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浴衣の兵児帯 重ね結び方|秋は2本の色を、下の帯を出す幅で決める

メグラシ編集部//読了 13分
藍色の浴衣の胴に、深い緑とからし色の兵児帯を二本重ねて巻き、下の緑の帯を指で少し上へ引き出している手もと

**浴衣に兵児帯を2本重ねるなら、下の帯を上の帯から何センチ出すかを先に決めてください。**その幅で、2本の色の組み合わせ方が決まります。

1センチ以内なら、下の帯は細い線として見えるので、浴衣の柄にない強い色を差しても浮きません。2センチから4センチなら、帯が2本あるとはっきり分かるので、浴衣の柄の中から1色拾います。5センチ以上出すなら、2本で段を作ることになるので、同じ系統の色の濃淡でまとめます。

兵児帯の重ね結びで迷う人の多くは、結び方の手順より、2本をどの色にすればいいかで止まっています。手持ちの帯を並べて「この組み合わせでいいのかな」と迷い、結んでみたらちぐはぐに見えて、ほどいてやり直す。色の正解は帯の色そのものではなく、下の帯をどれだけ見せるかで変わります。だから、先に幅を決めるのが近道です。

張りのある1枚を下に置いて長さの差で形を作る手順は浴衣の兵児帯 重ね結び|秋は張りのある1枚を下にに、1本で結ぶときの長さの測り方は兵児帯の結び方 大人|帯の長さを測ってから結びを選ぶにまとめてあります。この記事は、色と見せる幅の話に絞っています。

結論:下の帯を出す幅で、色の決め方が3つに分かれる

先に、自分がどの幅で結びたいかを決めてしまいます。

下の帯を出す幅見え方下の帯の色上の帯の色
1センチ以内細い線浴衣にない強い色でもよい浴衣の地色に近い色
2〜4センチ帯が2本ある浴衣の柄から1色拾う浴衣の地色か、柄の別の色
5センチ以上2段の帯上の帯と同じ系統の濃い色同じ系統の明るい色

表の上に行くほど、下の帯は「差し色」として働きます。下に行くほど、2本で1本の幅広い帯のように見せる組み方になります。

どの幅を選ぶかは、好みと体型と、その日の場面で決めて構いません。ひとつの目安としては、帯の上下の幅を合わせた全体の幅が、胸の下からおへそまでの長さの半分くらいに収まると、上半身と下半身の釣り合いがよく見えます。下の帯を5センチ以上出すと帯全体が太く見えるので、背が高い人や、帯の位置を少し高めにしたい人に向いています。

出す幅の測り方|胴の上の端で、指を何本当てるか

下の帯を出す幅は、胴に巻いた帯の上の端で測ります。

定規を当てるより、指で測るほうが早くて確実です。人差し指1本の幅が、おおよそ1.5センチから2センチ。指2本を並べると3センチから4センチ、指3本で5センチ前後になります。鏡の前で帯を巻いたら、上の帯の端から下の帯の端までに、指が何本入るかを見てください。

指1本に満たない幅なら「1センチ以内」、指1本から2本なら「2〜4センチ」、指3本以上なら「5センチ以上」です。ここで決めた幅に合わせて、次の色の組み方へ進みます。

幅を測るのは上の端だけで構いません。兵児帯は柔らかい帯なので、胴の下の端は自然に重なって、ほとんど見えなくなります。見えるのは上の端の重なりと、後ろの羽根の重なりの2か所です。

1センチ以内のとき|下の帯は差し色にする

下の帯を1センチ以内しか出さないなら、下の帯の色は、浴衣の柄の中にない色でも構いません。

1センチの幅は、遠くから見ると帯の縁取りのように見えます。面積が小さいので、浴衣の色とぶつかって見えることがほとんどありません。むしろ、浴衣にない色を細く入れると、帯の位置がはっきりして、全体が引き締まります。

秋に浴衣を着る日なら、からし色、えんじ、深い緑、焦げ茶のような、少しくすんだ濃い色が合います。夏のような明るい黄色や水色を差すと、細い線でも季節が戻って見えるので、明るさを一段落とした色を選んでください。

上の帯は、浴衣の地色に近い色にします。紺の浴衣なら紺かグレー、白地の浴衣なら生成りや淡い灰色。上の帯が浴衣になじむと、下の帯の細い線がいっそう目立ちます。

この幅の重ね方は、帯の位置が少しずれただけで線の太さが変わります。結んだあと、歩いているうちに下の帯がせり上がってくることもあるので、出かける前に帯の上の端を指でなぞって、線が一定かどうかを見ておきます。

2〜4センチのとき|浴衣の柄から1色拾う

下の帯を2センチから4センチ出すなら、下の帯の色は、浴衣の柄の中から1色拾ってください。

この幅になると、遠くからでも帯が2本あることが分かります。下の帯の色が浴衣とつながっていないと、帯だけが別のところから持ってきたように見えて、ちぐはぐな印象になります。浴衣の柄の中にある色を拾えば、帯と浴衣がひとつながりに見えます。

拾う色の選び方は、浴衣を少し離れたところに掛けて、目を細めて見ることです。細かい柄が溶けて、いくつかの色のかたまりに見えてきます。そのかたまりのうち、2番目か3番目に多い色を下の帯に選んでください。いちばん多い色は地色であることが多く、それを拾うと帯が浴衣に沈みます。少ししか入っていない色を拾うと、帯だけが浮きます。

上の帯は、浴衣の地色に近い色か、柄の中の別の色にします。下の帯と上の帯で、柄から2色を拾う形です。2本とも柄から拾うと、浴衣と帯がひとつの絵のようにまとまります。

秋の場合、柄の中の暗いほうの色を下に拾うと、季節に合いやすくなります。朝顔の柄なら、花の色より葉の深い緑。金魚の柄なら、金魚の赤より水草の色。夏の花や生き物の色を避けて、まわりの色を拾うと、夏の柄の浴衣でも秋の装いになじみます。

5センチ以上のとき|同じ系統の濃淡でまとめる

下の帯を5センチ以上出すなら、2本は同じ系統の色の、濃い色と明るい色にしてください。

5センチを超えると、帯は2段になって見えます。2本の色が離れていると、帯の部分が2つに割れて見え、胴の位置がどこなのか分かりにくくなります。同じ系統の濃淡にすれば、2段でも1本の幅広い帯のように見えて、すっきりまとまります。

組み合わせ方は、下を濃く、上を明るくするのが基本です。下が濃いと帯の重心が下がり、落ち着いて見えます。紺と水色、こげ茶とベージュ、深い緑と若草色のような組み合わせです。秋なら、からし色と生成り、えんじと桜色も合います。

反対に、上を濃く下を明るくすると、帯の位置が高く見えます。背が低めの人や、脚を長く見せたい人は、こちらを試してみてもよいでしょう。ただ、明るい色が下にあると、座ったときに汚れが目立ちやすいので、秋の夜に屋外で座る予定があるなら、下は濃いほうが安心です。

秋に浴衣を着る日の色の拾い方

浴衣は夏のものと思われがちですが、秋祭りや紅葉の夜のライトアップ、旅館での滞在など、秋に浴衣を着る機会もあります。この場合、半衿や足袋を足して着物に寄せる着方が増えます。半衿と足袋で帯の位置がどう変わるかは、浴衣の着方と帯|秋に着るなら半衿と足袋の有無で帯の位置を決めるに書きました。

秋に浴衣を着る日の帯の色は、浴衣の中のいちばん暗い色を、どちらかの帯に入れると季節に合います。夏の浴衣は白地や淡い地色が多く、柄も明るい色が中心です。そのまま夏と同じ明るい帯を合わせると、全体が夏のままに見えます。帯のどちらかに暗い色を入れるだけで、浴衣は同じでも秋の装いに変わります。

半衿を入れるなら、半衿の色と帯の色をつなげる方法もあります。半衿がからし色なら、下の帯もからし色にして、胸元と胴に同じ色を置く。上下で色が呼応して、全体にまとまりが出ます。

足袋を履くなら、足袋の色は白か、帯の濃い色に合わせた色にします。足元に帯の色が出ると、全身に色の流れができます。

浴衣の地色ごとの組み合わせ方

ここまでの決め方を、よくある浴衣の地色に当てはめてみます。手持ちの浴衣に近いものを見つけて、出発点にしてください。

紺や藍の浴衣は、もっとも組み合わせやすい地色です。1センチ以内の線で見せるなら、上の帯を紺かグレーにして、下にからし色かえんじを細く出します。2〜4センチなら、柄の中の白や水色ではなく、葉や茎の緑、あるいは柄の輪郭の色を下に拾います。5センチ以上なら、下を紺、上を灰みの青にすると、2段でも静かにまとまります。

白や生成りの浴衣は、帯の色がそのまま全体の印象を決めます。秋に着るなら、2本のうち少なくとも1本を、焦げ茶や深い緑のような暗い色にしてください。白地に暗い帯が入ると、季節が一気に秋へ寄ります。2〜4センチの幅で、上を生成りに近い淡い色、下を柄の中の濃い色にすると、帯の部分だけ色が締まって見えます。

黒や焦げ茶のような濃い地色の浴衣は、帯を暗い色どうしにすると全体が重くなります。上の帯をからし色や灰みの桃色のような中くらいの明るさにして、下の帯を浴衣の地色に近い色にすると、胴の位置に明るさが集まって、顔まわりも明るく見えます。

くすんだ緑や紫のような中間の地色の浴衣は、同じ系統の濃淡でまとめる組み方が合います。緑の浴衣なら、下を深い緑、上を生成り寄りの薄い緑。紫の浴衣なら、下をなす紺、上を灰みの藤色。地色と帯が溶け合って、秋の落ち着いた装いになります。

帯の高さと色の関係

帯を胴のどの高さに締めるかでも、色の見え方は変わります。

帯を高めに締めると、胸の下に近い位置に色が来ます。顔に近いぶん、帯の色が顔映りにも影響します。高めに締めるなら、上の帯は顔まわりの肌の色になじむ色を選ぶと、表情が明るく見えます。下の帯は、顔から少し離れるので、強い差し色にしても顔映りには響きにくくなります。

帯を低めに締めると、腰に近い位置に色が来ます。落ち着いた印象になり、大人の装いに向きます。低めの位置では、2本の帯の明るさの差が大きいと、腰まわりが強調されて見えることがあります。低めに締めるなら、5センチ以上の幅は避けるか、同じ系統の濃淡で差を小さくしておきます。

半衿と足袋を足して着物に寄せる秋の着方では、帯をおへそより少し上に締めることが多くなります。この高さなら、どの幅でも色の決め方は表のままで構いません。

2本の素材の組み合わせ|張りと柔らかさ

色と幅を決めたら、2本の素材の組み合わせも見ておきます。

兵児帯には、張りのある素材と、とろりと柔らかい素材があります。2本とも柔らかい素材だと、重ねたときに形が出にくく、羽根がしぼんで見えます。2本とも張りのある素材だと、帯全体が硬く膨らんで、浴衣の柔らかさとちぐはぐになることがあります。

組み合わせるなら、張りのあるほうを下に置いて形を支え、柔らかいほうを上にかぶせるのが基本です。下の帯が骨組みになり、上の帯がその上に自然に落ちる形です。張りの出し方と長さの差については、冒頭で紹介した記事で詳しく書いています。

素材と色が両方そろわないときは、色を優先してください。素材の違いは近くで見ないと分かりにくいのに対して、色の組み合わせは遠くからでも目に入ります。手持ちの帯で素材の組み合わせが理想どおりでなくても、色と幅が合っていれば、仕上がりはまとまって見えます。

夜の明かりと写真での見え方

秋に浴衣を着る日は、夕方から夜にかけて外に出ることが多くなります。夜の明かりの下では、昼とは色の見え方が変わります。

暖かい色の明かりの下では、黄色や赤みのある色が明るく見え、青や緑は暗く沈みます。秋祭りの屋台の明かりや、ライトアップの照明の下で帯の色をきれいに見せたいなら、からし色やえんじのような暖かい色を、1本は入れておくと映えます。

写真に撮るときは、細い線の差し色が写りにくいことがあります。1センチ以内の線は、少し離れて撮ると帯の縁と見分けがつかなくなります。写真に色を残したいなら、2〜4センチの幅にしておくか、後ろの羽根で色の差をはっきりつけておくと、後ろ姿の写真にも2色が残ります。

2本を一緒に巻くか、1本ずつ結ぶか

重ね結びには、2本を重ねて一緒に胴に巻く方法と、1本ずつ巻いて結ぶ方法があります。どちらを選ぶかは、胴に出す幅をそろえたいか、後ろの羽根の長さを大きく変えたいかで決めてください。

2本を一緒に巻く方法は、巻く前に2本の端を重ねて、出す幅を決めておきます。その状態のまま胴に巻くので、ぐるりと一周、出す幅が一定にそろいます。結び目もひとつで済み、帯の厚みが抑えられます。胴の見た目を大事にしたいとき、とくに1センチ以内の細い線を見せたいときに向いています。

1本ずつ結ぶ方法は、下の帯を先に巻いて結び、その上に上の帯を巻いて結びます。結び目が2つになるので、背中に厚みが出ます。そのかわり、2本の羽根の長さや形を別々に決められます。下の羽根を長く垂らし、上の羽根を短く結ぶ、といった形が作りやすくなります。後ろ姿の変化を楽しみたいとき、5センチ以上出して2段に見せたいときに向いています。

迷ったら、2本を一緒に巻く方法から試してください。結び目がひとつで手順が少なく、自分で後ろに回すときも崩れにくいからです。

どちらの方法でも、帯の長さが足りるかは先に確かめておきます。胴に2巻きして結ぶには、胴回りの2倍に、結びと羽根の分として60センチから80センチほど足した長さが目安です。1本ずつ結ぶ方法では、下の帯は羽根を小さく作るので、この目安より短くても使えます。上の帯は羽根で下を覆うので、目安より長いほうが形を作りやすくなります。2本の長さが違うなら、短いほうを下、長いほうを上に回してください。

長さが足りないまま無理に2巻きすると、結び目が小さくなり、羽根も短くなって、色の差を見せる余地がなくなります。そのときは胴に1巻きだけして結び、出す幅は胴の前だけで見せる形に切り替えると、手持ちの帯でも重ね結びを楽しめます。

2本を一緒に巻く手順

  1. 2本の帯を広げて、下の帯の上に上の帯を重ねます。このとき、下の帯の端を、決めた幅だけ上の帯からずらして出しておきます。
  2. 重ねたまま、2本の幅を胴に巻きやすい幅にたたみます。たたむときも、ずらした幅がそろったままになるように、端を指で押さえながら進めます。
  3. 体の前で手先を決め、胴に2巻きします。巻くたびに、上の端を指でなぞって、出す幅が変わっていないかを確かめます。
  4. 前で結び、2本まとめて羽根を作ります。羽根の形は、蝶結びでも、片方を垂らす形でも構いません。
  5. 結び目を右回りに背中へ回します。回すときに帯がずれやすいので、胴の上の端を両手で軽く押さえながら回してください。

ここで大事なのは、手順2で出す幅を決めたあと、最後までそれを崩さないことです。巻いているうちに幅がずれたら、無理に直そうとせず、いったんほどいてやり直すほうが早く仕上がります。

1本ずつ結ぶ手順

  1. 下の帯を胴に巻き、前で結んで小さめの羽根を作ります。羽根は上の帯で覆うので、形よりも結び目が平らになることを優先します。
  2. 上の帯を、下の帯から決めた幅だけ上にずらして巻きます。下の帯の上の端と、上の帯の上の端の差が、出す幅になります。
  3. 上の帯を前で結び、大きめの羽根を作ります。下の羽根を覆うように広げるか、下の羽根が見えるように少し上で結ぶかを決めます。
  4. 2本の結び目をまとめて、背中へ回します。結び目が2つあるので、回す前に胴の帯を一度ゆるめに整えておくと、回しやすくなります。

1本ずつ結ぶと、下の帯の羽根を上の帯の羽根より長く垂らせます。後ろ姿で2色の羽根が段になって見えるので、2〜4センチや5センチ以上の幅に向いています。

後ろの羽根の長さの差|何センチ下に垂らすか

胴の幅と同じように、後ろの羽根も、2本の長さの差で見え方が変わります。

下の羽根を上の羽根より5センチ以内長くすると、後ろ姿で下の色がちらりとのぞきます。胴で1センチ以内の線を見せた人は、羽根もこの程度にしておくと、前と後ろで見え方がそろいます。

10センチ以上長くすると、後ろで2色がはっきり分かれて見えます。2〜4センチや5センチ以上の幅を出した人は、羽根もこれくらい差をつけると、前と後ろの見え方がつながります。

羽根の端は、帯を締めた位置からお尻の上のあたりまでに収めると、大人の装いとして落ち着きます。それより下まで垂らすと、座ったときに羽根を踏んだり、背もたれに挟んだりすることがあります。秋の夜に屋外のベンチや旅館の座椅子に座る予定があるなら、羽根は短めにしておくと安心です。

どちらとも取れるとき①|浴衣の柄が多色で、どの色を拾えばいいか分からない

柄の色が5色も6色もある浴衣では、どの色を拾えばいいか迷います。

その場合は、浴衣を離れたところに掛けて目を細め、色のかたまりを3つまで絞ってください。それ以上の細かい色は、帯を合わせるときには数に入れなくて構いません。絞った3つのうち、地色を除いた2つから選びます。

それでも決められないなら、2つのうち暗いほうを下の帯にしてください。秋に浴衣を着る日なら、暗い色を入れたほうが季節に寄ります。明るいほうの色は、半衿や髪飾りに回すと、全身に色が散ってまとまりが出ます。

多色の浴衣は、帯の色をどれにしても合いやすい反面、帯を2本とも柄から拾うと、全体がにぎやかになりすぎることがあります。多色の浴衣なら、上の帯は地色に近い無地にして、下の帯だけを柄から拾う。これで、帯のまわりに落ち着く場所ができます。

どちらとも取れるとき②|浴衣が無地か、ほぼ無地のとき

反対に、無地や細かい縞の浴衣では、柄から色を拾うことができません。

この場合、2〜4センチの幅で結ぶなら、下の帯は浴衣の地色の反対側に振った色を選んでください。紺の浴衣ならからし色やえんじ、生成りの浴衣なら焦げ茶や深い緑。無地の浴衣は帯の色がそのまま主役になるので、思い切った色でもまとまります。

上の帯は、浴衣と同じ系統の色にしておくと、下の帯の色が引き立ちます。浴衣と上の帯がなじみ、その間に下の帯の色が一本走る形です。

無地の浴衣は、5センチ以上の幅で2段に見せる組み方とも相性がよいでしょう。帯の部分に色の段ができることで、無地の浴衣に変化が生まれます。

どちらとも取れるとき③|片方が透ける素材のとき

オーガンジーのような透ける兵児帯を1本使う場合は、透けるほうを上に置くと、色の決め方が少し変わります。

透ける帯を上に重ねると、下の帯の色がうっすらと透けて見えます。上の帯から下の帯を出す幅に関係なく、下の帯の色は、上の帯越しにも見えることになります。だから、下の帯の色が浴衣とつながっていないと、帯全体が浮いて見えます。透ける帯を上にするなら、下の帯は幅に関係なく、浴衣の柄から1色拾う組み方にしてください。

秋の夜の明かりの下では、透ける帯が光を受けて、下の色がほんのり浮かびます。これは透ける帯ならではの見え方で、昼よりも夜のほうが映えます。秋祭りや夜のライトアップに出かけるなら、透ける帯を上に置く組み方は試す価値があります。

透ける帯は滑りやすく、結び目がほどけやすいことがあります。そのときの直し方はオーガンジー兵児帯の結び方にまとめてあるので、合わせて見てください。

どちらとも取れるとき④|羽織やショールを重ねる日

秋の夜は冷えるので、浴衣の上に羽織やショールを重ねる日もあります。このとき、後ろの羽根が羽織の中に隠れるか、外に出るかで、帯の組み方が変わります。

羽織を着ると、後ろの羽根は羽織の中に隠れて、ほとんど見えなくなります。見えるのは、前の胴の部分だけです。この日は、胴に出す幅と色の組み合わせに集中して、羽根は小さく平らに作ってください。羽根が大きいと、羽織の背中が膨らんで見えます。

ショールを肩にかける日は、後ろの羽根の上半分がショールで隠れます。下の羽根を上の羽根より長く垂らしておくと、ショールの下から下の羽根の色がのぞきます。羽根の長さの差で、後ろ姿に色を残す組み方です。

羽織の丈と帯の結びの関係については、兵児帯アレンジ|秋は背中の空きと羽織の丈で結びの形を選ぶで詳しく書いています。

どちらとも取れるとき⑤|自分で後ろに回せるか不安なとき

2本を重ねると、1本のときより帯が厚くなり、後ろへ回すときにずれやすくなります。不安な人は、2本を一緒に巻く方法を選び、結び目をひとつにしてください。

回すときは、胴の上の端を両手で押さえ、息を軽く吐いて、お腹を少しへこませてから回します。お腹がへこんだぶん帯にゆとりができて、浴衣を引っ張らずに回せます。回したあと、胴の上の端を指でなぞって、出す幅がずれていないかを確かめます。

それでも難しいときは、前で結んだまま回さずに整え、そのあと誰かに後ろで形を直してもらう方法もあります。前で結んで回す方法の基本は兵児帯 簡単な結び方|秋の着物は前で結んで回せるかで選ぶにまとめてあります。

どちらとも取れるとき⑥|手持ちの兵児帯が、似た色ばかりのとき

兵児帯を何本か持っていても、気づくと似た色ばかりだった、ということはよくあります。赤系が3本、淡い色が2本、といった具合です。

似た色の帯しかないなら、5センチ以上の幅で、同じ系統の濃淡として組む方法がいちばん自然です。赤系の帯が2本あるなら、濃いほうを下、明るいほうを上にして2段に見せます。似た色どうしだからこそ、濃淡の差がそのまま帯の奥行きになります。

1センチ以内の線で差し色を入れたいのに、手持ちに合う色がないときは、帯揚げや帯締めのような細い小物で代わりにする方法もあります。兵児帯の上に細い帯締めを1本通すだけで、帯の上の端に色の線が入ります。2本目の兵児帯を買い足す前に、手持ちの小物で試してみてください。

新しく1本買い足すなら、手持ちの帯と浴衣を並べて、どの幅で組みたいかを先に決めてから選びます。1センチ以内で差したいなら、手持ちにない濃い色。2〜4センチなら、浴衣の柄の中にあって、手持ちの帯にない色。そうして選んだ1本は、ほかの浴衣にも合わせやすく、長く使えます。

帯以外の色との配分|髪飾り、半衿、巾着

帯の色を決めたら、ほかの小物との配分も見ておきます。

全身で使う色は、浴衣の地色を含めて3色、多くても4色までに収めると、まとまって見えます。帯で2色を使ったら、髪飾りや巾着は、そのどちらかの色に寄せてください。帯にない色をさらに足すと、色が散って、帯の組み合わせが目立たなくなります。

1センチ以内の差し色を帯に入れた人は、同じ色を髪飾りにも小さく入れると、顔まわりと胴に同じ色が置かれて、全身に流れができます。5センチ以上で同じ系統の濃淡にした人は、小物をその中間の明るさにすると、帯の濃淡がなじみます。

年代で変わるところ

20代は、明るい色どうしの組み合わせも似合いやすい年代です。ただ、秋に浴衣を着る日は、どちらか1本を暗い色にしておくと、季節に合って落ち着きます。羽根を大きめに作って、後ろ姿を楽しむのもよいでしょう。

30代から40代は、下の帯を1センチ以内か、2〜4センチの幅で結ぶ人が多くなります。帯の色は、浴衣の柄から拾う組み方を基本にすると、大人らしいまとまりが出ます。羽根は肩幅の内側に収め、長さの差も10センチ以内にとどめると、すっきり見えます。

50代以降は、同じ系統の濃淡でまとめる組み方が落ち着きます。5センチ以上の幅で2段にする場合も、2本の明るさの差を小さくしておけば、帯が主張しすぎません。透ける帯を上に重ねると、やわらかい印象になり、秋の夜の装いに合います。

結ぶ前に、帯を2本並べて確かめる3つのこと

最後に、結ぶ前にやることをまとめます。

1つめは、下の帯を出す幅を、指の本数で決めることです。指1本に満たないか、1本から2本か、3本以上か。ここで色の決め方が分かれます。

2つめは、浴衣を離れたところに掛けて、色のかたまりを3つに絞ることです。2〜4センチの幅なら、そのうちの2番目か3番目の色を下の帯に選びます。秋の日は、暗いほうの色を優先します。

3つめは、2本の帯を浴衣の上に実際に重ねて置き、決めた幅だけずらして見てみることです。結ぶ前のこの段階で、色の組み合わせがちぐはぐに見えるなら、結んでもそのままです。ここで組み合わせを入れ替えておけば、ほどいてやり直す手間がなくなります。

兵児帯の重ね結びは、結び方の手順より、色と幅の組み合わせで仕上がりが決まります。先に幅を決めれば、色は自然に絞られていきます。

よくある問い

Q. 兵児帯を2本重ねると、子どもっぽく見えませんか
子どもっぽく見える原因は、2本重ねることより、羽根の大きさと色の明るさにあります。後ろの羽根が肩幅より外に広がっている、明るい色どうしを組み合わせている、この2つが重なると幼い印象になりやすくなります。大人が重ねるなら、羽根は肩幅の内側に収め、2本のうち少なくとも1本を浴衣の地色に近い落ち着いた色にしてください。下の帯を出す幅を1センチ以内にとどめると、帯の線がすっきりして見えます。
Q. 2本とも同じくらいの長さがなくても、重ね結びはできますか
できます。短いほうを下にして先に巻き、長いほうを上に重ねてください。下の帯は胴に巻いて結んだら、羽根を小さめに作ります。上の帯は長さに余裕があるので、羽根を大きく作って下の羽根を覆うようにします。胴に2巻きして結ぶには、胴回りの2倍に60〜80センチほど足した長さがあると安心です。それに足りない帯は、胴に1巻きだけして結ぶか、上に重ねる側だけで使ってください。
Q. 秋に浴衣を着るとき、兵児帯の素材はどう選べばいいですか
秋に浴衣を着る日は、半衿や足袋を足して着物に寄せることが多くなります。帯もそれに合わせて、透けの強い素材を下に、張りのある素材を上に置くより、張りのある素材を下にして形を支え、やわらかい素材を上にかぶせるほうが、全体が落ち着いて見えます。透けるオーガンジーのような素材は、上に重ねると下の色がほんのり透けて、秋の夜の明かりの下で表情が出ます。張りの出し方については、別の記事で詳しく書いています。

— メグラシ編集部

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