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コートの流行 秋冬|去年の1着は肩・着丈・前の重なりで見る

メグラシ編集部//読了 22分
秋の商店街を歩く女性の、肩の縫い目が落ちた膝下丈のグレーのウールコートと、首元にのぞく濃い色のタートルネック

去年のコートを今年も着ていいかどうかは、肩の縫い目の位置・着丈・前の重なりの3か所で決まります。売り場で今年のコートを3着手に取り、自分の1着と3か所を比べて、ずれている箇所を数えてください。ずれが2か所までなら、そのコートは今年も通ります。直すのはコートではなく、中に着るものと下に合わせるものです。

ずれが3か所そろったときだけ、買い替えを考えます。それでも、生地が元気で色が手持ちに合うなら、役割を変えて残す道があります。色や素材の流行は、形の流行より目立ちません。古く見えるかどうかは、ほとんど形の3か所で決まっています。

この記事では、その3か所を自分で測る方法と、ずれの数ごとの直し方を順に書きます。

結論:3か所のうち、ずれが2か所までなら去年の1着で通る

最初に、判断の形だけを置いておきます。

  • 肩の縫い目が、肩先から何cm外に落ちているか
  • 着丈が、膝から何cm上か下か
  • 前の重なりが何cmあって、いちばん上のボタンがどの高さにあるか

この3か所を、自分のコートと売り場の3着で比べます。売り場の3着に共通している側と、自分の1着が同じ側にあれば「ずれていない」、反対側にあれば「ずれている」と数えます。

ずれが0か所なら、何も変えなくて構いません。1か所なら、中か下のどちらかを1つ変えます。2か所なら、中と下の両方を変えます。3か所なら、生地と色を確かめてから、残すか替えるかを決めます。

コートは毎年買い替えるものではありません。だから流行の名前を覚えるより、手元の1着がどれくらい動いているかを知るほうが役に立ちます。売り場に行って何も買わずに帰ってきても、3か所を見てくれば、それで今年の答えは出ます。

コートの「古さ」は、どこから出るのか

去年のコートを羽織って鏡の前に立ったとき、「なんだか古い」と感じる理由を言葉にできる人は多くありません。たいていは、全体がぼんやり去年の印象に見える、という感じ方です。

その感じ方の正体を分けていくと、ほとんどが形の3か所に集まります。コートは面積が大きく、上半身から膝まで、全身のうちいちばん広い範囲を覆います。そのため、ほかの服なら気にならない数cmの差が、コートでは全体の線を変えてしまいます。

肩の縫い目がどこにあるかで、上半身の幅の見え方が変わります。着丈がどこで終わるかで、脚がどの長さに見えるかが変わります。前の重なりの幅とボタンの高さで、首元にどれだけ中の服が見えるかが変わります。この3つは、遠くから見たときの輪郭そのものです。人は他人のコートを見るとき、色や素材より先に輪郭を見ています。

反対に、色や素材の流行はコートではあまり目立ちません。キャメル・グレー・紺・黒・ベージュといったコートの定番の色は、どの年の売り場にも並んでいます。素材もウールを中心に大きくは変わりません。ある年に特定の色が多く出ても、それはコート全体の流れというより、売り場の一角の話です。

もう1つ、古さの原因がコートではないこともあります。去年と同じニットを中に着て、去年と同じパンツを合わせ、去年と同じ靴を履いていれば、コートが変わっていなくても全体は去年のままです。この場合はコートを測っても、ずれは0か1か所で出てきます。その結果が出たら、答えは「コートではなく中と下」です。

測る前の準備:鏡の前で見る場所と、売り場で手に取る3着

測るのは家と売り場の2か所です。家では自分のコートを、売り場では今年のコートを3着、同じ見方で測ります。

家で測る

全身が映る鏡の前に、いつもコートの下に着る厚さの服を着て立ちます。薄着で測ると肩の位置が内側にずれるので、ニットを1枚着ておいてください。靴も、コートと合わせる高さのものを履きます。

見る場所は3つです。肩の縫い目が肩先からどれだけ外にあるか。裾が膝から上か下か、何cmか。前を閉じたとき、重なりが何cmあって、いちばん上のボタンが鎖骨からどれくらい下にあるか。メジャーがあれば測り、なければ指の幅で数えます。指1本はおよそ1.5〜2cmです。

売り場で手に取る3着

売り場では、目に入ったコートを3着選びます。値段や色で選ばず、売り場の目立つ場所に置かれているものから順に3着です。目立つ場所は、その年に店がいちばん売りたい形が並ぶ場所なので、流行の平均に近いものが集まっています。

3着を羽織るか、少なくとも自分の体に当てて、同じ3か所を見ます。羽織れないときは、肩の縫い目から袖の付け根までの角度と、ハンガーにかかった状態での着丈を見るだけでも足ります。

3着のうち2着以上が同じ側にあれば、それが今年の側です。3着がばらばらなら、その年はその場所の流行がはっきりしていない年です。その場所は「ずれていない」と数えて構いません。

写真を1枚ずつ残しておく

家で自分のコートを着たときと、売り場で3着を羽織ったときに、同じ角度で写真を1枚ずつ撮っておくと、あとで比べるのが楽になります。正面から全身が入る距離で、腕は体の横に下ろしたまま撮ります。売り場で撮りにくいときは、鏡に映った姿を撮っても構いません。

写真を並べると、その場では気づかなかった差が見えてきます。肩の線が折れる位置、裾が脚のどこで止まっているか、首元にどれだけ中の服が見えているか。目で見た記憶はあいまいになりやすいので、数字と写真の両方で残しておくと、迷ったときに戻れます。

この写真は、次の年にも使えます。去年の売り場の3着と、今年の売り場の3着を並べると、流行がどちらへ動いたかが自分の目で分かります。1年ごとに少しずつ記録がたまると、肩はこの数年ほとんど動いていない、着丈は毎年少しずつ長くなっている、といった流れが読めるようになります。

1か所目:肩の縫い目が、肩先から何cm落ちているか

肩は、コートの古さがいちばん出やすい場所です。

肩の縫い目には、大きく分けて2つの形があります。縫い目が肩先にぴったり乗っている形と、縫い目が肩先から外へ落ちて二の腕の上にある形です。落ちている形は、上半身がゆったり見え、肩から袖への線がなだらかになります。乗っている形は、肩の線がはっきりして、上半身がすっきり見えます。

ここ数年はどちらも売り場にありますが、年によってどちらが多いかが動きます。また、落ちている形の中でも、落ちる幅が5cm程度の控えめなものから、10cm以上落ちる大きなものまで幅があります。

自分の1着を測るときは、肩先の骨の出っ張りから縫い目までの距離を測ります。

  • 0〜2cm:肩に乗っている形
  • 3〜6cm:控えめに落ちている形
  • 7cm以上:大きく落ちている形

売り場の3着も同じように分けて、2着以上が入る区分を今年の側とします。自分の1着が隣の区分にあるなら、ずれは小さいと見て「ずれていない」と数えて構いません。2つ離れた区分、たとえば自分の1着が肩に乗る形で、売り場が大きく落ちる形なら、そこは「ずれている」です。

肩幅のある人は、縫い目を落としても落ちて見えにくく、肩の薄い人は数cmでも大きく見えます。そのため、数字に加えて、正面から見たときに肩の線が首の付け根からどこで折れて下に向かうかも見てください。折れる位置が売り場の3着と同じあたりなら、数字が少し違ってもずれは目立ちません。

肩のずれは、合わせ方で受けるのがいちばん難しい場所です。上半身の幅そのものが変わるからです。後で書くとおり、3か所のうち肩がずれているかどうかが、残すか替えるかの大きな分かれ目になります。

2か所目:着丈が、膝から上か下か、何cmか

着丈は、名前で覚えると判断を間違えやすい場所です。同じ「ロング」でも、膝下10cmのものもあれば、ふくらはぎの真ん中まであるものもあります。だから膝を基準にした数字で比べます。

自分の1着を着て、裾が膝の真ん中から何cm上か下かを測ります。売り場の3着も同じように見ます。ハンガーにかかった状態で測るときは、肩から裾までの長さを測り、自分の肩から膝までの長さと比べてください。

比べ方は単純で、自分の1着と売り場の平均との差を見ます。

  • 差が5cm以内:ずれていない
  • 差が6〜10cm:小さくずれている
  • 差が10cmを超える:ずれている

小さくずれているときは、「ずれていない」と数えて構いません。下に合わせるものの丈で十分に受けられるからです。

着丈のずれは、裾から下に何が見えるかで印象が変わります。たとえば売り場が長めで、自分の1着が短めなら、下に長めのスカートやワイドのパンツを合わせると、コートの裾から出る面が増え、全体の縦の長さが売り場の見え方に近づきます。反対に、売り場が短めで、自分の1着が長めなら、下を細めにして足首を見せると、全体が重くなりません。

身長によって、同じ着丈でも見え方は変わります。小柄な人にとっての膝下10cmは、背の高い人の膝下10cmより長く見えます。数字は膝を基準にして測っているので、身長の差はある程度まで吸収されますが、鏡の前で全体を見て、コートの裾の位置が脚のどこで止まっているかも合わせて確かめてください。

3か所目:前の重なりの幅と、ボタンの位置

3か所目は、前を閉じたときの重なりです。

重なりには、ボタンが1列の形と、2列の形があります。2列の形は重なりが広く、胸の前に生地が二重になるので、上半身に厚みと存在感が出ます。1列の形は重なりが狭く、すっきり見えます。さらに、ボタンの見えない比翼の形や、ボタンがなく紐やベルトで留める形もあります。

ここで測るのは2つです。重なりの幅と、いちばん上のボタンの高さです。

重なりの幅は、前を閉じたときに左右の生地が重なっている幅を測ります。いちばん上のボタンの高さは、鎖骨のくぼみから何cm下にあるかを見ます。ボタンが高い位置にあると首元が詰まり、中の服がほとんど見えません。低い位置にあると、Vの形に中の服が大きく見えます。

この場所は、肩や着丈と違って、遠くからより近くで見たときに差が出ます。人と話すときに目に入る、胸から首にかけての範囲だからです。

自分の1着と売り場の3着を比べて、ボタンの列の数が違い、さらにいちばん上のボタンの高さが5cm以上違うときは「ずれている」と数えます。列の数だけが違って、ボタンの高さが近いなら、ずれは小さいと見て構いません。

襟の大きさも、この場所に含めて見ておきます。前の重なりが同じでも、襟が大きく開いていると首元の見え方が変わるからです。襟の先が鎖骨より外に出ているか内側に収まっているかを、自分の1着と売り場の3着で比べてください。襟だけが違って、重なりの幅とボタンの高さが近いなら、ずれは小さいと見て構いません。襟は、マフラーやストールを巻くと隠れる場所なので、冬の本番には差がほとんど見えなくなります。

前の重なりのずれは、首元に何を見せるかで受けられます。売り場がボタンの高い形なら、中にタートルネックを着て首元を詰めると近づきます。売り場がボタンの低い形なら、中に襟のあるシャツや明るい色のニットを入れて、Vの部分を見せる面として使います。前を開けて着るという手もあります。開けて着ると、重なりの幅は見えなくなるので、ずれそのものが消えます。

3か所を数えて、どこまで直すかを決める

3か所を見終わったら、ずれた箇所を数えます。

ずれの数コートの扱い変えるもの
0か所そのまま着る何も変えなくてよい
1か所そのまま着る中か下のどちらか1つ
2か所そのまま着る中と下の両方
3か所生地と色を見てから決める役割を変えるか、買い替える

表の見方で大事なのは、ずれが2か所までは、コートそのものを手放す理由にならないことです。2か所ずれていても、中と下を変えれば、遠くから見た輪郭はかなり今年に寄ります。

もう1つ、ずれた場所の組み合わせも見てください。肩がずれているかどうかは、ほかの2か所より重く数えます。肩は合わせで受けにくい場所だからです。ずれが2か所で、その中に肩が入っているなら、3か所に近いと見て、次の章の「2か所」の直し方を少し強めにかけます。肩が入っていない2か所なら、軽い直しで足ります。

ずれが1か所:合わせで寄せる

ずれが1か所なら、変えるのは中か下のどちらか1つです。どちらを変えるかは、ずれた場所で決まります。

肩がずれたとき

肩のずれは、中に着るものの厚みで受けます。売り場が肩の落ちた形で、自分の1着が肩に乗る形なら、中を薄手にして、コートの中に余白を作ります。中に厚いニットを着ると、コートが体にぴったり沿って、肩の線がさらにはっきりします。薄手にすると、肩から胸にかけて生地にゆとりが出て、線がなだらかに見えます。

反対に、売り場が肩に乗る形で、自分の1着が大きく落ちる形なら、中を少し厚めにして、肩まわりの余りを減らします。首元にボリュームのあるものを置くのも効きます。目線が首元に集まり、肩の線から離れるからです。

着丈がずれたとき

着丈のずれは、下に合わせるもので受けます。先の章で書いたとおり、裾から下に見える面を増やすか減らすかで、全体の縦の長さを売り場に寄せます。

前の重なりがずれたとき

前の重なりのずれは、首元に見せるもので受けます。タートルネックで詰めるか、襟やVで見せるか。前を開けて着るのも有効です。

1か所のずれは、変えるものが1つなので、手持ちの服で済むことがほとんどです。新しく買うものがあるとすれば、中に着る1枚くらいです。

ずれが2か所:中と下で受ける

ずれが2か所なら、中と下の両方を変えます。

このとき大切なのは、2か所を別々に直そうとしないことです。中も下も今年らしくしようとして、手持ちにない形を2つ買い足すと、結局コートを替えるのと変わらない出費になります。

順番は、ずれた場所の重さで決めます。肩が入っているなら、まず中を変えて肩まわりを受けます。肩が入っていないなら、着丈か前の重なりのどちらか、より遠くから見えるほうを先に直します。遠くから見えるのは着丈です。着丈のずれを下で受けてから、前の重なりを首元で受けます。

もう1つの方法は、コートの見え方そのものを変えることです。前を開けて着る、ベルトがあれば結び方を変える、袖を少し折り返して中の服を手首に見せる。どれもコートに手を加えずにできる操作です。前を開けて着ると、前の重なりのずれは消え、着丈の印象も縦の線が強くなって変わります。

2か所のずれを受けるときは、中と下の色を、コートの色に近づけておくと失敗が少なくなります。コートと中と下が同じ系統の色でつながっていると、形の差より全体のまとまりが目に入るからです。反対に、中と下に強い色を入れると、形のずれが目立ちます。

関連して、靴やブーツの流行も同じ考え方で見られます。去年の1足を測る方法は去年のブーツが古く見えるときの見分け方にまとめてあります。コートと靴の両方を測ると、どちらを先に直すかがはっきりします。

ずれが3か所:買い替えを考えるが、その前に確かめること

3か所ともずれていたら、買い替えを考えてよい段階です。ただし、その前に2つ確かめてください。

生地が元気か

コートの表面を明るい場所で見て、毛玉や擦れがどれくらいあるかを見ます。とくに袖口・脇の下・バッグが当たる腰の横は、傷みが出やすい場所です。裏地が破れていないか、ボタンが緩んでいないかも見ます。

生地が元気なら、そのコートはまだ長く着られます。形のずれは流行のことで、生地の傷みは寿命のことです。寿命が残っているコートを、流行だけで手放すのはもったいない判断です。

色が手持ちに合うか

コートの色が、手持ちの服の多くと合うかを見ます。中に着る服を5枚並べて、そのうち3枚以上と合うなら、色は残す理由になります。

生地が元気で、色も合うなら、そのコートは役割を変えて残します。流行に寄せる役ではなく、雨の日や、近所に出る日、車で移動する日の役です。こうした日は人に会う時間が短く、形のずれが目に入る場面が少ないからです。

直しに出すという道

買い替えと残すのあいだに、もう1つ、直しに出すという道があります。3か所のうち、着丈とボタンは、直しで動かせる場所です。

着丈は、裾を短くすることならできます。売り場が短めに寄っていて、自分の1着が長めなら、裾を数cm詰めるだけでずれが消えます。ただし、裾にスリットやベルトの通し穴があるコートは、詰めると釣り合いが崩れることがあるので、直す前に店で相談してください。反対に、長くすることはほとんどできません。

ボタンは、付け替えることで印象を変えられます。いちばん上のボタンの位置を動かすのは難しくても、ボタンそのものを今年の売り場に近い大きさや色に替えるだけで、前の重なりの見え方が変わります。

肩は、直しで動かすのがいちばん難しい場所です。肩の縫い目の位置を変えるには、袖を付け直す大きな直しになり、費用も時間もかかります。肩がずれている1着は、直すより役割を変えて残すほうが現実的です。

そのうえで、今年寄せる役の1着を別に考えます。新しく選ぶときは、3か所のうち肩だけを売り場の平均に合わせ、着丈と前の重なりは中間の形にしておくと、次の年に流行が動いてもずれは1か所で済みます。肩の流行は数年単位でゆっくり動くので、肩が合っている1着は長く持ちます。

どちらとも取れる場合①:3か所とも合っているのに、全体が古く見える

3か所を測ってずれが0か所だったのに、鏡の前に立つとやはり古く見える、ということがあります。

この場合、原因はコートの外にあります。いちばん多いのは、中に着ている服と下に合わせている服が去年と同じであることです。とくに首元から見える色と、裾から下に見える形が去年のままだと、コートが今年に合っていても全体は去年の印象になります。

確かめ方は簡単です。コートを着たまま、中のニットを別のものに替えて鏡を見ます。それで印象が変わるなら、原因は中です。次に下を替えて見ます。それで変わるなら、原因は下です。

もう1つの原因は、着方です。いつも前を全部閉めて着ている、いつも同じ位置でベルトを結んでいる、いつも袖を伸ばしたまま着ている。こうした着方の癖は、去年と同じ印象を作ります。前を1つだけ開ける、ベルトを後ろで結ぶ、袖口を少し折る。どれか1つを変えるだけで、同じコートでも見え方が動きます。

それでも古く見えるときは、髪型やバッグなど、コートのまわりにあるものの影響を疑ってください。コートの面積が大きいぶん、まわりの小さなものが去年のままだと、全体が引っぱられます。

どちらとも取れる場合②:売り場の3着がばらばらで、平均が出ない

売り場で3着を手に取っても、肩も着丈も前の重なりもばらばらで、今年の側が分からないことがあります。

これは、その年の流行がはっきりしていないということです。こういう年は、売り場の目立つ場所に置かれたものでも、形がいくつかに分かれています。この状態は、自分の1着にとっては都合のよい年です。どの形でも外れにくいからです。

ばらばらの場所は「ずれていない」と数えてください。3か所ともばらばらなら、その年はコートを買い替える年ではありません。

もし判断に迷うなら、売り場をもう1か所見てください。違う種類の売り場、たとえば百貨店の売り場と量販の売り場で3着ずつ見ると、共通している側が見えてくることがあります。2つの売り場で同じ側に寄っている場所は、流行がはっきりしている場所です。片方だけで寄っている場所は、その店の好みである可能性が高く、気にしなくて構いません。

どちらとも取れる場合③:体の形が変わって、去年と同じ位置で測れない

1年のあいだに体の形が変わって、去年のコートの着心地そのものが違うことがあります。肩まわりがきつくなった、反対にゆるくなった、丈の見え方が変わった、という感じ方です。

この場合は、流行のずれと体のずれを分けて考えます。まず、流行の3か所を測る前に、コートが体に合っているかを見てください。前を閉めて腕を前に伸ばしたとき、背中が突っ張らないか。肩を回したとき、袖が引っぱられないか。座ったとき、前のボタンが引きつれないか。

どれかで引っかかるなら、それは流行のずれではなく、サイズのずれです。サイズのずれは、合わせ方では受けられません。中を薄くすることで少し楽になることはありますが、根本的には別の1着を考える段階です。

どれにも引っかからないなら、体の変化はコートのゆとりの中に収まっています。この場合は、ふだんどおり3か所を測って、ずれの数で判断してください。ゆとりの中に収まっている変化は、外からはほとんど見えません。

体の形の変化は、誰にでもある自然なことです。合わなくなったコートは、自分の体を責める理由ではなく、次の1着の選び方を見直すきっかけです。

素材と色は、流行より先に「残す理由」になる

ここまで形の3か所の話をしてきましたが、コートを手放すかどうかを決めるときには、素材と色を流行とは別の軸として持っておくと判断がぶれません。

素材は、着心地と寿命を決めます。目の詰まったウールのコートは、形が多少流行からずれても、生地の厚みと落ち感で上質に見えます。反対に、薄くて張りのない生地のコートは、形が流行に合っていても、数年で表面がくたびれます。流行に合っているかどうかより、生地がどれだけ持つかのほうが、1着の価値を長く決めます。

色は、手持ちとの相性を決めます。コートの色が手持ちの服の多くと合うなら、そのコートは毎日の組み合わせの土台になります。土台になるコートは、形が少し古くても使う日が多く、結果として1回あたりの価値が高くなります。

こうした素材や色の面での残す理由がある1着は、ずれが3か所あっても手放さずに、役割を変えて持っておく価値があります。反対に、素材も色も残す理由が弱い1着は、ずれが2か所でも、次に替える候補として心に留めておいてよいでしょう。

コートと一緒に、ジャケットの流行も肩の厚みで読めます。ジャケットのトレンドを肩の厚みで見分ける方法と合わせて読むと、上着全体の入れ替えの順番が決めやすくなります。中に着るニットの見分け方はニットの流行の見分け方にあります。

着る場面で、ずれを数える重さを変える

同じずれの数でも、そのコートをどこで着るかによって、気にするべき度合いは変わります。最後に、場面ごとの重さの変え方を書いておきます。

毎日の通勤で着る1着

通勤で毎日着るコートは、人の目に触れる時間がいちばん長い1着です。職場の人と顔を合わせ、電車の中で近くに立ち、会議室に入るまでのあいだ羽織っています。この場合は、遠くから見える着丈と肩より、近くで見える前の重なりと襟を重めに数えます。人と話す距離で目に入るのは、胸から首にかけての範囲だからです。

通勤用の1着でずれが2か所あり、その中に前の重なりが入っているなら、首元に見せるものを今年に寄せるだけで、毎日の印象はかなり変わります。

週末や出かける日の1着

週末に出かけるときのコートは、遠くから見られる時間が長くなります。街を歩き、店をのぞき、待ち合わせの場所で立って待つ。この場合は、全身の輪郭を決める肩と着丈を重めに数えます。

週末用の1着で、肩と着丈の両方がずれているなら、ずれが2か所でも3か所に近いと考えて構いません。反対に、前の重なりだけがずれているなら、ほとんど気にしなくて大丈夫です。

車での移動が多い人の1着

車での移動が多い人は、コートを着て歩く時間が短く、座っている時間が長くなります。座ると着丈の差はほとんど見えなくなり、前の重なりも、シートベルトをすると隠れます。この場合は、ずれの数をそれほど気にせず、座ったときに背中や腰が窮屈にならないか、乗り降りのときに裾が邪魔にならないかを優先して見てください。

1着を何役にも使う人

コートを1着しか持たず、通勤にも週末にも使う人は、3か所すべてを同じ重さで数えます。そのうえで、ずれが出た場所を、通勤の日と週末の日で別々に受けます。通勤の日は首元で、週末の日は下に合わせるもので。1着でも、受ける場所を日によって分ければ、どちらの場面でも今年に寄せられます。

迷ったときの決め方

最後に、迷ったときの決め方を短くまとめます。

売り場で3着を手に取り、肩の縫い目・着丈・前の重なりの3か所を自分の1着と比べる。ずれを数えて、2か所までならそのまま着て、中と下を変える。3か所なら、生地と色を見てから、役割を変えて残すか、替えるかを決める。

それでも決められないときは、肩だけを見てください。肩が売り場と同じ側にあれば、そのコートは今年も着られます。肩がずれていて、ほかの2か所もずれているなら、次の1着を考える時期です。

新しく選ぶときは、肩を売り場に合わせ、着丈と前の重なりは中間にしておく。そうしておくと、次の年に流行が動いても、ずれは1か所で済みます。コートは毎年替えるものではなく、数年かけて付き合うものです。流行の名前を追いかけるより、手元の1着を測る習慣のほうが、ずっと長く役に立ちます。

よくある問い

Q. 去年買ったコートが、今年はもう古く見えます。流行はそんなに早く変わりますか
コートの流行は、ほかの服よりゆっくり動きます。1シーズンで大きく変わるのは、肩の落ち方・着丈・前の重なりのうち、多くても1か所です。去年の1着が急に古く見えたなら、たいていは中に着ている服や下に合わせているものが変わっていないことが原因です。コートそのものではなく、首元から見える色や裾から出る長さが去年と同じなので、全体が去年の印象のまま止まって見えます。まず3か所を測って、ずれが1か所以内なら、コートではなく中と下を1つずつ変えてください。
Q. 肩の縫い目が落ちたコートと、肩にぴったり合ったコート、どちらを選べばいいですか
売り場の3着を見て、多いほうに寄せるのが流行に沿う選び方です。ただし自分の肩先から縫い目までの距離が、どちらの形でも大きく変わらない人もいます。肩幅がしっかりある人は、縫い目を落としても落ちたように見えにくく、肩の薄い人は数cmの落ちでも大きく見えます。迷ったら、両方を試着して、正面から見たときの肩の線が、首の付け根からどこで折れて下に向かうかを比べてください。折れる位置が肩先から2〜3cm外なら、どちらの流れにも寄せられる中間の形です。
Q. ロングコートとショート丈、今年はどちらが流行っていますか
売り場でどちらが多いかは年ごとに揺れますが、判断に使うのは丈の名前ではなく、膝から何cm上か下かです。去年の1着と売り場の3着を、どちらも膝の位置を基準にして測ると、名前が同じロングでも10cm以上違うことがあります。自分の1着と売り場の平均との差が5cm以内なら、丈はずれていないと見て構いません。10cm以上違うなら、下に合わせるものの丈を変えて、コートの裾から出る長さを売り場の見え方に近づけます。丈そのものを直すのは、ほかの2か所もずれているときだけで足ります。
Q. ずれが3か所ともありました。もう着ないほうがいいですか
着ないと決める前に、生地と色を見てください。生地の表面に毛玉や擦れが少なく、袖口や裾がまだしっかりしているなら、その1着は形のずれを合わせで受けられる状態です。色が手持ちの服の多くと合うなら、なおさら残す理由になります。3か所ともずれた1着は、流行に寄せる役ではなく、天気の悪い日や近所に出る日の役に回すと、無理なく着続けられます。そのうえで、今年寄せる役の1着を別に考えます。どちらも1着しか持てないなら、3か所のうち肩だけを売り場に合わせた1着を選ぶと、次の年まで持ちます。

— メグラシ編集部

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