浴衣のリボンの結び方|下がる・ほどけるは最初のひと結びで止める

**浴衣のリボン結びが下がる・ほどけるなら、羽根の形より先に、最初のひと結びを見直してください。**胴に帯を巻いたあと、手先とたれを結ぶあのひと結びが、リボン全体を支える土台です。ここがゆるいと、どれだけ羽根をきれいに作っても、歩いているうちに結び目ごと下へずれていきます。
浴衣を着る機会は夏だけではありません。秋祭り、宿の夜、秋の花火、友人との集まり。秋は夏より長い時間浴衣で過ごすことも多く、そのあいだにリボンが下がってくると、気になって何度も背中に手を回すことになります。
この記事では、リボン結びを下がらない・ほどけないように結ぶための手順を、最初のひと結びから順に書いていきます。帯を前で結んでから後ろへ回す、ひとりで結ぶ方法を前提にしています。
結論:上に出すのは手先、締めるのは斜め上、指を1本当てたまま羽根を作る
リボン結びを下がらない・ほどけないものにするために、守ってほしいのは次の3つです。
ひとつめは、最初のひと結びで、上に出す側を手先にすることです。手先は胴に巻く前に取り分けておいた短いほう、たれは胴に巻いたあとに残る長いほうです。ひと結びで手先を上に出すと、手先があとで羽根の中心を巻く役になり、結び目全体を上から押さえる形になります。
ふたつめは、ひと結びを斜め上へ引いて締めることです。手先を左上へ、たれを右下へ、というように、結び目をはさんで上と下へ引くのではなく、両方とも少し上へ向けて引きます。こうすると結び目が胴の上側に押しつけられ、羽根の重さで下へずれにくくなります。
みっつめは、ひと結びの上に指を1本当てたまま、羽根を作ることです。羽根を作るあいだ、たれを引いたり折ったりするたびに、ひと結びに力がかかります。指で押さえておかないと、羽根を作っているうちにひと結びがゆるみます。
この3つを守れば、リボンの羽根の大きさや形は、好みで決めて構いません。
📋 早見表|下がり方とほどけ方から、直す場所を出す
| 起きていること | 原因になりやすい場所 | 直す場所 |
|---|---|---|
| 結び目ごと下へずれる | 最初のひと結びがゆるい | ひと結びの締め方 |
| 羽根だけが垂れ下がる | 羽根が大きすぎる、帯に張りがない | 羽根の折り幅と大きさ |
| 中心がゆるんで羽根が広がる | 中心を巻く回数が少ない | 中心の巻き方と差し込み |
| 後ろへ回したあとに崩れる | 回すときに結び目を握った | 回し方 |
| 座ったあとに形が崩れる | 背もたれに押された | 座り方と羽根の大きさ |
表は直す場所を見つけるためのものです。それぞれの直し方は、このあと順に書きます。
リボン結びの手順|前で結んで、後ろへ回す
まず、リボン結びの手順をひと通り書いておきます。ここでは、半幅帯や浴衣用の帯を、体の前で結んでから後ろへ回す方法を前提にしています。
- 帯の端から、手先にする長さを取り分ける。長さの決め方はこのあと書きます
- 手先を左肩に預けるか、胸の前で持って、残りの帯を胴に2周巻く
- 2周巻いたら、たれを斜めに折り上げて、手先と交差させる
- 手先を上にして、ひと結びをする。斜め上へ引いて締める
- ひと結びの上に指を1本当てたまま、たれで羽根を作る
- 羽根の中心を、手先で2回巻く
- 手先の端を、胴に巻いた帯の内側へ深く差し込む
- 羽根の形を整える
- 帯の上端と下端を持って、時計回りに後ろへ回す
手順を始める前に、浴衣の着付けが終わっていることを確かめてください。腰紐と伊達締めが締まり、衿の合わせが整った状態で帯に取りかかります。帯を結んでいる途中で浴衣の合わせを直そうとすると、帯がゆるみ、最初のひと結びからやり直すことになります。鏡の前に立ち、前から見て衿が左右同じ角度で合わさっているかを見てから、帯を手に取ります。
帯は、結ぶ前に一度広げて、ねじれがないかを確かめておきます。たたみじわや、前に結んだときの折り癖が残っていると、胴に巻くときに帯がよじれ、その部分で帯の張りが弱くなります。
この9つのうち、リボンが下がる・ほどけるかどうかを決めるのは、1と4と6と7と9です。羽根の形を作る5と8は、見た目を決める手順で、下がるかどうかにはあまり関わりません。
測るところ①|手先の長さは、胴に巻く前に決める
リボンが崩れる原因として見落とされやすいのが、手先の長さです。
手先が短すぎると、羽根の中心を2回巻けず、1回巻きで終わってしまいます。中心がゆるみやすくなり、羽根が広がってほどけます。手先が長すぎると、中心を巻いたあとに余りが多く残り、その余りを差し込んだ部分が厚くなって、結び目が下へ引っぱられます。
手先の長さの目安は、肩から指先までの長さです。帯の端を肩に当てて、腕をまっすぐ横へ伸ばし、指先のところで帯を持ってください。そこまでが手先です。体格によって違いますが、多くの人で60cm前後になります。
肩から指先までという目安には理由があります。手先は、ひと結びに使う長さと、羽根の中心を2回巻く長さと、内側に差し込む長さの3つを足したものです。この3つを合わせると、だいたい腕の長さと同じくらいになります。
帯の長さが短めの場合は、手先を少し短くして、胴に巻く長さを確保します。ただし、肘から指先までより短くすると中心を2回巻けなくなるので、それより短くはしないでください。
手先の長さを決めたら、手先とたれの境目に洗濯ばさみや小さなクリップを留めておくと、胴に巻いているあいだに境目がずれません。
測るところ②|最初のひと結びの向きと、締める方向
最初のひと結びは、リボン結びの土台です。ここで決めておくことは2つあります。
上に出す側は、手先にしてください。胴に2周巻いたあと、たれを斜めに折り上げて手先と交差させ、手先を上からくぐらせて結びます。結んだあと、手先が上、たれが下になっていれば正しい形です。
手先を上に出すと、あとで羽根の中心を巻くとき、手先が結び目の上から下へ回る形になります。この動きで、結び目が上から押さえられ、ひと結びがゆるみにくくなります。逆にたれを上に出すと、羽根を作るたれが結び目の上から出ることになり、羽根の重さがひと結びを下へ引っぱります。
締める方向は、斜め上です。手先とたれをそれぞれ持って、両方とも少し上へ向けて引いてください。手先は顔のほうへ、たれは肩のほうへ、というくらいの角度です。まっすぐ左右へ引いたり、上下へ引いたりすると、結び目が胴の下側へずれます。
締める強さは、息を吐ききってから、もう一段です。息を吸った状態で締めると、吐いたときにお腹がへこんで帯がゆるみます。息を吐ききった状態で締めておけば、そのあと息を吸っても、帯は苦しくない程度に体へ沿います。
締めたあと、ひと結びの真上に、人差し指を1本縦に当ててください。この指は、羽根を作り終えるまで離しません。
締めたあとに、ひと結びがゆるんでいないかを確かめる方法もあります。ひと結びの下に、指を1本だけ横から差し込んでみてください。指の第一関節までしか入らないなら、十分に締まっています。指の付け根まで楽に入るようなら、ゆるすぎます。その場合は、手先とたれをもう一度斜め上へ引いて、締め直してください。
ひと結びの位置も見ておきます。ひと結びは、胴に巻いた帯の上端より少し下、帯の幅の真ん中よりやや上に来るのが目安です。帯の下端に近い位置でひと結びをすると、羽根の重さで結び目が下へ倒れやすくなります。帯の上端にぴったり寄せると、胸の下が苦しくなります。帯の幅を3つに分けて、上から1つ目と2つ目の境目あたりにひと結びが来ると、下がりにくく、苦しくもありません。
測るところ③|羽根の折り幅と大きさ
羽根の形は好みで決めて構いませんが、下がりにくさを考えるなら、折り幅と大きさに目安があります。
折り幅は、帯の幅をそのまま使うか、半分に折って使うかです。帯の幅をそのまま使うと、羽根が大きく広がり、華やかに見えます。そのかわり羽根が重くなり、帯の張りが弱いと垂れ下がりやすくなります。帯の幅を半分に折ると、羽根が細くなり、軽くなります。下がりやすい帯なら、半分に折ってください。
大きさは、羽根の片側の長さで考えます。目安は、結び目の中心から羽根の端までが、自分の手のひらの長さくらいです。手首から中指の先までを羽根の片側にすると、左右の羽根を合わせた幅が、背中の幅より内側に収まります。これより大きくすると、羽根の端が肩甲骨の外へはみ出し、羽織を重ねたり背もたれにもたれたりしたときに押されます。
羽根の作り方は、たれを屏風のように折りたたむ方法が、下がりにくい形です。たれを手のひらの長さで左右に折り返し、2枚か3枚重ねたところで、真ん中をつまんでひだを作ります。ひだは山を2つ作ると、羽根の中心が締まり、形が崩れにくくなります。
羽根の数を増やしたいときは、折り返しを3回にして、羽根を左右2枚ずつにします。そのぶん羽根が重くなるので、帯に張りがあるときだけにしてください。
中心の巻き方|2回巻いて、指の付け根まで差し込む
羽根ができたら、その中心を手先で巻きます。ここが、ほどけるかどうかを決める手順です。
手先を、羽根の中心の上から下へ回し、1回巻きます。そのまま、もう1回巻きます。2回巻くと、中心がしっかり締まり、羽根がずれにくくなります。1回巻きだと、歩いているうちに羽根が少しずつ回り、中心がゆるみます。
巻くときは、1回目と2回目で巻く位置を少しずらさず、同じ場所に重ねてください。ずらして巻くと、中心が太くなり、羽根のひだが広がります。
2回巻いたら、手先の残りを、**胴に巻いた帯の内側へ、上から下へ差し込みます。**このとき、差し込む深さが大事です。浅く差し込むと、動いているうちに手先が抜けて、中心の巻きがほどけます。指の付け根まで入るくらい深く差し込んでください。
差し込むときに指が入りにくい場合は、帯と浴衣のあいだに、先に指を2本差し込んで道を作ってから、手先を差し込んでください。無理に押し込むと、手先がよじれて、中心の巻きがゆるみます。帯板を入れている場合は、帯板と帯のあいだに差し込むと、すべりがよく、深く入ります。
差し込んだ手先の端が、帯の下からはみ出す場合は、内側で折り返してから差し込みます。はみ出したまま後ろへ回すと、帯の下端から端がのぞきます。
回し方|結び目に触らず、帯の上端と下端を持つ
前で結んだリボンを後ろへ回すとき、**結び目を握って回してはいけません。**握った手の力で中心がゆるみ、羽根の形も崩れます。
回すときは、両手で帯の上端と下端を持ちます。右手は体の右側の帯の上端と下端を、左手は左側の上端と下端を、それぞれ親指と他の指ではさむように持ちます。そのまま、時計回りに少しずつ回していきます。
時計回りに回すのは、浴衣の衿の合わせと同じ向きに帯を動かすためです。逆に回すと、浴衣の上前が帯に引っぱられて、衿元が崩れることがあります。
回している途中で、帯がきつくて動かないことがあります。そのときは、息を吐いてお腹を少しへこませてから回してください。それでも動かないなら、ひと結びが強すぎるので、一度ほどいて締め直します。
後ろに回しきったら、結び目が背中の真ん中に来ているかを確かめます。真ん中より少し左右にずらしても構いませんが、ずらす場合も、結び目の高さは変えないでください。
帯の張りによる違い|張りの強い帯と、やわらかい帯
同じ結び方でも、帯の張りによって下がりやすさが変わります。
張りの強い帯は、羽根が自分で形を保つので、下がりにくい帯です。帯の幅をそのまま使った大きめの羽根でも、形が崩れにくくなります。そのかわり、ひと結びが固くなりやすく、締めるのに力がいります。息を吐ききってから締めることを、特に意識してください。
やわらかい帯は、羽根が垂れ下がりやすい帯です。帯の幅を半分に折って羽根を作り、羽根の大きさも手のひらより少し小さめにしてください。中心を巻く回数も、2回を必ず守ります。
表面がつるつるした帯は、ひと結びがすべってゆるみやすい帯です。ひと結びを締めたあと、もう一度、手先とたれを斜め上へ引いて締め直してください。2度締めると、すべりにくくなります。
綿の帯と化学繊維の帯でも違いがあります。綿の帯は表面に適度な摩擦があり、ひと結びがすべりにくい帯です。そのかわり、湿気を吸うとやわらかくなり、夜が更けるにつれて羽根が垂れやすくなります。化学繊維の帯は、湿気で形が変わりにくい一方、表面がすべりやすいものが多くあります。秋の夜露が降りる時間まで外にいるなら、綿の帯は羽根を小さめに、化学繊維の帯はひと結びを2度締めにしてください。
自分の帯がどれに当たるかは、帯を手に取って、片手で端を持ってみると分かります。帯がまっすぐ横に伸びたまま保てるなら張りが強く、すぐに垂れ下がるならやわらかい帯です。
帯板と伊達締めで、土台を固める
リボンが下がる原因は、帯そのものだけではありません。帯の下の土台が崩れていると、帯ごと下がっていきます。
浴衣の土台になるのは、腰紐と伊達締め、そして帯板です。腰紐が腰骨より上でしっかり締まっていないと、歩いているうちに浴衣ごと帯がずり落ちます。腰紐は、腰骨の少し上で、息を吐いてから結んでください。
伊達締めは、胸の下で浴衣の合わせを押さえるものです。伊達締めがゆるいと、帯の上端が下へ折れ曲がり、帯全体が下へずれます。
帯板は、胴に帯を巻くときに前側に挟む板です。帯板を入れておくと、帯の前側が平らに保たれ、ひと結びの土台が安定します。帯板を入れずに結ぶと、帯が胴の中でよじれ、そのよじれがひと結びをゆるめます。帯板は、胴に1周巻いたところで、帯と帯のあいだに挟んでください。
秋の着方で起きること|羽織、座る時間、夜風
秋に浴衣を着るときは、夏とは違う場面でリボンに力がかかります。
ひとつは、羽織を重ねることです。秋の夜は冷えるので、浴衣の上に薄手の羽織を重ねることがあります。羽織の背中がリボンを上から押さえるので、羽根が大きいと、羽織の中で潰れたり、羽根に押されて結び目が下がったりします。羽織を重ねる予定があるなら、羽根の大きさを手のひらより一回り小さくしてください。
もうひとつは、座る時間が長いことです。秋祭りの屋台で座って食べる、宿の夕食で座椅子に座る。背もたれにもたれると、リボンが押しつぶされ、中心がゆるみます。座るときは、背もたれとのあいだにこぶし1つ分のすき間を空けてください。すき間を空けにくい椅子なら、座る前に結び目を少し横へずらしておくと、背骨の真上で押されずに済みます。
秋の夜風も、リボンの羽根を揺らします。風で羽根が何度も揺れると、中心の巻きが少しずつゆるみます。風の強い日は、羽根を小さめにして、中心を2回しっかり巻いてください。
秋に浴衣を着るときは、浴衣の下に薄手の肌着を重ねることも多くなります。肌着を重ねると、胴まわりが少し太くなり、帯を巻く長さが夏より長く必要になります。夏にちょうどよかった手先の長さだと、秋にはたれが足りなくなることがあるので、肌着を重ねた状態で一度結んでみてください。足りないなら、羽根を1枚減らすか、折り幅を半分にします。
夏より長い時間浴衣で過ごすぶん、ひと結びを締める強さにも気を配ってください。締めすぎると、長い時間のうちに胸の下が苦しくなり、自分で帯をゆるめたくなります。ゆるめると、リボンも一緒に下がります。息を吐ききってから締める、という目安を守れば、長く着ていても苦しくなりにくくなります。
練習は、家で3回だけ
リボン結びを下がらないように結べるようになるには、出かける前の日に、家で3回だけ練習してください。
1回目は、手先の長さを取り分けるところから、後ろへ回すところまで、手順を確かめながらゆっくり結びます。このとき、ひと結びの上に指を当てたまま羽根を作れるかを確かめます。
2回目は、結んだあと、家の中を10分ほど歩き回ってみてください。階段を上り下りしたり、椅子に座ったり立ったりします。10分たったら、背中に手を回して、結び目の高さが変わっていないかを確かめます。下がっていたら、ひと結びの締め方をもう一度見直します。
3回目は、時間を測って結んでみてください。慣れてくると、手先を取り分けてから後ろへ回すまで、10分ほどで結べるようになります。当日の出かける時間から逆算して、着付けにかける時間を決めておくと、慌てずに済みます。慌てて結ぶと、いちばん先に手を抜くのが最初のひと結びです。
3回の練習で、自分の帯の張りや長さの癖も分かってきます。羽根が垂れやすい帯なら折り幅を半分に、たれが足りない帯なら羽根を1枚減らす。その帯に合った形が、練習のうちに決まります。
どちらとも取れるとき①|帯が短くて、羽根を作る長さが足りない
帯が短いと、胴に2周巻いたあとに残るたれが少なく、羽根を作る長さが足りなくなります。このとき、羽根を小さくするか、胴に巻く回数を減らすかで迷います。
まず、手先の長さを確保することを優先してください。手先が短いと中心を2回巻けず、ほどけやすくなるからです。手先を肩から指先までの長さで取り、残りで胴を巻いてみます。
胴に2周巻いてたれが手のひら2つ分より短いなら、胴に巻くのを1周半で止めてください。1周半でひと結びに入ると、たれが半周分長く残ります。このとき、胴の後ろ側で帯が重ならない部分ができるので、帯板を必ず入れて、帯の形が崩れないようにします。
それでも足りないなら、羽根を左右1枚ずつにして、帯の幅を半分に折って作ります。羽根は小さくなりますが、下がりにくく、ほどけにくい形になります。
どちらとも取れるとき②|子どもの浴衣をリボン結びにする
子どもの浴衣の帯をリボン結びにするときは、大人とは違う決め方が必要です。
子どもは、大人よりもよく動きます。走る、しゃがむ、抱っこされる。そのたびに帯に力がかかるので、羽根は大人より小さめにしてください。目安は、子どもの手のひらの長さです。
手先の長さは、子どもの肩から指先までではなく、大人の肘から指先までを目安にします。子どもの胴は細いので、胴に巻く長さが短くて済み、そのぶん手先とたれに長さを回せます。手先を長めに取っておくと、中心を2回巻いても余裕があります。
子どもの浴衣で使われる、やわらかい帯の場合は、リボン結びにしても羽根が垂れ下がりやすくなります。羽根を作るときに、ひだを山2つにしっかり作り、中心を2回巻いてください。抱っこする予定があるなら、結び目を背中の真ん中から少し横へずらしておくと、抱いた腕に当たりにくくなります。
どちらとも取れるとき③|一人で後ろが見えない
前で結んで後ろへ回す方法でも、回したあとの形は、ひとりでは見えません。下がっていないか、ほどけかけていないかを、どう確かめればいいか迷う人は多いと思います。
手で触って確かめる方法があります。後ろへ回したあと、両手を背中に回して、結び目の位置を指で探してください。結び目の上端が、肩甲骨の下端あたりにあれば、高さは十分です。それより低ければ、ひと結びがゆるんで下がっています。
羽根の左右の長さも、指で確かめられます。結び目から羽根の端まで、左右それぞれ指でなぞって、長さが同じかを比べます。片方だけ長いなら、中心の巻きがずれています。
鏡が2枚あれば、合わせ鏡で背中を見られます。洗面所の鏡と手鏡で、背中のリボンを映してください。出先では、携帯のカメラで背中を写す方法もあります。腕を背中側へ伸ばして写すか、誰かに頼めるなら1枚撮ってもらいます。
触って確かめるときに、羽根の端がどちらか下を向いていたら、羽根の中で帯がねじれています。ねじれは、羽根の端を指でつまんで、外側へ軽く引き出すと直ります。中心をほどかずに直せるので、出先でも試しやすい方法です。
出かける前に1度、出先に着いたら1度、確かめる習慣をつけておくと、下がりかけても早めに気づけます。
出先で下がったときの直し方
出先でリボンが下がってきたら、**全部ほどかずに、中心の巻きを締め直してください。**全部ほどくと、ひとりで結び直すのに時間がかかり、出先では鏡も帯板も使えないことが多いからです。
直し方は、次の順です。
- 両手を背中に回して、羽根の中心を探す
- 中心に巻いた手先の、差し込んだ端を少し引き出す
- 引き出した手先で、中心をもう一度きつく巻く
- 手先の端を、帯の内側へ深く差し込み直す
- 結び目の下に指を入れて、上へ押し上げる
この5つで、多くの場合は下がったリボンが元の高さに戻ります。手先の端を引き出すときは、全部抜いてしまわないように、指先で少しずつ引いてください。抜けてしまうと、中心の巻きがほどけ、羽根がばらばらになります。
人の多い場所で直すのが気になるなら、壁や柱を背にして立ち、両手を背中に回してください。壁と背中のあいだに少しすき間を作れば、周りからは手元が見えにくくなります。秋祭りの会場なら、屋台の裏手や、境内の端の木の陰など、人の流れから外れた場所を選ぶと落ち着いて直せます。結び目の下に指を入れて押し上げるときは、帯の上端を軽く持ち上げるようにすると、胴の帯ごと上がります。
それでも下がるなら、ひと結びそのものがゆるんでいます。この場合は、宿に戻ってから、または手洗いの個室で、帯を前に回してひと結びから結び直してください。出先で全部をほどき直すのは、時間に余裕があるときだけにします。
下がりかけたときに、自分で気づく合図
出先でリボンが下がりはじめたとき、早く気づけるほど、直すのも簡単です。気づくための合図がいくつかあります。
ひとつは、背中の帯の上端が、浴衣の背縫いに沿って斜めになることです。リボンが下がると、帯の後ろ側が下へ引っぱられ、前側より低くなります。前の帯の上端を指でなぞって、脇まで来たときに帯の上端が下がっているように感じたら、後ろが下がりはじめています。
もうひとつは、胸の下が楽になったと感じることです。結んだときより呼吸が楽になったら、帯がゆるんでいる合図です。楽になったのは、ひと結びがゆるみ、帯全体が下へずれたからです。この時点で中心の巻きを締め直しておけば、羽根が崩れる前に直せます。
座ったあと立ち上がるときも、気づく機会です。立ち上がったら、すぐに背中に手を回して、結び目の高さを確かめる習慣をつけてください。座っているあいだに背もたれに押されていれば、ここで分かります。
よくある行き違い
**羽根を小さくすれば下がらないと思う。**羽根が小さいと軽くなりますが、ひと結びがゆるいままだと、小さな羽根でも下がります。先にひと結びを見直してください。
**ひと結びを、たれを上にして結ぶ。**たれを上に出すと、羽根の重さがひと結びを下へ引っぱります。上に出すのは手先です。
**中心を1回だけ巻いて終わる。**1回巻きでは、歩いているうちに羽根が回り、中心がゆるみます。必ず2回巻いてください。
**結び目を握ったまま後ろへ回す。**握った手の力で中心がゆるみます。帯の上端と下端を持って回してください。
**きつく締めれば下がらないと思う。**締めすぎると苦しくなり、時間がたつと自分でゆるめたくなります。息を吐ききってから締める強さで十分です。強さよりも、手先を上に出すことと、斜め上へ引くことのほうが効きます。
**手先の長さを決めずに、胴に巻き始める。**巻き終わってから手先が足りないと気づくと、全部やり直しになります。肩から指先までの長さを先に取り分けて、境目に印をつけてから巻いてください。
**帯板を入れずに結ぶ。**帯の前側がよじれて、ひと結びがゆるみやすくなります。帯板は胴に1周巻いたところで挟みます。
装いに活かすなら
浴衣のリボン結びは、最初のひと結びさえしっかり締めておけば、羽根の形は自由に楽しめます。まずは手持ちの帯で、手先の長さを肩から指先までで取り、手先を上に出して斜め上へ締める練習をしてみてください。その上で、羽根の大きさや数を変えていくと、下がらないリボンの中で好きな形が見つかります。
秋の浴衣は、夏よりも長く着ていることが多くなります。下がらない・ほどけないリボンなら、背中を気にせずに過ごせます。
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よくある問い
- Q. 浴衣のリボン結びが、すぐに下がってきてしまいます
- 羽根の形を直す前に、最初のひと結びを見直してください。リボンが下がる原因の多くは、胴に巻いたあとのひと結びがゆるく、羽根の重さで結び目ごと下へずれていくことにあります。ひと結びをするときは、手先を上に出し、手先とたれを斜め上へ引いて締めます。そのあと、結び目の上に指を1本当てたまま羽根を作ると、ひと結びがゆるみません。羽根の大きさを小さくするのは、それでも下がるときだけで構いません。
- Q. リボン結びをすると、どうしても途中でほどけてしまいます
- ほどけるのは、羽根の中心を巻く回数が足りないか、巻いた手先の端を差し込む場所が浅いことが多いです。中心は手先で2回巻き、2回目の端を胴に巻いた帯の内側へ、指の付け根まで深く差し込んでください。帯の張りが弱い素材だと、1回巻きではほどけやすくなります。また、結んだあと後ろへ回すときに、結び目を握ったまま回すと中心がゆるみます。回すときは帯の上端と下端を両手で持って、結び目には触らないようにしてください。
- Q. 帯が短くて、リボンの羽根がうまく作れません
- 短い帯では、羽根の数を減らすか、羽根の折り幅を狭くしてください。胴に2周巻くと残りが足りない場合は、1周半で止めて、ひと結びに入る形もあります。そのときは、胴の後ろ側で帯が重なる部分が少なくなるので、帯板を必ず入れて、帯の形が崩れないようにします。羽根は左右1枚ずつにして、帯幅を半分に折って作ると、短い長さでも形が整います。手先の長さを先に決めておくと、残りの長さが見通せます。
- Q. 秋祭りや旅館で浴衣を着るとき、リボン結びで気をつけることはありますか
- 秋の夜は、羽織を重ねたり、椅子や座椅子の背にもたれたりすることが増えます。背中のリボンが押されると、結び目に力がかかり、ゆるみやすくなります。羽根の大きさは、背中の幅より内側に収まる程度にして、座るときは背もたれとのあいだにこぶし1つ分のすき間を空けてください。また、秋の夜は夏より長い時間外にいることもあるので、出かける前に最初のひと結びをしっかり締めておくと、途中で結び直す手間が減ります。
— メグラシ編集部





