1200デニールのタイツ|数字が指しているのは透け方ではなく、裏にある層の厚み

朝の冷え込みが出はじめると、去年の引き出しから厚いものを探すことになります。そこで目に入るのが、桁の違う数字です。
25、40、80、110と並んできたところに、いきなり1200が出てきます。同じ「デニール」と書いてあるので、110の10倍以上の何かだと読めてしまいます。
ところが、この数字は同じ目盛りの上に乗っていません。読み方を変えないまま選ぶと、暖かさではないところでつまずきます。
結論:110から先は透け方の目盛りが終わっている。1200が指しているのは厚み
デニールは糸の太さの表示です。数字が小さいうちは、糸が太くなるほど光が通らなくなるので、数字と透け方がだいたい対応します。25と40と80の見え方の違いが目で分かるのは、その範囲にいるからです。
けれど110あたりで、光はほぼ通らなくなります。そこから先は数字を上げても、見え方はもう変わりません。
では1200で何が動いているかというと、厚みです。 裏に起毛の層を足したり、糸を太くして目を詰めたりして、布としての厚みを増やしています。だから1200を選ぶときに見るのは、透けるかどうかではなく、増えた厚みが体のまわりで何ミリになるかです。
数字と透け方の対応そのものはタイツのデニール数の目安に表で置いてあります。ここではその先だけを扱います。
早見表|つまんだ厚みと、そのとき起きること
| 生地1枚の厚み | 表示の目安 | 足まわりで起きること | 屋内で暑いと感じるまで |
|---|---|---|---|
| 0.5mm未満 | 110まで | 何も変わらない | 起きない |
| 0.5〜1mm | 110〜300相当 | 薄い靴下1枚ぶんに近い | 2時間ほど |
| 1〜2mm | 300〜800相当 | 靴の中がやや窮屈になる | 1時間ほど |
| 2mm以上 | 800〜1200相当 | いつもの靴に入らないことがある | 30分ほど |
厚みは、履く前の生地を平らに置いて、ふくらはぎに当たる部分を指2本でつまんで測ります。平らに置くと生地は2枚重なっているので、つまんだ数字を半分にしたものが1枚ぶんです。定規を当てなくても、1mmは厚紙1枚、2mmは硬貨1枚と覚えておけば足ります。
確認①|足まわりの周径|いつもの靴に入るかは、ここで決まる
1200で最初につまずくのは、たいてい足首から先です。
生地1枚が2mmあると、足の甲のまわりで周径は1cmほど増えます。革の靴も、内側に起毛のあるブーツも、この1cmを吸収する余地をあまり持っていません。
確かめ方は、履いた状態で靴に足を入れ、かかとを床につけたまま足首を左右に10度ずつ倒すだけです。倒したときに甲が押し返してくるなら、その組み合わせは一日もちません。押し返さないなら通ります。
押し返してきた場合、直す場所は靴の側です。生地を薄くするか、甲の開く履き物に替えるか。押し込んで出かけると、戻るころには足首から先だけ冷たくなっています。
確認②|膝の裏|歩いたあとに、折れが何本残るか
厚い生地は、曲げた形がそのまま残ります。薄いものなら伸びて戻る場所が、1200では折れ目になります。
階段を10段上がってから、まっすぐ立って膝の裏を鏡で見てください。横向きの折れが3本以内なら、その一枚は一日を通して形が保てます。4本以上あるなら、座る時間の長い日には向きません。
折れの本数を決めているのは、生地の厚みではなく伸びる方向です。 縦にも横にも伸びる編み方のものは、厚くても折れが残りにくくなります。片方向だけに伸びるものは、厚みが同じでも折れます。
確認③|ウエストと股上|余りは指2本ぶん
厚い生地は、上に向かって縮む力も強くなります。股上が足りないと、歩くたびに全体が下がります。
履いた状態で、ウエストの部分と体のあいだに指を差し込んでください。指2本がすっと入るなら通ります。1本しか入らないなら、丈のほうが足りていません。3本以上入るなら、歩いているうちに下がります。
サイズ表記が同じでも、厚い側は仕上がりの寸法が小さく取られていることがあります。薄いものと同じ感覚で選ぶと、ここが合いません。
確認④|ボトムスに段差が出るか
厚みは、外側にも出ます。丈の短いボトムスを重ねたとき、生地の端の段がそのまま表に線として出ることがあります。
確かめ方は、重ねた状態で太ももの外側を手のひらでなぞることです。段が指の腹に引っかかるなら、光の当たり方によっては表に出ます。引っかからないなら出ません。淡い色や、張りのある布のボトムスほど出やすくなります。
1200と120を取り違えていないか
この数字を探している場面には、2通りあります。本当に極厚のものを探している場合と、120を打ち間違えている場合です。
分けるのは簡単で、何を解決したいかで決まります。
| 困っていること | 合うのはどちら |
|---|---|
| 屋外に続けて1時間以上いる日がある | 800〜1200相当 |
| 脚を一つの色の面にしたい | 110〜120 |
| 室内の時間のほうが長い | 110〜120 |
| 靴を替えたくない | 110〜120 |
| 足元から冷えて戻らない日がある | 800〜1200相当 |
120は、見え方を決める数字です。1200は、屋外にいる時間を延ばす数字です。用途がまったく別なので、どちらでもいい、という場面はほとんどありません。
「1200デニール」は、そのままの数字ではないことが多い
もう一つ知っておくと選びやすくなるのが、この表示の作られ方です。
数百を超える表示は、糸そのものの太さではなく、裏の層まで含めた厚みを「相当」として言い換えていることがよくあります。だから、同じ1200と書かれた二枚でも、つまんだ厚みが倍近く違うことがあります。
つまり、数字どうしを比べても順番が付きません。順番を付けたいなら、平らに置いてつまむ。この一回で、表示より正確な順位が出ます。
屋内にいる時間が長い日には合わない
厚みは、脱がないかぎり調整できません。ここが、重ね方で足し引きできる上半身との大きな違いです。
屋内に入ってから暑いと感じるまでが30分ほどしかないので、一日の大半が室内にある日には向きません。屋外と屋内を何度も行き来する日も同じです。
この厚みが力を出すのは、屋外に続けている時間が長い日だけです。 移動、待ち時間、屋外での行事。そういう日の一枚として引き出しに入れておき、通勤や買い物の日は110までで足ります。
場面ごとの違い
歩く時間が長い日。 足の甲で増えた1cmが、時間とともに効いてきます。靴の確認は、出かける直前ではなく前の晩にしてください。朝は足がいちばん細い時間帯なので、そこで入っても夕方に入らなくなります。
座る時間が長い日。 膝の裏の折れが増えます。折れが4本以上残る一枚は、この日には外してください。座った状態が長いと、立ったときに形が戻るまで時間がかかります。
丈の短いボトムスの日。 生地の端の段が出やすくなります。段を出したくないなら、丈を膝の下まで伸ばすほうが早く片付きます。
屋外の行事がある日。 ここが本来の出番です。同じ一枚でも、屋外に3時間いる日と、30分の日とでは評価が入れ替わります。
よくある行き違い
「数字が大きいほど暖かい」。 数字は糸の太さで、暖かさの単位ではありません。効いているのは体と生地のあいだにできる空気の層の厚みです。だから比べるなら数字ではなく、つまんだ厚みを比べてください。
「厚ければ風も止まる」。 別の話です。裏に厚い層があっても、表側の編み目が粗ければ風は入ります。窓にかざして光の粒が見えるかどうかで分かります。粒が見えるなら、風の日は上から一枚重ねてください。
「薄いものを2枚重ねれば同じ」。 厚みは足し算になりますが、重なった境目に段ができます。段は靴の中でいちばん問題になる場所に出るので、足の甲だけは1枚のほうが収まります。重ね方についてはタイツのデニール数の目安にも触れてあります。
「去年より薄くなった気がする」。 厚い側は、洗うたびに裏の層が寝ていきます。目の詰まり方は残っても、空気を抱える力から先に落ちます。新品と並べてつまんでみると、差が手で分かります。
装いに活かすなら
この厚みは、毎日の一枚ではありません。屋外に長くいる日のための、別枠の一枚です。
引き出しの中では、110までのものと同じ場所に置かないでください。並べて置くと、朝の数秒で手が伸びてしまい、室内の長い日に選んでしまいます。
選ぶ日を決めるのは、気温ではなく時間です。屋外に続けて1時間以上いる予定があるか。その一行だけ前の晩に確かめれば、この一枚は迷わずに出番が決まります。
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よくある問い
- Q. 1200デニールのタイツは、80デニールの15倍あたたかいのですか
- 数字と暖かさは比例しません。デニールは糸の太さの表示で、暖かさを測る単位ではないからです。80から110までは目が詰まるぶん風を止める力が上がりますが、そこから先で効いているのは糸の太さよりも、裏に足された起毛や中綿の層の厚みです。だから比べるなら数字ではなく、生地を平らに置いて2枚重ねでつまんだ厚みを比べてください。厚みが2倍なら、体との間にできる空気の層もおおよそ2倍です。数字が10倍でも厚みが1.5倍しか違わないことは普通にあります。
- Q. 1200デニールと120デニールを間違えそうです。どう見分けますか
- 手に取れるなら、丸めたときの大きさで分かります。120までのものは片手で握り込めますが、1200相当のものは握ると手からはみ出します。畳んだときの高さでいえば、120は1cm前後、1200相当は3cm以上になります。手に取れないときは、足首まわりの寸法表示を見てください。1200相当のものは足首の仕上がり寸法が大きめに取られていることが多く、同じサイズ表記でも数値が違います。もう一つの手がかりは裏面で、裏に毛羽の層があると書かれているものは、ほぼ数百デニール以上の側です。
- Q. いつもの靴に足が入りません。どうすればいいですか
- 生地の厚みを減らすか、足首から先だけ厚みを切る形にするかの2つです。厚みを減らす側は、800相当まで下げると足の甲の周りで増える寸法が半分ほどになります。切る側は、足首から下が薄く作られているものを選ぶ方法で、ふくらはぎから上の厚みは保ったまま靴の中だけ元の寸法に戻せます。どちらも取れないときは、その日は靴のほうを甲の開くものに替えてください。厚い生地に靴を合わせるほうが、無理に押し込むより一日が楽です。
- Q. 1200デニールでも寒く感じる日があるのはなぜですか
- 厚みが効くのは風が当たらない面で、風が当たる面では厚みより目の詰まり方のほうが効くからです。裏に起毛の層があるものは、表側の編み目が意外と粗いことがあります。確かめ方は、明るい窓に生地をかざして、表側から光の粒が見えるかどうかです。粒が見えるなら、そこから風は入ります。風の強い日は、厚みを上げるのではなく、その上に風を止める一枚を重ねるか、丈の長いボトムスで膝から上を覆うほうが結果が早く出ます。
— メグラシ編集部




