文庫結び 浴衣と秋の着物|羽根の大きさは肩幅から決める

**メジャーを持って、鏡に背中を向けてください。**左の肩先から右の肩先まで、何cmありますか。
文庫結びは、浴衣の半幅帯でいちばんよく結ばれる形です。手順はどこにでも書いてありますが、結んでみると羽根が大きすぎる、小さすぎる、時間がたつと下がってくる。形が決まらない原因の多くは、羽根の大きさを帯の残りに任せていることにあります。
羽根の大きさは、帯ではなく、自分の肩幅から決めます。そのうえで、枚数・角度・高さ・たれの長さを、その日の予定で選びます。浴衣だけでなく、秋に木綿やウールの着物へ半幅帯を結ぶときも、同じ手順で決まります。
帯の長さからどの結びができるかは半幅帯の結び方に、旅館の浴衣の帯は旅館の浴衣の帯の結び方にまとめてあります。この記事は、文庫結びの大きさと形だけを扱います。
結論:羽根の全幅は、肩幅より少し内側で止める
文庫結びの羽根は、背中から見て、左右の肩先より内側に収まっていると落ち着いて見えます。外に出ると、帯が上半身より目立ちます。
| 決めること | 基準 | 変える材料 |
|---|---|---|
| 羽根の全幅 | 肩幅の8〜9割 | 好みと帯の長さ |
| 羽根の枚数 | 2枚か4枚 | 座る時間 |
| 羽根の角度 | 水平〜やや斜め | 着ていく場と年齢感 |
| 羽根の高さ | 帯の上端から2〜3cm出る | 髪型と羽織 |
| たれの長さ | 帯の下端から0〜10cm | 帯の張りと予定 |
5つのうち、先に決めるのは全幅です。全幅が決まれば、残りの4つはその日の予定で選べます。
逆の順番で決めると、うまくいきません。たとえば角度や枚数から先に決めて、帯の残りに任せて羽根を作ると、帯が長い日は羽根が大きくなりすぎ、短い日は小さくなりすぎます。同じ人が同じ浴衣を着ても、帯を替えるたびに後ろ姿が変わってしまうのは、このためです。肩幅は帯を替えても変わらないので、基準として使えます。
📋 早見表|肩幅と、羽根の全幅・片側の長さ
背中側で測った肩幅と、羽根の大きさの目安です。
| 肩幅 | 羽根の全幅(8〜9割) | 片側の長さ | 小さめにするなら(7割) |
|---|---|---|---|
| 34cm | 27〜31cm | 14〜15cm | 24cm |
| 36cm | 29〜32cm | 14〜16cm | 25cm |
| 38cm | 30〜34cm | 15〜17cm | 27cm |
| 40cm | 32〜36cm | 16〜18cm | 28cm |
| 42cm | 34〜38cm | 17〜19cm | 29cm |
| 44cm | 35〜40cm | 18〜20cm | 31cm |
片側の長さは、羽根の中心(結び目)から端までです。**片側25cmを超えると、どの肩幅でも羽根が肩の線より外に出ます。**大きく見せたい日でも、片側25cmまでにとどめてください。
8割と9割のどちらにするかは、好みで選んで構いません。8割は背中の左右に余白が残り、すっきりと見えます。9割は羽根が肩の線に近づき、華やかに見えます。迷ったら8割で作り、鏡で見て物足りなければ、次に結ぶときに9割に広げてください。小さく作ったものは広げられますが、大きく作ったものは帯の長さを戻せません。
始める前に|帯の長さと、残る長さ
羽根の大きさは肩幅で決めますが、その大きさを作れるかどうかは、帯の長さで決まります。
| 帯の長さ | 2周巻いたあとの残り(胴回り85cm) | 作れる羽根 |
|---|---|---|
| 300cm | 約130cm | 全幅30cm前後を2枚 |
| 330cm | 約160cm | 全幅34cm前後を2枚、または小さめを4枚 |
| 360cm | 約190cm | 全幅36cm前後を4枚 |
| 400cm | 約230cm | 全幅40cm前後を4枚、たれを長く |
残りの長さのうち、手先に取る分が80cm前後あります。羽根に使えるのは、残りからその分を引いた長さです。**羽根1枚には、全幅の2倍の長さが要ります。**全幅34cmの羽根を2枚作るなら、約70cmが必要です。
自分の帯の長さが分からないときは、帯を床に伸ばしてメジャーで測ってください。帯の端から端まで、一度測っておけば、次からはその数字で羽根の大きさを見積もれます。胴回りは、帯を締める位置(みぞおちとへその間)で、浴衣を着た上から測ります。
肩幅の測り方|背中側で、肩先から肩先まで
肩幅は、服のサイズ表の数字ではなく、自分の背中で測ります。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 腕を体の横に自然に下ろす |
| 2 | 左右の肩の先の、骨がいちばん外に出ている点を指で探す |
| 3 | 背中側で、その2点の間をメジャーで測る |
| 4 | 1人で測るときは、壁に背を付けて印を付ける |
| 5 | 浴衣や着物を着た状態で、もう一度見る |
浴衣を着た状態では、衿と身頃の布が肩にかかるので、素肌で測った数字より1〜2cm広く見えます。羽根の大きさは素肌で測った数字から決め、着たあとに鏡で肩の線と比べてください。
羽根の枚数|2枚か4枚か
文庫結びの羽根は、1往復の屏風だたみで2枚、2往復で4枚になります。枚数を決めるのは、見た目の好みより、その日に座る時間です。
| その日の予定 | 枚数 | 理由 |
|---|---|---|
| 椅子に1時間以上座る | 2枚 | 背中の厚みが3cm前後に収まる |
| 車の座席に長く座る | 2枚 | 背もたれで羽根がつぶれにくい |
| 立って歩く時間が長い | 4枚 | 羽根が重なって形が保てる |
| 写真を撮る予定がある | 4枚 | 後ろ姿にふくらみが出る |
| 羽織を重ねる | 2枚 | 羽織の下で形が浮かない |
| 子どもを抱く・荷物を背負う | 2枚か、結びを変える | 背中に当たるものがある |
4枚にすると背中の厚みが5cmを超え、椅子の背もたれに当たった分だけ上半身が前に出ます。座る予定がある日は2枚と決めてください。
2枚の文庫は、4枚に比べて平たく見えますが、そのぶん帯の柄や色がはっきり見えます。柄のある帯や、表と裏で色の違う帯を使う日は、2枚のほうが帯そのものの良さが出ます。無地の帯でふくらみを出したい日は4枚、柄を見せたい日は2枚、と分けるのもひとつの選び方です。
羽根の角度|水平・斜め・やや下がり
羽根の角度で、同じ大きさでも印象が変わります。
| 角度 | 見え方 | 合わせやすい場 |
|---|---|---|
| 水平 | 落ち着いて見える | 屋内の催し・食事 |
| 片方を少し上げた斜め | 動きが出る | 祭り・街歩き |
| 両端をやや下げる | やわらかく見える | 秋の着物・羽織の下 |
| 両端を上げる | 華やいで見える | 写真を撮る日 |
角度は、結び終えて背中に回したあと、羽根の端を指でつまんで整えます。斜めにするときは、上げる側を右肩にすると、衿の合わせの向きと揃って見えます。
角度は、帯の張りにも左右されます。硬い帯は、つまんで上げた角度がそのまま保たれます。柔らかい帯は、時間がたつと水平か、やや下がった角度に落ち着きます。柔らかい帯で斜めの文庫にしたいときは、はじめに少し強めに上げておくと、落ち着いたときにちょうどよい角度になります。
羽根の高さ|帯の上端から何cm出すか
羽根の上端が、帯の上端よりどれだけ上に出るかで、後ろ姿の重心が変わります。
| 帯の上端からの出方 | 見え方 | 合わせる髪型・予定 |
|---|---|---|
| 出さない | 低く落ち着く | 下ろした髪・羽織を重ねる |
| 2〜3cm出る | ふつうの文庫 | たいていの日 |
| 5cm前後出る | 高い位置で華やぐ | まとめ髪・写真の日 |
髪を高い位置でまとめる日は、羽根も少し高くすると、後ろ姿の上下のつり合いが取れます。髪を下ろす日は、羽根が髪の毛先に触れないよう、帯の上端から出さない高さにしてください。
高さを決めるのは、羽根を背中に回したあとです。羽根の下に手のひらを当てて、軽く押し上げると、帯の上端から羽根が出てきます。押し上げすぎると、羽根の根元が帯から浮いて不安定になるので、上端から5cmまでにとどめてください。
たれの長さ|下に垂らすか、しまうか
羽根を作ったあとのたれを、羽根の下に垂らすか、帯の中にしまうかも選べます。
| たれ | 見え方 | 向いている日 |
|---|---|---|
| しまう | すっきりした四角い文庫 | 座る時間が長い日 |
| 帯の下端から5cm | 重心が下がり、大人びる | 秋の着物・食事 |
| 帯の下端から10cm | 縦の線が伸びる | 立っている時間が長い日 |
たれを長く垂らすと、椅子に座ったときに背もたれと腰の間に挟まります。座る日はしまうか5cmまでにしてください。
たれをしまうときは、羽根を作った残りを内側に折り返して、羽根の裏に重ねます。たれの先が帯の下端から少しでも見えると、しまい忘れのように見えるので、しまうと決めたら全部を羽根の裏に入れてください。垂らすときは、たれの先を帯の下端と平行にそろえると、整って見えます。
帯の張りで変わること|硬い帯と柔らかい帯
同じ半幅帯でも、張りの強さで羽根の形の保ち方が違います。帯を半分に折って、手を離したときの戻り方を見てください。
| 折って離したとき | 帯の張り | 羽根の作り方 |
|---|---|---|
| すぐに開く | 硬い | 大きめでも形が保てる・2枚で十分 |
| ゆっくり開く | 中くらい | 目安どおりの大きさで |
| 折れたまま | 柔らかい | 小さめにして4枚で重ねる |
| しわが残る | 柔らかく薄い | 羽根の根元を強めに巻く |
柔らかい帯で大きな羽根を作ると、時間とともに端から垂れてきます。柔らかい帯ほど小さく、枚数で形を作ると覚えておいてください。
帯の張りは、使っているうちにも変わります。何度も結んだ帯は、新しいときより柔らかくなり、羽根の端が垂れやすくなります。去年と同じ大きさで結んで形が保てないと感じたら、帯の張りが変わったと考えて、一回り小さく作ってみてください。
手順|文庫結びを前で結ぶ
文庫結びは、前で結んでから背中へ回すと、鏡を見ながら形を整えられます。
| 手順 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 手先を80cm前後取り、残りを胴に2周巻く | 帯の上端はみぞおちの下 |
| 2 | 手先を上にして、ひと結びする | 手先が上に出る向き |
| 3 | たれを、肩幅から決めた全幅で屏風だたみにする | 2枚なら1往復 |
| 4 | たたんだ羽根の中心に山ひだを2つ作る | 中心を細く絞る |
| 5 | 手先を羽根の中心にかぶせ、2回巻く | 緩まない強さで |
| 6 | 手先の残りを帯の内側に下から差し込む | 10cm以上 |
| 7 | 羽根の左右の大きさをそろえる | 指で端を引く |
| 8 | たれを垂らすかしまうかを決める | 予定に合わせる |
手先の巻きが緩いと、羽根が下がる原因になります。2回目の巻きは、羽根の中心がくびれて見えるまで締めてください。
手順|背中へ回して、位置を整える
前で結んだ文庫を、背中へ回します。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 帯の上端に両手の親指をかけ、胴との間に少しすき間を作る |
| 2 | 結び目を右手に持ち、右回り(時計回り)に背中へ送る |
| 3 | 背中の中心から、少し右に寄せた位置で止める |
| 4 | 羽根を下から手のひらで一度押し上げる |
| 5 | 鏡で後ろ姿を見て、角度と高さを整える |
右回りに送るのは、浴衣も着物も右前に着るからです。左回りに送ると、上に重なった身頃を押し開く向きに帯が動き、衿元がはだけます。
背中の中心から少し右に寄せるのは、椅子の背もたれに結び目の中心が当たらないようにするためです。座る時間の長い日ほど、中心から外した位置のほうが、羽根がつぶれにくくなります。立っている時間の長い日は、中心に合わせても構いません。
形が崩れる・下がるときに見るところ
文庫結びが崩れるときは、原因がだいたい決まっています。
| 起きていること | 見るところ | 直し方 |
|---|---|---|
| 羽根が下がる | 手先の巻きと差し込み | 2回巻いて10cm以上差し込む |
| 全体が下がる | 帯の上端の高さ | みぞおちの下に上げる |
| 羽根の左右がずれる | 山ひだの位置 | 中心を合わせて作り直す |
| 羽根が垂れる | 帯の張り | 小さめにして枚数を増やす |
| 背中の中心から回る | 帯の締め加減 | 2周目を締め直す |
| 衿元がはだける | 回した向き | 右回りで回し直す |
崩れを直すのは、帯を解くより、羽根だけを作り直すほうが早く済みます。手先を抜いて羽根を広げ、山ひだを作り直して、もう一度手先で巻いてください。
秋に浴衣を着る日|10月の祭りと、屋内の催し
浴衣は夏のものと思われがちですが、秋にも着る場面はあります。10月の祭り、屋内の催し、旅館や温泉宿で過ごす夜などです。
| 秋の場面 | 気温の目安 | 文庫結びの変え方 |
|---|---|---|
| 10月上旬の夕方の祭り | 20℃前後 | 羽根を小さめ・たれを短く |
| 屋内の催し・演奏会 | 室内 | 座る時間が長いので2枚 |
| 旅館・温泉宿の夜 | 室内 | 宿の浴衣なら結びを変える |
| 秋の街歩き | 18〜22℃ | 羽織を重ねるなら平たく |
気温が20℃を下回る夕方は、浴衣1枚では寒くなります。下に長袖の肌着を重ね、帯の色を深い色に替えると、夏の浴衣の軽さが和らぎ、秋の装いになります。羽根を小さめにするのは、秋の夕方の光の下では、大きな羽根より小さな羽根のほうが落ち着いて見えるからです。宿の浴衣の帯は短く細いことが多いので、文庫ではなく、旅館の浴衣の帯の結び方の結び方に替えてください。
浴衣を秋の着物風に着るとき
浴衣に半衿を付け、足袋を履くと、秋の着物に近い装いになります。浴衣を秋まで着たいときの着方です。
| 変えるところ | 夏の浴衣 | 秋の着物風 |
|---|---|---|
| 衿元 | 素肌に直接 | 長襦袢か半衿付きの肌着を重ねる |
| 足元 | 素足に下駄 | 足袋に草履か下駄 |
| 帯 | 明るい色・張りのある半幅帯 | 深い色の半幅帯 |
| 文庫の大きさ | 肩幅の9割まで | 肩幅の7〜8割 |
| たれ | 長めでもよい | しまうか短く |
着物風に着る日は、衿元や足元がきちんと整うぶん、文庫の羽根は小さめのほうがつり合います。夏より一回り小さく、たれを短くと覚えておいてください。
半衿は、白よりも生成りや淡い色のほうが、浴衣の木綿の風合いとなじみます。足袋も白のほかに、柄や色のあるものを合わせると、普段着の着物らしい気軽さが出ます。帯を深い色にして文庫を小さめに結べば、浴衣であることを知らない人には、秋の木綿の着物に見えるくらいの装いになります。
木綿やウールの着物に、半幅帯で文庫を結ぶ
木綿やウールの着物は、秋から冬にかけての普段着の着物です。半幅帯の文庫結びがよく合います。
| 比べる点 | 浴衣 | 木綿・ウールの着物 |
|---|---|---|
| 生地の厚み | 薄い | 厚い |
| 胴回り | 素肌に近い | 3〜5cm増える |
| 残る長さ | 目安どおり | 1周ぶん短く感じる |
| 羽根の全幅 | 肩幅の8〜9割 | 肩幅の7〜8割 |
| 羽根の枚数 | 2枚か4枚 | 2枚が扱いやすい |
生地が厚いぶん胴回りが増え、同じ帯でも残る長さが短くなります。浴衣のときに4枚で作っていた帯なら、着物の日は2枚にして、1枚あたりの長さを確保してください。
ウールの着物は、生地の表面が帯とこすれて滑りにくいので、文庫結びが下がりにくいという良さもあります。木綿の着物は、帯との間で少し滑るので、手先の巻きを浴衣のときよりしっかり締めてください。どちらも、秋の街歩きや美術館、友人との食事など、気軽な外出に向いた組み合わせです。
羽織を重ねる日は、羽根を平たくする
秋に木綿やウールの着物を着る日は、上に羽織を重ねることが多くなります。羽織の下の文庫は、形がそのまま羽織の生地に浮き出ます。
| 羽織の丈 | 文庫の作り方 | 見るところ |
|---|---|---|
| 腰までの短い丈 | 羽根を平たく・2枚 | 羽織の裾から羽根がはみ出ないか |
| お尻が隠れる丈 | 羽根を平たく・小さめ | 背中に四角い段が出ないか |
| 膝近くの長い丈 | 平たくして、たれはしまう | 羽織の背中が持ち上がらないか |
平たくするには、羽根の山ひだを浅くし、手先で巻くときに羽根を背中側へ押しつけるように巻きます。羽織を着たまま鏡に背中を映して、段が浮いていなければそのまま出かけられます。
帯と着物の色の組み方
文庫結びは、帯の表と裏の両方が見える結びです。リバーシブルの半幅帯なら、羽根に裏の色を出すこともできます。
| 着物・浴衣の地の色 | 帯の色の選び方 | 羽根に出す色 |
|---|---|---|
| 白・生成り地 | 深い色の帯で締める | 表の深い色 |
| 紺・黒地 | 明るい色か黄み寄りの色 | 裏の明るい色を少し |
| 秋の茶・からし地 | 同系の濃い色か、反対の青み | 表 |
| 柄の多い地 | 無地の帯 | 表 |
| 無地の地 | 柄のある帯 | 柄の多い面 |
色の組み方の考え方は着物の帯の色の合わせ方にもまとめてあります。
リバーシブルの帯で裏の色を羽根に出すときは、屏風だたみの途中で帯を一度ひねって、裏を外側に向けます。全部の羽根を裏にするより、4枚のうち2枚だけを裏にすると、表と裏の色が交互に重なって、秋らしい深みが出ます。2枚の文庫なら、表のままのほうが形がすっきりします。
子どもの文庫結び
子どもの浴衣や、七五三の前後に着る普段の着物でも、文庫結びは使えます。
| 子どもの年齢の目安 | 羽根の全幅 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 3〜5歳 | 肩幅いっぱいまで | 動くので手先を長く差し込む |
| 6〜9歳 | 肩幅の9割 | 座る時間に合わせて2枚 |
| 10歳以上 | 大人と同じ8〜9割 | 帯の長さが足りるかを先に見る |
小さな子どもは、大人より肩幅いっぱいの大きな羽根のほうが、かわいらしくつり合います。ほどけにくい結び方は子どもの帯の結び方を見てください。
子どもは走ったりしゃがんだりするので、手先を差し込む長さを大人より長く、15cm前後取ってください。結び終えたら、羽根の中心を指でつまんで軽く左右に揺らし、動かないことを確かめます。動くようなら、手先の巻きをもう1回増やします。
どちらとも取れるとき①|肩幅と好みの大きさが合わない
肩幅から決めた大きさより、もっと大きな文庫が好き、という人もいます。その場合は、全幅を広げるのではなく、枚数と高さで大きく見せてください。
- 全幅は肩幅の9割にとどめる
- 枚数を4枚にして、羽根に厚みを出す
- 羽根を帯の上端から5cm前後出す
全幅を肩幅より広げると、後ろから見たときに帯が上半身の輪郭からはみ出します。大きく見せたいときは、横ではなく縦と厚みで足してください。
どちらとも取れるとき②|帯が短くて羽根が小さくなる
帯が短いと、肩幅から決めた大きさで羽根を作れないことがあります。
| 足りない長さ | やり方 |
|---|---|
| 20cm以内 | 手先を70cmに短くして、羽根に回す |
| 20〜40cm | 羽根を2枚にして、1枚の全幅を確保する |
| 40cm以上 | 全幅を肩幅の7割に縮める |
| それでも足りない | 文庫をやめて貝の口にする |
羽根が小さくなりすぎると、背中の真ん中に小さな蝶が付いたように見えます。全幅が肩幅の6割を下回るなら、文庫にこだわらず、ほかの結びに替えたほうが後ろ姿が整います。
どちらとも取れるとき③|長く座る予定と、写真を撮る予定が両方ある
祭りの前に食事の席があり、そのあとに写真を撮る、という日もあります。座る時間を優先して2枚で作り、写真の前に角度と高さだけを整えてください。
2枚の文庫でも、羽根の端を指でつまんで少し上げ、帯の上端から2〜3cm出る高さに押し上げれば、写真では十分にふくらみが出ます。4枚で作って座ると、背もたれで羽根がつぶれ、写真の前に直すのに時間がかかります。
食事の席では、椅子に浅く腰かけ、背もたれとの間にこぶし1つぶんのすき間を空けておくと、2枚の羽根でもつぶれずに済みます。席を立ったら、写真の前に一度、羽根の下を手のひらで押し上げてください。それだけで、座る前の形にほぼ戻ります。
よくある行き違い
**「帯が長いほど、大きな文庫が作れる」。**作れますが、大きいほど後ろ姿が整うわけではありません。羽根の大きさは、帯の長さではなく肩幅で決めてください。余った長さは、たれか枚数に回します。
**「文庫は夏の浴衣の結び」。**秋の木綿やウールの着物にも、半幅帯の文庫結びはよく合います。羽根を小さめにし、羽織の下では平たく作ります。
**「崩れたら、最初から結び直す」。**羽根だけを作り直せば、帯を解かずに済みます。手先を抜いて、山ひだから作り直してください。
**「斜めにする向きは、どちらでもいい」。**どちらでも結べますが、右肩側を上げると、衿の合わせの向きと揃って見えます。
装いに活かすなら
文庫結びの形が決まらないときは、羽根の大きさを肩幅から先に決めてください。背中側で肩先から肩先まで測り、その8〜9割が羽根の全幅です。そこから枚数を座る時間で、角度と高さを髪型と場で選びます。
今夜、帯を1本出して、肩幅の8割の長さで屏風だたみを作ってみてください。背中に当てて鏡に映したとき、羽根の端が肩の線の内側にあれば、その大きさが、浴衣でも秋の着物でも使える文庫の基準になります。
関連記事
- 半幅帯の結び方 ── 2周巻いたあとの残りで、できる結びが決まる
- 旅館の浴衣の帯の結び方 ── 位置・きつさ・回す向き
- 半幅帯でお太鼓風の結び方 ── 帯の張りと座る時間で選ぶ
- 帯締めの結び方アレンジ ── 結び目と房の向きで変える
- 自分で着るときの腰紐の高さ ── 衿合わせ・おはしょりの決まり方
— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 浴衣の文庫結びの羽根は、どのくらいの大きさにすればいいですか
- 背中側で、左右の肩先から肩先までをメジャーで測ってください。その長さの8〜9割が、羽根の端から端までの目安です。肩幅40cmなら32〜36cm、片側で言うと16〜18cmになります。これより大きくすると、後ろから見たときに羽根が肩の線より外へ出て、帯が上半身より目立ちます。小さくしたいときは7割まで縮めても形は保てます。帯が短くて羽根が小さくなるときは、枚数を2枚に減らして1枚あたりの長さを確保してください。
- Q. 文庫結びが時間とともに下がってくるのはなぜですか
- 羽根の根元を留める手先の巻きが緩いか、差し込む長さが足りないことが多いです。手先で羽根の中心を2回巻いたら、手先の残りを帯の内側に下から10cm以上差し込みます。もうひとつは、帯を締める位置が低いことです。帯の上端がみぞおちより大きく下にあると、羽根の重みで全体が下がります。結ぶ前に帯の上端の高さを確かめ、結び終えたら羽根を下から手のひらで一度押し上げておくと、下がりにくくなります。
- Q. 10月に浴衣を着てもおかしくないですか
- 10月の祭りや屋内の催し、旅館で過ごす夜など、浴衣を着る場面は秋にもあります。気温が20℃を下回る夕方には、浴衣1枚では寒くなるので、下に長袖の肌着を重ねるか、半衿を付けて足袋を履き、秋の着物風に着ると季節に合います。帯を文庫結びにする場合も、羽根を小さめにし、帯の色を深い色に替えると、夏の浴衣の軽さが和らぎます。
- Q. 木綿の着物に半幅帯の文庫結びを合わせてもいいですか
- 木綿やウールの着物は普段着の着物なので、半幅帯の文庫結びはよく合います。浴衣のときとの違いは、着物の生地が厚いぶん胴回りが増えることです。同じ帯でも、浴衣のときより残る長さが短くなるので、羽根の全幅を少し小さくするか、枚数を2枚にしてください。羽織を重ねる日は、羽根を平たく作り、羽織の裾から形が浮かないように整えます。
— メグラシ編集部





