お寺巡りの服装|秋は靴を脱ぐ回数で、足元と裾を先に決める

**今日まわる予定のお寺を、紙に書き出してみてください。**そのうち、本堂や書院に上がって靴を脱ぐところはいくつありますか。
お寺巡りの服装は、歩く距離より先に靴を脱ぐ回数で決まります。3回以上なら、手を使わずに両足10秒で脱ぎ履きできる靴と、床の冷えを止める靴下が先です。2回以下なら、石段と砂利道を歩ける靴底が先になります。上着の厚みや色は、そのあとで足りるかどうかを見れば間に合います。
秋の拝観には、ふつうの街歩きにはない冷え方があります。外は日差しがあって歩くと汗ばむくらいでも、日の入らない堂の中はひんやりしていて、板の間や畳は朝の冷たさを昼過ぎまで残しています。紅葉の名所ほど拝観の列が長く、外で待つ時間と、靴を脱いで冷えた床に立つ時間が交互にやってきます。1日のうちに寒さの種類が何度も入れ替わるところが、ほかの旅行と違うところです。
この記事では、予定から回数を数える方法、家で測れる3つの境目、どちらとも取れる日の決め方の順に書いていきます。行き先の気温から上着を決める部分は、行き先の最低気温と家を出る時刻で上着の厚みを決める旅行の服装に分けてあります。
結論:最初に数えるのは「靴を脱ぐ回数」
靴を脱ぐ回数によって、靴と靴下と裾の決め方が入れ替わります。上から順に、自分の予定に近い行を1つだけ見てください。
| 1日に靴を脱ぐ回数 | 靴 | 靴下 | 裾 |
|---|---|---|---|
| 0〜2回 | 歩きやすさで選ぶ。ひも靴でもよい | ふだんの厚さでよい | 歩いて邪魔にならなければ自由 |
| 3〜5回 | 手を使わずに両足10秒で脱ぎ履きできる形 | 厚手か、薄手と厚手の2枚重ね | 正座して膝が隠れる長さ |
| 6回以上 | 両足10秒以内の形に限る。新しい靴は避ける | 厚手に加えて、替えを1足 | 座っても床に広がらない形 |
0〜2回の日は、お寺巡りといっても境内を歩いて外からお参りする時間がほとんどです。この日の足元は、街を1日歩く日と同じ考え方で足ります。気にするのは石段と砂利道の路面だけで、脱ぎ履きのしやすさは後回しで構いません。
3回を超えると、順番が入れ替わります。1回あたり20秒余分にかかるとしても、5回で1分半です。それだけなら小さく見えますが、入口では後ろに人が並んでいて、脱いだ靴を袋に入れる、手に持つ、かばんを持ち直すという動きが、毎回つながって起こります。脱ぎ履きでもたつく靴は、回数が増えるほど1日の疲れ方を変えます。
6回以上になると、靴下も1足では足りなくなります。冷えた床を何度も歩くうちに足の裏が湿り、湿った靴下は冷えやすくなるからです。替えの1足をかばんに入れておくと、昼を過ぎたあたりで履き替えられます。
数え方|拝観の予定から3分で出る
回数は、予定表を1行ずつ見ていけば3分ほどで出ます。お寺ごとに、次の3つのどれに当たるかを書き出してください。
1つめは「境内を歩くだけ」です。山門をくぐって、外から本堂にお参りし、庭や紅葉を見て出てくる。この場合、靴は脱ぎません。2つめは「建物に上がる」です。本堂の中に上がってお参りする、仏像を間近で拝観する、展示を見る。これは1回と数えます。3つめは「座って過ごす」です。縁側から庭を眺める、写経や法話の時間がある、座ってお茶をいただく。これも1回ですが、床に座る時間が長くなるので、あとで出てくる靴下と裾の判断に関わります。
注意したいのは、1つのお寺で2回以上脱ぐことがある点です。本堂と別の建物で、それぞれ入口が分かれているところは少なくありません。拝観の順路を案内図で見て、「受付から建物の入口がいくつあるか」を数えておくと、当日の数え漏れが減ります。
数え終わったら、合計を表の行に当てはめてください。回数を数えたついでに、「座って過ごす」に当たるものが合計何分ありそうかも、ざっくり書いておくと、次の境目②で使えます。
境目①|脱ぎ履きは、手を使わずに両足10秒
家の玄関で、出かける靴を一度試してください。立ったまま、手を使わず、かかとを踏まずに脱いで、もう一度履く。両足でかかる秒数を数えます。
**10秒以内なら、そのまま使えます。**10秒を超えて20秒以内なら、使えますが、回数が5回を超える日には向きません。20秒を超える靴は、ほかの靴を探してください。かがんで手でかかとを引き上げないと履けない靴は、入口で後ろの人を待たせるうえに、かがむたびにかばんの中身が前に寄ってきます。
形ごとに、だいたいの傾向があります。履き口にゴムが入った平たい靴は、多くが10秒以内に収まります。ひも靴は、ひもを結んだまま脱げるくらいゆるめに通してあれば使えますが、そのぶん歩いているうちにかかとが浮くことがあります。結び目をほどかずに脱ぎ履きできるか、そして脱いだあともかかとの形が潰れないかの両方を見てください。ゴムのひもに通し替えると、結んだままでも足の甲が楽に抜けます。
かかとの硬い革靴は、朝の玄関では10秒で脱げても、夕方には足がむくんで入りにくくなることがあります。家で試すなら、夜に帰ってきたあとの足で一度試してみると、当日の午後の様子に近くなります。
ブーツは、筒の長さで分かれます。足首までの短い丈で、横にファスナーが1本あるものは、ファスナーを下ろして片足5秒なら使えます。ふくらはぎまで筒があるものは、脱ぐのも履くのも時間がかかり、脱いだあとは倒れて場所を取ります。3回以上脱ぐ日は、長い筒のブーツは家に置いていってください。
新しい靴も避けておきます。履き慣れていない靴は、脱ぎ履きのたびにかかとが当たり、1日の後半で靴擦れが出やすくなります。少なくとも一度、半日以上履いて歩いたものを選んでください。
境目②|床の冷えは、座っている時間で決まる
靴を脱いで堂の中に立つだけなら、数分のことです。その程度なら、ふだんの靴下でも足りることが多いでしょう。冷えが問題になるのは、床に座っている時間が長いときです。
目安は、1か所で10分です。**床に10分以上座る予定があるなら、靴下は厚手にするか、薄手の上に厚手を重ねてください。**縁側で庭を眺める、法話を聞く、写経をする、といった時間は、思っているより早く過ぎます。座っている間、足の甲と足の裏は床にほとんど接していて、そこから冷えが上がってきます。
重ねるときは、肌に近いほうを薄くて汗を吸うもの、外側をウールなどの厚手にすると、湿りにくく冷えにくくなります。逆にすると、汗を吸った薄手が外側で冷やされて、かえって寒く感じます。
滑りにも気をつけてください。古い堂の廊下は、長い年月で磨かれていて、つるつるしていることがあります。表面に光沢のあるストッキングだけで歩くと、思った以上に滑ります。綿やウールの靴下は、床をとらえやすく、滑りにくい側です。タイツやストッキングを履く日は、その上に靴下を1枚重ねておくと、滑りと冷えの両方に効きます。
靴を脱ぐと、靴下はそのまま人の目に入ります。かかとの薄くなったところや、つま先の毛玉は、立っているときより座ったときのほうがよく見えます。出かける前に、履く靴下を一度裏返して、かかととつま先を見ておいてください。
境目③|裾は、正座してから立ち上がるまでで測る
裾は、立って鏡を見ても分かりません。家の畳や床で、一度正座をしてから、手をつかずに立ち上がってみてください。測るのは2か所です。
1か所めは、正座したときに膝頭が隠れるかどうかです。スカートは、座ると立っているときより裾が上がります。**立った状態で膝下15cm以上の丈があると、正座しても膝が隠れやすくなります。**膝丈のスカートは、正座すると太ももの途中まで上がることがあり、膝に何かを掛けたくなります。
2か所めは、立ち上がるときに裾を踏まないかです。裾が広がる形のロングスカートは、座ると畳の上に輪のように広がり、立ち上がるときにつま先で裾を踏みやすくなります。裾回りが広すぎるものより、ほどよく落ち感のある形のほうが、座るときも立つときも扱いやすくなります。
細身のスカートは、正座そのものがしにくくなります。裾の切れ込みが後ろにあるものは、座るときに広がって、切れ込みの上まで脚が出ることがあります。座る時間が長い予定なら、細身のスカートは避けておくのが無難です。
パンツは、膝を曲げたときの余裕を見てください。正座して、膝の裏と太ももの裏に指が2本入るなら、長く座っても苦しくなりにくい余裕です。硬いデニムは、正座すると膝の裏に生地が食い込み、10分を超えると痛くなることがあります。幅の広いパンツは、正座のときは楽ですが、丈が長すぎると石段で裾を踏みます。くるぶしの骨が見えるくらいの丈にしておくと、どちらでも困りません。
上半身|堂の中と外の差は、前開きの1枚で埋める
上半身は、足元ほど細かく決めなくても大丈夫です。気にするのは、外と堂の中の温度差を、何で埋めるかだけです。
秋の晴れた日は、外を歩いていると暑く感じ、日陰の堂に入ると肌寒く感じます。この行ったり来たりを1日に何度も繰り返すので、頭からかぶるものではなく、前を開けて脱ぎ着できる羽織りを1枚にしてください。カーディガンや薄手のジャケットなら、建物の入口で靴を脱ぎながら、袖を通したり脱いだりできます。頭からかぶる厚手のニットは、脱ぐたびに髪が乱れて、かばんを床に置かないといけなくなります。
本堂に上がってお参りするときは、外で着ていたコートを脱ぐのが丁寧とされることが多くあります。冷える日にコートを着ていく場合は、腕に掛けて持っても重くないものを選んでください。厚手のウールのコートは、腕に掛けると想像以上に重く、脱いだ靴と一緒に持つと両手がふさがります。薄手の中綿の上着や、軽いウールのジャケットなら、脱いで腕に掛けても負担になりません。
首まわりは、大判のストールが1枚あると便利です。外では首に巻いて、堂の中で座るときは膝に掛けることもできます。マフラーより面積が大きいので、膝丈のスカートで正座する日にも役に立ちます。
石段と砂利|靴底は段数と路面で選ぶ
お寺は、山の斜面や高台にあることが少なくありません。参道に長い石段が続くところでは、靴底の厚みとすべりにくさが効いてきます。
石段が100段を超えそうな日は、靴底に適度な厚みがあって、かかとが沈みすぎないものを選んでください。底の薄い平たい靴は、脱ぎ履きは楽ですが、石の角が足の裏に当たって疲れやすくなります。中敷を1枚足すと、脱ぎ履きのしやすさを保ったまま、足の裏の当たりをやわらげられます。
砂利道では、細いかかとが沈みます。かかとが細く高い靴は、砂利の上で足首がぐらつき、靴にも傷が入ります。かかとがある靴を選ぶなら、高さ3cmまでで、地面に面で着くものにしてください。
雨のあとの石段や、苔の生えた石は、思った以上に滑ります。靴底に細かい溝があるものは、平らな底のものより滑りにくくなります。前の晩に雨が降った日は、脱ぎ履きのしやすさより、靴底の溝を少しだけ優先してください。
荷物|脱いだ靴を入れる袋と、両手が空くかばん
建物の入口で靴を脱ぐと、その靴をどうするかが毎回の問題になります。靴箱に預けるところもあれば、袋に入れて持って回るところもあります。袋が用意されていない場合もあるので、たためる布の袋を1つ持っていくと安心です。底がしっかりした袋なら、靴の汚れがかばんに移りません。
かばんは、両手が空く形にしてください。斜め掛けの小さなかばんか、体に沿う形のものが扱いやすくなります。靴を袋に入れる、手すりにつかまる、御朱印帳を出す。どれも両手を使う動きです。手で持つだけのかばんは、靴を持った瞬間に片手がふさがります。
背負う形のかばんは、建物の中では前に抱えるか、手に持ち替えてください。背中にあると、振り向いたときや狭い廊下で、展示や仏具に当たることがあります。
かばんの中には、替えの靴下、たためる袋、ハンカチ、小銭入れを入れておけば、拝観の動きはだいたい足ります。御朱印をいただく予定があるなら、御朱印帳は袋に入れて、ほかの荷物とぶつからないようにしておいてください。
色と柄|座ったときに見える面で考える
お寺巡りの服装の相談で、いちばん多いのは色の質問です。拝観で歩いて回る日なら、色や柄に厳しい決まりがあることはほとんどありません。ふだん街を歩くときの服装で、大きく困ることはないでしょう。
ひとつ考えておくといいのは、座ったときに見える面です。堂の中で座ると、まわりから見えるのは、上半身と膝の上、それに靴下です。立っているときにはあまり目立たない柄も、座ると膝の上に面で集まります。大きな柄のスカートは、座ると柄が広がって、静かな場所で目立ちやすくなります。気になるなら、柄は上半身か小物の小さな面積に寄せてください。
法要や特別な行事に合わせて訪ねる日は、話が変わります。参列する場合は、黒や紺、濃い灰色を中心にして、光る素材や大きな飾りは控えてください。拝観として見学するだけでも、行事の最中は、明るすぎる色より落ち着いた色のほうがまわりになじみます。
写真を撮る日は、もう1つ見ておくところがあります。紅葉の下や山門の前で撮る写真は、全身が入ることが多く、足元までよく写ります。脱ぎ履きのしやすさで選んだ平たい靴は、写真では少し重く見えることがあります。気になるなら、靴の色を、パンツやタイツの色に近づけてください。脚から足先までが1本の線につながって、平たい靴でも重く見えにくくなります。
縁側に座って庭を背にして撮る写真では、膝から下がいちばん手前に来ます。正座しても膝が隠れる丈と、毛玉のない靴下を選んでおくと、写真を見返したときに気になるところが減ります。撮影が禁止されている場所も多いので、撮る前には案内の表示を確かめてください。
どちらとも取れるとき①|回数が読めない日
予定を決めずに、気になったお寺に入ってみる日もあります。この場合は、表の3〜5回の行に合わせてください。
理由は、取り返しのつき方が違うからです。脱ぎやすい靴で、思ったより歩く距離が長くなった場合は、中敷を足したり休憩を挟んだりして、ある程度補えます。歩きやすさだけで選んだひも靴で、思ったより脱ぐ回数が多くなった場合は、その場ではどうにもなりません。読めない日は、脱ぎやすい側に寄せておくほうが、1日の後半で困りにくくなります。
靴下も同じです。回数が読めない日は、厚手を履いていくか、替えを1足かばんに入れておいてください。どちらか一方だけで足ります。両方すると、かばんの中がかさばるだけです。
どちらとも取れるとき②|紅葉の名所で、外に立つ時間が長い日
紅葉の時期の名所は、拝観の受付に列ができます。列に30分以上並ぶと、その間は歩いていないので、体が冷えてきます。この日は、靴を脱ぐ回数が多くても少なくても、外側の判断が先です。
外で立っている時間が長い日は、首・手首・足首の3か所を覆ってください。足首は、パンツの裾と靴の間が空くと冷えます。くるぶしの骨が見える丈のパンツを選んだ日は、長めの靴下で足首を覆ってください。脱ぎ履きのしやすさを保ったまま、外での冷えを防げます。
夕方から夜のライトアップに残る予定があるなら、日没後は気温がもう一段下がります。昼の服装に、首に巻くものと、手袋を1組足しておいてください。日が落ちてからの外での時間の決め方は、日没後に外にいる時間で足す枚数を決める紅葉ライトアップの服装に詳しく書いています。
どちらとも取れるとき③|スカートで行きたいが、座る時間が長い
スカートで行きたいけれど、縁側や法話で座る時間が長い日もあります。この場合は、丈と広がりで選び直せば、スカートのままで困りません。
丈は、立って膝下15cm以上を目安にします。そのうえで、裾回りが広すぎない形にすると、正座したときも立つときも裾の扱いが楽になります。足元は、タイツの上に靴下を重ねてください。タイツだけで板の間を歩くと滑りやすく、足先も冷えます。
正座が続いてつらくなったときは、無理に座り続けず、足を横に崩して座ってください。そのときに膝の上に掛けるものがあると安心です。大判のストールを1枚持っていれば、首にも膝にも使えます。
どちらとも取れるとき④|雨の予報がある日
雨の日は、靴の中まで濡れると、建物に上がるたびに濡れた靴下で床を歩くことになります。床が濡れるだけでなく、自分の足もすぐに冷えます。
雨の予報がある日は、水がしみにくい靴を選び、替えの靴下を2足に増やしてください。濡れたときは、建物に上がる前に履き替えられるよう、入口の近くで出しやすいところに入れておきます。脱いだ濡れた靴を入れる袋は、内側が水をはじくものにしておくと、かばんの中が濡れません。
傘は、建物の入口で傘立てに置くか、袋に入れて持つことになります。たたんだ傘を入れる細い袋も、1枚あると扱いが楽になります。
写経や座禅の体験がある日|座る時間が30分を超える
拝観の予定に、写経や座禅、精進料理をいただく時間が入っている日は、床に座っている時間が一気に長くなります。1か所で30分を超えることも珍しくありません。この日は、境目②と境目③を、ふだんより一段きびしく見てください。
靴下は、厚手を1枚にするより、薄手と厚手の2枚重ねにしておくと、座っている間に足の裏が湿っても冷えにくくなります。座禅の体験では、足を組んで座ることがあります。足を組むと、足首とすねがむき出しになりやすいので、くるぶしまで覆う長さの靴下を選んでおいてください。
裾は、パンツのほうが扱いやすくなります。膝を深く曲げても、膝の裏と太ももの裏に指が2本入る余裕があるものを選んでください。スカートで行く場合は、足を組んでも膝が隠れる、ゆとりのある長い丈にします。体験の受付で、足を崩してよいかを聞いておくと、当日の不安が減ります。
写経では、机に向かって前かがみになる時間が続きます。袖口の広い服は、筆を動かすたびに袖が紙や硯に触れることがあります。袖は手首で止まるか、軽くまくって留まる形にしておくと、書くことに集中できます。
1日の組み立て例|回数ごとに、朝の玄関で決めること
数えた回数から、朝の玄関で何を決めればいいかを、3つの例で書いておきます。
靴を脱ぐのが2回の日。歩いて回る時間が中心なので、石段と砂利道を歩ける靴を選び、靴下はふだんの厚さで出かけます。上は前開きの羽織りを1枚。座る予定がなければ、裾は歩いて邪魔にならないものなら自由です。かばんには、たためる布の袋を1つ入れておけば足ります。
靴を脱ぐのが4回の日。玄関で、手を使わずに両足10秒で脱ぎ履きできる靴を選びます。靴下は厚手。縁側で庭を眺める予定があるなら、裾は正座して膝が隠れる長さにします。羽織りに加えて、大判のストールを1枚。かばんには布の袋と、替えの靴下を1足入れます。
靴を脱ぐのが7回の日。靴は両足10秒以内のものに限り、少なくとも一度は半日履いて慣らしたものにします。靴下は薄手と厚手の2枚重ねにして、替えを1足。裾は座っても床に広がらない形を選びます。両手が空く斜め掛けのかばんに、布の袋、替えの靴下、ストールを入れます。この日は、上着の厚みより、足元の準備に時間をかけてください。
秋の始まりと冬の入り口で変わるところ
同じ秋でも、始まりのころと、冬に近づくころとでは、寒さの来る場所が変わります。
秋の始まりは、外を歩いていると汗ばみ、堂の中に入るとひんやりする、という差がいちばん大きい時期です。この時期は、前開きの羽織りを脱ぎ着して、差を埋めるのが中心になります。床の冷えはまだ強くないので、座る時間が短ければ、ふだんの靴下でも過ごせることがあります。
紅葉が見ごろを迎えるころから冬の入り口にかけては、外も堂の中も冷えてきます。脱ぎ着で差を埋めるより、足元と首まわりを最初から温かくしておくほうが、1日を通して過ごしやすくなります。靴下は厚手を基本にして、羽織りの下に薄い保温の肌着を1枚足してください。朝の早い時間に拝観する日は、床が夜の冷えをそのまま残しているので、座る時間が短くても厚手の靴下にしておくと安心です。
年代で変わるところ
20代から30代のうちは、脱ぎ履きのしやすいスニーカーで、たいていの日は困りません。写真を撮る日が多いなら、座ったときに膝の上に何が見えるかだけ確かめておいてください。
40代になると、正座からの立ち上がりで、膝にかかる負担が気になり始める人が増えてきます。膝を深く曲げてもつっぱらない、伸びる生地のパンツや、余裕のある丈のスカートが助けになります。
50代以上では、石段の段差と、靴を脱ぐときの片足立ちが負担になってくることがあります。入口に腰掛ける場所や手すりがあれば遠慮なく使い、立ったままで脱ぎ履きできる靴を優先してください。床に座るのがつらい場合は、椅子の席を用意しているところもあります。無理に正座をしなくても、拝観はできます。
よくある行き違い
1つめは、「秋だから」と長い筒のブーツを選ぶことです。足元は温かくても、脱ぐ回数が多い日には、入口のたびに時間がかかり、脱いだあとの置き場にも困ります。温かさは靴下で取ってください。
2つめは、旅行のために新しい靴をおろすことです。脱ぎ履きを何度も繰り返すと、慣れていない靴はかかとが当たりやすくなります。
3つめは、「お寺だから黒でなければ」と考えることです。拝観で歩いて回るだけなら、色に厳しい決まりはほとんどありません。色に悩むより、足元を先に決めたほうが、1日の過ごしやすさに直接効きます。
4つめは、靴下の確認を忘れることです。靴を脱いで座ると、かかとやつま先の薄くなったところはよく見えます。出かける前に一度、裏返して見ておいてください。
装いに活かすなら
予定を書き出して、靴を脱ぐ回数を数える。家の玄関で、手を使わずに両足10秒で脱ぎ履きできるかを試す。床に10分以上座る予定があれば、靴下を厚手か2枚重ねにする。最後に、正座してから立ち上がるまでで、裾の長さと広がりを確かめる。この順番で決めていけば、上着と色は、行き先の気温に合わせて足りるかどうかを見るだけです。
回数が読めない日は、脱ぎやすい側に寄せてください。歩きやすさの不足は中敷や休憩で補えますが、脱ぎ履きのしにくさは、その場では補えません。
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よくある問い
- Q. お寺巡りにスニーカーで行っても失礼になりませんか
- 拝観で歩いて回るだけなら、スニーカーで困ることはまずありません。気にするのは見た目より脱ぎ履きです。ひもを結んだまま、手を使わずにかかとを踏まずに脱げるかを玄関で試してください。両足で10秒を超えるなら、ひもをゆるめに通し直すか、ゴムひもに替えておくと、建物の入口で列を止めずに済みます。法要や行事に参列する日は、別に考えてください。
- Q. 秋のお寺巡りでブーツは避けたほうがいいですか
- 長い筒のブーツは、靴を脱ぐ回数が3回を超える日には向きません。脱ぐのに時間がかかり、脱いだあと置き場で場所を取ります。足首までの短い丈で、横にファスナーが1本あり、片足5秒で脱げるものなら使えます。冷えが気になる日は、ブーツで足元を温めるより、靴下を厚くするほうが、堂の中でも温かさが続きます。
- Q. お寺の中は寒いですか。何を持っていけばいいですか
- 日の入らない堂の中は、晴れた外より体感が低く、床は特に冷えています。足りなくなるのは首まわりと足の裏です。前を開けて脱ぎ着できる羽織りを1枚と、大判のストールを1枚、それに厚手の靴下を履いていけば、ほとんどの日は足ります。床に座る時間が長い予定なら、替えの靴下を1足かばんに入れておいてください。
- Q. お寺巡りにスカートで行ってもいいですか
- 行けます。決め手は丈と広がり方です。正座したときに膝頭が隠れる長さで、座ったときに裾が畳の上に大きく広がらない形を選んでください。立って膝下15cm以上の丈で、裾回りが広すぎないものが目安です。タイツの上に靴下を重ねると、靴を脱いだあとも足先が冷えにくくなります。
— メグラシ編集部





