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半襟の合わせ方|秋の着物は、衿から見える幅と地色との差で決める

メグラシ編集部//読了 22分
深い赤茶色の袷の着物の衿元から、白い塩瀬の半襟が細くのぞいている様子を間近から写した写真

**秋の着物の半襟は、色や柄を選ぶ前に、「着物の衿から何cm見せるか」と「着物の地色との明るさの差」を決めてください。**この2つが決まれば、白にするか、生成りにするか、色の半襟にするかは、ほとんど自然に決まります。

いま手元に着物があれば、長襦袢と一緒に羽織って、鏡の前で衿元を見てください。喉のくぼみの真下で、着物の衿から半襟が何mm見えているでしょうか。指の幅1本分なら1.5cm前後、指の幅の半分なら7〜8mmほどです。

半襟は、顔にいちばん近いところにある布です。面積は小さくても、顔まわりの明るさを左右します。同じ白い半襟でも、2cm見えているときと5mmしか見えないときでは、写真に写ったときの顔の明るさがまったく違って見えます。だから、色を選ぶ前に、幅を決めます。

この記事は、袷の季節に、小紋・色無地・訪問着・紬を着る人に向けて書いています。七五三の付き添い、秋の食事会、お茶会、少し改まった集まりなど、秋に着物を着る場面を前提にしています。

結論:見える幅は1.5〜2cm、地色との差は場面で決める

半襟の合わせ方は、2つの数字で考えると迷いません。

1つめは、着物の衿から半襟が見える幅です。喉のくぼみの真下で測って、1.5〜2cmが中心です。改まった場ではこの中心か、少し広めにして白をはっきり見せます。普段の着物では、1cm前後まで細くしてもかまいません。

2つめは、着物の地色と半襟の明るさの差です。秋の着物は深い地色が多く、白の半襟を合わせると差が大きくなります。差が大きいほど顔まわりは明るく、きりっと見えます。差が小さいほど、やわらかく落ち着いて見えます。改まった場ほど差を大きく、普段の着物ほど差を小さくしてかまいません。

場面見える幅の目安地色との差
七五三の付き添い・改まった集まり1.5〜2cm大きく。白か白地に白の刺繍
秋の食事会・お茶会1.5cm前後中くらい。白から生成りまで
普段の小紋・紬で出かける1〜1.5cm小さくてよい。色・柄の半襟も使える
写真を撮る日2cm前後地色が深いなら大きく、淡いならやや抑える

表の幅と差は、どちらも目安です。顔立ちや首の長さで見え方は少しずつ変わるので、鏡で確かめながら動かしてください。

見える幅の測り方

半襟の見える幅は、次の手順で測ります。

まず、長襦袢と着物を着て、衿を合わせた状態で鏡の前に立ちます。顔はまっすぐ前を向き、あごを引きすぎないようにします。

次に、喉のくぼみの真下を見ます。ここで、着物の衿の縁から、半襟の縁までの距離を測ります。メジャーを当てにくければ、指の幅で測ってかまいません。人差し指の幅はおよそ1.5cm前後です。指1本分なら1.5cm、指の半分なら7〜8mm、指1本と少しなら2cmほどです。

測る場所が喉のくぼみの真下なのは、ここが顔にいちばん近く、写真でも人の目でも最初に目に入る場所だからです。衿元から胸に向かって下がるほど、半襟の見える幅は自然に細くなっていきます。下のほうで測ると、実際より細く見積もってしまいます。

もう1つ、横からも見てください。首の横で、着物の衿と半襟がどれくらい重なっているかを見ます。首の横で半襟がほとんど見えず、喉の前だけが広く見えているなら、衿の合わせが深すぎて、前で半襟が余っている状態です。首の横から喉の前まで、半襟が同じような細さで続いて見えるのが、きれいに合わさっている目安です。

境目1:改まった場か、普段の外出か

見える幅を決めるいちばんの手がかりは、その日の場面です。

七五三の付き添いや、改まった集まりで訪問着や色無地を着るなら、見える幅は1.5〜2cmにしてください。この幅だと、白い半襟が顔まわりをはっきりと縁取り、きちんとした印象になります。改まった場では、半襟の白が見えていること自体が、整えて着ている印に見えます。

秋の食事会やお茶会で小紋や色無地を着るなら、1.5cm前後が落ち着きます。改まりすぎず、くだけすぎない幅です。

普段の外出で紬や小紋を着るなら、1〜1.5cmでかまいません。細めにすると、半襟の存在が控えめになり、着物の柄や色が主役になります。色の半襟や柄の半襟を使うときは、幅を細めにしたほうが、柄がうるさく見えません。

迷ったら、1.5cmにしておけば、ほとんどの場面で浮きません。

境目2:地色との明るさの差が、どれくらいあるか

見える幅が決まったら、次は半襟の明るさです。着物の地色と並べたとき、どれくらいの差があるかで考えます。

秋の着物は、えんじ、深い緑、焦げ茶、紺、からし色のように、深みのある地色が多くなります。こうした地色に真っ白な半襟を合わせると、明るさの差がとても大きくなります。差が大きいと、顔まわりがぱっと明るくなり、きりっとした印象になります。改まった場や、写真を撮る日には、この差が効きます。

一方で、差が大きすぎると感じる人もいます。白い半襟だけが浮いて見える、顔より半襟に目が行く、と感じるなら、差を少し小さくしてください。白から生成りへ、生成りから薄いベージュや薄い灰色へと、一段ずつ寄せていきます。

地色が淡い着物、たとえば薄い桜色や薄い水色の色無地に白い半襟を合わせると、差はもともと小さくなります。この場合は、白のままで十分です。淡い地色に色の半襟を合わせると、半襟のほうが目立ってしまうことがあるので、改まった場では避けたほうが無難です。

差を確かめるいちばん簡単な方法は、スマートフォンで衿元を撮って、白黒の画面にしてみることです。色を抜くと、明るさの差だけが見えます。半襟だけが白く光っているように見えるなら差が大きく、着物の地色と半襟がほぼ同じ灰色に見えるなら差が小さい状態です。

境目3:顔の近くに、ほかに明るい物があるか

半襟の明るさは、顔のまわりにほかの明るい物があるかでも変わります。

髪飾りや、真珠のような光る物を耳元につけるなら、半襟の明るさは一段控えてもかまいません。顔のまわりに明るい点がいくつもあると、どこを見ればいいか分からなくなるからです。

反対に、髪飾りもなく、耳元にも何もつけないなら、半襟の白がいちばんの明るい場所になります。この場合は、白をはっきり見せて、幅も1.5〜2cmにすると、顔まわりがさびしく見えません。

髪の色も関わります。髪が暗い色なら、白い半襟との差が大きくなり、顔が髪と半襟の間で明るく浮かびます。髪が明るい色なら、差は小さくなるので、半襟の白をそのまま使っても強すぎることはあまりありません。

素材は、袷の季節かどうかで決める

半襟の素材は、季節で替えるのが基本です。秋に着物を着るなら、まず袷の季節かどうかを確かめてください。

袷の着物を着る季節なら、半襟は塩瀬(しおぜ)か縮緬(ちりめん)が基本です。塩瀬は、細かい横の畝があって、やわらかな光をもつ生地です。白い塩瀬の半襟は、改まった場から普段の外出まで使えます。縮緬は、表面に細かいしぼがあって、光を吸うので落ち着いて見えます。色の半襟や柄の半襟には、縮緬が多く使われます。

夏の絽(ろ)の半襟は、細い透かしの筋が入っていて、涼しげに見えます。袷の季節に絽の半襟のままだと、季節の合わない印象になるので、付け替えておきましょう。単衣の季節から袷の季節に移るときは、半襟も一緒に見直すと、忘れずに済みます。

刺繍の入った半襟は、華やかさが増します。白地に白の刺繍なら、遠目には白い半襟に見えて、近くで見ると模様が浮かびます。改まった場でも浮かずに、少しだけ華やかにしたいときに向いています。色糸の刺繍は、普段の外出や、華やかさを出したい集まりに向いています。

色の半襟は、着物の中の1色から選ぶ

普段の外出で、白以外の半襟を使いたいときの選び方です。

色の半襟を選ぶときは、着物の柄の中にある色から1色を選んでください。着物の柄に、深い緑と黄色と少しの朱色が入っているなら、そのうちの1色を薄くした色を選ぶと、半襟が着物から浮きません。

もう1つの選び方は、帯揚げと同じ系統の色にする方法です。帯揚げは帯の上に少しだけ見える布で、半襟と同じく、着物の色の流れをつなぐ役割をもっています。半襟と帯揚げを同じ系統の色にすると、顔まわりから胸元まで色がつながり、全体がまとまって見えます。

色の半襟を選ぶときも、明るさの差を意識してください。地色が深い着物に、地色と同じくらい深い色の半襟を合わせると、差がほとんどなくなり、衿元が暗く見えることがあります。地色より一段か二段明るい色を選ぶと、顔まわりが沈みません。

柄の半襟は、着物の柄との組み合わせで選びます。着物が無地に近いなら、柄の半襟が引き立ちます。着物にすでに柄が多いなら、半襟は無地か、ごく小さな柄にしたほうがすっきり見えます。

着物と帯の色の合わせ方は、着物と帯の色の合わせ方にまとめています。半襟はその延長として、帯よりさらに顔に近い場所の色を決めるものと考えてください。

帯揚げ・帯締めとの配分は、顔に近い順に決める

着物の小物の色は、顔に近い順に決めると迷いにくくなります。半襟、帯揚げ、帯締めの順です。

半襟は顔のすぐ下にあるので、顔まわりの明るさを決めます。帯揚げは胸の下にあるので、上半身の色の流れを決めます。帯締めは帯の真ん中にあるので、全体を引き締める役割をもちます。

3つの色の配分は、2か所をつなげて、1か所を外すと決まりやすくなります。たとえば、半襟を白、帯揚げを白に近い淡い色にして、帯締めだけに着物の柄の中の強い色を入れる。あるいは、半襟と帯揚げを同じ淡い色にして、帯締めで深い色を入れる、といった組み方です。

3つとも違う色にすると、目が散ってしまいます。3つとも同じ色にすると、平たく見えます。2か所でつなげて1か所で外すのが、いちばん失敗しにくい配分です。

帯締めの結び方や太さを決めたい人は、帯締めの結び方 かわいい|余る長さと帯締めの太さで形を選ぶも参考にしてください。

着物の種類ごとに、幅と差をどこに置くか

ここまでの考え方を、秋によく着る着物の種類ごとに当てはめておきます。

色無地

色無地は、柄がない分、半襟の白がとてもよく目立ちます。一つ紋を入れて改まった場に着るなら、白の塩瀬を1.5〜2cm見せて、地色との差をはっきりさせてください。無地の面が広いので、半襟の幅のわずかな違いも目に入ります。左右の幅がそろっているかを、とくに丁寧に確かめましょう。

紋を入れず、お茶会や食事会に着るなら、白か白地に白の刺繍で、幅は1.5cm前後が落ち着きます。地色が深い色無地で白が強すぎると感じるなら、生成りに寄せてもかまいません。

訪問着

訪問着は、肩から裾まで柄がつながっているので、着物自体が華やかです。半襟は控えめにして、着物の柄を主役にしてください。白の塩瀬か、白地に白の刺繍で、幅は1.5〜2cmです。

色糸の刺繍の半襟は、訪問着の柄と重なって、衿元がにぎやかに見えることがあります。訪問着に合わせるなら、刺繍は白か、ごく淡い色にとどめておきましょう。

小紋

小紋は、全体に細かい柄が散っている着物です。普段の外出から少し改まった集まりまで、幅広く着られます。半襟の選び方も、場面に合わせて幅をもたせられます。

改まった集まりなら白を1.5cm、普段の外出なら色の半襟や柄の半襟を1〜1.5cmで合わせます。色の半襟を使うなら、さきほど書いたとおり、柄の中で面積の小さい色を拾ってください。

紬

紬は、糸を先に染めてから織った着物で、普段着として着るものです。光沢が少なく、素朴な風合いがあります。半襟は、白でも色でも柄でも合わせられますが、紬の素朴さに合わせて、光沢の強い白より、縮緬の生成りや淡い色のほうがなじみます。

幅は1〜1.5cmで、細めにしておくと、紬の織りの表情が引き立ちます。紬に白の塩瀬を2cm見せると、半襟だけが改まって見えて、着物とちぐはぐになることがあります。

羽織やコートを重ねたときの衿元

秋が深まると、着物の上に羽織や道行、道中着などを重ねる日が増えます。このとき、半襟の見え方も少し変わります。

羽織は前があいているので、着物の衿元と半襟はそのまま見えます。羽織の衿が着物の衿の外側に重なるので、衿元に布が何枚も重なって見えることになります。このとき、半襟の幅が2cmを超えていると、衿元全体が重たく見えることがあります。羽織を着る日は、半襟を1.5cm前後にしておくと、すっきりまとまります。

道行や道中着のように、前を合わせて着る上着は、衿の形によって半襟の見え方が変わります。四角くあいた衿の上着なら、着物の衿元と半襟がそのまま見えます。着物と同じように打ち合わせる衿の上着なら、上着の衿が着物の衿の上に重なり、半襟は上着の衿の内側からのぞく形になります。

上着の色と半襟の明るさの差も、確かめておきましょう。濃い色の上着を重ねると、衿元のまわりが暗くなり、半襟の白がいっそう明るく浮かびます。白が強すぎると感じたら、上着を着ている時間が長い日は、生成りの半襟にしておく方法もあります。

七五三の付き添いで、半襟をどう合わせるか

秋の着物の場面でとくに多いのが、七五三の付き添いです。

七五三の主役は子どもです。付き添いで着る大人の着物は、子どもの晴れ着を引き立てる側に回ります。半襟も、目立たせるより、整えて見せることを優先してください。

訪問着や色無地で付き添うなら、半襟は白か、白地に白の刺繍が入った物にします。見える幅は1.5〜2cmです。写真を撮るとき、白い半襟が顔まわりを明るく見せてくれるので、家族の写真の中で顔が沈みません。

色の半襟や、色糸の刺繍の半襟は、子どもの晴れ着の色とぶつかることがあります。とくに子どもの着物が赤や朱色の場合、大人の半襟に赤系の色が入っていると、写真で色が重なって見えます。付き添いの日は白にしておけば、子どもの着物が何色でも合わせられます。

七五三の付き添いでは、子どもを抱っこしたり、しゃがんだりする場面が多くあります。そのたびに衿元が崩れやすく、半襟の見える幅が変わります。崩れたときの直し方は、このあとの「出すぎ・見えない・左右差の直し方」で書いています。付き添いの日の服装全体については、七五三 母親の服装|しゃがむ・抱っこ・石段の日は裾と背中で選ぶにもまとめています。

どちらとも取れるとき:迷ったらここで決める

ここからが、いちばん迷いやすいところです。場面も地色もはっきりしない、どちらとも取れる場合の決め方です。

地色が中くらいの明るさのとき

着物の地色が、深くも淡くもない中くらいの明るさだと、白の半襟でも生成りの半襟でも合いそうに見えます。

この場合は、その日の帯揚げで決めてください。帯揚げを白や淡い色にするなら、半襟は白にします。半襟と帯揚げの明るさがそろって、胸元まで明るい流れができます。帯揚げを着物の柄の中の色にするなら、半襟は生成りにします。白より少しだけ差が小さくなり、帯揚げの色と喧嘩しません。

帯揚げもまだ決まっていないなら、白にしておくのが安全です。白は、あとから帯揚げと帯締めを何色にしても合わせられます。

着物の柄が多色で、どの色を拾えばいいか分からないとき

小紋のように柄が多色だと、色の半襟を選ぶときに、どの色を拾えばいいか迷います。

この場合は、柄の中で面積がいちばん小さい色を選んでください。面積が大きい色を半襟に使うと、着物と半襟が同じ色に見えて、衿元がぼやけます。面積の小さい色を拾うと、半襟がその色をもう一度くり返す形になり、着物全体に統一感が出ます。

それでも決まらないなら、白か生成りにしておけば、多色の柄でも浮きません。柄が多い着物ほど、半襟は無地で控えめなほうがすっきり見えます。

写真を撮る日で、場面は普段着に近いとき

秋の散策や食事会で、普段着の着物を着るけれど、写真はしっかり撮りたい、という日もあります。

写真では、実際に見るより明るさの差が小さく写ることが多いです。とくに室内の照明の下や、曇りの日の屋外では、半襟の白がくすんで見えます。普段は1〜1.5cmで十分な人でも、写真を撮る日は2cm前後に広げると、写真の中で顔まわりが明るく見えます。

色の半襟を使いたいなら、地色より二段くらい明るい色にしてください。写真で差が小さくなっても、衿元が沈まずに済みます。

手持ちの半襟が1枚しかないとき

半襟を付け替えるのは手間がかかるので、長襦袢に1枚つけたまま、いろいろな着物に合わせる人も多いはずです。

1枚しかないなら、白の塩瀬にしておくのがいちばん使い回しやすい選択です。白の塩瀬は、改まった場から普段の外出まで、ほとんどの着物と場面に合わせられます。地色との差が大きすぎると感じる日は、見える幅を1cm前後まで細くすれば、白の印象を抑えられます。

つまり、半襟の色を替えられないときは、見える幅で調整すればいい、ということです。幅を広げれば白の印象が強くなり、細くすれば控えめになります。

長襦袢の色が白ではないとき

長襦袢は、白だけでなく、薄い桃色や薄い水色、柄の入った物もあります。半襟は白でも、長襦袢の色が袖口や振りから見えるので、その色との関係も考えておきましょう。

長襦袢が淡い色なら、白の半襟とはよくなじみます。顔まわりは白、袖口からは淡い色がのぞいて、やわらかな印象になります。

長襦袢がはっきりした色や柄の物なら、半襟を白にすると、衿元だけが改まって見え、袖口の色とつながらないことがあります。この場合は、長襦袢の色を少し薄くした色の半襟にするか、生成りにすると、衿元と袖口の印象がそろいます。改まった場では、長襦袢そのものを白か淡い色に替えるほうが、半襟を合わせやすくなります。

汚れが気になって、白を選びにくいとき

白の半襟がいちばん使いやすいと分かっていても、汚れが目立つのが心配で選べない、という人もいます。半襟は顔のすぐ下にあるので、化粧や汗で汚れやすい場所です。汚れた半襟は、見える幅が細くても目に入ります。

汚れが心配だからといって、改まった場で色の半襟にする必要はありません。汚れを防ぐ工夫と、汚れたときの手入れを知っておけば、白を安心して使えます。

いちばん汚れやすいのは、首の後ろと、あごの下が当たるあたりです。化粧下地やおしろいが首まで塗ってあると、着ているうちに半襟の縁に色が移ります。着物を着る日は、首の化粧を薄くするか、着付けをしてから化粧をすると、汚れを減らせます。

着たあとは、その日のうちに半襟の縁を見てください。うっすら色がついているなら、早めに手入れします。日が経つほど汚れは落ちにくくなります。正絹の半襟は自分で洗うと縮むことがあるので、心配なら専門の手入れに出してください。化学繊維の半襟なら、外して手洗いできる物が多くあります。

手入れのしやすさを考えると、普段の外出用には洗える素材の半襟を1枚持っておくと便利です。改まった場には正絹の塩瀬、普段の外出には洗える半襟、と分けておけば、汚れを気にしすぎずに着物を楽しめます。

家族や友人と並んで着物を着るとき

秋は、家族や友人と一緒に着物を着る機会もあります。七五三で母と祖母がそろって着物を着る日や、友人と着物で食事に出かける日などです。

並んで写真を撮るなら、半襟の見える幅をおおよそそろえておくと、写真の中で全員の衿元が整って見えます。ひとりだけ2.5cm見えていて、ほかの人が1cmだと、その人の衿元だけが目立ちます。出かける前に、お互いの衿元を見て、幅が近いかを確かめ合うとよいでしょう。

色は、全員が白でそろえる必要はありません。改まった場で全員が訪問着や色無地なら白でそろえ、普段の外出なら、それぞれの着物に合わせた色で構いません。ただ、並んだときに白と色の半襟が混ざるなら、色の半襟の人は幅を少し細めにしておくと、全体の印象がまとまります。

見える幅は、衿芯と衿合わせで変わる

半襟の見える幅は、半襟そのものより、衿芯の硬さと衿の合わせ方で決まる部分が大きくあります。

衿芯は、長襦袢の衿の中に入れて、衿の形を保つための芯です。硬い衿芯を使うと、衿がまっすぐに立ち、半襟の見える幅が上から下までそろって見えます。やわらかい衿芯だと、衿が首に沿ってやわらかく曲がり、喉の前で半襟が少し多めに見えることがあります。

衿の合わせ方も、見える幅に関わります。長襦袢の衿を首に深く沿わせて合わせると、喉のくぼみが隠れ、半襟の見える幅は細くなります。浅く合わせると、喉のくぼみが少し見え、半襟の見える幅は広くなります。

着物の衿を長襦袢の衿にどれくらい重ねるかでも、幅は変わります。着物の衿を長襦袢の衿に深く重ねるほど、半襟は細くなります。浅く重ねるほど、半襟は広く見えます。

自分で着るときは、まず長襦袢を着た時点で、鏡を見て半襟がどれくらい見えているかを確かめてください。その時点で2.5cmほど見えていれば、着物を重ねたあとで1.5〜2cmになることが多いです。着物を重ねてから幅を直すのは難しいので、長襦袢の段階で決めておくのが近道です。

衣紋の抜き方も、前から見える幅に関わります。衣紋を大きく抜くと、後ろに引かれた分だけ前の衿が下がり、喉の前で半襟が広く見えます。抜き方を控えめにすると、前の衿は首に沿って上がり、半襟は細く見えます。改まった場で衣紋をしっかり抜く日は、そのぶん前で半襟が出すぎていないかを、最後にもう一度鏡で確かめてください。

出すぎ・見えない・左右差の直し方

着ているうちに、半襟の見え方が崩れることがあります。よくある3つの崩れ方と、その場での直し方です。

半襟が出すぎたとき

座ったり、しゃがんだりしたあとに、半襟が2.5cm以上見えるようになることがあります。着物の衿が後ろに引っ張られて、長襦袢の衿だけが前に残った状態です。

直すときは、身八つ口(脇の下のあいている部分)から手を入れて、長襦袢の衿を少し下に引きます。着物の衿は動かさず、長襦袢の衿だけを下げるのがこつです。引きすぎると今度は半襟が見えなくなるので、鏡を見ながら少しずつ引いてください。

半襟がほとんど見えなくなったとき

反対に、半襟が5mm以下しか見えなくなることもあります。着物の衿が前にずれて、長襦袢の衿を覆ってしまった状態です。

直すときは、着物の衿の縁を指でつまんで、少しだけ外側に開きます。開きすぎると胸元がゆるく見えるので、指の幅半分くらいずつ動かしてください。

左右で見える幅が違うとき

右と左で半襟の見える幅が違うときは、長襦袢の背中心がずれていることが多いです。背中の真ん中にある縫い目が、背骨からずれていないかを確かめてください。

その場で直すなら、ずれている側の身八つ口から手を入れて、長襦袢の衿を少し引いて、左右の幅をそろえます。根本から直すなら、長襦袢を着た時点で背中心を合わせ直すしかありません。出かける前に、長襦袢の段階で鏡を見て、左右の幅がそろっているかを確かめておくと、崩れにくくなります。

半襟を付け替えるときの考え方

半襟は、長襦袢の衿に縫い付けるのが昔からのやり方です。最近は、両面のテープで貼る方法や、衿芯と一緒に差し込むだけの方法もあります。

縫い付ける方法は、手間がかかる代わりに、着ているうちにずれにくく、見える幅が安定します。改まった場や、長い時間着る日は、縫い付けておくと安心です。

テープで貼る方法や、差し込むだけの方法は、付け替えが手軽です。普段の外出で、着物に合わせて半襟を替えたい人に向いています。ただし、着ているうちに少しずつずれることがあるので、長い時間着る日は、休憩のときに鏡で確かめる習慣をつけてください。

付け替えの手間を考えると、袷の季節のはじめに白の塩瀬を縫い付けておき、普段の外出で色の半襟を使いたい日だけ、手軽な方法で替える、という使い分けが続けやすいです。

着る前の晩に、3つだけ確かめる

最後に、着物を着る前の晩に確かめることをまとめます。

1つめは、半襟の素材が季節に合っているかです。袷の季節なら、塩瀬か縮緬になっているか。夏の絽のままになっていないかを見ます。

2つめは、翌日の場面で、見える幅をどれくらいにするかです。改まった場なら1.5〜2cm、普段の外出なら1〜1.5cm、写真を撮るなら2cm前後。長襦袢を羽織って、鏡で一度確かめておくと、当日の朝に迷いません。

3つめは、帯揚げと帯締めの色です。半襟、帯揚げ、帯締めのうち、2か所がつながって1か所が外れているかを見ます。3つを並べて置いてみると、色の流れがすぐに分かります。

半襟は、着物全体の中ではほんの少ししか見えない布です。それでも、顔にいちばん近い場所にあるので、見える幅と明るさの差が、着物姿の印象を大きく左右します。色を選ぶ前に、幅と差を決める。この順番を覚えておけば、秋の着物の半襟で迷うことは少なくなります。

よくある問い

Q. 秋の着物に合わせる半襟の素材は、何を選べばいいですか
袷の着物を着る季節なら、塩瀬(しおぜ)や縮緬(ちりめん)が基本です。どちらも厚みとやわらかな光があり、深い地色の着物にもなじみます。夏に使う絽(ろ)の半襟は透けが涼しげに見えるので、袷の季節には付け替えておきましょう。
Q. 七五三の付き添いで着物を着るとき、半襟は白でないといけませんか
訪問着や色無地で付き添うなら、白か、白地に同じ白の刺繍が入った物が落ち着きます。主役は子どもなので、半襟で目立つ必要はありません。見える幅は1.5〜2cmにして、写真で顔まわりが明るく見える程度にとどめると、全体が整って見えます。
Q. 色の半襟は、どんな着物に合わせられますか
小紋や紬のような普段着の着物に向いています。着物の地色との明るさの差を、白よりも小さくしたいときに使うと、顔まわりがやわらかく見えます。色は、着物の柄の中にある1色か、帯揚げと同じ系統の色から選ぶと、全体がまとまります。
Q. 半襟が出すぎたり、ほとんど見えなかったりします。どう直せばいいですか
まず衿芯の硬さと、長襦袢の衿と着物の衿の合わせ方を見てください。半襟が出すぎるときは、着物の衿を長襦袢の衿に少し深く重ねます。見えないときは、着物の衿を少し浅く重ねて、長襦袢の衿を手前に出します。左右で差が出るときは、長襦袢を着たときの背中心がずれていないかを確かめましょう。

— メグラシ編集部

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