帯締めの飾り結び|振袖の前撮りと成人式当日で、形と崩れにくさを選ぶ

**その飾り結び、何時間結んだままでいる予定ですか。**秋の前撮りのように数時間で着替えるのか、成人式の当日のように朝の支度から夜の会食まで着たままなのか。それによって、選ぶ形が変わります。
帯締めの飾り結びは、振袖の帯の前をいちばん華やかに見せる場所です。ただ、輪の多い華やかな結びほど、人混みや座る動作、上に羽織るショールでつぶれやすくなります。前撮りの写真ではきれいだった結びが、当日の夕方には形が崩れていたという困りごとは、たいてい形の選び方から来ています。
ふだんの着物で本結びのまま変化をつける方法は帯締めの結び方アレンジ 簡単|本結びのまま、結び目と房の向きで変えるにまとめてあります。この記事は、振袖の日の飾り結びだけを扱います。
結論:飾り結びは、結んだままでいる時間と上に羽織るもので選ぶ
飾り結びを選ぶときは、次の3つを順に確かめてください。
- **本結びのあと、片側に何cm余っているか。**これで、作れる結びの範囲が決まります
- **その日に何時間、結んだままでいるか。**長いほど、輪の少ない締まった結びにします
- **上にショールや羽織りものを重ねる時間があるか。**あるなら、厚みの出ない平らな結びにします
秋の前撮りは、動く時間が短く、上に羽織るものもないので、輪の多い花結びのような華やかな形を選びやすい日です。成人式の当日は、朝から夜まで長く動き、屋外ではショールや羽織りものを重ねるので、二重の蝶結びやあわじ結びのように輪が少なく締まった形のほうが、夕方まで形が残ります。
早見表|予定ごとに選ぶ飾り結び
| 予定 | 結んだままの時間 | 上に重ねるもの | 向く結び |
|---|---|---|---|
| 前撮り(スタジオ) | 2〜4時間 | なし | 花結び・菊のように輪の多い結び |
| 前撮り(屋外の撮影) | 3〜5時間 | 移動のときだけ羽織り | 花結び・二重の蝶結び |
| 成人式当日(式典と写真まで) | 6〜8時間 | ショール・羽織りもの | 二重の蝶結び・あわじ結び |
| 成人式当日(会食・二次会まで) | 10時間以上 | ショール・羽織りもの | あわじ結び・平らな二重の蝶結び |
| 友人の結婚式(振袖で参列) | 5〜7時間 | 移動のときだけ | 二重の蝶結び・控えめな花結び |
| 年明けの初詣(振袖で) | 2〜3時間 | 屋外の上着 | 平らな結び・2本使い |
| 家族の祝いの食事 | 3〜4時間 | なし | どれでも。座る時間を見込む |
| 卒業式(袴を合わせない振袖) | 6時間以上 | 羽織りもの | 二重の蝶結び |
迷ったときは、二重の蝶結びにしてください。輪が左右に2つずつで形が締まり、余りが20cm前後あれば作れて、華やかさと崩れにくさのつり合いがいちばん取りやすい結びです。
先に測る①|本結びのあと、片側に何cm余っているか
飾り結びは、本結びを土台にして、余った部分で輪を作ります。だから、本結びのあとに何cm残るかで、作れる結びが決まります。
当日と同じ帯を締めた状態で(前撮りの前なら、着付けの練習のときに)、帯締めを本結びにして、片側の結び目から房の付け根までの長さを測ってください。
| 片側の余り | 作れる結び | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 15cm未満 | 輪を作るのは難しい | 結び目を横にずらす・房を垂らす |
| 15〜20cm | 片わな結び、小さな蝶結び | 控えめな場面 |
| 20〜30cm | 二重の蝶結び、あわじ結び | 成人式当日の中心になる長さ |
| 30〜40cm | 花結び、梅結び | 前撮りで華やかにしたいとき |
| 40cm以上 | 輪の多い花結び、菊のような結び | 写真中心の日。余りは輪の数で使い切る |
| 左右で長さが違う | 長いほうで輪を作る結び | 片側だけで作る形を選ぶ |
ふつうの帯締めは150cm前後のものが多く、振袖向けにはそれより長く作られたものもあります。同じ帯締めでも、胴回りと帯の厚みで余りは変わるので、長さの表示だけで決めず、締めた状態で測ってください。
先に測る②|帯の前の柄と、結びの横幅
振袖の帯は、前にも大きな柄や刺しゅうが入っていることが多く、飾り結びがその柄とぶつかることがあります。帯を締めた状態で、帯の前の柄の横幅を測ってください。
| 帯の前の柄 | 結びの横幅の目安 | 結び |
|---|---|---|
| 柄が大きく、前いっぱいに広がる | 柄の横幅の3分の1まで | あわじ結び、小さめの二重の蝶結び |
| 柄が中くらい | 柄の横幅の半分まで | 二重の蝶結び、花結び |
| 柄が小さい、または無地に近い | 柄の横幅と同じくらいまで | 輪の多い花結び |
| 柄が片側に寄っている | 柄のない側に結びを寄せる | どの結びでも、結び目を横にずらす |
| 金や銀の糸が多く光る | 結びは小さめに | 光が重なると細部が見えにくい |
結びの横幅が帯の柄の横幅より大きくなると、帯の柄と結びがどちらも主役になり、正面から見たときにまとまりにくくなります。柄の横幅の半分くらいを目安にすると、帯の柄も結びもそれぞれ見えます。
先に測る③|帯締めの形で、向く結びが変わる
帯締めには、断面が平らなもの、丸いもの、布で綿をくるんだものなどがあり、どれを使うかで作りやすい結びが変わります。
| 帯締めの形 | 輪の出方 | 作りやすい結び |
|---|---|---|
| 平らに組んだもの | 輪が面になり、柄が見える | 二重の蝶結び、花結び |
| 丸く組んだもの | 輪が立体的に立つ | あわじ結び、梅結び、菊のような結び |
| 布で綿をくるんだもの | 輪がふっくら丸くなる | 大きめの蝶結び。輪の数は少なめに |
| 細いもの | 輪が小さくまとまる | 輪の多い結び。2本使いにも |
| 太いもの | 輪が大きく、少ない数で華やか | 二重の蝶結び |
| 飾りのついたもの | 飾りの位置が決まる | 飾りを正面に置ける結び |
**丸く組んだ帯締めは、ひもが転がりやすく、あわじ結びのように交互に通す結びがきれいに締まります。**平らな帯締めは、ねじれると裏が見えるので、輪を作るたびに表を外に向けてください。
飾り結びの土台|本結びをきつめに締める
どの飾り結びも、土台は本結びです。土台がゆるいと、上にどれだけきれいな輪を作っても、時間がたつと結び目ごと下がってきます。
- 帯の前で帯締めを交差させ、上になったほうを下からくぐらせて引き締める
- 締めたあと、帯締めと帯のあいだに指1本が入らないくらいまで締まっているか確かめる
- 下になったほうで輪を作り、上のほうを輪にくぐらせて本結びにする
- 結び目が帯の幅の中央、体の正面に来ているかを鏡で確かめる
- 左右の余りの長さを測り、どの飾り結びにするかを決める
飾り結びのあいだは、結び目を指で押さえたまま輪を作ると、土台がゆるみません。一人で結ぶときは、片手で結び目を押さえ、もう片方の手だけで輪を作ることになるので、鏡を正面に置き、手元ではなく鏡を見ながら進めると、左右の輪の大きさがそろいやすくなります。
結び①|二重の蝶結び(輪を左右に2つずつ)
二重の蝶結びは、本結びの余りで、左右に輪を2つずつ作る結びです。輪が4つで形が締まり、余りが20cm前後あれば作れます。
- 本結びのあと、左の余りで輪を2つ、指で重ねるように作る
- 右の余りでも同じように輪を2つ作る
- 左の2つの輪を、右の2つの輪の上に重ねて交差させる
- 交差したところを、ふつうの蝶結びと同じ要領で結び留める
- 4つの輪の大きさをそろえ、外側の輪を内側より少し大きくする
外側の輪を少し大きくすると、正面から見たときに花のような広がりが出ます。成人式の当日にいちばん選びやすい結びです。
結び②|花結び(輪を放射状に広げる)
花結びは、いくつもの輪を中心から放射状に広げる結びです。輪の数を増やすほど華やかになりますが、そのぶん余りが要り、つぶれやすくもなります。
- 本結びのあと、片方の余りで、同じ大きさの輪を4〜5つ、指に巻きつけるように作る
- 輪の束の中心を、もう片方の余りで2回巻いて留める
- 巻いた端を、本結びの結び目の裏に通して固定する
- 輪を1つずつ指で広げ、中心から放射状になるように整える
- 残った房は、結びの下か横から少し見えるように流す
花結びは、正面から写真に撮る前撮りの日に向く結びです。輪の大きさを指2本の幅にそろえると、形がまとまります。
輪をそろえるときは、指2本を定規の代わりにして、1つ作るたびに指に巻きつけて大きさを合わせます。目で見てそろえようとすると、最後のほうの輪が大きくなりがちです。輪の数が5つを超えると、中心を巻いて留める部分が厚くなり、帯の前から結びが浮いて見えるので、輪は5つまでを目安にしてください。
結び③|あわじ結び(交互に通して締める)
あわじ結びは、ひもを上下交互に通して輪を作る、平らで締まった結びです。輪が3つで、厚みが出にくく、上に羽織るものを重ねてもつぶれにくい形です。
- 本結びのあと、左の余りで、下向きに輪を1つ作る
- 右の余りを、その輪の上から下へ通し、もう1つの輪を作る
- 右の余りを、左の輪の下、右の輪の上、左の輪の下と、交互に通していく
- 3つの輪ができたら、左右の端を少しずつ引いて、輪の大きさを整える
- 端は、本結びの裏に挟むか、房を下に流す
最後の輪をもう2つ足して5つにすると、梅の花のような形になります。丸く組んだ帯締めで作ると、交差するところがきれいに締まります。
結び④|片わな結び・房を垂らす(控えめに)
余りが15〜20cmしかないときや、控えめにしたい場面では、片側だけを輪にする片わな結びや、結び目を横にずらして房を垂らす形が使えます。
片わな結びは、本結びの2つ目の結びを作るときに、片方の端を最後まで引き抜かず、輪の形で残すだけでできます。
- 本結びの1つ目の結びを、きつめに締める
- 2つ目の結びで、上になったほうの端を輪にして通す
- 輪を引き抜かずに残し、もう片方の端で締める
- 輪の大きさを指2本ぶんほどに整え、端は脇の帯締めに挟む
輪が1つなので華やかさは控えめですが、崩れる部分がほとんどないので、長い1日でも形が変わりません。帯の前の柄が大きく、結びを目立たせたくないときにも向きます。結び目を横にずらして房を垂らす形は、振袖のような決まりのゆるい装いの日に限って使ってください。
結び⑤|2本の帯締めを重ねる
2本の帯締めを重ねて結ぶと、輪の数を増やさずに、色の重なりで華やかさを出せます。
| 2本の組み合わせ | 見え方 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 太い1本+細い1本 | 太いほうが主役、細いほうが線を足す | 成人式当日 |
| 同じ太さの2色 | 色がはっきり2本に分かれる | 前撮り |
| 帯締め+細い飾りひも | 帯締めの上に細い線と飾りが乗る | 前撮り・結婚式 |
| 平らな1本+丸い1本 | 質感の違いが出る | どちらでも |
2本を重ねるときは、細いほうを外側(上)に置くと、太いほうの輪の形が隠れません。2本とも本結びにしてから、太いほうだけで飾り結びを作り、細いほうは本結びのまま横に添える方法がいちばん崩れにくい組み方です。
前撮りの日|写真で正面から見える形を選ぶ
秋の前撮りは、結んでいる時間が短く、動く量も少なく、何より写真に残すことが目的の日です。輪の多い花結びや、大きく広がる結びを選びやすいのは、この日です。
前撮りでは、写真の多くが正面か、少し斜めから撮られます。結びは、正面から見て左右に広がる形のほうが、写真では形が分かりやすくなります。縦に重なる形は、正面からは輪の数が少なく写ることがあります。
撮影の合間に座ることもあるので、座ったときに結びが帯の上に乗り上げないか、撮影の前に一度座って確かめてください。
前撮りでは、撮影の途中で帯締めを替えたり、結びを変えたりできることもあります。1回の撮影で2通りの結びを残したいなら、先に輪の少ない結びで撮り、あとから輪の多い結びに替える順番にしてください。輪の多い結びをほどいたあとは、帯締めに折り癖が残り、締まった結びがきれいに作りにくくなるからです。
前撮り|スタジオと屋外の撮影で変わること
| 撮影の場所 | 結びに起きること | 選び方 |
|---|---|---|
| スタジオ | 動きが少なく、光が正面から当たる | 輪の多い結び。光る帯締めも映える |
| 屋外の庭園・寺社 | 歩く、段差を上り下りする | 二重の蝶結び・花結びの中くらい |
| 秋の紅葉の前 | 背景に色が多い | 帯締めの色を背景と分ける |
| 風の強い日 | 房と輪が風で動く | 輪の数を減らし、房を短めに留める |
| 移動に車を使う | 座ってもたれる時間がある | 移動のあいだは羽織りで覆う |
| 日が傾く時間 | 光が横から当たり、立体的に写る | 丸く組んだ帯締めの結びが映える |
秋の屋外での前撮りは、背景の紅葉や木々の色が多いので、帯締めの色が背景にまぎれることがあります。背景にない色を帯締めに選ぶと、結びが写真の中で浮き上がります。
成人式当日|朝から夜まで、崩れにくさを先に
成人式の当日は、早朝の支度から始まり、式典、写真、友人との集まり、会食まで、振袖で過ごす時間が長くなります。
| 時間 | 結びに起きること |
|---|---|
| 早朝の支度 | 結んだ直後がいちばんきれい |
| 移動 | 車や電車で座る、もたれる |
| 式典の会場 | 長く座る。人混みで前から押される |
| 写真 | 友人と並び、腕を組む、肩を寄せる |
| 屋外での集まり | 寒さでショールや羽織りものを重ねる |
| 会食 | 座ってテーブルに近づく。帯の前がテーブルの縁に当たる |
| 夜の移動 | 疲れて姿勢がくずれ、結びが下がる |
表の中で、結びにいちばん負担がかかるのは、式典の会場で長く座る時間と、人混みで前から押される時間です。会場の入り口や出口は人が集まりやすく、帯の前に人の腕や荷物が当たることがあります。人の多い場所では、手に持つ小さな鞄を帯の前に軽く添えておくと、結びが直接押されるのを防げます。
この流れを通して形が残るのは、輪が少なく、厚みの出ない結びです。二重の蝶結びかあわじ結びにしておけば、多少押されても輪が元に戻りやすく、夕方まで形が保たれます。
成人式当日|上に羽織るものと、結びの厚み
冬の成人式では、屋外でショールを肩にかけたり、振袖の上に羽織りものを重ねたりします。このとき、上に重ねたものが結びを押さえ続けることになります。
| 上に重ねるもの | 結びへの当たり | 向く結び |
|---|---|---|
| 肩にかけるショール | 前が開いていれば当たらない | どれでも |
| 前で合わせるショール | 結びの上に重なる | あわじ結び・平らな結び |
| 前を閉じる羽織りもの | 結び全体を押さえる | 平らな二重の蝶結び |
| 屋外用の上着 | 強く押さえる | 結びを小さく。着いてから整える |
| 大きな花の髪飾りと合わせる | 当たらない | 結びとの釣り合いを見る |
羽織りものを脱いだあとは、輪を1つずつ指で起こして形を戻します。脱いだらまず結びを整える、と決めておくと、写真の前に慌てずに済みます。
式典のあとの会食・二次会
会食の席では、テーブルに近づいて座るので、帯の前がテーブルの縁に当たりやすくなります。輪の大きい結びは、ここで押されてつぶれます。
| 会食の場面 | 結びに起きること | 気をつけること |
|---|---|---|
| テーブル席 | 帯の前がテーブルの縁に当たる | こぶし1つぶん離して座る |
| 座敷 | 正座や横座りで帯が前に押し出される | 座る前に結びの位置を確かめる |
| 立食 | 人とすれ違うときに前から触れる | 皿を胸の高さで持ち、結びの前に腕を置かない |
| 長い乾杯や写真の時間 | 立ったまま人と肩を寄せる | 結びが隣の人の袖に引っかからないか見る |
| 化粧室 | 帯の前が洗面台の縁に当たる | 一歩下がって手を洗う |
座るときは、帯の前がテーブルからこぶし1つぶん離れるように椅子の位置を決めてください。それだけで、結びが押されにくくなります。立ち上がるときに、手で結びの位置を確かめる習慣をつけておくと、下がってきたときにすぐ気づけます。
友人の結婚式に振袖で
友人の結婚式に振袖で出る日は、主役が別にいる日です。前撮りほど華やかな結びにする必要はなく、控えめに整った結びのほうが場になじみます。
| 結婚式の場面 | 結びの選び方 |
|---|---|
| 挙式(教会・神前) | 小さめの二重の蝶結び。結び目は中心に |
| 披露宴の着席 | 輪の少ない結び。テーブルとの間をとる |
| 友人との写真 | 少し横へずらしてもよい |
| 二次会まで振袖のまま | あわじ結びで、輪のつぶれを避ける |
| 主役の衣装の色と近い帯締め | 色を1段落ち着かせる |
二重の蝶結びを小さめに作るか、花結びの輪を3つ程度に抑えるのが目安です。披露宴では長く座り、テーブルに近づくので、成人式の会食と同じく、帯の前とテーブルのあいだにこぶし1つぶんの間をとってください。
崩れたとき|その場で直す順番
一日のうちに結びが崩れてきたら、次の順で確かめます。全部を結び直すより、崩れた場所だけ直すほうが早く、まわりに頼む手間もかかりません。
| 崩れ方 | 直し方 |
|---|---|
| 輪がつぶれた | 輪の中に指を入れて、内側から起こす |
| 輪の大きさがそろわない | 小さい輪の根元を引き、大きい輪から長さを移す |
| 結び全体が下がった | 結び目を両手で持ち、帯の中央まで押し上げる |
| 結びが左右どちらかに回った | 帯締めの左右を同時に持ち、正面に戻す |
| 房がほつれて広がった | 指で房をまとめ、輪の後ろに軽く挟む |
| 土台の本結びがゆるんだ | 一人では直しにくい。着付けの人か、同行者に頼む |
土台の本結びがゆるんだときだけは、飾り結びをほどく必要があります。会場に着付けの人がいない場合に備えて、同行する人に土台の締め方だけ事前に見せておくと安心です。
帯締めの色|振袖と帯のどこから色を拾うか
飾り結びは輪が重なるぶん、帯締めの色が平らに結んだときより広い面で見えます。色の選び方で、結びが帯の前で浮くか、なじむかが変わります。
| 色の拾い方 | 見え方 | 向く日 |
|---|---|---|
| 帯の中のいちばん明るい色 | 結びが帯の前で明るく浮く | 前撮り・写真の多い日 |
| 振袖の地の色 | 帯をはさんで上下がつながる | 成人式当日・長く着る日 |
| 振袖の柄の中の小さな色 | 全体に統一感が出る | 結婚式の参列 |
| 帯揚げと同じ色 | 帯の上と前が一続きに見える | 帯揚げを控えめにする日 |
| 金や銀の入った帯締め | 光で輪の形が立つ | スタジオの前撮り・夜の会食 |
| 2色が組まれた帯締め | 輪ごとに色が変わって見える | 輪の多い花結び |
**輪の多い結びほど、2色が組まれた帯締めが映えます。**輪の向きで表に出る色が変わり、同じ1本でも輪ごとに違う色が見えるからです。反対に、輪の少ないあわじ結びや二重の蝶結びでは、1色の帯締めのほうが形がはっきり見えます。
秋の前撮りの屋外では、背景の紅葉の赤や黄と帯締めの色が重ならないかも確かめてください。背景と同じ色の帯締めは、写真の中で輪の形がまぎれます。
写真に写る結び目の位置|中心か、少しずらすか
飾り結びは、帯の前の中心に置くのが基本です。ただ、帯の柄が片側に寄っていたり、帯揚げの結び目と重なったりする場合は、指1〜2本ぶん横へずらすと、帯の柄と結びがそれぞれ見えます。
ずらす向きは、帯の柄のない側です。写真では、少しずらした結びのほうが、正面から撮っても動きが出て見えることがあります。改まった式典の場では中心に、友人との写真や前撮りではずらす、と使い分けても構いません。
帯揚げとの釣り合い
飾り結びの上には、帯揚げが見えます。帯揚げを大きく見せる結び方と、華やかな飾り結びを両方とも大きくすると、帯の上と前で目が分かれます。
帯揚げを帯の上にふっくらと大きく出す結び方は、振袖ではよく選ばれます。その分、帯の上の面積が広がるので、飾り結びまで大きくすると、帯の前の上半分に華やかなものが集まりすぎます。
飾り結びを華やかにする日は、帯揚げを控えめに、帯揚げを大きく見せる日は、飾り結びを二重の蝶結びかあわじ結びに抑える。どちらかを主役にすると、帯の前がまとまります。色は、帯揚げと帯締めのどちらかに帯の中の色を1つ拾うと、全体がつながって見えます。
結ぶ人が自分か、着付けの人か
振袖の飾り結びは、着付けの人に結んでもらう日が多いはずです。そのときは、結びの名前より、その日の予定を伝えるほうが、合う形を選んでもらいやすくなります。
- 何時間着たままでいるか(式典だけか、会食までか)
- 上にショールや羽織りものを重ねる時間があるか
- 前撮りの写真があれば、それを見せて「これより控えめに」「これと同じくらい」と伝える
| 伝えること | 伝え方の例 |
|---|---|
| 着ている時間 | 「朝の式典から夜の会食まで、10時間くらいこのままです」 |
| 上に重ねるもの | 「屋外では前で合わせるショールを使います」 |
| 華やかさの度合い | 「前撮りより控えめに、でも輪は見えるように」 |
| 帯締めの本数 | 「2本持ってきたので、太いほうで結んでください」 |
| 直し方 | 「崩れたときに自分で直せる形がいいです」 |
**「自分で直せる形がいい」**とひと言添えると、輪の数が少なく、土台が分かりやすい結びを選んでもらいやすくなります。
自分で結ぶ日は、前撮りの前の着付けの練習のときに、同じ帯と帯締めで一度結んでおいてください。余りの長さが足りるかは、締めてみないと分かりません。
どちらとも取れるとき①|余りが、選びたい結びに少し足りない
花結びを作りたいのに、余りが30cmに少し届かない。こういうときは、輪の数を1つ減らすか、輪の大きさを小さくするかのどちらかで合わせます。
輪の数を減らすと形は締まり、崩れにくくなります。輪を小さくすると数は保てますが、帯の柄に負けやすくなります。帯の前の柄が大きいなら輪の数を減らす、柄が小さいなら輪を小さくする、と決めると迷いません。どちらも合わないときは、二重の蝶結びに切り替えてください。
どちらとも取れるとき②|前撮りと当日で、同じ結びにするか
前撮りの写真と当日の写真を並べたときに、同じ結びでそろえたいのか、違う顔を見せたいのか。そこで決めてください。
- そろえたい:当日の長さに合わせて、前撮りも二重の蝶結びかあわじ結びにする
- 違う顔を見せたい:前撮りは花結びのように華やかに、当日は崩れにくい結びにする
迷ったら、当日の結びを先に決めて、前撮りはそれより1段華やかにするのが選びやすい順番です。前撮りの写真が残るので、当日は崩れにくさを優先しても、華やかな結びの記録はすでに手元にあります。
どちらとも取れるとき③|華やかにしたいけれど、崩れが心配
当日も華やかにしたいけれど、長い一日で崩れるのが心配。この場合は、輪の数ではなく、色で華やかさを足す方法があります。
2本の帯締めを重ねる、帯締めに飾りのついたものを選ぶ、帯締めの色を帯の中のいちばん明るい色にする。どれも輪の数を増やさずに、帯の前を華やかに見せられます。
もうひとつの方法は、時間で分けることです。式典と写真の時間までは華やかな花結びにしておき、会食の前に二重の蝶結びに結び直してもらう。着付けの人が会場の近くにいる場合や、同行者が結べる場合に限られますが、いちばん見せたい時間に華やかな結びを合わせられます。輪の少ない二重の蝶結びでも、色の重なりがあれば、写真では十分に華やかに写ります。
よくある行き違い
| よくある思い込み | 実際に起きること |
|---|---|
| 輪の多い結びほど成人式にふさわしい | 長い1日でつぶれやすい。当日は輪の少ない結びのほうが形が残る |
| 帯締めの長さの表示で、作れる結びが分かる | 胴回りと帯の厚みで余りが変わる。締めて測る |
| 前撮りと同じ結びにしないといけない | 変えて構わない。前撮りは華やかに、当日は崩れにくく |
| 結びが大きいほど写真に映える | 帯の前の柄とぶつかると、どちらも見えにくくなる |
| ショールを羽織れば結びは関係ない | 前で合わせると結びの上に重なり、つぶれる |
| 崩れたら全部結び直すしかない | 輪を起こす・位置を戻すだけで直ることが多い |
| 飾り結びは帯揚げと両方華やかにする | 帯の上と前で目が分かれる。どちらかを主役に |
| 結びの名前を伝えれば着付けの人に通じる | 呼び方が違うことがある。予定と写真で伝える |
装いに活かすなら
帯締めの飾り結びは、形の名前から選ぶより、その日に何時間結んだままでいるかから選んでください。秋の前撮りは輪の多い華やかな結びを選びやすい日、成人式の当日は二重の蝶結びやあわじ結びのように締まった結びが夕方まで形を残す日です。
そのうえで、本結びのあとの余りを測り、帯の前の柄の半分くらいに結びの横幅を収めれば、帯と結びがそれぞれ見えます。上にショールや羽織りものを重ねる日は平らな結びに、華やかさが足りないと感じたら、輪ではなく色で足す。この順で決めておけば、前撮りと当日の両方で、帯の前が整います。
秋の前撮りで袴を合わせる場合は女子袴の前撮り|秋冬に撮るなら、背景の色と撮る時刻で袴を合わせるも合わせてご覧ください。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 帯締めの飾り結びにはどんな種類がありますか
- 振袖でよく使われるのは、輪を左右に2つずつ作る二重の蝶結び、いくつもの輪を放射状に広げる花結び、ひもを交互に通して輪を作るあわじ結びや、それを広げた梅結び、2本の帯締めを重ねて結ぶ形などです。どれも本結びを土台にして、余った部分で輪を作ります。どれを選ぶかは、本結びのあとに残る長さと、その日に結んだままでいる時間で決めると、当日に慌てずに済みます。
- Q. 成人式の当日に飾り結びが崩れないようにするには
- まず土台の本結びを、指1本が入らないくらいきつめに締めてください。輪の数が多い結びほど、人混みや座る動作でつぶれやすいので、朝から夜まで着る日は、輪の少ない二重の蝶結びやあわじ結びのように、形が締まって平らな結びが向きます。上にショールや羽織りものを重ねる時間が長いなら、なおさら厚みの出ない結びにしておくと、脱いだときに形が残っています。
- Q. 前撮りと成人式当日で、帯締めの結びを変えてもいいですか
- 変えて構いません。前撮りは写真に残す時間が中心で、動く時間が短いので、輪の多い華やかな結びを選びやすい日です。当日は朝の支度から式典、写真、会食まで長く動くので、崩れにくい結びを優先します。同じ振袖で2通りの結びを見せられるのは、むしろ利点です。前撮りの写真を見返して、当日はどちらに寄せたいかを着付けの人に伝えておくと、話が早く進みます。
- Q. 帯締めの長さが足りず、飾り結びができません
- 本結びのあとの余りが片側15cmに届かない場合は、輪を作る結びは難しくなります。そのときは、結び目を体の中心から指1〜2本ぶん横へずらして房を垂らす、帯締めをもう1本重ねて色で華やかさを足す、といった方法があります。飾り結びにこだわるなら、振袖向けに長めに作られた帯締めを用意するか、帯の上に結び目を置く位置を少し高くして、胴に回る長さを短くする方法もあります。
— メグラシ編集部





