男の着物の帯の結び方|角帯は腰骨にかけて、結びは袴の有無で選ぶ

**帯を締める前に、両手を腰の横に当てて、骨の出っぱりを探してください。**指先に当たる、横に張った骨が腰骨です。男の着物の帯は、この腰骨にかけて締めます。
男の着物の帯がうまくいかないとき、原因は結び方の手順より締める位置にあることが多いものです。女性の帯と同じように胴の細いところで締めると、帯はそこへ吸い寄せられるように上がっていき、着物の前がゆるみます。腰骨にかけて、前を下げ、後ろを上げる。この位置が決まれば、結びは手順どおりに形になります。
そのうえで、結び方は袴をはくかどうかで分かれます。袴をはかない着流しなら貝の口、袴をはく日は一文字結び。この記事は、位置の決め方、帯の長さの見方、結びごとの手順、秋冬の場面ごとの選び方の順に進めます。
女性の半幅帯で結ぶ貝の口の崩れ方と直し方は貝の口の結び方で詳しく扱っています。ここでは、男の着物の角帯と兵児帯を扱います。
結論:位置は腰骨、結びは袴をはくかどうかで決める
場面ごとに、帯と結びを並べるとこうなります。
| 場面 | 袴 | 帯 | 結び |
|---|---|---|---|
| 着流しで出かける(食事・観劇・散歩) | はかない | 角帯 | 貝の口 |
| 背もたれのある椅子に長く座る日 | はかない | 角帯 | 片ばさみ |
| 近所への外出を手早く | はかない | 角帯 | 浪人結び、片ばさみ |
| 七五三の付き添い・結婚式・成人式 | はく | 角帯 | 一文字結び |
| 家でくつろぐ、浴衣 | はかない | 兵児帯 | 蝶結び、片わな結び |
迷ったら、袴をはかない日は貝の口、はく日は一文字結びと覚えておけば、ほとんどの場面に対応できます。
男の帯と女性の帯は、締める場所が違う
男の着物の帯と女性の帯は、同じ「帯」でも、締める場所と見え方の考え方がまったく違います。
| 比べるところ | 男の着物の帯 | 女性の帯 |
|---|---|---|
| 締める位置 | 腰骨にかける | 胴の細いところ、みぞおちの下 |
| 前と後ろの高さ | 前が低く、後ろが高い | ほぼ水平 |
| 帯の幅 | 角帯は9〜10cm前後 | 名古屋帯・袋帯は30cm前後、半幅帯は15cm前後 |
| 結び目の形 | 平たく小さい | 羽根や太鼓で立体的 |
| 締め加減 | しっかり締める | 苦しくない程度 |
| 着物の着方 | 着付けの段階でおはしょりを作らない | おはしょりを作る |
いちばん大きな違いは、前と後ろの高さです。女性の帯はほぼ水平に締めますが、男の帯は前を下げて後ろを上げます。横から見ると斜めの線になり、この線が男の着物姿の重心を低く、落ち着いて見せます。
帯の種類|角帯と兵児帯
男の着物に締める帯は、大きく分けて角帯と兵児帯の2つです。
| 帯 | 形 | 張り | 向いている場面 | 結び |
|---|---|---|---|---|
| 張りのある織りの角帯 | 幅9〜10cm、長さ4m前後 | 強い | 外出、礼装に近い場面 | 貝の口、一文字結び |
| 袋状に織られた角帯 | 幅9〜10cm、中が空洞 | 中くらい | 外出全般 | 貝の口、片ばさみ |
| 薄手の単衣の角帯 | 1枚の布 | 弱め | 普段着、暑い時期 | 片ばさみ、浪人結び |
| 兵児帯 | 幅が広く柔らかい | ほぼない | 家、浴衣、近所 | 蝶結び、片わな結び |
外に着て出かけるなら、張りのある角帯を1本持っておくと、着流しから袴まで同じ帯で通せます。兵児帯は柔らかく締めやすい反面、外出の場ではくだけた印象になるので、家や近所向きと考えてください。
帯の前に|腰ひもも腰骨の高さでそろえる
男の着物は、帯を巻く前に腰ひもを1本締めて、着物を体に留めます。この腰ひもの位置が、帯の位置の土台になります。
腰ひもは、帯と同じく腰骨の高さで締めてください。腰ひもを胴の細いところで締めると、その上に巻く帯も上へ引っぱられ、腰骨にかけたはずの帯が少しずつ上がっていきます。腰ひもを腰骨で締めておけば、帯はその上にかぶせるように巻くだけで位置が決まります。
| 確かめるところ | 目安 | ずれていると |
|---|---|---|
| 腰ひもの前の高さ | 腰骨の上端 | 帯が上へ引っぱられる |
| 腰ひもの後ろの高さ | 前より少し高い | 後ろ姿の線が水平になる |
| 腰ひもの締め加減 | 指1本が入るくらい | ゆるいと着物の前が開く |
| 腰ひもの結び目 | 体の横か、前の中心から少しずらす | 前の中心だと帯の下で膨らむ |
| 着物の前の重なり | 右の身頃が内側、左の身頃が外側 | 逆だと着方として正しくない |
腰ひもの結び目は、帯の下に隠れます。前の中心で結ぶと、帯の前が結び目で膨らむので、体の横か、中心から少しずらした位置で結んでおきます。
位置を決める|前は腰骨の上端、後ろは3〜5cm上
帯の位置は、結ぶ前、1周目を巻いたところで決めます。
前は、帯の下端が腰骨の上端にかかる高さです。両手で腰骨を探し、その上端に帯の下端を合わせます。へその位置より下になる人がほとんどです。
後ろは、前より3〜5cm高くします。背中側に手を回して、帯の下端が腰骨の上端よりも上にあるかを確かめてください。
| 見る場所 | 帯の下端の位置 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 前 | 腰骨の上端にかかる | 両手で腰骨を探して、帯の下端を合わせる |
| 横 | 前と後ろのあいだ | 鏡で横から見て、斜めの線になっているか |
| 後ろ | 腰骨の上端より3〜5cm上 | 背中に手を回して、指で帯の下端を探す |
| 全体 | 前が低く後ろが高い | 横から見て、前に向かって下がっているか |
前を下げる理由は、見え方だけではありません。腰骨は体の前側で低く、後ろ側で高くなっています。前を腰骨の上端にかけ、後ろを少し上げると、帯の下端がぐるりと1周、腰骨の出っぱりに引っかかる形になります。これが、歩いても座っても帯が上がってこない理由です。
位置が高すぎると、帯は胴の細いところへ上がっていき、着物の前がゆるみます。1周目で腰骨にかけておくと、2周目からはその位置に沿って巻いていくだけで済みます。
帯の長さを確かめる|巻く周数と残りの長さ
帯の長さと胴回りによって、巻ける周数と、結びに使える残りの長さが変わります。残りが足りない結びを選ぶと、形が作れません。
先に、腰骨の高さで胴回りを測ってください。メジャーを腰骨の上端にかけて、水平に1周させます。次に、帯の長さを確かめます。角帯は4m前後が多いものの、帯によって違うので、実際に端から端まで測っておくと確かです。
帯の長さが4mで、手先を45cm取った場合の目安はこうなります。
| 腰骨の高さの胴回り | 巻く周数 | 結びに使える残り | 結べる結び |
|---|---|---|---|
| 80cm | 3周 | 115cm前後 | どれでも |
| 90cm | 3周 | 85cm前後 | 貝の口、片ばさみ、浪人結び |
| 90cm | 2周半 | 130cm前後 | どれでも |
| 100cm | 3周 | 55cm前後 | 片ばさみ、浪人結び |
| 100cm | 2周半 | 105cm前後 | 貝の口、片ばさみ、浪人結び、一文字結び(羽根を小さく) |
| 110cm | 2周半 | 80cm前後 | 貝の口、片ばさみ、浪人結び |
| 110cm | 2周 | 135cm前後 | どれでも |
| 120cm | 2周 | 115cm前後 | どれでも |
結びに使う残りの目安は、片ばさみと浪人結びが50cm前後、貝の口が60cm前後、一文字結びが100cm前後です。残りが足りないときは、巻く周数を半周減らしてください。周数を減らしても、締める強さが同じなら帯はゆるみません。
締め加減|指1本が入るくらい
男の角帯は、女性の帯よりしっかり締めます。張りのある帯を腰骨にかけて締めると、帯そのものが着物を押さえる役目を果たすからです。
目安は、締め終わったあと、帯と着物のあいだに指1本がやっと入るくらいです。指2本が楽に入るなら、ゆるすぎます。
| 指の入り方 | 締め加減 | 起きること |
|---|---|---|
| 指1本も入らない | きつい | 座ったときに苦しい |
| 指1本がやっと入る | ちょうどよい | 歩いても座っても位置が動かない |
| 指2本が楽に入る | ゆるい | 歩くうちに帯が上がってくる |
| 指3本入る | かなりゆるい | 結び目が回ってしまう |
締めるのは2周目からです。1周目は位置を決めるために軽く巻き、2周目に入るところで手先とたれを左右に引いて締めます。3周目も同じように締めてから、結びに入ります。
貝の口の結び方|着流しで出かける日の基本
貝の口は、着流しで出かけるときの基本の結びです。平たい形で、背もたれに寄りかかっても潰れる部分が少なく、歩いても座っても形が崩れにくいのが特長です。
手順は次のとおりです。
| 手順 | すること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 手先を帯の端から45cm前後取り、幅を半分に折る | 折った輪を下にする |
| 2 | 手先を体の前に残して、たれ側を胴に巻いていく | 1周目で位置を決める |
| 3 | 2周目・3周目で締める | 指1本がやっと入るまで |
| 4 | 巻き終わりで、たれを内側へ斜めに折り上げ、幅を細くする | 結び目がかさばらない |
| 5 | たれを上、手先を下にしてひと結びする | 上下を逆にしない |
| 6 | たれを斜めに折り上げて輪を作り、手先を下から通して引き抜く | 手先の先が5〜10cm出る |
| 7 | 結び目を左右に引いて締め、背中へ回す | 巻いた向きと同じ向きに回す |
ひと結びのときに、たれを上、手先を下にしてください。これを逆にすると、次の折り上げができず、形が作れません。
結び目を背中へ回すときは、帯を巻いた向きと同じ向きに回します。反対に回すと、巻いた帯がゆるみます。回し終えたら、結び目を背中の中心か、中心から少しずらした位置に置きます。
中心に置くか、ずらすかは好みで構いません。中心に置くと後ろ姿がきちんと整って見え、少しずらすとくだけた落ち着きが出ます。背もたれのある椅子に長く座る日は、少しずらしておくと、結び目が背もたれに直接当たらず、潰れにくくなります。
手先の先が結び目から出る長さは、5〜10cmが収まりのよい長さです。出すぎるときは、手順1で取る手先を短くしてください。足りないときは、手先を長めに取り直します。一度ちょうどよい長さが分かったら、帯の手先側の端から何cmのところで折ったかを覚えておくと、次からは測らずに済みます。
片ばさみの結び方|座る時間が長い日に
片ばさみは、角帯の結びのなかでいちばん手数の少ない結びです。輪を作らないので結び目が薄く、背もたれのある椅子に長く座る日に向いています。
| 手順 | すること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 貝の口の手順1〜4と同じように巻く | 位置と締め加減も同じ |
| 2 | たれを上、手先を下にしてひと結びする | ― |
| 3 | 手先を下へ向けたまま、たれを上へ折り返す | ― |
| 4 | 折り返したたれを、胴に巻いた帯のあいだへ上から差し込む | 差し込みを10cm以上に |
| 5 | 手先の余りを、胴に巻いた帯の内側にしまう | 外から見えないように |
片ばさみでいちばん大事なのは、差し込みの深さです。たれの差し込みが浅いと、歩いているうちに抜けてきます。10cm以上差し込んでおけば、座って立つを繰り返しても抜けにくくなります。
歩く時間が長い日には、片ばさみより貝の口のほうが安心です。座る日は片ばさみ、歩く日は貝の口と分けてください。
浪人結びの結び方|手早く済ませたい日に
浪人結びは、ひと結びしたあと、両端をそのまま下へ垂らす結びです。手数が少なく、近所への外出や、手早く帯を締めたい日に向いています。
| 手順 | すること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 貝の口の手順1〜3と同じように巻く | ― |
| 2 | たれを上、手先を下にしてひと結びする | しっかり締める |
| 3 | 両端をそのまま下へ垂らす | 垂れる長さを左右でそろえる |
| 4 | 結び目を背中へ回す | 巻いた向きと同じ向きに |
| 5 | 垂れた端の長さを整える | 帯の下端から15〜20cm |
浪人結びは、垂れた端が歩くたびに揺れる結びです。長く歩く日や、人の多い場所に出かける日は、揺れた端が人や物に触れることがあります。外出が長い日は、貝の口を選んでください。
一文字結びの結び方|袴をはく日に
袴をはく日は、一文字結びが基本です。袴の後ろにある腰板を、帯の結び目の上に乗せて支えるので、結び目が平らで横に広い形になっている必要があります。
| 手順 | すること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 手先を帯の端から30cm前後取り、幅を半分に折る | 貝の口より短め |
| 2 | 胴に巻き、2周目から締める | 位置は着流しと同じ |
| 3 | たれを上、手先を下にしてひと結びする | ― |
| 4 | たれを屏風のように折りたたんで、横に長い羽根を作る | 左右の長さを袴の腰板の幅に合わせる |
| 5 | 羽根の中心を、手先で2〜3回巻いて留める | 羽根が水平になるように |
| 6 | 手先の余りを、巻いた帯の内側にしまう | ― |
| 7 | 結び目を背中へ回す | 巻いた向きと同じ向きに |
羽根の左右の長さは、袴の腰板の幅に合わせるのがいちばん分かりやすい目安です。腰板の幅より羽根が狭いと、腰板が結び目から落ちやすくなります。腰板の幅より羽根が大きく広いと、袴の脇から羽根の端が見えます。
一文字結びは、帯の残りの長さを多く使います。残りが足りないときは、巻く周数を半周減らしてから結んでください。
袴をはくときは、袴の前の紐を帯の上に重ねて締め、後ろの腰板を結び目の羽根の上に乗せます。**羽根が水平で平らになっていないと、腰板が傾いて乗り、後ろ姿で袴が片側に下がって見えます。**袴をはく前に、鏡で後ろの羽根が水平かどうかを一度確かめてください。
子どもの七五三で羽織袴を着せるときも、考え方は同じです。子どもの帯は短く、羽根も小さくなりますが、腰板を羽根の上に乗せて支える仕組みは大人と変わりません。
兵児帯の結び方|家と浴衣に
兵児帯は、柔らかい布でできた幅の広い帯です。締め付けが少なく、家でくつろぐときや浴衣に向いています。
| 結び | 形 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 蝶結び | 両側に輪ができる | 浴衣で近所に出かける |
| 片わな結び | 片側だけ輪ができる | 家でくつろぐ |
| 貝の口風 | 兵児帯を細くたたんで貝の口に | 浴衣で少しきちんと見せたい日 |
| 巻いて端を挟む | 結び目を作らない | 家で横になる日 |
兵児帯も、締める位置は角帯と同じ腰骨です。柔らかい帯は上がりやすいので、1周目で腰骨にかけたら、2周目から少し強めに締めます。
兵児帯を細くたたんで貝の口にすると、角帯の貝の口に近い見た目になります。浴衣で少しきちんと見せたい日は、この結び方を試してください。
秋冬に兵児帯を使うのは、家でウールや木綿の着物を着てくつろぐ日です。家で着るぶんには、蝶結びの輪を小さめに作ると、座椅子やソファに寄りかかっても輪が潰れにくくなります。そのまま近所へ出かけるなら、輪を整え直すか、角帯に締め替えると、外に出たときの印象がきちんとします。
兵児帯の幅は、たたみ方で変えられます。幅を広いまま巻くと柔らかく見え、細くたたんで巻くと角帯に近い、すっきりした見た目になります。外に出る日は細く、家では広くと使い分けると、1本の兵児帯で2通りに締められます。
4つの結びを比べる
角帯の4つの結びを、手数と崩れにくさで比べます。
| 結び | 手数 | 結び目の厚み | 崩れにくさ | 向いている日 |
|---|---|---|---|---|
| 貝の口 | 中くらい | 2〜3cm | 強い | 着流しで出かける日 |
| 片ばさみ | 少ない | 1.5cm前後 | 差し込み次第 | 座る時間が長い日 |
| 浪人結び | 少ない | 2cm前後 | 端が揺れる | 手早く済ませたい日 |
| 一文字結び | 多い | 平らで横に広い | 強い | 袴をはく日 |
**4つ全部を覚える必要はありません。**袴をはかない人なら貝の口と片ばさみ、袴をはく予定がある人は一文字結びを加える。この組み合わせで、ほとんどの場面に対応できます。
秋冬の場面ごとの選び方
秋から冬は、男の着物で出かける場面が増える季節です。場面ごとに、帯と結びを並べます。
| 場面 | 着るもの | 帯と結び |
|---|---|---|
| 七五三の付き添い | 羽織袴、または羽織と着物 | 袴なら一文字結び、袴なしなら貝の口 |
| 初詣 | 着物に羽織、外套 | 貝の口 |
| 茶会 | 着物に羽織、または袴 | 袴なら一文字結び、袴なしなら貝の口 |
| 観劇 | 着物に羽織 | 座る時間が長いので片ばさみか貝の口 |
| 結婚式の参列 | 羽織袴 | 一文字結び |
| 成人式 | 羽織袴 | 一文字結び |
| 食事会 | 着物に羽織 | 貝の口 |
羽織を着る日は、羽織の裾から帯の結び目が見えるかどうかを確かめてください。羽織の丈が短いと、背中の結び目が羽織の裾から出ます。貝の口は平たい形なので、羽織の下でも膨らみが出にくく、羽織を着る日にも合わせやすい結びです。
角帯の色の選び方|着物との明るさの差で決める
角帯は幅が9〜10cmしかないので、着物の上では細い一本の線として見えます。この線がどれくらい目立つかは、帯と着物の明るさの差でほぼ決まります。
明るさの差が大きいと、帯の線がくっきり出て、体の上下が帯で分かれて見えます。差が小さいと、帯が着物になじんで、全身が一続きに見えます。どちらが正しいということはなく、その日にどう見せたいかで選んでください。
| 着物の色 | 帯の色 | 見え方 |
|---|---|---|
| 紺・濃い灰色 | 生成り、薄い灰色 | 帯の線がくっきり出る |
| 紺・濃い灰色 | 濃い茶、黒 | 帯がなじんで、全身が一続きに見える |
| 茶・焦げ茶 | 生成り、からし色 | 帯の線がくっきり出る |
| 茶・焦げ茶 | 焦げ茶、深い緑 | 落ち着いてなじむ |
| 薄い灰色・生成り | 紺、黒 | 帯の線が引き締まって見える |
| 黒の羽織袴の礼装 | 白、薄い灰色、落ち着いた色 | 場にふさわしい引き締まり |
秋冬は、羽織を重ねる日が増えます。羽織を着ると、帯は前から少し見えるだけになるので、帯の色は羽織を開けたときに見える前の部分で考えてください。色の合わせ方の考え方は着物と帯の色の合わせ方でも詳しく扱っています。
帯を締めたあとの座り方と立ち方
帯を締めたあとは、座るときと立つときに、帯の前が少しずつ上がってきます。座ると腰骨のまわりの形が変わり、帯が上へ押し出されるからです。
座る前に、帯の前を両手で持って、軽く下へ押さえてから腰を下ろしてください。立ったあとも、同じように帯の前を押さえて、腰骨の上端に戻します。これを習慣にすると、出かけた先で帯が上がってくることが減ります。
| 動き | 帯に起きること | すること |
|---|---|---|
| 椅子に座る | 前が上がる | 座る前に帯の前を押さえる |
| 畳に座る | 前が上がり、結び目が背中で潰れる | 結び目が平たい貝の口か片ばさみにする |
| 車に乗る | 背もたれで結び目が押される | 浅く座り、結び目を少し横にずらす |
| 立ち上がる | 前が上がったまま残る | 立ったら帯の前を押し下げる |
| 階段を上る | 着物の前が開きやすい | 着物の前を手で軽く押さえる |
羽織を着る日の帯|位置を下げずに保つ
羽織を着る日は、羽織の重みで帯が下がってくるように感じることがあります。このとき、帯を下げて締め直すのではなく、最初の位置をそのまま保つようにしてください。
羽織は帯の上にかぶさるので、帯の位置が少しでも下がると、羽織の後ろ姿が間延びして見えます。後ろは腰骨より3〜5cm上の位置で締め、羽織を着てから鏡で後ろ姿を確かめます。
| 確かめるところ | 見方 | 直し方 |
|---|---|---|
| 羽織の裾と結び目 | 裾から結び目が出ていないか | 結び目を背中の中心へ寄せる |
| 羽織の背中の膨らみ | 結び目の形が浮き出ていないか | 結び目を平らに押さえる |
| 羽織の紐の位置 | 帯の上端より上にあるか | 羽織の紐の長さを調節する |
| 前の帯の見え方 | 羽織の前から帯が見えているか | 前が下がりすぎていないか確かめる |
家族に結んであげるとき
家族に帯を結んであげるときは、着る人の後ろに立って結んでください。
向かい合って結ぶと、左右が自分から見て反対になります。手先とたれのどちらを上にするか、結び目をどちらへ回すかを、頭の中で入れ替えながら手を動かすことになり、取り違えやすくなります。後ろに立てば、自分が自分に結ぶときと同じ向きで手を動かせます。
| 手順 | 立つ場所 | すること |
|---|---|---|
| 位置を決める | 前 | 帯の下端が腰骨の上端にかかっているか確かめる |
| 巻く・締める | 後ろ | 着る人に帯を持ってもらいながら巻く |
| 結ぶ | 後ろ | 背中で直接結ぶ |
| 確かめる | 横 | 前下がりの斜めの線になっているか |
| 仕上げ | 前 | 着物の前のゆるみを整える |
子どもの七五三で帯を結ぶときも、同じく後ろから結びます。子どもは動くので、帯を巻いているあいだ、両手で帯を持っていてもらうと、巻き終わるまでに位置がずれません。
結び目が崩れたときの直し方
出かけた先で帯の結び目が崩れたら、症状ごとに直す場所が違います。
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 帯が上がってくる | 位置が高いか、ゆるい | 一度ほどいて、腰骨にかけて締め直す |
| 結び目が横に回る | 締め加減がゆるい | 結び目を背中の中心へ戻して、帯を下へ押し下げる |
| 貝の口の手先が抜ける | ひと結びの上下が逆 | ほどいて、たれを上にして結び直す |
| 片ばさみのたれが抜ける | 差し込みが浅い | たれを10cm以上差し込み直す |
| 一文字の羽根が傾く | 羽根の中心を巻く位置がずれている | 羽根を水平に戻して、手先で巻き直す |
帯が上がってくるときは、結び目ではなく位置の問題です。結び目だけを直しても、また上がってきます。出先で締め直す時間がないときは、帯の前を両手で持って、腰骨の上端まで押し下げてください。張りのある角帯なら、それだけでしばらく持ちます。
帯のしまい方|次に締めやすくする
締め終わった角帯は、しまい方で次に締めるときの扱いやすさが変わります。張りのある角帯は、たたむと折り目がつき、次に巻いたときに折り目のところで帯が浮きます。
張りのある角帯は、端からくるくると巻いてしまうのがいちばん扱いやすい方法です。巻いておけば折り目がつかず、次に締めるときも帯がまっすぐ胴に沿います。柔らかい角帯や兵児帯は、たたんでしまっても構いません。
| 帯 | しまい方 | 気をつけるところ |
|---|---|---|
| 張りのある角帯 | 端から巻く | 強く巻きすぎない |
| 袋状の角帯 | 端から巻くか、大きくたたむ | 中の空洞を潰さない |
| 薄手の角帯 | たたむ | 折り目を毎回同じ場所にしない |
| 兵児帯 | たたむ | しわが気になるなら吊るしてから |
締めたあとの帯には、体の熱と湿気が残っています。しまう前に、半日ほど風の通る場所に広げておくと、次に出したときに帯がまっすぐ戻ります。
どちらとも取れるとき①|胴回りが境目にある
胴回りが90cmや100cmのように表の境目に来るときは、3周で巻いて残りを測ってから結びを選んでください。
3周巻いて残りが60cm以上あれば、貝の口が結べます。60cmに届かなければ、片ばさみか浪人結びにするか、半周戻して2周半にします。2周半にすると残りが増えるので、貝の口も一文字結びも結べるようになります。
周数を減らすと、帯の厚みが少し薄くなります。薄くなって締まりが足りないと感じたら、2周目と最後の半周で強めに締めると、3周巻いたときと変わらない締まり具合になります。
どちらとも取れるとき②|袴をはくか、当日まで決まらない
七五三の付き添いなどで、袴をはくか着流しにするか、当日まで決まらないことがあります。この場合は、一文字結びが結べる長さが残るように周数を決めておいてください。
一文字結びが結べる長さなら、貝の口も片ばさみも結べます。反対に、貝の口の長さしか残らない周数にしておくと、当日に袴をはくことになったとき、巻き直しが必要になります。
当日の朝に袴をはくと決まったら一文字結び、はかないなら貝の口。結びだけを当日に選べる状態にしておくと、準備が慌ただしくなりません。
どちらとも取れるとき③|座る時間と歩く時間が同じくらい
出かける先で、座っている時間と歩いている時間が同じくらいになる日もあります。この場合は貝の口を選んでください。
貝の口は、座っても歩いても崩れにくい結びです。片ばさみは座る時間が長い日に向いていますが、歩く時間が長くなると差し込みが抜けやすくなります。どちらとも決められない日は、崩れにくい側を選んでおくと、出かけた先で直す手間が減ります。
よくある行き違い
| よくある思い込み | 実際に起きること |
|---|---|
| 帯は胴の細いところで締める | 男の帯は腰骨にかける。胴で締めると帯が上がってくる |
| 帯は水平に締める | 男の帯は前が低く後ろが高い、斜めの線にする |
| 帯がゆるむのは結び方のせい | 多くは位置が高いか、締め加減がゆるい |
| 袴の日も貝の口でいい | 腰板が乗りにくく、後ろが下がりやすい。一文字結びにする |
| 帯の長さはどれも同じ | 帯によって違う。巻く前に測る |
| 家族に結ぶときは向かい合う | 左右を取り違えやすい。後ろに立って結ぶ |
装いに活かすなら
男の着物の帯は、結び方より先に締める位置を決めてください。腰骨にかけて、前は腰骨の上端、後ろは3〜5cm上。この斜めの線ができれば、どの結びでも形が決まります。
結びは袴をはくかどうかで選びます。着流しなら貝の口、座る時間が長い日は片ばさみ、袴をはく日は一文字結び。胴回りと帯の長さから残りを確かめておけば、選んだ結びが当日に作れないということもなくなります。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 男の着物の帯は、どこで締めればいいですか
- 腰骨にかけて締めます。女性の帯のように胴の細いところではなく、腰骨の上端に帯の下端を引っかける位置です。前は腰骨の上端にかかるくらいまで下げ、後ろは腰骨より3〜5cm上げます。横から見ると、前が低く後ろが高い、斜めの線になります。この斜めの線が、男の着物姿の落ち着いた見え方を作ります。位置が高すぎると、帯が胴の細いところへ上がっていき、着物の前がゆるみやすくなります。
- Q. 角帯の結び方で、いちばん簡単なのはどれですか
- 手数だけで言えば片ばさみがいちばん少なく、ひと結びしたあとに、たれを胴に巻いた帯のあいだへ差し込むだけで終わります。ただし差し込みが浅いと抜けやすいので、長く歩く日には向きません。出かける日にひとつだけ覚えるなら貝の口です。手数は片ばさみより1つ多いだけで、歩いても座っても形が崩れにくく、着流しで出かける場面のほとんどに使えます。
- Q. 袴をはくときは、帯の結び方を変えますか
- 変えます。袴をはく日は、一文字結びが基本です。袴の後ろにある腰板を、帯の結び目の上に乗せて支えるので、結び目が平らで横に広い形になっている必要があります。貝の口でも袴をはけなくはありませんが、腰板が結び目に乗りにくく、後ろが下がりやすくなります。七五三の付き添いや結婚式の参列など、羽織袴で出かける日は一文字結びにしてください。
- Q. 家族に帯を結んであげるとき、どこに立てばいいですか
- 着る人の後ろに立ってください。向かい合って結ぶと、左右が自分から見て反対になり、手先とたれの上下や、結び目を回す向きを取り違えやすくなります。後ろに立てば、自分が締めるときと同じ向きで手を動かせます。位置を決めるときだけ前に回り、帯の前が腰骨の上端にかかっているか、横から見て前下がりになっているかを確かめます。
— メグラシ編集部





