ミラノ巻きのやり方|決まるかは全長と首まわりの計算で分かる

ミラノ巻きが決まるかどうかは、巻く前に計算で分かります。全長が首まわりプラス80センチ以上で、1枚の厚みが6ミリまで。 この2つを満たしていれば、あなたの一枚でミラノ巻きは成立します。
満たしていない一枚は、手順をどれだけ丁寧に追っても形が決まりません。その場合に何へ切り替えるかも、この記事の後半で決めます。
先にやり方、次に判定の式、最後に秋冬のコートと合わせたときの置き方の順で進めます。
ミラノ巻きのやり方|手順は5つ
- 二つ折りにする:マフラーを長さ方向に半分に折る。端と端をそろえる
- 首に掛ける:首の後ろから掛け、片側に輪、もう片側に2本の端を垂らす
- 1本目を輪に通す:2本の端のうち1本だけを、輪に上から通す
- 輪をひねる:残った輪を半回転ひねり、8の字の下半分のような新しい輪を作る
- 2本目を通す:残った1本の端を、ひねってできた輪に下から通す
通し終えたら、編み目の位置を下げてから端の長さを整えます。この順番が逆になると、編み目があごの下へ上がってしまいます。整え方は後半の「編み目の位置」で詳しく書きます。
ひねらずに3つめの手順で終える形は、ワンループと呼ばれる別の巻き方です。ミラノ巻きはひねった輪にもう1本を通すことで、首の前に編み目のような立体ができるのが特徴です。その立体ぶん、ワンループより長さと厚みの条件が厳しくなります。
手順ごとの、つまずきやすい点
二つ折りでつまずくのは、端をそろえすぎることです。厚手の一枚では、きっちりそろえると後で編み目が膨らみます。薄手から中厚ならそろえて構いませんが、厚みが5ミリを超える一枚は、最初から2センチずらして折ってください。
首に掛けるときは、輪の側と端の側の長さを同じにしないのが基本です。輪の側を5センチほど短くしておくと、1本目を通したときに輪が引き込まれすぎず、ひねる余裕が残ります。同じ長さで掛けると、1本目を通した時点で輪が小さくなり、ひねる手が入りません。
1本目を通すときは、輪を手で広げてから上から通します。輪が小さいまま押し込むと、通した端が輪の中でねじれ、後で垂れが裏返って見えます。
輪をひねるときは、輪の下側を持って半回転させます。上側を持ってひねると、首の後ろの布まで一緒に回り、首元が締まります。ひねったあとの輪は、手のひらが1枚入るくらいの大きさが目安です。
2本目を通すときは、ひねった輪に下から通します。ここで上から通すと、端どうしが引き合わず、歩いているうちにほどけます。通し終えたら、両方の端を同時に引かず、まず編み目の位置を決めます。
ミラノ巻きが決まるかは、巻く前の計算で分かる
判定の式はひとつです。
(全長 − 首まわり)÷ 2 − 25 = 垂れる長さ
この数字が15センチから45センチの間に入っていれば、その一枚でミラノ巻きは成立します。範囲の外なら、巻いてから直すことはできません。
首まわり36センチの方が全長170センチの一枚を使う場合、170から36を引いて134、2で割って67、25を引いて42センチ。範囲の上のほうで成立します。同じ方が全長150センチの一枚を使うなら、114を2で割って57、25を引いて32センチ。範囲のちょうど中ほどです。
式の中身を分解する
- 全長:平らに伸ばした本体の端から端まで。フリンジは含めない
- 首まわり:首の付け根まわりの実寸。多くの方で32センチから38センチ
- ÷2:二つ折りで使うので、実際に働く長さは半分になる
- −25:2回通して編み目を作る部分に消える長さ
25センチの中身も分けておきます。1本目を輪に通して折り返す部分がおよそ8センチ。ひねった輪に2本目を通す部分がおよそ10センチ。そして編み目そのものが首の前で占める縦の長さがおよそ7センチ。合わせて25センチです。
輪を大きめに作る癖がある人は、この数字が28センチくらいまで増えます。 一度だけ巻いて、編み目の上端から垂れの終点までを実測し、計算値との差を自分の補正値にしてください。以後は毎回その値を使えば足ります。
首まわりの測り方
首の付け根まわり、鎖骨のくぼみの高さで一周させて測ります。あごの下で測ると3センチほど大きく出て、計算結果が実際より短くなります。
メジャーは肌に沿わせ、締めつけずに一周させます。指1本が入るくらいのゆとりで読むのが目安です。タートルネックを着る日は、その上から測り直してください。首元の生地のぶんで2センチ前後増えます。
全長の下限は、首まわりプラス80センチ
式を逆に解くと、垂れを15センチ確保するために必要な全長が出ます。全長 ≧ 首まわり + 80センチ。
| 首まわり | 全長の下限(垂れ15センチ) | 全長の上限(垂れ45センチ) |
|---|---|---|
| 32センチ | 112センチ | 172センチ |
| 34センチ | 114センチ | 174センチ |
| 36センチ | 116センチ | 176センチ |
| 38センチ | 118センチ | 178センチ |
上限も同じ式から出ます。(全長 − 36)÷ 2 − 25 = 45 を解くと、全長は176センチ。下限に60センチ足した値が、そのまま上限になります。
つまり、ミラノ巻きが成立する全長の幅は、どの首まわりでも60センチぶんです。首まわり36センチの方なら116センチから176センチ。手持ちの一枚がこの範囲に入っているかを一度確かめておけば、朝に計算する必要はなくなります。
首まわりより全長が効く理由
同じ全長170センチの一枚でも、首まわりが違えば垂れの長さは変わります。
| 首まわり | 垂れる長さ | 判定 |
|---|---|---|
| 32センチ | 44センチ | 成立(上限に近い) |
| 34センチ | 43センチ | 成立 |
| 36センチ | 42センチ | 成立 |
| 38センチ | 41センチ | 成立 |
首まわりが2センチ変わっても、垂れは1センチしか動きません。式の中で首まわりは2で割られているからです。ミラノ巻きの成否を決めているのは、ほとんど全長のほうです。首まわりの測定が多少ずれていても、判定は変わりません。
一方で厚みは割られないので、そのまま効きます。気にすべきは首まわりより厚み、というのがミラノ巻きの特徴です。
垂れが15センチを下回ると、あご下が詰まる
垂れが足りない状態で無理に2本目を通すと、編み目が上へ引き上げられます。編み目の位置が上がると、いちばん厚い交差部分があごの真下に来ます。首元に残る縦の空間が消えるので、同じ一枚なのに詰まって見えます。
このとき、いくら形を整え直しても直りません。足りないのは技術ではなく長さです。端を引いて垂れを出そうとすると、編み目はさらに上がります。
垂れが45センチを超えると、編み目が胴に沈む
逆に長すぎると、編み目の位置が下がります。編み目が鎖骨より10センチ以上下に沈むと、首元の飾りではなく胴の上の結び目として読まれます。
ミラノ巻きの持ち味は、首のすぐ下に立体の編み目があることです。それが見えなくなると、長い布が二本垂れているのと区別がつきません。歩いているうちに垂れが揺れて編み目が緩み、さらに下がるので、朝より昼のほうが形が崩れます。
編み目のかさ|上限は4センチ
ミラノ巻きでいちばん厚くなるのは、ひねった輪が交差する場所です。輪は二つ折りなので2枚、それが交差して4枚。そこへ通した端が2枚加わり、合計6枚が重なります。
上限4センチ ÷ 6枚 = 1枚あたり約6ミリ。 1枚の厚みが6ミリを超える一枚は、長さが足りていてもここで膨らみます。
厚みは、平らな面に置いて、押さえずに横から見て測ります。指で挟んで測ると必ず薄く出るので、判定に使えません。
秋の薄手と冬の厚手で、同じ手順でも結果が変わる
同じミラノ巻きでも、季節で手に取る一枚が変わると結果が変わります。
秋の立ち上がりに使う薄手の一枚は、厚みが1〜3ミリ程度です。編み目のかさは2センチにも届かないので、厚みの心配はありません。代わりに表面が滑りやすく、編み目が平たく潰れやすいのが薄手の弱点です。立体が出ないと、ワンループとの見分けがつかなくなります。薄手の日は、ひねりをしっかり半回転させ、2本目を通したあとに編み目を指で少しふくらませてから位置を決めてください。
冬の厚手の一枚は、ローゲージのニットなら8ミリを超えることがあります。この場合は長さより先に厚みで止まります。次の節の3つの手を順に試してください。
秋の終わりから冬の入りにかけては、中厚の一枚が中心になります。厚み4〜6ミリの帯で、ミラノ巻きがいちばん形の決まりやすい範囲です。
厚い一枚でかさを下げる3つの手
- 二つ折りを2センチずらす:端をきっちりそろえずに折る。折り山の位置がずれて、交差部分で重なる枚数が実質的に減り、かさが2割ほど下がる
- ひねりを浅くする:半回転ではなく4分の1回転で止める。交差の重なりが減るぶん、編み目の立体も少し弱くなる
- 2本目を輪の端寄りに通す:輪の中央ではなく、外側の縁に寄せて通す。厚みが一点に集まらず横に散る
3つを重ねても4センチを超えるなら、その一枚はミラノ巻きに向いていません。厚い一枚は、通す形より重ねる形のほうが持ち味が出ます。
厚みは、洗ったあとや下ろしたてで変わります。毛が起きている状態では、同じ一枚でも厚みが1割から2割増えます。先週は決まったのに今日は膨らむという日は、厚みが変わっていると考えてください。
ひねりの向きと回数
ひねる向きは、どちらでも成立します。ただし毎回同じ向きにそろえると、編み目の見え方が安定します。右手で輪を持つなら、手前から奥へ半回転させる、と決めておくと迷いません。
回数は半回転が基本です。1回転させると交差が2回になり、重なりが8枚に増えます。編み目は締まってほどけにくくなりますが、かさの上限を超えやすくなります。1回転は、厚み3ミリ以下の薄手の一枚だけに使ってください。
編み目の位置|鎖骨のくぼみから3〜8センチ下
長さと厚みが合っていても、最後の引き加減で位置がずれます。基準は、編み目の下端が鎖骨のくぼみから3センチから8センチ下にあること。
多くの方が、通したあとに端を下へ引いて整えます。この操作は編み目を上へ押し上げるので、引くほどあごに近づきます。順番が逆です。
正しくは、2本目を通したあと、まず編み目の左右の側面を両手で持って下へ2センチ動かします。 下端をつまんで下げると編み目が縦に潰れ、かさが増えます。側面を持てば形を保ったまま位置だけが動きます。
位置が決まったら、端の長さを整えます。このとき、左右の端を同時に引かないでください。片方ずつ引くと、引いた側の長さだけが変わります。同時に引くと編み目が上へ戻ります。
コートの襟の上から巻く日は、襟の外周を式に入れる
秋冬は、コートの襟の上からミラノ巻きをする日があります。このとき首に回っているのは首ではなく襟です。首まわりの代わりに、襟の外周を測って式に入れてください。
| 首元の状態 | 首まわりへの上乗せの目安 |
|---|---|
| タートルネックのみ | 2センチ前後 |
| ステンカラーの襟を寝かせた上 | 6〜8センチ |
| ダウンの立ち襟の上 | 10〜14センチ |
首まわり36センチの方が、ダウンの立ち襟の上から全長150センチの一枚を巻くとします。襟の外周を48センチとすると、150から48を引いて102、2で割って51、25を引いて26センチ。素肌の上なら32センチだった垂れが、6センチ短くなります。範囲の中なので成立しますが、全長130センチ以下の一枚は、ダウンの上では下限を割りやすいと覚えておくと便利です。
コートの襟別|ミラノ巻きの置き方
- ノーカラー:襟がないので編み目がそのまま見える。編み目を正面に置き、垂れはコートの前端に沿わせる
- ステンカラー:襟の上端から編み目の下端までが3センチ以上見えていること。見えていないときは編み目を2センチ下げる
- テーラード:前を開けて、ラペルが作るVの底より上に編み目を置く。Vの底より下に沈むと、ラペルに隠れて立体が読めない
- フード付き:フードの付け根の厚みで編み目が押し上げられる。垂れの下限を15センチから20センチへ上げて判定する
- ダウン:襟の外周で計算し直す。前を閉める日は、垂れをコートの内側へ落とす置き方を選ぶ
襟の形に合わせた巻き方全般はコートに合うマフラーの巻き方|襟の形と首元の抜けで決めるで、襟ごとに分けて扱っています。
前を開ける日と、閉める日
ミラノ巻きがいちばんきれいに見えるのは、コートの前を開けて歩く日です。開けた前身頃の間に編み目と垂れが収まり、立体の構造がそのまま読めます。
前を閉める日は、編み目の下半分が前合わせの中に隠れます。このときは編み目を2センチ上げ、鎖骨のくぼみから3センチ下を目安に置き直してください。上限ぎりぎりまで上げると、今度はあご下が詰まります。
寒さの強い日は、編み目と垂れをまとめてコートの中に入れてしまう選択もあります。外から見えるのは襟から少し出た部分だけになるので、ミラノ巻きを選ぶ意味はほぼなくなりますが、防寒としては最も効きます。見せる日と、暖かさを取る日を分ける判断があっていいと考えてください。
ミラノ巻きがほどける・ずれるとき
ほどける原因は、ほぼ次の3つに分かれます。
- 通す向きが逆:1本目は輪に上から、2本目はひねった輪に下から。両方を上から通すと、端どうしが引き合わずに滑る
- ひねりが浅すぎる:4分の1回転より浅いと、輪がほどけて元の一つの輪に戻る
- 表面が滑る素材:薄手でつるっとした一枚は摩擦が足りない。ひねりを1回転へ増やす
ずれて片側だけが長くなっていく場合は、歩くときにバッグの持ち手や腕が片方の垂れに触れています。触れる側の垂れを5センチ短くしておくと、昼までの崩れが小さくなります。ほどけやずれの直し方全般はマフラーの巻き方、シンプルなのにほどける|止まる点を1つ作って直すにまとめています。
どちらとも取れる場合①|垂れが計算上13センチ
下限のすぐ下です。この場合、まず首まわりの測り方を見直してください。 あごの下で測っていると、実寸より3センチほど大きく出ます。測り直して式に入れると、15センチを超えることがあります。
測り直しても13センチのままなら、その一枚ではミラノ巻きは成立しません。ひねらずに1回だけ通すワンループへ切り替えてください。 ワンループは2回目を通さないので、消える長さが25センチから15センチに減り、同じ一枚で垂れが10センチ長くなります。
もうひとつの選択肢は、コートの襟の内側で巻くことです。襟の上から巻く予定だったなら、襟の内側に回すだけで首まわりの数字が6〜14センチ減り、垂れが3〜7センチ伸びます。短い一枚の巻き方全般はマフラーの巻き方、短い一本は|首に一周して残る端の長さで決めるで扱っています。
どちらとも取れる場合②|垂れが計算上48センチ
上限のすぐ上です。二つ折りの位置をずらして解決します。 中央ではなく、端から3分の1のところで折ってください。輪の側が短くなり、垂れの片方が短くなって範囲に収まります。
このとき左右の垂れに差が出ますが、それは問題になりません。ミラノ巻きは、もともと左右がそろっていなくても成立する形です。差は10センチ以内に収めると、意図した差として読まれます。
もうひとつの手は、ダウンやフード付きの日に回すことです。襟の外周で計算すると垂れが5〜7センチ短くなるので、素肌の上では長すぎた一枚が、厚いアウターの日にはちょうど範囲に入ります。
どちらとも取れる場合③|幅が広い一枚・大判
二つ折りにした状態の幅が15センチを超えると、垂れた部分が帯ではなく面として読まれます。面は同じ長さでも重く見えるので、垂れの上限を45センチから38センチへ下げてください。 下限の15センチは変わりません。
幅を狭くするために縦へもう一度折ると、編み目の重なりが12枚になり、かさの上限を必ず超えます。幅と編み目のかさは、同時には解決できません。 幅の広い一枚は垂れを短めに収めるか、ミラノ巻きをやめて肩に掛ける形へ回します。大判の一枚の扱いは大判ストールは、たたんだあとの帯幅が肩幅の何分の1かで巻き方が決まるを参照してください。
どちらとも取れる場合④|フリンジ付きの一枚
フリンジは輪に通すのには使えません。下限の判定は、フリンジを除いた本体の全長で計算します。
一方、見た目の垂れにはフリンジも加わります。上限の判定は、計算値にフリンジの長さを足した数字で見ます。 本体で計算した垂れが40センチ、フリンジが8センチなら、見た目の垂れは48センチで上限を超えます。この場合は場合②と同じく、二つ折りの位置をずらしてください。
垂れが余ったときの3つの逃がし方
- 二つ折りの位置を端から3分の1へずらす:片方の垂れが短くなる。かさは増えない
- 端をもう一度編み目の裏へ折り込む:垂れが半分になる。かさが1センチ増える
- 端をコートの前身頃の内側へ落とす:見える垂れだけが短くなる。かさは増えない
厚みが上限の6ミリに近い一枚では、3を選んでください。2はかさを増やすので、厚い一枚では編み目が上限を超えます。
ミラノ巻きができない一枚は、ワンループへ
長さが足りない、厚みが上限を超える、幅が広すぎる。いずれかに当たった一枚は、ミラノ巻きではなくワンループのほうが決まります。
| 条件 | ミラノ巻き | ワンループ |
|---|---|---|
| 消える長さ | 25センチ | 15センチ |
| いちばん厚い場所の重なり | 6枚 | 4枚 |
| 1枚の厚みの上限 | 約6ミリ | 約7ミリ |
ワンループは同じ一枚で垂れが10センチ長くなり、厚みの上限も1ミリ緩みます。ミラノ巻きの判定で外れた一枚の多くは、ワンループの判定には収まります。 結ぶか通すかの選び方そのものはマフラーの結び方|結ぶか通すかは、生地をつまんだ厚みで選ぶで扱っています。
向いていないという判定も判定です。用途が分かれるだけで、どちらの形が上という話ではありません。
素材別|ミラノ巻きの決まりやすさ
同じ全長でも、素材によって厚みと滑りやすさが違い、結果が変わります。手持ちの一枚がどれに近いかで、計算のあとに見る場所が決まります。
平織りのウール
秋冬のミラノ巻きでいちばん扱いやすい素材です。厚みは3〜5ミリに収まることが多く、編み目のかさは上限の4センチより下で止まります。表面に適度な摩擦があるので、半回転のひねりでほどけません。
気をつけるのは、毛足の向きです。二つ折りにしたとき、表と裏で毛足の向きがそろっていないと、編み目の左右で光り方が変わって形が乱れて見えます。折る前に、表面を手のひらで一方向になでて、毛足の向きをそろえてから折ってください。
起毛した柔らかい一枚
手触りの柔らかい起毛の一枚は、見た目より厚みがあります。押さえずに横から見ると、薄く見えていた一枚が6ミリを超えていることがあります。柔らかいほど、編み目は潰れずにふくらむので、かさの上限に近づきます。
この素材では、二つ折りを2センチずらす手を最初から使ってください。また、毛が起きた状態では厚みが1〜2割増えるので、下ろしたての週と数回使ったあとでは結果が変わります。下ろしたての週は、ひねりを4分の1回転にとどめると収まります。
化学繊維のなめらかな一枚
表面がなめらかな化学繊維の一枚は、厚みの心配は少ない一方で、滑ってほどけやすい素材です。半回転のひねりでは、歩いているうちに輪が戻ります。
ひねりを1回転に増やしてください。厚みが3ミリ以下なら、1回転で重なりが8枚になってもかさは上限の4センチを超えません。それでもほどけるなら、2本目を通したあと、編み目の裏で端を軽く一度ねじってから垂らすと止まります。
綿や麻の薄手の一枚
秋の立ち上がりに使う綿や麻の薄手の一枚は、厚みが1〜2ミリです。かさの心配はまったくありませんが、編み目がぺたんと平たくなりやすく、立体が出ません。
ここでは計算式の25センチを20センチに読み替えてください。薄い一枚は通す部分で消える長さが短く、同じ全長でも垂れが5センチ長く出ます。上限の45センチを超えやすいので、二つ折りの位置をずらして調整します。編み目は2本目を通したあとに指で軽く広げ、横から見て厚みが1センチ以上あるかを確かめてください。
ローゲージの厚手ニット
太い糸で編んだ厚手のニットは、1枚で8ミリから1センチ以上あります。ミラノ巻きの重なり6枚では、かさが5センチを超えるので、長さが足りていても成立しないと判定してください。
この一枚は、ワンループか、首に一周させて端を前に垂らすだけの形のほうが、素材の厚みがそのまま持ち味になります。どうしてもミラノ巻きにしたいなら、ひねりを4分の1回転にし、二つ折りを3センチずらし、2本目を輪の縁に通す。3つすべてを重ねて、かさが4センチを下回るかを鏡で確かめてください。
ボアやファー調の一枚
ボアやファー調の一枚は、毛足の長さぶん見た目の厚みが増えます。毛足が1センチを超えると、編み目の交差が毛に埋もれて、ひねりが見えなくなります。
ミラノ巻きの特徴は交差の立体なので、交差が見えない素材では形を選ぶ意味が薄れます。この素材は、輪に通すだけで十分にボリュームが出るワンループのほうが向いています。
鏡で確かめるのは3か所
巻き終えたら、鏡の前で見るのは次の3か所だけです。
- あごの下:編み目とあごの間に、指2本ぶんの空間があるか。なければ編み目が高い
- 編み目の正面:ひねりの交差が見えているか。平らなら、ひねりが浅いか潰れている
- 垂れの終点:左右の終点が、みぞおちより上にあるか。下なら垂れが長い
3か所のうち、巻いたあとで直せるのは編み目の位置とひねりの深さだけです。垂れの終点が外れているなら、それは長さの問題なので、計算に戻ってください。全体の長さの見え方を身長との比で見たい場合はマフラーがおしゃれに見える巻き方は、全長を身長で割った数で決まるが参考になります。
手持ちの一枚を、秋の立ち上がりに一度だけ測っておく
ミラノ巻きは手順が少ないぶん、条件の確認に時間がかかります。毎朝計算しないで済むように、巻物を出す最初の週に、手持ちの一枚ごとに一度だけ結果を出しておいてください。
確かめる項目は4つです。本体の全長、フリンジの長さ、1枚ぶんの厚み、そして計算で出た垂れの長さ。この4つが分かっていれば、朝は手に取るだけで成立するかどうかが決まります。
記録の残し方
結果は、一枚ごとに1行で残します。たとえば「グレーの一枚、全長170、厚み4ミリ、垂れ42、ミラノ巻き可」。厚手のアウターの日に使うかどうかも、襟の外周で計算した垂れを並べて書いておくと、朝にコートを決めた時点で巻ける一枚が絞れます。
記録はスマートフォンのメモでも、クローゼットの扉の内側に貼った紙でも構いません。大事なのは、巻物をしまってある場所から2歩以内で見られることです。見に行く手間がかかる記録は、冬の途中で見なくなります。
並べてみると分かること
複数枚を並べて計算してみると、多くの場合、ミラノ巻きに向いている一枚は1枚か2枚しかないという結果になります。それが分かっているだけで、鏡の前で試して戻す時間がなくなります。向いていない一枚は、ワンループや一重で垂らす形で使ってください。
判定の順番
全長の計算 → 厚みの確認 → 襟の外周の確認 → 巻く → 編み目の位置を合わせる。 この順です。
前の3つは巻く前に終わります。巻いてから直せるのは編み目の位置とひねりの深さだけなので、鏡の前で長く迷う理由はありません。
秋から冬へ進むにつれて、変わるのは手に取る一枚と、上に着るコートの襟です。一枚が変われば全長と厚みを、襟が変われば外周を、その日だけ入れ替えて計算し直してください。式そのものは季節を通して同じです。合わなければ、その日はその一枚でミラノ巻きをしない。それも判定です。
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よくある問い
- Q. ミラノ巻きのやり方を、いちばん短く教えてください
- 5つの手順です。1つめ、マフラーを長さ方向に二つ折りにします。2つめ、首の後ろから掛けて、輪を片側、2本の端をもう片側に垂らします。3つめ、2本の端のうち1本だけを輪に上から通します。4つめ、輪を半回転ひねって新しい輪を作ります。5つめ、残った1本の端を、ひねってできた輪に下から通します。最後に編み目を鎖骨のくぼみから3〜8センチ下へ下げて、端の長さを片方ずつ整えて終わりです。
- Q. 手持ちのマフラーでミラノ巻きができるか、巻く前に知る方法はありますか
- 計算できます。全長から首まわりの実寸を引き、2で割って、そこから25センチ引いてください。首まわり36センチの方が全長170センチの一枚を使うなら、170から36を引いて134、2で割って67、25を引いて42センチが垂れる長さです。成立範囲は15〜45センチなので、この組み合わせは範囲の上のほうで成立します。全長が首まわりプラス80センチを下回ると垂れが15センチに届かないので、その一枚ではミラノ巻きを選べません。首まわり36センチの方なら全長116センチが下限です。
- Q. 長さは足りているのに、編み目がもこもこして収まりません
- 厚みが上限を超えています。ミラノ巻きの編み目は、ひねった輪が交差する場所で輪の4枚と端の2枚、合計6枚が重なります。上限4センチを6枚で割ると、1枚あたり6ミリ強です。厚手のニットの一枚はここを超えやすいので、二つ折りを2センチずらして折るか、ひねりを半回転より浅くしてください。それでも収まらないなら、ひねらずに1回だけ通すワンループへ切り替えます。
- Q. ミラノ巻きがすぐほどけてしまいます
- 2回目に通す向きが逆になっていることが多いです。1本目は輪に上から通し、2本目はひねった輪に下から通します。両方を上から通すと、端どうしが引き合わずに滑ってほどけます。向きが合っているのにほどけるなら、表面のつるっとした薄手の一枚で、摩擦が足りていません。その場合はひねりを半回転から1回転へ増やすと止まります。厚手の一枚で1回転させると編み目が上限を超えるので、増やすのは薄手のときだけにしてください。
- Q. コートの上から巻くときも同じ計算でいいですか
- 首まわりの数字だけ差し替えてください。襟の上から巻く日は、首の付け根ではなく、コートの襟を立てた状態か寝かせた状態で、その外周を測って式に入れます。ステンカラーの襟なら首まわりにおよそ6〜8センチ、ダウンの立ち襟なら10〜14センチ足した数字になります。首まわりは2で割られるので、10センチ増えても垂れは5センチしか短くなりません。下限の15センチに近い一枚だけ注意すれば足ります。
— メグラシ編集部






