどうしますか
- 30分が上限です。洗い終わった直後の衣類は濡れていて、重なった状態で置かれています。この状態が長いほど、においの元が増えます。すぐに干せないと分かっているなら、洗い終わる時刻を予約で調整して、帰ってから始まるようにするほうが確実です。やむを得ず時間が空いてしまったときは、干す前に一度ほぐして、重なりを外してから干してください。においが出てしまった場合の手当ては別の記事で扱っています。
- Q. 表示のない服は、どう扱えばいいですか
- 弱いほうへ倒してください。表示がないということは、条件が確認できないということなので、いちばん条件の厳しい服に合わせます。具体的には、脱水を短い側に、水流を弱い側に、水温を低い側にそろえます。同じ回に入れるなら、他の衣類も同じ条件で洗えるものだけにしてください。一枚のために全部を弱くするのが惜しい場合は、その一枚だけを別の回に回すか、手で洗う判断になります。
— メグラシ編集部





