アラサーのファッション|合わなくなった服は、肩・胴・裾の3つの余白で仕分ける

20代に買った服が、あるときから急にしっくり来なくなる。系統を変えたわけでも、丈を変えたわけでもないのに、鏡の中の一枚だけが浮いて見える。
このとき動いているのは、服の系統ではありません。服と体のあいだにできる余白が、置かれている場所ごと変わっています。
余白は感覚ではなく、数字で取れます。取る場所は3つだけです。肩、胴、裾。この3つを並べると、その一枚を残すのか、直すのか、着る日を変えるのかが、その場で決まります。
合わなくなったのは、系統ではなく余白の位置
同じ形の服でも、余白がどこに寄っているかで見え方が変わります。
肩に余白が集まると、生地の重さが上腕に乗って、上半身の外側の線が二重になります。胴に余白が集まると、腰の位置が読み取れなくなり、上下の境目が消えます。裾に余白が集まると、足元で生地が止まらず、縦の線が途中で切れます。
つまり、余白の総量が問題なのではありません。同じ量の余白でも、置かれる場所が変わると別の服に見える。 20代のときと今で変わったのは、この置かれ方のほうです。
置かれ方が変わる理由は、服の側にも体の側にもあります。何度も洗った服は、繊維が伸びる場所と縮む場所が分かれるので、買ったときと余白の分布が違います。体の側も、座っている時間や歩く距離が変われば、生地が触れる位置がゆっくり移動します。どちらも悪いことではなく、時間が経てば必ず起きることです。
だから、判断のしかたも「合う/合わない」の二択ではなくなります。どこがどれだけずれているかを数字にして、直せる場所か、着る日を変える場所かに仕分ける。これが、系統を総入れ替えせずに手持ちを立て直す、いちばん短い道です。
測るのは3か所。所要2分
用意するものはメジャー1本です。無ければ、指の幅を目安にしてください。人差し指と中指を並べた幅がおよそ3センチ、親指の第一関節までがおよそ2センチです。
測るときの条件を1つだけ決めます。いつも同じ側で測る。 左右の肩の高さには誰でも差があるので、日によって側を変えると、服のせいなのか測り方のせいなのか分からなくなります。利き手と反対の側を固定しておくと、腕を動かしても数字がぶれません。
肩|縫い目と肩先の骨のずれ
肩先には、腕の付け根の外側に丸い骨のふくらみがあります。そこに指を置いて、袖の縫い目までが何センチかを測ります。
- 0〜1センチ … 体の線に沿った位置。肩から袖への線が1本で通る
- 1〜3センチ … 少しゆるめた位置。肩の角がやわらぎ、上半身の面が広くなる
- 3センチ以上 … 生地の重さが上腕に乗る位置。肩から袖の線が二段になる
3センチを超えること自体は問題ではありません。もともとその位置で作られている形もあります。見るのは、その一枚のなかで他の2か所とそろっているかです。
測るときは腕を下ろしたままにしてください。腕を上げると肩の骨が動いて、同じ服でも1センチ以上変わります。また、厚みのある一枚を下に着ていると縫い目が外へ押し出されるので、測るのは肌に近い状態か、いつも下に着ているものを着た状態か、どちらかに固定します。
肩が読めない形もあります。肩の縫い目が最初から無い形、袖が斜めに切り替わっている形です。この場合は、首の付け根の骨から生地が肩の輪郭から離れ始める点までを測って、代わりの数字にしてください。基準さえ固定できれば、絶対値がずれていても比較には使えます。
胴|つまめる量で読む
まっすぐ立ち、胴のいちばん細い位置で、体の横の生地を片手でつまみます。つまめた生地を平らにして、幅を測ります。
- 1センチ未満 … 生地が体に触れ続ける。動くたびに位置が変わる
- 1〜4センチ … 体と生地が離れたり触れたりする。いちばん扱いやすい帯
- 4センチ以上 … 生地が体から独立する。腰の位置が読み取れなくなる
つまむのは片側だけです。両側を足すと、同じ服でも測る人によって倍近く差が出ます。息を吐いた状態で、力を入れずに測ってください。
胴の数字は、生地の落ち方でも変わります。やわらかく落ちる生地は、つまめる量が多くても体の輪郭に沿って落ちるので、余っている側に振れにくくなります。逆に、張りのある生地は2センチでも外側へ立ち上がります。判定に迷ったら、つまんだ手を離したあと、生地が元の位置に戻るまでの動きを見てください。すぐ戻るなら中間、形が残るなら余っている側に置きます。
ウエストの位置が決まっていない形、たとえば上から下まで同じ幅で落ちる形では、いちばん細い位置が服の側に存在しません。この場合は、ひじの高さで測ってください。ひじは腕を下ろしたときに胴の横に来るので、どんな形でも同じ高さを取れます。
裾|床からではなく、骨からの距離
裾の位置は、床からの高さで語られがちですが、床からの距離は靴で変わります。変わらないものを基準にします。
パンツは、くるぶしの外側の骨の中心から裾までを測ります。スカートは、膝の皿の下端から裾までを測ります。
- パンツで骨より上に2センチ以上 … 足首が完全に出る。縦の線が足首で一度切れる
- パンツで骨をまたぐ前後2センチ … 骨の位置が見え隠れする。いちばん動きが出る帯
- スカートで膝下0〜5センチ … 膝の丸みが線に含まれる
- スカートで膝下10センチ以上 … 脚の線ではなく、生地の落ち方が主役になる
裾は3か所のなかで、いちばん人の目に入りにくい場所です。それでも測る価値があるのは、裾の位置が上の2か所の見え方を決めてしまうからです。裾が下に長いほど、肩と胴の余白は小さく見えます。裾が短いほど、同じ余白が大きく見えます。
だから、肩や胴だけを直しても手応えが無かった場合、動いていないのは裾のほうです。順番としては、裾を先に決めて、そのあとで肩と胴をもう一度測ると、直す回数が減ります。
3つの数字を、1つの表に並べる
3か所を「詰まっている/中間/余っている」の3段階に置き換えると、一枚ぶんが1行で書けます。
| 測る場所 | 詰まっている | 中間 | 余っている |
|---|---|---|---|
| 肩(骨から縫い目) | 1センチ未満 | 1〜3センチ | 3センチ超 |
| 胴(片側でつまめる幅) | 1センチ未満 | 1〜4センチ | 4センチ超 |
| 裾パンツ(くるぶしの骨から) | 骨より上2センチ超 | 骨の前後2センチ | 骨より下3センチ超 |
| 裾スカート(膝の皿の下端から) | 膝上 | 膝下0〜10センチ | 膝下15センチ超 |
この表は答えを出す表ではありません。3か所の位置関係を1行で見るための道具です。判定は次の節で行います。
2か所が同じ方向に寄ったら、帯の外
判定は1つだけです。
3か所のうち2か所が同じ列に入っていたら、その一枚は今の帯から外れています。 詰まっている側に2つなら、体の動きに生地がついてこず、座ったときに横のしわが集まります。余っている側に2つなら、生地の量が体の輪郭より先に目に入って、服の形だけが残ります。
1か所だけがずれている場合は、帯の中にいます。ずれている1か所を直せば戻ります。3か所ばらばらの場合も帯の中です。この場合はいちばん外側に振れている1か所だけを見てください。
方向がそろっているかどうかが判定の中身なので、逆向きに2か所ずれている服は、帯の外ではありません。 肩が詰まっていて裾が余っている、という組み合わせは、上と下で役割が分かれている状態です。むしろ意図して作られていることが多く、そのまま着て構いません。
同じ方向に3か所そろってずれている場合は、サイズそのものが一段違います。この場合だけは、直すより次に買うときの基準を1段変えるほうが早く着地します。
どちらとも取れるとき①|肩だけがずれている
肩が3センチを超え、胴と裾が中間にある。この形はいちばんよく出ます。
肩は、直せる場所です。肩の位置を動かさずに見え方だけを変えるなら、上に一枚重ねて、外側の線をその一枚に引き受けさせます。重ねるものの肩は、必ず内側の服より詰まっている側にしてください。外側がゆるいと、二重になった線がさらに広がります。
直しに出す場合、肩の縫い目を詰める工程は袖の形まで動かすので、費用と時間がかかります。着る回数が季節に5回未満なら、重ねて使うほうが現実的です。
どちらとも取れるとき②|胴は合うのに裾が余る
胴が中間で、裾だけが余っている。丈を切れば解決するように見えますが、先に確かめることがあります。
裾を切ると、その服の縦の分割位置が動きます。膝下12センチのスカートを膝下7センチにすると、脚と生地の面積比が入れ替わり、上半身に必要な余白も変わります。つまり、裾を直すと胴の判定がやり直しになる。
順番は、裾を仮に折って安全ピンで止め、その状態で胴をもう一度つまむこと。胴が中間のままなら切って構いません。胴が詰まっている側へ動いたら、切らずに丈のまま使う日を選ぶほうが早いです。
どちらとも取れるとき③|日によって数字が変わる
同じ服で、朝と夜、日によって数字が違う。これは測り方の問題ではなく、当たり前に起きることです。
扱いは決めておけば済みます。3日ぶん測って、いちばん大きい数字を採用する。 ここで知りたいのは正確な寸法ではなく、その一枚が帯の内側にいるかどうかです。いちばん厳しい条件で帯に入るなら、どの日でも着られます。
測り直しは、季節の変わり目に1度で足ります。毎回測ると、数字を取ること自体が目的になってしまいます。
残すか、役割を変えるか
2か所がずれた服を、手放す必要はありません。着る日を変えると、最後まで使い切れます。
人と向かい合って座る日、写真に入る日は、3か所そろっている一枚を選びます。近所で用事を済ませる日、家で動く日は、2か所ずれている一枚で問題ありません。距離が離れるほど、余白の位置は読み取られにくくなります。
3か所ともずれている場合だけ、直す価値と着る回数が釣り合わなくなります。その一枚は、次に買うときの基準を教えてくれた服として、記録だけ残して送り出してください。
買うときは、鏡より先に3か所を見る
試着室では、鏡を見る前に3か所を測ります。順番は肩、胴、裾です。
鏡を先に見ると、全体の印象に引っぱられて「なんとなくいい」「なんとなく違う」で終わります。数字を先に取っておくと、鏡を見たときの印象に理由がつきます。「悪くないけれど肩が3センチ超えている」と分かっていれば、その一枚を買うか見送るかを、その場の気分ではなく条件で決められます。
自分で選ぶ範囲が固まってきたら、プロのスタイリストに選んでもらう方法と組み合わせると、自分では取らない余白の置き方が手元に増えます。
2週間、同じ3か所だけ記録する
新しく測り始めた数字は、続けないと基準になりません。かといって全部の服を測る必要もありません。
2週間、その日着た一枚について、3か所を「詰まっている/中間/余っている」で書くだけにしてください。14行たまると、自分がどの列に寄りやすいかが見えます。多くの場合、3か所のうち1か所は毎回同じ列に入ります。そこが、次に買うときにいちばん気をつける場所です。
まとめ
年齢が変わったから服が合わなくなるのではありません。服と体のあいだの余白が、置かれる場所ごと動いただけです。
肩、胴、裾。3か所を測って、2か所が同じ方向に寄っていたら帯の外、1か所だけなら直せる。この一文があれば、手持ちの一枚ずつについて、その場で判断がつきます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 20代のときの服が急にしっくり来ません。何から見ればいいですか
- 服の系統ではなく、服と体のあいだの余白を見てください。見る場所は肩・胴・裾の3か所です。肩は肩先の骨と袖の縫い目が何センチずれているか、胴はいちばん細い位置で生地を片側で何センチつまめるか、裾はくるぶしの骨や膝の皿から何センチ離れているか。3つとも数字で出るので、感覚で判断しなくて済みます。しっくり来ないという感覚は、たいていこの3つのどれかがずれたときに出ています。
- Q. 3か所のうち、どれがいちばん効きますか
- 肩です。肩の縫い目の位置は、着ている本人よりも先に、見ている側の目に入ります。肩先の骨から縫い目までが1センチ以内なら体の線に沿った見え方、1〜3センチなら少しゆるめた見え方、3センチを超えると生地の重さが上腕に乗って形が変わります。どれが良い悪いではなく、同じ日の他の2か所とそろっているかどうかで判断してください。
- Q. 2か所がずれていたら、もう着られませんか
- 着られないのではなく、役割を変える時期に来たということです。2か所が同じ方向に寄った服は、外で人に会う日の一枚から、家の近くで動く日の一枚へ移すと最後まで使い切れます。逆方向に1か所ずつずれている場合は、片方を直すだけで両方そろうことがあるので、先に肩から直してください。
- Q. 日によって数字が変わるのですが、どう扱えばいいですか
- 3日分をとって、いちばん大きい数字を採用してください。1日のなかでも夕方は数字が動きます。ここで知りたいのは正確な寸法ではなく、その服が帯の内側にいるかどうかなので、いちばん厳しい条件で入るかを見れば足ります。毎回測り直す必要はなく、季節の変わり目に1度で十分です。
- Q. 買うときにも同じ見方は使えますか
- 使えます。試着室で鏡を見る前に、肩先の骨に指を置いて縫い目までの距離、胴でつまめる量、裾と骨の距離の順に確かめてください。鏡を先に見ると全体の印象に引っぱられて、どこがずれているかを言葉にできないまま買うことになります。3つの数字を先に取ってから鏡を見ると、印象の理由が自分の言葉で説明できます。
— メグラシ編集部





