編み上げのワークブーツは上二段の紐で裾の乗り方が決まる|締めれば筒が立ち、抜けば裾が乗る

丸いつま先の編み上げブーツが合わせにくいのは、靴の形が一つに決まっていないからです。上二段の紐で、筒は立ちも倒れもします。 締めるか抜くか。先にそれを決めれば、裾の置き場所は自動的に決まります。
見るのは、上二段の紐をどうするか
編み上げの靴は、履く人が形を変えられる数少ない靴です。紐を上まで通して締めれば筒が立ち、上二段を抜けば筒が外へ倒れます。
判定の軸はひとつです。
上二段の紐:締める・抜く
締めれば裾を上で止める形、抜けば裾を乗せる形。その日の裾の丈で、どちらを選ぶかが決まります。
紐で、筒は立ちも倒れもする
紐を最後まで通して締めると、筒が足首に沿って立ちます。履き口の輪郭がはっきり出て、そこに一本の線が引かれます。
線がはっきりしているので、その上で裾を止めると、区切りが読めます。裾の終わりと履き口のあいだに2〜3cmの空きをつくると、脚と靴が別のものとして見えます。この形は足首が固定されるので、歩きやすくもあります。長く歩く日、階段の多い日は、この形を選んでください。
反対に、上二段の紐を通さずに残すと、筒の上のほうが外へ倒れます。倒れた筒は輪郭がゆるむので、そこに布が乗っても境目が争いません。
裾を乗せる形は、この状態でいちばんきれいに収まります。布が筒の傾きに沿って落ち、靴の上半分が布の下に隠れます。外から見えるのは、甲から下の部分と、編み上げの段の一部だけです。脱ぎ履きも楽になるので、室内で靴を脱ぐ予定のある日はこちらが実用的です。下の段が締まっていれば、甲で足が押さえられるので脱げません。
どちらの形にするかは、履くときの数秒で決まります。一日の途中で変えることもできます。 移動のあいだは締めておいて、着いてから上二段を抜いて裾を落とす。手間は片足十秒ほどです。
締める・抜くの2段階
| 上二段 | 筒の形 | 裾の置き方 |
|---|---|---|
| 締める | 立って、履き口の輪郭が出る | 履き口の2〜3cm上で止める |
| 抜く | 外へ倒れて、輪郭がゆるむ | 筒の上に乗せる |
どちらが正しいということはありません。 手持ちの裾の丈に合わせて、靴の側を動かせるという話です。
裾は、乗せるか上で止めるか
裾が足首より上で終わる丈なら、締める形を選んでください。空きが確保できるので、区切りがはっきりします。
裾が足首より下まである丈なら、抜く形を選んでください。乗せた布が筒の傾きに沿って落ちます。無理に上げると、布の輪が筒の上に浮きます。
丈がどちらとも取れる日は、その日の予定で決めてください。歩く量が多いなら締める、脱ぎ履きが多いなら抜く。 見え方はどちらも成立するので、実用の側で決めて構いません。
紐の結び目は、垂らすか内側へ入れるか
結んだあとの紐の端は、そのまま垂らすと甲の上にもう一本の線をつくります。足元の情報が一つ増えるので、静かに収めたい日は内側へ入れてください。
内側に入れると、外から見えるのは編み上げの段だけになります。輪郭が整理され、靴が一つの面として読まれます。
裾を乗せる形の日は、結び目が布の下に隠れます。この場合はどちらでも構いません。見えない部分の始末は、歩きやすさだけで決めてください。
甲の紐は、縦の線を一本引いている
編み上げの靴は、甲の上に紐の段が並びます。この段は、つま先から履き口へ向かう縦の線として読まれます。
縦の線があるぶん、足の甲が長く見えます。これは丸いつま先のかさを打ち消す方向に働くので、丸いつま先と編み上げの組み合わせは、それ自体で釣り合っています。
紐の色を靴と変えると、この線がはっきりします。同じ色にすると線が弱まり、靴が一つの面としてまとまります。足元を静かにしたい日は、靴と同じ色の紐を選んでください。
紐は、靴の中でいちばん簡単に替えられる部分です。同じ一足でも、紐を替えるだけで足元の印象が一段動きます。 明るい色の紐は縦の線を強く出し、暗い色の紐は靴の面に溶けます。二本持っておいて、その日の全身で差し替えるという使い方もできます。
段の数も見ておいてください。段が多い一足は、縦の線が細かく刻まれるので、情報として密になります。段の少ない一足は、線が粗いぶん静かに見えます。密な一足を履く日は、他の場所の情報を減らしてください。
つま先の丸みと、裾幅の関係
| 裾幅 | 足元の見え方 | 判定 |
|---|---|---|
| 甲の広さより狭い | つま先だけが前に張り出す | 乗せずに上で止める |
| 甲の広さと同じくらい | 裾から靴へ線がつながる | 基準 |
| 甲の広さより広い | 靴が布の下に隠れる | 乗せる形なら成立 |
丸いつま先は前方向にかさがあります。 裾が細すぎると、靴だけが前に出て見えるので、その日は乗せずに上で止めて、脚と靴を切り離してください。
茶の濃さで、合わせる暗い色が変わる
| 茶の濃さ | 色の向き | 並ぶ色 |
|---|---|---|
| 明るい茶 | 黄の側 | 生成り・こげ茶・深い緑 |
| 赤みのある茶 | 中間 | 濃紺・灰・こげ茶 |
| 黒に近い濃い茶 | 暗い側 | どの暗い色とも並ぶ |
明るい場所で一度確かめてください。 室内では、どの濃さも同じ暗い茶に見えます。窓際に持っていくと、黄が入っているか赤が入っているかが読めます。
履き込むほど、茶は濃くなっていきます。買ったときの濃さと、一年後の濃さは違います。季節の変わり目に一度、明るい場所で見直しておくと、合わせ先を更新できます。
濃さは、一足の中でも均一ではありません。折れ曲がる甲の部分は色が濃く残り、平らな側面は明るいままです。 どちらの色で判断するかというと、面積の広い側面のほうです。遠くから見たときに読まれるのは、広い面の色だからです。
秋のボトムスは、濃い色が増えます。濃紺、黒、深い茶。明るい茶のブーツは、これらの濃い色の下で、足元に明るい区切りをつくります。 全身を暗くまとめた日に、足元だけ一段明るくなる形は、そのままで成立します。無理に上へ同じ明るさを返す必要はありません。
靴下は筒の中|見せるかどうか
締める形の日は、履き口の上に2〜3cmの空きができます。この空きに靴下を見せるかどうかで、足元の区切りが変わります。
靴と同じ濃さの靴下なら、足元が縦に伸びて一つのかたまりになります。明るい色の靴下なら、履き口の上に輪ができて、脚と靴が分かれます。
抜く形の日は、筒の中に靴下が入り、外からは見えません。厚手のものを選んでも見え方は変わらないので、気温だけで決めて構いません。
丈は、筒の上端より高いものを選んでください。筒より短い靴下だと、歩いているうちに下がって、筒の中でたるみます。たるんだ靴下は、筒の内側に厚みをつくって、履き口の形を外から押し広げます。 見えない場所ですが、外から見える形には影響します。
秋が深まって厚手の靴下に替える時期は、靴のほうも一段ゆるめてください。厚みが増したぶん、同じ締め方だと足が窮屈になります。紐は毎日結び直すものなので、その日の靴下に合わせて締め具合を変えられます。
歩く量で、締め方を決める
見え方が同じなら、実用で決めるのがいちばん速い判断です。歩く時間が長い日、坂や階段の多い日は、上まで締めて足首を固定してください。
短い移動が続く日、室内で脱ぎ履きする日は、抜いておくと出入りが楽です。抜いた形でも下の段が締まっていれば歩けます。
底が厚く硬い靴なので、歩く量が多い日ほど足首の固定が効きます。上二段を締めるかどうかは、見え方の判断であると同時に、その日の疲れ方の判断でもあります。 見え方だけで抜く形を選んだ日に、思ったより歩くことになった、という食い違いが起きやすいので、予定を先に見てください。
秋から冬にかけて、この靴は履く機会が増えます。一日の予定を見て、朝に締め方を決める。 靴の形をその日に合わせられることが、編み上げのいちばんの利点です。
どちらとも取れるとき|裾が長すぎて乗りすぎる
抜く形にしたのに、裾が長すぎて筒の下端まで届いてしまう。この場合は、裾を一回だけ折って長さを詰めてください。 折り幅3〜4cmで、乗る位置が筒の上半分に戻ります。
折りたくない日は、締める形に切り替えて、裾を靴の上に落としてください。長い裾が靴を覆いますが、履き口が立っているぶん、布の下に形が残ります。
裾が筒の下端まで届いてしまうと、靴の存在がほとんど見えなくなります。それでも構わない日と、靴を見せたい日があります。 見せたい日は折る、見せなくてよい日はそのまま。判断はその一点だけです。
どちらとも取れるとき|筒が立たない
上まで締めても、筒が外へ倒れてしまう一足があります。革がやわらかくなっているか、筒がもともと低い作りかのどちらかです。
この場合は、立たせる形を諦めて、乗せる形で組んでください。靴の性質に合わせて、裾の丈のほうを選ぶ。 逆向きの判断ですが、結果は同じところに着きます。
どちらとも取れるとき|裾を乗せると足元が重く見える
乗せた布と靴が一つの塊になり、足元が重く感じられる日があります。この場合は、乗せる量を減らしてください。 裾を一回折って、筒の上半分だけに乗るようにします。
もう一つの方法は、上に一つ、同じくらいの濃さの面を置くことです。かばん、巻きもの、羽織りのいずれか。足元だけが濃いという状態が解けると、重さが分散します。
よくある失敗と、その直し方
| よくある失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 上まで締めた筒に長い裾をかける | 立った履き口と布が争い、輪郭が乱れる | 上二段を抜いて筒を倒す |
| 抜いた筒の上で裾を止める | ゆるんだ輪郭の上に空きができて宙に浮く | 上まで締めて履き口を立てる |
| 結び目を前に垂らしたままにする | 甲の上に線がもう一本増える | 筒の内側へ入れる |
| 細い裾を丸いつま先に合わせる | つま先だけが前に張り出す | 乗せずに上で止める |
| 履き込んだ茶を昔の濃さで合わせる | 合わせ先がずれる | 明るい場所で濃さを見直す |
まとめ|上二段で、その日の形を決める
- 編み上げのブーツは、上二段の紐で筒が立ちも倒れもする
- 締めると筒が立つ。裾は履き口の2〜3cm上で止める
- 抜くと筒が倒れる。裾はそのまま筒の上に乗る
- どちらを選ぶかは、裾の丈と、その日歩く量で決める
- 茶の濃さは明るい場所で確かめる。履き込むほど濃くなる
この形の靴は、合わせ方が決まっていないと感じられがちです。 けれどそれは、靴の側に二つの形があるからでした。先に靴の形を決めてしまえば、裾の置き場所は一つに定まります。
同じ考え方は、紐で締める靴すべてに使えます。丈の短いものでも、甲だけを締めるものでも、締め具合で輪郭が変わる靴は、まず輪郭を決める。 手順は同じです。
次にこの靴を履く日は、玄関で上二段をどうするかだけ決めてください。そこが決まれば、あとは裾を置くだけです。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 編み上げのブーツに、裾はかけるべきですか、上で止めるべきですか
- 紐の締め方で答えが変わります。上まで締めると筒が立ち、履き口の輪郭がはっきり出るので、裾は履き口の上で止めたほうが線が読めます。上二段を抜くと筒が外へ倒れ、そこに裾が自然に乗ります。裾が長い日は抜く形、短い日は締める形。靴のほうを裾に合わせて調整できるのが、編み上げの利点です。
- Q. 上二段を抜くと、脱げやすくなりませんか
- 下の段が締まっていれば、足の甲で固定されるので脱げません。編み上げの靴は、甲の部分で足を押さえる作りになっていて、履き口はそれを補助しています。長く歩く日や、階段の多い日は上まで締めたほうが安定します。短い移動の日や、室内で脱ぎ履きする日は、抜いておくと出入りが楽になります。
- Q. 紐の結び目はどう始末すればいいですか
- 前に垂らすか、筒の内側へ入れるかの二択です。垂らすと、甲の上に紐の線がもう一本増えて、足元の情報が多くなります。内側へ入れると、外から見えるのは編み上げの段だけになり、輪郭が静かに収まります。裾を乗せる形の日は、乗せた布の下に結び目が入るので、そのままでも見えません。
- Q. 茶色のブーツに合わせる暗い色は何がいいですか
- 茶の濃さで変わります。明るい茶は黄の側にあるので、生成りやこげ茶、深い緑と並びます。赤みのある茶は、濃紺や灰とも並びます。ほとんど黒に近い濃い茶は、黒の代わりとして使えるので、どの暗い色とも合います。手持ちの一足がどの濃さかを、明るい場所で一度確かめてください。
- Q. つま先の丸い靴には、どんな裾幅が合いますか
- つま先の丸みと同じくらいか、少し広い裾が噛み合います。丸いつま先は前方向にかさがあるので、裾が細すぎると、足元だけが前に張り出して見えます。裾幅が甲のいちばん広いところと同じくらいなら、裾から靴へ線がつながります。細い裾しか無い日は、裾を乗せずに履き口の上で止めて、脚と靴を切り離してください。
— メグラシ編集部




