コートに入るニットは、袖付けの名前で決まる|ラグランとドロップの相性

**手持ちのコートの、肩の縫い目はどこを通っていますか。**肩の先、斜めに襟ぐりから脇へ、それとも肩より下。その答えで、中に着られるニットが決まります。
コートを羽織ると脇がもたつく、腕を前に出すと肩が突っ張る。ニットもコートも単体では気に入っているのに、重ねたときだけ合わない。このずれの多くは、ニットとコートの袖付けの組み合わせから起きています。袖付けには、セットイン、ラグラン、ドロップショルダーといった名前があります。名前が分かれば、組み合わせの相性もほぼ決まります。
袖の形そのものの見分け方は袖の種類と袖の形12種に、肩幅から袖付けを選ぶ話は肩幅は測ってから選ぶに分けてあります。この記事は、コートとニットを重ねる日の話です。
結論:ニットの肩の縫い目が、コートより外に出なければ入る
| コートの袖付け | 入るニット | 見る場所 |
|---|---|---|
| セットイン | セットイン、ラグラン | ニットの袖幅 |
| ラグラン | ほぼすべて | 袖幅と厚み |
| ドロップショルダー | セットイン、ラグラン、下がり幅の小さいドロップ | 肩の縫い目の下がり幅 |
**ルールはひとつです。ニットの肩の縫い目が、コートの肩の縫い目より外側に出なければ入ります。**外側に出ると、ニットの袖の付け根がコートの袖の中に入り込み、脇の下に布が寄ります。これが、もたつきと突っ張りの正体です。
3秒で見分ける|肩の縫い目がどこを通っているか
袖付けの名前は、タグに書いていないことがほとんどです。縫い目を見て判断してください。
- セットイン……肩の先、腕の付け根の真上に縫い目がある
- ラグラン……襟ぐりから脇の下へ、斜めに縫い目が走る。肩の上に縫い目がない
- ドロップショルダー……肩の先より腕のほうへ、縫い目が下がっている
- ドルマン……縫い目がなく、身頃と袖がひと続き。脇の下が深い
ドロップショルダーのときは、もう一つ測ってください。**肩の先から縫い目まで、何cm下がっているか。**平置きにして、首の付け根から肩の縫い目までの長さを、セットインの服と比べると分かりやすくなります。この下がり幅が、組み合わせを決めるときの数字になります。
コートがセットインのとき|いちばん条件が厳しい
セットインのコートは、肩の先で袖が付いているぶん、腕の付け根まわり(袖ぐり)が細めにできています。中に入れられるものの幅がいちばん狭い袖付けです。
中に着るなら、セットインかラグランのニットにしてください。セットイン同士なら縫い目の位置がそろい、ラグランのニットは肩に縫い目がないぶん、コートの袖ぐりに沿って収まります。
ドロップショルダーのニットは、この組み合わせでいちばん入りにくい形です。下がった縫い目と太めの袖の付け根が、コートの細い袖ぐりに押し込まれます。脇の下に指1本分以上の布のだまができたら、その組み合わせは合っていません。
セットインのコートは、仕事の日に着る形として持っている人が多い袖付けです。通勤で着る日が多いなら、このコートに入るニットを先に2〜3枚決めておくと、平日の朝はそこから選ぶだけで済みます。休日のコートがラグランやドロップショルダーなら、残りのニットはそちらに回してください。
コートがラグランのとき|いちばん受け入れが広い
ラグランのコートは、肩に縫い目がなく、襟ぐりから脇へ斜めに縫い目が通ります。肩と脇にゆとりがあるので、中に着られるニットの幅がいちばん広い袖付けです。
セットイン、ラグラン、ドロップショルダー、どれも入ります。ドルマンのニットでも、脇の深さがコートと近ければ入ることがあります。
ここで見るのは、袖付けよりも袖の太さと厚みです。ラグランのコートは肩が丸く見えやすいので、中に厚手のニットを入れると、肩まわりがさらに丸くふくらみます。肩のラインを残したい日は、ハイゲージの薄手を選ぶと、ラグランのやわらかさだけが残ります。
コートがドロップショルダーのとき|下がり幅を比べる
ドロップショルダーのコートは、肩の縫い目が腕のほうへ下がっています。セットインとラグランのニットは、問題なく入ります。
迷うのは、ドロップショルダー同士の組み合わせです。**ニットの下がり幅が、コートの下がり幅と同じか、それより小さければ入ります。**ニットのほうが大きく下がっていると、ニットの縫い目がコートの縫い目の外に出て、腕の途中に布が寄ります。
たとえばコートが肩先から5cm下がっているなら、ニットは5cm以内。コートが8cmなら、ニットは8cm以内。平置きで両方を測っておくと、店でも手持ちでも同じ判断ができます。
袖の太さ|平置きで3cmの差があるか
袖付けが合っていても、袖が太すぎれば腕を曲げたときに中でだまになります。袖付けの次に見るのが袖幅です。
ニットとコートを平置きにして、脇の下から5cmほど下の位置で、袖の幅を測ってください。
- ニットがハイゲージの薄手なら、コートより3cm以上細い
- ニットがミドルゲージなら、コートより4cm以上細い
- ニットがローゲージの厚手なら、コートより5cm以上細い
この差がないと、腕を曲げたときに肘の内側でニットの袖が折れ重なり、コートの袖が引っ張られます。電車でつり革を持つ、鞄を肩に掛け直す、といった動作のたびに気になります。
厚みで変わること|同じ袖付けでも、ゲージで入り方が違う
同じセットイン同士でも、ニットの厚みで入り方は変わります。**ハイゲージの薄手なら、袖付けが少し合わなくても入ることがあります。**布が薄いぶん、脇に寄っても目立たないからです。
逆に、ローゲージの厚手は、袖付けが合っていても入らないことがあります。セットインのコートにローゲージのセットインのニットを入れると、袖ぐりの中で編み目の厚みが重なり、腕が上がりにくくなります。**厚手のニットを中に着たい季節は、ラグランかドロップショルダーのコートのほうが収まります。**編み地の名前と厚みの関係はニットの編み地の名前の違いで詳しく扱っています。
どちらとも取れるとき①|ニットがドロップで、コートがセットイン
いちばん相談の多い組み合わせです。好きなニットがドロップショルダーで、手持ちのコートがセットイン。
**ニットの下がり幅が3cm以内の薄手なら、そのまま入ることがあります。**コートを着たまま腕を前に伸ばして、脇が突っ張らなければ着て構いません。
下がり幅が3cmを超えるなら、コートの前を開けて、羽織るように着てください。前が開くと、脇の圧迫がやわらぎます。それでも突っ張るなら、その日はニットを外に出して、ラグランかドロップショルダーの上着に替えるほうが楽です。1着のコートにすべてのニットを入れようとしないことが、朝の迷いを減らします。
どちらとも取れるとき②|袖と身頃がひと続きのニット
ドルマンのように、縫い目がなく身頃と袖がひと続きになったニットは、脇の下が深く、袖の付け根に布が多くあります。セットインのコートにはほとんど入りません。
入るとすれば、ラグランのコートか、肩の下がり幅が大きいドロップショルダーのコートです。それでも脇が寄るときは、ケープやポンチョのように袖のない羽織りを合わせてください。袖のない羽織りなら、ニットの袖の付け根を押し込むことがありません。
どちらとも取れるとき③|ジャケットの中に着る日
仕事でジャケットを着る日は、コートよりさらに条件が厳しくなります。ジャケットはほとんどがセットインで、袖ぐりもコートより細めにできているからです。
ジャケットの中に着るニットは、セットインかラグランのハイゲージに絞ってください。ドロップショルダーのニットは、下がり幅が小さくてもジャケットの袖ぐりでは寄りやすくなります。ジャケットの肩の見方はオフィスカジュアルのジャケットにまとめてあります。
鏡の前で1分|手持ちの1組を確かめる
表と数字で見当がついたら、最後は実際に重ねて確かめます。1組につき1分で済みます。
- ニットを着て、コートを羽織り、前を留める
- 両腕をまっすぐ前に伸ばす。背中と脇が突っ張るかを見る
- 片腕を曲げて、手を反対側の肩に置く。肘の内側に布がだまになるかを見る
- コートを脱いで、ニットの袖が肘の上までずり上がっていないかを見る
**2で突っ張るなら袖付けが、3でだまになるなら袖幅が合っていません。**4でニットの袖がずり上がるのは、コートの裏地とニットの表面がこすれ合っているためで、袖付けが合っていても起きます。この場合は、ニットの袖口を一度引き下ろしてからコートを着ると収まります。
入った組み合わせと入らなかった組み合わせを、コートごとに書き出しておくと、朝に選ぶ時間が短くなります。
店で見るとき|タグより縫い目
ニットを買うときは、手持ちのコートの袖付けを先に確かめてから店に行ってください。スマートフォンでコートの肩の写真を1枚撮っておくと、店で縫い目を見比べられます。
店では、ニットの肩の縫い目を見て、袖付けを判断します。**コートがセットインなら、ドロップショルダーのニットは試着室でコートを羽織ってから決める。**羽織る上着が手元にないときは、店の上着を借りて腕を前に伸ばしてみてください。単体で試着したときには分からない脇のもたつきが、そこで分かります。
秋から冬へ|組み合わせが変わる順番
10月から11月は、薄手のコートにハイゲージのニットを合わせる季節です。この時期は、袖付けが少し合わなくても、厚みが薄いぶん入ることが多くなります。
12月に入ると、厚手のコートにミドルゲージやローゲージのニットを合わせる日が増えます。**ここで袖付けの相性が表に出ます。**秋のうちに、手持ちのニットとコートを1組ずつ重ねて、腕を前に伸ばしてみてください。入らない組み合わせが分かれば、冬の朝に迷う回数が減ります。気温ごとのコートの切り替えはコートは何度から?が目安になります。
よくある行き違い
**「コートが小さいから、ニットが入らない」。**サイズではなく、袖付けの組み合わせが合っていないことのほうが多くあります。同じサイズのコートでも、袖付けが違えば入るニットが変わります。
**「ドロップショルダーはゆったりしているから、何にでも合う」。**単体ではゆったりしていても、コートの中では袖の付け根が邪魔になります。ゆったりしている場所が、ちょうどコートの袖ぐりに重なるからです。
**「袖付けの名前を覚えないといけない」。**覚えなくて構いません。肩の縫い目がどこを通っているかを、ニットとコートで比べるだけで答えは出ます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. コートを着ると脇がもたつくのは、なぜですか
- ニットの肩の縫い目が、コートの肩の縫い目より外側に出ていることが多いです。肩の落ちたニットをコートの中に着ると、ニットの袖の付け根がコートの袖の中に入り込み、脇の下に布が寄ります。ニットとコートを並べて、肩の縫い目がそれぞれ肩先から何cmの位置にあるかを比べてください。ニットのほうが外に出ているなら、その組み合わせは脇がもたつきます。
- Q. ラグランのコートなら、どんなニットでも入りますか
- ほとんどのニットが入ります。ラグランは肩に縫い目がなく、襟ぐりから脇へ斜めに縫い目が通るので、肩と脇にゆとりが生まれます。ただし、袖の太さは別に見てください。平置きでニットの袖幅がコートの袖幅より3cm以上細ければ、腕を曲げても袖の中でだまになりません。厚手のニットなら、差は4cm以上あると安心です。
- Q. 袖付けの名前が、タグに書いていません
- 縫い目を見れば3秒で分かります。肩の先に縫い目があればセットイン。襟ぐりから脇の下へ斜めに縫い目が走っていればラグラン。肩の先より腕のほうへ縫い目が下がっていればドロップショルダー。縫い目がなく身頃と袖がひと続きならドルマンです。店でも手持ちでも、タグより先に肩の縫い目を見てください。
- Q. 好きなニットがドロップショルダーで、コートはセットインです
- 組み合わせとしては入りにくい側です。それでも着るなら、3つの方法があります。ニットの下がり幅が3cm以内の薄手なら、そのまま入ることがあります。それ以上なら、コートの前を開けて羽織るように着ると、脇の圧迫がやわらぎます。寒さが強い日は、ニットを外に出してコートを替えるほうが楽です。どれを選ぶかは、コートを着たまま腕を前に伸ばして、脇が突っ張るかで決めてください。
— メグラシ編集部





