スーツのボタン 女性|留めるか開けるかを立つ・座る・お辞儀で決める

**手持ちのスーツのジャケットを、いま羽織って鏡の前に立ってみてください。**ボタンはいくつありますか。そのうち、襟の折り返しがちょうど止まっている位置にあるのはどれでしょうか。
女性のスーツのボタンには、男性のスーツのような決まりが一つにまとまっていません。「いちばん下は留めない」と聞いて外してみたら前が開いて落ち着かなかった、という声は少なくありません。
この記事の答えは1つです。留めるボタンは、数ではなく位置で決めます。襟の折り返しが止まる位置にあるボタンを基準にして、立ったとき・座ったとき・お辞儀をしたときの3つの姿勢で前身頃を見れば、手持ちの1着をどう留めればいいかが決まります。
ジャケットの丈の選び方はジャケットの丈 選び方に、秋冬の生地の選び方はスーツ 秋冬 女性に分けてあります。ここでは、すでに手元にある1着のボタンをどう扱うかだけを扱います。
結論:基準は「襟の折り返しが止まる位置」にあるボタン
テーラードジャケットの前身頃は、上のほうで襟が外に折り返され、ある位置でその折り返しが止まって、そこから下はまっすぐ重なっています。この折り返しが止まる場所を、仕立ての言葉で返り止まりと呼びます。
**返り止まりの高さにあるボタンが、そのジャケットで「留めるために置かれた」ボタンです。**このボタンを留めると、襟がきれいに外へ返り、前の重なりが体に沿います。
その上下にあるボタンをどうするかは、3つの姿勢で見たときの前身頃の様子で決めます。
| 姿勢 | 見る場所 | 留めたままでよいサイン | 開けたほうがよいサイン |
|---|---|---|---|
| 立つ | ボタンのまわり | 前身頃が体に沿い、しわが出ない | ボタンから斜めに引っ張られるしわが出る |
| 座る | 胸と前身頃の隙間 | 5秒たっても浮きが2cm未満 | 前身頃が胸から2cm以上浮く |
| お辞儀 | 前の打ち合わせ | 30度曲げても重なりが割れない | 曲げると打ち合わせが割れて中が見える |
ボタンの数ごとの基本
まず、ボタンの数ごとの基本の形を押さえておきます。ここで決まるのは「どのボタンが基準になりやすいか」までで、最終的な留め方は3つの姿勢で決めます。
1つボタンは、そのボタンが返り止まりにあります。基本は留めて着ます。開けると前が大きく開き、襟の折り返しも崩れて見えるので、開けて着る場面は限られます。
2つボタンは、上のボタンが返り止まりにあるものが多いです。男性のスーツでは下を外すのが決まりですが、女性のジャケットは両方留めても形がきれいに出るように作られていることがあります。両方留めて立ち、下のボタンのまわりに横じわが出なければ、両方留めて構いません。
3つボタンは、作りによって2通りあります。上のボタンが返り止まりにあるものは、上2つを留めます。真ん中のボタンが返り止まりにあって、上のボタンは襟の折り返しの中に隠れているものは、真ん中だけを留めます。
ダブルのジャケットは、前の打ち合わせが深いので、外側のボタンを留めて着るのが基本です。内側に隠れたボタンも留めておくと、重なりがずれません。
襟のないジャケットは、返り止まりがありません。この場合は胸のいちばん高いところに近いボタンを基準にして、留めたときに前が浮かないかで見ます。
立つ|留めた状態で、ボタンから引っ張られるしわが出ないか
1つ目の姿勢は、立った状態です。基準のボタンを留めて、鏡の正面に立ってください。
見るのは、ボタンのまわりです。ボタンを中心に、斜め上と斜め下に向かってX字のようなしわが出ていたら、身幅か胸まわりにゆとりが足りていません。このしわは、座ったり腕を動かしたりするとさらに強くなります。
しわが出ないなら、その1着は留めて着る前提で問題ありません。次に、基準の下にあるボタンも留めてみて、同じように見てください。下のボタンのまわりにしわが出ないなら、両方留めて大丈夫です。しわが出るなら、下のボタンは開けておきます。
横から見て、前身頃が体から離れていないか
正面だけでなく、横からも見てください。ボタンを留めたときに、前身頃が胸の下からおなかのあたりで体から離れて浮いていると、正面から見たときに前がふくらんで見えます。
これは、ボタンの位置が体に対して高すぎるか、ジャケットの丈と体の厚みが合っていないときに起きます。下のボタンも留めると浮きが押さえられて体に沿うことがあるので、2つボタン以上のジャケットなら、下も留めた状態を横から見比べてください。
座る|座って5秒後の前身頃を見る
2つ目の姿勢は、座った状態です。面接、会議、式典の着席と、スーツを着る場面の多くは、座っている時間のほうが長くなります。
ボタンを留めたまま椅子に座り、背筋を伸ばして5秒待ちます。そのあと、胸のあたりの前身頃と体の隙間を見てください。座ると腰まわりが広がって前身頃が下から押し上げられるので、胸元が浮いて前に出てきます。
**この浮きが2cm未満なら、留めたまま座って大丈夫です。**2cm以上浮いて、襟が胸から離れて立ち上がるなら、座る直前にボタンを外してください。外すと前身頃が左右に分かれて体の横に落ち、胸元の浮きがなくなります。
目安の2cmは、指を1本、前身頃と胸のあいだに差し入れて、指の厚みより隙間が大きいかどうかで測れます。
ジャケットの丈で、座ったときの浮き方が変わる
座ったときに浮くかどうかは、ジャケットの丈に大きく左右されます。
腰骨の上あたりで終わる短めの丈は、座っても裾が座面に当たらないので、前身頃が押し上げられにくく、留めたまま座りやすい形です。ヒップの半分以上を覆う長めの丈は、座ると裾が座面に当たって押し上げられ、留めていると胸元が浮きやすくなります。
低いソファに座る日
応接室の低いソファに通される日は、椅子より深く腰が沈むので、膝が腰より高い位置に来ます。この姿勢では、前身頃がおなかのあたりで折れて、留めたままだと胸元が大きく浮きます。椅子で浮かなかった1着でも、低いソファでは浮くことが多いので、座る直前に外しておくと安心です。浅く腰かけて背筋を伸ばせば、外していても前身頃が左右に整って落ちます。
自分のジャケットの丈がどのあたりで止まっているかは、ジャケットの丈が中途半端に見えるの測り方でも確かめられます。長めの丈なら、座るときは外す前提で考えておくと迷いません。
お辞儀|30度まで曲げて、前の打ち合わせが割れないか
3つ目の姿勢が、お辞儀です。面接の入退室、式典の礼、商談のあいさつなど、スーツを着る日はお辞儀をする場面が必ずあります。
ボタンを留めたまま、鏡に横を向けて腰から30度ほど体を曲げてください。30度は、相手の胸元に目線が落ちるくらいの深さです。
このとき、前の打ち合わせが割れて、ボタンの下から中のブラウスやニットが三角にのぞくことがあります。とくに、基準のボタンだけを留めて下を開けているジャケットで起きやすくなります。
打ち合わせが割れるなら、お辞儀をする場面では下のボタンも留めておくほうが、前が乱れずに済みます。下のボタンを留めると立ったときにしわが出る1着なら、お辞儀の前に片手を軽くおなかに添えて、前身頃を押さえるようにしてください。
お辞儀のあと、元に戻るかどうか
もう1つ見ておきたいのは、体を起こしたあとに前身頃が元の位置に戻るかどうかです。生地にハリのあるジャケットは、起き上がればすっと元の形に戻ります。柔らかい生地のジャケットは、曲げたときの形がしばらく残り、ボタンのまわりに浅いしわが寄ったままになることがあります。
戻りにくい1着は、お辞儀のあとに両手で前身頃の裾を軽く下に引いて整える、と決めておくと落ち着いて見えます。
場面ごとの順番|いつ外して、いつ留め直すか
3つの姿勢で留め方が決まったら、実際の場面で「いつ外して、いつ留めるか」を順番として覚えておくと、本番で手が迷いません。
面接では、入室する前の廊下で留めます。ドアを開けて入室し、お辞儀をして名乗るまでは留めたままです。「どうぞおかけください」と言われてから、座る直前に外します(座っても浮かない1着なら、外さずに座ります)。終わって立ち上がったら、お辞儀の前に留め直します。
式典では、会場に入る前に留め、着席の直前に外すか、留めたまま座ります。名前を呼ばれて起立したり、登壇したりするときは、立ち上がりながら留めます。式典は写真に残ることが多いので、立っている場面ではできるだけ留めておくと、写真で前が整って見えます。
商談やあいさつでは、相手と顔を合わせる前に留め、名刺交換を終えて席に着くときに外します。テーブルを挟んで座っている時間が長いので、外したまま話して大丈夫です。帰り際に立ち上がったら、留めてからあいさつします。
どの場面でも共通しているのは、立って相手と向き合うときは留め、座っているあいだは外してもよいという順番です。
立場によって、見られ方が少しずつ違う
同じ式典でも、どの立場で出るかによって、ボタンがどれだけ見られるかが変わります。
就職活動の面接では、面接官は入室から着席までの動きをひとつながりで見ています。ここでは、留め外しのタイミングがそろっていることが、身だしなみが整っている印象につながります。座る直前に外し、立ったら留める。この順番を、どの面接でも同じように繰り返してください。
入学式や卒業式に保護者として出る日は、主役は子どもです。保護者席に座っている時間が長く、起立と着席を何度か繰り返します。毎回留め外しをしていると手元が忙しくなるので、座っても浮かない1着なら、最初から最後まで留めたままにしておくほうが落ち着きます。
仕事の式典や表彰式で、自分が名前を呼ばれて前に出る日は、立っている姿が会場中から見られます。前に出る前に席で留めておき、壇上や前に立っているあいだは、両手を体の前で軽く重ねて、前身頃が乱れないようにしてください。
秋冬は、中の一枚でボタンの答えが変わる
秋冬になると、ジャケットの中に薄手のニットを着る日が増えます。夏のあいだはブラウス1枚で留めてもしわが出なかったジャケットが、ニットを着ると急にボタンのまわりが引っ張られることがあります。
ニットの厚みは、指でつまんで確かめられます。つまんだ厚みが3mm未満の薄手なら、多くのジャケットはそのまま留められます。3mmを超えるニットは、身幅にゆとりのあるジャケットでないと、ボタンから引っ張られるしわが出やすくなります。
中の一枚を変えたときは、もう一度「立つ」の確かめ方をやり直してください。しわが出るなら、その組み合わせの日はボタンを開けて着るか、中を薄いものに替えます。ジャケットの中に着るものの選び方は、リクルートスーツの秋の面接はインナーと羽織りで決まるにもまとめています。
コートを上に重ねる日
冬の立ち上がりには、スーツのジャケットの上にコートを重ねます。このとき、ジャケットのボタンを留めたままコートを着ると、ジャケットの前身頃がコートの中で押されて、脱いだときにボタンのまわりに折りじわが残ることがあります。
移動が30分を超える日は、コートを着る前にジャケットのボタンを外しておき、コートを脱いでから留め直すほうが、ジャケットの形がきれいに残ります。
開けたまま着るほうが整うジャケットもある
ここまでは「留める前提」で見てきましたが、ジャケットの中には、開けたまま着るほうが形が整うものもあります。
ボタンが1つで返り止まりが低い位置にあり、前の打ち合わせが浅いジャケット。丈が短く、身幅にゆとりを持たせた箱型のジャケット。裏地のない柔らかい生地で、肩に芯の入っていないジャケット。こうした形は、前を開けて中の服を見せることを前提に作られていることがあります。
見分け方は、ボタンを留めたときと開けたときを横から見比べることです。留めると胸の下で前身頃が折れ曲がったり、裾が外に跳ねたりするなら、そのジャケットは開けて着るほうが向いています。
こうした1着は、面接や式典のようにきちんと留める場面より、オフィスでの普段の仕事や会食に回すと活きます。
開けて着る日は、中の服で縦の線をつくる
前を開けて着る日は、ジャケットの左右の前身頃のあいだに、中の服が縦長に見えます。この縦長の部分が、開けた姿の印象を決めます。
中の服がジャケットと近い色、または同じくらいの濃さだと、開けた前身頃と中の服がつながって、縦の線がまっすぐ下まで通って見えます。反対に、ジャケットが紺で中が白のように差が大きいと、真ん中の白が目に入りやすく、前が開いていることが強く感じられます。
中の服の裾も見ておきます。開けて着る日は、中の服の裾がジャケットの前から見えるので、ボトムに入れるか、ジャケットの裾より短い位置で止まるものにしてください。ジャケットの裾より中の服が長く出ていると、前を開けた姿が締まりません。
秋冬に中にニットを着る日は、ニットの裾にリブがあると、腰のあたりでもたついて見えることがあります。開けて着る日には、裾のリブが細いか、リブのない薄手のニットを選ぶと、前の縦の線がすっきりします。
どちらとも取れるとき|迷う1着の決め方
ここからが、いちばん迷うところです。3つの姿勢で確かめても、答えが一つに決まらない1着があります。よくある迷い方ごとに、決め方を置いておきます。
2つボタンで、下を留めると少しだけしわが出る
下のボタンを留めると、立ったときにうっすらしわが出るけれど、開けるとお辞儀で前が割れる。2つボタンでいちばん多い迷い方です。
この場合は、その日の場面で「立っている時間」と「お辞儀の回数」のどちらが多いかで決めてください。式典の受付や来客の出迎えのように、立ってお辞儀を繰り返す日は下も留めます。うっすらしたしわより、前が割れて中がのぞくほうが目につくからです。会議や研修のように、座っている時間が長い日は下を開けておきます。
座ると浮くかどうか、ちょうど境目にある
座って5秒待つと、前身頃の浮きが指1本ぶん、つまり2cm前後で、浮いているとも浮いていないとも言える1着もあります。
境目にあるときは、留めたまま座ってください。少し浮いていても、外したときの前の開きよりは落ち着いて見えます。ただし、座ったまま前かがみになって書類を書いたりパソコンを打ったりする時間が長い日は、浮きが大きくなるので外しておきます。
写真を撮る日
入学式や卒業式、会社の記念撮影のように、スーツ姿が写真に残る日があります。写真は立った状態で撮ることが多いので、基本は留めます。
座って撮る集合写真では、前列に座る場合、外すと前身頃が膝の上に広がって写ります。座っても浮かない1着なら留めたまま、浮く1着なら外して、前身頃の裾を両手で軽く整えてから写ってください。
体型が変わって、前より留めにくくなった
数年前に買ったスーツが、いまは留めると少しきついということもあります。立ったときに引っ張られるしわが出るなら、無理に留めずに開けて着る1着として使っても構いません。
開けて着るなら、中の服を前身頃と同じ色か近い色にすると、前が開いていても縦の線がつながって落ち着いて見えます。面接や式典で留めたい場面がある場合は、ボタンの位置を外側にずらすお直しで和らぐこともあるので、次の項を見てください。
妊娠中で、おなかが前に出てきた
妊娠中は、おなかの高さによって、留められるボタンが変わっていきます。返り止まりのボタンが胸の下にあって、おなかにかからない位置なら、そこだけ留めて下は開けておけます。おなかにかかる位置にしかボタンがないジャケットは、無理に留めずに開けて着てください。体に負担のない着方を優先して構いません。
留めると引っ張られるとき|直せる場所と直せない場所
留めるとしわが出る1着を、どうしても留めて着たいときは、お直しで和らげられる場合があります。
直しやすいのは、ボタンの位置です。ボタンを外側に5mmほどずらすと、前の重なりが浅くなって、引っ張られる力が少し弱まります。ボタン付けだけなので、お直しの中でも手軽な部類です。ただし、ずらせるのは前の重なりに余裕がある範囲までで、1cm以上動かすと前の合わせが浅くなりすぎて、座ったときに開きやすくなります。
直しにくいのは、身幅と肩です。身幅を出すには脇の縫い代に余裕が必要で、女性のジャケットは縫い代が少ないことが多く、出せても1cm前後にとどまります。肩まわりは構造が複雑で、直すとかえって形が崩れることがあります。
ボタンを5mmずらしてもしわが消えないなら、その1着はサイズが合っていないと考えて、開けて着る日に回すほうが長く使えます。
パンツスーツとスカートスーツで違うこと
同じジャケットでも、下がパンツかスカートかで、ボタンの見え方が少し変わります。
パンツスーツは、脚の線がまっすぐ下まで続くので、ジャケットの前を開けると縦の線が強調されて、すっきりと見えます。座っている時間が長い日や、動きの多い日は、開けて着ても整って見えやすい組み合わせです。
スカートスーツは、スカートの裾で横の線ができるので、ジャケットの前も留めて縦の重なりをまとめておくほうが、全体の釣り合いが取りやすくなります。とくにタイトスカートと合わせる日は、留めたほうがきちんとして見えます。
ジャケットの下にベストを着る日
スリーピースのように、ジャケットの下に同じ生地のベストを着る日は、ボタンの考え方が一段増えます。ベストのボタンは、基本的に全部留めて着ます。ベストが前の重なりをまとめてくれるので、ジャケットのほうは開けて着ても、だらしなく見えにくくなります。
ベストを着た日にジャケットも留めると、胸まわりの厚みが増して、ジャケットのボタンのまわりに引っ張られるしわが出やすくなります。立ってしわが出るなら、ジャケットは開けてベストを見せる着方にしてください。ベストの裾がジャケットの裾より上で止まっていれば、開けた姿でも腰まわりが整って見えます。
パンツスーツの裾と靴の合わせ方は、パンツスーツの秋冬の靴で裾の長さを決め直すにまとめています。
袖のボタンと飾りボタンは留めたままにする
最後に、前のボタン以外のボタンについても触れておきます。
袖口のボタンは、基本的に留めたままにします。袖口のボタンが本当に開くように作られたジャケットもありますが、開けて着ると袖口が広がって手元がだらしなく見えます。手を洗うときに袖をまくりたいなら、ボタンを外さずに袖ごと少し上に押し上げてください。
胸ポケットや肩の飾りボタン、ポケットのふたに付いたボタンは、形を作るためのものなので、触らなくて大丈夫です。取れかけていないかだけ、着る前の日に見ておいてください。ボタンが1つ取れていると、それだけで目が行きます。
ボタンそのものを見る|糸のゆるみと、取れかけのサイン
留め方を決める前に、ボタンそのものが傷んでいないかも見ておいてください。何年か着ているスーツは、よく留め外しする基準のボタンだけ、糸がゆるんでいることがあります。
見分け方は、ボタンを指でつまんで、前後に軽く揺らしてみることです。ボタンと生地のあいだに、糸を巻いた短い柱のような部分があります。この部分がぐらぐらして、ボタンが5mm以上前に倒れるなら、糸がゆるんでいます。そのまま留め外しを続けると、面接や式典の最中に取れることもあります。
ゆるんでいるのを見つけたら、本番の1週間前までに付け直してください。多くのジャケットは、裏地の内側や内ポケットの近くに、予備のボタンが縫い付けてあります。付け直すときは、ボタンと生地のあいだに、前の重なりの厚みぶん、2〜3mmの隙間を残して糸を巻くと、留めたときに生地が引きつれません。
当日の朝に取れてしまったときは、安全ピンで裏から留めておく方法もあります。ピンが表に出ないよう、裏地の側から刺して、ボタンを付けていた位置の生地と、反対側のボタン穴の位置を合わせます。開けて着るしかない場合は、残ったボタンも外して、全部開けて着るほうが左右の見た目がそろいます。
留め外しをきれいに見せる手の動き
面接や式典では、ボタンを留めたり外したりする手の動きそのものも、周りの目に入ります。下を向いて両手でもたもたとボタンを探していると、それだけで落ち着かない印象になります。
きれいに見せるコツは、片手で、目線を上げたまま、2秒で済ませることです。ボタンを留めるときは、ボタン穴のある側の前身頃を左手で軽く持ち、右手の親指と人差し指でボタンを穴に送り込みます。指先の感覚だけで留められるように、家で鏡を見ずに10回ほど練習しておくと、本番では手元を見ずに済みます。
座る直前に外すときは、椅子の横に立った時点で外し始め、腰を下ろすまでに終えるのが目安です。座ってから外そうとすると、前身頃が押し上げられていて、ボタン穴からボタンが抜けにくくなります。
冬に手袋をしたまま会場に着いた日は、手袋を外してからボタンに触れてください。手袋のままでは指先の感覚がなく、留め外しに時間がかかります。手袋は、コートを脱ぐときに一緒に外してバッグにしまっておくと、手元が空きます。
鏡がないときの確かめ方
当日の控室やお手洗いに、全身の映る鏡があるとは限りません。鏡がないときに、留めた状態が整っているかを確かめる方法も覚えておくと安心です。
1つは、手で触れて確かめる方法です。ボタンを留めたら、手のひらを基準のボタンの上に当てて、上下になでおろしてください。ボタンのまわりで生地が斜めに突っ張っている感触があれば、引っ張られるしわが出ています。なでおろしたときに生地が手に沿って平らなら、整っています。
もう1つは、スマートフォンのカメラを使う方法です。腕をのばして、胸元からおなかまでを正面から撮ると、前の重なりのずれやボタンのまわりのしわが確かめられます。窓ガラスや暗い画面に映すだけでも、前身頃が浮いているかどうかは分かります。
座ったときの浮きは、鏡がなくても自分で確かめられます。座って5秒待ったら、目線だけ下に落として、前身頃と胸のあいだに隙間が見えるかを見てください。自分の目で隙間が見えるなら、向かいに座る人からも見えています。
まとめ
女性のスーツのボタンは、数ではなく位置で決めます。襟の折り返しが止まる位置にあるボタンを基準に、立ったとき・座ったとき・お辞儀をしたときの前身頃を見てください。
立ってしわが出なければ留める、座って2cm以上浮くなら外す、お辞儀で前が割れるなら下も留める。この3つを一度家で確かめておけば、面接でも式典でも、手が迷うことはなくなります。秋冬に中の服を替えたときだけ、もう一度鏡の前に立ってみてください。
よくある問い
- Q. 女性のスーツは、ボタンを全部留めるのが正しいのですか
- 女性のジャケットには、男性のスーツのような「いちばん下は留めない」という決まりはありません。2つボタンでも、両方留めて形がきれいに出るように作られているものがあります。迷ったら、襟の折り返しが止まる位置にあるボタンを留め、その下のボタンは留めたときに横じわが出ないかで決めてください。
- Q. 面接で座るとき、ボタンは外したほうがいいですか
- 座って前身頃が浮かないなら、留めたままで大丈夫です。浮く場合や、ボタンの位置から横に引っ張られるしわが出る場合は、座る直前に外し、立ち上がったら留め直します。外すか迷う1着なら、留めたまま座るほうが面接の場では落ち着いて見えます。
- Q. ボタンを留めると、前がX字に引っ張られます
- 身幅か胸まわりにゆとりが足りないときに出るしわです。秋冬に中のニットが厚くなったときにも出ます。まず中の服を薄いものに替えて、しわが消えるかを見てください。消えればその1着はそのまま使えます。薄くしても消えない場合は、ボタンの位置を外側に5mm移すお直しで和らぐことがありますが、根本的にはサイズの問題なので、開けて着る1着として使うのも一つの方法です。
- Q. ダブルのジャケットは開けて着てもいいですか
- ダブルのジャケットは、前を開けると左右の打ち合わせが大きく垂れて、だらしなく見えやすい形です。基本は留めて着ます。座るときも、内側のボタンだけ外して外側は留めたままにすると、前の重なりが崩れません。
— メグラシ編集部





