黒タイツの黒の濃さは何で決まるか|編みの詰まり方と、光の返り方で見分ける

**同じ数字の黒でも、濃く見える1枚と浅く見える1枚があります。**引き出しから2枚出して白い紙の上に並べれば、たいてい差が見えます。
差を作っているのは糸の太さではありません。**目をどれだけ詰めて編んでいるか、表面が光をどう返すか、伸ばしたときに地がどれだけ白く上がるか。**この3つです。
そして3つとも、道具なしで確かめられます。必要なのは白い紙が1枚と、自分の拳だけ。5分で、手持ちの黒に濃さの順位が付きます。
この記事は数字の話をしません。数字と透け方の対応はデニール数の目安に分けてあります。ここでは、同じ数字の中で濃さが分かれる理由だけを扱います。
手持ちの黒に濃さの順位を付ける|5分の手順
先に並べてしまいましょう。理由の話は、手元に順位ができてからのほうが早く入ります。
| 用意するもの | 目安 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 白い紙 | A4のコピー用紙。新聞紙は不可 | 黒の濃さは、白を背にしないと差が出ない |
| 手持ちの黒 | 2枚以上。多いほど順位が細かくなる | 絶対値ではなく、相対の順位を出す手順 |
| 自分の拳 | 片手 | 生地を同じ力で伸ばすのに、拳がいちばん再現しやすい |
| 光源 | 天井の照明。窓の光でもよい | 45度から当てる操作が要る |
| 時間 | 5分 | 並べて2分、伸ばして2分、光で1分 |
**重ねずに、間隔を空けて並べてください。**重ねると下の1枚が透けて、上の1枚が実際より濃く見えます。
見るのは3つ
| # | 見るもの | どう見るか | 記号 |
|---|---|---|---|
| 1 | 平らに置いたときの地の暗さ | 白い紙の上に一重で置き、真上から見る | 平置きの黒 |
| 2 | 伸ばしたときに白く上がる度合い | 生地の中で拳を握り、いっぱいに開く | 伸ばした白化 |
| 3 | 45度に傾けたときの光の帯 | 照明を映すように傾け、白い帯を探す | 光の帯 |
**2が本体です。**平らに置いた状態で濃く見える1枚が、伸ばすと真っ先に白くなることがあります。タイツは伸びた状態で履くものなので、伸ばしたときの濃さが、実際に見える濃さです。
判定の基準は1つだけ
拳をいっぱいに開いたとき、地が白く上がらない1枚が、いちばん濃い。
平置きでどれだけ濃く見えても、伸ばして白くなるなら、脚に乗ったときには白くなります。判定はこの1つだけで足ります。
判定表:伸ばした白化から濃さの段を出す
| 拳を開いたときの見え方 | 何が起きているか | 濃さの段 |
|---|---|---|
| 灰色に上がり、拳の肌色が見える | 目が粗く、伸ばすと隙間が開く | 浅い |
| 灰色に上がるが、肌色は見えない | 目は中程度。伸びしろがある | やや浅い |
| わずかに明るくなる程度 | 目が詰まっている | 濃い |
| ほとんど変わらない | 目が詰まり、糸の量も多い | とても濃い |
3枚以上あるなら、白化の小さい順に左から並べ直してください。**これが、あなたの引き出しの中の順位です。**買い足すときは、この列のどこが足りていないかで決められます。
迷ったときの分岐
| 迷っている状態 | こう分ける |
|---|---|
| 平置きの順位と伸ばした順位が入れ替わった | 伸ばしたほうを採用する。履けば必ず伸びる |
| 2枚の差が分からない | 端を重ねて、境目を見る。差があれば境目に線が出る |
| 片方だけ毛羽立っている | 濃さではなく表面の状態を見ている。使用回数の差を疑う |
| 裏起毛のものが混ざっている | 別の列にする。裏地のあるものは同じ物差しに乗らない |
| 柄やリブが入っている | 柄のない部分どうしで比べる |
順位が出たら、なぜその順位になるのかに進みます。
濃さを決めているのは、目の詰まり方
糸が太いことと、生地が濃いことは別です。
数字は糸1本の太さを表していて、その糸をどれだけ詰めて編むかは含んでいません。同じ太さの糸でも、目を詰めれば単位面積に入る糸の量が増えて濃くなり、粗く編めば隙間から下の肌が上がって浅くなります。
目の詰まり方は、数えられます。
生地を平らに置いて、5mm四方をスマートフォンの拡大表示で見てください。**横に走る段が何本見えるか。**これが目の詰まりの目安になります。
段が数えられるほど少なければ目は粗く、伸ばすと大きく開いて地が白く上がります。数えられるが密なら中程度、数えきれないほど詰まっていれば、伸ばしてもほとんど開きません。
拡大表示が使えない場合は、生地を明るい窓に透かしてください。目が粗いものは、光の点が並んで見えます。詰まっているものは、光が面として均一に通ります。
光の返り方は3種ある
濃さは、目の詰まりだけでは決まりません。表面が光をどう返すかで、同じ黒でも印象が変わります。
生地を45度に傾けて、天井の照明を映すように動かしてください。
| 光の帯の出方 | 表面の性格 | 脚に乗ったときの見え方 |
|---|---|---|
| 白い帯が細く、はっきり出る | 光を一方向に返す | 縦に線が入る。丸みが強調される |
| 帯がにじんで広がる | 光を散らす | 面がやわらかく見える。濃さが中庸に |
| 帯が出ない | 光を吸う | 平らに見える。いちばん濃く感じる |
**帯が出ないものが、最も濃く見えます。**光が返ってこない面は、目が黒を黒のまま読むからです。
逆に、帯がはっきり出るものは、**濃さの数字が高くても浅く見えることがあります。**帯の位置が明るく抜けるためで、これは目の詰まりとは別の理由で起きています。
脚の中で、黒が薄くなる場所
1枚の中でも濃さは一定ではありません。伸びている場所ほど薄くなります。
| 部位 | 伸びる量 | 濃さの落ち方 |
|---|---|---|
| 膝の前 | 最大。曲げると大きく広がる | 1〜2段浅くなる |
| 太ももの前面 | 大きい。座ると増える | 1段浅くなる |
| ふくらはぎの張っている位置 | 中程度 | わずかに浅くなる |
| すねの前 | 小さい | ほぼ変わらない |
| 足首 | 小さい。たわみが出やすい | 変わらないが、しわが線になる |
**座った状態が、その1枚の濃さの下限です。**立って鏡を見て決めた1枚が、座ったときに膝だけ明るく見える、というのはここから来ています。
外出先で座る時間が長い日は、立った状態で選んだ1枚より、白化の小さい側を選ぶと落ち着きます。判定表の「濃い」以上の列がここに効きます。
上下の黒をそろえるときの段の付け方
黒いボトムスと黒いタイツと黒い靴。この3つが並ぶと、濃さの差が「ずれ」として見えます。
同じ黒に見えていたものが並べたときにずれるのは、素材ごとに光の返し方が違うからです。合わせ方は3通りあります。
| 合わせ方 | やり方 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 段を付ける | 上から下へ順に濃くする。スカート<タイツ<靴 | いちばん失敗が少ない |
| そろえる | 3つとも光の帯が出ないものに寄せる | 素材がそろっている日 |
| あいだを挟む | スカートとタイツのあいだに黒でない面を入れる | 丈の長いボトムスの日 |
⛔ **避けたいのは、ほとんど同じで少しだけ違う組み合わせです。**差が大きければ「別のもの」と読まれ、差がなければ「一続き」と読まれますが、その中間だけが「ずれ」に見えます。
**そろえるか、離すか。**どちらかに寄せてください。中間に置いたときだけ、目が差を探します。
素材の比率で変わること
表示を見ると、たいていナイロンとポリウレタンの比率が書いてあります。ここも濃さに関わります。
| 組み合わせ | 濃さへの影響 | 伸びたときの挙動 |
|---|---|---|
| ナイロンの比率が高い | 表面がなめらかで、光の帯が出やすい | 伸びは中程度 |
| ポリウレタンの比率が高い | 伸縮が大きく、伸ばすと白化しやすい | 大きく伸びる |
| 綿が混ざっている | 表面が光を散らす。黒が浅く見える | 伸びが小さい |
| ウールが混ざっている | 目が粗く見え、面がざらつく | 伸びが小さい |
**濃さだけを求めるなら、ポリウレタンの比率が低いほうが安定します。**伸縮の大きいものは履き心地が良い代わりに、伸びた場所の白化も大きくなります。
ただし比率だけでは決まりません。表示を見て候補を絞り、最後は伸ばして確かめるという順序は変わりません。
裏地のあるものは、黒が浅く見える
内側に起毛のあるものは、暖かさの代わりに濃さを1段落とします。
理由は2つあります。ひとつは、起毛の層があるぶん外側の生地が薄く作られていること。もうひとつは、起毛が厚みを持つので、膝や太ももで生地が浮いて、光の当たる角度が変わることです。
浮いた面は、そこだけ光を返します。座って膝を曲げたとき、膝の位置に明るい面が出るのはこのためです。濃さを優先する日は、裏地のないものを選んで、暖かさは別の場所で足すほうが見え方は安定します。
重ねると濃くなる。ただし境目が出る
濃さを上げる方法としては有効です。薄い1枚の上にもう1枚重ねれば、確実に濃くなります。
| 重ね方 | 濃さの上がり方 | 出る問題 |
|---|---|---|
| 薄い2枚を全体に重ねる | 全体が1〜2段濃くなる | 厚みが2枚ぶん。靴がきつくなる |
| 薄い1枚+膝下で終わるもの | 見える範囲だけ濃くなる | 履き口の位置に横線が出る |
| 薄い1枚+足首までのもの | 足首から下だけ濃い | 靴からはみ出す |
**横線を出さない置き場所があります。**重ねる口を、ふくらはぎのいちばん張っている位置から3cm以上ずらしてください。張っている位置に置くと、そこで脚が横に区切られて見えます。
丈と履き口の関係は靴下の丈の選び方に詳しく分けてあります。
洗うと、濃さはどこから落ちるか
色そのものが抜けるより先に、**表面が毛羽立ちます。**毛羽立った面は光を散らすので、色が残っていても浅く見えます。
| 落ちる場所 | 順番 | 原因 |
|---|---|---|
| 太ももの内側 | 最初 | 歩くたびに擦れる |
| 膝の前 | 2番目 | 曲げ伸ばしで生地が動く |
| かかとの周り | 3番目 | 靴の中で当たる |
| すねの前 | ほとんど落ちない | 触れるものがない |
**並べて比べたときに1枚だけ膝が明るいなら、色落ちではなく毛羽立ちです。**この違いは大事で、色落ちなら戻りませんが、毛羽立ちは進み方を遅くできます。
裏返して洗濯ネットに入れ、弱い水流で。乾燥機の熱は表面をいちばん早く傷めるので避けます。裏返すと、擦れる面が肌に触れていた側になるので、外から見える面が守られます。
買うときに濃さを見分ける
売り場と画面では、見られるものが違います。
**売り場では、台紙と比べてください。**多くの商品は黒か濃い色の紙に載っています。その紙より暗く見えるか、同じか、明るいか。これで順位が付きます。袋の上から45度に傾けて、光の帯が出るかも一緒に見ておきます。
**画面では、商品写真の黒はあてになりません。**撮影の光と加工で、同じ商品でも濃さが変わって写ります。代わりに見るのは表示のほうです。ポリウレタンの比率、裏地の有無、加工の記載。マット、微光沢といった表面の言葉が書いてあれば、それが光の帯の予告になっています。
そして、いちばん確実なのは同じものを補充することです。順位の付いた列の中で、いちばん濃かった1枚と同じ表示のものを買い足せば、判定をやり直さずに済みます。
迷ったときの決め方
ひとつ、その日に座る時間を数えます。長いなら、白化の小さい側を選びます。
ふたつ、上下に黒が並ぶかを見ます。並ぶなら、段を付けるか、あいだを挟むかを先に決めます。
みっつ、光の帯を見ます。帯の出るものは縦に線が入るので、その線を出したいかどうかで決めます。
よっつ、迷ったら白い紙の上に並べ直します。順位はいつでも5分で付け直せます。
濃さは、数字の外側にあるものです。だから表示だけでは決められません。**手に取って、伸ばして、光を当てる。**この3つが、いちばん短い道になります。
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よくある問い
- Q. 同じデニールなのに濃さが違うのはなぜですか
- デニールが糸の太さの数字で、編みの詰まり方を含んでいないからです。同じ太さの糸でも、目を詰めて編めば単位面積あたりの糸の量が増えて濃くなり、粗く編めば同じ糸でも隙間から下の肌が上がって浅く見えます。さらに表面の加工、糸の断面の形、ナイロンとポリウレタンの比率も重なります。数字は透け方の段までを決めていて、同じ段の中でどれが濃いかは別の要素で決まっている、と分けて考えると整理できます。
- Q. 濃さを店頭で見分けるにはどうすればいいですか
- 台紙に当てて比べるのがいちばん確実です。多くの商品は黒い台紙か濃い色の紙に載っていて、その紙より生地が明るく見えるか、同じか、暗く見えるかで順位が付けられます。もうひとつは、袋の上から光を斜めに当てて白い帯が出るかを見る方法です。帯がはっきり出るものは表面が光を返すつくりで、脚に乗ったときにも同じ帯が出ます。袋の中で平らに畳まれた状態と、脚に乗って伸びた状態では見え方が変わるので、伸びる方向の余裕も一緒に見ておくと外しにくくなります。
- Q. 洗うと黒が薄くなるのはどこからですか
- 摩擦の当たる面からです。太ももの内側、膝の前、かかとの周りの順で表面が毛羽立ち、毛羽立った面は光を散らすので、色そのものは残っていても浅く見えるようになります。洗濯の水流と乾燥機の熱がこの進み方を早めます。裏返して洗濯ネットに入れ、弱い水流で洗って陰干しにすると、同じ枚数でも進みが遅くなります。並べて比べたときに1枚だけ膝の位置が明るいなら、色落ちではなく表面の毛羽立ちを見ている可能性が高いところです。
- Q. 黒いスカートと黒いタイツを合わせると、色がずれて見えます
- 起きます。同じ黒でも、布の表面が光をどう返すかが違うと、隣り合ったときに差として出ます。整え方は2つあります。ひとつは段を付けること。上から下へ順に濃くしていくと、差がずれではなく流れとして読めます。もうひとつは、あいだに1つ挟むこと。スカートとタイツのあいだに黒くない面が入ると、直接の比較が起きません。避けたいのは、ほとんど同じで少しだけ違う組み合わせで、そろえるか離すかのどちらかに寄せるほうが収まります。
- Q. 薄いものを2枚重ねると濃くなりますか
- 濃くはなります。ただし濃さだけが上がるわけではなく、厚みも2枚ぶん残り、履き口と爪先の補強部分も二重に重なります。靴の中の余裕が減るので、ふだんの靴がきつくなることが多いところです。濃さだけを上げたいなら、はじめから目の詰まった1枚を選ぶほうが収まります。重ねが有効なのは、見える範囲が限られていて、そこだけに濃さを足したいときです。膝下で終わるものを上から重ねれば、履き口の位置に横線は出ますが、見える範囲の濃さは確実に上がります。
— メグラシ編集部





