靴のサイズが大きいとき|足がどの方向に何cm動くかで、埋める場所が決まる

靴が大きいとき、多くの人は最初に中敷きを1枚足します。それで直ることもありますが、直らないこともあります。
分かれ目は、埋めた場所と、動いている方向が合っているかどうかです。
足は、靴の中で3つの方向に動きます。前後、上下、左右。どの方向に動いているかで、埋めるべき場所が変わります。方向を確かめずに厚みだけ足すと、動く方向はそのままで、別の場所が窮屈になるだけです。
まず、方向を1つに決めるところから始めます。
靴が大きいときは、動く方向で埋める場所が決まります
なぜ方向から決めるのか。理由は、埋め方が方向ごとに違うからです。
前へ滑るなら、前へ出る距離を短くする。上へ浮くなら、上から押さえる。左右に振れるなら、横を狭める。それぞれ別の手当てになります。
そして手当ての場所も違います。つま先、甲、かかと。この3か所は、それぞれ違う方向の動きを止めます。
方向が1つに決まれば、埋める場所は自動的に決まります。
先に測る|10歩歩いて、動く方向を1つに決める
靴を履いて、平らな床を10歩歩いてください。速度はふだんどおりで構いません。
歩きながら、次の3つのうちどれが起きているかを見ます。
足が前へ出ていく感じがする。 つま先が靴の先に近づく、あるいは当たる。これは前後の動きです。
かかとが上へ持ち上がる。 歩くたびにかかとと靴のあいだが開く。これは上下の動きです。
足が横へ振れる。 曲がるときや、少し傾いた場所で、足が左右にずれる。これは左右の動きです。
1つに決めてください。 2つ以上に見える場合の扱いは、後の項で書きます。
方向①|前後に動く|つま先が当たる
歩くたびに足が前へ出ていく場合です。
原因は、靴の内側の長さが足より長いことです。前へ出る余地があるので、歩くたびに出ます。
埋める場所は、つま先です。 前へ出る距離そのものを短くします。つま先側に詰め物を入れると、足の位置が後ろへ固定されます。
ただし、ここには副作用があります。足の位置が後ろへ下がるぶん、かかと側の余りが増えます。 つま先を埋めたら、かかとの浮きをもう一度測り直してください。片方を直すと、もう片方が動きます。
詰め物の量は、少しずつ増やすのが確実です。一度に多く入れると、今度は前が窮屈になります。
方向②|上下に動く|かかとが浮く
歩くたびにかかとが上へ持ち上がる場合です。
測り方は決まっています。 立った状態で、かかとと靴の内側のあいだに指を入れてください。
指1本が境目です。 1本が入るか入らないか程度なら、歩行で自然に収まる範囲です。1本が余裕で入る、あるいは2本入るなら、止める必要があります。
そして、このときに埋めるのはかかとではありません。甲です。
理由は簡単で、かかとが浮くのは足が前へ逃げているからです。甲を上から押さえると、足が前へ出にくくなり、結果としてかかとが上がる余地が減ります。かかと側に厚みを入れても、押し出す方向に働くだけで、浮き自体は残ります。
方向③|左右に動く|足が横へ滑る
曲がるとき、傾いた場所を歩くときに、足が左右へずれる場合です。
これは、靴の内側が足の一周に対して広いということです。前後や上下とは違い、厚みを足しても、締めても止まりません。
判断は簡単で、靴の中で足を左右に振ってみてください。振れるなら、一周の問題です。
この場合は、その靴では止めきれないと考えるのが現実的です。中敷きを厚くすれば足の位置が上がり、靴の内側の狭い部分に当たるようになるので、多少は減ります。ただし、上へ持ち上げるぶん、今度はかかとが浮きます。
左右の動きだけは、埋め方で解決しない方向です。
判定|動く量を測る|どこまでが許容か
方向が決まったら、量を測ります。
前後。 靴を履いてつま先を前へ寄せた状態で、かかとの後ろに指が何本入るか。1本なら通常の余裕、2本以上なら埋める対象です。
上下。 かかとの浮きが指1本以上かどうか。前述のとおりです。
左右。 足を横へ振って、動く距離が1cm以上かどうか。
この量が、埋める厚みの目安になります。動く量より少し薄いものから試して、足りなければ足す。 最初から多く入れると、方向が変わるだけで解決しません。
埋める場所は3つ|つま先・甲・かかと
まとめると、埋める場所は3か所しかありません。
つま先。 前へ出る距離を短くします。前後の動きに効きます。
甲。 上から押さえて、前へ出る動きと上へ浮く動きの両方を減らします。いちばん効く場所です。
かかと。 かかとと靴のあいだの隙間を埋めます。ただし、これは前へ出る動きが止まっている場合にだけ効きます。前へ出ているのにかかとを埋めると、押し出されて余計に前へ行きます。
迷ったら、甲から試してください。 3方向のうち2方向に効くのは甲だけです。
中敷きは「全体」か「部分」か
中敷きには2種類の入れ方があります。
全体に敷く。 靴の中の高さが全方向で一様に下がります。足の位置が上がるので、上下の余りが減り、左右も少し狭くなります。ただし、前後の滑る距離は変わりません。
部分に入れる。 つま先だけ、甲の内側だけ、かかとだけ。狙った方向だけを止められます。
前へ滑っている日に全体を敷いても、滑る距離は同じです。 ここを取り違えると、何枚重ねても解決しません。
厚みについては、全体に敷く場合、足の位置が上がるぶん甲が当たりやすくなります。甲が当たり始めたら、それ以上は厚くできません。
紐と留め具|締める位置を1つ上げる
紐や留め具がある靴なら、厚みを足す前にできることがあります。
締める強さではなく、締める位置を変えてください。
紐靴なら、いちばん上の穴を1つ多く使って、足首に近い位置で止めます。足が前へ出る動きが減ります。
留め具のある靴なら、留める穴を1つ内側にするのではなく、留める位置そのものを足首側に寄せられないかを見てください。同じ強さでも、押さえる場所が変われば効き方が変わります。
強さだけを上げると、甲の一点に力が集まって、歩いているうちに緩みます。位置を変えても足りない場合に、はじめて厚みを足す。 この順番が確実です。
早見表|動く方向と、埋める場所
| 動く方向 | 症状 | 埋める場所 | 効かない手当て |
|---|---|---|---|
| 前後 | つま先が当たる | つま先に詰める | 全体に敷く |
| 上下 | かかとが浮く | 甲を押さえる | かかとを埋める |
| 左右 | 横へ振れる | 全体に敷いて位置を上げる | 締めを強くする |
表は方向と場所の対応です。自分がどの行なのかは、10歩歩かないと決まりません。
埋めても直らない場合|大きいのは長さではない
一通り試しても直らないことがあります。
そのときは、大きいのが長さではない可能性を疑ってください。 表示のサイズは長さの話ですが、靴の中で余っているのは一周かもしれません。
見分け方は3つです。1つ、足を左右に振ると動く。2つ、締めても甲の上に隙間が残る。3つ、中敷きを厚くすると甲が当たるのに、それでもかかとは浮く。
この3つが揃ったら、その靴では止めきれません。歩く距離の短い日に回す、あるいは室内で使うといった振り分けに切り替えるほうが現実的です。
どちらとも取れるとき①|方向が2つに見える
前へも滑るし、かかとも浮く。これはよくある組み合わせです。
実は、この2つは同じ原因から来ています。足が前へ逃げているから、かかとが上がる。 つまり、方向は1つです。
この場合は、甲を先に押さえてください。 前へ出る動きが止まれば、かかとの浮きも一緒に減ります。それでもかかとが浮くなら、そのあとでかかと側を埋めます。
前後と左右が同時に出る場合は、左右のほうが優先です。左右が止まっていないと、前後を止めても靴の中で位置が定まりません。
どちらとも取れるとき②|片足だけ動く
左右で違うのは、珍しいことではありません。
このときは、片足ずつ別に調整してください。 両足に同じものを入れる必要はありません。動いているほうにだけ入れます。
見た目に差は出ません。靴の中の話なので、外からは分かりません。
両足に同じものを入れて、動いていないほうが窮屈になるほうが問題です。測るのも、埋めるのも、片足ずつが基本です。
靴下で埋める、という手
厚みを足す方法として、靴下を使う手もあります。ただし、効く場合と効かない場合が分かれます。
効くのは、上下の動きです。 厚い靴下を履くと、足全体の位置が上がり、甲が靴の上側に近づきます。かかとの浮きが減ります。
効きにくいのは、前後の動きです。 靴下を厚くしても、前へ滑る距離はほとんど変わりません。むしろ、表面が滑りやすい靴下だと、前へ出やすくなることがあります。
左右には、多少効きます。 一周の余りを布で埋める形になるためです。ただし、埋められるのは数mm程度です。
そして、靴下で埋めるときの注意が1つあります。その靴で使う靴下を固定してください。 厚い靴下で合わせた靴に薄い靴下を履くと、元の大きさに戻ります。合わせた条件と、実際に履く条件を揃えておかないと、日によって結果が変わります。
見た目の側でいうと、靴下を厚くすると足首まわりの太さが変わります。裾から見える範囲に入るなら、そこも合わせて確かめてください。
まとめ|方向が決まれば、場所は決まる
靴が大きいときは、厚みを足す前に方向を決めてください。
10歩歩いて、前後・上下・左右のどれかを1つに決める。前後ならつま先、上下なら甲、左右なら全体。迷ったら甲から。紐や留め具があるなら、厚みより先に締める位置を1つ上げる。
埋める場所さえ合っていれば、必要な厚みは思ったより薄くて済みます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 靴が大きいので中敷きを1枚入れましたが、まだ脱げます。なぜですか。
- 埋めた場所と、動いている方向が合っていない可能性が高いです。中敷きを全体に敷くと、靴の中の高さが全方向で一様に下がります。かかとが上下に浮いている場合には効きますが、足が前後に滑っている場合には、滑る距離そのものは変わりません。まず10歩歩いて、足が前へ滑っているのか、かかとが上へ浮いているのかを見分けてから、埋める場所を決めてください。
- Q. かかとが浮くかどうかは、どう測ればよいですか。
- 立った状態で、かかとと靴の内側のあいだに指を入れてください。指1本が境目です。1本が入るか入らないか程度なら、歩行で自然に収まる範囲です。1本が余裕で入る、あるいは2本入るなら、動きを止める必要があります。このとき埋めるのはかかとではなく甲です。甲を上から押さえると、足が前へ出にくくなり、結果としてかかとの浮きが減ります。
- Q. つま先に詰め物を入れるのは、どういうときですか。
- 足が前へ滑って、つま先が靴の先に当たっている場合です。歩くたびに前へ出ているなら、前へ出る距離を物理的に短くするのが最短です。ただし、詰め物を入れると足の位置が後ろへ下がるので、かかと側の余りが増えます。つま先を埋めたあとに、かかとの浮きをもう一度測り直してください。片方を直すと、もう片方が動きます。
- Q. 紐で締めれば直りますか。
- 締める強さより、締める位置のほうが効きます。いちばん上の穴を1つ多く使って、足首に近い位置で止めると、足が前へ出る動きが減ります。強さだけを上げると、甲の一点に力が集まって、歩いているうちに緩みます。位置を変えても足りない場合に、はじめて厚みを足す順番です。
- Q. 埋めても直らないときは、どうすればよいですか。
- 大きいのが長さではない可能性があります。足の一周(甲を含めた周囲)に対して靴の内側が広いと、中で左右に動きます。この動きは、厚みを足しても、締めても止まりません。判断は簡単で、靴の中で足を左右に振ってみて、左右へ動くなら一周の問題です。この場合は、その靴では止めきれないと考えて、別の靴に回すほうが現実的です。
— メグラシ編集部





