黒が似合う人の素材選び|マット・艶・起毛で顔の影の濃さを変える

**あなたに合う黒の素材は、顎の下に3枚の黒を当てて、5秒ずつ見れば決められます。**艶のある黒で頬に明るい点が返ってくるなら艶の側、マットな黒で輪郭が締まって見えるならマットの側、毛足のある黒で口元の影が和らぐなら起毛の側です。
黒が似合うと言われた人でも、黒の服を着た日に顔が沈んで見えることがあります。その多くは、色ではなく素材がずれています。黒は色の幅がとても狭く、濃さや色みで差をつけにくい色です。そのぶん、表面の質感が、そのまま顔の見え方に出ます。
同じ黒でも、艶のある革やサテンは光を跳ね返して明るい点を作り、マットなウールやコットンは光を吸い込んで面を締め、毛足のあるニットやフリースは光を散らして影を柔らかくします。顔の明るさや影の出方が人によって違うので、合う素材も人によって分かれます。
黒が似合うかどうかそのものを確かめたい人は黒が似合う人は7項目中6つで分かるを、黒が似合わないのに黒い服が多い人は黒が似合わないのに黒い服が多い|秋冬の黒ニット・黒コートの直し方を先に見てください。この記事は、黒が似合う側にいる人が、どの黒を選ぶかの話です。
結論:黒が似合う人ほど、素材で見え方が3通りに分かれる
先に、3つの素材で起きることを並べます。表は比べる軸を示すためのもので、どれが良いという順位ではありません。
| 素材 | 光の動き | 顔に起きること | 合いやすい人の見え方 |
|---|---|---|---|
| 艶(革・サテン・エナメル) | 光を跳ね返して点を作る | 頬や鼻筋に明るい点が返る | 黒を当てても肌が明るく見え、目元がはっきりする人 |
| マット(ウール・コットン・ツイル) | 光を吸い込んで面を締める | 顎の線と輪郭が締まる | 顔立ちがはっきりしていて、黒で引き締めると映える人 |
| 起毛(モヘア・フリース・フランネル) | 光を散らして影をぼかす | 口元や目の下の影が和らぐ | 黒の強さで顔が負けそうになるが、黒は似合う人 |
黒が似合う人の多くは、このうち2つが合い、1つが少し苦手です。3つ全部が合う人もいますが、少数です。自分の得意な2つと、苦手な1つを知っておくと、黒の服を買うときに迷わなくなります。
艶・マット・起毛で、黒の濃さはどう変わるか
同じ染料で染めた黒でも、素材によって目に入る黒の濃さは変わります。
艶のある素材は、表面が平らで、光を一方向に強く返します。光が当たっている部分は白っぽく光り、当たっていない部分はとても深い黒になります。明るい部分と暗い部分の差が大きいので、全体としては「強い黒」に見えます。顔の近くに置くと、その明るい部分が顔に反射して、頬や鼻筋に光の点を作ります。
マットな素材は、表面に細かい凹凸があって、光を吸い込みます。光っている部分がほとんどないので、黒がいちばん黒く、平らに見えます。面としての存在感が強く、顔の近くに置くと、顔との境目がくっきりして、輪郭が締まって見えます。
起毛の素材は、表面に毛が立っていて、光がその毛の先で四方に散ります。散った光がうっすらと黒の上に乗るので、黒が少し明るく、灰色がかって見えます。境目もぼやけます。顔の近くに置くと、顔と服の境目が柔らかくなり、口元や目の下の影が目立ちにくくなります。
つまり、艶は「明暗の差を足す」、マットは「境目を締める」、起毛は「境目をぼかす」素材だと考えると分かりやすくなります。
確かめ方|3つの素材を顎の下に当てて5秒ずつ見る
家にある黒の服や小物から、3つの素材を1つずつ用意してください。
- 艶:黒い革のバッグや手袋、サテンのブラウスやスカーフ、エナメルの財布など
- マット:黒いウールのスカートやパンツ、コットンのカットソー、ツイルのシャツなど
- 起毛:黒いモヘアやアンゴラ混のニット、フリース、フランネルのスカート、ベロアの小物など
ベロアは毛足があるうえに艶もある素材なので、起毛と艶の両方の性質を持ちます。迷ったら、起毛の候補からは外して、別に試してください。
当て方
窓の光が正面から入る場所で、手鏡か洗面台の鏡を顔から30センチほど離して持ちます。メイクは普段どおりで構いませんが、口紅は落とすか、ごく薄くしておいてください。口紅の色が強いと、口元の影の変化が分かりにくくなります。
まず、白いコピー用紙を顎の下に当てて、頬の明るさと口元の影を覚えます。これが基準です。
次に、艶の黒を顎の下、首の付け根から鎖骨の上あたりに当てます。5秒そのまま見て、白い紙のときと比べます。同じようにマット、起毛と順に当てていきます。1つ当てるたびに、白い紙に戻してから次の素材に替えると、目が慣れずに比べられます。
見る場所
見るのは3か所です。
1つめは頬のいちばん高い所の明るさです。白い紙のときより明るく見えるか、同じか、暗く見えるか。
2つめは口元の両端から下に向かう影です。白い紙のときより濃くなるか、同じか、薄くなるか。
3つめは顎の線です。くっきり見えるか、ぼやけるか。
この3か所を、素材ごとに「良くなった」「変わらない」「悪くなった」の3段階で決めてください。良くなったが2つ以上ある素材が、あなたに合う黒の素材です。
艶の黒が合う人|頬に光の点が返ってくる
艶の黒を当てたときに、頬のいちばん高い所がふっと明るくなり、目元がはっきりして見えるなら、艶の黒が合う側です。
こういう人は、肌そのものに透明感があるか、髪や瞳の色が濃くて、顔の中の明暗の差がもともと大きいことが多いです。艶の黒が作る強い明暗の差が、顔の明暗の差と釣り合うので、黒が顔に勝たず、顔が黒に負けません。
艶の黒が合う人は、秋冬に革のジャケットや、艶のあるブーツ、サテンのスカートを取り入れやすいです。顔の近くに艶を置くと、冬の乾いた光の中でも顔色が明るく見えます。
ただし、艶が合う人でも、顔まわりに置く艶は1か所までにしておくと落ち着きます。艶のあるブラウスに艶のあるイヤリング、艶のある革のジャケットと重ねると、光の点が多すぎて、どこを見ればいいのか分からなくなります。黒い艶を顔の近くに1つ置いたら、ほかはマットか起毛にしてください。
艶の黒を当てて、頬ではなく額や鼻の頭に光が集まり、テカりのように見えたら、艶は合っていません。光の点が顔の高い所だけに集まって、顔全体が明るくならないときは、艶は顔から離した場所に回してください。
マットの黒が合う人|顎の線と輪郭が締まる
マットの黒を当てたときに、顎の線がくっきりして、顔全体が引き締まって見えるなら、マットの黒が合う側です。
こういう人は、目鼻立ちがはっきりしていて、顔の輪郭にも存在感がある人が多いです。マットの黒は、顔との境目をくっきりさせるので、顔立ちの強さと黒の強さが同じ方向に働きます。黒い服を着たときに「きりっとした」と言われやすいのはこのタイプです。
マットの黒が合う人は、秋冬のウールのコートや、コットンのタートルネック、ツイルのパンツなど、基本の黒の服がそのまま似合いやすいです。黒の服を選ぶときに素材で迷うことが少なく、黒をいちばん素直に着られます。
ただ、マットの黒だけで全身をそろえると、面が平らになって重く見えることがあります。特に冬は、コートも、ニットも、パンツも、ブーツもマットな黒になりがちです。マットが合う人でも、1か所だけ艶か起毛を入れてください。足元のブーツを艶のある革にするか、首元のマフラーを起毛にするだけで、全体に奥行きが出ます。
マットの黒を当てて、口元の影が濃くなり、顔が疲れて見えたら、マットは顔から離したほうがよい側です。境目が締まりすぎて、顔の影まで強調されていることがあります。
起毛の黒が合う人|口元の影が和らぐ
起毛の黒を当てたときに、口元や目の下の影が薄くなり、顔の印象が柔らかく見えるなら、起毛の黒が合う側です。
こういう人は、黒そのものは似合うけれど、黒のマットな面を顔の近くに置くと、黒の強さが少し勝ってしまう人です。顔立ちが柔らかめだったり、肌の明るさが中くらいだったりして、黒との明暗の差がやや大きくなりすぎるのです。起毛の黒は、その差を毛の先で和らげてくれます。
起毛の黒が合う人は、秋冬がいちばん黒を着やすい季節です。モヘアのニット、フランネルのスカート、フリースの羽織り、毛足のあるマフラーなど、冬の素材はもともと起毛が多いので、選べる黒の服が一気に増えます。
起毛の黒が合う人が気をつけたいのは、起毛同士を重ねすぎることです。起毛のニットに起毛のマフラー、起毛のスカートと重ねると、黒全体がぼやけて灰色の塊に見えることがあります。起毛を2か所以上使うなら、どこか1か所にマットか艶を入れて、輪郭の線を作ってください。黒い革のベルトや、マットなウールのパンツを1つ入れるだけで締まります。
起毛の黒を当てて、顎の線がぼやけて顔が大きく見えたら、起毛は顔から離した側です。境目がぼやけすぎて、輪郭まで溶けていることがあります。
2つの素材で迷うとき|どちらとも取れる場合の決め方
3つの素材を当てて、2つが同じくらい良く見えることはよくあります。むしろ、黒が似合う人の多くはそうなります。そこで迷ったときは、次の順で決めてください。
1. 距離を変えて当て直す
顎の下30センチの鏡で同じに見えた2つを、今度は鏡を60センチまで離して当て直します。人と話すときの距離に近い見え方です。
近くで見ると艶とマットの差は分かりやすいのですが、離れると、艶の光の点は小さくなり、マットの面の存在感が大きくなります。起毛の柔らかさは、離れるとほとんど見えなくなります。60センチで良く見えるほうが、普段の会話の中で効く素材です。
2. 光を変えて当て直す
窓の光で同じに見えたら、天井の照明の下でも当ててください。夜の室内の光は真上から落ちるので、口元や目の下の影が強く出ます。
この光で口元の影がより和らぐほうが、夜の外出や室内で過ごす日に合う素材です。昼の光で良かったほうと夜の光で良かったほうが違うなら、両方使ってかまいません。昼に着る服と夜に着る服で素材を分ければよいのです。
3. 着ている時間の長い服で決める
それでも決まらないときは、その冬にいちばん長い時間着る服の素材を、どちらにするかで決めます。多くの人にとっては、コートかニットです。
コートは顔から少し離れた所に大きな面で置かれるので、60センチで良かったほうを選びます。ニットは顔のすぐ下に置かれるので、30センチで良かったほうを選びます。
4. 顔に近い場所と遠い場所で分ける
2つとも合うなら、顔に近い場所に、より合うほうを置き、もう一方を胸より下か足元に回してください。
たとえば、艶とマットで迷ったなら、首元はマットのタートルネックにして、足元を艶のブーツにする。起毛とマットで迷ったなら、首元を起毛のマフラーにして、コートをマットのウールにする。こうすると、2つの素材の良さを両方使えます。
5. 苦手な1つだけは決めておく
迷ったときでも、3つのうち「悪くなった」が2つ以上あった素材だけは、顔の近くに置かないと決めておいてください。合う2つで迷うのは問題ありませんが、苦手な1つを顔の近くに置くと、黒そのものが似合わないように見えてしまいます。
顔からの距離で素材を入れ替える|首元・胸・裾
素材の合う合わないは、顔に近いほど強く出て、離れるほど弱くなります。どの場所にどの素材を置くかを、顔からの距離で決めておくと、服の組み合わせが楽になります。
首元から顎の下までは、いちばん合う素材だけを置きます。タートルネックやハイネック、マフラー、スカーフがこの場所です。ここは3つの素材の差がもっとも強く顔に出るので、迷った素材は置かないでください。
鎖骨から胸までは、合う素材を2つまで使えます。ニットやブラウスの身頃、ジャケットの襟がこの場所です。いちばん合う素材を中心に、2番目の素材を襟やボタンに使うと、奥行きが出ます。
胸より下、ウエストから裾までは、苦手な素材も使えます。スカートやパンツ、コートの裾がこの場所です。顔から離れているので、素材の影響はかなり弱くなります。艶が苦手な人でも、艶のあるスカートなら顔に影響しにくいです。
足元は、どの素材でも自由に使えます。ブーツやパンプス、タイツがこの場所です。足元の黒は、全身の印象を引き締める役割が大きいので、素材はコーデ全体の釣り合いで選んでください。
秋冬の黒アイテム別:どの素材を選ぶか
秋冬によく使う黒のアイテムを、素材の選び方で並べます。
黒のニット
顔のすぐ下に来るので、いちばん合う素材で選びます。艶の側なら、表面がなめらかで光沢のある細い糸のハイゲージ。マットの側なら、コットンやウールの、毛羽立ちの少ない普通の編み地。起毛の側なら、モヘアやアンゴラ混、ブラッシングして毛足を立てたものです。黒のニットの合わせ方そのものは黒ニットコーデ レディース|冬に重く見えない下の色と素材も参考になります。
黒のコート
面積が大きく、顔から少し離れた所に置かれるので、60センチの距離で良かった素材を選びます。マットの側ならウールのメルトンやギャバジン、起毛の側ならビーバーやフランネルのように表面に毛足のある生地、艶の側なら、表面に軽い光沢のあるウールか、革のコートです。黒のコートで艶をどう扱うかは黒コートは艶のある面を一つだけ置くに詳しく書いています。
黒のブーツ
足元なので素材の自由度は高いですが、コーデ全体の黒の素材が偏っているときは、足元で調整します。上がマットばかりなら艶の革、上が艶なら起毛のスエード、上が起毛ならマットか艶の革、のように、上にない素材を足元に入れると全体がまとまります。
黒のバッグ
腕にかけるか肩にかけるかで、顔からの距離が変わります。肩にかけるバッグは胸の高さに来るので、合う素材を選び、手に持つバッグは自由に選んでください。
黒のタイツ
冬のタイツは、デニール数で素材感が変わります。薄いタイツは肌が透けて柔らかく、厚いタイツはマットな黒の面になります。足元が重く感じるなら薄めに、全体が軽すぎるなら厚めにして、上半身の黒との釣り合いを取ります。
1つのコーデに入れる素材の数
黒だけでまとめるコーデでも、素材は2つから3つ入れると奥行きが出ます。1つだけだと平らに見え、4つ以上だとまとまりがなくなります。
いちばん合う素材を全体の半分以上の面積に使い、2番目の素材を3分の1くらい、苦手な素材を使うなら足元か小物だけにしてください。
たとえば、マットの側の人なら、マットのウールのコートとマットのパンツで面積の大半を占め、首元に起毛のマフラー、足元に艶のブーツを入れる。起毛の側の人なら、起毛のニットとフランネルのスカートを中心に、マットのウールのコートを羽織り、足元にマットな革のブーツを合わせる。艶の側の人なら、艶のある革のジャケットを1枚の主役にして、ほかはマットのニットとパンツでまとめる。
黒以外の色と組むときの素材
黒を1点だけ使うコーデでも、素材の考え方は役に立ちます。白やベージュ、グレーなどの明るい色と黒を組むとき、黒の素材によって、明るい色との差の見え方が変わるからです。
艶の黒を明るい色と組むと、黒の部分の明暗の差が強く出て、黒が主役になります。白いニットに艶のある黒のスカートを合わせると、スカートに目が行き、上半身は軽く見えます。顔を明るく見せたい日に向いた組み方です。
マットの黒を明るい色と組むと、境目がくっきりして、全体が引き締まります。ベージュのコートの下に、マットな黒のタートルネックを合わせると、首元が締まり、顔立ちがはっきり見えます。仕事の日や、きちんと見せたい日に合う組み方です。
起毛の黒を明るい色と組むと、境目がぼやけて、全体が柔らかくまとまります。グレーのパンツに起毛の黒いニットを合わせると、黒とグレーの差が和らいで、穏やかな印象になります。休日や、親しい人と会う日に合う組み方です。
黒が似合う人でも、その日に見せたい印象によって素材を選び分けると、同じ黒の服の出番が増えます。合う素材を2つ持っておくと、印象の幅も広がります。
素材の数を決めておくと、黒ばかりの冬のクローゼットでも、毎日の組み合わせが単調に見えにくくなります。
昼と夜、室内と屋外の光で変わること
同じ黒の素材でも、光の条件で見え方が変わります。
昼の屋外は光が強く、四方から当たるので、艶の光の点はあまり目立たず、マットと起毛の差も小さくなります。この光の下では、どの素材でも比較的似合って見えます。
冬の夕方や曇りの日は、光が弱く、横から差します。艶の光の点が強く出て、起毛の柔らかさもはっきり見えます。素材の差がいちばん出やすい光です。
夜の室内は、光が真上から落ちるので、顔の影が強く出ます。この光の下では、起毛の黒が影を和らげる力がいちばん効きます。夜に会食や集まりがある日は、顔まわりに起毛か、艶を1か所置くと、顔の影が目立ちにくくなります。
職場のように蛍光灯の白い光の下で長く過ごす人は、マットの黒が青白く見えることがあります。その場合は、顔の近くの黒を起毛に替えるか、黒の内側に白や生成りのインナーを少し見せてください。
黒が似合わないと出た人は、素材をどう使うか
黒が似合わない側だと出た人でも、素材を選べば黒を取り入れることはできます。ポイントは、顔からの距離と素材の組み合わせです。
顔の近くには黒を置かず、白やベージュ、明るいグレーなど、顔色が明るく見える色を置いてください。黒を使うのは胸より下からにします。そのうえで、胸より下の黒は起毛を選ぶと、黒の強さが和らいで、全体の印象が重くなりにくくなります。
足元の黒は、似合う似合わないにかかわらず使いやすい場所です。黒のブーツやタイツは、全身を引き締める役割が大きく、顔への影響はほとんどありません。
どうしても顔の近くに黒を置きたいときは、黒と顔の間に、明るい色のインナーや襟を指2本分以上挟んでください。黒が顔に直接触れなければ、素材の影響も弱くなります。
顔まわりの小物と髪で、黒の素材を調整する
服の素材を変えられないときは、顔まわりの小物と髪で調整できます。服の黒が顔に合わない素材だったとしても、顔と服の間に挟むもので、見え方はかなり変わります。
イヤリングとネックレス
艶の黒が苦手な人が艶のある黒のブラウスを着るなら、耳元に光を返さない小物を選んでください。艶の上に艶を重ねると、光の点が増えて、顔のテカりのように見えることがあります。反対に、マットの黒ばかりで顔が平らに見える日は、耳元に小さな光る小物を1つ足すと、艶の黒を首元に置いたのと似た効き方をします。
ネックレスは、黒い服と顔の間に線を1本引く役割があります。起毛の黒で輪郭がぼやけて見えるなら、細いネックレスを1本足して、顔と服の境目を作ってください。マットの黒で境目が強すぎるなら、ネックレスは外して、代わりに首元から明るい色のインナーを指1本分だけのぞかせます。
眼鏡
眼鏡をかける人は、フレームの素材も黒の素材のひとつとして数えてください。黒い艶のあるフレームは艶の黒、マットな黒いフレームはマットの黒と同じ働きをします。顔のいちばん中心に来るので、服より強く効きます。
艶の黒が苦手な人は、黒い服を着る日には、マットなフレームか、黒以外の色のフレームを選ぶと、顔に光の点が集まりにくくなります。マットの黒で顔が重く見える人は、フレームを細いものに替えるか、透明感のある色にすると和らぎます。
髪
髪も顔のすぐ横にある素材です。艶の強い髪の人が艶の黒を顔の近くに置くと、艶が重なって強く見えます。その日は、首元をマットか起毛の黒にして、髪の艶を主役にしてください。
反対に、髪がふんわりしていて艶が少ない人は、首元に艶の黒を置くと、顔まわりに足りない光が足されて、全体が明るく見えることがあります。乾燥しやすい冬は髪の艶が落ちやすいので、同じ黒の服でも、夏と冬で合う首元の素材が変わることがあります。
髪をまとめる日と下ろす日でも、顔と服の距離が変わります。髪を下ろすと、髪が顔と黒い服の間に入るので、服の素材の影響は弱くなります。まとめると、首元の黒が顔に直接近づくので、素材の差が強く出ます。黒のタートルネックを着る日に髪をまとめるなら、いちばん合う素材を選んでください。
年齢や髪色が変わると、合う黒の素材は動くか
合う素材は、一生同じとは限りません。肌の明るさや、髪の色、髪の量が変わると、顔の明暗の差が変わり、合う素材もそれに合わせて少し動くことがあります。
たとえば、髪を明るい色に染めると、顔まわりの明暗の差が小さくなります。それまでマットの黒が合っていた人でも、マットの黒が強く見えるようになり、起毛のほうが合うと感じることがあります。反対に、髪を暗い色に戻すと、また明暗の差が大きくなって、マットや艶の黒が合いやすくなります。
白髪が増えてきた人や、白髪を染めずに生かしている人は、髪と黒い服の差が大きくなります。この場合は、艶の黒が髪の明るさと釣り合って、顔まわりが華やかに見えることが多いです。起毛の黒は髪の柔らかさと重なって、全体が優しい印象になります。どちらが合うかは、やはり顎の下に当てて確かめてください。
年齢を重ねて、口元や目の下の影が以前より気になるようになったと感じる人もいます。そういうときは、起毛の黒を顔の近くに置くと、影が和らいで見えやすいです。ただ、これは影を隠すためではなく、黒の強さを顔の明るさに合わせるためだと考えてください。影の出方は人それぞれで、どの見え方が良いかを決めるのは自分です。
合う素材が変わったかどうかは、年に1回、秋のはじめに確かめるのがおすすめです。黒の服を買い足す前に、手持ちの3つの素材を顎の下に当て直して、去年と同じ結果になるかを見てください。同じなら、去年と同じ素材を選べば大丈夫です。変わっていたら、その年に買う黒は、新しく合うほうの素材で選びます。
手持ちの黒の服を見直すときも、同じ順で進めてください。クローゼットの黒の服を全部出して、艶・マット・起毛の3つの山に分けます。いちばん合う素材の山は、そのまま顔の近くで着続けてかまいません。2番目の山は、首元から少し離して、胸より下に来る着方を考えます。苦手な素材の山にあるトップスは、首元に明るい色のインナーを挟むか、上に別の素材の羽織りを重ねて、顔と黒の間に距離を作ります。それでも顔が沈んで見えるものだけを、手放す候補にしてください。素材で分けるだけで、着られないと思っていた黒の服の多くが、着方を変えれば使えることに気づくはずです。
山に分けたあと、それぞれの山の枚数も数えておくと、次に買う黒の服が決めやすくなります。いちばん合う素材の山が少なく、苦手な素材の山が多いなら、次の1枚は合う素材のトップスにします。合う素材の山がすでに多いなら、次の1枚は2番目の素材のボトムか小物にして、組み合わせの幅を広げてください。
分けるときに迷う服もあります。表面はなめらかなのに光らない生地や、毛足が短くて起毛とマットの間にある生地です。そういう服は、窓の光の下で布を斜めに傾けて見てください。傾けたときに白い光の筋が走るなら艶の側、光の筋が出ずに色が少し明るく霞むなら起毛の側、どちらも起きずに黒がそのまま平らに見えるならマットの側です。この見方は売り場でも使えるので、覚えておくと便利です。
売り場で確かめるときの手順
黒の服を買うときは、売り場で次の順に確かめると失敗が減ります。
- 自分の合う素材と苦手な素材を、家で先に決めておく
- 売り場では、気になった黒の服を手に取り、顔から30センチの鏡の前で顎の下に当てる
- 頬の明るさ、口元の影、顎の線の3か所を見る。家で白い紙と比べた見え方を思い出す
- 照明が強い売り場では、可能なら窓際や出入口の近くで当て直す
- コートのように大きな服は、鏡から60センチ離れて、羽織った状態でも見る
- 生地の表面を指でなでて、艶・マット・起毛のどれに近いかを確かめる。同じ名前の素材でも、加工によって艶が出ていたり、毛足が立っていたりする
同じ黒でも、素材の名前だけでは見え方が決まりません。手で触れて、顔に当てて、見え方で決めるのがいちばん確かです。
黒の素材を決めると、冬の服選びが楽になる
黒は秋冬にいちばん使う色のひとつです。似合うと言われて黒ばかりそろえた人ほど、どの黒も同じに見えて、組み合わせに迷ったり、ある日だけ顔が沈んで見えたりします。
そのときに見直すのは、色ではなく素材です。艶・マット・起毛の3つを顎の下に当てて、5秒ずつ見てください。頬が明るくなる素材、輪郭が締まる素材、影が和らぐ素材のどれが自分に合うかが分かれば、黒の服を買うときも、組み合わせるときも、迷う場面が減ります。合う素材を顔の近くに、迷う素材を胸より下に、苦手な素材を足元か小物に。それだけで、同じ黒の服でも、ずっと自分らしく着られるようになります。
よくある問い
- Q. 黒が似合うと言われたのに、黒い服を着ると顔が暗く見える日があります
- 色は合っていても、素材が合っていないことがあります。同じ黒でも、艶のある生地は光の点を顔に返し、マットな生地は輪郭を締め、毛足のある生地は影を柔らかくします。顔が暗く見えた日の服の素材を思い出して、別の素材の黒を顎の下に当てて比べてみてください。多くの場合、素材を1つ入れ替えるだけで見え方が変わります。
- Q. 艶のある黒は派手に見えませんか
- 面積と場所で変わります。顔の近くに大きな面の艶を置くと強く見えますが、襟の縁やボタン、バッグのように小さな面なら控えめに見えます。艶が合う人でも、顔まわりに置くのは1か所までにして、ほかはマットか起毛にすると落ち着きます。
- Q. 起毛の黒は黒く見えず、グレーっぽく見えます
- 起毛の生地は毛の先で光が散るので、黒が少し明るく、柔らかく見えます。黒の強さが顔に勝ってしまう人にはそれが利点になり、反対に、黒の締まりで顔立ちが引き立つ人には物足りなく見えます。顎の下に当てて、頬の明るさが上がるなら起毛が合う側、輪郭がぼやけて見えるならマットか艶の側です。
- Q. 黒が似合わないと言われた人でも、素材を選べば黒を着られますか
- 顔から離した場所であれば、素材を選ぶことで黒を取り入れやすくなります。顔の近くはできるだけ避けて、起毛の黒を胸より下に置くと、黒の強さが和らぎます。顔まわりには明るい色を挟んでください。
— メグラシ編集部





