冬のオフィスカジュアル レディース|コートを脱いだ後が本体

「冬のオフィスカジュアル、何を着ればいいのか分からない」。この迷いが冬にだけ強くなるのは、寒いからではありません。冬だけ、一日のうちで二種類の装いを着ることになるからです。
朝の通勤路は5度、着いた職場は22度。この17度の差を、一つの装いでまたごうとするから決まらないのです。外に合わせれば室内で汗をかき、室内に合わせれば駅までの道で耐えられない。夏にも冷房との差はありますが、外が暑くて中が涼しいという向きなので、羽織りを一枚足せば片がつきます。冬は向きが逆で、外の装備を室内に持ち込めません。
だから冬は、屋外用の装備と、室内で残る本体を、別々に決める必要があります。この記事はその分け方だけを扱います。
線引きそのもの(どこからカジュアルすぎで、どこからが硬すぎか)は季節で動かないので、オフィスカジュアル レディースの基本にまとめてあります。四季を通した違いを見比べたい方は季節別のオフィスカジュアルへどうぞ。
なお、職場の服装の考え方も、空調の設定も、組織ごとに違います。ここに書くのは一般的な目安であって、規則ではありません。
📋 冬のオフィスカジュアル早見表
| 測るもの | 数字 | 決まること |
|---|---|---|
| 通勤の屋外時間 | 10分未満/10〜25分/25分超 | 外側の厚みと、手袋・マフラーの要否 |
| オフィスの室温 | 20度未満/20〜23度/23度超 | 中に何枚残すか |
| 脱いだあとに残る枚数 | 1枚/2枚/3枚 | 職場での見え方と、調整の余地 |
結論|冬が難しいのは、屋外と室内で必要な枚数が違うから
夏との違いを先にはっきりさせておきます。
| 夏 | 冬 | |
|---|---|---|
| 外と室内の差 | 外が暑く、室内が涼しい | 外が寒く、室内が暖かい |
| 差の大きさ | 5〜8度 | 12〜18度 |
| 解き方 | 羽織りを一枚足す | 外側の装備を丸ごと外す |
| 室内に残るもの | ほぼ同じ装い | 別の装いになる |
夏は、室内で足すだけで済みます。冬は、室内で外すことになる。外したあとに何が残るかを先に決めておかないと、職場では毎日「思っていたのと違う姿」で過ごすことになります。
この記事が扱うのは、その残る部分の設計です。隣の記事との役割はこう分かれています。
| 記事 | 扱うこと |
|---|---|
| この記事 | 冬だけの判断。屋外時間・室温・残る枚数、素材別のきちんと見え、冬特有の事故 |
| オフィスカジュアル レディースの基本 | 通年の線引き、NGの理由、寸法、手持ちの組み替え |
| 季節別のオフィスカジュアル | 春夏秋冬を横断した違い、気温別の対応 |
| オフィスカジュアルとは | 自社の許容量の測り方、業種別の幅 |
| 骨格タイプ別のオフィスカジュアル | 肩線・着丈・袖丈を骨格に合わせる |
自分で測る三つの数字
服の名前を覚えるより、この三つを測るほうが早く決まります。どれも道具がほとんど要りません。
① 通勤で屋外にいる時間(分)
家から駅までの徒歩、乗り換えでホームにいる時間、駅から会社までの徒歩を足します。オフィスビルの入口から自席までの時間は入れません。一度だけ実際に計ってください。 体感と実測は3分から5分ずれます。
② オフィスの室温(度)
体感ではなく数字で見てください。小型の温度計を机に置くか、空調の表示を見るか、共用部の表示を見ます。設定温度と実際の席の温度は違うことがあり、窓際と部屋の中央では2度から3度違います。
③ コートを脱いだあとに残る枚数
インナーは数えません。外から見えるものだけを数えます。ブラウスとカーディガンなら2枚、ニット一枚なら1枚です。
この三つが分かると、朝の判断は「どのコートを着るか」だけになります。中身は前日と同じで構わなくなるのです。
屋外時間別|外側だけで、どこまで届くか
外側の装備は、屋外時間だけで決まります。気温より、その気温に何分さらされるかのほうが効きます。
| 屋外時間 | 外側 | 追加する装備 | 中身への影響 |
|---|---|---|---|
| 10分未満 | 薄手のコート、または厚手のジャケット | 不要 | なし。通年の中身で足りる |
| 10〜25分 | 中厚のコート | ストールかマフラー一枚 | なし |
| 25〜40分 | 風を通さない厚手のコート | マフラー、手袋 | 足元だけ厚く |
| 40分以上 | 厚手のコート+インナーダウン | マフラー、手袋、耳を覆うもの | 足元と、脱げる一枚 |
| 屋外での立ち仕事あり | 上記に加えて防風性を重視 | 上記すべて | 中に一枚足して、室内で脱ぐ |
10分を超えたところから、首元が効き始めます。 首の前面は皮膚が薄く血管が近いので、ここを覆うか覆わないかで体感が数度動きます。ストール一枚は、ニットを一枚厚くするより軽く、そして室内でしまえます。
25分を超えると、今度は風の話になります。同じ気温でも、風速が1メートル増えるごとに体感は1度ほど下がります。編み目のあるコートは風が通り、目の詰まった織りのコートは通しません。厚みではなく、布の目が詰まっているかどうかを触って確かめてください。
40分を超える方や、屋外での待ち時間がある方は、インナーダウンのように「室内で外せる中間層」を持つほうが解決が早くなります。中間層は、コートを脱いだあとに残さないものとして扱ってください。
室温別|中に何枚残すか
外側が決まったら、次は室内です。ここで決まるのが、その日あなたが職場で見せている姿になります。
| 室温 | 残す枚数 | 具体例 | 足すもの |
|---|---|---|---|
| 20度未満 | 3枚 | ブラウス+薄手ニット+羽織り | 足元の断熱、膝に掛ける一枚 |
| 20〜22度 | 2枚 | ブラウス+カーディガン、またはニット+羽織り | 席用の一枚を背もたれに |
| 22〜23度 | 2枚または1枚 | 目の詰まったニット一枚 | 特になし |
| 23度超 | 1枚 | 薄手のニット、または長袖ブラウス | 汗を吸うインナー |
冬の室内で暑くなる人のほとんどは、外の寒さに合わせて中まで厚くしています。 中は室温だけで決めてください。外の寒さは、外側と、体の端を覆うもので引き受けます。
もう一つ、室温が20度を下回る職場でよく見落とされるのが足元です。暖まった空気は上にたまるので、床から30センチの高さは、頭の高さより3度から5度低いことがあります。上半身を一枚厚くしても、この冷えは取れません。厚手のタイツ、靴の中に入れる中敷き、席で履き替えるための一足。このどれか一つのほうが、ニットを厚くするより体感が変わります。
コートを脱いだ後が本体
ここが、この記事でいちばん言いたいところです。
朝、鏡の前でコートを羽織って「うん、これでいい」と思って家を出る。けれど職場でその姿を見る人は一人もいません。あなたが職場で着ているのは、コートを脱いだあとの状態です。
| コートを含めた組み合わせ | 脱いだあとに残るもの | 職場での成立 |
|---|---|---|
| コート+ジャケット+ブラウス | ジャケット+ブラウス | 成立する。どの職場でも通る |
| コート+カーディガン+ブラウス | カーディガン+ブラウス | 成立する。もう一段脱げる余地がある |
| コート+目の詰まったニット | 目の詰まったニット一枚 | 成立する。調整の余地はない |
| コート+ざっくりしたニット | ざっくりしたニット一枚 | 職場による。羽織りを足すと安全 |
| コート+インナーダウン+ニット | ニット一枚 | 成立する。中間層は室内で外す前提 |
| コート+パーカー | パーカー | 多くの職場で外れる |
| コート+発熱素材の薄手インナーのみ | インナー一枚 | 成立しない |
確認は、玄関を出る前に一度だけです。 コートを着る前の姿を鏡で見て、「この格好で会議に出られるか」を自分に聞いてください。出られないなら、その日の装いはまだ決まっていません。
冬に「なんとなく毎日だらしなく見える」という感覚が出るとしたら、多くの場合ここが原因です。朝の判断がコート込みで終わっていて、室内の姿を誰も決めていない状態が続いているのです。
ニット一枚で成立させる三つの条件
冬のオフィスカジュアルは、実質「ニット一枚で成立するか」の問題に集約されます。成立すれば、装いはとても軽くなるからです。条件は三つあります。
| 見る場所 | 成立する状態 | 崩れる状態 |
|---|---|---|
| 編み地の目 | 細かく詰まっている(ハイゲージ) | 目が粗く、隙間が見える |
| 首元 | クルーかタートルで形が出る | 伸びて広がっている、ボートで肩が出る |
| 袖口と裾 | リブが締まって元に戻る | ゆるんで波打っている |
この三つのうち二つ以上を満たしていれば、ジャケットなしで職場の線に乗ります。 一つしか満たしていないなら、上に一枚重ねるほうが早く整います。
目の粗い編み地が引っかかるのは、暖かさが足りないからではありません。編み地の隙間が「休日の記号」として読まれるからです。同じウールでも、目が詰まっていれば通り、粗ければ通りにくい。この差は、値段や素材の等級とは別のところにあります。量販の価格帯でも、目の詰まったものは通ります。
首元については、もう一つ。タートルは、首の長さや顔まわりの好みで選び分けて構いませんが、折り返しの高さが3センチ以上あると顔の近くに面ができます。ここが気になる方は、折り返しの浅いモックネックにすると同じ暖かさで面が減ります。
素材別|きちんと見えるかどうかが変わる場所
冬の「きちんと見え」は、形よりも素材が決めています。同じ形のニットでも、素材が違えば別の服になります。
| 素材 | 暖かさ | きちんと見え | 起きやすい事故 | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|
| ウール(目の詰まった編み) | 高い | 高い | 摩擦部位の毛玉 | かたい職場の日常 |
| カシミヤ・カシミヤ混 | 高い | 高い | 毛玉が出やすい | 薄く着たい日、来客のある日 |
| ウール×化繊の混紡 | 中〜高 | 中〜高 | 混率次第で静電気 | 毎日の中心 |
| アクリル100% | 中 | 中〜低 | 静電気・毛玉・光沢 | ゆるい職場、寒い日の重ね着 |
| コットン混ニット | 低〜中 | 中 | 型崩れ | 室温が23度を超える職場 |
| 裏起毛(合繊) | 高い | 低い | 表面がつぶれてテカる | 通勤の中間層。室内では外す |
| ポリエステルのブラウス | 低い | 中 | 静電気の主因になりやすい | 中に着る前提で |
見ておくべき点をいくつか。
アクリルが職場で引っかかるのは、質そのものではなく光り方です。 繊維の断面がなめらかなので、蛍光灯の下で面がつるっと光ります。この光り方が「休日っぽさ」として読まれます。混紡でウールが半分以上入っていれば、この光りは目立たなくなります。
カシミヤは薄いのに暖かいので、着ぶくれを避けたい冬にはよく働きます。 ただし繊維が細いぶん毛玉は出やすく、手入れをしないと二か月で表情が変わります。「よい素材だから安心」ではなく、「よい素材だからこそ手入れが要る」と考えてください。
裏起毛は、室内に持ち込まない前提のものです。 暖かさは確かですが、表面の起毛は座るたびにつぶれ、つぶれた面は光ります。通勤の中間層としては優秀で、職場の本体としては不向き。この線引きをしておくと迷いません。
素材の手入れの続きはニットの保管と虫食い対策にまとめてあります。
冬の事故①|静電気
冬の「なんとなくだらしなく見える」の正体は、多くの場合この三つの事故です。ここは他の季節には起きません。
静電気は、電気の帯びやすさが正反対の素材を直接重ねたときに起きます。
| プラスに帯びやすい | マイナスに帯びやすい |
|---|---|
| ウール、ナイロン、絹 | ポリエステル、アクリル、レーヨンの一部 |
この左右をまたいで重ねると起きます。冬の装いでいちばん多い組み合わせは次のとおりです。
| よくある組み合わせ | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| ウールのスカート×化繊のタイツ | 裾がまとわりつき、丈が上がる | あいだにコットンのインナーを挟む |
| ウールのコート×ポリエステルのブラウス | 脱ぐときに音が出て、髪が広がる | コートの内側に触れる面をコットンに |
| アクリルのニット×ポリエステルのインナー | 一日中パチパチする | どちらかをコットン混に替える |
| ウールのパンツ×ナイロンの靴下 | 裾が足に張りつく | 同じ側どうしなので起きにくい組み合わせに |
止め方は二つだけです。素材をどちらかの側に揃えるか、あいだにコットンかレーヨンを一枚挟むか。 どちらも服を買い替えずにできます。
もう一つ、湿度が効きます。室内の相対湿度が40%を下回ると、同じ組み合わせでも起きやすさが跳ね上がります。加湿の手立てがある職場なら、それだけで解決することもあります。
静電気を軽く見ないほうがいい理由は、見え方に直接効くからです。裾がまとわりつくと、丈も落ち方も設計どおりになりません。 膝下で止まるはずのスカートが膝上に見え、まっすぐ落ちるはずのパンツが脚に沿う。素材選びより先に、ここを直すほうが効きます。
冬の事故②|毛玉とけば立ち
毛玉は「起きるかどうか」ではなく「どこに起きるか」が決まっています。摩擦点だからです。
| できる場所 | 原因 | 減らし方 |
|---|---|---|
| 脇の下・二の腕の内側 | 腕を振るたびに擦れる | 同じニットを二日続けて着ない |
| 肩(片側だけ) | バッグの肩紐 | 手持ちに替える日を作る、紐の当たる面を変える |
| 袖口 | 机とデスクワークの擦れ | 袖を一折りする日を作る |
| 胸の片側 | 車のシートベルト | 上に羽織りを重ねる |
| 腰の後ろ | 椅子の背もたれ | 座面の浅い座り方に変える |
いちばん効くのは、同じニットを連続で着ないことです。 繊維は一日着ると変形し、休ませると戻ります。戻る前にもう一度着ると、変形が定着して毛玉になります。三枚を回すだけで、寿命は目に見えて変わります。
できてしまった毛玉は、引っ張らずに刃で切ってください。 引っ張ると繊維の根元が抜けて、そこから薄くなります。
毛玉が装いに与える影響は、「ちゃんとしていない」ではなく**「疲れて見える」**という方向に出ます。そして効くのは1メートル以内の距離です。会議で隣に座る人、書類を渡す相手には見えています。冬に人と近づく機会が増えるぶん、ここは他の季節より効きます。
冬の事故③|タイツの伝線と足元
伝線は、避けきれない事故です。だから防ぐ話と、起きた後の話の両方が要ります。
| デニール | 見え方 | 職場での位置 | 伝線しやすさ |
|---|---|---|---|
| 30デニール未満 | 肌が透ける | ストッキングの領域 | 高い |
| 40〜50デニール | 薄く透ける | ゆるい職場なら可 | やや高い |
| 60〜80デニール | 透けない、厚ぼったくない | かたい職場でも通る中心帯 | 中 |
| 110デニール以上 | 光を通さない面になる | カジュアル寄りに見える | 低い |
かたい職場なら、黒の60から80デニールの無地が中心です。 この帯は透けすぎず、面が重くもならず、冬のあいだずっと使えます。
伝線を減らすには、履くときが勝負です。
| 起きること | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 履くときに爪で引っかける | 爪の角、ささくれ | 手袋をして履く、爪の角を整える |
| 踵から伝線する | 乾燥した踵の角質 | 前夜に踵を保湿しておく |
| 靴の中で伝線する | 靴の内側の縫い目、中敷きのめくれ | 靴の内側を手で触って確かめる |
| 脱ぎ履きで伝線する | 引き上げるときの力 | 両手で少しずつたぐる |
そして、職場の引き出しに予備を一足。 これがいちばん確実です。伝線は朝ではなく昼に起きるので、家に予備があっても間に合いません。応急処置として、伝線の先端に透明のマニキュアを少量つけて止める方法もありますが、あくまでその日を乗り切るための手当てです。
足元でもう一つ、冬だけ起きるのが融雪剤と雨の跡です。革の靴に白い跡が残ると、遠目にも目に入ります。通勤用と社内用を分ける運用にしておくと、この問題は丸ごと消えます。靴下やタイツの選び方の続きは靴下の丈と種類にもまとめています。
どちらとも取れるとき①|職場がかたいのか、ゆるいのか
ここからが、検索結果の上では答えの出ない部分です。
自分の職場がどちら寄りか分からない場合、冬のアイテムで判定するのがいちばん早いです。 冬は選択肢の幅が広いので、職場の許容量が服に表れやすいからです。
| 冬に見るもの | かたい職場の兆候 | ゆるい職場の兆候 |
|---|---|---|
| ニットの編み地 | ハイゲージが中心 | ローゲージも混ざる |
| タイツの色 | 黒か濃紺の無地のみ | チャコール、柄、色物も |
| ブーツ | 社内では履き替えている | そのまま履いている人がいる |
| コートの色 | 濃色と中間色の無地 | 明るい色や柄も |
| 手袋・マフラー | 席に着く前にしまっている | 席に掛けたままの人もいる |
| ニット一枚の人 | 少ない。上に一枚ある | 多い |
三日見て、四つ以上が左に寄るならかたい職場です。 判定の詳しい手順はオフィスカジュアルとはにまとめてあります。
判定が出たら、冬に動かすところはこう分かれます。
| かたい職場 | ゆるい職場 | |
|---|---|---|
| 残す枚数 | 2枚以上(羽織りを残す) | 1枚でよい |
| ニット | 目の詰まったもの | 目の粗いものも可 |
| タイツ | 黒60〜80デニール | 濃色なら幅がある |
| 靴 | 社内で履き替える | ショートブーツのまま可 |
| 中間層 | 室内で必ず外す | 薄手なら残してもよい |
どちらとも取れるとき②|屋外に出る日と、出ない日
同じ職場でも、日によって条件が変わります。ここを一つの装いでまかなおうとすると、どちらかが破綻します。
| その日の予定 | 屋外時間 | 組み方 | 残す枚数 |
|---|---|---|---|
| 終日デスク | 通勤のみ | 中身は室温だけで決める | 室温どおり |
| 午後に外出が一件 | 通勤+30分 | 中身はそのまま、外側を厚く | 室温どおり |
| 屋外での訪問が続く | 通勤+90分以上 | 中間層を一枚足して、戻ったら外す | 室温どおり+1枚(可変) |
| 屋外で待ち時間がある | 立ったまま20分以上 | 風を止める外側、足元を厚く | 室温どおり |
| 来客が社内にある | 通勤のみ | 中身を一段きちんと寄りに | 2枚以上 |
外出の多い日ほど、中間層で調整してください。 中身を厚くすると、戻ってきたときに脱ぐものがありません。中間層は「外に出るあいだだけ着るもの」と決めておくと、一日に何度往復しても同じ本体のままでいられます。
歩く距離が長い日は、靴も変わります。ヒールの高さより、ソールが滑らないかどうかのほうが冬は効きます。凍結した歩道では、革底より合成底のほうが安全です。通勤の靴の続きは通勤パンツの3本にも触れています。
どちらとも取れるとき③|着ぶくれと、寒さのどちらを取るか
「暖かくしたいけれど、もたついて見えたくない」。冬の相談でいちばん多いのがこれです。
答えは、足す場所を変えることです。 増やす量ではなく、場所を変えます。
| 足す場所 | 輪郭への影響 | 体感の変化 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 首 | なし | 大きい | 最初にここ |
| 手首 | なし | 中 | 二番目 |
| 足首・足元 | なし | 大きい | 三番目 |
| 背中(薄い一枚) | 小さい | 中 | 四番目 |
| お腹まわり | 大きい | 中 | 最後の手段 |
| 腕の周囲 | 大きい | 小 | 効率が悪い |
首・手首・足首の三か所は、覆っても輪郭が変わりません。 ここには太い血管が皮膚の近くを通っているので、覆うと体感が変わりやすく、しかも布の量はごくわずかで済みます。逆に胴回りと腕は、布を足した分だけ輪郭が変わり、そのわりに体感はあまり動きません。
判断の目安を一つ置いておきます。腕を体の前で組んでみて、肩が突っ張るなら一枚多い状態です。 肩が突っ張る装いは、その日ずっと動きが小さくなります。動きが小さいと、それ自体が窮屈な印象として伝わります。
もう一つ。着ぶくれて見えるかどうかは、厚みの合計より厚みの置き方で決まります。上半身に三枚、下半身に一枚だと、上に重心が集まって全体が重く見えます。上を二枚に減らして、その分を足元の厚みに回すと、同じ暖かさで輪郭がすっきりします。冬にどうしても上ばかり厚くなるのは、寒さを最初に感じるのが上半身だからですが、実際に体温を逃がしているのは足元のほうです。
朝、迷った日の三手
考える時間がない朝のために、順番だけ決めておきます。
| 順番 | やること | かかる時間 |
|---|---|---|
| 一手目 | 今日の屋外時間を思い出して、コートを選ぶ | 5秒 |
| 二手目 | コートを脱いだ姿を鏡で見て、会議に出られるか確かめる | 10秒 |
| 三手目 | 出られないなら、羽織りを一枚足す。足せないなら中を替える | 20秒 |
二手目を飛ばさないでください。 ここを飛ばした日が、職場で「なんとなく違う」と感じる日になります。
そして前夜にできることが一つ。ニットの毛玉と、タイツの予備だけ確かめておく。 朝に気づくと、もう替えが利きません。
まとめ
冬のオフィスカジュアルが難しいのは、寒いからではなく、屋外と室内で必要な枚数が違うからです。一日のうちで二種類の装いを着ていることになります。
決めるための数字は三つだけです。通勤の屋外時間、オフィスの室温、コートを脱いだあとに残る枚数。 屋外時間で外側が決まり、室温で中身が決まります。この二つを別々に決めれば、外で耐えて室内で汗をかくということがなくなります。
そして、コートを脱いだ状態が、その日あなたが職場で着ている服です。 朝の鏡はコートを着る前に見てください。
冬だけに起きる事故は三つ。静電気は素材の組み合わせ、毛玉は摩擦点、伝線は履き方と予備。どれも服を買い替えずに減らせます。冬の「なんとなくだらしなく見える」は、たいていこの三つのどれかです。
通年の線引きはオフィスカジュアル レディースの基本、四季を横断した違いは季節別のオフィスカジュアルにまとめています。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 冬のオフィスカジュアルは、何から決めればよいですか
- 通勤で屋外にいる時間から決めてください。家から駅までの徒歩、乗り換えのホーム、駅から会社までの徒歩を分で足し算します。この合計が10分未満なら、外側は薄手のコート一枚で足り、中を厚くする必要もありません。10分から25分なら、コートに加えて首元を覆うものが要ります。25分を超えるなら、風を通さない外側と手袋まで含めた装備の話になります。屋外時間が分かると、その分だけ外側を厚くすればよいことになり、中身を触らずに済みます。中身を触らずに済むというのは、室内で暑くならずに済むということです。
- Q. ニット一枚で職場に出ても大丈夫でしょうか
- 条件が三つ揃えば成立します。編み地の目が細かいこと、首元に形があること、袖と裾がゆるんでいないことです。目の粗いざっくりした編み地は、それ一枚だと休日の記号として読まれやすくなります。首元はクルーネックかタートルなら形が出ますが、伸びて広がったものは輪郭が崩れて見えます。袖口と裾のリブがゆるんでいると、どれだけよい素材でも疲れた印象が先に立ちます。この三つが揃っているなら、ジャケットを重ねなくても職場の線に乗ります。逆に一つでも欠けているなら、上に羽織りを一枚重ねるほうが早く解決します。
- Q. 冬に着ぶくれしないためには、どこを変えればよいですか
- 中心ではなく端を足してください。お腹や背中の面に一枚増やすと、輪郭そのものが変わり、ジャケットも羽織りも入らなくなります。首・手首・足首の三か所は、覆っても輪郭が変わりません。ストールを一枚、袖の長い羽織り、厚手のタイツか靴下。この三か所を先に埋めてから、それでも寒ければ中を足すという順番にすると、同じ暖かさを少ない厚みで得られます。判断の目安になるのは、腕を体の前で組んでみて肩が突っ張るかどうかです。突っ張るなら、その日の装いは一枚多い状態です。
- Q. 静電気で裾がまとわりつくのは、どうすれば止まりますか
- 起きているのは、電気を帯びやすさが正反対の素材を直接重ねているからです。ウールやナイロンと、ポリエステルやアクリルの組み合わせがいちばん起きます。止め方は二つで、素材をどちらかに揃えるか、あいだにコットンかレーヨンを一枚挟むかです。冬のスカートで起きやすいのは、ウールのスカートと化繊のタイツという組み合わせで、これはスカートの裏側に触れる面をコットンのインナーに変えるだけで変わります。室内の湿度が40%を下回ると起きやすさが跳ね上がるので、席に加湿の手立てがある職場ならそれも効きます。
- Q. タイツは何デニールを選べばよいですか
- 職場のかたさで分かれます。かたい職場では黒の60から80デニールの無地が中心で、この帯なら透けすぎず、厚ぼったくも見えません。40デニールを下回ると、暖かさが足りないうえに爪で伝線しやすくなります。110デニールを超えると暖かい代わりに、光を通さない面ができてカジュアル寄りに見えます。ゆるい職場なら、濃紺やチャコールなど黒以外の濃色も使えます。伝線は起きるものなので、職場の引き出しに予備を一足置いておくのがいちばん確実な備えです。
- Q. オフィスの暖房が暑すぎる/寒すぎる場合はどうしますか
- まず室温を実際に測ってください。体感で判断すると、その日の体調に引きずられます。20度を下回っているなら、足元の冷えが原因のことが多いので、厚手のタイツか席で履き替える一足を足します。23度を超えているなら、中を一枚減らして外側に寄せます。冬に室内で暑いのは、たいてい外の寒さに合わせて中まで厚くしているからです。そして暖房は乾燥を伴うので、暑さと静電気が同時に来ます。中を減らすことは、静電気を減らすことにもつながります。
- Q. 冬のブーツは職場で履いてよいですか
- 通勤と社内を分けるのがいちばん現実的です。冬の道は雨も雪も融雪剤もありますが、社内の床は乾いています。二足に分けると、両方の条件を同時に満たせます。社内でも履く前提で選ぶなら、甲まわりに装飾がなく、ソールが厚すぎず、歩いても音が鳴らないものが範囲に収まります。避けたほうが無難なのは、毛足の見える素材、極端な厚底、歩くとかかとが鳴るものです。判断に迷ったら、その靴で立ち上がって歩いたときの音を廊下で確かめてみてください。音が目立つなら、社内用は別に用意したほうが安全です。
— メグラシ編集部





