袖の形で袖丈が合わない|セットインは袖丈、肩が落ちる服は裄で測る

**袖丈の表示が同じでも、袖の形が違えば、腕に届く長さは変わります。**セットインスリーブの袖丈は肩の骨の上から、ドロップショルダーの袖丈は腕へ落ちた縫い目から測られているからです。だから、袖丈の数字どうしを比べても答えは出ません。
比べるのは**裄(ゆき)**です。首の後ろの出っ張った骨から、肩先を通って、手首の骨までを1本で測った長さです。服の側は「肩幅表示の半分+袖丈表示」で、ほぼ同じ長さが出ます。服の数字が自分の裄よりプラス1〜3cmなら手首の骨が隠れ、マイナスなら手首が出ます。
そのうえで、合わなくなりやすい形は体で分かれます。**肩幅が広い人はセットインで袖が足りなくなり、肩幅が狭い人と腕の短い人はドロップショルダーで袖が余ります。**ラグランは肩幅の影響を受けにくいので、どちらとも取れる人の逃げ道になります。ここから先は、自分の数字の測り方と、形ごとの読み替え方を順に書いていきます。
袖の形の名前そのものを見分けたいときは袖の種類と袖の形12種に、コートの下で腕がつかえる問題は袖の形の名前|コートの下で腕がつかえるときにまとめてあります。この記事は「長さが合わない」ことだけを扱います。
結論:袖丈ではなく、裄で比べる
秋冬に袖丈の失敗が増えるのは、長袖を買う回数が増えるからだけではありません。ニット、スウェット、厚手のシャツは、ドロップショルダーやラグランの割合が夏物より高く、袖丈表示の読み方が服ごとに変わるからです。
| 袖の形 | 袖丈を測り始める場所 | 服の裄の出し方 |
|---|---|---|
| セットインスリーブ | 肩の骨の真上の縫い目 | 肩幅÷2+袖丈 |
| ドロップショルダー | 腕に落ちた縫い目 | 肩幅÷2+袖丈(肩幅表示が大きい) |
| ラグランスリーブ | 首元か脇(売り場で違う) | 裄丈表示を見る。なければ身幅÷2+袖丈 |
| ドルマン・フレンチ | 縫い目がない | 裄丈表示を見る。なければ身幅÷2+袖丈 |
表の右の列で出した数字を、自分の裄と比べる。これがこの記事の答えのすべてです。以下は、その数字がずれる理由と、どちらとも取れるときの決め方です。
自分の裄を1回だけ測る
測るのは1回で足ります。服を薄手のTシャツ1枚にして、鏡の前に立ちます。
- 首を前に倒すと、首の付け根にいちばん出っ張る骨があります。そこがスタートです
- 腕を体の横から少し離し、指先を斜め下に向けて自然に下ろします。ひじは伸ばしたまま
- メジャーを首の骨から肩先の骨の角まで当て、そこから腕の外側に沿わせて、手首の外側の骨(小指側の出っ張り)まで測ります
1人で測りにくいときは、手持ちの長袖シャツで代わりにできます。袖口がちょうど手首の骨にかかる1枚を選び、平らに置いて、後ろ襟の中心から肩の縫い目、そこから袖口までを測ります。それがほぼ自分の裄です。
あわせて肩幅も測っておきます。左右の肩先の骨の角から角までを、背中側でまっすぐ測ります。この2つの数字があれば、セットインで足りるかどうかが買う前に分かります。
袖丈の数字が形によって変わる理由
袖丈は、肩の縫い目から袖口までの長さです。問題は、その縫い目がどこにあるかが袖の形で違うことです。
セットインスリーブは縫い目が肩の骨の真上にあるので、袖丈表示は「肩先から手首」の長さに近くなります。ドロップショルダーは、縫い目が肩先から腕の側へ落ちています。落ち方は服によって3cmほどの控えめなものから、15cmを超えるものまであります。落ちた分は身頃の側に入っているので、袖丈表示は短く書かれますが、そのぶん肩幅表示が大きくなっています。
つまり、ドロップショルダーで袖丈52cmと書かれたニットが、セットインで袖丈58cmのブラウスより長いということが普通に起きます。袖丈だけを見て「短いから買わない」と決めると、合う服を落としてしまいます。
セットインで袖が足りない人|肩幅が服より広い
セットインで袖が足りなくなる人の多くは、腕ではなく肩幅に原因があります。
服の肩幅が自分の肩幅より狭いと、肩の縫い目は肩の骨より内側、首寄りに入ります。袖はその内側の縫い目から始まるので、袖口が上に引き上げられ、手首が出ます。腕を前に出したときに肩の後ろが突っ張るのも同じ理由です。
見分け方は、鏡の前で両腕を前に伸ばすことです。手首の骨が2cm以上出て、背中の肩甲骨のあたりが引っ張られるなら、足りないのは袖丈ではなく肩幅です。この場合、ワンサイズ上げると肩は合いますが、身幅と着丈も大きくなります。秋冬のニットやスウェットなら、最初からドロップショルダーかラグランを選ぶほうが、全体の大きさを変えずに済みます。
自分の肩幅が服の肩幅表示より1cm以内の差なら、セットインのままで足ります。2cm以上自分の肩が広いなら、セットインは袖が足りなくなる側だと考えてください。
ドロップショルダーで袖が余る人|肩幅が狭いか、腕が短い
反対に、ドロップショルダーで袖が余るのは、肩幅が狭い人と、腕の短い人です。
ドロップショルダーは、肩幅の広い人と狭い人の差を、落ちる縫い目で吸収する形です。肩幅の狭い人が着ると、縫い目は想定より大きく腕の側に落ち、袖口は手の甲まで来ます。リブのあるニットならたぐって手首で止められますが、2枚重ねにする日にはたぐった分が腕に溜まって、上に着るコートの袖に入りにくくなります。
判断の目安は、服の裄(肩幅÷2+袖丈)と自分の裄の差です。
| 差 | 見え方 | 選び方 |
|---|---|---|
| マイナス | 手首が出る | 別の形かサイズを上げる |
| プラス0〜3cm | 手首の骨が隠れる | そのまま着る |
| プラス4〜6cm | 指の付け根まで来る | リブがあればたぐる。カフスなら詰める |
| プラス7cm以上 | 手が半分隠れる | この形は自分の裄に合っていない |
プラス4〜6cmを「ゆったり着る形だから」と選ぶのは、1枚で着る日だけなら成立します。重ねる日が多い人は、プラス3cmまでで止めてください。
ラグランは肩幅に左右されにくい
ラグランスリーブは、首元から脇へ斜めに縫い目が走る形です。肩先に縫い目がないので、肩幅が広くても狭くても、袖が首から始まって腕に沿って下りていきます。
そのため、セットインで足りなくなる肩幅の広い人と、ドロップショルダーで余る肩幅の狭い人の、どちらにも長さが合いやすい形です。ただし、袖丈表示がどこから測られているかは売り場によって違います。首元から測っているなら、その数字がほぼ裄です。脇から測っているなら、身幅の半分を足して比べます。サイズ表の図で、袖丈の矢印がどこから始まっているかを1回だけ確かめてください。
どちらとも取れるとき1|腕を上げると足りなくなる
立って腕を下ろした状態ではぴったりなのに、腕を前に出したり、つり革や棚に手を伸ばしたりすると手首が大きく出る。この場合、足りないのは袖丈ではなく、脇の下のゆとりです。
セットインの中でも、脇の縫い目が高い位置にある服(アームホールが浅い服)は、腕を上げたときに身頃ごと持ち上がり、袖口が下がりません。確かめ方は、試着室で両腕を肩の高さまで前に上げること。手首の骨から袖口までの差が、下ろしているときより3cm以上縮むなら、アームホールが浅い服です。
この場合は、裄が合っていても選び直します。同じセットインでも脇の縫い目が低い服か、ラグランを選んでください。ドロップショルダーは脇がゆったりしているので、腕を上げても袖口が動きにくい形です。
どちらとも取れるとき2|裄は合うのに、ひじが突っ張る
裄の数字は合っているのに、ひじを曲げると袖が引っ張られて、手首が出てくる。これは袖幅が細い服で起きます。
ひじを曲げると、腕の外側は伸びます。袖幅が細いと、伸びた分を布が補えず、袖口が上へ逃げます。秋冬にこれが目立つのは、下に長袖を1枚着ることで、袖の中の余裕が減るからです。
目安は、平置きで測った袖幅(脇の下の袖の幅)が、自分の二の腕のいちばん太いところの周囲の半分より、3cm以上大きいこと。これより細い袖は、1枚で着る日専用にして、重ねる日には使わないでください。
どちらとも取れるとき3|左右で長さが違う
腕の長さが左右で1〜2cm違う人は珍しくありません。利き腕の側がわずかに長い人が多く、片方だけ手首が出る、片方だけ余るということが起きます。
この場合は、長い側に合わせて選びます。短い側が1〜2cm余っても、リブやカフスの中で吸収されて、見た目にはほとんど分かりません。逆に短い側に合わせると、長い側の手首がいつも出たままになり、時計やブレスレットの当たり方まで左右で変わってしまいます。
測るときは、左右の裄を1回ずつ測っておきます。差が2cmを超えるなら、カフスのある服は長い側だけ袖を詰める直しも検討できます。
どちらとも取れるとき4|サイズ表に裄も肩幅もない
ネットの商品で、袖丈と身幅しか書いていないことがあります。この場合は、身幅の半分に袖丈を足すと、ドロップショルダーやラグランならほぼ服の裄に近い数字が出ます。セットインの場合は、身幅の半分から2〜4cmほど引いた値が肩幅の半分に近くなります。
ただ、この換算は誤差が大きいので、手持ちの服と比べるほうが確実です。家にある同じ形の服(ドロップショルダーならドロップショルダー)を平置きして、同じ場所を測り、商品の数字と並べます。手持ちが袖口ぴったりなら、その数字との差がそのまま、新しい服で手首から出る長さか、余る長さです。
秋冬の服で、形ごとの長さの決め方
秋冬は、1枚で着る服と、重ねて着る服で、合う長さが変わります。
ニットやスウェットのように1枚で着る服は、手首の骨が隠れて、親指の付け根に届かない長さ、つまり服の裄が自分の裄のプラス1〜3cm。リブがあれば、プラス5cmまではたぐって調整できます。
シャツやブラウスを中に着て、上にニットを重ねる日は、中の服の袖口がニットの袖口から1cmほどのぞくか、完全に隠れるかのどちらかにそろえます。中途半端に5mmだけ出ると、片方だけはみ出したように見えます。中の服のほうが裄が長いなら、袖口を1回折ってニットの袖口と重ねると、自然に収まります。
コートは、下に着る服の袖口が隠れる長さが条件です。手首の骨からプラス3〜4cm、親指の付け根に届く手前で止まると、下に何を着ても袖口がはみ出しません。コートの肩と下の服の肩の相性はコートとニットの袖付けの組み合わせで別に見ています。
なで肩・いかり肩で起きる、もう1つのずれ
肩の傾きでも、袖の長さの感じ方は変わります。
なで肩の人は、肩先が下がっているので、セットインの縫い目が肩先からずり落ちやすく、袖口も下がって長く感じます。ドロップショルダーはもともと落ちる形なので、なで肩の傾きと重なって、袖口はさらに長く出ます。なで肩の人は、裄の判定をプラス1cm厳しめにして、プラス0〜2cmを合う範囲にすると失敗が減ります。肩線の合わせ方はなで肩に似合う秋冬のコートにもまとめています。
いかり肩の人は逆で、肩先が高いぶん、セットインの袖口は上がって短く感じます。プラス2〜4cmを合う範囲にしてください。
売り場で、袖の形を先に見分ける
試着する前に、肩の縫い目を指でたどるだけで、どの読み方をするかが決まります。
縫い目が肩の骨の上で曲がっていればセットイン、腕の側に落ちていればドロップショルダー、首元から脇へ斜めに走っていればラグラン、縫い目がなく身頃から袖が続いていればドルマンかフレンチです。形が分かったら、その形の欄で服の裄を出し、自分の裄と比べてから試着室に入ります。
試着室では、腕を下ろしたときの袖口の位置、腕を前に上げたときの縮み、ひじを曲げたときの引っ張りの3つを見ます。数字で合っていても、この3つのどれかで手首が2cm以上出るなら、その服は自分の体に合っていません。
今日のうちにやること
- 手持ちの長袖で、袖口がちょうどいい1枚を選ぶ
- その1枚の肩の縫い目を見て、袖の形を確かめる
- 平置きして、肩幅の半分と袖丈を測り、足しておく。それが「ちょうどいい裄」
- 同じ形の服を次に買うときは、この数字とサイズ表の数字を比べる
別の形を買うときは、自分の体で測った裄を基準にします。手持ちの服の数字は同じ形にしか使えないので、形が変わるときは体の数字に戻ってください。
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よくある問い
- Q. 袖丈表示が同じなのに、服によって長さが違うのはなぜですか
- 袖丈を測り始める場所が、肩の縫い目だからです。セットインは縫い目が肩の骨の上にありますが、ドロップショルダーは縫い目が腕の側へ数cmから10cm以上落ちています。落ちた分だけ袖丈表示は短く書かれますが、腕に届く長さは変わりません。比べるときは、肩幅表示の半分に袖丈表示を足した数字で比べてください。
- Q. 裄丈の表示がない服は、どうやって判断すればいいですか
- 肩幅と袖丈が書いてあれば、肩幅の半分と袖丈を足すと、首の後ろの中心から袖口までの長さにほぼなります。ラグランやドルマンで肩幅がない場合は、身幅の半分に袖丈を足すと近い数字が出ます。この数字と、自分の裄を比べます。差がプラス1〜3cmなら手首の骨が隠れる長さです。
- Q. 腕が長くて、どの服も袖が足りません。どの形を選べばいいですか
- 肩幅が普通かそれより狭い人なら、ドロップショルダーかラグランを選ぶと足りることが多くなります。肩幅の広い人は、肩の縫い目が肩の骨より内側に入ってしまうセットインが、いちばん足りなくなる形です。袖口にリブがあるニットは、たぐって手首で止めれば2cmほどの不足は目立ちません。
- Q. 袖が長すぎるとき、丈直しに出したほうがいいですか
- シャツやブラウスのように袖口にカフスがある服は、直しで詰めると形がきれいに残ります。ニットはリブを切ると編み目がほどけるので、直しより、たぐって着る前提で選ぶほうが向いています。余りが4cmを超えるなら、その形自体が自分の裄に合っていないと考えて、次は別の袖の形を選んでください。
— メグラシ編集部





