袖の名前|秋冬はコートの袖に通るかどうかで形を選ぶ

**いま迷っているその袖は、手持ちのコートの袖に、無理なく入りますか。**秋冬に袖の形を選ぶとき、決め手になるのはそれだけです。
あなたが袖の名前を調べているのが、ふくらんだ袖のニットやブラウスを秋冬に着たいからなら、答えはこうです。中に着る服の袖の一番太い所を平置きで測り、コートの袖の同じ高さの内側より1.5cm以上細ければ、上着の下に収まります。そして、中の服の付け根がコートの付け根より3cm以上下がっていると、脇でもたつきます。
袖の名前は、付け根の位置と、一番太い場所の2点で覚えると迷いません。この記事では、その2点を自分で測る方法と、名前ごとの上着の下での収まり方、どちらとも取れるときの決め方を順に書きます。
首まわりの名前はネックラインの名前|秋冬は下に重ねる1枚がのぞく深さで選ぶ、全身の輪郭の名前は服のシルエットの名前|秋冬はコートを着た全身の輪郭で見分けるにまとめています。
結論:袖の名前は「付け根」と「一番太い場所」の2点で覚える
袖の名前はたくさんありますが、ほとんどは2つの言葉の組み合わせです。
1つ目は、袖がどこで身ごろにつながっているか、つまり付け根の位置です。肩先で縫ってあるか、首から斜めに入っているか、肩より下に落ちているか、身ごろと一続きか。
2つ目は、袖のどこが一番太いかです。腕に沿ってまっすぐか、二の腕のあたりでふくらむか、ひじから下でふくらむか、袖口で広がるか。
| 見る場所 | 名前の例 | コートの下での収まり |
|---|---|---|
| 付け根が肩先 | セットインスリーブ | どの上着とも合わせやすい |
| 付け根が首から斜め | ラグランスリーブ | 肩で引っかからず通しやすい |
| 付け根が肩より下 | ドロップショルダー | 脇で余りやすい |
| 身ごろと一続き | フレンチスリーブ、ドルマンスリーブ | 脇の布が多いと上着の中でたまる |
| 二の腕〜ひじがふくらむ | パフスリーブ、バルーンスリーブ | ふくらみの大きさ次第 |
| 袖口が広がる | ベルスリーブ | 上着の袖口から出るかで決まる |
表は名前と収まり方の対応を見るためのものです。実際に手持ちのコートに通るかどうかは、次の章の測り方で確かめてください。同じ名前の袖でも、ふくらみの大きさや生地の厚みで、通るものと通らないものがあります。
測り方:平置きで袖幅を2か所、コートと並べて比べる
用意するのはメジャーか定規だけです。
- 中に着たい服を、平らな机かベッドの上に置く。袖を体の横にまっすぐ伸ばす
- 袖の一番太い所の幅を、袖の上の折り目から下の折り目まで測る
- その位置が、肩の縫い目(ラグランなら首の付け根)から何cm下かを測る
- コートも同じように平置きし、肩から同じ距離の位置で、袖の幅を測る
- コートの幅から、中の服の幅を引く
引いた差が1.5cm以上あれば、上着の下に収まります。差が0.5〜1.5cmなら、生地の薄さとやわらかさ次第です。差が0.5cmより小さいか、中の服のほうが太いなら、そのコートの下には向きません。
平置きの幅は、袖の周りの長さのちょうど半分です。差が1.5cmということは、周りの長さで3cmのゆとりがあるということです。これだけあれば、中の袖が上から押されても、つぶれずに収まります。
もう1つ測るのは、付け根の位置の差です。中の服とコートの、肩の縫い目の位置を比べます。肩先の骨から、縫い目が何cm下にあるかを、それぞれ測ってください。中の服の縫い目がコートより3cm以上下がっていると、中の服の脇の布が上着の脇にたまります。
コート側は、裏地の内側で測る
コートの袖幅を測るときは、表から測った数字ではなく、内側の幅を意識してください。厚手のウールや中綿の入ったコートは、生地そのものに厚みがあるので、表から測った幅より内側の空間は小さくなります。目安として、生地を指でつまんだ厚みの分だけ、表から測った幅から引いて考えます。たとえば、つまんだ厚みが5mmなら、内側の幅は表の幅より0.5cmほど狭いと考えると、実際の収まりに近くなります。
また、コートの袖は、肩から手首に向かって少しずつ細くなっています。中の服の一番太い所がひじより上にあるか下にあるかで、比べるコートの位置も変わります。ひじより上なら比較的ゆとりのある場所なので通りやすく、ひじより下なら細くなる場所なので通りにくいと覚えておくと、測る前からおおよその見当がつきます。
測るのが面倒なときは、中の服をコートの上に重ねて置くだけでもわかります。肩をそろえて重ね、中の服の袖がコートの袖の輪郭からはみ出していないかを見てください。はみ出していたら通りません。
付け根が肩先にある袖:セットインスリーブ
肩の骨の真上あたりで、袖と身ごろがぐるりと縫い合わされている袖です。ジャケット、シャツ、ブラウス、きれいめのニットの多くがこの形です。
セットインスリーブは、袖が腕の付け根にぴったり沿うので、上に何を重ねても脇がもたつきにくい袖です。秋冬に中に着る服としては、いちばん扱いやすい形と言えます。コートの多くもセットインなので、付け根の位置がそろい、重ねたときに肩の線がきれいに出ます。
ただし、セットインスリーブでも、袖のふくらみが大きいものがあります。肩先でギャザーを寄せて山を高くしたもの、ひじのあたりでふくらませたもの。付け根がセットインでも、太い場所の大きさは別に測ってください。
見分けるときは、肩の骨の真上を指で押さえて、その近くに縫い目があるかを確かめます。縫い目が肩の骨から2cm以内にあれば、セットインと考えてよいです。
セットイン同士を重ねるときに気をつけたいのは、肩幅の違いです。中の服の肩幅がコートより広いと、中の服の縫い目がコートの縫い目より外に出て、ドロップショルダーと同じように脇で布が余ります。中の服とコートの肩幅を平置きで比べて、中の服のほうが狭いか同じなら、きれいに収まります。肩パッドの入ったジャケットを中に着る場合は、パッドの厚みの分だけコートの肩が持ち上がるので、パッドの無い中の服に替えるか、肩に少しゆとりのあるコートを選んでください。
付け根が首から斜めに入る袖:ラグランスリーブ
首のまわりから脇の下に向かって、斜めに縫い目が走っている袖です。肩の上に縫い目がありません。スウェットや厚手のニット、スポーティな上着によく使われます。
ラグランスリーブのよいところは、肩に縫い目が無いぶん、どんな肩の上着の下にも収まりやすいことです。肩先に段差ができないので、上からコートを着ても、肩のところで引っかかる感じがありません。腕を前に出したり上げたりする動きも楽です。
秋冬に、厚手のニットをコートの下に着たいなら、ラグランスリーブのものを選ぶと失敗が少なくなります。肩が角ばったコートの下でも、なで肩のコートの下でも、肩の形に合わせて布が逃げてくれます。
注意したいのは、ラグランスリーブでも脇の下の布が多いものです。脇の縫い目を指でつまんで、身ごろと袖の境目に布のたるみが大きいなら、コートの脇でたまることがあります。目安は、脇の下で指でつまめる布の幅が3cmを超えるかどうかです。
ラグランスリーブのコートを選ぶと、中に着る服の付け根の形をほとんど選ばなくなります。肩の上に縫い目が無いぶん、中の服がセットインでもドロップショルダーでも、肩の布がコートの中で逃げ場を持てるからです。手持ちのニットにドロップショルダーやふくらむ袖が多い方は、上着の1着をラグランスリーブにしておくと、秋冬の組み合わせがぐっと増えます。
付け根が肩より下に落ちる袖:ドロップショルダー
肩先より下、二の腕の途中で、袖と身ごろが縫い合わされている袖です。肩の線が落ちて見え、ゆったりした印象になります。秋冬のニットやスウェット、シャツに多い形です。
ドロップショルダーは、コートの下に着るときにいちばん気をつけたい袖です。付け根が下がっているぶん、肩から脇にかけての布がセットインより多く、上着の脇でその布が余ります。コートを着ると、脇の下がふくらんで腕が下ろしにくくなったり、上着の肩の線が中の服に押されて崩れたりします。
境目になるのは、先に書いた付け根の差3cmです。肩先の骨から中の服の縫い目までの長さと、コートの縫い目までの長さを比べて、差が3cm以内なら収まります。それを超えるなら、中の服ではなく上着の型を替えるほうが早いです。上着もドロップショルダーにするか、ケープ型や袖の広いコートにすれば、付け根の位置がそろいます。
ドロップショルダーのニットを、身幅の細いセットインのコートの下に着たいときは、ニットの肩をいったん内側に寄せてから、コートに袖を通すと、少しだけもたつきが減ります。ただし脱ぐたびに直すことになるので、毎日の組み合わせには向きません。
肩と袖が一続きの袖:フレンチスリーブとドルマンスリーブ
身ごろと袖を同じ布から裁ち出して、肩に縫い目が無い袖です。袖が短いものをフレンチスリーブ、脇の下が深く、袖口に向かって細くなるものをドルマンスリーブと呼びます。
フレンチスリーブは秋冬の中に着る服としては短めですが、ニットのベストやカーディガンの下に着るブラウスに使われることがあります。袖が短く布が少ないので、コートの下でじゃまになることはほとんどありません。
ドルマンスリーブは、脇の下に布がたっぷりある袖です。腕を下ろすと、脇から袖口にかけて、こうもりの羽のように布が垂れます。この布が、コートの袖の中でいちばんたまりやすい部分です。
ドルマンスリーブを上着の下に着るときは、脇の深さを見てください。脇の一番低い所が、自分の脇の下から何cm下にあるかを、着た状態で測ります。10cm以内ならたいていのコートの下に収まり、それより深いと、コートの中で布が束になります。深いドルマンは、ケープやポンチョのような袖の無い羽織り、または袖の広い上着と合わせてください。
途中でふくらむ袖:パフ、バルーン、ビショップ
袖の途中にふくらみがある袖です。ふくらむ場所によって名前が変わります。
- 肩先から二の腕の上のほうがふくらむのが、パフスリーブ
- 二の腕からひじにかけて、風船のように丸くふくらむのが、バルーンスリーブ
- ひじから袖口にかけてふくらみ、袖口で締まるのが、ビショップスリーブ
この3つは、秋冬のコートの下にもっとも入れにくい袖です。どれも、一番太い場所がコートの袖のどこに当たるかで、収まり方が変わります。
パフスリーブは、ふくらみが肩先にあるので、コートの肩の内側に当たります。コートの肩に少しゆとりがあれば収まりますが、肩幅がぴったりのコートだと、ふくらみがつぶれて肩が持ち上がって見えます。
バルーンスリーブは、二の腕からひじに一番太い場所があります。コートの袖も、この高さは比較的ゆとりがあるので、測ってみると意外と収まることがあります。差1.5cmの目安で確かめてください。
ひじから下がふくらむ袖では、一番太い場所がひじより下に来ます。コートの袖は手首に向かって細くなるので、ここがいちばん入りにくい位置です。袖口が締まっているぶん、コートの袖口からはみ出すことは少ないですが、腕の下半分がぱんぱんに詰まった感じになります。
ふくらむ袖は、生地の厚さでも収まり方が大きく変わります。薄いブラウスのふくらみは、上から押されてもつぶれてすぐに戻ります。厚手のニットのふくらみは、押されるとつぶれたまま戻りにくく、脱いだあとにしわや折れ目が残ります。
ふくらみを測るときの注意
ふくらむ袖を平置きで測るときは、ふくらみを手で押しつぶさないように置いてください。ふくらみの中に空気を残したまま、袖の上の折り目と下の折り目がまっすぐになるように整えてから、一番太い所を測ります。押しつぶして測ると、実際に着たときより細い数字が出て、収まると思ったのに入らない、ということが起きます。
ギャザーやタックでふくらませた袖は、生地を広げると思った以上に布の量があります。その布がコートの中で押されたときにどうなるかは、生地をつかんで手のひらで包むように握ってみるとわかります。握ってすぐに元の形に戻るなら、コートの下でも形が戻ります。握った跡が残るなら、コートの下で長い時間押されたあとは、しわが残ると考えてください。
ふくらむ袖のブラウスを、ニットのカーディガンの下に着て、その上にコートを着る、という3枚重ねもよくあります。この場合は、一番外のコートと、真ん中のカーディガンの両方で、袖の太さの差を確かめる必要があります。カーディガンの袖に収まっても、カーディガンとブラウスを合わせた太さがコートに収まらないことがあるからです。
袖口で広がる袖:ベルスリーブ
ひじのあたりから袖口に向かって、鐘のように広がる袖です。ブラウスやニットに多く、手首まわりがやわらかく見えます。
ベルスリーブがコートの下に収まるかどうかは、広がった袖口が、コートの袖口から出るかどうかで決まります。中の服の袖丈がコートの袖丈より短く、広がった部分がまるごとコートの中に入るなら、袖口がコートの中で折れ曲がり、手首に布がたまります。中の服の袖丈がコートより長く、広がった部分がコートの袖口から外に出るなら、見え方としてはむしろきれいです。
境目は、袖丈の差です。中の服とコートを肩でそろえて重ね、中の服の袖口がコートの袖口から3cm以上出ていれば、広がりがコートの外に逃げます。それより短いなら、広がった袖口はコートの中でつぶれます。
中の服の袖口が出る組み合わせの場合も、コートの袖口の幅は見てください。コートの袖口がきゅっと締まっていると、出てくる中の袖が絞られて、ベルの広がりが半分になります。
袖口の広がりは、手を動かす場面でも気にしておきたいところです。広がった袖口は、食事のときにお皿に触れたり、手を洗うときにぬれたりしやすくなります。秋冬はコートの袖口から出た部分だけが外の空気に触れるので、寒い日は手首が冷えやすいことも覚えておいてください。手首まわりの冷えが気になる日は、ベルスリーブの下に、手首までのぴったりしたインナーを1枚着ると、広がりの見え方はそのままで温かく過ごせます。
袖口が締まる袖:リブ袖とカフス
袖口にリブ編みやカフスがついて、手首で締まっている袖です。これは名前というより袖口の始末ですが、秋冬の重ね着ではとても大事な部分です。
袖口が締まっていると、コートに袖を通すときに、中の袖が手首でいったん止まります。そのため、中の袖が上にたくし上がりにくいのです。袖口がゆるいニットは、コートを着るたびに袖がひじのあたりまで上がってしまい、着たあとに手を入れて引き下ろすことになります。
袖口のリブの長さも見ておくとよいです。リブが5cm以上あるニットは、手首でしっかり止まり、コートの袖口から少しだけのぞかせることもできます。2〜3cmの短いリブは、止まる力が弱めです。
袖口が締まった服は、コートの袖口から少しのぞかせると、秋冬の装いに小さな変化がつきます。のぞかせる長さは1〜2cmほどが目安です。コートと違う色のニットの袖口がわずかに見えるだけで、手元が明るくなり、全身が重たく見えにくくなります。
カフスのついたシャツやブラウスは、カフスのボタンを留めておけば、同じように手首で止まります。カフスの幅がコートの袖口より太い場合は、コートの袖口から外に出すか、カフスを1回折り返して細くしてから袖を通してください。
どちらとも取れるとき① 袖の太さは収まるが、肩で引っかかる
測ってみると、袖の太さの差は1.5cm以上ある。それなのに、コートを着ると肩のあたりで引っかかる。この迷いは、付け根の位置がずれているときに起きます。
よくあるのは、中の服がドロップショルダーで、コートがセットインのときです。袖の太い場所はコートに収まっていても、中の服の肩の縫い目がコートの肩の縫い目より下にあり、その間の布がコートの肩の内側にたまります。
決め方は、付け根の差です。差が3cm以内なら、着るときにひと工夫すれば収まります。コートに袖を通す前に、中の服の肩の縫い目を、自分の肩先のほうへ少し引き上げてから腕を入れてください。それで収まれば、そのまま着てかまいません。
差が3cmを超えるなら、その組み合わせはやめて、上着のほうを替えます。中の服を替えるより、上着を替えるほうが早いのは、秋冬の手持ちの中で、上着の数のほうが少ないからです。ドロップショルダーのコートが1着あれば、手持ちのドロップショルダーのニットがまとめて着られるようになります。
ひと工夫で収まる組み合わせかどうかは、1日着てみた感覚でも確かめてください。朝に整えて着て出かけ、帰ってきてコートを脱いだときに、中の服の肩や脇がどうなっているかを見ます。しわが少なく、腕を動かしたときの突っ張りも気にならなかったなら、その組み合わせは毎日使えます。帰ってきたときに中の服の肩がずれていたり、脇に深いしわが残っていたりしたら、その組み合わせは特別な日に限るか、上着を替えるほうがよいです。
もう1つの見方は、肩の厚みです。中の服とコートの肩を重ねて、指でつまんでみてください。つまんだ厚みが、指1本分を超えるなら、肩に布が重なりすぎています。薄い生地の中の服に替えるか、肩パッドの無いコートを選ぶと楽になります。
どちらとも取れるとき② コートがケープ型や袖の広い形のとき
手持ちのコートが、ケープ型やポンチョ型、袖の広いコクーン型のとき、ここまでの測り方の基準はゆるめてかまいません。
ケープやポンチョは、そもそも袖がありません。中の服の袖はどんな形でも、上着の中で自由に動けます。ふくらむ袖を秋冬に着たいなら、いちばん相性がよい上着です。ただし腕を前に出すと、ケープの前が開いて中の袖が見えます。見える前提で、中の服の袖の形を楽しんでください。
袖の広いコクーン型や、袖口が大きく開いたコートは、袖の太さの差が1.5cmに足りなくても、生地が薄くやわらかい中の服なら収まります。見るのは袖の太さではなく、コートの袖口の幅です。コートの袖口の平置き幅が、中の服の一番太い所の幅以上あれば、中の袖は袖口から自然に抜けます。
逆に、ケープ型の上着の下に、ぴったりした袖の服を着ると、腕が寒く感じることがあります。袖の無い上着の下では、腕は中の服だけで守ることになるからです。その場合は、袖が厚めのニットか、手首まで長いインナーを中に足してください。
どちらとも取れるとき③ ふくらむ袖をどうしても着たい日
測ってみたら、手持ちのコートのどれにも収まらない。でも、そのふくらむ袖の服を、どうしても着たい日があります。
そういう日の答えは3つあります。
1つ目は、コートの袖を通さずに、肩にかけることです。屋外の移動が短い日なら、コートを肩にかけて、前をボタン1つだけ留めます。中の袖はつぶれず、コートの重さも肩に乗るだけです。袖の無い状態でも風で落ちないように、上のボタンを留めておくのがこつです。
2つ目は、上着をストールや大判のショールに替えることです。腕の動きを妨げず、中の袖の形がそのまま見えます。寒さが強い日には向きませんが、秋の暖かい日や、冬の立ち上がりの日には十分です。
3つ目は、行き先で着替えることです。移動の間は、ぴったりした袖のニットの上にコートを着ていき、行き先でふくらむ袖のブラウスやカーディガンを上に重ねます。脱いだコートの代わりに、ふくらむ袖の服が上着の役目をします。
この3つのうち、どれもできない日は、その服を着る日ではありません。そのときは、ふくらむ袖の服は家の中や、行き先で上着を脱ぐ時間が長い日に回してください。
コートに袖を通すときのしわを減らす
収まる組み合わせでも、着方で中の袖のしわが変わります。次のことを試してみてください。
まず、中の袖の袖口を指で軽く握ったままコートに腕を入れます。こうすると、中の袖がコートの裏地に引っ張られて上がるのを防げます。袖口がリブで締まっていない服で特に効きます。
次に、腕を入れるときはまっすぐ下ではなく、少し斜め後ろから入れます。肩の付け根から袖を送り込むように入れると、中の袖の布が肩のあたりで寄りにくくなります。
脱ぐときは、片方の袖を脱いでから、もう一方を抜く前に、中の袖のふくらみを指で軽く整えます。脱いだあとに整えるより、半分脱いだ状態で整えるほうが、形が戻りやすいです。
コートの裏地のすべりも、しわの出方に関わります。裏地がざらっとした素材のコートは、中の袖をつかんで引っ張ります。裏地が無いコートや、毛羽立った生地のコートの下には、すべりのよい生地の中の服を合わせると、袖通りがよくなります。
売り場や通販で、名前と寸法を組み合わせて探す
袖の名前を覚えたら、売り場や通販で探すときに使ってみてください。
探すときは、先に付け根の名前で絞り、あとから太い場所の名前を足すのがこつです。たとえば、手持ちのコートがセットインで、その下にふくらむ袖のニットを着たいなら、ラグランスリーブかセットインスリーブで絞り、そこにバルーンを足します。付け根がそろっていれば、太さの差だけ確かめればよいからです。
通販では、袖の寸法が「袖幅」や「袖口幅」として載っていることがあります。載っていれば、手持ちのコートを測った数字と、その場で比べられます。「袖幅」は脇の下のすぐ下の幅のことが多いので、一番太い場所がひじより下にあるビショップやベルの袖では、袖幅だけでは判断できません。写真で一番太い場所を確かめ、それが袖幅の位置より下なら、ふくらみはもう少し大きいと考えてください。
売り場では、試着のときに手持ちのコートを着ていくのがいちばん確実です。気になる服を試着したら、その上から自分のコートを着てみてください。腕を前に伸ばす、上に上げる、肩を回す。この3つの動きで引っかからなければ、毎日の組み合わせとして使えます。
手持ちのコートを着ていけない日は、コートを測った数字をメモしておくと役に立ちます。袖の一番太い所の平置き幅、ひじの位置の幅、袖口の幅、肩の縫い目の位置の4つです。売り場で気になる服を見つけたら、その場で同じ場所を測らせてもらえるかを聞いてみてください。数字が並べば、試着をしなくてもおおよその収まりがわかります。
店員さんに袖の形を伝えるときも、「付け根が肩より下で、ひじのあたりがふくらんでいる袖」のように、2点で伝えると、名前を思い出せなくても話が通じます。
春夏の袖選びから、秋冬に変えるところ
春夏に袖を選ぶとき、多くの方が見ているのは「二の腕がどこまで隠れるか」と「腕がどう見えるか」です。秋冬は、ここに「上着の下で収まるか」が加わり、こちらのほうが先に来ます。
春夏:腕の見え方、袖丈、涼しさ、それから形の好み。
秋冬:上着の袖に通るか、付け根の位置がそろうか、袖口で止まるか、それから形の好み。
順番が変わる理由は、秋冬は屋外で上着を着ている時間が長いからです。いくら気に入った袖の形でも、上着を着たら見えなくなり、脱いだらしわになっていたのでは、その形の良さを楽しめません。先に上着との収まりで候補を絞ってから、その中で好きな形を選ぶほうが、秋冬の手持ちが働きやすくなります。
もう1つ変わるのは、袖の生地の見方です。春夏は薄くて風が通る生地を選べば済みましたが、秋冬は袖の生地の厚みとすべりが、上着との相性を左右します。同じ形の袖でも、厚手で毛羽立った生地は上着の裏地にからみやすく、目のつまったなめらかな生地は上着の中でよくすべります。袖の名前と寸法に加えて、生地を指でなでたときの引っかかりも見ておくと、秋冬の組み合わせで失敗しにくくなります。
ふくらむ袖をあきらめる必要はありません。手持ちのコートに収まるふくらみの大きさを一度測っておけば、次からは売り場で寸法を見るだけで、選べるかどうかがわかります。
まとめ
袖の名前は、付け根の位置と一番太い場所の2点で覚えると迷いません。そして秋冬は、その袖が手持ちのコートに通るかどうかで選びます。
- 付け根は、肩先(セットイン)、首から斜め(ラグラン)、肩より下(ドロップショルダー)、身ごろと一続き(フレンチ、ドルマン)の4つ
- 太い場所は、腕に沿う、二の腕〜ひじ(パフ、バルーン)、ひじから下(ビショップ)、袖口(ベル)
- 中の服の一番太い所の平置き幅が、コートより1.5cm以上細ければ収まる
- 付け根の差が3cmを超えたら、中の服ではなく上着の型を替える
- ベルスリーブは、袖口がコートから3cm以上出るかで決める
- 収まらない日は、コートを肩にかける、ストールに替える、行き先で重ねるのどれかにする
一度手持ちのコートを測っておけば、その数字が秋冬の袖選びのものさしになります。名前と数字が一緒に頭に入ると、売り場でも通販でも、袖の形で迷う時間がぐっと短くなります。
よくある問い
- Q. 袖がふくらんだニットを、手持ちのコートの下に着られますか
- ふくらみの一番大きい所を平置きで測って、コートの袖の同じ高さの内側の幅と比べてください。ニットのほうが1.5cm以上細ければ、上から袖を通してもつぶれ方が小さく、脱いだあとに形が戻ります。差がそれより小さいか、ニットのほうが太いなら、そのニットはコートの下ではなく、ケープ型や袖の広い上着、または肩にかける羽織りと合わせてください。
- Q. ラグランスリーブとドロップショルダーの見分け方がわかりません
- 縫い目がどこから始まっているかを見ます。首のまわりから脇の下へ斜めに縫い目が走っていればラグランスリーブ、肩先より下の腕の途中に、ぐるりと縦の縫い目があればドロップショルダーです。ラグランは肩に縫い目が無いので、どんな肩の上着にも合わせやすく、ドロップショルダーは付け根が下がっているぶん、上着の脇で余りやすい袖です。
- Q. コートを着ると中のニットの袖が上にたまってしまいます
- 袖の生地同士がこすれて、中の袖が引っ張られています。袖口がリブで締まっているニットなら、手首でいったん止まるので、たまり方が小さくなります。コートの裏地がすべりのよい素材かどうかも確かめてください。袖を通す前に、中のニットの袖口を指で軽く握ったまま腕を入れると、たまりにくくなります。
- Q. ネットで袖の形を探したいのですが、どの名前で検索すればいいですか
- まず付け根の名前で探すと、候補が絞れます。肩先で縫ってあるならセットインスリーブ、首から斜めならラグランスリーブ、肩より下ならドロップショルダーです。そのあとで、太い場所の名前(パフ、バルーン、ビショップ、ベル)を足すと、欲しい形に近いものが出てきます。
— メグラシ編集部





