スーツ 秋冬 女性|通年の生地で越すか、冬の生地を1着足すか

**あなたの通勤で外にいる時間が片道15分以内で、自分の席が冬でも22度以上あるなら、冬の生地のスーツは買わなくて大丈夫です。**通年の生地のまま、コートと中のニットで寒さを受けられます。外にいる時間が長い人、外回りが多い人、週に3日以上スーツを着る人は、冬の生地を1着足すと冬が楽になります。
秋になると、売り場には冬の生地のスーツが並びます。厚みがあって、起毛していて、いかにも暖かそう。けれど、手持ちの通年のスーツで冬を越せるなら、買わなくてもいい1着です。
迷う理由は、スーツの生地を「寒さ」で選ぼうとしているからです。スーツは、一日のうちいちばん長くいる場所の温度に合わせるもの。通勤の外の寒さは、コートで受ける。この順番に並べ替えると、自分に冬の生地が必要かどうかが、3つの数字で分かります。
仕事用のスーツを何着持つかはスーツの選び方 女性|仕事の1着は、着る日数と上下の組み方で決めるに、ジャケットの下に何を着るかはスーツのインナー 女性 秋冬に書いています。ここでは、生地の季節だけを扱います。
結論:外にいる時間と席の室温で、通年か冬かが分かれる
先に、判断の軸を並べておきます。
| 測るもの | 通年の生地で越せる | 判断が割れる | 冬の生地を足したい |
|---|---|---|---|
| 通勤で外にいる時間(片道) | 15分以内 | 15〜30分 | 30分以上、または外回りが多い |
| 自分の席の室温(冬の午後) | 22度以上 | 20〜22度 | 20度未満、または窓際・出入り口 |
| 週にスーツを着る日数 | 2日以内 | 3日 | 4日以上 |
3つのうち、2つ以上が左の列なら、通年の生地で冬を越せます。2つ以上が右の列なら、冬の生地を1着足すと楽になります。真ん中が混ざって割れるときの考え方は、後の「迷うとき」の章で詳しく書きます。
この表で答えを決めてしまうのではなく、自分がどこに当てはまるかを確かめるために使ってください。同じ数字でも、職場の空気や体の感じ方で、答えが変わることがあります。
3つの数字を、今日のうちに書き出す
この3つは、どれも今日のうちに書き出せる数字です。明日の朝の通勤で、外を歩いた分数を数える。職場に着いたら、席のまわりの温度を見るか、隣の人に冬の様子を聞く。手帳を開いて、先月スーツを着た日を数える。
書き出してみると、思っていたのと違う答えになることがよくあります。寒がりだと思っていたのに、外にいるのは片道10分だった。週に2日だと思っていたのに、実際は4日着ていた。冬の生地を買う前に、自分の数字を一度だけ確かめておくと、買わなくていい1着と、買ったほうがいい1着がはっきり分かれます。
手持ちの1着が通年か冬かを、光と指で確かめる
測る前に、手持ちのスーツが通年なのか冬寄りなのかを確かめておきます。表示の素材を見ても、「ウール」と書いてあるだけで、季節は分かりません。
確かめ方は2つです。
1つ目は光です。ジャケットの裾の端を1枚だけつまんで、窓の光か電灯にかざします。反対側から手のひらを当てて、影がうっすら見えるなら、通年か春夏寄りの生地です。まったく見えないなら、冬寄りの生地です。
2つ目は指です。表面を指先で軽くなでて、つるっとしているか、ふっくらしているかを見ます。つるっとして織り目が細かく、少し冷たく感じるのは、通年の生地です。毛足が指に触れて、少し温かく感じるのは、冬の生地です。
もう1つ、裏地を見ておくと判断が早くなります。ジャケットの裏地が背中の上半分だけ、あるいは袖だけに付いているものは、通年か春夏寄り。全面に裏地が付いているものは、通年か冬寄りです。裏地が全面に付いていて、生地が光を通さないなら、それはもう冬向きの1着です。
手持ちが冬寄りなら、この記事の答えは「すでに持っている」です。通年の1着だけの人が、次の測り方に進んでください。
測る1|通勤で外にいる時間
いちばん先に測るのは、通勤で外にいる時間です。家を出てから職場に入るまでではなく、外の空気に当たっている時間だけを数えます。
駅まで歩く時間、ホームで電車を待つ時間、乗り換えで外を歩く時間、駅から職場まで歩く時間。電車やバスの中は、冬は暖房が効いているので数えません。
片道15分以内なら、外の寒さはコートで十分に受けられます。中のスーツが通年の生地でも、15分なら体が冷えきる前に建物に入れます。
15〜30分は、判断が割れる長さです。コートが厚手で、首元にマフラーを巻くなら、通年の生地でも越せます。コートが薄手なら、ジャケットの下のニットを1段厚くするか、冬の生地を考えます。
30分以上、あるいは外回りで1日に何度も外に出る人は、冬の生地があると楽になります。コートを着たり脱いだりする回数が多いと、そのたびにスーツの生地の暖かさが効いてきます。
自転車や車で通勤する人は
自転車で通勤する人は、外にいる時間を1.5倍にして考えてください。風を正面から受けるので、同じ時間でも歩くより体が冷えます。片道15分の自転車なら、歩いて20分以上外にいるのと同じくらいの寒さになります。
車で通勤する人は、反対に、外にいる時間がほとんど数えられません。駐車場から建物までの数分だけです。この場合は、通勤の寒さはほぼ考えなくてよく、席の室温だけで判断して構いません。
自転車の人がもう1つ気をつけたいのは、生地の擦れです。冬の起毛した生地は、サドルとの擦れでお尻にてかりが出やすくなります。自転車の日は、通年の生地のパンツにして、上に厚手のコートを着るほうが、スーツ自体は長持ちします。
測る2|自分の席の室温
次に、自分の席の室温を測ります。職場全体の設定温度ではなく、自分の席のまわりの温度です。
測るのは、冬の午後2時ごろです。朝はまだ暖房が効ききっておらず、夕方は人が減って温度が下がります。いちばん人が多く、暖房が効いている時間に測ると、一日でいちばん長く過ごす温度が分かります。温度計がなければ、職場の誰かに「この辺り、冬は暑いですか、寒いですか」と聞くだけでも構いません。
22度以上なら、冬の生地のスーツは暑すぎることが多くなります。起毛した厚い生地を着て一日座っていると、午後には汗ばみます。通年の生地がちょうどいい温度です。
20〜22度は、どちらでも過ごせる温度です。通年の生地に薄手のニットを合わせても、冬の生地にブラウスを合わせても、快適に過ごせます。
20度未満、あるいは窓際や出入り口の近くで、足元が冷える席なら、冬の生地が向いています。特に、ジャケットを脱がずに一日過ごすことが多い人は、冬の生地の暖かさが効いてきます。
席が決まっていない職場では
席が日によって変わる職場では、いちばん寒い席を基準にしてください。窓際になる日もあれば、暖房の吹き出し口の近くになる日もある。この場合、暑い席ではジャケットを脱げば済みますが、寒い席ではそれ以上着るものがありません。
ただし、いちばん寒い席に座るのが月に数日だけなら、その日のために冬の生地を買う必要はありません。膝掛けを1枚、職場に置いておくだけで足ります。冬の生地を考えるのは、寒い席に座る日が週の半分を超えるときです。
測る3|週に何日スーツを着るか
3つ目は、週にスーツを着る日数です。これは暖かさではなく、1着にかかる負担の話です。
週2日以内なら、通年の1着を休ませながら着られます。冬の生地を足しても、着る日が少ないので、出番がなかなか回ってきません。
週3日は、1着ではきつくなりはじめる日数です。通年のスーツをもう1着足すか、冬の生地を1着足すか。どちらでも負担は減ります。冬の生地を選ぶと、季節で替える楽しみも生まれます。
週4日以上なら、少なくとも2着は必要です。このうち1着を冬の生地にすると、冬の間は冬の1着を中心に、春から秋は通年の1着を中心に回せます。1着あたりの着る日数が減るので、どちらも長持ちします。
ジャケットだけを着る日も数えるか
スーツの上下ではなく、ジャケットだけを別のパンツやスカートと合わせる日もあるはずです。この日も、ジャケットの負担としては1日に数えてください。ジャケットは上下のうち、先に傷むほうです。肘、袖口、背中の擦れが出てくるのは、たいていジャケットが先です。
反対に、パンツやスカートだけを別のトップスと合わせる日は、下の負担だけが増えます。冬の生地を1着足すときに、上下どちらから足すかは、この数え方で決まります。ジャケットを着る日が多いなら上から、下だけを着る日が多いなら下から。後の章で詳しく書きます。
測る4|ジャケットの下に入るニットの厚み
3つの数字で通年の生地に決まった人も、もう1つだけ確かめておくことがあります。手持ちのジャケットの下に、どのくらいの厚さのニットが入るかです。
確かめ方は、いちばん薄いニットを着て、その上からジャケットを羽織り、前のボタンを留めてから腕を前に伸ばすことです。肩と背中がつっぱらなければ、そのニットは入ります。
通年の生地で冬を越すなら、このニットが暖かさの要になります。細い糸で編まれた薄手のニットが入るなら、外の寒さはコートとニットで受けられます。どんなに薄いニットでも窮屈になるなら、ジャケットの下はブラウスに限られ、暖かさが足りない日が出てきます。
ニットの色と形も、このとき一緒に決めておきます。首元が詰まった形のニットは暖かい反面、ジャケットの襟と重なって首まわりが詰まって見えることがあります。ジャケットの襟が深く開いているなら詰まった形、浅く開いているなら少し開いた形。鏡の前で、ジャケットの襟の内側にニットの首元がきれいに収まるかを見てください。収まるニットが1枚見つかれば、通年の1着で冬を越す準備はほとんど終わりです。
この場合は、冬の生地を足すか、ジャケットを脱いでニットの上にコートを羽織る日を作るかのどちらかになります。ジャケットの下のニットが窮屈なときの考え方は、スーツのインナー 女性 秋冬|ジャケットの下のニットが窮屈なときで詳しく書いています。
冬の生地の顔つき:起毛・織り柄・艶のなさ
冬の生地を足すと決めた人のために、売り場で冬の生地を見分ける手がかりを書いておきます。
冬の生地は、大きく3つの顔つきに分かれます。
1つ目は、表面がふっくら起毛した生地です。手でなでると毛足がやわらかく、光が当たっても艶が出ません。いちばん暖かく、冬らしく見える生地です。
2つ目は、織り柄が見える生地です。細かいヘリンボーンや、目の詰まった斜めの織り目。近くで見ると柄があり、遠くから見ると無地に近く見えます。起毛ほど冬らしさが強くなく、春先まで着やすい生地です。
3つ目は、通年の生地を厚く織った生地です。表面はつるっとしていて、通年の生地とほとんど見分けがつきません。触ると重みがあり、光を通しません。見た目は通年で、暖かさは冬寄り。職場で季節感を出したくない人に向いています。
職場の空気が堅めなら、2つ目か3つ目を選んでください。起毛した生地は、色が濃くてもやわらかく見えるので、来客対応の多い職場では少しくだけて見えることがあります。
売り場で生地の季節を聞くときの言い方
売り場で生地の季節を確かめたいときは、「これは通年ですか、秋冬ですか」と聞くより、「暖房の効いた職場で一日着ても暑くないですか」と聞くほうが、自分に合った答えが返ってきます。季節の分類は売り場ごとに違いますが、職場の温度の話なら、店の人も具体的に答えられます。
あわせて、「この生地は春先までいけますか」と聞いておくと、その1着が何か月使えるかが分かります。起毛の強い生地は真冬だけ、織り柄の生地は春先まで、厚く織った通年寄りの生地は、ほぼ秋から春まで。着られる期間が長いほど、1着あたりの出番が増えます。
迷うとき① 外は寒いのに、職場は暑い
3つの数字の中で、いちばん多いのがこの組み合わせです。通勤で外にいる時間は30分以上あるのに、職場の席は冬でも暖房で暑い。
この場合、スーツの生地は職場に合わせて、通年を選んでください。一日のうち、外にいるのは1時間足らずで、職場には8時間以上います。長くいる場所で汗ばむスーツは、短い寒さをしのぐスーツよりも、ずっと困ります。
外の寒さは、コートと首元で受けます。コートは膝が隠れる丈の厚手のものを選び、首元にはマフラーかストールを巻きます。これだけで、通年の生地でも30分の外歩きに耐えられます。
もう1つ、ジャケットの下に着るものを、脱ぎ着しやすい薄手のカーディガンにする方法もあります。外ではジャケットの下にカーディガンを着て、職場に着いたらカーディガンを脱ぐ。ジャケットの下で着るものの量を変えれば、スーツの生地を変えなくても、温度の差に合わせられます。
ここで冬の生地を買ってしまうと、職場で暑いからといってジャケットを脱いで過ごすことになり、せっかくのスーツの出番が減ります。
コートの中が暑くなりやすい人は、電車の中でコートの前を開けるだけでも変わります。外を歩くときは前を閉め、電車に乗ったら開ける。職場に着くころには、体が汗ばまずに済みます。通年の生地は、この温度の行き来に強い生地です。迷ったら、職場の温度を優先してください。
コートを脱いだあと、ジャケットが冷たいとき
この組み合わせの人がよく感じるのが、職場に着いてコートを脱いだ瞬間の寒さです。外で冷えた通年の生地のジャケットが、しばらく冷たいまま体に触れる。この数分が嫌で、冬の生地を買いたくなる人もいます。
この寒さは、ジャケットの下のニット1枚でほとんど消えます。体に直接触れるのがブラウスではなくニットなら、ジャケットの冷たさが伝わりにくくなります。職場が暖まってきたらニットの上からジャケットを脱いで、ニットだけで過ごしても、きちんとした印象は残ります。
迷うとき② 外回りと内勤が半々
週の半分は外回り、残りは内勤という人も、判断が割れます。
この場合は、外回りの日と内勤の日で、スーツを替えるのがいちばん楽です。外回りの日は冬の生地、内勤の日は通年の生地。週4日以上スーツを着るなら、2着を持つ理由がそのまま季節の使い分けになります。
週3日以内なら、1着を足すかどうかは、外回りの時間で決めます。1日に外を歩く時間が合計1時間を超える日があるなら、冬の生地が1着あると、その日がずっと楽になります。1時間に満たないなら、通年の1着とコートで十分です。
たとえば、月曜と木曜が外回り、残りの3日が内勤という週なら、月曜と木曜に冬の生地を着て、ほかの日は通年の1着を着ます。冬の1着は週2日、通年の1着は週3日。どちらも続けて着る日がなくなるので、ブラシをかけて一晩休ませる時間が取れます。
外回りの日が週によって変わる人は、前の日の夕方に翌日の予定を見て決めてください。予定が読めない週は、通年の1着を中心にして、コートを厚手のものにしておくと、急な外出にも困りません。
外回りの日に冬の生地を着るときは、訪問先の室温も考えておきます。商談の部屋が暖房で暑いと、ジャケットを脱ぎたくなります。冬の生地のジャケットの下に、薄手のブラウスを着ておくと、脱いでもきちんと見えます。
迷うとき③ 式や面接にも使いたい
仕事の1着を、冬の式典や面接にも使いたいという人もいます。秋から冬は、転職の面接や、職場の式典、取引先の行事が重なる季節でもあります。
この場合は、通年の生地を選んでください。冬の生地は、起毛や織り柄の分だけ、きちんとした場では少しくだけて見えます。面接や式典では、無地でつるっとした通年の生地のほうが、相手に与える印象が整います。
そのうえで、寒さはコートと中のニットで受けます。面接では、建物に入る前にコートを脱いで手に持つので、ジャケットの下のニットが暖かさの頼りになります。ジャケットの下に入る薄手のニットを1枚用意しておくと、冬の面接でも寒さに耐えられます。
式典で使う場合も同じです。会場は暖房が効いていることが多いので、通年の生地で困ることはほとんどありません。式典の前後に外で待つ時間があるなら、コートを厚手のものにしてください。
面接の日は、待つ場所の温度も考える
冬の面接で意外に困るのが、待合室の温度です。暖房の効いた受付で長く待つこともあれば、廊下の椅子で冷えながら待つこともあります。どちらになるかは、行ってみるまで分かりません。
通年の生地のスーツに、ジャケットの下の薄手のニット。この組み合わせなら、暖かい部屋では汗ばまず、寒い廊下でも耐えられます。冬の生地のスーツは、暖かい待合室で長く待つと、面接の部屋に入るころには顔が火照ってしまうことがあります。相手の前で落ち着いて話すためにも、温度の幅に強い通年の生地が向いています。
迷うとき④ 寒がりで、職場の室温もそれほど高くない
3つの数字では通年の生地で越せるのに、自分は寒がりで、職場でも寒い。そういう人もいるはずです。
この場合は、数字よりも自分の感じ方を優先して構いません。ただ、先に冬の生地を買うのではなく、通年の1着を冬仕様にする方法を試してください。次の章に書く順番で、中のニット、タイツ、足元と足していき、それでも寒ければ冬の生地を足す。この順番なら、買わなくていい1着を買わずに済みます。
寒さの感じ方は、上半身と下半身で違うことも多いものです。上半身は暖かいのに、足元だけ冷えるなら、スーツの生地ではなく、タイツと靴下を替えるだけで解決します。パンツスーツなら、パンツの下に薄手の保温タイツを履くと、見た目を変えずに暖かさだけ足せます。
反対に、上半身だけが寒いと感じる人は、肩と背中を温めると変わります。ジャケットの下にジレを1枚足すか、背中の部分だけ厚みのあるインナーを着る。袖のないジレなら、ジャケットの袖が窮屈になることもありません。どこが寒いのかを一度確かめてから足すと、必要のない1着を買わずに済みます。
通年の1着を冬仕様にする順番
通年の生地で冬を越すと決めた人は、次の順番で暖かさを足していきます。
まず、ジャケットの下に入る薄手のニットを1枚用意します。首元が詰まった形か、少し開いた形かは、ジャケットの襟の開き方に合わせます。色はスーツと同じか、それより明るいものを選ぶと、首元が重くなりません。
次に、足元です。スカートスーツなら60デニール以上の透けないタイツ、パンツスーツなら薄手の保温タイツを下に履きます。足元が暖かいだけで、体全体の寒さの感じ方が変わります。
その次に、ジレか薄手のカーディガンです。ジャケットを脱いで過ごす時間が長い人は、ジャケットの代わりにジレを着ると、背中が暖かく、きちんとした印象も残せます。
最後に、コートと首元です。コートは、ジャケットの丈が収まる丈で、肩まわりに余裕があるもの。合わせ方はスーツに合うコート 女性|ジャケットの着丈と肩から秋冬の1着を選ぶにまとめています。
この4つを足しても寒いときに、はじめて冬の生地を考えてください。たいていの場合は、2つ目か3つ目で寒さが気にならなくなります。
冬の生地を1着足すなら、上下どちらから
冬の生地を足すと決めた人も、いきなり上下そろえて買う必要はありません。
上下を分けて考えると、寒さを感じるのは、たいてい下半身です。デスクに座っている時間が長いと、足元から冷えが上がってきます。冬の生地のパンツかスカートを1本足すだけで、ジャケットは通年のまま、冬の寒さに耐えられることがあります。
ただし、上下で生地が違うと、並べたときに差が出ます。通年のジャケットはつるっとしていて、冬の生地のパンツはふっくらしている。同じ濃紺でも、表面の違いで色が違って見えます。この差を目立たせないためには、上下で色をはっきり変えることです。濃紺のジャケットに濃い灰色の冬のパンツ、というように、明るさを1段ずらしてください。似た色で生地だけが違うと、上下をそろえ損ねたように見えます。
スカートスーツの人は、下から足すと楽になる
スカートスーツの人は、冬の生地を下から足すと、効果をいちばん感じます。スカートの裾から冷えが入るので、冬の生地のスカートに厚手のタイツを合わせるだけで、座っている間の寒さがかなり変わります。
冬の生地のスカートは、起毛の分だけ裾の広がりが大きく見えます。通年のスカートと同じ形でも、少しふくらんで見えることがあるので、試着のときに横から見て、裾が広がりすぎていないかを確かめてください。膝の位置からまっすぐ落ちる形なら、通年のジャケットと合わせても釣り合います。
スカートの丈の考え方はスカートスーツの選び方 女性にまとめています。
上下そろいで冬の生地を買うなら、手持ちの通年スーツと違う色を選ぶと、組み替えの幅が広がります。冬のジャケットに通年のパンツ、通年のジャケットに冬のパンツ。色が違えば、この組み替えも自然に見えます。
色は売り場で見たより半段暗く
冬の生地は、起毛や織り柄の分だけ、同じ色でも明るく見えます。売り場の照明の下で選んだ濃紺が、職場の蛍光灯の下では少し明るく、やわらかく見えることがあります。
迷ったら、売り場で見たときに「少し暗すぎるかな」と感じる色を選んでください。職場で着たときに、ちょうどいい落ち着きになります。
色の選び方で迷うなら、手持ちの通年スーツと並べて比べてください。通年の1着が濃紺なら、冬の1着は濃い灰色か、焦げ茶寄りの灰色。通年の1着が黒なら、冬の1着は濃紺か、濃い灰色。並べたときに、明るさがはっきり違うほうが、組み替えたときに使いやすくなります。
織り柄で迷うとき
冬の生地には、細かい織り柄が入ったものも多くあります。ヘリンボーンや細い縞、小さな格子。遠目には無地に見え、近くで見ると柄が分かる程度のものです。
職場で着るなら、2メートル離れて柄が見えなくなるものを選んでください。売り場で生地を手に取ったら、そのまま2、3歩下がって見てみます。柄が見えなくなれば、職場でも無地として扱えます。柄がはっきり見えるなら、来客の多い職場では少し主張が強くなります。
通年の1着が無地なら、冬の1着に細かい織り柄を選ぶと、組み替えたときに表情の差がつきます。上下を別々に着る日にも、無地と織り柄の組み合わせは自然に見えます。
冬の生地の手入れ:てかりと毛玉
冬の生地は、通年の生地と手入れの仕方が少し違います。
いちばん気をつけたいのは、てかりです。お尻や肘など、こすれる場所の起毛が寝て、光るようになります。てかりを防ぐには、着たあとにブラシで毛の流れを整え、同じ1着を2日続けて着ないことです。
毛玉も、起毛した生地に出やすくなります。鞄が当たる腰のあたり、腕が擦れる脇の下に出やすいので、気づいたら毛玉取りで軽く整えてください。強くこすると、かえって毛羽立ちが増えます。
クリーニングは、季節の終わりに1回で十分です。冬の間に何度も出すと、生地が傷みやすくなります。着たあとにブラシをかけ、風通しのいい場所で一晩休ませる。これを続けるだけで、冬の生地は何年も着られます。
通年の生地を冬に着るときの手入れ
通年の生地で冬を越す人も、冬の間は手入れを少し変えてください。冬は、コートの下で生地が擦れる時間が長くなります。とくに肩と背中は、コートの裏地との擦れで、春夏より早く艶が出てきます。
帰ってきたら、コートとジャケットを別々にかけて、ジャケットの肩と背中にブラシをかけます。暖房の効いた部屋は乾燥しているので、浴室の近くなど少し湿り気のある場所に一晩かけておくと、しわも戻りやすくなります。
春に戻すときの合図
冬の生地を1着足した人は、春に向けて通年の1着に戻す時期も決めておきます。
合図は、コートを脱いで通勤するようになった日です。コートなしで外を歩ける気温になると、冬の生地の起毛が日差しの下で目立ちはじめます。
戻すときは、明るい日の昼間の外出から、先に通年の1着に替えてください。日差しの下では、冬の生地の季節感がいちばんはっきり出ます。朝晩が冷える日の内勤は、もうしばらく冬の生地で構いません。
冬の1着をしまうときは、ブラシをかけてからクリーニングに出し、戻ってきたら袋から出して、通気のいいカバーに替えてかけておきます。次の秋に出したとき、毛足が寝ていなければ、そのまま着られます。
しまう前に、この冬の着方を振り返っておくのも役に立ちます。冬の1着を何日着たか。通年の1着だけで足りた週はあったか。次の秋に同じ迷いが出たとき、この記録がそのまま答えになります。
通年の1着と冬の1着。2着を季節で行き来できるようになると、スーツの寿命は延び、季節ごとの迷いもなくなります。
よくある問い
- Q. 通年のスーツだけで冬を越せますか
- 通勤で外にいる時間が片道15分以内で、自分の席の室温が22度以上あるなら、ほとんどの場合は越せます。寒さはコートと、ジャケットの下に着る薄手のニットで受けてください。外にいる時間が長い人や、外回りの多い人は、冬の生地を1着足したほうが楽になります。
- Q. 手持ちのスーツが通年用か冬用か、どうやって見分けますか
- 生地を1枚だけつまんで光にかざしてください。手のひらの影がうっすら透けるなら通年か春夏寄り、まったく透けないなら冬寄りです。表面を指でなでて、毛足が感じられるか、織り目が少しふっくらしているなら冬の生地です。表示の素材が同じウールでも、厚みと表面で季節が分かれます。
- Q. 冬のスーツを1着買うなら、何色がいいですか
- 手持ちの通年スーツと同じ色にしないことがいちばん大事です。通年が濃紺なら、冬の1着は濃い灰色にすると、組み替えたときに差がはっきり出ます。冬の生地は起毛しているぶん、同じ色でも明るく見えるので、売り場で見たときより半段暗い色を選ぶと、職場で落ち着いて見えます。
- Q. 冬の生地のスーツは、春先まで着られますか
- 朝晩が冷える時期なら着られます。日中の気温が上がって、コートを脱いで通勤するようになったら、通年の1着に戻す合図です。起毛した生地は日差しの下で季節がはっきり出るので、明るい日の昼間の外出から先に通年の1着に戻すと、切り替えが自然です。
— メグラシ編集部





