服のシルエットの名前|秋冬はコートを着た全身の輪郭で見分ける

**いまクローゼットにあるコートを1着出して、床に平らに置いてみてください。**ボタンは全部留めて、袖は体の横にまっすぐ下ろします。
その形を上から見て、いちばん幅が広いのは胸ですか、腰ですか、裾ですか。それが、あなたのコートの名前です。
服のシルエットの名前は、アルファベットの形を服の輪郭に当てはめた呼び方です。Aライン、Iライン、Xライン、Yライン、Oライン。5つしかありません。ただ、売り場や通販の商品名でこの名前を見ても、自分の服がどれなのか決めきれない、という相談がとても多いのです。
理由ははっきりしています。名前を決める物差しが書かれていないからです。この記事では、胸・腰・裾の3か所の幅を比べるだけで、手持ちの1着に名前がつけられるようにします。そのうえで、どちらとも取れる1着をどう扱うかを厚めに書きます。
形そのものを図で見たい方は袖の種類と袖の形12種や、首まわりの呼び分けはネックラインの名前|秋冬は下に重ねる1枚がのぞく深さで選ぶもあわせてどうぞ。ここでは、全身の輪郭の呼び分けだけを扱います。
結論:秋冬の名前は、コートの輪郭でいちばん幅のある場所で決まる
春や夏は、全身の輪郭を決めるのはトップスとボトムスの2枚でした。秋冬はそこにコートが重なります。そして外を歩いているあいだ、人から見えている面積のほとんどはコートです。
だから秋冬の服の形の名前は、まずコートで決めて、下の服はその次に見るのが順番です。下に着るワンピースがIラインでも、上に裾の広いコートを着れば、外での全身はAラインになります。
コートの名前は、3か所の幅で決まります。脇の下の高さの幅(ここでは胸と呼びます)、いちばんくびれる高さの幅(腰)、いちばん下の幅(裾)です。胸の幅を1として、腰と裾がそれぞれ何倍かを出せば、5つの名前のどれかに振り分けられます。
道具は、メジャーがあればそれでよく、なければひもと結び目で代わりがききます。数字を正確に出すことより、3か所を同じやり方で比べることのほうが大事です。
名前は5つ。どれも輪郭がアルファベットに見えるかどうか
それぞれの名前は、服を着た人を正面から見たときの外側の線が、どのアルファベットの形に近いかでつけられています。胸を1としたときの目安を、比べる軸だけ表にします。
| 名前 | 腰(胸を1として) | 裾(胸を1として) | 輪郭の見え方 |
|---|---|---|---|
| Aライン | 胸と同じか少し広い | 1.25以上 | 上が細く、下に向かって開く |
| Iライン | 0.95〜1.05 | 0.95〜1.15 | 上から下までほぼまっすぐ |
| Xライン | 0.88以下 | 胸と同じかそれ以上 | 腰でくびれて、上下が開く |
| Yライン | 胸と同じか少し細い | 0.9以下 | 肩と胸が張り、下がすぼまる |
| Oライン | 1.08以上 | 腰より細い | 真ん中がふくらみ、上下が丸く閉じる |
表の数字は答えではなく、境目の置き場所です。1.15と1.25のあいだのように、どの名前にも入らないすき間をわざと残してあります。このすき間に入るコートの決め方は、後半の「どちらとも取れるとき」で書きます。
なお、Oラインは売り場ではコクーンと呼ばれることも多い形です。繭の形という意味で、真ん中がふくらんで裾がすぼまる輪郭を指しています。呼び方が違うだけで、物差しは同じです。
測り方|コートを平らに置いて、3つの高さで幅をとる
測る前に、置き方をそろえます。ここがずれると、同じコートでも日によって名前が変わってしまいます。
まず、床か大きな机の上にコートを平らに広げ、前のボタンやホックを全部留めます。ベルトがついているものは、いったん外してください。ベルトの扱いは別に書きます。袖は体の横にまっすぐ下ろし、身ごろの上に重ねないようにします。裾は折り返しや持ち上がりがないよう、手のひらで外側へなでて落ち着かせます。
測るのは次の3か所です。
胸は、左右の脇の下の縫い目のすぐ下で、端から端までの幅を測ります。袖の付け根が下に落ちているデザインでは、脇の下の位置がわかりにくいことがあります。その場合は、えりの付け根から下に手のひらを縦に2枚並べた高さで測ってください。
腰は、胸から裾までのあいだで、いちばん細くなっている高さの幅です。くびれがはっきりしないコートでは、えりの付け根から背丈の半分くらい下、ちょうど着たときに自分の腰の骨が来る高さで測ります。
裾は、いちばん下の端から指2本分だけ上の高さで測ります。いちばん下の端そのものは、生地が丸まったり反ったりして幅が安定しないので、少しだけ上を取ります。
3つの数字が出たら、腰と裾をそれぞれ胸で割ります。たとえば胸が54、腰が54、裾が70なら、腰は1.0、裾は1.30です。この場合はAラインになります。
ひもで測るときは、胸の幅にひもを合わせて結び目を作り、そのひもを腰と裾に当てます。裾で結び目の先に手のひらひとつ分以上余るならAライン寄り、ほぼぴったりならIライン寄り、足りないならYラインかOラインの候補です。
Aライン|裾がいちばん広く、上が細い
Aラインは、胸から裾に向かって、外へ開いていく形です。比で言うと、裾が胸の1.25倍以上あり、腰で細くならないものを指します。
秋冬のコートでいちばん多いのが、この形かもしれません。歩くと裾が揺れて、脚の動きを外へ逃がしてくれるので、下に厚手のスカートやワイドパンツを入れても窮屈になりにくいのです。
Aラインで見るべきなのは、裾の広さよりも、広がり始める高さです。脇の下からすぐ外へ開くものは、全身が三角に近い印象になります。腰の骨のあたりから開くものは、上半身は縦にまっすぐ、下だけが広がるので、着たときに縦の線が残ります。
広がり始める高さは、平らに置いたコートの脇の縫い目を、上から指でなぞっていけばわかります。指が外へ逃げ始めた位置が、広がりの始まりです。そこが胸の高さに近いか、腰の高さに近いか。これを名前と一緒に覚えておくと、次に似た形を選ぶときに迷いません。
下に合わせる服は、Aラインの裾よりも細い輪郭のものがまとまりやすいです。コートの裾から下の服がはみ出すときは、はみ出す部分の幅がコートの裾より狭ければ、全身はAラインのまま見えます。
Iライン|3か所の幅がほぼ同じで、まっすぐ落ちる
Iラインは、胸・腰・裾の幅がほとんど変わらない形です。比で言えば、腰が0.95〜1.05、裾が0.95〜1.15に収まります。
まっすぐ落ちる形なので、立っているときの全身は縦に長い長方形に見えます。秋冬の通勤や、改まった場に向かう日に選ばれやすいのは、輪郭が動かず、どの場面でも同じ印象で見えるからです。
ただ、Iラインは生地の厚みで見え方が大きく変わります。薄手でとろみのある生地なら、体の線に沿って落ちるので縦の線が強く出ます。厚手で張りのあるウールなら、生地が体から離れて立つので、数字はIラインでも、着ると箱のように見えることがあります。
この差を見るには、コートの肩を片手で持って、空中に吊り下げてみてください。吊ったときに裾が内側へ寄って細くなるならとろみのある生地、平らに置いたときと同じ幅を保つなら張りのある生地です。張りのある生地のIラインは、箱型やボックスと呼ばれることもあります。
Iラインのコートに下の服を合わせるときは、裾から出る部分が、コートと同じかそれより細い輪郭だとまっすぐのまま見えます。裾の広いスカートを出すと、下だけが開いてAラインに近づきます。どちらにするかは好みで構いませんが、いま全身をどの名前にしたいかを先に決めておくと、合わせる1枚が選びやすくなります。
Xライン|腰だけが細く、上と下が開く
Xラインは、腰でくびれて、胸と裾がそれより広い形です。比で言えば、腰が胸の0.88以下で、裾が胸と同じかそれ以上あるものです。
くびれは、縫い目で作られている場合と、ベルトで作られている場合があります。縫い目で作られているものは、ベルトを外しても形が残ります。ベルトだけで作られているものは、外すとIラインやAラインに戻ります。名前をつけるときは、いったんベルトを外して測る、と先に書いたのはこのためです。
Xラインのコートは、腰の位置がはっきり見えるので、全身の上下の比が決まりやすい形です。裏返せば、くびれの高さが自分の腰の高さと合っていないと、そこが目立ちます。
くびれの高さを合わせるには、試着のときに、コートの上から両手で腰を軽くはさんでみてください。手のひらが自然に止まった高さと、コートがいちばん細くなっている高さが、指2本分以内でそろっていれば合っています。3本分以上ずれていたら、そのコートは自分の体の上では別の高さでくびれて見えます。
Xラインの下に着る服は、腰まわりにふくらみのないものを選ぶと、くびれが消えません。厚手のニットを中に入れて腰まわりが押し出されると、腰の比が0.88を超えて、着たときにはIラインに近く見えます。平置きの名前と、着たときの名前がずれるのは、多くがこのパターンです。
Yライン|肩と胸が張り、下がすぼまる
Yラインは、上が広く下が細い形です。比で言えば、裾が胸の0.9以下まで狭くなるものです。胸より上、つまり肩の張りが強いことも多く、肩パッドや立体的な袖の付け方で上半身に幅を持たせています。
秋冬のコートでは、短い丈のものに多い形です。丈がお尻の上で終わるショート丈で、裾にリブやゴムが入って絞られているものは、ほとんどがYラインに入ります。
Yラインは、上半身に面積が集まるので、下に合わせる服が細ければ細いほど、上下の差がはっきりします。細身のパンツや、脚に沿うスカートを合わせると、全身が逆三角形の輪郭になります。反対に、下に広がりのあるスカートを合わせると、上と下が両方広く、腰だけが細い輪郭になり、全身はXラインに近づきます。
ジャケットの丈と全身の輪郭の関係は、ジャケット 丈 選び方|裾がお尻のどこで終わるかを手首で測るで詳しく書いています。Yラインのショート丈を選ぶときは、裾がどこで終わるかも一緒に確かめてください。
Oライン(コクーン)|真ん中がふくらみ、裾がすぼまる
Oラインは、胸と裾よりも、そのあいだがふくらむ形です。比で言えば、腰が胸の1.08倍以上あり、裾が腰より細いものです。
この形のコートは、袖の付け根が下に落ちているものが多く、肩から腕にかけて丸い線が続きます。平らに置いたとき、脇の下の位置がわかりにくいのはこのためです。測り方の章で書いた、えりの付け根から手のひら2枚分下で測る方法を使ってください。
Oラインは、体とコートのあいだに空気の層ができるので、中に厚手のニットを入れても輪郭が変わりにくい形です。秋冬の重ね着が多い日に選ばれやすいのは、この余裕があるからです。
一方で、裾がすぼまっているので、裾から出る下の服の幅が、コートの裾より広いと形が崩れます。下に合わせるのは、コートの裾より細い輪郭のものが基本です。広がるスカートを出したいときは、コートの裾から出る長さを手のひらひとつ分以内にしておくと、丸い輪郭のほうが勝ちます。
どちらとも取れるとき① 比が境目のすき間に入ったコート
ここからが、いちばん迷うところです。表で、わざと名前のないすき間を残しました。裾が胸の1.15〜1.25倍のもの、腰が胸の0.88〜0.95倍のものです。
このすき間に入るコートは、平らに置いた形だけでは名前が決まりません。決めるのは、着て動いたときにどちらの形が出るかです。手順を3つに分けます。
ひとつめは、5歩歩いてみることです。コートを着て、鏡に向かってまっすぐ5歩歩きます。足を出すたびに、裾が外へ揺れて開くなら、そのコートは動くとAラインになります。裾が脚に沿ったまま揺れないなら、Iラインとして扱ってください。揺れの大きさの目安は、裾の端が、立ち止まっているときの位置から握りこぶしひとつ分以上外へ出るかどうかです。
ふたつめは、前を開けてみることです。前を開けて着る日が多いなら、開けたときの形のほうが、あなたにとってのそのコートの名前です。前を開けると、左右の前端が縦の線になって真ん中に長方形ができるので、ほとんどのコートはIラインに近づきます。境目のすき間にあるコートで、前を開けて着ることが多いなら、迷わずIラインと呼んで構いません。
みっつめは、生地をつまんでみることです。裾の端を親指と人差し指でつまみ、その厚みが重ねた硬貨より厚いと感じるなら張りのある生地、それより薄いならとろみのある生地です。張りのある生地は、数字より広く見えます。境目にある比の数字は、張りのある生地なら一段広い名前に、とろみのある生地なら一段狭い名前に寄せて考えてください。
この3つで、答えが割れることもあります。歩くとAライン、前を開けるとIライン、というように。その場合は、そのコートを着て過ごす時間の長いほうを取ります。駅まで歩く時間が長い人は歩いたときの形を、屋内で前を開けて座っている時間が長い人は前を開けた形を、そのコートの名前にします。
家族や友人に見てもらえるなら、3つの手順を試しているところを横から見てもらうのも確かな方法です。自分では歩いているときの裾は見えにくく、鏡に向かって歩くと、どうしても裾より顔のほうに目が行きます。横に立つ人に、歩いたときに裾が開いて見えたか、まっすぐ落ちて見えたかを、ひとことで言ってもらってください。人の目に映った形が、外を歩いているときに実際に見えている形です。
ひとりで確かめるときは、スマートフォンを床に近い高さに置いて、歩く姿を動画で撮っておく方法もあります。止めて見ると、足を出した瞬間の裾の位置がよくわかります。立ち止まっているときの裾の位置と、足を出した瞬間の裾の位置を見比べて、握りこぶしひとつ分以上外へ出ているかを確かめれば、手順のひとつめと同じ判断ができます。
名前は1着にひとつでなくて構いません。2つの名前を持つコートは、着方で全身の輪郭を切り替えられる便利な1着です。むしろ、そう覚えておくほうが、下に合わせる服の選択肢が広がります。
どちらとも取れるとき② ベルトやボタンで形が変わるコート
ベルト付きのコートや、ダブルの打ち合わせで前の重なりが深いコートは、留め方で輪郭が変わります。
ベルトを締めるとXライン、外すとIライン、後ろで結ぶと前はIラインのまま後ろ姿だけがXライン。こういうコートは、平置きで測った名前を土台の名前として持ち、ベルトの使い方ごとに名前を足していく、と考えると混乱しません。
ベルトを締めるかどうかで迷う日は、下に着る服の腰まわりの厚みで決めます。中に入れる服の腰まわりを指でつまんで、つまんだ厚みが指1本分を超えるなら、ベルトを締めてもくびれは出にくく、腰が押し上げられるだけになります。その日はベルトを後ろで結ぶか、外したまま着るほうが輪郭が整います。
ダブルの打ち合わせのコートは、ボタンを全部留めると胸の幅が広く見え、Yラインに近づきます。いちばん下のボタンだけ外すと、裾がわずかに開いて、Iラインに戻ります。ボタン1つで名前が変わるので、試着のときは、全部留めた状態と下だけ外した状態の両方を鏡で見ておくと、買ったあとに迷いません。
フードやえりの大きなコートも、上の幅を広く見せます。えりを立てるか寝かせるかで、胸の比は実質的に変わります。えりの形と首元の関係は、ジャケットの襟の名前|秋冬は中に着る首元の高さで選び分けるを参考にしてください。
どちらとも取れるとき③ コートと下の服で名前が食い違う
コートはIライン、中に着ているワンピースはAライン。こういう組み合わせのとき、全身の名前はどちらになるのでしょうか。
答えは、裾から下の服がどれだけ出ているかで変わります。考え方は、見えている面積の多いほうが勝つ、というだけです。
コートの裾から下の服が出ていない、または出ていても手のひらひとつ分以内なら、全身はコートの名前で見えます。下の服の形はほとんど輪郭に影響しません。
手のひらひとつ分から、ひざから下の長さの半分くらいまで出ているなら、その出ている部分の幅で決まります。出ている部分がコートの裾より広ければ全身はAラインに、狭ければコートの名前のまま、ほぼ同じならIラインです。
それ以上、たとえば短いコートの下からロングスカートが大きく出ているなら、上はコート、下は下の服、というふたつの形の組み合わせとして見えます。Yラインのショートコートと、Aラインのロングスカートなら、胸と裾が広く腰が細い、全身Xラインの輪郭になります。
食い違いで迷うのは、多くの場合、鏡の前で上半身だけを見ているときです。全身が映る位置まで、鏡から3歩下がってください。3歩下がると、細部が見えなくなって、輪郭だけが残ります。輪郭がどのアルファベットに見えるかを、その場で口に出して決めてしまうのがいちばん早い方法です。
どちらとも取れるとき④ 丈が長いか短いかで、同じ比でも見え方が変わる
同じ比のコートでも、丈が違うと全身の見え方が変わります。裾が胸の1.2倍のコートでも、腰の下で終わる短い丈と、ふくらはぎまで届く長い丈とでは、裾の広がりが目に入る大きさがまるで違うからです。
短い丈のコートは、広がりが始まってから裾が終わるまでの距離が短いので、数字の上では広がっていても、着るとほとんど広がりが見えません。比がAラインの入り口にあっても、短い丈なら、全身ではIラインとして見えることが多いです。
反対に、長い丈のコートは、広がりがゆるやかでも、裾までの距離が長いぶん、最後には大きく開きます。比がIラインの上の端、たとえば1.12や1.14くらいでも、ふくらはぎまで届く丈なら、全身はAラインに見えることがあります。
ここで迷ったときは、丈を自分の体のどこで測るかを決めます。コートを着て立ち、裾がどこで終わるかを手で確かめてください。腰の骨より上で終わるなら、比は一段狭い名前に寄せて考えます。ひざより下で終わるなら、一段広い名前に寄せます。そのあいだ、腰の骨からひざまでのどこかで終わるなら、比の数字どおりの名前で構いません。
丈で名前を寄せる考え方は、下に合わせる服を選ぶときにも役に立ちます。長い丈のAライン寄りのコートには、裾から下の服がほとんど出ないので、下の服の形はあまり気にしなくて済みます。短い丈のIライン寄りのコートは、下の服が大きく出るので、下の服の形がそのまま全身の名前を決めます。持っているコートの丈が短いほど、下に合わせる服の名前を意識して選ぶ、と覚えておくと迷いが減ります。
背の高さによっても、同じ丈のコートが体のどこで終わるかは変わります。売り場で同じ商品を見ても、自分の体では腰の上で終わるのか、ひざの下で終わるのか。試着のときに裾の終わる位置を手で確かめるのは、名前を自分の体の上で決め直すためです。
下に着る服との組み合わせ|裾から出る部分で全身の名前が変わる
ここまでの考え方を、比べる軸だけ表にしておきます。答えをすべて書くための表ではなく、どこを見れば名前が変わるかを示すためのものです。
| コートの名前 | 裾から下の服がほとんど出ない | 下の服が広く大きく出る | 下の服が細く大きく出る |
|---|---|---|---|
| Aライン | Aライン | Aラインがさらに強まる | Aラインのまま、裾の先が締まる |
| Iライン | Iライン | Aラインに近づく | Iラインのまま、縦の線が強まる |
| Yライン(短い丈) | Yライン | Xラインに近づく | Yラインが強まる |
| Oライン | Oライン | 形が崩れやすい | Oラインのまま、丸さが際立つ |
表の真ん中の列、下の服が広く大きく出る組み合わせは、全身の名前がいちばん大きく変わるところです。Iラインのコートは、下に広い服を出すだけでAラインに寄せられます。手持ちのコートが1着しかなくても、下に合わせる服で全身の形を2つ以上に切り替えられるということです。
反対に、Oラインのコートの下から広い服を大きく出すと、丸い上半身と開いた下半身がぶつかって、どの名前にも見えない輪郭になります。Oラインのコートを持っている人は、下に合わせる服の候補を、コートの裾より細いものに絞っておくと朝に迷いません。
売り場と通販で、名前を確かめる手順
商品名や説明に書かれた名前は、そのまま信じていいときと、確かめたほうがいいときがあります。
売り場では、ハンガーに掛かった状態で名前をつけないでください。ハンガーでは肩だけで吊られているので、生地が下へ引っぱられて、どのコートも実際より細く、Iラインに近く見えます。手に取ったら、たたみ台か試着室の台の上で、いったん平らに広げて3か所の幅を目で比べます。手を広げて、胸の幅に手のひらを合わせ、そのまま裾に下ろしていけば、ひもがなくても比べられます。
通販では、寸法表を探してください。多くの寸法表には、身幅と裾幅が書かれています。身幅は胸の幅のことが多いので、裾幅を身幅で割れば、裾の比が出ます。腰の幅が書かれていないことが多いので、XラインとOラインの判断には、写真が必要になります。着用写真の中で、胸・腰・裾の高さに指を当てて、画面上の幅を比べてください。写真は撮る角度で形が変わるので、正面からまっすぐ撮られた1枚を選ぶのがこつです。
商品名の名前と、自分で出した比が食い違ったときは、自分で出した比のほうを信じてください。商品名は、着せて写したときの印象や、その年の売り場で使われている言葉でつけられていることがあります。たとえば袖の付け根が下に落ちているコートは、着ると腕の分だけ胸が広く見えるので、平置きではIラインでも、商品名ではコクーンになっていることがあります。
手持ちの1着に名前をつけてから、次の1着を選ぶ
秋冬のコートを買い足すときに、いちばん失敗しにくいのは、手持ちのコートと違う名前の1着を選ぶことです。
同じ名前のコートが2着あると、下に合わせる服の候補もほとんど同じになります。Iラインのコートが2着あるなら、3着目はAラインかXラインを選ぶと、合わせられる下の服の幅が一気に広がります。
まず、手持ちのコートを全部平らに置いて、1着ずつ名前をつけてください。名前は、えりの裏のタグに小さく書いておく人もいますし、写真を撮って名前を書き添えておく人もいます。どちらにしても、次に売り場に行ったときに、自分が持っていない名前はどれかがすぐにわかるようにしておきます。
そのうえで、持っていない名前の中から、自分の秋冬の予定に合うものを選びます。駅まで長く歩く日が多いなら、歩くと裾が開くAラインか、境目にあるIライン寄りのもの。座っている時間が長いなら、前を開けたときの縦の線がきれいなIライン。中に厚手のニットを入れる日が多いなら、空気の層ができるOライン。予定のほうから名前を選ぶと、形の名前が、ただの言葉ではなく、自分の生活の道具になります。
名前をつけていくと、手持ちのコートが特定の名前に偏っていることに気づく人が多いです。気づかないうちに、同じ名前のコートばかりを選んできた、ということです。それは、その名前が自分の暮らしに合っているという証拠でもあります。偏りを無理に崩す必要はありません。ただ、次の1着を選ぶときに、偏っている名前の中からもう1着選ぶのか、あえて違う名前を試すのかを、自分で決めて選べるようになります。
違う名前を試すときは、いきなり反対側の名前に飛ばないのが安全です。Iラインばかりなら、まずは境目のすき間にある、Aライン寄りの1着から試してみる。すき間にある1着は、着方で2つの名前を行き来できるので、慣れた形のまま新しい形を少しずつ覚えられます。Oラインばかりの人がいきなりXラインを選ぶと、中に入れていた厚手のニットが入らず、重ね着の組み方から変えなければならなくなります。
形の名前を手がかりに選ぶ習慣は、コートだけでなく、ワンピースやスカートにもそのまま使えます。胸・腰・裾の3か所を比べるのは、どの服でも同じです。
通勤のコートの選び方は、置き場所から考えるオフィスカジュアル レディース|通勤コートは職場の置き場所で選ぶも参考になります。名前を決めたうえで、置き場所の条件を重ねると、候補はかなり絞られます。
名前で迷ったときに、最後に見る1か所
ここまでの手順で、ほとんどのコートには名前がつきます。それでもまだ迷う1着が残ったら、最後に見るのは、そのコートを着て立ったとき、自分の目がいちばん最初にどこへ行くかです。
鏡から3歩下がって、いったん目を閉じ、開けた瞬間に目が止まった場所を覚えてください。肩なら、そのコートはYラインとして働いています。腰なら、Xライン。裾なら、Aライン。真ん中のふくらみなら、Oライン。どこにも止まらず、全身が一度に目に入ったなら、Iラインです。
数字で決めきれないときは、自分の目が止まる場所のほうを、そのコートの名前にしてください。服の形の名前は、もともと人の目にどう見えるかを言葉にしたものです。自分の目に見えている形が、あなたにとっての正しい名前です。
5つの名前を覚えるよりも、胸・腰・裾の3か所を比べる習慣のほうが、ずっと長く役に立ちます。次にコートを手に取ったら、まず平らに置いて、いちばん幅のある場所を探してみてください。
よくある問い
- Q. AラインとXラインは、どちらも裾が広がっていて区別がつきません
- 腰の幅を見てください。胸の幅を1としたとき、腰が0.88以下まで細くなっていればXライン、腰が胸と同じかそれより広いままで裾だけが広がっていればAラインです。ベルトでしぼった結果細くなっている場合は、ベルトを外した状態の数字で名前をつけ、ベルトを締めた日はXラインとして着る、と2つの名前を持たせて構いません。
- Q. 測る道具がないときはどうすればいいですか
- 長さではなく比べられればよいので、手を広げた幅や、ひもに結び目をつけて代わりにできます。コートを平らに置き、脇の下の高さの幅にひもを合わせて結び目を作り、そのひもを腰と裾に当てて、余るか足りないかを見ます。裾で結び目から先に手のひらひとつ分以上はみ出すならAライン寄り、ほぼ同じならIライン寄りです。
- Q. 通販の商品名に書いてある名前と、自分で測った名前が違います
- 商品名の名前は、平らに置いた形ではなく、着せて写したときの印象でつけられていることが多いです。肩の縫い目が下に落ちている服は、着ると胸の幅が腕の分だけ広く見えるので、平置きではIラインでも商品名はコクーンやOラインになることがあります。迷ったら寸法表の身幅と裾幅を探し、本文の比で振り分けてください。
- Q. 背が低くても、ロング丈のAラインを着ていいですか
- 着ていけない形はありません。気をつけるのは、裾の広がりが始まる高さです。広がりが腰より上から始まると全身が三角に見えやすく、腰の下から始まると縦の線が残ります。試着のときに、脇の下から裾まで手を滑らせて、外へ開き始める高さを確かめてください。
— メグラシ編集部





