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浴衣の着付けを自分で|秋も着るなら、生地の透けを見て衿と足袋を足す

メグラシ編集部//読了 23分
畳の部屋の鏡の前で、紺地に小さな菊柄の木綿の浴衣に白い半衿をのぞかせた女性が、からし色の半幅帯を締めて自分の衿元を両手で整えている

**持っている浴衣を、窓の光にかざして、裏側に手を入れてみてください。**手の影がはっきり見えるなら、その浴衣は夏のものです。影がうっすらとも見えないなら、衿と足袋を足して、秋のおでかけにも自分で着付けて着られます。

浴衣の着付けを自分でできるようになると、夏祭りが終わったあとも着たくなります。秋の散策や、紅葉を見に行く日、着物の練習をしたい日。そのたびに浴衣を出して、**同じ着方のままでいいのかで迷います。**答えは、生地が透けるかどうかと、衿元と足元に何を足すかで決まります。

この記事では、秋に着られる浴衣の見分け方から、着物風に自分で着付ける手順、どちらとも取れるときの決め方までを、順番に書きました。浴衣を買うところから考えるなら浴衣のサイズの選び方 秋、帯の結び方は半幅帯の結び方 大人 簡単と兵児帯の結び方 大人もあわせて見てください。

結論:秋に着られるのは、光に透かして手の影が見えない浴衣

浴衣の生地には、大きく分けて透けるものと透けないものがあります。透けるのは、細い糸を粗く織って風を通すように作られた生地で、夏の暑さをしのぐためのものです。透けないのは、平らに詰めて織った木綿の生地で、木綿の着物とほとんど同じ作りです。

生地の見え方秋に着られるか足すもの
手の影がはっきり見える夏のものとして残すなし
手の影がうっすら見える秋の初めの暖かい日だけ半衿と足袋
手の影がまったく見えない秋のおでかけに着られる半衿と足袋、寒い日は羽織

表は、手持ちの浴衣がどこに入るかを見るためのものです。生地の名前がわからなくても、透かしてみればどこに入るかはわかります。

透けない浴衣は、木綿の着物と同じように扱えます。衿元に半衿を見せ、足元に足袋を履けば、浴衣ではなく木綿の着物を着ているように見えます。これが、いわゆる浴衣の着物風の着方です。

自分で着付けるという点では、浴衣と木綿の着物の手順はほとんど変わりません。違うのは、衿元に半衿が見えるか、足元に足袋があるか、裾の高さがどこか、の3つだけです。夏に浴衣を自分で着られた人なら、この3つを足すだけで、秋のおでかけにも着られるようになります。

境目1|生地の透けは、手のひらを裏に入れて見る

透け方の確かめ方を、もう少し詳しく書きます。晴れた日の昼、窓の前に立ちます。浴衣の身頃の、柄の少ない部分を1枚だけ持ち上げて、裏側に自分の手のひらを入れます。窓の光を背にして、表側から手を見てください。

手の影の輪郭が、指の1本1本までわかるなら、透ける生地です。手のある場所がなんとなく暗く見えるだけで、指の形まではわからないなら、うっすら透ける生地です。どこに手があるのかまったくわからないなら、透けない生地です。

柄の多い部分で確かめると、柄に紛れて透け方がわかりにくくなります。地の色がいちばん広く出ているところで見てください。白や淡い色の地は透けやすく、紺や黒、えんじのような濃い地は透けにくい傾向がありますが、色より織り方の差のほうが大きいので、必ず手を入れて確かめます。

**表面に細かい凹凸やしぼのある生地は、透け方とは別に、夏向きに作られていることがあります。**さらっと肌から離れる生地は、秋に着ると見た目に涼しく映ります。凹凸のある生地で、手の影がうっすら見えるなら、秋の初めの暖かい日に限ってください。

境目2|柄の季節は、花の種類と水のモチーフで見る

生地が透けなくても、柄が夏のものだと、秋に着たときに季節がずれて見えます。柄の季節は、描かれているものでおおむね分かれます。

夏に寄っている柄は、朝顔、花火、金魚、水の流れ、うちわのように、夏の行事や涼しさを表すものです。これらは、生地が透けなくても秋には向きません。

秋まで着られる柄は、菊、萩、桔梗、紅葉、とんぼ、月のように秋の景色を表すものです。秋の柄が入っている浴衣は、秋に着る理由がはっきりしているので、着物風にするといちばん自然に見えます。

季節を選ばないのは、縞、格子、幾何学模様、小さな点や絣のように、具体的なものを描いていない柄です。木綿の着物にもよく使われる柄なので、衿と足袋を足すと、そのまま木綿の着物に見えます。秋に着るために1枚選ぶなら、季節を選ばない柄の、透けない浴衣がいちばん出番が多くなります。

地の色も、季節の見え方に関わります。白や水色、淡い青の地は、柄が秋のものでも、遠目には夏の浴衣に見えます。紺、えんじ、茶、からし、深い緑の地は、柄が季節を選ばないものでも、秋の装いに見えます。手持ちが淡い地の浴衣ばかりなら、帯と羽織を濃い色にして、全体の色の重さを秋に寄せてください。

境目3|その日の最高気温で、羽織を決める

秋といっても、季節の初めと終わりでは気温が大きく違います。着付けを始める前に、その日の最高気温を見て、上に重ねるものを決めておきます。

最高気温が25度を超える日は、浴衣に半衿と足袋を足すだけで十分です。羽織を着ると汗をかきます。

最高気温が20度から25度の日は、羽織を1枚持っていきます。昼は着ずに歩き、日が傾いてから羽織ります。

最高気温が20度を下回る日は、浴衣1枚では、肌着を厚くしても肌寒く感じます。羽織を着て出かけ、首にストールを巻けるようにしておきます。15度を下回る日は、浴衣の着物風より、裏地の付いた着物のほうが向いています。

同じ日でも、朝と夕方で気温が5度以上違うことがあります。昼に出かけて夜に帰るなら、帰る時刻の気温で羽織を決めてください。出かけるときに暖かくても、日が落ちたあとの肌寒さは、浴衣1枚ではしのげません。羽織は畳めば小さな鞄にも入るので、持っていって困ることはありません。

身長と浴衣の丈の差で、腰紐の位置を変える

自分で着付けて、おはしょりがうまくいかない原因の多くは、浴衣の丈とあなたの身長の差にあります。浴衣の丈は、肩から裾までの長さで、仕立てたときの表示か、肩の山から裾までを測ればわかります。

浴衣の丈が、身長とほぼ同じか、身長より5cm以内で長い場合は、ふつうに腰骨の上で腰紐を結べば、おはしょりが帯の下からちょうどよく出ます。

浴衣の丈が身長より10cm以上長い場合は、おはしょりが長く余ります。腰紐を腰骨より少し上に上げて結ぶと、余りが減ります。それでも長いときは、伊達締めを締める前に、余った分を内側に折り上げてください。

浴衣の丈が身長より短い場合は、おはしょりがほとんど出ません。腰紐を腰骨より下げて結ぶと、少しだけおはしょりが出ます。それでも出ないなら、おはしょりを作らず、裾から帯までをそのまま着る「対丈」で着る方法もあります。対丈で着るときは、帯の下に細い帯を1本足して、おはしょりがあるように見せることもできます。

着物風にすると、裾をくるぶしが隠れる高さまで下げるので、夏に着たときよりおはしょりが短くなります。夏にちょうどよかった浴衣で、秋に着るとおはしょりが短く感じたら、腰紐を2cmほど下げて結んでみてください。

着付けの前に並べるもの

自分で着付けるときは、使うものを先に全部並べておくと、途中で手が止まりません。浴衣の着物風に使うものは次のとおりです。

  1. 肌着(半衿の付いたものか、衿のある和装用の肌着)
  2. 浴衣
  3. 腰紐2本
  4. 伊達締め1本
  5. 帯(半幅帯)と、使うなら帯板
  6. 足袋
  7. 寒い日は羽織

着物風にするために新しく必要になるのは、たいてい半衿付きの肌着と足袋の2つだけです。腰紐と伊達締めは、浴衣を着るときと同じものが使えます。帯も、手持ちの半幅帯で始められます。

並べる順番は、着る順番どおりにします。いちばん上に肌着、その下に浴衣、腰紐、伊達締め、帯。足袋は、着付けを始める前に履いておきます。着付けのあとにしゃがんで足袋を履くと、せっかく整えた裾が乱れるからです。

手順1|肌着と衿:半衿は1〜1.5cm見せる

肌着を着たら、衿の合わせを先に整えます。左右の衿を、喉のくぼみの下で交差させ、右の衿を下、左の衿を上にして重ねます。

半衿付きの肌着を使うなら、このときの半衿の位置が、浴衣を着たあとにそのまま見えます。浴衣を重ねたあと、半衿が浴衣の衿の内側から1〜1.5cm見える位置に来るように、肌着の衿を少しだけ外側に出しておきます。

見える幅が1cmより狭いと、半衿を付けているのが遠目にわかりません。2cmより広いと、浴衣より半衿が目立ち、衿元が重たく見えます。迷ったら1.5cmにしてください。鏡で見て、半衿の白い線が、浴衣の衿の幅のおよそ3分の1から半分くらいに見えれば整っています。

肌着の背中は、首の後ろで少しだけ下に引いておきます。浴衣の衿を抜くとき、肌着の衿も一緒に抜けるようにするためです。

和装用の肌着がないなら、衿ぐりが大きく開いた、袖の短い肌着でも代わりになります。ふつうの丸首の肌着は、浴衣の衿の合わせから肌着がのぞくので向きません。鏡の前で浴衣の衿を合わせてみて、喉の下から肌着が見えないかを確かめてから選んでください。

手順2|浴衣を羽織って、背中心と衿先を合わせる

浴衣を羽織り、両手で左右の衿先をつまんで、前に引きます。背中の縫い目が、背骨の真上に来るように合わせてください。合わせ方は、両方の衿先を体の前でそろえて持ち、少し持ち上げてから下ろすことです。背中の縫い目が自然に背骨の上に落ちます。

衿は、首の後ろで少し抜きます。浴衣を夏に着るときは、首の後ろと衿のあいだに指2本ぶんほどのすき間を作ることが多いのですが、着物風にするなら、こぶし半分から1つぶんまで広げてかまいません。抜く幅が広いと、着物らしい落ち着いた後ろ姿になります。ただし、首が短く見えるのが気になるなら、指3本ぶんくらいで止めてください。

衿を抜く幅は、鏡の前で後ろ向きに立ち、手鏡で首の後ろを見て確かめます。慣れないうちは、首の後ろと衿のあいだに自分の握りこぶしを当てて、どれくらい入るかで測ると、毎回同じ幅にできます。

手順3|裾の高さを決めて、腰紐を結ぶ

ここが、浴衣と着物風の着方でいちばん違うところです。夏の浴衣は、裾をくるぶしが見える高さで止めることが多いのですが、着物風にするなら、くるぶしが隠れる高さまで下げます。足袋を履いた足の甲に、裾が触れるか触れないかくらいの高さです。

裾の高さを決めたら、上前(左の身頃)の幅を決めます。上前の端が、右の腰骨の少し右に来る幅に合わせます。次に上前を開いて、下前(右の身頃)を左の腰に巻き込みます。下前の裾は、上前より3〜5cm高く持ち上げておくと、歩いたときに下前の裾が見えません。

最後に上前を重ね、上前の裾も、つま先に向かって少しだけ上がるように持ち上げます。この上がり方を「裾つぼまり」と呼び、後ろから見たときに裾がすぼまって、すっきりした形になります。

腰紐は、腰骨の少し上で、体の前から後ろに回して交差させ、前に戻して結びます。結び目は体の真ん中を避けて、左右どちらかに寄せてください。帯を締めたときに結び目が当たらなくなります。

手順4|おはしょりと衿合わせを整える

腰紐を結んだら、身八つ口(脇の開き)から手を入れて、おはしょりを整えます。前と後ろのおはしょりを、手のひらで下にならして、しわを取ります。

衿合わせは、喉のくぼみの下で交差させます。半衿が1〜1.5cm見えているかを、ここでもう一度鏡で確かめてください。浴衣の衿の重ねは、肌着と同じく右が下、左が上です。

胸紐を、胸の下で結んで、衿合わせを固定します。そのうえから伊達締めを締めます。伊達締めは、帯の下に隠れる高さで締めると、帯を結んだあとに見えません。

おはしょりの長さは、帯の下から指2〜3本ぶん出ているのがちょうどいい長さです。長すぎるときは、伊達締めを締める前に、余っている分を内側に折り上げておきます。短すぎるときは、腰紐の位置を少し下げて結び直すと、おはしょりが長くなります。

胸紐は、きつく締めすぎないように気をつけます。結んだあと、紐と体のあいだに指が1本入るくらいが目安です。指が入らないほどきついと、食事のときに苦しくなり、ゆるすぎると歩いているうちに衿元が開いてきます。

手順5|帯は、色を秋に寄せて結びを小さくする

帯は、手持ちの半幅帯で始められます。秋に寄せるなら、帯の色を、えんじ、からし、深い緑、茶のような、秋の景色にある色にします。浴衣の地色と同じ系統の色にすると落ち着き、反対の色にすると帯が引き立ちます。

結び方は、夏の浴衣に結ぶような大きなリボン形より、小さめの文庫や、貝の口のように平たい結びのほうが着物風に見えます。結びが小さいと、羽織を重ねたときにも背中が盛り上がりません。

さらに着物風にしたいなら、半幅帯の上に帯締めを1本渡します。帯の真ん中に細い紐が1本通るだけで、木綿の着物らしい落ち着きが出ます。帯締めは、帯の色と浴衣の色のどちらかから1色取ると、全体がまとまります。

帯の前には、帯板を入れておくと、帯の前にしわが寄りません。帯板は、帯を1巻きしたあと、2巻き目の前に挟みます。帯揚げを使うなら、帯の上にほんの少しだけ見える量にとどめます。浴衣の着物風では、帯揚げを入れなくても十分に着物らしく見えるので、最初は帯締め1本だけで始めて、慣れてから帯揚げを足すほうが手順に迷いません。

足元|足袋を履いて、下駄か草履を選ぶ

足元は、素足から足袋に替えます。これだけで、夏の浴衣から秋の装いに見え方が変わります。足袋の色は、白がいちばん改まって見え、色足袋や柄足袋はくだけた木綿の着物らしく見えます。街歩きなら、浴衣の色に合わせた色足袋でもかまいません。

足袋の大きさは、つま先がぴったり収まり、かかとに指が入らないくらいがちょうどいい大きさです。大きすぎると、つま先にしわが寄って、足元がだらしなく見えます。

履物は、足袋を履いていれば下駄でも草履でも合わせられます。下駄は、くだけた街歩き向きで、木綿の着物にもよく合わせる足元です。草履は、食事や改まった場所に寄るときに落ち着いて見えます。鼻緒が足袋の上でゆるいと感じたら、鼻緒をつまんで少し広げてから履くと、指の股が痛くなりにくくなります。

足袋の素材は、木綿のものがいちばん一般的で、下駄にも草履にも合います。伸縮する素材の足袋は、足にぴったり沿うので、大きさ選びに迷いにくく、初めての人に向いています。指が2つに分かれた靴下の形をしたものもありますが、改まった場所に寄る日には、木綿の足袋のほうが落ち着いて見えます。

下駄を合わせる日は、歩き方にも少しだけ気をつけます。下駄は、かかとを少し出して履き、つま先で地面を押すように歩くと、足袋の指の股が痛くなりにくくなります。秋の散策で長く歩く日は、歩きなれた草履にしておくほうが、帰り道まで足が楽です。

鏡で確かめる順番|正面・横・後ろ

自分で着付けたあとは、鏡で3つの向きから確かめます。順番を決めておくと、見落としがなくなります。

正面では、衿の交差が喉のくぼみの下にあるか、半衿が左右同じ幅で見えているか、帯が床と平行になっているかを見ます。帯が片方だけ下がっているなら、下がっている側を指で持ち上げて、帯の中に押し込みます。

横からは、裾の線を見ます。裾が前から後ろに向かって、わずかに上がっているか、水平になっていれば整っています。後ろが下がっているなら、上前と下前の裾の持ち上げ方が足りなかった合図です。横から見たときに、お腹のところで帯が前に倒れていないかも確かめてください。

後ろは、手鏡を持って、大きな鏡に映して見ます。背中の縫い目が背骨の上にあるか、衿の抜き方が左右で同じか、帯の結びが真ん中にあるかを見ます。背中の縫い目がずれていたら、帯の下の部分を持って、左右に引いて戻します。

どちらとも取れるとき|迷ったらこの順番で決める

ここまでの境目どおりに決められない浴衣や場面があります。いちばん多い迷い方を4つ挙げて、それぞれの決め方を書きます。

手の影が、うっすら見える浴衣

透けるとも透けないとも言い切れない生地は、気温で決めます。最高気温が25度を超える秋の初めなら、半衿と足袋を足して着られます。暑さの残る日には、むしろ風が通るので過ごしやすい生地です。最高気温が25度を下回るようになったら、その浴衣は来年の夏まで休ませてください。

迷ったら、半衿付きの肌着を、袖のある形にします。肌着の袖が浴衣の袖の内側にあるだけで、腕のあたりの透け方がやわらぎます。

柄が、夏とも秋とも取れる

たとえば、草花が描かれていて、それが夏の花なのか秋の花なのかわからない柄があります。この場合は、柄の色で決めてください。白や水色、淡い青が多いなら夏に寄っています。えんじ、黄土、茶、深い緑が多いなら秋に寄っています。

色でも決めかねるなら、帯と羽織で秋に寄せます。帯を秋の色にし、日が傾いてから羽織を重ねれば、柄の印象より帯と羽織の印象が前に出ます。

着物の練習として着たい

秋のうちに、着物を自分で着られるようになりたいという人は、浴衣の着物風が練習にちょうどいい場面です。浴衣は1枚で、襦袢を重ねずに済むので、手順が少なくて済みます。そのうえで、半衿付きの肌着を使えば、衿元の見え方は着物とほぼ同じになります。

練習として着るなら、裾の高さと衿の抜き方を、着物と同じにしてください。裾はくるぶしが隠れる高さ、衣紋はこぶし1つぶん。この2つを浴衣で身につけておけば、着物を着るときにもそのまま使えます。

行き先に、改まった場所が入っている

浴衣の着物風は、あくまでも木綿の普段着の装いです。食事会でも、料理店の個室や、くだけた集まりなら問題なく着られます。式典や、お茶の席、格式のある場所に招かれているときは、着物風にしても浴衣のままでは向きません。

迷う場所なら、事前に同行する人に「木綿の着物で行ってもいいか」と聞いてください。浴衣とは言わずに、木綿の着物と言って伝わる場所なら、着物風の浴衣で行けます。

半衿付きの肌着がない日

半衿付きの肌着が手元にない日でも、衿元を秋らしくする方法はあります。いちばんかんたんなのは、浴衣の衿の内側に、細く折った白い布をはさむことです。幅3cmほどに折った布を、浴衣の衿の内側に沿わせて、衿先の近くを安全ピンで留めます。ただし歩いているうちにずれやすいので、出かける時間が2時間を超える日は、半衿付きの肌着を用意するほうが安心です。

衿元に何も足さない日は、足袋と帯と羽織で秋に寄せてください。衿元に半衿が見えなくても、足元に足袋があって、帯が秋の色なら、夏の浴衣とは違う装いに見えます。

浴衣が化繊でできている

洗濯表示を見て、浴衣の生地がポリエステルなどの化繊なら、透けるかどうかに加えて、光り方を確かめてください。化繊の浴衣の中には、表面がつるりと光るものがあります。光る生地は、秋の昼の光の下では夏らしく見えやすく、着物風にしても浮いて見えることがあります。

光らない化繊で、透けないものなら、木綿の浴衣と同じように秋に着られます。化繊は、汗をかいても乾きやすく、しわになりにくいので、出先で長く過ごす日には扱いやすい生地です。ただし、静電気でほこりが付きやすいので、出かける前に一度、衣類用のブラシをかけておくと安心です。

出先での着崩れの直し方

自分で着付けた日は、出先で崩れたときも自分で直せるようにしておきます。よく崩れるのは、衿元、おはしょり、裾の3か所です。

衿元が開いてきたら、身八つ口から手を入れて、下前の衿を下に引きます。次に、上前の衿を、おはしょりの下から引き下げます。これで衿元がもとの位置に戻ります。半衿の見える幅も、このときに整えてください。

おはしょりがもたついてきたら、帯の下に指を入れて、おはしょりの余りを帯の中に押し込みます。

裾が下がってきて、足袋の上に裾がかかりすぎるようになったら、上前を少し持ち上げて、余った分を帯の下に押し込みます。歩くときは、上前の裾を手で軽く押さえながら、小股で歩くと崩れにくくなります。

出かける前に、小さな安全ピンと、洗濯ばさみを1つ鞄に入れておくと、出先で直すときに役立ちます。洗濯ばさみは、お手洗いで裾をまくるときに、まくった裾を帯にはさんで留めておくのに使います。裾が床に触れずに済むので、戻したあとも裾が汚れません。

寒くなってからの重ね方

秋が深まってきたら、浴衣の着物風に、羽織とストールを重ねます。羽織は、浴衣の丈に対して、お尻が隠れるくらいの長さのものが合わせやすくなります。短い羽織は軽やかで、長い羽織は落ち着いて見えます。

羽織の色は、帯と同じ系統にすると全体がまとまります。浴衣と羽織と帯の3つのうち、2つを同じ系統の色にして、残りの1つで色を変えると、まとまりと変化の両方が出ます。

首まわりが寒いときは、ストールを肩にかけます。首に巻きつけると、衿元の半衿が隠れてしまうので、肩から胸の前に垂らすようにかけてください。

最高気温が15度を下回るようになったら、浴衣の着物風はそろそろ終わりです。そこからは、裏地の付いた着物の季節になります。浴衣で身につけた裾の高さと衿の抜き方は、そのまま着物に使えます。

羽織を脱いで建物に入るときは、羽織を畳んで腕にかけます。浴衣の着物風に合わせる羽織は、薄手のものが多く、軽く畳めば小さくなります。建物の中が暖かいなら、羽織を脱いでも浴衣1枚と半衿付きの肌着で過ごせます。

季節の終わりに、着物風で着る日を決めておく

秋に浴衣を着られる時期は、思っているより短くなります。暑さが落ち着いてから、最高気温が20度を下回るまでのあいだです。その間に何度着るかを、あらかじめ決めておくと、手持ちの浴衣を出しっぱなしにせずに済みます。

おすすめは、着たい場面を3つほど先に決めることです。近所の秋祭り、紅葉の始まりの散策、友人との食事。場面が決まると、その日の最高気温から羽織が要るかどうかもわかり、帯と羽織の組み合わせも前の日に決められます。

着る回数が増えると、着付けにかかる時間も短くなります。最初は40分かかった着付けが、3回目には20分ほどで済むようになります。秋のうちに着る日を重ねておくと、次の夏には、浴衣の着付けを人に教えられるくらいに手が覚えています。

着たあとの手入れ|次に着る日までにすること

秋に何度か着るなら、1回着るたびに洗う必要はありません。脱いだら、ハンガーに掛けて半日ほど陰に干し、汗と湿気を飛ばします。衿と袖口だけは汗や化粧が付きやすいので、汚れが見えたら、固く絞った布で軽くたたいて落としておきます。

半衿付きの肌着は、肌に直接触れるので、着るたびに洗ってください。半衿を縫い付けている場合は、肌着ごと洗えるか、半衿だけ外して洗うかを、半衿の洗濯表示で確かめます。足袋も着るたびに洗います。足袋は裏返して洗うと、つま先の汚れが落ちやすくなります。

季節の終わりに浴衣をしまうときは、一度洗ってから、よく乾かして畳みます。汗が残ったまましまうと、次の夏に出したときに黄ばみが出ていることがあります。

着付けを始める前に確かめる3つのこと

最後に、浴衣を秋に自分で着付ける前に確かめることを3つにまとめます。

  1. 生地の透け:窓の光に透かして、裏に入れた手の影が見えないか
  2. 柄の季節:朝顔や花火、金魚のような夏のものでないか
  3. その日の最高気温:25度を超えるなら羽織なし、20〜25度なら羽織を持つ、20度を下回るなら羽織を着る

この3つがそろえば、足すのは衿と足袋の2つだけです。新しく揃えるものは少なく、手持ちの浴衣と帯がそのまま使えます。夏に一度しか着なかった浴衣も、秋に何度か着ているうちに、自分で着付ける手が自然に覚えていきます。

よくある問い

Q. 浴衣を秋に着るのはおかしくないですか
透けない木綿の浴衣に、衿と足袋を足して着物風に着るのは、木綿の着物と同じ着方なので、秋のおでかけでも自然に見えます。おかしく見えやすいのは、透ける生地の浴衣を素足に下駄で着ることと、朝顔や花火のような夏の柄をそのまま着ることです。生地と柄と足元の3つをそろえれば、秋の街でも浮きません。
Q. 襦袢を持っていないのですが、着物風にできますか
半衿の付いた肌着を1枚用意すれば、襦袢なしでも衿元に半衿が見せられます。肌着の衿に半衿を縫い付けるか、はじめから半衿の付いたものを使ってください。浴衣の衿の内側から半衿が1〜1.5cm見えていれば、襦袢を着ているのと同じ見え方になります。
Q. 自分で着ると、おはしょりがきれいにできません
おはしょりが長すぎるか短すぎるかは、浴衣の丈とあなたの身長の差で決まります。腰紐を結んだあとに、おはしょりの長さが帯の下から指2〜3本ぶん出ていれば整って見えます。長すぎるときは、帯の中に余りを折り上げてから伊達締めを締めると、帯の下に出る長さを調整できます。
Q. 秋の浴衣には下駄と草履のどちらを合わせればいいですか
足袋を履くなら、どちらでも合わせられます。街歩きなら、足袋に下駄を合わせると、くだけた木綿の着物らしい足元になります。食事や改まった場所に寄るなら、草履のほうが落ち着いて見えます。素足に下駄は夏の足元なので、秋に着るなら足袋を足してください。

— メグラシ編集部

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文庫結び 浴衣と秋の着物|羽根の大きさは肩幅から決める

浴衣の文庫結びが大きすぎる、小さすぎる、下がってくる。形が決まらない原因の多くは、羽根の大きさを帯の残りに任せていることにあります。背中側で測った肩幅から羽根の全幅を決め、枚数・角度・高さ・たれの長さをその日の予定で選ぶ手順をまとめました。10月の祭りや屋内の催しで浴衣を着る日、浴衣を秋の着物風に着る日、木綿やウールの着物に半幅帯を結ぶ日、羽織を重ねる日の文庫の変え方まで扱います。

メグラシ編集部/読了 12分
しわ兵児帯の結び方|秋の街歩きと宿の夕食で、結び目の高さを変える

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しわ兵児帯の結び方|秋の街歩きと宿の夕食で、結び目の高さを変える

しわ兵児帯は、しわのぶんだけ伸びて、滑りにくく、ふくらみやすい帯です。結び方で迷ったら、その日いちばん長く座る場所を先に決めてください。背もたれのある椅子や車なら結び目は薄く、座敷なら厚くしても当たりません。引っ張ったときに伸びる長さ、胴回りと巻く周数、背もたれと結び目の厚みの3つを測ってから、蝶結び・片わな結び・羽根を広げる形・ねじって垂らす形・前で結んで回す形の5つを場面で選ぶ手順をまとめました。秋の木綿やウールの着物、10月の秋祭りの浴衣、旅館の浴衣に合わせるときの結び方、秋の色合わせ、1日のうちで結び直す時刻、しまい方まで扱います。

メグラシ編集部/読了 14分
60デニールタイツ黒は法事や式で履ける?|場の格と透け方で決める

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60デニールタイツ黒は法事や式で履ける?|場の格と透け方で決める

黒の60デニールタイツを法事や葬儀、秋の式典で履いてよいかは、自分の立場と場の格、そして手の甲にかぶせたときの透け方で分かれます。遺族と参列者、一周忌と三回忌以降、結婚式や七五三での違い、気温と外にいる時間で一段ずらす考え方、年長の親族がいて決まりが読めないときの決め方まで、手元で確かめられる形で整理しました。

メグラシ編集部/読了 15分

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