スーツ 選び方 女性|肩が合うかは試着室で腕を前へ出して確かめる

**試着室で、両腕を肩の高さまで前へ出してみてください。**そのとき後ろ襟が首から指1本以上離れたり、背中に横向きの強いしわが走ったりしたら、そのスーツは肩が小さいです。逆に、腕を前へ出しても肩先の縫い目が肩の骨より2cm以上外に落ちたままなら、大きいです。そのあいだに入るものが、あなたの肩に合うスーツです。
スーツの選び方を調べると、色、生地、丈、ボタンの数と、いろいろな基準が出てきます。どれも大切ですが、肩だけは後から直しにくく、合わないと他のどこを整えても全体がずれて見えます。そして肩は、まっすぐ立った姿では、合っているように見えてしまう場所です。
この記事では、肩が合うかどうかを試着室で確かめる順番を書きます。測るのは、肩の骨と縫い目の距離、脇の下に入る指の数、袖の止まる位置、そして腕を動かしたときの後ろ襟と背中です。ジャケットの丈を合わせる下で決める方法はジャケットの丈は合わせる下で止める位置を決めるに、秋冬の生地をどう選ぶかはスーツ 秋冬 女性にまとめています。
結論:肩は、腕を前へ出したときの後ろ襟と背中で決める
先に結論を表にしておきます。試着室では、この順に見ていけば足ります。
| 見る場所 | 合っている | 小さい | 大きい |
|---|---|---|---|
| 肩先の縫い目 | 肩の骨から外へ0〜1cm | 骨より内側 | 骨から外へ2cm以上 |
| 腕を前へ出したときの後ろ襟 | 首に沿ったまま | 指1本以上浮く | 浮かないが、肩先がへこむ |
| 脇の下 | 指が2本入る | 指1本も入りにくい | 指が3本以上入る |
| 袖丈 | 手首の骨が隠れ、親指の付け根まで指3本分空く | 手首の骨が見える | 親指の付け根にかかる |
いちばん大事なのは2行目です。肩先の縫い目の位置は、立っているときの見た目を決めます。でも、仕事のあいだに肩が合わないと感じるのは、腕を前へ出したときです。その姿勢で後ろ襟が首から離れなければ、1日着ていても肩が気になることはほとんどありません。
肩先の縫い目が「合っている」範囲に入っていても、腕を前へ出して後ろ襟が浮くなら、そのスーツは小さいと考えてください。背中の幅が足りていないからです。反対に、肩先の縫い目が1cmより少し外に出ていても、後ろ襟が首に沿っていて、肩先がへこまないなら、ゆとりとして受け入れてかまいません。
試着室に持っていくもの|秋冬は中に着る1枚を
肩を確かめる前に、何を着て試着するかを決めておきます。ここを間違えると、試着室で合っていたスーツが、着る日には合わなくなります。
秋冬に着るスーツなら、中に着る予定のものを着ていってください。シャツやブラウス1枚の上に着るのと、薄手のニットの上に着るのとでは、脇の下と背中に必要なゆとりが変わります。ニットの厚みは数ミリでも、背中全体で見ると幅が足りなくなり、腕を前に出したときに後ろ襟が浮きやすくなります。
中にニットを着る予定がある人は、その中でいちばん厚いものを着て試すのが安全です。試着の日だけ薄いものを着ていくと、冬に厚いニットを着た日に、肩と脇が詰まってしまいます。逆に、中にシャツしか着ない人は、ニットを着て試すと大きいサイズを選びすぎることになるので、シャツで試します。
もうひとつ、ふだん持ち歩くバッグを持っていってください。肩にかけるバッグを使っている人は、試着室で実際にかけてみると、肩先がどう動くかが分かります。手に持つバッグの人は持たなくてかまいません。
靴は、ふだん仕事で履く高さの靴が理想です。肩とは直接関係ありませんが、袖丈やジャケットの丈を見るときに、全体の釣り合いが変わるからです。持っていけない場合は、お店で近い高さの靴を借りて合わせてください。パンツの裾をどう決めるかはパンツスーツの着こなしで、かかとの高さとの関係を書いています。
動き1|まっすぐ立って、肩先の縫い目と肩の骨の距離を測る
最初は、まっすぐ立った姿で、肩先の縫い目の位置を確かめます。
ジャケットを着て、前のボタンを留めます。腕は体の横に自然に下ろします。そのまま、反対の手の指で、肩のいちばん外にある骨の出っ張りを探してください。腕を少し上げ下げすると、動かない骨の角が指に触れます。それが肩の骨です。
その骨と、ジャケットの肩先の縫い目、つまり袖が付いている縫い目とのあいだの距離を見ます。縫い目が骨から外へ0〜1cmに止まっていれば、肩幅は合っています。骨の真上に縫い目がある場合も合っている範囲です。
縫い目が骨より内側に入っているなら、肩幅が足りません。その状態で腕を動かすと、袖の付け根が肩を押して、腕が上がりにくくなります。見た目にも、肩先に布が引っぱられて斜めのしわが出ます。
縫い目が骨から2cm以上外に出ているなら、肩幅が大きいです。肩先から袖にかけて布がへこんだり、袖の上の方に縦じわが出たりします。立っているだけでも、肩が落ちて見えます。
片方の肩だけを見ると見落とすことがあるので、左右とも確かめてください。左右で肩の高さが少し違うのは珍しいことではなく、片方は合っているのに、もう片方は縫い目が内側に入る、ということもあります。その場合は、縫い目が内側に入る方の肩を基準にします。小さい側に合わせると、もう片方の肩が窮屈になるからです。
動き2|両腕を前へ出して、後ろ襟と背中を見る
次に、両腕を前へ出します。この動きが、肩が合っているかどうかをいちばんはっきり見せます。
両腕を肩の高さまで前へ上げ、手のひらを合わせます。書類を両手で差し出す姿勢、パソコンのキーボードに手を置く姿勢に近い形です。鏡に背中を向けて、首だけ振り返って後ろ襟を見てください。お店の人に見てもらえるなら、それがいちばん確かです。
見るのは2つです。ひとつは後ろ襟が首から離れるか。腕を前へ出すと、背中の布が前へ引っぱられます。背中の幅が足りないと、引っぱられた分だけ後ろ襟が首から離れて、首の後ろにすき間ができます。指1本が入るくらいなら合っている範囲、指1本より大きく離れたら小さいと考えてください。
もうひとつは背中の横じわです。肩甲骨のあたりに、左右の肩をつなぐような横向きのしわが強く走る場合は、背中の幅が足りません。しわが軽く出て、腕を下ろすとすぐに消えるなら問題ありません。腕を下ろしてもしわが残るなら、小さいです。
この動きのあいだ、肩先の縫い目も見ておきます。腕を前へ出すと、肩先の縫い目は少し前へ引かれます。そのとき縫い目の位置が肩の骨の上を通り越して、骨より内側に食い込むようなら、小さいです。
肩先の縫い目が立っているときに合っていても、この動きで後ろ襟が浮くなら、そのスーツは仕事のあいだずっと肩が気になります。逆に、立っているときに縫い目がやや外に出ていても、この動きで後ろ襟が首に沿ったままなら、着ていて楽なスーツです。迷ったら、この動きの結果を優先してください。
腕を前へ出した姿勢は、10秒ほど保ってみてください。すぐに腕を下ろすと、布が引っぱられる感じに気づかないことがあります。10秒ほどそのままでいると、背中が窮屈なジャケットは肩甲骨のあたりが押される感じがはっきりしてきます。仕事中にキーボードを打っている時間は、10秒どころではありません。
動き3|片腕をつり革の高さまで上げて、裾の上がりを見る
3つめは、片腕を上へ上げる動きです。通勤でつり革を持つ、棚の上の書類を取る、ホワイトボードに書く。そうした動きで、ジャケットがどれだけ持ち上がるかを見ます。
片腕を、つり革の高さ、だいたい頭の少し上まで上げてください。そのとき、ジャケットの裾が上がる量を見ます。上げた側の裾が、腕を下ろしているときより3cm以内の上がりで止まれば、合っている範囲です。3cmを超えて上がり、ウエストの線が見えるほど持ち上がるなら、袖の付け根が小さいか、肩が小さいことが多いです。
腕を上げたときに、脇の下が強く引っぱられる感じがあるかも確かめます。引っぱられて腕が途中で止まるなら、袖の付け根の位置が高すぎるか、袖の付け根の周りが小さいです。腕が楽に上がるのに裾も上がらないなら、肩と袖の付け根の両方が合っています。
この動きは、両腕で一度ずつやってください。利き腕の方がよく動かすので、利き腕を上げたときに窮屈でないかが大切です。左右で差がある場合は、窮屈な側に合わせて判断します。
動き4|バッグを肩にかけて、肩先がつぶれるかを見る
肩にかけるバッグを使う人は、4つめの動きとして、実際にバッグをかけてみます。
バッグを肩にかけて、まっすぐ立ちます。そのとき、肩先の布がバッグの持ち手でつぶれて、肩の形が崩れるかを見てください。肩パッドの入ったジャケットでは、持ち手がパッドの外側に乗ると、肩先が押しつぶされて斜めのしわが出ます。持ち手がパッドの内側、首に近い側に乗っていれば、肩先の形はほとんど崩れません。
肩幅が大きいジャケットほど、持ち手がパッドの外側に乗りやすくなります。肩先の縫い目が骨から外へ1cmを超えるジャケットでは、持ち手がずり落ちやすく、肩先もつぶれやすくなります。肩にかけるバッグをよく使う人は、迷ったら小さい方、つまり縫い目が骨に近い方を選んでください。
手に持つバッグや、背負うバッグを使う人は、この動きは飛ばしてかまいません。背負うバッグの人は、代わりに動き2をもう一度、少し長めにやってください。背負うと両肩が後ろへ引かれ、前の打ち合わせが開きやすくなるので、腕を前へ出したときの前の開き方も見ておきます。
脇の下と袖の付け根|指が何本入るか
腕の動きを確かめたら、腕を下ろして、脇の下のゆとりを測ります。
ジャケットを着たまま、反対の手の指を脇の下に入れてみてください。袖の付け根の縫い目と、脇とのあいだに、指が2本入るくらいが合っている目安です。指が1本も入りにくいなら、袖の付け根が小さいか、位置が高すぎます。そのままでは腕を前や上に動かすたびに脇が引っぱられ、1日着ていると疲れます。
指が3本以上入るなら、袖の付け根が大きいか、位置が低いです。袖の付け根が低いと、腕を上げるときに胴の布も一緒に持ち上がるので、動き3で裾が大きく上がる原因になります。脇の下のゆとりは、多ければ楽というわけではありません。
秋冬に中にニットを着る人は、ニットを着た状態で指2本が入るかを見てください。シャツ1枚で指2本が入っても、ニットを着ると1本しか入らなくなることがあります。中に着る予定のものを着て試着してほしいのは、このためです。
脇の下のゆとりは、肩幅とは別の寸法です。肩幅が合っていても脇の下が詰まっていることも、肩幅が大きくても脇の下はちょうどいいこともあります。肩幅と脇の下の両方が合っているのが理想ですが、どちらか片方を選ぶなら、腕を動かしたときの楽さを決める脇の下を優先してください。
袖丈|手首の骨と親指の付け根のあいだに止める
袖丈は、肩幅が決まってから見ます。肩幅が合わないまま袖丈を見ると、肩が落ちた分だけ袖が長く見えたり、肩が詰まった分だけ短く見えたりするからです。
腕を体の横にまっすぐ下ろして、手首の外側にある骨の出っ張りを探します。袖口がその骨を隠し、親指の付け根まで指3本分が空く位置で止まれば、合っている袖丈です。中に着るシャツの袖口が1cmほど見えるのが理想と言われることもありますが、女性のスーツでは中に袖のないものや、袖の短いものを着ることも多いので、ジャケットの袖だけで判断してかまいません。
手首の骨が見えるなら、袖が短いです。腕を前へ出したときにはさらに袖が上がるので、手首がかなり見えることになります。親指の付け根に袖口がかかるなら、長いです。書類をめくる、キーボードを打つといった手元の作業で、袖口が手の甲に当たります。
袖丈は、腕を前へ出した姿勢でも確かめてください。腕を前へ出すと、袖は2〜3cm上がります。その姿勢で手首の骨が隠れるか、少し見える程度なら、仕事の動きで困ることはありません。手首の骨から上が大きく見えるなら、立った姿で合っていても短めです。
袖丈は、肩幅と違って、お直しで動かしやすい場所です。肩と脇の下が合っていて、袖丈だけが長いなら、そのスーツは選んでかまいません。逆に、袖丈がちょうどよくても肩が合わないスーツは、選ばない方が後で困りません。
肩先が1〜2cm外に出るとき|大きいのか、ゆとりなのか
ここまでの基準で、いちばん迷うのが、肩先の縫い目が骨から外へ1〜2cmのあいだに止まる場合です。合っている範囲の0〜1cmより少し外で、大きいと言える2cm以上には届かない。試着室でこの幅に入るスーツは、とても多いはずです。
この幅に入ったら、次の3つで決めてください。
ひとつめは、中に着るものの厚さです。秋冬に中にニットを着るなら、1〜2cmの外出しはゆとりとして働きます。ニットの厚みで肩まわりが少しふくらむので、縫い目の位置が骨に近づいて見えるからです。シャツやブラウス1枚でしか着ないなら、その1〜2cmは大きさとして見えます。
ふたつめは、腕を前へ出す仕事の多さです。1日の多くをパソコンの前で過ごす、人に書類を手渡すことが多い、といった仕事なら、少しのゆとりが楽さにつながります。動き2で後ろ襟が首に沿っているなら、1〜2cmの外出しは選んでかまいません。会議や式典で、まっすぐ立っている時間が長い仕事なら、外出しが目に入りやすいので、骨に近い方を選びます。
みっつめは、肩パッドの厚さです。肩パッドが厚めのジャケットなら、パッドの分だけ縫い目が外に出るのは自然です。パッドが薄い、あるいはないジャケットで1〜2cm外に出ているなら、肩先の布が落ちて見えやすいので、大きいと判断します。
3つのうち2つが「ゆとり」の側に入るなら、そのスーツは選んでかまいません。2つが「大きい」の側に入るなら、ひとつ小さいサイズを試してください。ひとつ小さいサイズで縫い目が骨より内側に入る場合は、元のサイズに戻ります。肩は、小さすぎるより、少し大きい方が仕事のあいだに困りません。
それでも決めきれないときは、試着したまま3分間、ふだんの仕事の動きをしてみてください。書類をめくる、ボールペンで書く、振り返る。そのあいだに肩先が気になったら大きい、肩が引っぱられて気になったら小さいと判断します。何も気にならなかったら、それがあなたにとって合っている肩です。
肩は合うのに胸か腰が合わないとき|肩を優先する
肩幅と脇の下が合っているのに、前のボタンを留めると胸かお腹まわりがきつい。あるいは、肩に合わせると胴まわりが大きすぎる。この組み合わせも、試着ではよく起こります。
迷ったら、肩を優先してください。肩幅は、お直しで動かすのがいちばん難しい場所です。肩の縫い目をほどいて袖を付け直すことになるので、できないことも多く、できても手間がかかります。胴まわりは、脇の縫い目の縫い代の範囲で、少し出したり詰めたりできることがあります。
胸やお腹まわりがきつい場合は、ボタンを留めたときの横じわの出方を見ます。ボタンの左右に軽い横じわが出る程度なら、ボタンを留めずに羽織る着方で使えます。ボタンが引っぱられて、打ち合わせが開くほどなら、そのサイズは胴が小さすぎるので、お直しで出せるかをお店で相談してください。
胴まわりが大きすぎる場合は、脇の縫い目で詰めることができます。ウエストのあたりに布が余って、横から見ると背中が箱のように見えるなら、詰めることで形が整います。ただ、詰めすぎると、腕を前へ出したときに背中が足りなくなることがあるので、詰める量はお店と相談しながら、動き2をもう一度確かめて決めてください。
胸まわりと肩の両方を見るときに、もうひとつ迷うのが、前のボタンを留めて着るか、開けて着るかです。ボタンを留めて着る人は、ボタンを留めた状態で動き2をしてください。留めた状態で腕を前へ出すと、前身頃が左右から引っぱられ、背中の幅の不足がよりはっきり出ます。開けて着る人は、開けたまま動き2をします。開けていると前身頃が自由に動くので、背中の幅が少し足りなくても、後ろ襟は浮きにくくなります。ふだん開けて着る人が、留めた状態だけで試着して大きいサイズを選ぶと、開けて着たときに肩先が落ちて見えることがあります。
上と下でサイズが違うとき
ジャケットの肩に合わせると、パンツやスカートのウエストが合わない。上下セットで売られているスーツでは、こういうことがあります。
この場合も、ジャケットは肩で選びます。下は、上下を別々のサイズで選べる売り場なら、ウエストに合うサイズを別に選んでください。上下を別々に選べない場合は、下をお直しで調整します。パンツやスカートのウエストは、ジャケットの肩より直しやすい場所です。
上下でサイズが違う場合の選び方は上下でサイズが違う人は肩と腰のどちらで買うかで詳しく書いています。そちらはセットアップの記事ですが、上は肩で、下は腰で選ぶという考え方はスーツでも同じです。
ひとつだけ注意があります。上下を別々のサイズで選ぶと、生地の色が少し違って見えることがあります。同じ型、同じ色の表示でも、仕上がりの時期が違うと微妙にずれることがあるからです。試着室で上下を一緒に着て、窓の光か、明るい照明の下で並べて見てください。
肩パッドと肩の形で、同じ寸法でも見え方が変わる
肩先の縫い目の位置が同じでも、肩パッドの厚さと、肩の線の形で、見え方は変わります。
肩パッドが厚いジャケットは、肩先が持ち上がって、肩の線が水平に近く見えます。肩の傾きが大きい人、つまり首の付け根から肩先にかけての下がりが大きい人は、厚めのパッドで肩の線が整って見えることがあります。肩の傾きが小さい人がパッドの厚いジャケットを着ると、肩が上がりすぎて、首が短く見えることがあります。
肩パッドが薄いか、ないジャケットは、肩の線がそのまま出ます。肩の傾きが小さい人には自然に見え、傾きが大きい人には肩先が落ちて見えやすくなります。
自分の肩の傾きは、鏡の前でまっすぐ立って、首の付け根と肩先を結ぶ線が水平に近いか、下がっているかで見ます。下がり方が大きいと感じたら、パッドの入ったジャケットを、下がり方が小さいと感じたら、パッドの薄いジャケットを試してみてください。どちらが正しいということではなく、肩先の縫い目が同じ位置でも、パッドの厚さで「合っている」と感じるかどうかが変わる、ということです。
パッドの厚さで迷ったら、動き2と動き4を両方やってみてください。厚いパッドは、腕を前へ出したときに肩先が持ち上がりやすく、バッグをかけたときにはつぶれにくくなります。薄いパッドは、腕を前へ出しても肩先が自然に動き、バッグをかけるとつぶれやすくなります。
お直しで動かせる所と、動かせない所
ここまで何度か触れましたが、スーツのどこがお直しで動かせて、どこが動かしにくいかをまとめておきます。
動かしやすいのは、袖丈、パンツやスカートの丈、ウエストです。袖丈は、袖口のボタンの付き方によって難しさが変わりますが、多くの場合は数センチの範囲で詰めたり出したりできます。パンツの丈とウエストは、お店の売り場で頼めることも多い場所です。
少し手間がかかるのは、胴まわりです。脇の縫い目の縫い代の範囲で動かせますが、出せる量には限りがあります。ジャケットの裏地や、ポケットの位置によっては動かせないこともあります。
動かしにくいのは、肩幅と袖の付け根です。肩先の縫い目をほどいて袖を付け直すことになり、肩パッドや芯の位置も合わせて直すことになります。お店によっては受けていないこともあります。肩が合わないスーツを買ってから直そうとするより、肩が合うスーツを探す方が、時間もかかりません。
肩幅を直したいと考えたときは、どれだけ動かしたいかを先に測っておいてください。動き1で、肩先の縫い目が骨から外へ何センチ出ているかを測っておけば、それがそのまま直したい量になります。1cm前後なら直せることもありますが、2cmを超えると、肩先だけでなく袖の付け根の形まで変わるので、直しても元の形には戻りにくくなります。直す量が大きいと分かったら、別のサイズを探す方を選んでください。
お直しを前提にするなら、試着の段階で「どこを直したいか」をお店の人に伝えて、それが直せるかどうかを先に聞いておいてください。直せないと分かってから困らないためです。
手持ちのスーツで、同じ4つの動きをする
新しいスーツを買う前に、手持ちのスーツで同じ確かめ方をしてみると、自分に合う寸法の見当がつきます。
手持ちのジャケットを着て、肩の骨と縫い目の距離、両腕を前へ出したときの後ろ襟、片腕を上げたときの裾の上がり、脇の下に入る指の数を確かめます。そのうえで、着ていて楽だと感じるスーツと、窮屈だと感じるスーツで、どこが違うかを比べてください。
楽なスーツの縫い目が骨から外へ1cmに止まっていて、窮屈なスーツの縫い目が骨の真上にあるなら、あなたにとっては1cm程度の外出しが合っている、ということです。試着室では、その寸法を目安に探せば、迷う時間が減ります。
手持ちのスーツの肩が合っていないと分かっても、すぐに手放す必要はありません。肩が少し大きいジャケットは、中にニットを着る秋冬に回す、肩が少し小さいジャケットは、シャツ1枚で着る季節や、腕をあまり動かさない日に回す、という使い分けができます。手持ちで確かめるときは、季節も意識してください。秋に確かめるなら、これから着るニットを中に着て、同じ4つの動きをします。春や初夏に楽だったジャケットが、ニットを着ると脇の下に指1本しか入らなくなっていることがあります。その場合、そのジャケットは秋冬にはシャツ1枚で着る日に回し、ニットを着る日には別の1着を使う、という分け方をしておくと、朝に迷わなくなります。
面接で手持ちのスーツを着るかどうかの決め方は面接スーツ 女性も参考にしてください。
試着できないときは、手持ちの1着の肩幅を平置きで測る
通販で買う、売り場に行く時間がない、といった理由で試着ができないときは、手持ちのジャケットの寸法を測って、サイズ表の数字と比べます。
測るのは、着ていて楽だと感じるジャケットの肩幅です。ジャケットを平らな台の上に、背中を上にして広げます。左右の肩先の縫い目、つまり袖が付いている縫い目のいちばん上どうしを、メジャーでまっすぐ測ります。後ろ襟の下を通る線で、たるませずに測ってください。これが、あなたにとって楽な肩幅です。
サイズ表の肩幅の数字が、その寸法から前後1cm以内に入るサイズを選びます。1cmより小さいサイズは、腕を前へ出したときに後ろ襟が浮きやすくなります。2cm以上大きいサイズは、肩先が落ちて見えやすくなります。
同じように、袖丈も測っておくと役に立ちます。肩先の縫い目のいちばん上から、袖口までをまっすぐ測ります。袖丈はお直しで動かしやすいので、肩幅ほど厳しく合わせる必要はありませんが、3cm以上違うと、直す前提で考えることになります。
サイズ表の数字は、売り場によって測り方が少しずつ違います。肩先の縫い目から縫い目までを測る売り場が多いものの、襟の付け根を通るように測る売り場もあります。数字の横に測り方の図があれば、手持ちのジャケットも同じ測り方で測り直してください。届いたら、この記事の4つの動きをすぐに試して、合わなければ返品の期限内に判断します。
試着室での順番|5分で終わらせる
最後に、試着室での順番を、5分で終わる形にまとめておきます。
1分目は、まっすぐ立って、肩の骨と縫い目の距離を左右とも確かめます。縫い目が骨より内側に入っていたら、その時点で次のサイズに替えます。
2分目は、両腕を前へ出して、後ろ襟と背中を見ます。後ろ襟が指1本以上浮いたら、大きい方のサイズを試します。
3分目は、片腕ずつ上へ上げて、裾の上がりと脇の引っぱりを見ます。そのあとで、脇の下に指が何本入るかを確かめます。
4分目は、袖丈を見ます。腕を下ろした姿と、腕を前へ出した姿の両方で、手首の骨が隠れるかを確かめます。
5分目は、肩にかけるバッグを使う人はバッグをかけて肩先を見て、使わない人はふだんの仕事の動きを少ししてみます。
試着室に入る前に、お店の人に「腕を動かして確かめたいので、背中を見てもらえますか」と一言かけておくと、動き2の後ろ襟を正確に見てもらえます。自分で振り返って見るより、ずっと確かです。頼みにくければ、携帯で背中を撮っておき、腕を前へ出した姿と下ろした姿を見比べてもかまいません。2枚を並べると、後ろ襟の浮き方と背中のしわの出方がよく分かります。
5分のうち、肩幅が合わないと分かったら、そこで止めて次のサイズに替えてください。袖丈や胴まわりは直せることがありますが、肩は直しにくいので、肩が合うことを最初に確かめるのが近道です。この順番で探せば、腕を動かしても気にならないスーツに、少ない試着で行き着けます。
よくある問い
- Q. スーツの肩幅は、何を基準に選べばいいですか
- 肩の骨のいちばん外の出っ張りを指で探して、ジャケットの肩先の縫い目がそこから外へ0〜1cmの位置に止まるかを見てください。内側に入っていれば小さく、2cm以上外に出ていれば大きいです。そのうえで両腕を前へ出し、後ろ襟が首から指1本以上離れなければ、肩は合っています。
- Q. 肩はぴったりなのに、胸やお腹まわりがきついです
- 肩を優先してください。肩幅はお直しで動かしにくい場所ですが、胴まわりは縫い代の範囲で出せることがあります。前のボタンを留めて、ボタンの左右に横じわが出る程度なら、留めずに着る形にするか、お直しで相談できる範囲です。肩を大きい方に合わせて胴を楽にすると、肩先が落ちてどの着方でも大きく見えます。
- Q. 秋冬に着るスーツは、何を着て試着すればいいですか
- 実際に中に着る予定のものを着ていくか、持っていってください。薄手のニットを中に着る予定なら、そのニットで試します。シャツ1枚で合わせたジャケットは、ニットを着ると脇の下と背中が詰まり、腕を前に出したときに後ろ襟が浮きやすくなります。
- Q. サイズが2つで迷ったら、どちらを選べばいいですか
- 肩先の縫い目が肩の骨より内側に入る方は選ばないでください。外に出る方は、1cm以内なら合っている範囲です。1〜2cm外に出る場合は、中に厚いものを着るか、腕を前に出す仕事が多いなら大きい方、シャツ1枚でしか着ないなら小さい方を選びます。
— メグラシ編集部





