着物のヘアアレンジは耳の上だけで簡単に|残りが衿の内側に収まるか

着物のヘアアレンジを簡単にしたいなら、全部の毛をまとめるのをやめてください。
両耳の上端を結んだ線から上の毛だけを取って留める。 これだけで、手数はおよそ半分になります。崩れても自分で直せます。
成立するかどうかの判定は1つです。下ろしたままの残りが、後ろ衿の内側に収まるか。収まれば、その日はそのままで変わりません。外へ出るなら、直し方は2つあります。
秋冬は羽織やショールで衿元が厚くなるので、重ねた状態でもう一度判定します。ショートからロングまで、長さごとの取り方も順に並べます。
📋 早見表|残りの収まり方と、次にやること
この表は答えではありません。留めたあとに、次へ進むか直すかを決めるための道具です。
| 横から見た残りの毛 | 状態 | 次にやること | そのままにすると |
|---|---|---|---|
| 衿の縁より内側 | 収まっている | 飾りへ進む | 一日変わらない |
| 縁とちょうど重なる | ぎりぎり | 毛先3cmを内へ折り返す | 歩くと縁を越える |
| 縁より外へ出る | 出ている | 取る範囲を耳の下まで広げる | 衿の線が毛で切れる |
| 短くて留まらない | 別の形へ | 三角形だけ取る/飾りだけ置く | 途中で全部落ちる |
判定が済んだら、飾りへ進みます。順番を逆にすると、直すたびに飾りを外すことになります。
簡単にする鍵は、取る毛を耳の上だけにすること
着物の日の髪が難しく感じるのは、多くの場合、全部の毛をまとめようとしているからです。
全部の毛をまとめると、襟足の短い毛を拾う手間がかかり、留め具も襟足の低い位置に入ります。そこは自分では見えず、手も届きにくい場所です。袖の形によっては、腕を後ろへ回すこと自体がしにくくなります。
耳の上の毛だけを取る形なら、作業する場所が全部、目の前の鏡で見える高さに収まります。留め具も耳より上に集まるので、一日のあいだに崩れても、指で探って押し戻せます。
まとめる量が半分になるので、ピンの本数も半分で済みます。普段ヘアアレンジをしない人でも、手順を2回練習すれば、当日10分ほどで仕上がります。
取る範囲は、指でなぞって決める
目で決めると、日によって範囲が変わります。指でなぞってください。
- 左右のこめかみに、それぞれ人差し指を当てる
- 片方の指を、頭のてっぺんを通して反対側のこめかみまで一直線に滑らせる
- 指より上に残った毛を、まとめて手に取る
- 手に取った束を、後頭部のいちばん出ているところで留める
前髪を下ろしている場合、前髪はこの範囲に入れません。範囲に入れると、留めたときに額の生え際が引かれて、前髪の落ちる向きが変わります。
取った束は、根元から5cmほどのところを軽くねじってから留めると、表面の毛が散らずにまとまります。ねじる回数は2回までです。それ以上ねじると束が硬くなり、留めたあとに後頭部の丸みから浮きます。
留める位置は後頭部のいちばん出ているところ
留める位置は、後頭部のいちばん出ているところです。指で後頭部をなぞって、いちばん高く盛り上がっている点を探してください。
ここより上に留めると、横から見た頭の形が縦に伸びます。着物の衿は首に沿って立っているので、頭が縦に伸びると、首から頭までの線が長く見えすぎます。
ここより下に留めると、束が衿に近づきます。束の下端が衿に触れると、首を動かすたびに束が押されて、留め具がずれていきます。
いちばん出ているところに留めると、束の下端と衿の間に指2本ほどの空きができます。この空きが、一日崩れないための余白になります。
後頭部の丸みが目立ちにくく、いちばん出ている点が分かりにくい場合は、耳の上端の高さから指3本分上を目安にしてください。多くの場合、そのあたりが後頭部の丸みの頂点に近い位置です。一度決めたら、ピンを差した位置を手で覚えておくと、崩れたときにも同じ場所に戻せます。
横を向いて、残りが衿の内側にあるかを見る
留めたら、横を向いて鏡に映してください。見るのは1点だけです。
下ろしたままの毛が、後ろ衿の縁より内側にあるか、外へ出ているか。
内側に収まっていれば、そのままで一日変わりません。外へ出ていると、歩くたびに毛が衿の上を行き来します。衿の線が毛で切れて見え、写真ごとに違う形になります。
判定は横からだけで足ります。正面からは、毛と衿の前後の関係が見えません。自分で撮れないときは、鏡に横向きで映して、その鏡をスマホで撮ってください。
着付けが済む前に髪を作る場合は、判定は着付けのあとに回します。衿の位置が決まる前に判定しても、当日の衿とは位置が違います。
衿に触れる長さを先に測っておく
判定を当日に初めてすると、外へ出たときに直す時間が足りなくなります。前日までに、衿に触れる長さを測っておくと安心です。
測り方は、首の後ろのいちばん出ている骨から、真上へ向かって定規を当てます。着物の後ろ衿は、首の付け根から上へ、おおよそ5〜7cmの高さまで来ます。衣紋を抜く量によって変わるので、着る予定の着物を一度羽織って、衿の縁がどこに来るかを家族に見てもらうと確実です。
下ろした残りの毛先が、その縁の高さより上で終わっていれば、当日も衿の内側に収まります。縁より下まであるなら、後で出てくる直し方のどちらかを使う前提で準備します。
ここで分かっていれば、当日に慌てることはありません。
衣紋を多めに抜く着方をする場合は、後ろ衿の縁が下がり、首の後ろが広く見えます。その分、下ろした残りが衿の内側に収まりやすくなる一方で、首の後ろに毛が落ちている様子がよく見えます。衣紋を抜く日は、残りの毛先を内側へ軽くまとめておくと、首の後ろの線がきれいに出ます。
縁と重なるとき|毛先3cmを内へ折り返す
残りの毛先が衿の縁と重なっている状態は、ぎりぎりです。立っているあいだは収まっていても、歩くと縁を越えます。
このときは、毛先3cmを内側へ折り返して、1本のピンで留めます。
- 残りの毛先をまとめて手のひらに乗せる
- 毛先から3cmのところを、首側へ向けて折る
- 折った山の部分に、ピンを下から上へ差す
折り返した先は衿より内側に入るので、外へ出る面がなくなります。ピンは、波打つ側を地肌に向けて差すと、1本でも動きにくくなります。
折り返す長さを3cmより長くすると、折り山がふくらんで、そこが衿に当たります。3cmで足りないなら、折り返しをやめて、次の方法へ進んでください。
外へ出るとき|取る範囲を耳の下まで広げる
残りがはっきり衿の外へ出ているなら、束を1つ足したくなります。けれど足さずに、取る範囲を広げてください。
束を足すと留め具が増え、崩れる場所も増えます。取る範囲を、耳の上端から耳の下端まで広げると、下ろしたままの毛が減り、残りが短く見えるようになります。
広げ方は、最初の手順と同じです。左右の耳の下端に指を当て、頭の後ろを通して一直線に結びます。指より上の毛を全部取って、後頭部のいちばん出ているところで留めます。
これで残りは、耳より下の後ろ側だけになります。たいていはこれで衿の内側に収まります。それでも外へ出るなら、残りの毛先を3cm内へ折り返す方法を重ねます。
広げたときは、上の束が太くなります。束を留める前に、根元から5cmのところを2回ねじる手順は同じですが、ピンは1本から2本に増やしてください。2本目は1本目と交差させて差します。束が太いまま1本で留めると、半日ほどで束の重さに負けて下がってきます。
広げても、留め具の位置は変わりません。耳より上、後頭部のいちばん出ているところです。範囲を広げることと、留める位置を下げることは別の話なので、混ぜないでください。
ショートのとき|こめかみから頭頂の三角形だけ取る
ショートでは、両耳の上端から上の毛を全部取ろうとすると、束が短すぎて留まりません。
取る範囲を狭めてください。左右のこめかみを結んだ線を底辺にして、頭頂を頂点とする三角形の中の毛だけを取ります。
三角形の毛を、根元から2回ねじり、頭頂の少し後ろで留めます。ピンは交差させて2本差すと、短い毛でも動きません。
ショートは下ろした残りが衿に届かないことが多いので、衿の判定はほとんど要りません。判定は、ねじった束が留まるかどうかだけです。
襟足を短く刈り上げている場合は、後ろから見ると首筋がそのまま見えます。着物の衿とのあいだに毛がない分、首から衿までの線がきれいに出ます。この場合は、横の毛が耳にかかるかどうかだけを見てください。耳にかかる長さなら、耳の後ろへ流してピンで1本留めると、横顔がすっきりします。
それでも留まらない長さなら、留めるのをやめて、耳の上に飾りだけを置く形にします。地肌に近い位置なら、小さい留め具でも動きません。
ボブのとき|毛先があごより下か上かで分ける
ボブは、毛先の位置で作り方が2つに分かれます。
毛先があごより上なら、ショートと同じ三角形の取り方で足ります。残りは衿に届かないので、判定は留まるかどうかだけです。
毛先があごより下なら、両耳の上端から上を取る基本の形にします。残りの毛先が衿の縁に近づくので、横から判定してください。
ボブは毛先が切りそろえられているぶん、縁と重なったときに線がはっきり見えます。重なるなら、毛先3cmを内へ折り返します。ボブの毛先は厚みがあるので、ピンは2本にして、折り山の左右に1本ずつ差してください。
毛先を内側へ軽く巻いておくと、折り返さなくても衿の内側に収まることがあります。巻く場合は、髪を作る前に済ませておきます。
ミディアムのとき|残りを内に入れるか、低くまとめるか
肩につくくらいのミディアムは、残りがちょうど衿の縁にかかる長さです。判定で迷いやすいのもこの長さです。
まずは基本の形で耳の上だけを取り、横から判定してください。縁と重なるなら、毛先3cmを内へ折り返します。
外へ出るなら、取る範囲を耳の下まで広げます。それでも残りが外へ出る長さなら、残りを全部、上の束の下に寄せて、ピンで2か所留めます。束の下に寄せるだけで、結ぶ必要はありません。
このとき、残りを寄せる位置は、襟足から指3本分上です。それより下だと衿に当たり、上だと上の束とぶつかって形が崩れます。
ミディアムの人は、前日に一度通しで試してください。どの直し方が要るかが分かれば、当日の迷いがなくなります。
ミディアムでも、毛先にレイヤーが入っている場合は、残りの毛先がばらばらの長さで衿にかかります。いちばん長い毛先を基準に判定してください。短い毛先が内側に収まっていても、長い毛先が1束でも外へ出ていれば、衿の線はそこで切れて見えます。
ロングのとき|上半分の束に残りを巻きつける
ロングは、下ろしたままの残りがほぼ確実に衿の外へ出ます。耳の上だけで作る形を、少しだけ広げて使います。
- 耳の上の毛を取り、後頭部のいちばん出ているところで留める
- 残りの毛を1つにまとめ、毛先まで軽くねじる
- ねじった残りを、留めた上の束の根元に巻きつける
- 巻き終わりの毛先を、巻いた輪の内側に入れてピンで留める
巻きつける先が、耳より上にある上の束なので、留め具は全部、耳の高さより上に集まります。崩れても指で探れる位置です。
全部を一度にまとめるより、上の束を土台にして残りを巻くほうが、手が後ろに回りにくい着物の日でも作業しやすくなります。
秋冬の着物の日は、羽織とショールの衿元で判定し直す
秋冬の着物の日は、羽織やショール、道行などを重ねることが増えます。衿元が厚くなるので、髪の判定が変わります。
重ねた衣類の衿は、着物の衿より外側で首を囲みます。下ろした残りの毛先が、この外側の衿に押されると、外へ跳ねるように出てきます。
髪を作ったら、羽織やショールを実際に重ねた状態で、もう一度横から判定してください。
重ねる前は内側に収まっていても、重ねたあとに外へ出ることがあります。そのときは、毛先3cmを内へ折り返す方法が手軽です。ショールを外したり巻いたりする日は、折り返した状態のほうが、どちらでも収まります。
ショールを巻くと、上の束の下端にも当たることがあります。束の下端とショールの間に指1本分の空きがあるかを見てください。空きがないなら、留める位置を1cm上げます。
七五三の付き添いで動き回る日
七五三の付き添いでは、子どもを抱き上げたり、しゃがんだりする動きが多くなります。髪には、首を前に倒す動きが何度も加わります。
首を前に倒すと、後ろ衿が首から離れ、下ろした残りが衿の外側へ落ちやすくなります。この日は、残りが縁と重なる程度でも、毛先3cmを内へ折り返しておくほうが安心です。
もう1つ確かめておきたいのが、上の束の留め具です。抱き上げたときに子どもの手が届く高さに、飾りや留め具が出ていないかを見てください。飾りは、束の右か左の横側に置くと、抱き上げても手が当たりにくくなります。
支度の時間が限られる日なので、自分の髪は前日に一度通しで作っておき、当日は同じ手順をなぞるだけにしておくと、子どもの支度に時間を回せます。
成人式の前撮りや年始の集まりで、少し華やかにしたい日
年末年始の集まりや、成人式の前撮りの付き添いなど、少し華やかにしたい日もあります。
耳の上だけで作る形でも、華やかさは足せます。足す場所は、上の束の留め位置です。束をねじって留めたあと、毛先を輪にして留め位置に重ねると、そこに立体が生まれます。
輪の大きさは、こぶし1つ分までにしてください。それより大きいと、横から見たときに頭の後ろが重くなり、衿とのつり合いが崩れます。
飾りを足す場合も、留め位置の周りに集めます。耳の上と後頭部の2か所に分けて置くと、どちらかがずれたときに直す場所が増えます。1か所にまとめておけば、崩れても指1本で位置を確かめられます。
飾りは判定が済んでから置く
髪を作ると、先に飾りを置きたくなります。ただ、判定の前に飾りを置くと、直すたびに外すことになります。
順番は、取る範囲を決める、留める、横から判定する、必要なら直す、そのあとに飾り、です。
飾りは、上の束の留め位置か、その少し横に置きます。留め具の上に重ねるように差すと、飾りが留め具を隠し、留め具が飾りを支えます。
飾りの大きさは、横から見て、上の束からはみ出さない程度にしてください。はみ出すと、頭の輪郭が飾りで変わり、衿との距離の判断がずれて見えます。
飾りの色は、着物の柄の中にある色から1つ選ぶと、髪と着物がつながって見えます。柄にない色を選ぶと、頭の上だけが別の場面のように見えることがあります。迷ったら、帯揚げか帯締めの色に合わせてください。顔に近い位置にある小物の色なので、髪の飾りと並んでも浮きません。
留め具は耳の高さより上に集める
この形のいちばんの強みは、留め具が全部、耳の高さより上にあることです。
耳より上なら、鏡がなくても、指で触れば位置が分かります。崩れたときに、押し戻すだけで戻ります。
全部の毛をまとめる形は、留め具が襟足の低い位置にも入ります。そこは指で探りにくく、着物の袖では腕を回しにくい場所です。崩れたとき、鏡なしで直すのは難しくなります。
直し方の途中で留め具を足すときも、この決まりを守ってください。襟足の近くに1本足すと、そこが一日のうちで最初に崩れる場所になります。
襟足の短い毛が下りてきて気になる場合も、留め具で拾わないでください。短い毛は、少量の整髪料を指先につけて、上向きになでつけるだけで足ります。留め具で無理に拾うと、その1本のために襟足の低い位置に留め具が入り、形全体の強みがなくなります。
乾燥で毛が浮く日の下準備
秋冬は空気が乾くので、毛の表面が静電気で浮きやすくなります。上の束を留めても、表面の細い毛が立って、輪郭がぼやけます。
下準備は、髪を作る前に済ませます。手のひらに少量のヘアオイルかクリームを広げ、毛先から中ほどまでなじませます。根元にはつけません。根元につけると、束が滑って留め具が効きにくくなります。
取る範囲を決めて束にしたら、表面だけを手のひらで1回なでます。手のひらに残ったわずかな油分で、浮いた毛が束に沿います。
着物の生地や羽織と髪がこすれると、また静電気が起きます。外出先では、手のひらで束の表面を一度なでるだけで落ち着きます。
下準備の油分は、量が多すぎると束がまとまりすぎて、上の束が平らに見えます。目安は、手のひらに広げたときに、手のひらが少しつやっとする程度です。足りなければ、毛先にだけ追加します。
どちらとも取れる①|残りが縁と重なったり離れたりする
立っているときは内側、座ると外側、というように、残りの毛と衿の関係が動くことがあります。
座ると背中が丸くなり、後ろ衿が首から少し離れます。その分、毛が衿の外側へ落ちやすくなります。
迷ったら、座った状態で判定してください。会食や式の間は座っている時間が長いからです。座った状態で縁と重なるなら、毛先3cmを内へ折り返しておきます。
椅子に座る日と、畳に座る日でも差があります。畳に座ると、背中がより丸くなりやすく、衿が首から離れる幅も大きくなります。畳の席が予定にあるなら、正座した状態で一度判定しておくと確実です。
立った状態で外へ出るなら、座った状態でも外へ出ます。このときは迷わず、取る範囲を耳の下まで広げてください。
どちらとも取れる②|前髪を範囲に入れるか迷う
前髪を下ろしているか、横に流しているかで迷う場合があります。
目にかかる長さの前髪を下ろしているなら、範囲に入れません。入れると、額の生え際が引かれ、普段と違う向きに前髪が落ちます。
横に流している前髪なら、流れの終わりを耳の上の範囲に合流させて構いません。こめかみの位置で、流した前髪の毛先を上の束に軽く重ねてから留めます。
どちらとも決められないときは、前髪だけを先にピン1本で横に留めて、鏡で正面を見てください。顔の周りがすっきりしすぎると感じたら、前髪は範囲に入れず下ろします。
どちらとも取れる③|毛量が多くて束が留まらない
上半分を取った時点で、束が太すぎて留め具に収まらないことがあります。
このときは範囲を狭めるのではなく、束を2つに分けて重ねてください。上半分の毛をさらに上下に分け、下の束を先に留め、その上に上の束を重ねて留めます。
留め具は2本になりますが、位置は同じ場所です。崩れる場所が増えるわけではありません。分けずに1本で留めようとすると、束の中の毛が逃げて、時間とともに下がってきます。
毛量が多い人は、取る範囲を最初から耳の上端より1cm下げておくと、残りが少なくなり、衿の判定もしやすくなります。
どちらとも取れる④|髪が細くて束が滑る
髪が細くやわらかいと、束にしても留め具から滑り落ちることがあります。
滑る原因は、束の表面がなめらかすぎることです。束にする前に、取る範囲の根元に指を入れて、軽く逆立てるように2〜3回こすってください。毛の表面に引っかかりができ、留め具が効くようになります。
ピンは、1本目を束の下から上へ差し、2本目を30〜45度の角度で交差させます。交差した2本が束を挟むので、1本で留めるより滑りにくくなります。
それでも滑るなら、ゴムで一度結んでから、結び目をピンで頭に留めます。ゴムを使っても、結ぶ位置は後頭部のいちばん出ているところのままです。
練習は前日に1回、通しで済ませる
当日初めて作ると、取る範囲で迷い、判定で迷い、直し方で迷います。前日に一度、通しで練習しておくと、当日は同じ手順をなぞるだけになります。
練習は着物を着なくても構いません。襟のある上着を羽織り、衿の高さに近い位置まで襟を立てれば、残りの毛と衿の関係を確かめられます。
- 取る範囲を指でなぞって決め、留める
- 横向きの鏡で、残りが襟の内側にあるかを見る
- 必要な直し方を1つ試し、どちらで収まったかをメモする
- 首を前に倒す、座る、の2つの動きをして、崩れないかを見る
メモに残すのは、取った範囲と、使った直し方と、ピンの本数の3つだけで足ります。当日はそのメモを見ながら作れば、迷う場面がなくなります。
写真に残る日は、横と斜め後ろを一度ずつ見る
式や記念の集まりなど、写真に残る日は、正面だけでなく横と斜め後ろの見え方も確かめておきます。
集合写真では、正面から撮られることが多いので、上の束はほとんど写りません。写るのは、顔の横に出ている毛と、衿の縁との関係です。横から見て、残りの毛が衿の線を切っていないかを見てください。
斜め後ろからの写真は、着物の後ろ姿を残したいときに撮られます。このときは、上の束の形と、衿の抜き具合が一緒に写ります。束の下端と衿の間に、指2本ほどの空きがあるかを確かめます。空きがあると、首の後ろの線がすっきり写ります。
2方向とも、手鏡と大きな鏡を合わせ鏡にすれば、自分で確かめられます。
崩れたときに鏡なしで戻す
外出先で崩れたと感じたら、まず上の束の留め位置を指で触ってください。
束が下がっているなら、留め具を一度外し、束を元の位置まで押し上げてから、同じ穴に差し直します。耳の高さより上なので、指で場所が分かります。
下ろした残りが衿の外へ出ているなら、毛先を指で内側へ押し戻し、折り返しのピンが外れていないかを確かめます。外れていれば、折り山に下から差し直します。
予備のピンを2本、帯の内側か小さな袋に入れておくと、落としても困りません。鏡が使えるなら、最後に横向きで一度だけ見て、残りが衿の内側にあるかを確かめます。
直すときに、上の束を全部ほどいて作り直す必要はありません。下がった分を押し上げて、同じ位置に差し直すだけで足ります。作り直すと、取る範囲がずれて、残りの長さも変わってしまいます。
当日の支度を時間で並べる
当日は、着付けと髪の順番で迷いやすくなります。目安を並べておきます。
- 髪の下準備(油分をなじませる):5分
- 着付け:着る人によって30〜60分
- 耳の上の毛を取って留める:5分
- 横から判定し、必要なら直す:3分
- 羽織やショールを重ねて、もう一度判定:2分
- 飾りを置く:2分
髪を先に作ってから着付けをすると、着付けの途中で衿を整えるときに残りの毛が挟まります。着付けのあとに髪を作るほうが、判定も一度で済みます。
髪の工程は合わせて15分ほどです。前日に一度通しで試しておけば、当日はもっと短くなります。
着付けを人に頼む場合は、着付けが終わったあとに髪を作る時間を、前もって伝えておいてください。着付けの場で髪まで済ませる流れになっていると、判定の時間が取れないまま出かけることになります。15分あれば足りるので、その分だけ余裕を持って予定を組みます。
まとめ
着物のヘアアレンジを簡単にするなら、耳の上の毛だけで作ります。
両耳の上端を結んだ線から上の毛を指でなぞって取り、後頭部のいちばん出ているところで留めます。判定は横を向いて、下ろしたままの残りが後ろ衿の内側に収まるかの1点です。
縁と重なるなら毛先3cmを内へ折り返し、外へ出るなら束を足さずに取る範囲を耳の下まで広げます。ショートは三角形だけ、ロングは残りを上の束に巻きつけます。
秋冬は羽織やショールを重ねた状態でもう一度判定し、留め具は耳の高さより上に集めておきます。そうすれば一日のどこで崩れても、鏡なしで戻せます。
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よくある問い
- Q. 耳の上の毛だけとは、どこからどこまでのことですか
- 両耳の上端を結ぶ線を頭の上に想像して、その線から上にある毛のことです。左右のこめかみに指を入れ、頭のてっぺんを通って反対側のこめかみまで、指を一直線に滑らせます。指より上に残った毛が、取る範囲です。前髪を下ろしている場合は、前髪はこの範囲に入れません。範囲を目で決めると毎回変わるので、指でなぞって決めてください。
- Q. 残りが衿の内側に収まるかは、どうやって見るのですか
- 上の毛を留めたあと、横を向いて鏡に映してください。下ろしたままの毛が、後ろ衿の縁より内側にあるか外へ出ているかを見ます。内側に収まっていれば、そのままで一日変わりません。外へ出ていると、歩くたびに毛が衿の上を行き来して、衿の線が毛で切れて見えます。判定は横からだけで足ります。
- Q. ショートでも、この簡単なヘアアレンジはできますか
- できます。取る範囲を、両耳の上端の線ではなく、こめかみから頭頂までの三角形に狭めてください。範囲が狭いほど束が短くても留まります。三角形の毛をねじって、頭頂の少し後ろで留めます。ショートは残りが衿に届かないことが多いので、判定は留まるかどうかだけで足ります。
- Q. 羽織やショールを重ねる日は、何が変わりますか
- 衿元が厚くなるので、下ろした残りが押されて外へ跳ねやすくなります。髪を作ったあと、実際に羽織やショールを重ねた状態で、もう一度横から判定してください。外へ出るなら、毛先3cmを内へ折り返すか、取る範囲を耳の下まで広げます。重ねる前の判定だけで済ませると、外へ出てから気づくことになります。
- Q. 崩れたとき、鏡なしで直せますか
- 直せます。耳の上だけで作る形は、留め具が全部、耳の高さより上にあります。この高さなら鏡がなくても指で位置が分かるので、押し戻すだけで戻ります。全部の毛をまとめる形は留め具が襟足の低い位置にも入り、そこが崩れると鏡なしでは直せません。
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