半幅帯でお太鼓風の結び方|縦長か横長かは、帯の張りと座る時間で選ぶ

**手持ちの半幅帯を1本出して、端から20cmのところを片手で持ち、水平に差し出してみてください。**帯の先は、まっすぐ伸びたままですか。それとも、すぐに下へ垂れますか。
秋の小紋や紬に半幅帯を合わせる日、貝の口や文庫では少し軽く見える。かといって、名古屋帯を出してお太鼓を結ぶほどの日でもない。そんなときに使えるのが、半幅帯で背中に四角を作るお太鼓風の結び方です。帯揚げと帯締めを使うので、胸元から帯のあたりは名古屋帯のときに近い見え方になります。
お太鼓風と呼ばれる結び方には、いくつもの形があります。この記事では、帯枕を使わずに作る縦長と横長の2つに絞ります。どちらを選ぶかは、最初の20cmの張りと、2周巻いたあとの残りの長さで決まります。
半幅帯の基本の巻き方と、残りの長さで結び方を選ぶ方法は半幅帯の結び方に、名古屋帯のお太鼓は名古屋帯のお太鼓結びにまとめてあります。
結論:お太鼓風は縦長と横長の2つ。帯の張りと座る時間で選ぶ
| 形 | 使う小物 | 2周巻いたあとの残り | 向く帯 | 向く日 |
|---|---|---|---|---|
| 縦長(帯揚げで山を作る) | 帯揚げ・帯締め | 130cm以上 | 柔らかい帯も張りのある帯も | 立っている時間が長い日 |
| 横長(たれを畳んで押さえる) | 帯締め | 110cm以上 | 張りのある帯 | 椅子に座る時間が長い日 |
縦長は名古屋帯のお太鼓に近く、横長は背中に平たく収まる形です。張りのない柔らかい帯なら縦長、張りのある帯なら両方が結べるので、その日に座る時間で選びます。
先に測る|2周巻いたあとに残る長さ
お太鼓風は、貝の口や文庫より、たれを長く使います。結べるかどうかは、胴に2周巻いたあとに何cm残るかで決まります。
- 帯を締める位置(みぞおちとへその中間)の胴回りを、メジャーで一周測る
- 帯の長さから、胴回りの2倍を引く
- 残った数字を、上の表と比べる
たとえば長さ360cmの帯で胴回りが85cmなら、残りは190cmです。縦長にも横長にも足ります。長さ320cmの帯で胴回りが95cmなら、残りは130cmで、縦長の下限ちょうどになります。
帯の長さが分からないときは、床に伸ばして、メジャーで端から端まで測ってください。10分もかかりません。
帯の張りを、20cm持って確かめる
冒頭の20cmの確かめ方が、そのまま張りの見分け方です。
- 先がまっすぐ伸びたまま:張りのある帯。縦長も横長も結べる
- 先が少し下がるが、途中で止まる:中くらいの帯。縦長が安定、横長は重ねる枚数を増やす
- すぐに下へ垂れる:柔らかい帯。縦長を選ぶ
横長の形は、帯そのものの張りで四角を保ちます。柔らかい帯を横に畳むと、重ねた面が波打って、背中で四角に見えにくくなります。縦長の形は、上の山を帯揚げで、下の線を帯締めで支えるので、帯の張りに頼らずに済みます。
縦長の結び方|帯揚げで山を作る
縦長の形は、名古屋帯のお太鼓を半幅帯の幅で作るイメージです。
- 手先を60cm取って肩に預け、胴に2周巻く
- 背中の中心でひと結びし、手先を上に出して肩に預け直す
- たれを結び目から上に持ち上げ、背中に沿わせて広げる
- 結び目から上に20cmほどのところで、たれの内側に帯揚げを横に当て、帯揚げの両端を前へ回して仮に結ぶ。ここが四角の上の山になる
- たれを背中に下ろし、帯の下端の高さで内側へ折り上げて、四角の下線を作る
- 肩の手先を下ろし、四角の中に横から通す。余った手先は四角の中に収める
- 帯締めを四角の中、下線の少し上に通して、前で結ぶ
**手順4で帯揚げを当てる高さが、その日の四角の縦幅を決めます。**高くすれば縦長が伸び、低くすれば四角が小さくなります。鏡で後ろ姿を見るのは、手順4と5のあいだの1回で足ります。
手順4で帯揚げだけでは山が落ちてくるときは、帯揚げの内側に細い紐を1本添えて、紐のほうを前でしっかり結んでください。紐が山を支え、帯揚げは上から包んで見せるだけの役目になります。紐は帯の中に隠れるので、色は何でも構いません。
後ろ姿は、合わせ鏡がなくてもスマートフォンで確かめられます。背中側に腕を回して1枚撮るだけで、四角が中心からずれていないか、山の高さが左右でそろっているかが分かります。
横長の結び方|たれを畳んで、帯締めで押さえる
横長の形は、背中に平たく収まる四角です。角出しに近い見え方になります。
- 手先を60cm取って肩に預け、胴に2周巻く
- 背中の中心でひと結びし、手先を上に出して肩に預け直す
- たれを結び目の真下から、横幅25〜30cmで屏風のように畳む。2〜3回畳んで重ねる
- 畳んだたれの中心を結び目の真下に当て、肩の手先を上からかぶせて、畳んだたれの中心に1周巻き付ける
- 巻き付けた手先の残りを、結び目の内側へ入れて留める
- 帯締めを、畳んだたれのいちばん内側の折り目に通して、前で結ぶ
畳む横幅は、自分の肩甲骨の内側の幅を超えないようにしてください。肩甲骨の内側の端どうしのあいだより広いと、四角の両端が背中の丸みで浮きます。25〜30cmは、多くの人でこの幅に収まる目安です。
四角の大きさの目安
四角の大きさは、帯の幅と、自分の背中の広さに合わせて決めます。
| 形 | 縦 | 横 |
|---|---|---|
| 縦長 | 帯幅+5cm前後(幅15cmの帯なら20cm前後) | 帯幅そのまま |
| 横長 | 帯幅そのまま | 25〜30cm |
縦長の四角が大きすぎると、帯揚げの山から下線までのあいだで布がたるみます。帯幅+5cmより長くしたいときは、たれを折り上げる位置を下げるのではなく、帯揚げを当てる高さを上げて調整してください。下線が帯の下端より下に出ると、座ったときに椅子の座面に当たります。
帯揚げと帯締めを置く高さ
帯揚げと帯締めは、色の話として語られることが多いのですが、お太鼓風では形を支える役目も持っています。
**帯揚げは、前で帯の上端から1〜2cmだけ見える量に収めます。**縦長の形では、帯揚げが四角の山を支えているので、前で引きすぎると背中の山が下がります。前で結ぶ前に、背中の山の高さを片手で押さえておくと、下がりません。
**帯締めは、四角の縦の中心より少し下に通します。**ちょうど中心だと、四角が上下に二等分されて見えます。横長の形では、帯締めがいちばん内側の折り目を押さえているので、ここがずれると重ねた面が開いてきます。
横長の形で帯揚げも使いたいときは、帯の上端に帯揚げだけを沿わせて、前で結んでください。形を支える役目はありませんが、胸元の見え方は縦長と同じになります。
座る時間と、椅子の背もたれ
どちらの形も、椅子に座ると背もたれに当たります。一日持つかどうかは、背もたれに寄りかかる時間で変わります。
- 縦長:四角に厚みがあるので、深く寄りかかると山が押されて平らになる。観劇や食事で2時間以上座る日は、背もたれとのあいだに握りこぶし1つ分を空けて座る
- 横長:背中に平たく収まるので、寄りかかっても形が変わりにくい。電車やバスで長く座る日、食事の席が長い日に向く
座敷で正座する日は、どちらの形も背中が背もたれに触れないので、形は崩れません。
どちらとも取れるとき①|張りが中くらいの帯
20cm持ったときに、先が少し下がって途中で止まる帯は、縦長も横長も結べます。
横長にするなら、畳む回数を1回増やして、3〜4枚重ねにしてください。重ねる枚数が増えるほど、四角の面が平らに保たれます。そのぶん残りの長さを使うので、2周巻いたあとの残りが130cm以上あるかを先に確かめます。
座る時間が短い日なら縦長、長い日なら重ねを増やした横長、と日によって使い分けられる帯です。
どちらとも取れるとき②|残りの長さが少し足りない
残りが縦長の130cmに届かない、あるいは横長の110cmに届かないときは、次の2つで長さを稼げます。
- 手先を60cmから50cmに減らす。10cmぶん、たれに回せる
- 帯を締める位置を、みぞおちとへその中間より少し上にする。胴回りが細い位置で巻けば、2周ぶんの長さが減る
それでも10cm以上足りないときは、お太鼓風はあきらめて、貝の口か文庫を選んでください。長さの足りない帯でお太鼓風を作ると、四角が小さくなりすぎて、背中の中で浮いて見えます。
どちらとも取れるとき③|表と裏で色が違う帯
表と裏で色や柄が違う帯は、お太鼓風でも裏を見せる場所を作れます。
- 縦長:たれを折り上げて下線を作るとき、たれ先を2〜3cmだけ外へ折り返すと、下線に裏の色が細く出る
- 横長:屏風に畳むとき、いちばん外側の1枚だけ裏返して重ねると、四角の縁に裏の色がのぞく
見せる裏の色は1か所にしてください。2か所以上に出すと、背中の四角がどこから見ても落ち着かなくなります。
よくある行き違い
**「お太鼓風なら、名古屋帯の代わりにどこへでも締めていける」。**帯揚げと帯締めで見え方は近づきますが、帯そのものの格は半幅帯のままです。式典や改まった席は、名古屋帯や袋帯を選んでください。
**「柔らかい帯でも、横長に畳めば四角になる」。**柔らかい帯は、畳んだ面が波打ちます。20cm持って垂れる帯は、縦長にしてください。
**「帯枕を入れれば、もっときれいに見える」。**半幅帯は幅が狭いので、枕の厚みが四角の外に出て見えやすくなります。帯揚げの高さで山を作るほうが、幅に合った形になります。
**「四角は大きいほうが名古屋帯らしい」。**縦長で帯幅+5cmを大きく超えると、布がたるんで、かえって形が崩れて見えます。
装いに活かすなら
半幅帯でお太鼓風を結ぶ前に、帯を20cm持って張りを見ることと、2周巻いたあとの残りを測ること。この2つで、縦長と横長のどちらが結べるかが決まります。あとは、その日に座る時間で選ぶだけです。
秋の小紋や紬に、帯揚げと帯締めの色が1本ずつ加わるだけで、胸元の印象が変わります。帯と着物の色の組み方は着物と帯の色の合わせ方にまとめてあるので、帯揚げと帯締めを選ぶときに開いてみてください。
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よくある問い
- Q. 半幅帯のお太鼓風に、帯枕は要りますか
- 要りません。この記事で扱う2つの形は、どちらも帯枕を使わずに作ります。縦長の形は、帯揚げをたれの内側に通して背中の上で結び、その張りで四角の山を作ります。横長の形は、たれを横に畳んで重ね、帯締めで背中に押さえます。帯枕を入れると名古屋帯のお太鼓に近い高さが出ますが、半幅帯は幅が狭いぶん、枕の厚みが四角の外に見えやすくなります。
- Q. お太鼓風にするには、半幅帯の長さはどのくらい必要ですか
- 胴に2周巻いたあとに残る長さで見てください。縦長の形なら130cm以上、横長の形なら110cm以上が目安です。帯の長さから、帯を締める位置の胴回りの2倍を引くと、残りが出ます。たとえば長さ360cmの帯で胴回りが85cmなら、残りは190cmなので、どちらの形も結べます。残りが110cmに届かないときは、貝の口や文庫のほうが無理なく形になります。
- Q. 柔らかい半幅帯でも、お太鼓風は結べますか
- 結べますが、縦長の形を選んでください。帯の端を20cm手に持って水平に出したとき、すぐに垂れ下がる柔らかい帯は、横長に畳んでも重ねた面が波打って四角に見えにくくなります。縦長の形なら、上の山を帯揚げで支え、下の線を帯締めで押さえるので、帯そのものの張りに頼らずに四角が保てます。
- Q. お太鼓風の半幅帯は、どんな場面に向いていますか
- 秋の小紋や紬で出かける観劇、食事、美術館、友人との集まりなど、貝の口や文庫では少し軽く感じるけれど、名古屋帯を締めるほどではない場面に向いています。帯揚げと帯締めを使うので、胸元から帯のあたりが名古屋帯のときに近い見え方になります。一方で、式典や改まった席は、帯そのものの格で決まるので、半幅帯ではなく名古屋帯や袋帯を選んでください。
— メグラシ編集部





