メグラシ
自分を知る

浴衣も着物も、自分で着るときに決まるのは腰紐の高さ|衿合わせ・おはしょり・着崩れの直し方を順番で

メグラシ編集部//読了 10分
明るい和室の畳の上に、細い紐と帯板がそろえて並べられている様子

自分で着ると、崩れる場所はほぼ決まっています。胸元が開く、おはしょりが落ちてくる、裾が広がる。この3つです。

鏡の前で何度もやり直すのは、崩れたところを直そうとしているからです。崩れたところには原因がありません。 原因は、そこを押さえている紐のほうにあります。

結論:腰紐の高さが、あとの工程を全部決める

最初に巻く腰紐を、腰骨の上の縁から指2本ぶん上に置いてください。ここが決まると、上に挙げた3つは同時に起きにくくなります。

理由は単純で、腰骨の丸みより上に紐が乗っていれば、紐は下へ滑りません。骨の縁か、それより下に巻くと、動くたびに紐が丸みを越えて落ちます。落ちた分だけ布が下がり、おはしょりが伸び、裾が開きます。

指2本は、およそ3センチです。測るのではなく、腰骨の出っぱりに手を当てて、その上に指を2本並べた高さと覚えてください。

📋 崩れた場所から、原因の紐へ逆にたどる

崩れた場所原因の紐その場の応急根本の直し
おはしょりが長く垂れた腰紐が低い帯の下から布を引き上げる腰紐を巻き直す
胸元が開いた胸の下の紐が低い背中側の布を下へ引く紐をみぞおちの上へ
裾が広がった腰紐が緩い前の合わせを深くし直す腰紐を指1本ぶん強く
背中に横じわ腰紐が強すぎる脇の下で布を横へ逃がす締め加減を1段ゆるく
衿が首から浮いた背中の抜きが足りない背中の中心を下へ引く着る前に抜き量を決める

この表は答えではなく、手を伸ばす先を1つに絞るための道具です。直す場所が1つに決まれば、鏡の前の時間は半分になります。

紐を巻く順番は3本

紐は下から上へ、この順で巻きます。順番を入れ替えると、あとの紐が前の紐をずらします。

  1. 腰紐(腰骨の上縁+指2本)… 丈とおはしょりの位置を決める
  2. 胸の下の紐(みぞおちの上)… 衿の合わせ目を止める
  3. 幅の広い1本(胸の下の紐の上に重ねる)… 面で押さえて動きを止める

3本目は、なくても着られます。ただし、外出時間が3時間を超える日は入れてください。2本だけだと、紐が点で押さえているので、動くたびに少しずつ位置が戻ります。幅のある1本を重ねると、押さえが線から面に変わり、戻り方が遅くなります。

締める強さの目安は、紐と体のあいだに指が1本すっと入る程度です。入らないほど締めると、背中に横じわが出ます。2本以上入る緩さだと、歩いた回数だけ下がります。

着る前に決めておく3つ

鏡の前で迷う時間のほとんどは、着ながら決めようとしている項目に使われています。先に決めておけば、着るあいだは手を動かすだけになります。

  1. 裾の高さ … 床から何センチで止めるか。くるぶしが隠れるあたりが標準で、外を長く歩く日は指1本ぶん上げます
  2. 背中の抜き量 … 首と衿のあいだにどれだけ空けるか。着たあとに変えると前が動くので、先に決めます
  3. おはしょりの長さ … 帯の下から何センチ出すか。5から7センチに収めると帯が締まります

この3つは、どれも着る途中では直せません。直せるのは、決めたあとに生まれたずれだけです。逆に言えば、この3つさえ先に決めておけば、あとの工程で迷う場所がなくなります。

紐の置き場所も先に決めておくと手数が減ります。3本を長さ順に並べて、使う順に手前から置く。探す動作が1回減るだけで、布を持ったまま止まる時間がなくなります。

衿を合わせる角度は、首の付け根から測る

衿の合わせ目は、首の付け根の中心から、のどのくぼみの位置で交差させます。ここより高いと詰まり、低いと開きます。

合わせる順番は、自分から見て右が下、左が上です。これは浴衣でも着物でも変わりません。

角度は、左右の衿が作るV字の開きで見ます。のどのくぼみで交差させたとき、V字の幅が指3本ぶんに収まっていれば締まって見えます。指4本を超えると、時間が経つにつれて開きます。

背中側は、衿を首から少し離します。離す量は、首と衿のあいだににぎりこぶしが縦に半分入るくらいです。ここを着る前に決めておくと、あとから調整せずに済みます。着たあとに抜こうとすると、前の合わせが一緒に動きます。

おはしょりの厚みは、たたむ回数で決まる

おはしょりは、腰紐の上で余った布が折り返された部分です。ここの厚みが帯の下に入るので、厚すぎると帯が締まりません。

手順は3つです。

  1. 腰紐を巻いたあと、余った布を上へ引き上げる
  2. 紐の上で布を下へ折り返す
  3. 折り返した端を、指でなでて平らにする

折り返す回数は1回だけにしてください。 2回折ると、帯の下に4枚の布が重なり、帯を締めたときに段が出ます。布が余りすぎて1回で収まらないときは、折るのではなく、腰紐の位置で丈を調整します。

出来上がりの長さは、人差し指の第一関節から第二関節のあいだ、およそ5から7センチが収まりの良い範囲です。短いと帯の下から見えず、長いと帯の下で波打ちます。

浴衣の一重と、秋の和装の袷で変わるところ

手順は同じです。変わるのは布の重さで、重さが変わると締め加減が変わります。

一重袷(裏地あり)
腰紐の強さ指1本指1本より少し強く
おはしょりの厚み布1枚ぶん布2枚ぶんになる
衿の合わせ目そのまま収まる空気が入りやすい
崩れ始める時間2時間ほど3時間ほど

袷はおはしょりの部分にも裏地があるので、折り返したときの厚みが倍になります。ここで段が出るときは、帯を締める前に、折り返した端を手のひらで上から押さえて空気を抜いてください。

衿の合わせ目も、下に着るものが厚くなるぶん浮きやすくなります。合わせたあとに一度なでる手を足すだけで、あとの浮き方が変わります。

練習するなら、軽い一重のほうからです。重い布は失敗の原因が重さに紛れるので、どこを外したのか分かりにくくなります。

外出先で直せる範囲と、直せない範囲

紐を巻き直さずに直せるのは、布の余りを動かすだけで済む崩れです。

  • 直せる … おはしょりの垂れ、衿の浮き、帯の上の布のたるみ
  • 直せない … 紐が下がったことによる丈の変化、裾の広がり

直せない側に入ったときは、その場で完全に戻そうとしないでください。戻せるのは見えている部分だけで、原因は帯の下にあります。 応急で整えて、帰ってから巻き直すほうが早く済みます。

直しやすい場所を作っておく手もあります。着るときに、帯の下側に指が1本入る余裕を残しておくと、その隙間から布を引けます。余裕がないと、帯を緩める以外に手がなくなります。

直す場所が見つからないときは、座り方を変えるほうが早いことがあります。浅く腰かけて背中を背もたれにつけないでいると、布が上へ逃げません。長く座る予定がある日は、着るときに膝の前の合わせを指1本ぶん深くしておくと、立ったときに開きません。

かかる時間は、回数で短くなる

最初は1時間近くかかります。回数を重ねると、同じ手順のまま20分前後まで下がります。

短くなるのは、手が速くなるからではありません。決めるために止まる回数が減るからです。裾の高さ、抜き量、おはしょりの長さ。この3つを毎回同じにすれば、止まる場所が消えます。

練習の順番としては、帯を結ぶところから始めないでください。帯は最後の工程なので、その前がずれていると何度結んでも収まりません。紐3本だけを巻いて解く。これを3回繰り返したほうが、結果的に早く着られるようになります。

よくある行き違い

「着付けは手順を覚える作業」と言われがちですが、覚えるのは高さと強さのほうです。 手順は3本の紐を下から順に巻くだけで、手順そのものを間違えて崩れることはほとんどありません。崩れるのは、同じ手順でも紐の高さが毎回違うからです。

「きつく締めるほど崩れない」も、途中までしか当たりません。 指1本が入らないほど締めると、背中に横じわが出て、歩くたびに布が上へ逃げます。逃げた布はどこかで折れるので、結局そこが崩れます。強さは、緩さではなく一定さのほうが効きます。

「体の形によって着付けが難しい」という言い方もよく聞きますが、変わるのは紐の高さの目安だけです。 腰骨の位置は人によって違うので、センチで覚えると合いません。骨に手を当てて、その上に指2本。この決め方なら誰の体でも同じ手順になります。

装いに活かすなら

一度、時間のある日に3本だけ巻いて、1時間そのまま家で過ごしてみてください。どこが最初に動くかが分かります。

動いた場所が分かれば、次からはその1本だけ強さを変えれば済みます。全部をやり直すのではなく、1本を変える。 これが分かると、自分で着る日が増えます。

関連記事

— メグラシ編集部

よくある問い

Q. 自分で着るとき、腰紐は何本用意すればいいですか
3本あれば足ります。腰に1本、胸の下に1本、伊達締めの代わりに1本です。浴衣の一重なら2本でも着られますが、3本目があると衿元が動かなくなるので、外出時間が長い日は用意してください。長さは自分の胴回りに150センチほど足したものが扱いやすく、短いと結び目が前に来て帯の下で厚みになります。幅は3から4センチのものが、締めたときに食い込みにくく緩みにくい範囲です。
Q. おはしょりが下がってくるのはなぜですか
腰紐が低いからです。腰骨の上の縁より下に巻くと、紐が骨の丸みの上を滑って下へ落ちます。落ちた分だけ布が下がり、おはしょりが長く垂れます。直すには、帯を解かずに帯の下から布を少し引き上げて、指でならします。ただし元の紐の位置は変わっていないので、時間が経つとまた下がります。根本から直すなら、腰紐を巻き直す必要があります。
Q. 胸元が開いてくるのは、衿の合わせ方の問題ですか
合わせた角度ではなく、胸の下の紐の高さであることがほとんどです。衿は布の重さで自然に開こうとするので、それを止めているのは胸の下に巻いた紐です。この紐が低いと、衿の合わせ目の下側しか押さえられません。みぞおちの上あたり、胸のふくらみのすぐ下を通すと、合わせ目の上まで止まります。外出先では、帯の上に見えている衿を下へ引くのではなく、背中側の布を下へ引いてください。
Q. 秋の和装は、浴衣と着付けの手順が変わりますか
手順は同じですが、布の重さが変わるぶん紐の締め加減が変わります。裏地のある袷は一重より重いので、同じ強さで締めると下がります。腰紐は指1本ぶんきつく、胸の下の紐は同じ強さで足ります。もう1つ違うのが下に着るものの厚みで、厚みが増すと衿の合わせ目が浮きやすくなります。合わせたあとに、合わせ目を上から一度なでて空気を抜いてください。

— メグラシ編集部

Next Read·次に読みたい3記事
厚みのある綾織りの一枚が肩の形を保ったまま掛かり、縫い目に沿って光が走っているPick

自分を知る

カバーオールコーデ|着丈が腰骨の何センチ下で止まるかで、下に合わせるものが決まる

作業着から来た四角い羽織りは、色や丈感の好みではなく、着丈が腰骨の何センチ下で止まるかで下に合わせるものが決まります。腰骨からの下がり・脇でつまめる余り・袖の落ちの三か所をメジャーで測る手順と、三段階ごとに合うボトムスの丈と幅、前を開けるか閉めるかで変わる縦の線、胸ポケットが視線の高さを決める仕組み、秋の一枚として使う日の組み立てまでまとめました。

続きを読む
風の通る窓辺に、軽い織りの一枚が掛かって布の目から光が抜けている

自分を知る

夏のマタニティワンピース|布が体から浮いているかで、一日もつかが決まる

暑い時期のワンピースは、ゆとりの総量ではなく布が体から離れているかどうかで着心地が分かれます。いちばん前に出た点で布をつまんで何センチ持ち上がるか、風の入口と出口が両方あるか、布が張ったときに透け方が変わらないか。この三か所を平置きと鏡の前で測る手順と、座る時間が長い日の溜まり方、冷房との往復で足す一枚の条件、何枚あれば回るかまでまとめました。

続きを読む

Try the Diagnosis

文章で読んだら、次は 自分で試してみる。

骨格・パーソナルカラー・セルフイメージを組み合わせた、装い直結の無料診断へ。

無料で診断してみる

無料 / 10分程度 / airClosetサイト

あわせて読みたい

カバーオールコーデ|着丈が腰骨の何センチ下で止まるかで、下に合わせるものが決まる

自分を知る

カバーオールコーデ|着丈が腰骨の何センチ下で止まるかで、下に合わせるものが決まる

作業着から来た四角い羽織りは、色や丈感の好みではなく、着丈が腰骨の何センチ下で止まるかで下に合わせるものが決まります。腰骨からの下がり・脇でつまめる余り・袖の落ちの三か所をメジャーで測る手順と、三段階ごとに合うボトムスの丈と幅、前を開けるか閉めるかで変わる縦の線、胸ポケットが視線の高さを決める仕組み、秋の一枚として使う日の組み立てまでまとめました。

メグラシ編集部読了 8分
夏のマタニティワンピース|布が体から浮いているかで、一日もつかが決まる

自分を知る

夏のマタニティワンピース|布が体から浮いているかで、一日もつかが決まる

暑い時期のワンピースは、ゆとりの総量ではなく布が体から離れているかどうかで着心地が分かれます。いちばん前に出た点で布をつまんで何センチ持ち上がるか、風の入口と出口が両方あるか、布が張ったときに透け方が変わらないか。この三か所を平置きと鏡の前で測る手順と、座る時間が長い日の溜まり方、冷房との往復で足す一枚の条件、何枚あれば回るかまでまとめました。

メグラシ編集部読了 8分
修学旅行の部屋着をおしゃれに選ぶ|部屋の中で止まるか、廊下まで出られるかで変わる

自分を知る

修学旅行の部屋着をおしゃれに選ぶ|部屋の中で止まるか、廊下まで出られるかで変わる

宿で着るものを一組だけ持っていくとき、決め手になるのは可愛さではなく、どこまで出られるかです。部屋の中だけで済む行程と、洗面や大浴場まで歩く行程では、通る条件が入れ替わります。丈・裾の一周・袖ぐり・前が開くかの4か所を、座った状態と歩いた状態の両方で測る手順、畳んだ厚みから何組持てるかを逆算する方法、湯上がりの湿りを翌朝に残さない置き方まで置きました。

メグラシ編集部読了 9分
貝の口の結び方|片ばさみ・浪人結びとの違いと、ゆるむ・傾く・下がるの直し方

自分を知る

貝の口の結び方|片ばさみ・浪人結びとの違いと、ゆるむ・傾く・下がるの直し方

貝の口は結べたのに、出かけた先で形が変わっている。原因は手つきではなく、ひと結びのときにどちらが上に出ているかと、帯の下に支える線があるかどうかです。よく似た片ばさみ・浪人結びとは崩れ方が違うので、座る時間と歩く時間で選び分けられます。ゆるむ・傾く・下がるの3つの症状を、原因ごとに直す手順と、大人がきれいに見える3つの寸法にまとめました。

メグラシ編集部読了 9分
名古屋帯のお太鼓結び|秋の着物は、たれ先の出し方と帯枕の高さの2か所で決まる

自分を知る

名古屋帯のお太鼓結び|秋の着物は、たれ先の出し方と帯枕の高さの2か所で決まる

浴衣の半幅帯は結べるのに、秋に着物を出すと名古屋帯で手が止まる。原因は手順の数ではなく、決めていない数字が2つあることです。お太鼓の下に出すたれ先の長さと、帯枕の上端を背中のどこに置くか。この2つを先に決めると、残りの手順は巻いて留めるだけになります。帯の各部の長さ、年代ごとのお太鼓の縦幅、七五三やお茶会で座る時間が長い日の調整まで、家で確かめられる形にまとめました。

メグラシ編集部読了 9分
20デニールのストッキングを秋冬に履き分ける|1枚で出す日と、下に重ねる日の違いは、靴の中に残る余りで決まる

自分を知る

20デニールのストッキングを秋冬に履き分ける|1枚で出す日と、下に重ねる日の違いは、靴の中に残る余りで決まる

気温が下がると20デニールは行き場を失いますが、向かなくなったのではなく役割が変わっています。夏は1枚で履くもの、秋冬は層の内側に入れるもの。重ねる側で効くのは暖かさではなく、靴の中にどれだけ余りが残るかと、内側が回らないかの2つです。1枚で出す日と重ねる日の分け方、靴に足を入れて確かめる手順、二重にしたとき内側が回る理由と止め方、膝下だけ厚くするやり方、9月から12月への移り方までまとめました。

メグラシ編集部読了 10分

"似合う"の輪郭が見えたら、
次は実際に試してみる段階かもしれません。

スタイリストがあなたの骨格・好みをヒアリング、季節に合わせたコーデを毎月お届けします。

まずは無料で試してみる

月額制 / 自宅で試着 / 返却時のクリーニング不要 / 送料込