160デニールのタイツ|110との違いは透け方ではなく、面の重さと靴の中に残る余り

110のつぎの一段に来たとき
秋のはじめに80を出して、10月に入って110に替えて、それでも寒くなってきた。その流れで次に手が伸びるのが160です。
ところが履いてみると、見え方は110とほとんど変わりません。もっと濃くなると思っていたのに、鏡の前で違いが分からない。そして夕方になって、靴の中が少し窮屈だったこと、ウエストが落ちてきたことのほうに気づきます。
これは外したのではなく、160という数字が動かしている場所が、透け方ではないからです。
結論:160で増えるのは濃さではなく、厚みと重さ
光は110の時点でほぼ通らなくなっています。そこから先で数字を上げても、透け方の欄はもう動きません。動いているのは布としての厚みと、そこから来る重さのほうです。
| 見る場所 | 110 | 160 | 差の出方 |
|---|---|---|---|
| つまんだ厚み | 紙2枚ほど | 名刺ほど | 指の腹ではっきり分かる |
| 足首まわりの周径 | ほぼ増えない | 0.5〜1cm増える | 靴の中で出る |
| 装いの中の役割 | 色の面 | 重さのある面 | 上半身との釣り合いで出る |
| 一日後のウエスト | ほぼそのまま | 下へ引かれる | 夕方に出る |
だから160を選ぶときの問いは、「隠れるかどうか」ではありません。今日の装いの中で、脚を重い面にしていいかどうかです。
数字と透け方の全体の対応はタイツのデニール数の目安に表で置いてあります。ここでは作り直しません。この記事で扱うのは、160という一段だけです。
買う前・履く前に確かめる3か所
**つまむ。**裾の縫い目のない部分を、親指と人差し指ではさみます。名刺くらいのはっきりした厚みがあれば160の側です。紙2枚ほどの感触なら、表示が160でも編みが粗く、実際には110寄りの一枚です。
**丸める。**ふくらはぎに当たる部分を手のひらの中で軽く丸めてみてください。160は、握った手を開いたときに、自分の形に戻る速さが110より遅くなります。戻りが遅い一枚は、膝の裏に折れが残りやすい側です。
**靴に入れる。**履いた状態で、その日いちばん履く予定の靴に足を入れます。かかとを床に下ろしてから、靴の後ろの縁と足首のあいだに指が1本すべり込むかを見てください。入らないなら、その組み合わせは一日もちません。
靴の中で何が起きているのか
160で増える0.5〜1cmは、脚全体に均等につくわけではありません。かかとから足首にかけて、生地が方向を変えて折り重なる場所に集まります。
甲の低い靴や、かかとの縁が浅い靴では、この増えた分がちょうど縁に当たります。当たったままで歩くと、そこだけ生地が擦れて先に薄くなり、数回でその一点から伝線します。
**靴を替えるか、数字を下げるか。**この二択で、靴のほうを替えるほうが早いことが多いです。筒のあるものや、甲が覆われているものなら、増えた厚みは内側に収まります。秋の足元に出番の多い形は、たいていこちら側にあります。
装いの中で、脚が何になるか
110までは、脚は「色の面」として数えられます。上下の色の組み合わせに一員として加わるという意味です。
160になると、そこに重さが足されます。同じ黒でも、160の脚は下半身の端に重みのある面が1枚置かれた状態になり、視線がそこで止まりやすくなります。
**上半身が軽い日は、釣り合いが崩れます。**薄手の一枚に160を合わせると、上が浮いて下が沈みます。合わせるなら、上にも厚みのあるものを置くか、アウターで上半身の面を足してください。
**逆に、上に厚手を着ている日は160が効きます。**厚いニットや起毛のあるアウターの日に110を履くと、脚だけが軽くなって、膝から下が急に細い線になります。160はその日の下半身を、上と同じ重さに合わせる働きをします。
秋のどこで、110から160へ移るか
移る時期を決めているのは、最低気温ではなく屋外に連続していられる時間のほうです。
| 屋外にいる連続時間 | 目安の数字 | 出る場面 |
|---|---|---|
| 15分まで | 110のままで足りる | 駅までの徒歩、買い物 |
| 30分から1時間 | 110と160の境目 | 通勤で乗り換えのある日 |
| 1時間を超える | 160 | 屋外の行事、立って待つ時間のある日 |
| 座って過ごす時間が長い | 110 | 室内の会食、観劇 |
最低気温が下がっても、屋外にいるのが15分なら110で足ります。逆に、気温がそこまで下がっていなくても、風の中に1時間立つ日は160のほうが体が楽です。数字より、時間のほうが先に効きます。
室内で過ごす時間が長い日に160を選ぶと、暑さのほうが先に来ます。160は空気を含んだ面なので、暖房の効いた部屋では熱が抜けにくくなります。
一日のあいだに、160だけに起きること
朝に決めた見え方が、夕方まで同じとはかぎりません。160では、時間とともに動く場所が2つあります。
**膝の裏。**座っている時間が長いと、膝の裏で生地が折り重なったまま止まります。110なら立ち上がったときにほぼ戻りますが、160は戻るのが遅く、横の折れ線がしばらく残ります。長く座る日は、立ち上がったあとに膝の裏を手のひらで一度なでて、折れを伸ばしてください。
**ウエスト。**生地が重いぶん、全体が下へ引かれる力が大きくなります。同じサイズの110では落ちなかった方が、160で落ちることがあります。身長とヒップの両方が表示の範囲に入っているのに落ちるなら、履くときにウエストの当たる位置を1cmだけ上げてください。下がる先の余裕が増えます。
どちらも生地の不具合ではなく、厚みが増えたことの裏側です。先に知っていれば、直すのに数秒しかかかりません。
黒以外の色を選ぶとき
160の段で、黒以外を選ぶ方は多くありません。ただ、秋の装いでは濃い茶や、灰の濃い側を選びたい日が出てきます。
このとき気をつけるのは、160では色の差が出にくくなることです。糸が太く、目が詰まるほど、表面で返る光が増えて、色そのものの違いが読み取りにくくなります。黒と濃い茶を並べても、少し離れると見分けがつかないことがあります。
色で選びたい日は、160ではなく110までの段にしてください。110なら光がわずかに通るので、色の差が残ります。160を選ぶのは、色ではなく重さを置きたい日です。
靴と色を合わせるかどうかも、この段では結果が変わります。160の脚と靴の色が近いと、裾から足先までが一続きの太い縦の帯になります。区切りたいなら、靴のほうを離れた色にしてください。
よくある行き違い
**「160のほうが、110より濃く見える」。**表から見た濃さは、ほとんど変わりません。110の時点で光は通らなくなっているからです。濃く見えるとしたら、それは厚みによって表面の光の返り方が変わっているためで、色そのものではありません。濃さを変えたいなら、数字ではなく生地の表面の艶のほうを見てください。
**「160なら、裏起毛と同じくらいあたたかい」。**別の話です。デニールは糸の太さで、内側に毛を起こしてあるかどうかは含みません。あたたかさをはっきり感じたい日は、数字ではなく内側を手で触って確かめてください。指が引っかかるなら起毛あり、さらりと滑るなら起毛なしです。
**「厚いほうが伝線しにくい」。**糸は太くなりますが、伸びしろは小さくなります。つまり、同じ力がかかったときに逃げる余地が減ります。160は履くときにいちばん負担がかかるので、つま先から順にたぐり上げて、爪の側面が生地に直接触れないようにしてください。
装いに活かすなら
引き出しの中を全部160に替える必要はありません。110と160を1枚ずつ持って、その日に屋外へ出ている時間だけで選ぶと決めてしまうと、朝の迷いが短くなります。
秋は、110から160へ移るその一回だけが判断です。移ったあとは、屋外の時間が短い日だけ110に戻す。この行き来ができるようになると、寒い日に我慢することも、暖かい部屋で暑くなることも減ります。
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よくある問い
- Q. 110デニールと160デニールでは、何が違いますか
- 透け方はほとんど変わりません。110の時点で光はすでにほぼ通らなくなっているからです。変わるのは4か所で、指でつまんだときの厚み、足首まわりの周径、いつもの靴の中に残る余り、そして一日履いたあとのウエストの戻り方です。つまり160は、見え方を変える数字ではなく、脚が装いの中でどれくらいの重さの面になるかを変える数字だと考えてください。
- Q. 160を履くと、いつもの靴に入らなくなりますか
- つま先ではなく、かかとから足首の部分で決まります。160になるとこの部分で生地が二重に折り重なる場所ができ、周径がおよそ0.5〜1cm増えます。甲の低い靴や、かかとが浅い靴では、その分だけ縁が食い込みます。確かめ方は簡単で、履いた状態で靴に足を入れ、かかとを床に下ろしたときに指が1本すべり込むかを見てください。入らないなら、その組み合わせは一日もちません。
- Q. 160は秋のいつごろから出せばいいですか
- 最低気温ではなく、屋外に連続していられる時間で決めてください。屋外にいるのが1時間を超える日が続くようになったら、160の出番です。関東の平地ならおおむね11月の後半から。最低気温が下がっても屋外にいるのが15分なら、110のままで足ります。数字を上げるより、屋外時間のほうが先に効きます。
- Q. 160と裏起毛のタイツは、同じものですか
- 別のものです。デニールは糸の太さを表す数字で、裏側に毛を起こしてあるかどうかは含みません。160で起毛のないものと、110で起毛のあるものが両方あります。手を入れて内側を触ってみて、指がさらりと滑るなら起毛なし、引っかかるなら起毛ありです。暖かさは起毛のほうが分かりやすく出ますが、表から見た面の重さは糸の太さのほうで決まります。
- Q. 一日履いたあとにウエストが落ちてくるのは、サイズが合っていないからですか
- サイズが合っていないこともありますが、160では別の理由が加わります。生地が重くなるぶん、全体が下へ引かれる力が大きくなるからです。同じサイズの110では落ちなかった方が、160で落ちることがあります。先に身長とヒップの両方が表示の範囲に入っているかを確かめて、入っているのに落ちるなら、ウエストの当たる位置を1cm上げて履いてください。
— メグラシ編集部




